トランプ大統領:UAEはF-35を欲している [安全保障全般]
イスラエルとの国交樹立を契機に長年の要望を
UAEはイスラエルのイラン核施設攻撃に備え
ポンペイオ国務長官の中東歴訪を見る視点として
20日付Military.comは、19日にトランプ大統領が「(イスラエルと国交を樹立する)UAEがF-35を欲しがっている。この申し出を検討している」と記者団に述べたことを受け、イスラエルとUAEの国交樹立という世界を驚かせたニュースの一つの到達点としての、「米国からUAEへの最新武器提供」の可能性や取り巻く情勢について紹介しています
種々報道されている通り、両国の国交樹立はイランの脅威に対応するためのものと考えられていますが、最新兵器の中東諸国への提供となると「イスラエル軍事力の質的優位:qualitative military edge」の確保との中東における軍事バランスの大原則に米国としてメスを入れることになることから、イスラエルの反応と共に注目されるところです
イスラエルもUAEも、国交樹立とイランの脅威は関係ないとの公式見解ですが、イスラエルのネタニアフ首相が連立政権を組む政党トップ(元軍参謀総長で今の国防相)にも直前までUAEとの国交の件を秘密にしていたこともあり、様々な憶測と反発がイスラエル国内にもあるようで、米大統領選挙の結果の影響も含め、中東情勢を占う動きが注目されている様子をご紹介します
20日付Military.com記事によれば
●トランプ大統領がUAEからのF-35購入要請について発言したことにイスラエル首相は公式に反発しており、同首相が繰り返しUAEとの国交と武器取引の関連性を否定しているにもかかわらず、イスラエル国内には疑心暗鬼の雰囲気が漂っている。
●なぜなら同首相が最近、エジプトがドイツ製最新潜水艦導入することに対し、イスラエル国内関係者に相談なく同意していたことで非難を浴びていたり、国交の件を連立を組む政党トップで現国防相であるBenny Gantz元イスラエル軍参謀総長にも国交の件を直前まで伝えていなかったと明らかになったからである
●1948年の独立以来、周辺を敵対的なアラブ諸国に囲まれたイスラエルは、「少しでも軍事的な隙を見せれば、長期的な国家の崩壊につながる」との危機感の元、米国の支援を得て最新の軍事兵器で「qualitative military edge」を維持してきた経緯があり、米国がF-35をUAEに提供することになれば、「隙」を生む可能性があるとイスラエルの安保関係者は懸念している
●ただ、米国からの武器輸出は、様々な事前交渉や米議会の承認が必要なことから、かねてからUAEが希望しているMQ-9無人機の輸出でも複数年が必要で、更に捜査員や整備員の教育を含めると、すぐに実現できるものではない
●一方のUAE側は、16か月間継続して国内のAl-Dhafra基地に米空軍F-35を受け入れ続け、その能力を目の当たりにしていると思われるところ、UAE外相が20日に「UAE-Israel国交樹立合意は、結果的に安全保障と国防の側面を含むことになろう」、「国交樹立で(6年越しで希望している)F-35導入は容易になるだろう」と意味深な発言をしている
●また実質的にUAEの国政を仕切っているSheikh Mohammed bin Zayed Al Nahyan皇太子は以前から、イランの核開発が続けばイスラエルが核施設を先制攻撃することになり、その場合イランはUAEも反撃対象に含めるので中東全域の戦争に発展すると警告している。
●またウィキリークスが漏洩させた外交文書によれば、同皇太子は2009年に米国との交渉で「UAEは我々がやるべきことをやる。イランがミサイルを撃ち込んできたらUAEは反撃し、イランを抹殺する」とまで発言している
●この発言は、イスラエルがF-35の初号機を米国から受領した際、ネタニアフ首相がF-35の前で述べた言葉そっくりであり、米国によるUAEのF-35購入要請への対応が注目されている
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米国の仲介により進められた今回の「UAE-Israel国交交渉」が、どのような内容を含むものなのか、今後の関連報道やリーク、展開に注目したいと思います
トルコが購入予定だった100機のF-35をどこかに売りたいのでしょうが、そう単純な話ではありません。しかし世界は激動です・・・
中東とF-35
「中東第2のF-35購入国はUAEか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
米国の武器輸出管理の緩和問題
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「違法?サウジに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
UAEはイスラエルのイラン核施設攻撃に備え
ポンペイオ国務長官の中東歴訪を見る視点として
20日付Military.comは、19日にトランプ大統領が「(イスラエルと国交を樹立する)UAEがF-35を欲しがっている。この申し出を検討している」と記者団に述べたことを受け、イスラエルとUAEの国交樹立という世界を驚かせたニュースの一つの到達点としての、「米国からUAEへの最新武器提供」の可能性や取り巻く情勢について紹介しています
種々報道されている通り、両国の国交樹立はイランの脅威に対応するためのものと考えられていますが、最新兵器の中東諸国への提供となると「イスラエル軍事力の質的優位:qualitative military edge」の確保との中東における軍事バランスの大原則に米国としてメスを入れることになることから、イスラエルの反応と共に注目されるところです
イスラエルもUAEも、国交樹立とイランの脅威は関係ないとの公式見解ですが、イスラエルのネタニアフ首相が連立政権を組む政党トップ(元軍参謀総長で今の国防相)にも直前までUAEとの国交の件を秘密にしていたこともあり、様々な憶測と反発がイスラエル国内にもあるようで、米大統領選挙の結果の影響も含め、中東情勢を占う動きが注目されている様子をご紹介します
20日付Military.com記事によれば
●トランプ大統領がUAEからのF-35購入要請について発言したことにイスラエル首相は公式に反発しており、同首相が繰り返しUAEとの国交と武器取引の関連性を否定しているにもかかわらず、イスラエル国内には疑心暗鬼の雰囲気が漂っている。
●なぜなら同首相が最近、エジプトがドイツ製最新潜水艦導入することに対し、イスラエル国内関係者に相談なく同意していたことで非難を浴びていたり、国交の件を連立を組む政党トップで現国防相であるBenny Gantz元イスラエル軍参謀総長にも国交の件を直前まで伝えていなかったと明らかになったからである
●1948年の独立以来、周辺を敵対的なアラブ諸国に囲まれたイスラエルは、「少しでも軍事的な隙を見せれば、長期的な国家の崩壊につながる」との危機感の元、米国の支援を得て最新の軍事兵器で「qualitative military edge」を維持してきた経緯があり、米国がF-35をUAEに提供することになれば、「隙」を生む可能性があるとイスラエルの安保関係者は懸念している
●ただ、米国からの武器輸出は、様々な事前交渉や米議会の承認が必要なことから、かねてからUAEが希望しているMQ-9無人機の輸出でも複数年が必要で、更に捜査員や整備員の教育を含めると、すぐに実現できるものではない
●一方のUAE側は、16か月間継続して国内のAl-Dhafra基地に米空軍F-35を受け入れ続け、その能力を目の当たりにしていると思われるところ、UAE外相が20日に「UAE-Israel国交樹立合意は、結果的に安全保障と国防の側面を含むことになろう」、「国交樹立で(6年越しで希望している)F-35導入は容易になるだろう」と意味深な発言をしている
●また実質的にUAEの国政を仕切っているSheikh Mohammed bin Zayed Al Nahyan皇太子は以前から、イランの核開発が続けばイスラエルが核施設を先制攻撃することになり、その場合イランはUAEも反撃対象に含めるので中東全域の戦争に発展すると警告している。
●またウィキリークスが漏洩させた外交文書によれば、同皇太子は2009年に米国との交渉で「UAEは我々がやるべきことをやる。イランがミサイルを撃ち込んできたらUAEは反撃し、イランを抹殺する」とまで発言している
●この発言は、イスラエルがF-35の初号機を米国から受領した際、ネタニアフ首相がF-35の前で述べた言葉そっくりであり、米国によるUAEのF-35購入要請への対応が注目されている
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米国の仲介により進められた今回の「UAE-Israel国交交渉」が、どのような内容を含むものなのか、今後の関連報道やリーク、展開に注目したいと思います
トルコが購入予定だった100機のF-35をどこかに売りたいのでしょうが、そう単純な話ではありません。しかし世界は激動です・・・
中東とF-35
「中東第2のF-35購入国はUAEか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
米国の武器輸出管理の緩和問題
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「違法?サウジに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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