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米空軍が「ゴールを動かして」KC-46の運用態勢確立を宣言 [米空軍]

RVSやブーム固着の1級不具合改善が未完のまま
運用制限を課したままでA-10除き給油可能と宣言
ネットワーク中継機としても初任務成功発表

KC-46A3.jpg9月16日米空軍がKC-46A空中給油機に関し、A-10攻撃機への空中給油を除き、RVS運用制限などが残るものの、B-2戦略爆撃機への給油任務など米戦略軍関連の任務を含む全ての任務に関し、全世界で任務遂行可能状態になったと宣言しました。

開催中の米空軍協会主催の航空宇宙サーバー会議で、19日に米空軍輸送コマンド司令官Mike Minihan大将が記者団に明らかにしたもので、RVS(Remote Vision System)とは別の第1級不具合である給油ブームの柔軟性欠如(stiffness)問題でA-10への給油承認が出せていないが、RVSなど他の不具合については運用制限をかけ現場の工夫で対処することとして「運用開始宣言」を行うことにしたと説明ています

KC-46 RVS.jpg運用開始宣言の前兆として、砂漠地域での運用態勢検証のためカタールに派遣されていた4機のKC-46が8月29日に、作戦任務に向かうF-15Eストライクイーグルに空中給油を行い、初の実戦任務機への給油を行ったと9月中旬に発表され、「前のめりだな・・・」と思っていたところでした

まんぐーすは、RVSの新バージョンRVS2.0が完成して改修完了する2024年以降に、戦闘任務への投入を含む「運用態勢確立宣言」を行うものだと関係幹部のこれまでの発言から認識していましたので、「ゴールを動かされた」「キツネにつままれた」ような気分で驚きましたが、米空軍が自ら「リスク」を背負って「運用開始宣言」を行ったのですから、これ以上グジグジいうのは止めておきましょう。

KC-46 RVS2.jpg加えて8月29日のF-15Eへの給油任務時には、KC-46に搭載されたネットワーク中継装置「Military Data Network communications system」が初めて作戦任務に投入され、地上の航空作戦センターと空中の作戦機との間のデータ通信を中継するノードの役割を果たして、戦場参加者の状況認識向上に大きく貢献したとも発表されています

Minihan司令官は記者団に対し
●私はKC-46が現在も抱える問題の解決に関し、ボーイング社と厳しく真正面から向き合っており、課題解決の質・時間管理・コストについて一切妥協していないし、最短で課題を解決するようプッシュし続ける。しかし、能力を備えた給油機が手元にあるなら、その活用をなぜためらう必要があるのか?
Minihan.jpg●仮に明日の戦いに敗北することがあれば、10年後のKC-46部隊はあり得ない。私には今KC-46が必要なのだ。私はKC-46の能力に100%確信を持っている。同機の飛行や修理や支援に当たる者は同機を愛しているし、給油を受けた側も同じであり、訓練のために展開した世界中の地域戦闘コマンド司令官も同機のファンになってくれている。

●(RVSやブーム以外にも、)貨物搭載管理ソフトの不具合で飛行中に貨物固定フックが外れる等の不具合があり制約があるが、運用制限状態でも任務遂行可能宣言を行うことが可能だと考えている。現場部隊は暫定対処手順を編み出しており、現場の手順書TTPに注意書きを加えること等で対応していく
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米空軍や航空自衛隊の対中国作戦環境を考えると、空中給油機が極めて重要であることから、KC-46については延々とフォローしてまいりました。

Minihan3.jpg米空軍は計179機を同機を購入予定で、既に60機以上を受領済とのこともあり、またKC-135やKC-10の老朽化や維持整備費高騰が著しいことから、「ゴールを動かしての運用態勢確立宣言」は正に「苦肉の策」と言えましょう。

それでも管轄する空軍輸送コマンド司令官が、リスクを覚悟の上で前線の兵士に対し、逃げも隠れもせず「私には今KC-46が必要なのだ」と正々堂々と述べることで、部隊運用に勢いも出ると期待しています

ちなみにMinihan司令官は、本来32個の勲章を授与されており胸につけることが可能なようですが、前職の太平洋軍副司令官時代に、個人功績に関するものは装着せず、大規模部隊指揮官として、部隊表彰を受けたことを表す3つのみを着用することにしたそうです。

KC-46などの関連記事
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「KC-XYZの再検討再整理表明」→https://holylandtokyo.com/2022/04/18/3151/
「RVS改修案に合意」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「恒久対策は今も未定」→https://holylandtokyo.com/2022/01/13/2605/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holylandtokyo.com/2021/11/22/2424/
「KC-YもXと同じ対決へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-20
「KC-46に更に2件の最高度不具合発覚」→https://holylandtokyo.com/2021/06/24/1934/
「F-22とF-35のデータ中継装置を搭載へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/31/1727/
「KC-46空中給油機を一部の任務に投入開始」→https://holylandtokyo.com/2021/03/02/151/
「恒久対策は2023-24年から」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-30
「今度は燃料漏れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-31-1
「やっぱりだめで更に1年遅れ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-04
「重大不具合について3月に手打ち!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-21
「空軍トップが新CEOに改善要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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Pitch Black演習中に6機のF-22も北部豪州基地に [米空軍]

同演習とは別で豪州F-35Aと連携訓練
8月中旬から同演習拠点の豪Tindal基地に約1か月間も
記者団の取材を避け「dynamic force employment」訓練

F-22 RAAF4.jpg9月9日付Defense-Newsは、豪州北部で実施された大規模多国間航空演習Pitch Black期間(8/19-9/8)と重なる約1か月間、ハワイ所属の米空軍F-22戦闘機6機が、同演習とは別枠で同演習拠点基地の一つである豪軍Tindall基地に展開し、豪空軍F-35Aとの連携訓練を行うなど、2018年国家防衛戦略NDSに示されたコンセプト「dynamic force employment」訓練を行ったと紹介しています。

対中国を強く意識したコンセプト「dynamic force employment」は、同盟国や米軍兵士の負担となる米軍戦力の常駐形式ではなく、必要時に緊要なタイミングで大規模戦力を特定地域に投入する戦力運用コンセプトで、敵を抑止することを意識して「戦略的には予測可能だが、作戦運用面では予測不可能な戦力運用:strategically predictable but operationally unpredictable」との「売り文句」で米軍が取り組んでいるものです

F-22 RAAF.JPG米国の対テロから対中国本格紛争対処に向けた体制変換「戦力配置見直し:Force Posture Initiatives又はForce Posture Review」の中で、米国と豪州は「空軍戦力協力強化計画:Enhanced Air Cooperation program」に合意しており、今回のF-22の展開はその大きな協力強化プログラムの一環として、コンセプト「dynamic force employment」を訓練したものと担当の豪州空軍少将が説明しています

8月中旬から9月中旬まで6機のF-22が展開したTindall豪空軍基地は豪F-35Aの配備基地の一つで、Pitch Black演習への参加機約100機の大半が展開したDarwin豪空軍基地から200nm南に位置していますが、同演習用の豪A330空中給油機や米KC-130J給油機もTindallを拠点としたことから、同演習とは別枠で訓練するには好都合だったのかもしれません

F-22 RAAF3.JPGDefense-NewsのPitch Black演習取材チームがF-22派遣部隊への取材を試みたものの実現しなかったようですが、Tindall基地にF-22と豪F-35Aが並んで駐機され、5機のF-22と数機の豪F-35数機が繰り返し離発着していたことから、2機種の相互運用性や連携要領確認を主目的にした訓練が行われたものと記事は推測しています
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2018年に国家防衛戦略NDSが公開された当時は、対中国作戦のキーワードとして、「dynamic force employment」とか「strategically predictable but operationally unpredictable」とのフレーズをよく耳にしましたが、最近はこの言葉をあまり聞きませんねぇ・・・

F-22 RAAF5.jpg最近では米軍OBや専門家が、米太平洋軍には対中国用の軍事費が増額投入されているが、肝心の米軍は4軍がそれぞれ「我が道」を進んで相互支援に消極的で、移動艦艇攻撃能力や弾薬備蓄の不足も20年間変化なく、統合作戦能力向上の証拠はどこにもないと酷評https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/)するなど、米国防省や米軍あるあるの「コンセプト倒れ」様相を呈している感が漂う状況です。残念ながら・・・

話は戻りますが、ネット上の情報によれば、今回のF-22展開期間に豪空軍パイロットがF-22操縦までやったようです。

豪州主催Pitch Black空軍演習の関連
「7か国空中給油機による外交が花盛り」→https://holylandtokyo.com/2022/09/14//3650/
「シンガポールはA型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09//3638/
「ドイツ戦闘機が初参加で日本にも」→https://holylandtokyo.com/2022/08/18/3566/
「豪州KC-30A給油機と空自F-2の給油適合試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/

対中国軍事作戦準備に大きな懸念
「酷評:対中国の統合強化はどこへ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/06/3396/
「生みの親・太平洋空軍司令官がACE構想の現状を語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/24/3374/

2018国家防衛戦略関連
「CNASが2018NDSに対案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-14
「CSBAの海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「国家防衛戦略:対テロから中露対処へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-01-20

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国防省有志が宇宙での大戦略や民間技術迅速活用求める [サイバーと宇宙]

「2022年宇宙産業基盤状況レポート」で
米国政府に官民をまとめる宇宙大戦略作成求める
日進月歩の民間技術を迅速に大規模に導入可能にすべきと

Space Industrial B4.jpg8月25日付Defense-Newsは、米国宇宙産業界約250名の意見も踏まえ、米国防省や空軍研究所や宇宙軍有志が取りまとめた「2022 State of the Space Industrial Base」の概要を取り上げ、同レポートが4年連続で「米国の官民宇宙活動を束ねる大戦略を早急に定めないと、窮迫する中国に戦略的にも技術的にも2032年頃までに追い越される」との危機感を紹介しています

例えば同レポートでは、国防省や米軍や西側同盟国が、規則に縛られ新技術や新手法導入を遅延させられている官僚機構問題を早期に解決し、米国民間企業で日進月歩で進む技術的進歩を、より迅速により大胆に獲得可能なプロセスを確立する必要があると訴え、

Space Industrial B5.jpg具体的に、少なくとも米宇宙軍は年間予算の20%を宇宙産業界から調達するよう規定すべきだとの昨年2021年レポートの要求を再び記載し、2023年度予算において大きな変化が見られなかったことへの宇宙産業界の落胆が示されているようです。

背景には、前述のように2032年頃までに宇宙分野で中国に追い越されるとの危機感があり、同時に宇宙への関心の高まりから、米産業界では2021年の宇宙への投資額が前年比倍増の約2兆円($15.4 billion)に達し、商用宇宙アセトを活用した画像・通信・分析能力が、ウクライナ侵略でもその実力を遺憾なく発揮している現状があります

SPACE INDUSTRIAL B.jpg米国防省の民間技術迅速導入担当部署であるDIU(Defense Innovation Unit)の宇宙担当部長のSteve Butow氏は、「米国政府としての大戦略は、今後10年と言ったスパンではなく、21世紀全体を見据えたものである必要があり、共通の長期ビジョンのもと、(官民が協力して)望ましい宇宙の将来を達成する道筋を描く必要がある」と訴えています
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繰り返しになりますが、このレポートは国防省DIUと空軍研究所と宇宙軍有志が、最近毎年春開催のworkshop(写真下)に参加した米国軍需産業界関係者約250名の意見も踏まえて取りまとめたもので、その狙いは、「大戦略」の必要性や調達改革を米国政府に対し求め、かつ米議会や米国民に現状を説明して改善に理解を求めるためのものと推測しています

SPACE INDUSTRIAL B2.jpg軍需産業基盤の現状レポートには、国防省がまとめて政府や議会や国民に窮状を訴えるものや、有識者によるものなどさまざまあるのですが、「宇宙軍予算の2割を民間からの調達に充てよ」との具体的な要望が、国防省や米軍有志によるレポートに含まれることに、最近注目を集めるこの分野への理解不足を反省しております

宇宙産業基盤レポートの現物(136ページ)
https://assets.ctfassets.net/3nanhbfkr0pc/3wpHArrpttx99gFk5vfymS/873bf925beb44e0cf30a07170927acf5/State_of_the_Space_Industrial_Base_2022_Report.pdf

米国軍需産業の分析レポート
「中国資本の浸透警戒」→https://holylandtokyo.com/2020/03/27/791/
「2019年世界の軍需産業TOP100」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-23
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

ウクライナ侵略が示した民間宇宙能力の重要性
「米宇宙軍の能力向上に民間衛星をまず活用」→https://holylandtokyo.com/2022/07/27/3454/
「第一撃は民間衛星通信会社へ」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「ロシアに迅速対処したSpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウクライナ侵略最初の一撃は宇宙で!?」→https://holylandtokyo.com/2022/02/18/2732/

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シンガポールはF-35B導入承認済もA型にも興味 [安全保障全般]

2020年にB型4機導入承認を米政府から得ているが
A型とB型が参加したPitch Black演習でA型も吟味
少佐を長とするチームが機種選定を担当する「若い」組織

F-35 Singapore4.jpg9月6日付Defense-Newsが、2020年に米国防省からF-35B型(短距離離着陸型)の購入承認を得ているシンガポール空軍が、豪州で実施されたPitch Black演習(8/19~9/9)などの機会を利用してA型(通常離着陸型)の情報も収集中で、同国担当幹部が「B型以外を選択するオプションは残されている」と語ったと紹介しています

シンガポールは現在60機の能力向上改修を終えたF-16C/D型を保有していますが、2030年には機体寿命からF-16の退役が始まるようで、少佐(!)をリーダーとする5名のチームで次期戦闘機の選定を進めており、2020年1月に米国製兵器輸出許可の窓口である米国務省から、追加で8機導入オプションが付いた4機のF-35B型機調達許可を得ており、2026年から機体を受領することとなっています

F-35 Singapore5.jpgそんな中ですが、シンガポール機種選定チームリーダーであるZhang Jian Wei少佐が、F-35A型(豪州空軍)とB型(米海兵隊:岩国基地所属)の両方が参加している豪州主催のPitch Black演習を準備段階から精力的に見て回る中で、記者団に具体的な機種選定決定時期については言及を避けつつ「更なる決断は可能になった段階で行う」と述べ、人口570万人ながら「したたかな」小国シンガポールの存在感を示したようです

同国は2020年にF-35B型導入承認を米国から得て、F-35の細部情報へのアクセスが可能になると同時に精力的にF-35細部情報収集を開始し、米軍の他、既に導入を開始している欧州やアジア各国ともコンタクトして、導入準備や「B型以外」のオプション検討を進めて来たようです

F-35 Singapore6.jpg同少佐らはPitch Black演習で、F-35A型とB型がF-15、16、Su-30、Eurofighterなどと共に訓練し、F-35が参加した初の大規模航空作戦演習におけるF-35の「force multiplier」ぶりを豪州空軍や米海兵隊F-35部隊に密着して確認し、併せて維持整備部門ともコンタクトしてF-35導入(型式選定も含め)準備を進めているようです

ちなみに、国土の狭いシンガポールは、米国アリゾナ州Luke空軍基地にシンガポール空軍F-16訓練飛行隊を置いて操縦者等養成していますが、F-35への機種変更に伴い、F-16訓練部隊は2023年にアーカンサス州に移り、Lule基地には機体受領に併せてF-35訓練飛行隊が配置されるとのことです
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F-15SG.jpgシンガポールは東京23区と同程度の面積に約570万人の人口ですが、その国がF-16を60機と最新のF-15を40機、ヘリ70機や輸送機15機、E-2C4機など多様な装備を保有し、空軍13000名程度で運用していることに驚かされます

シンガポール空軍はトップが40代後半で、次期戦闘機選定の実務を少佐がリーダーで行っている「若さ」あふれる国です。

小規模な国で世界最先端を目指すため、社会統制や規律が厳しく、「豊かで明るい北朝鮮」とも表現される国ですが、F-35導入を巡る「身のこなし」からもその「しっかり者感」が伝わってきます

シンガポール関連の記事
「F-35B売却許可」→https://holylandtokyo.com/2020/01/15/866/
「2021年シャングリラ会合中止&過去の同会合」→https://holylandtokyo.com/2021/06/04/1783/

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Pitch Black演習で空中給油機外交が花盛り [安全保障全般]

豪、米、仏、シンガポール、NATO、韓国の給油機参加
韓国以外は他国作戦機に給油して連携強化図る
米KC-130J以外は全てA330 MRTTですが・・・
欧州とアジア諸国の対中国連携の象徴として

A330 Pitch Black.jpg9月8日付Defense-Newsが、8月19日から9月9日の間に豪州北部で実施された大規模空軍演習Pitch Blackに、欧州を含む国から過去最大規模の空中給油機が参加し、他国の参加機に給油を行うなど多国間大規模演習ならでは有意義な訓練が実施されたと報じています

同演習には、主催国である豪州以外に16か国(米英仏独日韓印加蘭NZシンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、UAE)から約2500名と航空機100機が参加し、うち空中給油機は7か国合計9機(豪2機と英仏NATO韓シンガポールは各1機A330MRTT、米海兵隊2機KC-130)が参加したとのことです

A330 Pitch Black3.jpg7か国から参加した9機の給油機の内、韓国の給油機は自国航空機へのみ給油を行ったということですが、他の6か国給油機は以下に記載するように、他国の参加機に空中給油を行って連携強化を図った模様です。なお給油機は駐機するスペースが不足したことから、北部豪州の豪空軍Darwin基地とTindal基地、更に2000NM離れたAmberley基地に分散して展開したとのことです

参加各国空中給油機による給油訓練実績(記事記載部分)

●NATO給油機A330MRTT(オランダ登録も演習では独が運用)
豪州EA-18G電子戦機とF-35A戦闘機に給油

●シンガポール給油機A330MRTT
豪州F-35Aと米海兵隊F-35B、仏ラファール、英タイフーン、豪州EA-18GとA330給油機へ給油
更にDarwin基地の滑走路一時閉鎖の際に、緊急給油を独ユーロファイターに実施

●仏給油機A330MRTT
シンガポールF-16、インドSu-30、豪州F-35A、豪州C-17輸送機とP-8対潜哨戒機へ給油
●英給油機A330MRTT
仏ラファールと米F-35Bに給油

●米海兵隊給油機KC-130J(岩国所属)
英ユーロファイターに給油

尚記事によると、9機の給油機の内、最大で5機が同時に在空して演習に参加していたとのことです
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A330 Pitch Black2.jpg対中国の戦いでは、第一列島線上や西太平洋の島々にしか西側飛行場がなく、しかも航空戦力を中国のミサイル攻撃に備えて分散運用させる方針であることから、空中給油機の役割は極めて大なるものがあり、本演習での多国間給油訓練は非常に意義深いものであるはずです

そんな重要な訓練にも関わらず、米空軍と日本のみが使用するKC-46A空中給油機が参加していない点が気になり、同時に、改めて西側主要国の大半(米日イスラエルを除く。サウジとUAEも採用)がA330MRTT給油機を採用している現実に気付かされます

KC-46 RVS.jpg米軍戦力依存ではなく、同盟国の力を示す機会なのかもしれませんが、KC-46の重大不具合が未解決で作戦投入許可が出ていない影響かもしれません。日本から参加のF-2戦闘機は、本演習に参加するため豪州A330MRTT給油機にわざわざ日本へ来てもらい、同給油機から給油する訓練までしてもらってやっと本演習に参加している次第ですから。

別の視点で、シンガポール給油機が存在感を発揮している点に注目です。小国ではありますが、国家の柔軟性と現場の努力により、「きらりと光る」ものを見せています

豪州主催Pitch Black空軍演習の関連
「シンガポールはA型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09//3638/
「ドイツ戦闘機が初参加で日本にも飛来」→https://holylandtokyo.com/2022/08/18/3566/
「豪州KC-30A給油機と空自F-2の給油適合試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/

KC-46のゴタゴタ具合
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「RVS改修案にやっと合意:完了は2024年以降」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-11

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F-35エンジン換装なら調達機数削減示唆 [亡国のF-35]

空軍長官がAETPエンジン導入主張しつつ意味深発言
「AETPは高価なエンジン」「概算で70機分削減だ」
AETP採用しないと軍需産業崩壊発言には「言い過ぎ」

Kendall SASC3.jpg9月7日、Kendall空軍長官がDefense-News主催のパネル討議でF-35エンジン問題について国防省レベルでの早期決断を促すとともに、自身が希望する新エンジンAETPへの換装を選択した場合、F-35用への開発だけで8000億円以上必要なことから、米空軍は概算でF-35調達機数を70機削減する厳しい選択を迫られると語りました

繰り返しご紹介してきたようにこの問題は、現在使用されているF-35用エンジンF135(Pratt & Whitney)のエンジンブレードの耐久性が想定より低く、機体稼働率低迷と維持整備コスト増の大きな要因となっていることから、次期制空機用に開発中のAETPエンジンをF-35に適応開発して搭載するか、現F135エンジン改修を行うか、現F135エンジンの維持整備体制等を強化して「しのぐ」か等の選択を迫られている件です

AETP XA-100.jpg空軍長官はかねてより、高価(F135改修の3倍)だが出力や燃料消費効率が3割近く改善するAETP採用を希望していますが、一方でF-35が米海軍海兵隊や同盟国でも広く採用されていることから、国防省レベルで2024年度予算議論の中で早期決断すべきであり、「いつまでもAETPのF-35適応開発検討に予算を注ぎ込んでいられない」と国防副長官や調達担当国防次官に訴えてきたところです

7日のパネル討議で空軍長官は、「既に数百機のF-35を保有している我々は、高価な開発費が必要なAETPエンジンをどのようにどの程度導入するかを考えねばならない。概算で開発費は70機分のF-35に相当し、新エンジンを導入するには70機少ないF-35で我慢することが求められる」と具体的に語っています

AETP XA-101.jpgAETPのF-35用適応開発費は8000億円強で70機相当なのかもしれませんが、AETP導入でライフサイクルコストが4兆3000億円に膨らむとも報道されており、F135改修案よりも遥かに高額で、これを米空軍内で納めようとすると70機の削減では済まないとも考えられます

また同空軍長官はパネル討議で、8月11日に空軍エンジン開発担当幹部が「AETPへの換装を選択しないと、エンジン関連の軍需産業基盤が崩壊する」と発言して物議を醸している件については、「言い過ぎだ:overstatement」と述べ、軍需産業界に健全な競争環境を維持することは関係者が常々考えていることで、引き続き念頭に置いておく必要がある課題だと述べるにとどめています

AETP XA100.jpg更に次期制空機NGAD用のエンジンAETPプロトタイプ製造契約に関し、それぞれにエンジン試作中のGE 社(XA100エンジン)とPratt & Whitney社(XA101エンジン)に加え、競い合っているはずの機体開発3企業ボーイング、ロッキード、N-グラマンも含むことを8月19日に米空軍が発表して話題になりましたが、この件についてKendall長官は「製造されるエンジン数は、F-35と比較するとmodestだ」と語り、1期数百億円だと同長官が表現したNGADの調達機数が少なくなることを示唆しています
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7日のパネル討議で「70機」という数字を出したKendall空軍長官の意図はよくわかりません。

AETP XA100 2.jpg単に、8000億円以上と言われる高価な開発費のイメージを表現したのか、空軍は70機調達機数を削減してでもAETPを希望すると主張したかったのか、ライフサイクルコストまで含めると跳ね上がる経費を飲み込むため、現在の1763機調達予定数を350-400機削減することへの前振りなのか、同盟国等への迷惑な強制情報提供なのか・・・

益々「亡国のF-35」との表現がふさわしい戦闘機となってきたF-35について、今後とも生暖かく見守っていきますが、世界各国の空軍でF-35を担当させられている有能な働き盛りの皆様が直面する苦悩を思うと、本当に胸が痛みます

F-35のエンジン問題
「AETP採用しないと産業基盤崩壊訴え」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄預ける」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院で議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

次期制空機NGAD用のAETPエンジン開発
「プロトタイプ開発契約に機体メーカーも」→https://holylandtokyo.com/2022/09/01/3581/

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エリザベス女王と軍隊を5つの話題で [ふと考えること]

約71年間に渡り英国軍の最高指揮官
WW2中は車両整備員&運転手として従軍
英国王室の女性で唯一の軍隊経験者

Queen Elizabeth5.jpg英国時間の9月8日、英国のエリザベス女王がお亡くなりになりました。1926年4月生まれの96歳で、25歳(1952年2月)で英国女王に即位され、70年に渡り国家元首として、そして英国軍最高司令官としての務めを果たされてのご逝去でした。謹んでお悔やみ申し上げます。

9日付Military.comが「皆さんが知らないだろうエリザベス女王と軍隊にまつわる5つの話」との記事を掲載し、エリザベス女王と軍隊との関りについて取り上げていますので、国家の象徴的な立場にある「ロイヤルファミリー」と国家の基本機能(外交、警察、国防)の一つであるでる国防を担う軍隊との関係を考える機会としてご紹介します。

1.英国軍最高司令官を最も長く務めた人物
Queen Elizabeth6.jpg●英国を統治する最高責任者(The sovereign of the United Kingdom)である女王を約71年間勤められたエリザベス女王は、同時に英国軍最高司令官の任務を同期間果たされたこととなり、英国史上最長期間の最高指揮官在位となった。
●もちろんこの間、英国首相に実質的な采配を委ねながらも、重要な政策や人事の承認を行った

2.英国王室の女性で唯一軍隊経験のあった人物
●第2次世界大戦が激化し、ドイツ軍によるロンドン空襲が激しくなった頃、王室ではエリザベス王女(Princess)をカナダに避難させる案も浮上したが、国王の特別扱いはしないとの方針の下、英国軍組織で市民生活を支援するATS(Auxiliary Territorial Service)に19歳で加わり、車両整備士&運転手として勤務した

3.連合国がドイツに勝利した日は群衆と共に
Queen Elizabeth4.jpg●1945年5月8日、連合国がドイツに勝利した日に、英国民は皆が通りに出て勝利を祝うことになっていたが、エリザベス王女とマーガレット王女はコッソリ宮殿を抜け出し、群衆と共に勝利を祝った
●一応、王女は両親に許可を得ようとしたが、群衆に見つかって騒ぎになることを恐れた両親に反対された。しかし反対を押し切り、コッソリ宮殿から抜け出した

4.軍隊時代の運転手経験でサウジ皇太子とドライブ
●2003年(女王が77歳当時)にサウジのアブドラ皇太子が訪英した際、スコットランドのBalmoral宮殿を女王が案内することとなったが、宮殿の広大な敷地を女王自ら運転して案内した
●当時サウジでは女性の運転が許可されていなかったが、女王は案内や運転間、サウジ皇太子に女性でもしっかり運転できるとの主張を語り続けた・・・と伝えられている

5.米軍の英国統治グレナダ侵攻には激怒した
Queen Elizabeth2.jpg●女王(50代後半当時)とレーガン大統領は極めて親密な関係で、ナンシー大統領夫人も交えてカリフォルニアの牧場に滞在したこともあるぐらいだった
●しかし、1983年に英国が統治する(女王が統治する)カリブ海の島国グレナダに、米軍が米国人学生保護のため介入した「Urgent Fury作戦」に女王が激怒した・・と伝えられている
●作戦は4日間で終了したが、その2年後に同島を訪問した女王は、当時の米国による作戦を指示する声明を発表している
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Queen Elizabeth9.jpg英国王室では伝統的に男子は英軍に勤務することとなっており、ウィリアム王子は陸軍士官学校卒業後、海軍と空軍士官学校でも教育を受け陸海空3軍の階級を保持して、英軍の戦闘ヘリパイロットとして勤務しています。インド洋の沿岸地域パトロール飛行の際、麻薬密輸船を発見して拿捕に貢献したこともあります。

王室から抜けたヘンリー王子も陸軍士官学校卒業後に騎兵連隊に配属され、極秘で2007年末頃からアフガニスタンで相当に危険な前線航空統制官(航空攻撃機や爆弾を最前線の目標に誘導する任務)に従事していたと米メディアにスクープ報道されたことがありました

Queen Elizabeth7.jpgその他、フォークランド紛争にアンドリュー王子が参戦したこともあり、ノブレス・オブリージュ(仏語: noblesse oblige:高貴さには義務を伴う)との言葉が意味する、財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴う・・・ことを伝統的に受け継いでいるのが英国王室だということです。ご参考まで

ところで・・・英国国歌「神よ女王陛下を守り給え(God Save the Queen)」は、Queenが「King」に変わったそうです・・・。

日本人なら一度は訪れて頂きたい・・・
「皇室の菩提寺である泉涌寺」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-02-27-1

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米空軍が新たなStand-off兵器開発に情報収集 [米空軍]

企業に提案依頼し、9月27日の軍事産業デイに質疑&面談
要求射程距離は非公開で、2030年頃からの調達を目途に
専門家は中射程のJASSM-ERより安価なものと推定

SoAW3.jpg9月1日付米空軍協会web記事が、米空軍が2030年以降からの調達を想定した新たなスタンドオフ兵器導入を目指し、8月23日に企業に対し提案依頼文書を発刊し、9月27日にエグリン空軍基地で実施される軍需産業が集まるイベントで提案企業と議論する計画だと報じました

米空軍が求める射程距離が「非公開」となっている新スタンドオフ兵器は、SoAW(Stand-off Attack Weapon)との名称で、「一つのデザインで多様な作戦運用コンセプトに対応可能で、デジタル設計技術を活用して開発され、仕様が定まった後は複数企業がベンダーとして製造を担当する」との考え方で開発&製造が進められる構想になっています

SoAW.jpg提案依頼文書では、2025予算年度からプロトタイプ製造やデモ試験等を開始し、開発進捗状況を確認しながら2030年から33年ごろに初期調達が行われる予定と記されているようです

提案を希望する企業は、提案SoAWの大きさ、使用するセンサー、推進装置、弾頭、管制装置、飛行制御装置、データリンクとセンサー等の使用周波数帯、機動性、機体とのインターフェイス、更に実証済技術部分と今後要開発部分の区別を提案に含めることが求められ、デジタル設計とオープンアーキテクチャーであることが前提とされています

SiAW.jpg新スタンドオフ兵器開発の背景として、米空軍は対中国を念頭に、様々なWar-Gameやシミュレーションを通じて作戦運用や必要な兵器の分析を進めていますが、膨大な数の攻撃目標を強固な防空網を突破して攻撃する兵器の確保に苦慮していることがあります

スタンドオフ兵器としては、既に配備されている射程1000㎞超の対地攻撃用JASSM-ERや対艦攻撃型のLRASMがありますが、高価であるため大量の目標をスタンドオフ兵器だけで攻撃する数量確保は困難であり、米空軍はステルス機に搭載して「スタンドイン攻撃」する新たな兵器SiAW(Stand-in Attack Weapon)導入検討を5月から3社(L3 Harris, Lockheed Martin, and Northrop Grumman)と開始しているところです

Gunzinger2.jpgこのような状況下での新スタンドオフ兵器開発開始に専門家も「?」な状態で、陸海軍がスタンドオフ兵器導入や開発ばかりに注力していることや、空軍の輸送機からの長射程兵器の投下発射検討を非難して、スタンドオフとイン兵器数の適度なバランスを主張しているMark Gunzinger(ミッチェル研究所・元空軍大佐)氏も、「ミステリアスな計画だ」とコメントしています

それでもGunzinger氏は米空軍のこれまでの動きから、「SoAWは、ステルス機が多数搭載可能な、生存性の高い中射程兵器のニーズを満たすものではないか」、「米空軍は多数存在する目標を攻撃可能な手頃な価格の兵器を求めており、JASSM-ERより(射程は短くても)安価な兵器を追求しているのではないか」とSoAWについて推測しています

米空軍は9月27日の「industry day」において、SoAWに関して公開の場で質疑応答を参加企業と行って情報を産業界と共有し、更に各提案企業と個別面談も行って疑問点を可能な限り解消し、企業側が協力しやすい環境を提供したいと説明しています
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SoAW2.jpgスタンドイン兵器のSiAW検討を5月から8月25日まで実施していたと思ったら、8月23日から今度はスタンドオフ兵器SoAWの検討開始です。様々な検討を行う過程での検討でしょうが、搭乗員の救難救助態勢が不十分な中、安価と言えども「スタンドイン」兵器依存度を下げなければ作戦目的達成は困難との方向でしょうか

鳴り物入りで米海兵隊が出した「スタンドイン戦力で頑張る構想」も、よく読めば、遠方攻撃部隊に敵の位置を知らせる事が主任務になりそうな偵察部隊の色が濃く、対中国における西太平洋地域の現実を突きつけられた気分です

Brown2.jpgそういえばBrown空軍参謀総長が先日インタビューで、「同盟国が我々にとってのスタンドイン戦力であり、そのような状態で米軍がスタンドオフ戦略を追求するとは言えない。我々はスタンドwithだ」との趣旨の発言をしていますが、本音だと思います

スタンドインとスタンドオフ関連の記事
「米海兵隊スタンドイン部隊準備」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「米陸軍は2023年から遠方攻撃兵器で変わる」→https://holylandtokyo.com/2020/09/11/478/
「スタンドオフ重視を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「Stand-inとStand-offの適切バランスが不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
「遠方攻撃をめぐり米空軍が陸海海兵隊を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-22
「米空軍トップも批判・誰の任務か?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

Brown空軍参謀総長は言葉を選びつつ
「スタンドwithだ」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/

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無人機ウイングマン機CCAは多様な任務に [米空軍]

NGAD随伴だけでなく、F-35、E-7、KC-46、地上から操縦も
Brown参謀総長が米空軍の話題を広範に語る
同盟国軍は「我のstand-in F」で「我はstand with」と表現
F-35の維持費削減見通しに慎重な表現
対中国での救難救助態勢を再検討中と

Brown4.jpg8月29日付米空軍協会web記事が、シンクタンクAEIによるBrown空軍参謀総長へのwebインタビュを紹介し、「無人ウイングマン機」「ACE構想」「救難体制の再検討」「F-35維持費見積もり」などなど広範囲の話題についてついて断片的ながら語っています

最近は米空軍全体の動きに関し、活発に発言するKendall空軍長官の発言をご紹介する機会が多いのですが、検討途中の段階でも発言してしまう同長官に対し、慎重にワシントンDC勤務者らしく言葉を選んで発言するBrown大将の方が全体像に近いとの見方もできますので、以下では項目ごとにご紹介します

無人ウイングマン(CCA:collaborative combat aircraft)関連
XQ-58A Valkyrie2.jpg●(NGADと共に2030年代の何時ごろ飛行可能になるか?との質問に、時期については語らず、)CCAに関しては、センサー、シューター、兵器運搬機など多様な役割を期待し、作戦機運用コスト削減も狙いの一つである
●NGADから操縦され共に飛行するだけではなく、CCAはF-35やE-7やKC-46や地上から操縦され飛行することも検討している。(注:KC-46は空中給油機として以外にも通信ノードとしての役割を期待され、また最近では戦闘管理に役割を期待する声も出てきている)

●(Kendall長官がCCA関連技術は十分成熟していると今年発言しているが、Brown大将は何時作戦投入されるかに関しては答えず、関連でCCA等を活用して米空軍は5年以内に「stand-in force」体制になるかとの質問に対し、)やるべき仕事がまだ残っている。米空軍は近未来の間はstand-inとstand-offのハイブリットであり、同盟国が我々のstand-in戦力で、我々がstand-offになるとの戦略は立てられない。米空軍は「stand-with」だ

作戦運用の大きな変化ACE構想
ACE3.jpg●部隊視察で兵士たちに会うと、過去30年の戦い方とは異なるACE構想(agile combat employment)の必要性について理解してくれており、分散した拠点からの作戦や、兵士が複数の能力を持つことの重要性をわかってくれていることがわかる。また多くの努力が投入されていることも明らかだ
●また分散運用を促進するACE構想推進のために、権限の下部組織や前線への委任を一層進めるドクトリン変更にも理解を示してくれている

救難救助態勢の見直し
HH-60W2.jpg●アジア太平洋地域の特性(距離の克服)や救難救助を担ってきた回転翼機の脆弱性増加に伴い、米空軍は2023年度のHH-60W救難ヘリ調達数を削減することとし、べトラム戦時から継続してきた救難救助作戦コンセプトの見直しを行っている
●今や脅威のレベルは変化しており、従来救難任務に従事してきた回転翼機やオスプレイが撃墜されることを恐れており、考え方を変える必要に迫られている。無人機の活用などに焦点を当て、様々な検討を行っている

F-35の維持整備費高止まり問題について
F-35 Gilmore.jpg●初期に見積もられている「F-35の飛行時間当たりのコスト」は「楽観的過ぎる:overly optimistic」見積もりとなっており、米空軍は従来の「飛行時間当たりのコスト」見積もりから、「1機あたりの年間維持コスト」見積もりモデルに変更し、米空軍全体の負担の「見える化」推進に資する方向で進めている
///////////////////////////////////////////

その他にもBroun参謀総長は、インフレによる物価高騰の影響が勤務地によって異なり、諸手当の見直し等が追い付いていない問題について米軍兵士向けに説明していたり、パイロット不足に対して養成期間の短縮や民間航空会社との定期協議を行っていることを説明しています

Brown2.jpgまた、ウクライナの教訓から同盟国等との継続的な訓練が重要であることや、同盟国の能力向上に取り組むことの重要性についても強調しています

「飛行時間当たりのコスト」見積もりから、「1機あたりの年間維持コスト」見積もりへのシフトは、航空自衛隊にも影響を与えるのでしょうか???

無人機ウイングマン構想
「空軍長官:B-21用にも新規開発」→https://holylandtokyo.com/2022/03/24/2938/
「まず5世代機の仮設敵機役から!?」→https://holylandtokyo.com/2021/08/18/2084/
「頭脳ACSを2機種目で試験成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-02
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-06

救難救助体制の再検討
「対中国作戦での救難救助任務が今ごろ大問題に」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/

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米空軍バーチャル訓練センターの現在位置 [米空軍]

2020年8月に開設したVTTCの現状と方向性
改めてバーチャル訓練の必要性や重要性を確認

VTTC.jpg8月23日付米空軍協会web記事が、2020年8月に開所して2027年の運用態勢確立に向けた設備や各種連接機能の充実過程にあるた米空軍VTTC(バーチャル試験&訓練センター:Virtual Test and Training Center)の現状を紹介しています

ネバダ州ネリス空軍基地内に建設されたVTTCは、米空軍戦闘コマンドACCの配下にある「Air Force Warfare Center」(指揮官少将)の一部をなす施設で、フロリダ州エグリン基地に司令部を置く第53航空団(同Warfare Centerの配下部隊:各種兵器&戦法開発や電子戦やISR等の技術戦術開発を担い提案する専門部隊)が管理する施設です

VTTC2.jpg縦横80m四方の規模イメージのVTTCは、2020年8月開所時に「世界中で発生しうる如何なる紛争もこのセンターで再現や提示ができる体制を目指す」、「最終的に、米空軍のみならず、米軍他軍種や同盟国が世界中からバーチャル演習に参加可能な態勢に」、「今後F-15Eシム装置を建設するほか、既にネリス基地内所在のF-35、F-22、F-16戦闘機のシミュレーターを、同センターと連接してバーチャル環境に組み込む予定」等々と構想が紹介されていたところです

23日付の記事はVTTCの現状について、「2028年まで毎年25億円規模の予算を付け、ソフトやシム装置の充実に取り組んでいく」、「(米空軍の研究開発を担う)マテリアルコマンドや米海軍システムコマンドの協力も得て先行的にVTTC充実を図る」とのVTTC担当幹部のコメントを紹介しています

VTTC3.jpgまた2023年度予算で、米国政府保有のモデル検証やシミュレーション実験環境であるJSE(Joint Simulation Environment)への連接も計画されており、VTTC指揮官の中佐は「JSEとの連接機材搬入のため、古い機材を運び出す等の準備作業を行っている」と説明しているほか、

米空軍の主要な作戦用航空機全てをVTCCと連接できるよう、機種毎にバラバラなシム装置を連接できるような検討や、ネリス空軍基地近傍の演習場で実施される実機飛行をVTTCと合成できるような技術開発にも取り組んでいると語っています。

VTTCが重要性を増す3つの理由
(VTCC運用管理部隊指揮官の説明より)

●敵及び味方の進歩が早く実環境で十分な訓練が困難
VTTC4.jpg・中国やロシアは急速に新兵器の導入や陸海空宇宙ドメインを融合した運用法導入を進めており、実環境で米軍の仮設敵部隊が敵を模擬することが困難。例えば中国のJ-20ステルス戦闘爆撃機の模擬は、米軍の仮設敵機部隊では困難
・また、米軍の装備も格段に進歩しており、例えばF-35のような優れたセンサーとAI分析能力を装備する機体は、敵のSAMを模擬した地上装備を見破ることが可能で、そのような能力を含めた最大発揮を訓練させる環境の作為が実環境では不可能に

●演習場の広さや電磁環境の制限下では訓練が困難
・保有兵器の射程が延伸される方向にあり、演習場内では戦闘環境が設定できない
・また、宇宙も含めた複雑な電磁スペクトラムへの妨害が想定される中、実環境でそのような妨害を模擬することは困難

●機種毎に各企業が作成したシム装置を連接するのは大仕事
VTTC USAF2.jpg・5年ほど前からバーチャル環境訓練の重要性が認識され始めたが、バーチャル訓練や他機種シム装置との連接を念頭に開発された各機種シム装置は少なく、本格紛争を模擬するレベルの連接には高度なシム連接合成環境(synthetic environment)の創設が必要
・更に、同盟国やパートナ国等にも参加しやすい環境を提供するにも、米国製アセットだけではなく、広く対応可能なシム環境を準備する必要がある
////////////////////////////////////////////////

VTTCが2020年8月に開設された際にもコメントいたしましたが、日本は広大な国土を持つ米国よりも遥かに実機による実動訓練や演習が難しい環境にありますから、最新装備を導入すればするほど、このようなバーチャル訓練環境が必要になると思います

VTTC5.jpg例えば航空自衛隊であれば、F-35機体購入費だけで財布が空になり、訓練費も維持整備費も、バーチャル訓練環境も置き去りにされ、・・・ついでにネットワーク環境整備も不十分なので、ネリス基地との連接も困難・・・との状態でないことを祈ります

米空軍シム訓練センターVTTC関連記事
「ネリス基地で開所式」→https://holylandtokyo.com/2020/09/08/475/

5世代機とバーチャル訓練
「F-35用廉価版SIM装置」→https://holylandtokyo.com/2021/12/09/2496/
「米空軍がAIシム訓練アイディア募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-26
「5世代機用に訓練空域拡大要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-12-09-1
「5世代機訓練は実&シム併用で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-24-1
「シム訓練でF-22飛行時間削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-1
「F-35SIM連接の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-05
「移動簡易F-35用シミュレーター」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
「5世代機はバーチャル訓練で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1
「DMT構想について」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-06

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