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米空軍トップが春完成の電子戦戦略を語る [米空軍]

国防省電子戦戦略や同ロードマップと連携を図りつつ
もはや電磁スペクトラム優勢確保は不可能な状態だと認め
湾岸戦争後、我々は電子戦分野で居眠り運転だったと吐露

Brown4.jpg1月27日、Brown米空軍参謀総長がオンライン講演し、昨年10月末に発表された国防省電子戦戦略(電磁スペクトラム戦略:Defense-wide electromagnetic spectrum strategy)とその具体化に向けたロードマップが3月に完成する中で、米空軍も今春に大転換の電子戦戦略を取りまとめると語り、その方向性について触れました

「相手に手の内を明かさない」方針から、昨年10月29日に概要だけがブリーフィングされた国防省戦略も「ぼんやり」したものでしたが、空軍参謀総長が語った内容も、具体的な話よりも危機感と姿勢と大きな方向性を述べたもので、「ぼんやり感」は否めません

「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03

それでもしかし、強烈な危機感と現状認識、より攻撃的な態勢を目指すこと、ハードよりソフト面に注力すること、同盟国等を含めた一体性を追求する方向などが述べられており、米国防省全体の方向性を理解する一助となりそうなのでご紹介しておきます

まず昨年10月末の国防省戦略の「さわり部分」復習
Electronic Warfare.jpg新戦略では、従来の伝統的な電子戦分野である電子妨害や心理戦活動、商用・公用・軍用の電磁波運用管理だけでなく、米軍が電磁波の世界で容易に隠れる(Hide)ことが出来たり、商用周波数帯を作戦用により容易に使用出来たりする方向である
また、敵の周波数使用を容易に拒否できるようにする方向を追求する

日々の電磁スペクトラム運用を司る「combatant command」を創設する方向で検討す
具体的なロードマップ(EMS roadmap)は、Hyten統合参謀本部副議長らが中心となり2021年3月までにまとめる
・・・と説明していますが、よくわかりません。軍用の周波数帯を不必要時に民間に貸し出す代わりに、必要時に商用周波数を軍が使用できるような枠組みを含んでいるとの説明もあるようです

Brown空軍参謀総長は新戦略の方向性について
Brown nomination.jpg今春、米空軍は「electromagnetic spectrum warfare strategy」を発表する予定で、米空軍の向かうべき方向を示し、本格紛争においてどのような作戦運用が必要か、どのように資金を確保するか等を描くものとなる
また同戦略を理解しやすいように、司令部スタッフには同戦略内容が実現した際の仮想的な運用シナリオを準備するよう指示しており、同戦略に沿って2030年に到達すべき姿を理解しやすくし、空軍全体で取り組んでより早く達成できるよう考えている。その想定は中国を相手にしたものになろうが、我が目指すレベルに中国よりも早く到達することを望んでいる

空軍の戦略は、アフガンやイラクでの20年の戦いの中で、我々が電子戦を無視してきた流れと決別するものであり、従来の防御的な電子戦から攻撃的な姿勢への大転換を図るもので、決して小さな改善ではない
背景には、我々が必要なレベルで敵対者を抑止できていないとの危機感がある。中国やロシアのサイバー部隊は、宣戦布告なしに米国を侵略しており、情報誘導工作や偽情報作戦で世論操作を行っているが、米国がそれらを抑止できていない現状がある

EA-18G capability.jpgこのまま好きにさせるわけにはいかない。我らは大転換を図る必要がある。従来通りの少しづつ変化していく方法では、我々はシンプルに敗北する。湾岸戦争後30年間、電子戦分野で我々は居眠り運転してきたと考えるべきだ
空軍の戦略は昨年10月末発表の国防省電子戦戦略と完全にリンクしており、Hyten統合参謀本部副議長が3月にまとめ、初めて4軍の役割を指示することになる同国防省戦略ロードマップとも連携を図って進めている

電磁スペクトラム戦での優越はもはや可能ではない。航空優勢は一部の地域で確保可能だろうけれど・・・。電子戦能力を必要な場所と時間に提供できなければならない。しかしこれは、多くの通過点があるゴールがない終わりなき戦いで、我の優位を維持し続ける取り組みであ
単にステルスや自己防御ジャミングと言った防御的なものではない。過去25年使い続けてきたような装備では将来は戦えない。米空軍は電子戦分野で機動し攻撃する攻撃的な態勢を目指

Brown2.jpg投資面での最大の変化は、ハードやプラットフォームからソフト重視への変化である。確かに目に見えにくく、効果確認が難しいいオープンソースなソフト導入のような事業は、米議会の理解を得るのが難しい
一方でソフト投資はミサイル等と比較して安価で効果も期待できる。その点で電子戦の非破壊的な能力確保は、コストで押しつぶされる恐れを減少させてくれる。また一方で、ソフトは最新手法をコードで表現すれば効果を実現でき、数で圧倒してくる中国にも対抗できる

同盟国等をこの電子戦戦略に巻き込むことに米空軍は取り組み、最初から含めておくことで装備が協力的に使用できなくなることを避ける。全ての関連能力を融合して活用できるようにしたい
すでに米空軍は、新たな電子戦戦略やコンセプトを編み出すために、一連の実験演習や仮想ウォーゲームに取り掛かっている。しかし米空軍はあるべき状態にはなっていない。米議会から遅れを指摘され、尻を叩かれている状態であり、困惑することもあるが、叱咤激励が力であることも確かである
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EA-18G Clark3.jpg対中国では、電磁スペクトラム優勢確保はその性格上可能ではない・・・と言い切り、航空優勢も一部地域(localized)でのみ達成可能だろうとハッキリ述べる姿勢は、50億円を投入したシリア兵士養成で、「5-6名」しか前線で活動していないと率直に認めたオースチン国防長官とも通じるものがある気がします

中国軍の電子戦能力がすごいので、防御だけではとても太刀打ちできない・・・やられる前にやっつけなくては・・・との主張だと思います

ハードやプラットフォームより、ソフトで勝負・・・との意味が体で感じられていませんが、まぁそういう時代なのでしょう。湾岸戦争当時から変わっていない状況を、米議会から厳しき指摘されていることを、認めざるを得ない厳しい立場です。Brown大将は・・・

国防省の電子戦戦略と空軍の動き
「さわり国防省電子戦戦略」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03
「電子戦とサイバーと情報戦を融合目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-03

関連のC4ISRnet記事
https://www.c4isrnet.com/electronic-warfare/2020/11/17/us-air-force-sets-sights-on-new-spectrum-warfare-wing/

第16空軍の関連記事
「新設第16空軍の重要任務は2020年大統領選挙対策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「遅延中、ISRとサイバー部隊の合併」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

ロシアの電子戦に驚愕の米軍
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

EW関連の記事
「国防省EW責任者が辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-19
「ACC司令官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-19
「米空軍がサイバーとISRとEwを統合」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「電子戦検討の状況は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-13
「エスコート方を早期導入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「米空軍電子戦を荒野から」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

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フロリダ水道施設にハッカー:薬品投入量操作 [サイバーと宇宙]

スーパーボール開催地近傍の都市水道施設
外部からマウスを操作し水酸化ナトリウム量を100倍に
人的被害は無し・・・

Oldsmar.jpg8日、フロリダ州Oldsmar市を管轄する保安官が記者会見し、5日に同市の上水道管理システムにハッカーが侵入し、水道水に投入する水酸化ナトリウムの量を既定の約100倍にする操作を行ったことが検知されたが、水道局員が怪しい外部からのマウス操作を察知し、直ちに正常な設定値に修正して上水道への影響はなかったと発表しました

同市は7日にスーパーボウルが開催されたタンパ市に隣接する人口15000名の小規模な都市ですが、同時案発覚後、直ちに周辺の水道管理施設間で情報が共有され、外部からのアクセス遮断やシステム監視の強化などの措置が取られたということです

Oldsmar3.jpg現時点で誰が上水道管理システムに侵入したのか判明しておらず、追跡は困難と言われているようですが、専門家はハッカー初心者が腕試しでサイバーセキュリティが脆弱なシステムに侵入するケースが大半だと指摘する一方で、昨年5月にはイスラエルの水道システムにイランからの組織的侵入があり、塩素投入量の操作が試みられた事例もあると注意喚起しています

また米国では、2013年に同じくイランからニューヨークのダムシステムへのハッキングが行われた事例や、最近ではロシア政府起源と見られるハッカーによる相次ぐ発電送電や製造プラントシステムに侵入事案が報告されており、まさに「今そこにある危機」として米国社会に警鐘を鳴らす事案となったようです

Oldsmar市事案について9日付Military.com記事は
フロリダ州Oldsmar市の水道局員が、5日の朝8時に操作システムを見ていた際、少し変わった動きをする外部アクセスを見つけたが、いつものように同僚がリモートでアクセスしているのだろうと気にしなかった
Oldsmar2.jpeg同日13時30分、同じ水道局員が、再び誰かがシステムにアクセスしたのを認めたが、今度は外部から誰かがマウスを操り、水処理工程の水酸化ナトリウム投入量を変更したのを察知した

外部からの侵入者は、3-5分間システム内で行動した後に退去したが、通常あり得ない数値設定に驚いた水道局員は、直ちに水酸化ナトリウム設定値を通常設定に戻した
当局は本件に関し、仮に水道局のシステム監視者が外部からの侵入や設定値操作を見逃したとしても、定期的に水質検査が行われており、住民に提供される水道に影響が出る前に察知できる体制だと説明した
本件については、地元保安官事務所に加え、FBIとSecret Serviceが協力して操作を行っている

ITセキュリティー会社の専門家は、水処理など工業的プラントへのハッカー侵入事案が頻発しており、多くは組織的でなく実質的な被害もない単発のいたずら事案だが、小規模施設や地方政府管理施設におけるサイバーセキュリティーへの意識の低さが外部侵入を招いていると警告している

Oldsmar4.jpgまた別の専門家は、Oldsmar市のケースは複雑な事案とは考えにくく、ハッカー初心者が腕試しに脆弱なシステムに侵入を試みたもののように見えると評価しつつも、水道管理当局や企業に対し、システム管理の重要性を再認識させる事例だと警鐘を鳴らした
そして、国家レベルが関与するハッカー集団が、電源や水道などの重要社会インフラにダメージを与える可能性が身近に迫っていることに改めて注意を促した
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素人ですが、水道管理のシステムなど、外部と遮断すればよいと思うのですが、色々と外部と情報のやり取りが必要な部分があるのでしょうか・・・?

本当に怖い世界です。最近は大規模な情報漏洩も当たり前になりつつあり、非常に多くの不審メールを受信する日々に慣れっこな自身の状態にも改めて恐ろしさを感じます

最近のサイバー関連の記事
「ロシア発:驚愕の大規模サイバー攻撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-18
「誘導工作の拠点完成!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-08
「過去最大のサイバー演習を完全リモート環境で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-22
「海兵隊サイバー隊が艦艇初展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-08
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-07
「米国務省のサイバー対策はデタラメ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-27
「やっとサイバー部隊に職務規定が」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-13
「喫緊の脅威は中露からではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-16
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
「サイバー攻撃に即時ミサイル反撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-11-1
「NATOが選挙妨害サイバー演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「サイバーとISR部隊が統合して大統領選挙対策に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-19
「ナカソネ初代司令官が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3

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バイデン大統領指示:4か月で対中国軍事態勢見直し [安全保障全般]

大統領として初のペンタゴン訪問で発表
取りまとめは元大統領副補佐官で現長官の中国担当補佐官

Biden pentagon5.jpg10日、バイデン大統領がハリス副大統領を伴って就任後初めてペンタゴンを訪問し、今後4か月以内に対中国軍事戦略のレビューを行うと発表しました

同レビューのとりまとめはEly Ratner中国担当国防長官補佐官(元バイデン大統領の安全保障担当副補佐官)が行い、国防長官室や統合参謀本部、地域コマンドや情報機関から、文民と軍人を合わせ15名程度で構成される「China Task Force」が検討を担当するとのことです

Biden pentagon6.jpg国防省発表の同レビュー「Fact Sheet」によれば、レビューでは、軍事戦略、作戦運用コンセプト、装備近代化や投資対象技術の優先順位、戦力配備や基地配備の在り方、情報態勢、同盟国との関係などに焦点を当て、広範な検討が試みられる模様です

ただ、このレビュー結果は「No final public report is anticipated」ということで、公にはならないようで、米議会にはしかるべく報告されるようですが、今後の関連政策や予算配分から、なんとなく雰囲気を想像するしかなさそうです。

関連報道によれば
Biden pentagon4.jpgバイデン大統領は国防省ブリーフィング室で本レビューに関し、「今後数か月で、国防省のChina Task Forceが、中国関連問題についての対応方針を明確にするため、新たな優先順位と決定すべき点(decision points)の検討を行う」
また「対中国戦略は、政府を挙げての取り組みとなり、米議会超党派の支持や同盟国等からの協力が必要となる。これが、中国の挑戦に対して如何に米国が立ち向かうかの基本だ」と語った

国防省発表の「Fact Sheet」は「China Task Force」が議論対象となる重要事項検討に「疾走:Sprint」すると表現し、短期間での集中的な取り組みであることを強調している

また本発表前に軍事力に関する大統領の所信を述べ
Biden pentagon3.jpg私は、必要時に軍事力の使用を躊躇することは決してないが、軍事力の使用はあくまで最終手段(tool of last resort)である
求められれば戦って勝利を収める態勢を保持しつつ、敵の侵略を抑止することが任務の中心である

我が国は、「力の例示」ではなく、「例示の力」によって、より安全に強くなる。米国は今世紀の課題に対峙するにあたり、安全保障について優先順位を再考する必要がある
中国は特に「growing threat」であり、新技術を生かし、サイバー能力を高め、宇宙での競争にも立ち向かう

(かつて、現役時代のオースチン国防長官の下でイラクに大尉で従軍した息子(米国内で事故で死亡)を例に出し、)バイデン一家は軍人家族である。志願して国のために勤務する皆さんに、大きな責任を負っていることを感じている。我が政権は決して、皆さんの名誉を傷つけたり、皆さんに政治的な行動を求めたりしない
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大統領選挙期間中に、中国寄りだ、中国に弱みを握られている・・・等々のうわさが飛び交ったバイデン大統領ですので、それを打ち消すため、中国に対する厳しい姿勢を各所で表現しています

Biden pentagon7.JPG話は飛んで恐縮ですが、でも最終的には、日本はどうするのか? 覚悟はあるのか?・・・に行きつきますので、きちんと正面から情勢を見つめることが必要なのでしょう

アーミテージ氏が最近投げかけた、「日本は、中国に対してタフになる心構えは出来ているのか?」との問いに、答えることができるのか・・・です

関連の記事
「オースチン長官が米軍態勢見直し指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「国防副長官が所信を述べる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09
「新政権がトランスジェンダー勤務許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-26

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75年ぶり米軍爆撃機がインド訪問 [米空軍]

インド航空ショーでインド戦闘機のエスコートを受け飛行
C-5輸送機も同航空ショーに:米印関係を示す

B-1 India.jpg8日付米空軍協会web記事は、75年ぶりに米空軍爆撃機(今回はB-1)がインドを訪問し、同国航空ショーでインド空軍戦闘機のエスコートを受けた展示飛行を実施するなど、米印関係強化を示すイベントになったと紹介しています

記事は、トランプ政権が退任直前の1月13日に秘密扱いを解除して公開した「インド太平洋戦略」の方針に沿うものだとB-1爆撃機訪問を取り上げ、同戦略が「インドを、豪州、日本、韓国と合わせた4か国枠組みの一員に加え、中国に対抗する地域の盾」としての位置づけ、「米国は、インドの軍事能力を自国防衛だけでなく、インド洋を超えた地域での活動パートナーとなるよう目指す」と表現していると紹介しています

また同戦略が、上記狙いを達成するため、「軍事貿易を拡大」し、また、米国と日本がインドの「finance projects」を支援し、地域国家の軍事力を連接するために協力していくと表現していることに言及しています

8日付米空軍協会web記事によれば
B-1 India4.jpg3日、米空軍のB-1爆撃機がインドで開催された「Aero India trade show」でインド空軍Tejas戦闘機のエスコートを受けて飛行し、1945年以来初めてインドに降り立った。また同航空ショーにはC-5M大型輸送機も参加し、地上展示を行った

同飛行の前日にDon Heflin駐インド米国大使は、「インドはインド太平洋地域のキープレーヤーである。米印協力は、ルールに基づく国際秩序で全ての国の繁栄と安全を推進するビジョンを広めるものだ」と語った
B-1爆撃機を派遣した米第8空軍司令官のMark E. Weatheringtons少将は、「(B-1派遣は)両国の協力関係を示すだけでなく、「Bomber Task Force concept」の訓練の位置づけでもある」「将来に向けた歴史的な意義を持つ爆撃機の参加だ」と表現した

B-1 India3.jpgまた爆撃機訪問の機会をとらえ、両国国防当局者が協議を行い、両国政府と両国空軍の関係強化に向けた舞台を整えた
インド空軍が戦闘機選定を開始しているが、米国からはロッキードがF-16を生産ラインのインド移転を含め提案し、ボーイングがF-15EXを売り込んでいる
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この航空ショーには、コロナにもかかわらず1.6万人が参加したようです

滑り込みでトランプ政権が公開して物議をかもした「インド太平洋戦略」ですが、このような動きは継続して進めていただきたいものです

少しは関係のある記事
「インド海軍にFA-18提案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-31
「アジアに第1艦隊編成へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-20

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米空軍の優先研究に「よく考えろ!」提言 [米空軍]

言いたい放題の一般論提言ではありますが・・・
各所で研究課題に挑戦する皆様のヒントになれば・・・

Skyborg3.jpg米空軍が「優先研究項目」として指定し、資源や人材を投入して短期間での実用化を目指す「Vanguard計画」(2019年11月開始)に対し、外部有識者で構成される「米空軍科学諮問評議会:Air Force Scientific Advisory Board」が提言し、より具体的に、広い視野で活用分野を探り、ダメそうなら諦め、よりベンチャー的に取り組め・・・等々との言いたい放題の報告書をまとめた模様です

「Vanguard計画」自体は2019年春に立ち上がりましたが、研究対象を絞り込むのに半年以上がかかり、6つの対象項目で公表されているのは「無人機ウイングマン:Skyborg構想」、「無人機の群れ:Golden Horde構想」、「新たな航法衛星3」の3つだけですが、主導する米空軍研究所AFRLに研究の自由度を保証する代わりに、評価もきちんとやる姿勢で米空軍幹部が臨み、同評議会に開始1年目の評価を依頼したようです

Gremlins swarming.jpg同評議会の提言は言いたい放題で、米空軍研究所やそれを指導する米空軍マテリアルコマンドや空軍省革新能力造成室にとっては「そこまで言うか!」的な内容ですが、お役所研究機関や日本の大企業の研究組織にも当てはまりそうな内容なので、とりあえずご紹介しておきます

ただ具体的な研究項目には触れず、提言部分だけが報道されていますので、具体的にどの研究課題のどの部分に対する提言なのかが示されず、ストレスのたまる「言いたい放題」の紹介となっていますので、その点はご容赦ください

昨年12月18日付米空軍協会web記事によれば
NTS-3.jpg12月に米空軍幹部に提出された同評議会の提言は、「Vanguard計画」をより具体的に、広範な範囲で応用を検討し、ダメらな早めに諦めよと提言し、6項目の対象研究の3つには改善を促し、残り3つには対象から葬り(enshrine)長期的な視点で米空軍内で活用する方向を示唆した
なお、「Vanguard計画」推進に米空軍は2021年予算で約170億円を要求したが、米議会は約60億円削減する方向にあり、本計画の継続・推進にはプロジェクトの継続改善に取り組む姿勢が欠かせない側面もある

同評議会は、優先項目は4年以内にプロトタイプ試験に進めるような対象であるべきで、米空軍省高官が選定判断に関与すべきと提言し、現在の対象があまりに広範であるため絞り込む必要を指摘した。一方で、現場との接点が多い研究開発調達次官室とは緊密に連携を取り、新たなアイディア受け入れにも柔軟であるべきとしてる
Gremlins swarming2.jpgそして、世界中の空軍指揮官の要望を反映し、攻めの姿勢を重視しつつも達成可能な分野に注力し、資源投入先を絞り込む着意が重要で、この過程に米空軍副参謀総長レベルを巻き込めとしている

(優先項目の新陳対処も考慮し、)毎年の優先項目を1-2個選定して進めるべきと提言し、同時に一度選定した項目の目標変更もあり得、ハイリスクの最新技術研究では、特定の戦場環境への適用だけでなく、他の応用可能な分野への適応への方向転換も選択肢に含められるよう提言している
また、きちんとした開発計画に基づかない形で実験室から直接戦場へ提供したり、民間企業に技術の芽と一定資金を提供して研究を託す手法もオプションに取り入れるべきとしている

XQ-58A Valkyrie2.jpg更に「Vanguard計画」を管理する空軍省の革新能力造成室(Transformational Capabilities Office)には、ベンチャーキャピタルのように計画全体を管理し、「Try-anything, freeform startup culture」で革新をリードするよう提言している
問題に直面した研究項目をあきらめる重要性も指摘し、同時に研究を中断する分野でも、それまでの蓄積知識を他に活用する等、失敗を失敗で終わらせない姿勢の重要性を指摘している

最後に同評議会は、いずれにしても、「Vanguard計画」は空軍省レベルの強力な関与がないと成功しないと提言を結んでいる
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絞り込め、しかし柔軟に新たなアイディアを取り込め。具体的に、でもベンチャーのように挑戦して革新を・・・と言われると、事前に予算枠が示されるお役所研究所の米空軍研究所は頭を抱えるしかないのですが、米空軍幹部の裁量と強力な関与で道を開け・・・ということでしょう

9月末には、優先対象の一つ「無人機の群れ制御」に関し、(行き詰ったから)企業や学界や技術使用者の皆さんのアイディアを持ち寄って頂きたいと空軍研究所幹部がお願いするとインタビューで述べていましたが、そんな苦境解決を後押しすべく、同評議会も現場の声を拾った側面もあるのでしょう

今後厳しくなる一方の米国防予算枠の中で、この「Vanguard計画」のような構想の存続は、一つの厳しさのバロメータとなるのでしょう

Vanguard計画関連の記事
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-30
「決定米空軍研究所が重視する3分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26
「5か月経過もVanguard対象未定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-30

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オースチン国防長官が米軍態勢見直し開始を発表 [オースチン国防長官]

昨年1月以前に9月末までの予定でエスパー長官が開始済
在日米軍や在韓米軍の削減・分散も視野に入っていましたが

Posture Review.jpg4日、オースチン国防長官が声明を出し、米軍の全世界的な態勢見直し「global force posture review」を開始し、配置、配置戦力、戦略、任務等のレビューを行うと述べ、統合参謀本部議長と緊密に協議しながら政策担当国防次官が取りまとめると説明しました。ただし、いつまでに見直しを行うかについては言及していません

国防長官の声明文では、同日4日にバイデン大統領が、必要な時に戦う備えは欠かせないが、リスクがあってもまず外交の場で話し合いや協議を行う労を惜しむな、と政権内に指示したことを冒頭で引用し、最後にケネディー大統領の言葉「外交と国防は相反しない。互いに補い、強化しあう。どちらか一方だけでは失敗する」を引用して、態勢見直しにあたり同盟国等との協議を重視する姿勢を強調しています

Austin7.jpg具体的に声明では、「態勢見直しにあたっては同盟国やパートナー国と協議を行う。長官就任初日に述べたように、米国単独で任務は果たせない。世界中で米国は、大小さまざまな、長い古いに関わらず様々な同盟国等と肩を並べて立ち向かわねばならない。それらの国はそれぞれにユニークな能力や知見を有しており、それらとの関係は維持尊重するに値する」と丁寧に述べており、反面、相当にタフで衝撃度の大きい再編議論が予期される雰囲気を漂わせています

ただ冒頭でも示したように、この再編検討は前政権時から始まっています。その大きな狙いは対中国や対ロシアとの本格紛争対応であり、対中国でいえば、中国兵器の射程内に大規模な米軍戦力を放置しておくことはできないとの危機感が背景にあります。つまり、西太平洋地域においては、在日米軍や在韓米軍の削減、そして米本土や後方への分散配備の方向性を強く滲ませるものと考えるべきでしょう

本日は、そんな大きな流れを感じさせる国防長官や米軍関係者の発言を、昨年1月から時系列でご紹介しておきます

2020年1月13日:Milley統合参謀本部議長
Milley3.jpg・(アフリカにローテーション派遣されISRや空中給油や教育訓練等々のために派遣されている約1万人の米軍兵士を)削減して資源を米本土やアジア太平洋にシフトすることも考えられる
・エスパー国防長官は、何を変えるかについて何の意思決定もしていない」と述べ、「我々は国防長官にいくつかのオプションを準備しているのだ。同盟国等と協議しつつ、選択肢を検討しているのだ
解説報道→米国はこのようなアフリカでの米軍プレゼンスを今後2-3年で削減し、中国やロシア対処に振り向けたいと考えている)

同年1月23日:エスパー長官
・地域コマンド間の兵力再編(COCOM-by-COCOM review of U.S. force posture)を計画している。次年度予算期間となる2020年10月1日までにはレビューを完了したい

同年7月21日:エスパー長官
Esper RAND2.jpg・(WSJ紙が、統合参謀本部がホワイトハウスに対し、在韓米軍削減オプションを複数案提示したとの報道に関し、否定せず、)全ての地域戦闘コマンドの状況を見ているところであり、国家防衛戦略NDS遂行のため、最適化した配置を検討している。検討は米国により柔軟性を提供することを狙いとするもの
・最近米空軍爆撃機部隊が始めた、グアム島に駐留派遣する形式ではなく、米本土の基地から必要時に長距離直接派遣を情勢に応じ柔軟に行う「dynamic force employments」方式を、海軍艦艇や地上部隊にも適用するオプションも含まれる

同年7月21日:Davidson太平洋軍司令官
・米軍がF-35など新たな高性能装備を導入する過程で、北朝鮮と今夜から対峙することになっても勝利を収めることが可能な態勢が変化することはあり得る。地域戦闘コマンド司令官として、どのような態勢が任務達成のために必要なのかを見極めることは、司令官としての責務である。どの部隊を新たに導入し、どの部隊を米本国に戻すかをのガイダンスを、情勢に応じて示す必要があ

同年7月21日:Hoffman国防省報道官
・いくつかの地域戦闘コマンドは、より効率的な米軍全体の態勢を考える上で、変更の必要性や可能性がある伝統的な任務や行動を背負っている

同年7月29日:エスパー長官
Esper5.jpeg・(トランプ大統領が6月に発表した「ドイツが国防費を増加させないことへの制裁」としての駐留米軍削減について、)大統領の指示以前から検討していた世界的な米軍再編の一環だ。当初言われていた0.95万人規模より多い約1.2万人規模の削減を計画している
・(米欧州軍司令官と共に会見で)削減する1.2万人の約半数にあたる6400名は米本土へ帰還し、他はポーランドやイタリア、バルト三国や黒海周辺地域に移動してNATO戦力配置をより東に移動させる方向で、ドイツには依然として欧州最大の24000名が残る

同年8月末:エスパー長官
・国防長官として西太平洋のパラオ共和国を初訪問し、パラオとの間で米軍が使用可能な港湾、空港、基地施設に合意

同年9月23日:Berger海兵隊司令官
Berger.jpg(中国の脅威増大を背景に、)WW2や朝鮮戦争後に形成された現在の米海兵隊の西太平洋地域での配置は、今後10年を考える時、統合戦力にとって現在の体制は良い体制(not a great posture)ではない。見直しを行っている
・グアムにも一部を置かねばならない(We have to factor in Guam)。我々は太平洋地域全体に分散した態勢を取らねばならず、これにより地域の同盟国やパートナー国と協力し、中国のような国際規範を書き換えようとする国々を抑止しなければならない

(同発言を受けた各種軍事メディア報道)
→米海軍と海兵隊プレゼンスは、西太平洋で日本に大きく依存している。空母や駆逐艦を横須賀で、強襲揚陸艦は佐世保を拠点としている。海兵隊もIII Marine Expeditionary Forceの約1.8万人を沖縄においているが、専門家は、中国からのミサイルや爆撃機攻撃に対して脆弱な固定基地に戦力が集中していることに疑問を呈している。海兵隊は今後数年(in coming years)で、数千名の兵員と家族を沖縄からグアムに移すことを計画している
////////////////////////////////////////////////

ASB6.jpg独駐留米軍1.2万人の削減については、この態勢見直しが終わるまで凍結・・との方針が示され、欧州の変化がどうなるか見えませんが、大きな流れは本格紛争への備えと分散だと思います

エアシーバトル・コンセプトが公表された10年ほど前から、在日米軍や極東米軍の中国正面からの「転進」可能性について、軍事的合理性に沿ったものだと予想してきましたが、すぐ目の前に迫ってきたということでしょう

ASEANPlus.jpgこの態勢見直しについて日本のメディアが、日本との関係について全く触れていないのがとっても不思議です。関係ないどころが、在日米軍の見直しは本丸の一つだと思いますし、だからあえてバイデン大統領の「外交重視」「協議重視」声明とタイアップして打ち出されたのに・・・

中東でのイスラエルと複数アラブ諸国との国交樹立や、この米軍の態勢見直し開始に関する日本のメディアや論壇を見ると、大丈夫か???と思います

米軍再編関連の記事
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「ドイツ駐留米軍削減発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減案報道に長官は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「アジア太平洋で基地増設検討中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28 
「新統合作戦コンセプトを年末までに」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-18
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

在日米軍基地は有事には
「米空軍はアジアで米海兵隊と同じ方向へ!」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

中国軍事脅威の本質は
「脅威の変化を語らせて下さい」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「中国軍事脅威の本質を考えよう」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-12-30
「A Balanced Strategyを振り返る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-11-27

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民間衛星で商用電波を収集し安全保障に活用 [安全保障全般]

民間会社「HawkEye 360」の衛星を利用して
中国漁船や中国の怪しげな調査船、密猟者の動きも
商用情報なので同盟国等との共有も容易

HawkEye360.jpg26日付C4ISRnetは、米国のNGA(米地理空間情報庁:National Geospatial-Intelligence Agency)が民間会社「HawkEye 360」と協力し、商用に使用されている無線やレーダー電波情報を収集して、従来分析対象だった軍事電波衛星以外の、広範膨大な商用電波情報を分析に活用する試験プログラムを開始していると紹介しています

従来安全保障当局が分析に使用していたのは、細部不明ながら限られた範囲の電波情報です。一方で今回対象とするのは民間船舶が使用する通信や海上捜索レーダー、商用衛星通信や携帯電話電波で、衛星からの情報収集で位置特定や特異な動きの兆候を察知できるようです

HawkEye3602.jpg民間会社「HawkEye 360」のwebサイトでは、中国漁船の違法操業や中国調査船の動きを捉えることが出来るとか、密輸や不正行為につながる艦船動向の察知とか、アフリカの動物保護区での密猟者の動き特定とか、武漢でのコロナ騒動を河川海上交通の動きから分析できるとか・・・商用無線通信情報の収集が様々な可能性を秘めているとアピールし、民間分野への情報提供だけでなく、安全保障機関との緊密な連携も紹介しています

軍事衛星情報との差は明確になっていませんが、商用衛星による商用電波収集で得られた情報は、同盟国等との共有に制限がなく、ややこしい情報共有や情報管理の取り決め仕組みやハード整備の必要がないことが売りで、友好国との関係強化の強いカードとして米国は重視しているようです

日本でも(株)衛星ネットワークが「HawkEye 360」のサービス提供窓口になっているようで、分かりやすいwebページが開設されていますので、一度覗いていただいてみてはいかがでしょうか

26日付C4ISRnet記事によれば
hawkeye3606.jpgこのNGAの試験プログラムは、2019年にNRO(National Reconnaissance Office)とHawkEye 360社が結んだ契約に基づくもので、これで同社が集める商用衛星による商用通信や商用電波情報が入手できることになった。そして国家機関であるNROはこれら情報を、国防省の関係機関や他の情報機関に提供している

HawkEye 360は、3個の衛星で1セットを構成する最初の衛星セットを2018年に打ち上げ、今年1月にSpaceXのFalcon 9で追加の1セットを打ち上げているが、今年後半には更なる衛星追加打ち上げを予定している
衛星セットを増やすことにより、より多くの情報を収集できることは無論だが、同じ目標の情報収集に当たる時間間隔を短くできる点で大きな効果が期待できる

HawkEye3603.jpg現在は5時間おきに再観測可能な体制だが、間もなく2時間おきの観測が可能となり、年末には1時間おきの観測間隔が実現可能となる((株)衛星ネットワークのwebサイトでは、今年から12-35分間隔の情報収集が可能と記載されている。恐らく日本周辺のサービスレベルは高いかも
また同社は地上インフラへの投資も進め、衛星情報をより迅速に顧客へ届ける体制構築も進めている

HawkEye 360社のCEOであるJohn Serafini氏は、「NGAは膨大な商用通信電波にアクセスせず、独自衛星の非常に高度な非公開情報だけで分析を行ってきたが、商用データを使用した分析結果は、同盟国やパートナー国との情報共有を容易にする」とその意味を説明した
世界中の商用電波を分析して得られる発信源の位置情報や電波の変化情報から、識別装置をオフにして活動する船舶の動きを把握したり、戦場での通信電波状況把握で兵士たちに貢献するなど、様々な活用法が考えられてい

(株)衛星ネットワークのwebサイトによれば
測定可能出力は、未知信号で5W以上で、既知信号:1W以上

HawkEye3605.jpg提供情報は ①電波発信場所の特定
②電波特性解析による対象物(船舶等)の特定
③指定電波の電波密度を測定し、対象エリアの変化を観測

●想定利用例
AIS情報の正誤判定、AIS以外の電波信号による船舶検出
不審船の追跡
電波ヒートマップからの異常検出
GPS妨害電波発信源の特定
レーダー電波発信源の特定

対象物から発信される電波(VHF、UHF、L-band、X-band 等)を受信解析し、その対象物の位置を特定
特定周波数の電波(レーダー、衛星TT&C信号、GPSジャミング信号 等)の電波密度を測定し電波ヒートマップを作成。その発信源の特定や電波パターンの変化による異常事態の発生を検知
/////////////////////////////////////////////////////////////

HawkEye 360社のwebサイト
https://www.he360.com/

(株)衛星ネットワークのwebサイト関連ページ
https://www.snet.co.jp/planet/hawkeye360/

HawkEye3604.jpg(株)衛星ネットワークwebサイトには、小型ミカン箱程度の衛星概要や、電波密度ヒートマップなどなど、様々な情報を掲載しています。日本でこの情報を誰を対象に売るのか興味深いですが、自衛隊や海上保安庁や・・・でしょうか?

衛星技術の進歩や衛星打ち上げの商用化推進によってこのようなビジネスが成立するようになって来たのかと思いますが、国の予算も投入して、上手く活用して頂きたいものです

電波関連さまざま
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-22
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「ファーウェイ5G使用は米国との関係に障害」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-17
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27
「GPSが30日間停止したら」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-18
「5G試験のため民間に演習場提供案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14

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国防副長官候補の女性が政策方針を語る [米国防省高官]

議会承認に何の問題もないと評判の元政策担当次官
国防省業務移行チーム長だったKathleen Hicks女史
出勤初日から「即戦力」の呼び声高く

Hicks5.jpg2日、国防副長官候補のKathleen Hicks元政策担当国防次官が、議会承認を得るため上院軍事委員会ヒアリングに臨み、3時間以上に渡り重鎮議員からの広範な質問に対応しましが、予想されていたように極めてスムーズな対応で、「光速で承認されるだろう」「出勤第1日目から即戦力」とメディアは予想しています

Kathleen Hicks女史は、1996年から2006年の間に最初のペンタゴン勤務を経験し、その後2009年までCSISで国防関係研究に従事し、2009年から戦略計画担当国防次官、2021年から政策担当国防次官を務めました。2013年に退任後も複数の米議会評議会のメンバーを務めつつ、同時にCSISの研究員として活躍し、直近ではバイデン政権の国防省業務移行チーム長を務めていた実力派です

Hicks.jpg国防副長官に就任が認められれば、女性として初めて正式な国防副長官(Christine Fox女史が2013-14年に臨時副長官)が誕生しますし、実務面で国防省を引っ張ると言われる人物ですので、議会での発言からDefense-Newsが注目した発言をご紹介しておきます

2日付Defense-News記事によればHicks女史は上院で
厳しい予算配分や運用について
Hicks4.jpg--- 良くて現状維持と言われる予算状況の中、部隊装備や規模拡大が望めないと米軍内が沈滞することを防止するため、統合戦力発揮に資することを大前提に、士官の昇任枠などインセンティブには配慮し、部隊の活力を維持したい
--- また4軍への予算配分については、既得権益にとらわれず、良いアイディアを出した軍種予算を守る方針で臨みたい。また米空軍予算内ながら、実質は他政府機関に流れる部分については、空軍の主張にも耳を傾けて対応したい

米海軍の艦艇建造計画
--- トランプ政権時代にまとめられた艦艇建造計画については、大きな方向性は間違いないし、自立性自動化の導入加速、戦力の分散運用追求、現在より小型の水上艦艇指向などについては同意する
--- 一方で、艦艇建造数については、その算定根拠や見積もり手法の精査が必要と考えている。米海軍指導部の体制を早期に固め、バイデン政権のプランをまとめる

同盟国への国防費増額要求
Hicks3.jpg--- (トランプ大統領がNATOや韓国や日本に対し、国防支出を増やすように強硬に求めた件に関し、)米国は常に負担の共有を訴え、同盟国にはそのコミットメントを果たすよう求めてきたが、大きな同盟の戦略的価値を戦術的な問題が上回ることはあり得る(tactical issue that overrides the strategic value of the alliances)し、非戦略的なこともあり得
--- 同盟国に求めるコミットメントの意味を戦略的に考えるべきだ。時には支出を通じてであろうし、国防支出を通じてだろう。しかし時にはそれが他の手段であることも考えられる。コミットメントについて戦略的に考える必要がある

レイセンオン社関連案件にオースチン国防長官が関与不可
--- 国防長官就任以前にレイセオン社の役員であったオースチン国防長官は、国防長官として同社関連の案件には一切関与できないことから、国防省にとっての大きな案件である核兵器近代化事業の次期ICBMのGBSD計画やLRSO(核搭載巡航ミサイル)計画は、他のミサイル防衛システム関連事業と合わせ、副長官が一切を取り仕切ることになる。(提出書面でこの任をHicks女史が負うと説明している)

核兵器の近代化事業について
Hicks2.jpg--- 核兵器の近代化全般には賛成だが、個々の事業についての姿勢を示さなかったオースチン長官と同様に、全ての核兵器近代化プログラムを支持するとまでは言及しなかった。特に前述のGBSDやLRSOに対して民主党内や非拡散推進派から強い反対論があることを踏まえた姿勢とみられる
--- 核抑止の3本柱は良く機能しており、安定に寄与しているが、(バイデン政権が出すと言われている)「核兵器先制不使用」宣言は、高いレベルでの判断である。また核兵器の近代化等は「予算」からではなく、戦略に基づき決定されるべき
--- バイデン政権下で新たにNPR(核体制見直し)を国防省が行う。本件に関し専門家は、低出力核弾頭導入を求めたトランプ政権時のNPRとは、幾つかの点で異なった方向性を示すと見ている

政権移行作業の遅れと2022年度予算
--- (大統領選挙結果をトランプ前大統領がなかなか受け入れなかったことで、一部の前政権関係者が業務引継ぎ作業を妨げたと言われている件に関し、)一部の者が政権移行業務を難しくした。その結果として2022年度予算案の提出が遅れる可能性がある
--- 前政権が作業した2022年度案に初めて目を通したのが1月末だった。この遅れにより春には議会に提出するはずの予算編成作業が、通常より遅れる可能性があることに関し、米議会皆様にはご理解いただきたい
//////////////////////////////////////////////////////

Hicks6.jpgレイセオン関連の案件を全てHicks女史が仕切ることになる影響の大きさを改めて認識しました。ミサイルや誘導兵器のほとんどにレイセオンは関係しているしょうから、国防長官が参加する会議の仕分けだけでも大変そうです

日本では全く見かけない雰囲気の、とても聡明そうな方ですので期待いたしましょう。きれいな方ですね!

米海軍の関連記事
「米国防長官が米海軍体制検討のさわりを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-18-1
「21年初に本格無人システム演習を太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10-1 
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇推進案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10

GBSD関連の記事
バイデン政権関係者やシンクタンクのICBMミニットマンⅢの延命措置提言に、米戦略軍司令官が真っ向反論
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-07

同盟国に国防支出増を強行要求
「日本などにも2%要求」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-19
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「基地勤務の韓国人5千名レイオフ開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-01

昨年の大統領選挙直後の予想記事
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09
オースチン国防長官のご紹介記事
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-23

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Lord次官:最後はF-35稼働率の状況説明 [亡国のF-35]

複数ある任務の一つでも可能な機体は69%
全ての任務が可能な機体は39%
ご紹介が遅くなってしまいましたが・・・ 

Lord2.jpg1月19日、20日正午に退任したEllen Lord調達担当国防次官が最後の記者会見を行い、F-35の稼働率改善状況について説明しました。

F-35の稼働率については以前から何回かご紹介してきましたが、この会見の模様を報じるDefense-News記事もコメントしているように、その発表事項の統計の範囲や数値の定義が「安全保障上の非公開事項」にあたるとして明確でないため、あまり突っ込んで議論もできないのですが、大まかな傾向としてご紹介しておきます

Mattis.jpgちなみに米軍は、当時のMattis国防長官から主要な戦闘機(F-22、F-35、F-16、FA-18)の稼働率80%を達成せよと指示されましたが、結局クリアーすることができず、Mattis長官退任後に、「単純な稼働率80%目標は、部隊任務達成度合いに比例しない」と理由をつけ、従来からの部隊ごと機種ごとの目標設定に回帰しています

そんな中で、Lord次官がF-35の稼働率について最後の会見で説明したのかよくわかりませんが、米軍が抱える調達や維持整備の問題の典型として、また史上最大の装備品調達であるF-35の状況に触れる責任を感じたのかもしれません

20日付Defense-News記事によれば
F-35 3-type.jpg19日、記者団に対しLord次官は、F-35は引き続き稼働率目標達成のために努力を続けているが、目標としている80%には到達していないと説明した
具体的に同次官は、「多数ある任務の一つでも可能:can meet at least one of its assigned missions」な機体の割合は現状で69%で、目標の80%に達していないと述べ、「全ての任務が遂行可能な機体:fully mission capable aircraft」の割合は36%で、目標50%に向け努力していると説明した

これら稼働率が改善されない主な理由として同次官は、キャノピーの表面剥離やF135エンジン関連問題があると語った
同次官は細部には言及しなかったが、キャノピーについては以前から表面のコーティング剥離が課題となっており、2019年に国防省F-35準備室報道官が製造メーカー「GKN Aerospace」と改善協議を行っていると説明していたところである

ただ、国防省としては、種々の問題を抱えつつも、F-35の稼働率は改善していると説明を続けており、例えば

●2020年7月の下院委員会でLord次官は
F-35稼働率は、2020年1月には60%であったが、同年6月には70%に上昇した。また全ての任務が可能な機体比率は、同期間で40%から50%に上昇したと説明し

●2019年11月の下院委員会でLord次官は
戦闘任務にあたる飛行部隊での稼働率は、2018年10月の55%から、2019年9月の73%に上昇した・・・等と説明してきている

F-35B.jpg一方で、この「稼働率」がどのような統計数値を基に算出されているのかは、「作戦運用上の非公開事項」であるとして不明確な部分も多く、公表数値がF-35の中でも初期に納入されて教育部隊で主に使用されている稼働率の低い機体を含めた数値である場合や、「作戦用部隊:combat-coded squadrons」の数値である場合がまちまちで、単純な比較が難しいケースもある
会計検査院GAOレポートでも、2018年度はF-35の3タイプ全てで稼働率が向上したと記載されているものの、細部データが記載されていないケースがある

また、2020年11月の会計検査院GAOレポートでは以下のような説明があるが、年度ごとの稼働率の細部は公開されず、毎月継続的に上昇しているのか、凸凹がかなりあるが上昇しているのか等の傾向は読み取れない
--- 2012年から2019年の間で、F-35Aが国防省が定めた目標稼働率を達成したのは2年のみ
--- 2013年から2019年の間で、F-35Bが同様の目標達成は1年のみ、F-35Cは2年のみ
--- 目標稼働率を達成できなかった主要な原因は、修理に必要な部品不足である。サプライチェーンが前線部隊が必要とする部品をタイムリーに提供できないのだが、加えて、部品が想定していたよりも頻繁に壊れ、また米軍内の補修能力が故障に十分対応できない点も低い稼働率の要因である
//////////////////////////////////////////////////

F-35 Gilmore.jpg軍隊とすれば、重要装備品の稼働率は隠したい数値ですので致し方ないのですが、開発と部隊導入を同時に進めた結果、様々なバージョンが部隊で混在し、維持整備に困難を抱えているF-35の状態を垣間見るためにご紹介いたしました

最近F-35関連報道は減少傾向ですが、米空軍F-35の保有機数は昨年夏時点で機種別第3位(1位F-16が938機、2位A-10が281機、3位F-35Aは241機)で、今年春にはA-10を抜いて第2位になる見込みです。開発途中のF-35ですが、早くも維持整備問題が大きな課題の「亡国のF-35」です

航空自衛隊のF-35部隊の状況は不明ですが、苦労されていないことを願います

主要戦闘機の稼働率問題など
「8割目標を放棄」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-08
「海軍FA-18は何とか達成?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-25
「米空軍はF-16のみ達成可能」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-06
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11

「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3

最近のF-35関連記事
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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電波高度計への5G干渉問題:まず影響確認実地試験を [米国防省高官]

政府は12月からの電波オークションで既に巨額の応札を
後戻り困難と判断し、国防省は影響局限策追求か

Burke 5G.jpg21日付Defense-Newsは、米連邦通信委員会FCCが昨年12月から開始した「5G」企業への「Cバンド:3.7–3.98 GHz」の電波オークションについて、5G通信企業がCバンドを使用することで民間航空機や軍用機の電波高度計に干渉が起きて飛行安全上の問題となる恐れが指摘されている中でも、国防省はFCCのオークションを中止させるのではなく、まず影響の確認と対策検討に集中する姿勢だと報じています

この件に関しては、オークション対象の周波数帯に近い「4.2〜4.4 GHz」帯を長年使用する電波高度計に狂いが生じる恐れがあると、民間航空関係団体で構成するRTCAが昨年10月の報告書で指摘したにもかかわらず、「5G」企業への「Cバンド:3.7–3.98 GHz」売却オークションをFCCが強行したことで大問題となり、米国防省も12月21日にFAAや国土安全保障省や電波高度計メーカーを読んで検討会を開くなど対応を協議していたところでした

Ligado7.jpg一方で12月8日開始の電波オークションには、5G進出を狙う通信企業が殺到し、1月15日現在で既に電波オークション史上最高の8兆円以上の応募があり、これをひっくり返すのは事実上困難な状況に立ち立っているようです

民間航空会社や連邦航空局FAAは昨年10月に干渉の恐れをレポートにまとめていますが、軍用機への影響については「試験環境が整っていない」等の理由で整理されておらず、FCCに反論するにも明確な根拠がないのが国防省の現状でもあり、慎重な姿勢のようです

ただ、米軍から「GPS干渉の恐れがある」と大反対されながらも、5G企業への衛星通信用電波売却を強行したFCC(まだ揉めてます)ですが、政権交代と共に委員長も交代することになり、各方面から相当な反発を受けているようでもあり、今後の動向が注目されますので、状況をご紹介しておきます

21日付Defense-News記事によれば
Burke1.jpg7日のインタビューで国防省の航空サイバー特別チーム(interagency Aviation Cyber Initiative Task Force)のリーダーであるAlan Burke氏は、国防省はFCCのCバンドオークションを中止させる方向ではなく、全米の都市を中心に今後構成される5Gネットワーク網が、軍用機の電波高度計に与える影響をまず確認し、その影響を局限する策を検討することにまず焦点を当てると語った
具体的には「大都市圏への5G展開を遅延させるべきではなく、航空業界が(電波高度計の)保護対策を強化するまでの間の影響局限策や技術開発を急ぐべきだ」と表現した

トランプ政権下で進められた5G普及計画下で進められたオークションでは、「Cバンド:3.7–3.98 GHz」の5000以上のライセンスが対象とされ、オークションの第一段階で既に史上最高額となる8兆円以上の応札となっている
一方で退任するFCC委員長Ajit Pai氏は声明を出し、「FCCは本オークションに関し、多くの技術的、法的、政治的問題に直面している」、「計画を遅らせることは容易だが、我々はあるべき方向に前進を続け、全ての障害を克服する。その結果として米国は5G分野での指導的立場を確保し、5Gの恩恵を米国が迅速に享受できるようになる」との意思を示している

Ligado5.jpg12月21日に国防省が主催し、国土安全保障省やFAAや高度計企業Honeywell(RTCAレポートにも参加)を交えて行われた検討会では、軍用機への影響について更なる実地試験の必要性が指摘されており、国防省のBurke検討チーム長は、喫緊の問題は実地試験に必要な試験場を確保することだと語っている
また同チーム長は「FCCとの交渉力を確保するために、我々の主張を裏付ける実地試験でのデータが欠かせない」と訴え、「省庁間や関係機関の間の協力体制を構築するべく協議を行っていおる」と説明した

軍用機の中でも、輸送機や空中給油機が計器飛行着陸で電波高度計への依存度が高く、5G通信の影響を受ける恐れがあるが、軍用の電波高度計はある程度の電波干渉防御機能を備えており、その能力発揮の程度に関心が集まっている
仮に防御機能にもかかわらず5G干渉が避けられない場合には、空港周辺に離着陸に影響を与えない「5G信号排除ゾーン」を設けて航空機の安全を確保する案などを並行して国防省は検討している模様

FCC 5G.jpgまた高度計の改修案としては、使用する「4.2〜4.4 GHz」帯以外を電波フィルターで排除する案があるが、政府関係者からは、それにより高度計の誤差が大きくなる恐れも指摘されている
国防省では、将来的には5G通信ネットワークが都市周辺で構築されることを前提とした、新たな工業規格(new industrial standards)を国として定め、5G環境の干渉に強い高度計を普及させる方向が望ましいとの意見も出ている
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5G関連では、サイバー安全保障上の懸念がある中国企業の排除進める一方で、技術面や価格面で遅れている西側及び米国企業の5G開発を促進して「穴埋め」をする必要に西側諸国は迫られており、西側企業を応援することに西側各国政府は必死です

FCC 5G3.jpgトランプ政権下のFCCは、この流れで強硬に電波の優先使用を5G企業に与えるべく動いたと想像されますが、バイデン政権の新しいFCC委員長がどのようなかじ取りをするのかに注目です

FCCの「干渉が生ずるとの根拠はない。既得権の乱用だ」主張と、FAAや民間航空会社の「干渉の恐れがある」主張のどちらに分があるのか、技術的な知識やデータを把握していないのでコメントが難しいのですが、世界中で出そうな問題でもありますのでご紹介いたしました

5Gと電波高度計環境問題
「5G企業へのCバンド売却で電波高度計に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-22

5GのGPS信号への干渉問題
「炎上中:5G企業へのGPS近傍電波使用許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14
「5G企業に国防省大反対の周波数使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-11
「米議会でも国防省使用の周波数議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-05
「ファーウェイ5G使用は米国との関係に障害」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-17
「軍事レーダーの干渉確認」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-05
「5G企業とGPS関係者がLバンド電波巡り激突中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-2
「戦略コマンドが5Gとの電波争奪に懸念」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-27

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