米陸軍がマイクロ波無人機対処兵器を本格試験へ [Joint・統合参謀本部]
国防省JCOが絞り込んだ防御兵器を本格確認へ
無人機・砲弾・迫撃砲・ロケット弾対処IFPCの一貫
製造Epirus社がマイクロ波制御技術の成熟に自信
11月1日、高出力マイクロ波(HPM:high-power microwave)を利用したEpirus社製の小型無人機の群れ対処兵器が、初期段階の受入テストを通過し、契約を結ぶ米陸軍に納入されたと同社が発表しました。
ウクライナで大きな注目を集め、イスラエルーハマス戦争でも地上部隊の大きな脅威となっている無人機への防御策は喫緊の課題ですが、無人機対処と言っても海外の最前線展開拠点から一般社会と共存する国内基地まで運用環境は様々で、スタートアップを含めた多数の企業が参入して多様な手法(ハードキルからソフトキルまで)を提案している「玉石混交」状態です。
これら「玉石混交」提案の能力評価や運用法確立は米軍各軍種がバラバラでは非効率なため、米国防省JCO(Joint Counter small UAS office:陸軍が中核で主導)が設置され、2021年頃から「副次的被害小な兵器」「安価で携帯可能な兵器」「高出力マイクロ波兵器」の3分野に分けて候補機種を評価試験し、並行して米軍共通の「運用ドクトリンや運用&訓練手法」基準の検討や、「指揮統制システムや既存システムとの連携」検討にも取り組んできたところです
もちろん各軍種もJCOと連携を図りつつ、JCO検討と並行して各軍種の運用要求を反映した対処技術検討と選定を進めており、米空軍は同じマイクロ波使用でもLeido社と協力し装備名「Mjolnir」とのTHOR(Tactical High-power Operational Responder)開発を進めており、2024年本格デモ機完成に向け2023年4月に「史上最大の試験」を実施したと米空軍研究所AFRLが発表しているところです
本日ご紹介している米陸軍は、無人機だけでなく砲弾・迫撃砲・ロケット弾対処も含めた大きなIFPC(Indirect Fire Protection Capability)構想の一環で無人機対処用高出力マイクロ波兵器開発にも取り組んでおり、国防省JCOの評価試験結果も踏まえて2022年12月にEpirus社と契約してマイクロ波装備の出来栄えを確認しているところです(なお別のハードキル手法兵器として12台のIFPC発射機(Dynetics社製)を受領して2024年に作戦試験開始)
製品納入に際しEpirus社は、「納入した高出力マイクロ波兵器は、無人機やその群れ対処に際し、周辺の脅威環境に応じた、精密かつ安全な電磁波制御を可能としたもの」、「初期の製品Leonidasをベースとした同兵器は、ネバダ試験場での様々な負荷を課せられた多様なシナリオ下の初期試験を突破し、信頼性と能力を実証した」、「今後より本格的な評価試験や作戦環境試験に臨むが、その結果を兵器の更なる成熟や戦術技術手順検討に生かす所存である」とコメントしています
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Epirus社の技術には大手軍需産業である「Northrop Grumman」や「General Dynamics」も投資をしている模様で、今回陸軍に提供された製品への期待も高まっているようです。電磁波兵器は対象に対する即効性があり、電力さえあれば連続して継続対処が可能な点で大きな可能性を秘めており、米空軍がLeido社と進める「THOR」とともに今後も注目して行きたいと思います
レーザー兵器のように、「いつまでたっても完成まであと5年・・・」と揶揄されることが無いよう祈っております
米国防省JCO(Joint Counter small UAS office)関連
「3回目:高出力マイクロ波使用」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「米国防省が小型無人機対処戦略」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
米空軍のマイクロ波兵器THOR
「群れ対処試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/05/26/4663/
「装備名Mjölnirで24年にプロトタイプ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「M波で小型無人機の群れ無効化」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/
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無人機・砲弾・迫撃砲・ロケット弾対処IFPCの一貫
製造Epirus社がマイクロ波制御技術の成熟に自信

ウクライナで大きな注目を集め、イスラエルーハマス戦争でも地上部隊の大きな脅威となっている無人機への防御策は喫緊の課題ですが、無人機対処と言っても海外の最前線展開拠点から一般社会と共存する国内基地まで運用環境は様々で、スタートアップを含めた多数の企業が参入して多様な手法(ハードキルからソフトキルまで)を提案している「玉石混交」状態です。

もちろん各軍種もJCOと連携を図りつつ、JCO検討と並行して各軍種の運用要求を反映した対処技術検討と選定を進めており、米空軍は同じマイクロ波使用でもLeido社と協力し装備名「Mjolnir」とのTHOR(Tactical High-power Operational Responder)開発を進めており、2024年本格デモ機完成に向け2023年4月に「史上最大の試験」を実施したと米空軍研究所AFRLが発表しているところです

製品納入に際しEpirus社は、「納入した高出力マイクロ波兵器は、無人機やその群れ対処に際し、周辺の脅威環境に応じた、精密かつ安全な電磁波制御を可能としたもの」、「初期の製品Leonidasをベースとした同兵器は、ネバダ試験場での様々な負荷を課せられた多様なシナリオ下の初期試験を突破し、信頼性と能力を実証した」、「今後より本格的な評価試験や作戦環境試験に臨むが、その結果を兵器の更なる成熟や戦術技術手順検討に生かす所存である」とコメントしています
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レーザー兵器のように、「いつまでたっても完成まであと5年・・・」と揶揄されることが無いよう祈っております
米国防省JCO(Joint Counter small UAS office)関連
「3回目:高出力マイクロ波使用」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「米国防省が小型無人機対処戦略」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
米空軍のマイクロ波兵器THOR
「群れ対処試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2023/05/26/4663/
「装備名Mjölnirで24年にプロトタイプ」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「M波で小型無人機の群れ無効化」→https://holylandtokyo.com/2021/07/06/1942/
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Microgridでホスト国から海外基地をエネルギー独立に [米国防省高官]
国防省の担当特別補佐官中佐が論文
再生可能エネルギーや蓄電や管制施設完備で
米陸軍は2035年目標に全基地に基盤整備目指す
10月31日付米空軍協会web記事が、米国防省のNathan Olsen担当特別補佐官(中佐:開発研究次官の配下)による秋号「Air & Space Operations Review」誌への投稿論文「Microgrid」を取り上げ、米軍の海外駐留基地がホスト国の電力供給に依存している現状に危機感を訴え、海外基地がホスト国に依存しない独自の再生可能エネルギー発電装置やミニ原発、蓄電能力や制御装置を備えた「Microgrid」を早急に整備すべきだと訴えています
軍事基地にとっての電力の重要性は言わずもがなですが、ウクライナでのロシアによる電力施設集中攻撃による社会危機や、ハリケーンなど自然災害で電力会社からの電力供給が停止して基地機能が停止した米本土基地事例が最近増加しており、多くの米軍基地が保有する1週間程度の化石燃料使用の現状の自家発電能力では、本格紛争は戦い抜けないとの危機感を同中佐は訴えています
米軍の海外基地がホスト国から「電力面で独立」するためにOlsen中佐が主張している「Microgrid」整備とは、海外基地の地理的な特性に応じた再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)やコンテナサイズの「ミニ原発」を蓄電装置とセットで整備し、
それら多様な発電源を基地ニーズに応じて最適制御する管制装置でコントロール可能な仕組みの確立を意味しており簡単ではありませんが、「脅威の最前線」にありながらほとんど自衛隊基地に関して議論されていない分野ですので、注意喚起の意味を込めご紹介させていただきます
同中佐が紹介の具体的事例の一部
●再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)については、「気候変動対処戦略」に沿って、各軍種や各基地で少しづつ取り組みが始まっているが、期待の高いコンテナ1台で基地一戸全ての電力を提供可能な「ミニ原発」は技術進歩も著しく、2027年にはアラスカのEielson空軍基地で先行試行使用が開始される計画
●同中佐の基準で既に「Microgrid」が導入されているのは、(中国脅威最前線の)米空軍横田基地、(ハリケーンで大打撃を受けた)フロリダ州のTyndall空軍基地、そして様々な代替電力の組み合わせで3週間の運用可能な体制を構築している海兵隊Miramar航空基地(映画トップガンの舞台@加州)のみで、より積極的な投資が国防省や米議会には期待される
●米軍の中では陸軍が最も積極的で、ミサイル防衛装備やロケット開発発射試験場に活用されている南太平洋マーシャル諸島の「Kwajalein Island」で、太陽光発電や他の発電設備による「Microgrid」運用を行っているほか、陸軍全体で2035年までに「Microgrid」を全基地に導入完了し、2040年までに再生可能エネルギー発電と蓄電設備で主要な任務活動をすべて賄える態勢整備完了する目標を掲げている
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Olsen論文掲載の「Air & Space Operations Review」秋号
→https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-3/ASOR_Volume_2_Number_3..pdf
再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)は、不安定、量的に不十分、特定地域でのみ可能な発電手段で、基地レベルの電力安定確保には「ミニ原発」しか方法はないように思いますが、精密誘導兵器大拡散の現状で普及が難しいのが現状です。ではありますが・・・まずは防衛省・自衛隊でも議論を立ち上げて頂きたいと思います
Olsen中佐が取り上げた米空軍横田基地の「Microgrid」はどの程度のレベルのものでしょうか? 論文のいい加減な斜め読みでは「Yokota」「Tyndall」「Miramar」の名前を発見できず、ご紹介できないのですが、空自の横田基地勤務の皆様でご存じの方にご教授いただければ幸いです
ミニ原発や気候変動の記事
「空輸可能ミニ原発を契約」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「国防省の気候変動対策」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
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再生可能エネルギーや蓄電や管制施設完備で
米陸軍は2035年目標に全基地に基盤整備目指す

軍事基地にとっての電力の重要性は言わずもがなですが、ウクライナでのロシアによる電力施設集中攻撃による社会危機や、ハリケーンなど自然災害で電力会社からの電力供給が停止して基地機能が停止した米本土基地事例が最近増加しており、多くの米軍基地が保有する1週間程度の化石燃料使用の現状の自家発電能力では、本格紛争は戦い抜けないとの危機感を同中佐は訴えています

それら多様な発電源を基地ニーズに応じて最適制御する管制装置でコントロール可能な仕組みの確立を意味しており簡単ではありませんが、「脅威の最前線」にありながらほとんど自衛隊基地に関して議論されていない分野ですので、注意喚起の意味を込めご紹介させていただきます
同中佐が紹介の具体的事例の一部

●同中佐の基準で既に「Microgrid」が導入されているのは、(中国脅威最前線の)米空軍横田基地、(ハリケーンで大打撃を受けた)フロリダ州のTyndall空軍基地、そして様々な代替電力の組み合わせで3週間の運用可能な体制を構築している海兵隊Miramar航空基地(映画トップガンの舞台@加州)のみで、より積極的な投資が国防省や米議会には期待される

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Olsen論文掲載の「Air & Space Operations Review」秋号
→https://www.airuniversity.af.edu/Portals/10/ASOR/Journals/Volume-2_Number-3/ASOR_Volume_2_Number_3..pdf
再生可能エネルギー発電(太陽光、風力、バイオマス、地熱発電)は、不安定、量的に不十分、特定地域でのみ可能な発電手段で、基地レベルの電力安定確保には「ミニ原発」しか方法はないように思いますが、精密誘導兵器大拡散の現状で普及が難しいのが現状です。ではありますが・・・まずは防衛省・自衛隊でも議論を立ち上げて頂きたいと思います

ミニ原発や気候変動の記事
「空輸可能ミニ原発を契約」→https://holylandtokyo.com/2022/06/20/3344/
「航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「国防省の気候変動対策」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
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米空軍戦闘機が初めて民間機から空中給油受ける [米空軍]
「あくまで訓練への移動給油用」に民間給油機使用
空軍保有の空中給油機は実作戦で主に使用で住み分け
年初にE-3とRC-135に空軍として民間給油機初使用
米空軍が11月9日、シンガポール空軍との共同演習(Commando Sling 23)のため、所属する韓国Osan基地からシンガポールへ移動する米空軍F-16戦闘機が、米空軍戦闘機として初めて民間空中給油会社のKDC-10給油機から11月6日に空中給油を受けたと発表し、空中給油中の写真を公開しました。
また同時に米空軍は、2023年年初の空軍戦闘コマンドACC演習の中で、E-3早期警戒管制機とRC-135電磁波情報収集機に対して、米空軍として初めて民間空中給油会社による空中給油を行ったと明らかにしました。
シンガポールへ移動する米空軍F-16に空中給油を行ったのは、バージニア州に拠点を置く「Omega Air Refueling社」との企業保有のKDC-10で、同社は既に2004年から給油事業を開始しており、米海軍とは2009年に契約締結済で、ネット上ではFA-18・E-2D・X-47(デモ開発された幻の空母艦載ステルス無人攻撃機)やオスプレイに給油する写真が確認できます
また「Omega社」は、米軍機以外にも豪州空軍やNATO諸国の軍用機に空中給油サービス実績のある企業だそうです。なおKDC-10との名称から推定すると、民航機DC-10を改良した給油機で、米空軍がまもなく退役させるKC-10と似た機体とその形状からも考えられます。
民間給油機による米空軍戦闘機への給油実施について太平洋空軍司令部のCurtis Holtman空輸任務担当中佐は、民間空中給油機で演習参加や訓練のために移動する空軍作戦機に空中給油することで、「空軍保有の空中給油機を、緊急事態対処など実際の作戦運用に投入したり、有事対処用に即応態勢待機につけるとの作戦コンセプトの実証(proof of concept)のため実施した」、「保有戦力の即応態勢を向上させる仕組みづくりの一貫である」と説明しています
なお同中佐は、シンガポール空軍との「Commando Sling 23」演習間に、米空軍F-15CとF-22にも民間給油機からの空中給油を計画していると明らかにしています。
また同中佐は、「Omega Air Refueling社」保有のKDC-10について、最大約25万ポンドの燃料を給油用に搭載でき、輸送機としても40名の乗客とパレット4個分の貨物を搭載可能で、最大搭載重量は10万ポンドだと(アピール)紹介しています
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以下の2019年12月の過去記事でご紹介しているように、同様から米空軍は同様の運用コンセプトで民間空中給油機の利用を検討しており、候補となる企業も「Omega社」以外に複数存在し、機首選定でKC-46のライバル機であったA330ベースの給油機を使用する企業も有料候補だったと報じられていたところです
不思議なのは、既に他軍種や同盟国への実績十分な空中給油企業が複数存在しながら、2023年に入るまで米空軍が民間給油機を使用しなかった点ですが、その辺りについてはまんぐーすは把握しておりません。KC-26の不具合対処がボーイングと米空軍間で揉めていた時期であり、コロナ感染期間でもあったことから、様々な大人の事情が重なったのが原因かもしれません。中国脅威を背景に、今後も民間会社利用を進めたい意向が、同中佐の発言に滲んでいますが。。。
2019年当時の検討状況
KC-46に機種選定で敗れたA330改修給油機活用も検討
多くの企業が空中給油サービスを提供中とか
「米空軍が空中給油民間委託を検討」→https://holylandtokyo.com/2019/12/16/2844/
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空軍保有の空中給油機は実作戦で主に使用で住み分け
年初にE-3とRC-135に空軍として民間給油機初使用

また同時に米空軍は、2023年年初の空軍戦闘コマンドACC演習の中で、E-3早期警戒管制機とRC-135電磁波情報収集機に対して、米空軍として初めて民間空中給油会社による空中給油を行ったと明らかにしました。

また「Omega社」は、米軍機以外にも豪州空軍やNATO諸国の軍用機に空中給油サービス実績のある企業だそうです。なおKDC-10との名称から推定すると、民航機DC-10を改良した給油機で、米空軍がまもなく退役させるKC-10と似た機体とその形状からも考えられます。


また同中佐は、「Omega Air Refueling社」保有のKDC-10について、最大約25万ポンドの燃料を給油用に搭載でき、輸送機としても40名の乗客とパレット4個分の貨物を搭載可能で、最大搭載重量は10万ポンドだと(アピール)紹介しています
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以下の2019年12月の過去記事でご紹介しているように、同様から米空軍は同様の運用コンセプトで民間空中給油機の利用を検討しており、候補となる企業も「Omega社」以外に複数存在し、機首選定でKC-46のライバル機であったA330ベースの給油機を使用する企業も有料候補だったと報じられていたところです

2019年当時の検討状況
KC-46に機種選定で敗れたA330改修給油機活用も検討
多くの企業が空中給油サービスを提供中とか
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米陸軍の極超音速兵器テスト&配備は来年に持ち越し [Joint・統合参謀本部]
2023年予定の最終テスト2回がいずれも直前中止
米陸軍は2021年に受け入れ部隊編成し準備進めてきたが
11月8日、米陸軍のDoug Bush開発&調達担当次官補が記者会見で、2023年3月に続き、本年10月末に計画していた陸海軍共同開発の極超音速兵器C-HGB(Common Hypersonic Glide Body)発射試験が、テスト直前の機材チェック段階での不具合発覚で2回連続中止となっており、懸命に原因探求を行っているが、2023年中に再試験を実施して当初計画に沿って同兵器を部隊配備することは「highly unlikely:極めて難しい」と明らかにしました
陸海軍共同開発の極超音速兵器C-HGBは、陸軍が両軍共用の「hypersonic glide body」を担当し、海軍が「two-stage hypersonic missile booster」開発を担う形で、国防省による積極的な仲介もあり3年前くらいから開発が加速し、2020年初めにハワイでの試験に成功、2021年後半にはmissile booster試験に失敗したものの、2022年6月に仕切り直し試験で成功していたところです
米陸軍は比較的順調な開発状況を踏まえ、2021年5月にワシントン州の米陸軍第1軍団(5th Battalion, 3rd Field Artillery Regiment, 17th Field Artillery Brigade unit)に極超音速兵器(LRHW:Long-Range Hypersonic Weapon:通称「Dark Eagle」)の受け入れ部隊を編成し、実ミサイルを除く地上管制装置や発射機や輸送トラック等を2022年9月末に配備完了、2023年運用開始に向け、本格的な部隊運用細部手順検討を開始していました
そして2023年1月、米陸軍の迅速能力造成室長(Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)Robert Rasch中将が、予定している米陸軍部隊への2023年「末」極超音速兵器の配備前に、時期は非公表ながら陸海軍共同での同兵器のフル装備試験を2023年中に2回実施すると語っていたところでした(なお当初計画では、2023年9月末までに部隊配備完了でした)
今年に入って2回連続の試験中止の原因は一切公表されておらず、8日に会見したBush担当次官補は「関係者が全力で原因究明に取り組んでおり、もう少しで解明できると思う」、「陸軍はLRHW(Long-Range Hypersonic Weapon)に引き続き関与し、配備を完了する。そのタイミングが少し遅れるだけだ」とのみ語っています
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下の過去記事にあるように、極超音速兵器は中露が米国に先んじて開発&配備を行っており、米国防省は米議会からの厳しい指摘を受け最優先開発案件として同兵器開発に取り組んでいますが、ウクライナでロシア製同兵器が飛翔速度が落ちる目標到達直前の段階でウクライナ軍に迎撃される事例が相次ぎ、研究者からは同兵器の費用対効果について疑問呈する意見も出始めています
また陸海軍とは別に、航空機からの発射型を開発する米空軍も同兵器開発に苦労しており、4月には大型爆撃機搭載型ARRWの開発試験不調を受け、Kendall空軍長官がARRWタイプの装備化断念を表明し、戦闘機クラスから発射のHACM型に絞り込むことになっています
空軍長官はまた、「米国を遠ざけたい中国と、中国抑止用に同兵器を考えている米国とでは、同兵器の位置づけは異なり、中国と同様に米国が追求する必要は必ずしもない」「同兵器は近い将来価格が低下する見通しはなく、少なくとも初期型の同兵器は固定目標に適している面もあり、保有してもsmall小規模になろう」とも語っており、同兵器の特徴や用途等も踏まえ、日本も関与しそうな迎撃兵器も含め、慎重に見守る必要があると思います
米軍の極超音速兵器開発
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「Zumwaltへの極超音速兵器契約」→https://holylandtokyo.com/2023/02/22/4313/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「3回連続ARRW試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
「高価な兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「潜水艦へは2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
迎撃兵器システム開発関連
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
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米陸軍は2021年に受け入れ部隊編成し準備進めてきたが


米陸軍は比較的順調な開発状況を踏まえ、2021年5月にワシントン州の米陸軍第1軍団(5th Battalion, 3rd Field Artillery Regiment, 17th Field Artillery Brigade unit)に極超音速兵器(LRHW:Long-Range Hypersonic Weapon:通称「Dark Eagle」)の受け入れ部隊を編成し、実ミサイルを除く地上管制装置や発射機や輸送トラック等を2022年9月末に配備完了、2023年運用開始に向け、本格的な部隊運用細部手順検討を開始していました


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また陸海軍とは別に、航空機からの発射型を開発する米空軍も同兵器開発に苦労しており、4月には大型爆撃機搭載型ARRWの開発試験不調を受け、Kendall空軍長官がARRWタイプの装備化断念を表明し、戦闘機クラスから発射のHACM型に絞り込むことになっています

米軍の極超音速兵器開発
「ウで次々撃墜:同兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「Zumwaltへの極超音速兵器契約」→https://holylandtokyo.com/2023/02/22/4313/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「3回連続ARRW試験に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/12/16/4061/
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「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
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迎撃兵器システム開発関連
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米海軍が世界各地で空母2隻集結Show Of Force [Joint・統合参謀本部]
地中海とフィリピン東方海上で同盟国艦艇と
比東方では今年2回目で「いずも級」護衛艦と共に
11月4日から8日にかけ、米海軍空母Ronald Reagan(横須賀が母港)とサンディエゴから駆け付けた空母Carl Vinsonに、海上自衛隊の空母のような形状の「ヘリコプター搭載護衛艦 ひゅうが」が合流し、フィリピン東方約800㎞付近の海上で大型甲板を持つ艦艇による共同訓練「Multi-Large Deck Event」が実施され、複数の軍事メディアが同行取材を行いました
フィリピン周辺での同種の訓練は6月に続いて今年2回目とのことで、6月時には空母Ronald Reaganのほかに、空母ニミッツと海自の空母形状「ヘリコプター搭載護衛艦 いずも」が参加する形で中国ににらみを利かせた訓練を行っています
米空母を2隻集めて「迅速に大規模戦力を特定地域に集結させる能力」を誇示する同様の海軍演習は、10月最終週にも東地中海で空母Gerald R. Fordと空母Dwight D. Eisenhowerが実施し、イスラエルーハマス戦争を受けた地域情勢不安定化への抑止効果を狙った動きを見せていたところです
11月のフィリピン海(Philippine Sea)での演習に内容について空母カールビンソン艦長は、「防空、海上海中監視、防御航空作戦、艦隊連携機動などの訓練を参加艦艇と航空機で実施している」と乗艦記者団に説明し、
Ronald Reagan空母戦闘軍司令官のCarlos Sardiello少将は、「いかに迅速に危機発生地域に展開し、他の友軍や同盟国戦力と協力して作戦行動を遂行可能かを示す狙いを持って演習を行っている」と述べ、サンディエゴから急遽出港(報道情報10月12日出発)して中国正面に展開した空母Carl Vinsonの行動や海上自衛隊との緊密な関係をアピールしています
なお米海軍の招待で本演習を乗艦取材したメディア関係者は、沖縄の嘉手納米空軍基地からフィリピン東方の米空母の間の往復移動を、CMV-22B OspreyとC-2A艦載輸送機を使用して行ったとのことです
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米軍の5つの軍種(陸海空海兵隊&宇宙軍)で、史上初めて女性が軍人トップに就任(11月2日)した米海軍の活動を久々にご紹介しました。
グダグダの装備品開発(フォード級空母、LCS、コロンビア級戦略原潜等々)、艦艇や潜水艦修理の遅延と工廠の能力低下、止まらない艦艇の衝突事故や火災事故、港湾業者絡みの収賄事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄され続けている米海軍への「風向き」が変わることを期待しつつ・・・
女性初の米軍種トップLisa Franchetti海軍大将のご経歴
→https://www.navy.mil/Leadership/Flag-Officer-Biographies/BioDisplay/Article/3148210/admiral-lisa-franchetti/
米海軍軍人トップ人事関連
「女性大将が米海軍トップに就任へ!」→https://holylandtokyo.com/2023/07/24/4888/
「またゴタゴタ?米海軍トップ人事」→https://holylandtokyo.com/2023/06/13/4747/
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
比東方では今年2回目で「いずも級」護衛艦と共に

フィリピン周辺での同種の訓練は6月に続いて今年2回目とのことで、6月時には空母Ronald Reaganのほかに、空母ニミッツと海自の空母形状「ヘリコプター搭載護衛艦 いずも」が参加する形で中国ににらみを利かせた訓練を行っています

11月のフィリピン海(Philippine Sea)での演習に内容について空母カールビンソン艦長は、「防空、海上海中監視、防御航空作戦、艦隊連携機動などの訓練を参加艦艇と航空機で実施している」と乗艦記者団に説明し、

なお米海軍の招待で本演習を乗艦取材したメディア関係者は、沖縄の嘉手納米空軍基地からフィリピン東方の米空母の間の往復移動を、CMV-22B OspreyとC-2A艦載輸送機を使用して行ったとのことです
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グダグダの装備品開発(フォード級空母、LCS、コロンビア級戦略原潜等々)、艦艇や潜水艦修理の遅延と工廠の能力低下、止まらない艦艇の衝突事故や火災事故、港湾業者絡みの収賄事件等々で「何をやってもダメな米海軍」と揶揄され続けている米海軍への「風向き」が変わることを期待しつつ・・・
女性初の米軍種トップLisa Franchetti海軍大将のご経歴
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初飛行に成功!B-21ステルス爆撃機が90分間も [米空軍]
11月10日金曜日の早朝夜明け直後に
朝日の中を飛ぶ美しい映像や写真と共にご紹介!
11月10日金曜日の早朝7時頃、日の出直後の静寂を破り、米空軍が約35年ぶりに開発中の大型ステルス爆撃機B-21が、カリフォルニア州のNorthrop Grumman社Palmdale工場内の米空軍施設を離陸し、F-16戦闘機のエスコート(チェイス)を受けつつ、同じ加州の新規開発装備品テストの「メッカ」であるEdwards空軍基地までの約90分間の初飛行を行いました
Palmdale工場とEdwards空軍基地の直線距離からすると、10分間程度の飛行で十分到達できるはずですが、一般の「航空交通ウォッチャー」運営のツイッター「Thenewarea51」が掲載の航跡図によると、飛行場への離着陸パターンを何回も繰り返したようなレーストラック航跡のほか、周辺空域を何回も旋回する様子が捉えられており、「単に離陸して浮き上がった」だけに留まらず、既にテスト飛行科目をいくつかこなしているように見受けられます
Palmdale工場離陸直後、高度500 feetでF-16がチェイス中
https://twitter.com/i/status/1722993343485866184
「RAIDR02」がB-21と推定されます
Edwards空軍基地で「touch and go」まで試験したかも!?
https://twitter.com/i/status/1723051680030134444
民間人ウォッチャーSNS投稿を受け米空軍報道官は、
●B-21によるテスト飛行を実施した。B-21は無事着陸している
●この飛行テストは、米空軍試験センターと第412試験航空団内のB-21連合試験組織(Combined Test Force)により運営されており、米国や同盟国等への侵略や戦略的攻撃を抑止するために必要な、生存性を確保しつつ長距離飛行で敵防空網を突破可能な攻撃能力を獲得するための、一連の試験の極めて重要な第一歩である
(米空軍からは、公式な初飛行画像や映像の提供は無し)
Northrop Grumman社報道官は声明で、
●米空軍が確認発表したように、B-21爆撃機は試験飛行段階に入った。厳格に管理された飛行試験は、我が社と米空軍要員で構成されたB-21 Combined Test Forceにより実施され、今後デジタル設計技術の有効性を検証し、初期運用態勢IOC確立に向けた更なるステップに進むことになる
初飛行を報じる各種報道によれば
●2015年にNG社と米空軍が契約し、2016年に「B-21 Raider」との正式名称が決定された同爆撃機は、最初の部隊がサウスダコタ州のEllsworth空軍基地に編制されることになっている
●また同爆撃機の維持整備については、オクラホマ州のTinker空軍基地が担うことも明らかにされており、当初計画時からの「2020年代半ばに運用開始」に向けた各種試験や運用手順確立準備が今後行われる
●B-21は、昨年2022年12月に機体の初披露(限定角度からのお披露目)が行われ、2023年7月にpower on試験(機体に電源を投入しての試験)、9月には地上試験の一環としてengine runs(エンジン稼働試験)を開始、そして10月25日に地上滑走試験を開始したと発表があったばかり。
●2023年3月にKendall空軍長官が「2023年内に初飛行を行う」と語っていたが、米空軍報道官はあくまで「試験の進捗状況により決定する」との姿勢で、初飛行時期については一切言及していなかった
●(機種選定時の2015年頃の要求値では、1機が$550 million(700億円)以内であったが、)現在の物価状況を加味すると、 1機が$700 million(1000億円)と見積もられている
●初飛行をとらえた民間人撮影映像からは、機体左側後方のエンジン排気部分上方から、長いケーブルが伸びている様子が確認できる。また離陸直後であるためか、高度500フィートでF-16のチェイスを受けつつ、車輪を出したまま飛行している
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一般的な米国人思考からすれば、「クリスマス休暇前に一山超えて、ゆったり気分で休みに入りたい」だったでしょうが、あっさりと「初飛行」を90分間も実施してしまいました。
「順調すぎて心配になる」典型的な血液型A型のまんぐーすですが、数少ない明るい話題を週明けにお届けできてうれしいです!!!
B-21関連記事
「Taxi Tests開始」→https://holylandtokyo.com/2023/10/30/5180/
「エンジン稼働試験開始&屋外写真」→https://holylandtokyo.com/2023/09/15/5041/
「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
「豪州も購入検討した」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「B-21導入で米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点で:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
「12月2日に初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/10/24/3796/
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Palmdale工場離陸直後、高度500 feetでF-16がチェイス中
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「RAIDR02」がB-21と推定されます
Edwards空軍基地で「touch and go」まで試験したかも!?
https://twitter.com/i/status/1723051680030134444
民間人ウォッチャーSNS投稿を受け米空軍報道官は、

●この飛行テストは、米空軍試験センターと第412試験航空団内のB-21連合試験組織(Combined Test Force)により運営されており、米国や同盟国等への侵略や戦略的攻撃を抑止するために必要な、生存性を確保しつつ長距離飛行で敵防空網を突破可能な攻撃能力を獲得するための、一連の試験の極めて重要な第一歩である
(米空軍からは、公式な初飛行画像や映像の提供は無し)
Northrop Grumman社報道官は声明で、

初飛行を報じる各種報道によれば

●また同爆撃機の維持整備については、オクラホマ州のTinker空軍基地が担うことも明らかにされており、当初計画時からの「2020年代半ばに運用開始」に向けた各種試験や運用手順確立準備が今後行われる

●2023年3月にKendall空軍長官が「2023年内に初飛行を行う」と語っていたが、米空軍報道官はあくまで「試験の進捗状況により決定する」との姿勢で、初飛行時期については一切言及していなかった

●初飛行をとらえた民間人撮影映像からは、機体左側後方のエンジン排気部分上方から、長いケーブルが伸びている様子が確認できる。また離陸直後であるためか、高度500フィートでF-16のチェイスを受けつつ、車輪を出したまま飛行している
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「順調すぎて心配になる」典型的な血液型A型のまんぐーすですが、数少ない明るい話題を週明けにお届けできてうれしいです!!!
B-21関連記事
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「最近power on試験実施」→https://holylandtokyo.com/2023/08/03/4911/
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「B-21導入で米空軍爆撃機部隊の今後」→https://holylandtokyo.com/2022/12/23/4050/
「初披露のメディア扱い」→https://holylandtokyo.com/2022/12/14/4027/
「映像:B-21初披露式典」→https://holylandtokyo.com/2022/12/05/4015/
「10の視点で:NG社事前リリース」→https://holylandtokyo.com/2022/12/01/4004/
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「死の天使」AC-130から105㎜砲取り外し検討 [米空軍]
約30機保有のAC-130のシンボルが除去検討対象に
本格紛争でのAC-130運用を米空軍が再検討中
小型巡航ミサイルやAESAレーダー搭載等を視野に
11月7日付Defense-Newsが、匿名の空軍関係者など複数からの聞き取りを基に、米空軍特殊作戦軍(AFSOC)所属でベトナム戦争以降の不正規戦や対テロ戦で大活躍してきた約30機保有の地上攻撃機AC-130J(Ghostrider)から、同機のシンボル的存在である105㎜砲(105mm cannon)を取り除き、強固な敵防空網が予期される本格紛争対応を念頭に、小型巡航ミサイルやAESAレーダーやネットワーク機器等を搭載する検討が行われている様子を伝えています
公式には、米空軍は予算化して2025年までAC-130の「在り方」検討中で、105㎜砲の除去や機体改修は全く予算化されていないことから、早くても機体改修は2026年以降にしか実現しない状況ですが、匿名の空軍特殊作戦軍関係者はDefense-Newsの取材に「(105㎜砲除去は)ほとんど決定事項。既成事実として除去後の部内検討が行われている」と述べており、約30機全機が対象になるのかも含め不明ですが、同機が大きな転換点にあるのは間違いなさそうです
11月7日付Defense-News記事によれば
●ベトナム戦争から実戦投入され、最近ではイラクやアフガニスタンでの対テロ戦争で大活躍し、今でもシリアで不可欠な戦力となっているAC-130Jは、味方が航空優勢を確保した敵拠点上空に約3-4時間連続在空し、30㎜機関砲と105㎜砲の2つの主力兵器のほか、対戦車ミサイルや対地精密誘導兵器(AGM-176 Griffin, AGM-114 Hellfire, GBU-39 Small Diameter Bomb、GBU-69 Small Glide Munition)で地上部隊の活動を援護する近接航空支援任務に従事してきた
●米国が2022年NDSで対中国を中心とした大規模紛争対処に焦点を当てる中でも、引き続き中東やアフリカ地域において、AC-130Jの活躍の場はなくならないだろうと考える者も多い
●AC-130JはAC-130シリーズの4代目で、37機保有していた旧型AC-130(H型 Spectre, U型 Spooky、W型 Stinger II)の後継機として2016年から導入開始されたが、予算や空軍の戦い方の変化を受け、2022年に30機で調達を終了することが決定された。ただし、新型の105㎜砲開発と導入が、17機を対象として2022年1月に完了したばかりでもある
●匿名の関係者の話を総合すると、105㎜砲を除去した後に搭載を検討されているのは、弾種不明ながら敵脅威の少ない遠方から発射可能な小型巡航ミサイルと、敵地上部隊の動向を把握可能なAESAレーダー、更に今後の統合戦力として不可欠なネットワーク通信機器等も模様である
●ただし、AC-130は主力兵器の30㎜機関砲や105㎜砲を機体左側のみに配置し、左旋回を継続しながら敵地上戦力を連続監視して運用する特殊なバランスの機体構造となっており、重く、大きな容積を占める105㎜砲を除去すれば、機体の重心や強度バランスの根本的見直し改修が必要となることから、1機約230億円の機体の扱いは単純には決められない課題となっている
●過去には「レーザー兵器」搭載が検討され、2016年当時の特殊作戦軍司令官が「搭載試験用の特別クルーや機体を準備し、試験機材の受け入れ準備は万全だ」、「2020年には搭載完了し試験的な実戦投入も」とまで発言していたが、機体の振動でレーダービームの生成が困難で、十分な出力確保も容易でないことから、米空軍として航空機搭載レーザー兵器開発全体が「引き続き検討中」ながら、実質的には停止しているのが現実
AC-130Jの紹介YouTube映像(約14分半)
/////////////////////////////////////////////
米空軍は本検討を、特殊作戦軍司令官だったJim Slife空軍作戦部長を中心に進めていますが、Slife中将は次期空軍副参謀総長として議会承認待ちの状態で、引き続き本検討を空軍の真ん中から采配していく事になります。
AC-130という特殊作戦機の話ですが、米空軍が直面している「将来の戦いをどう見積もり、どう空軍を変化させていくのか」に直結する課題の一つとしてご紹介しておきます。なおAC-130Jについては、約14分の少し長いですが分かり易い動画を添付しております。ご興味がある方はご覧ください
AC-130関連の記事
「AC-130用レーザー兵器が大きく遅延中」→https://holylandtokyo.com/2021/10/21/2332/
「20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
「映像交えAC-130を紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
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本格紛争でのAC-130運用を米空軍が再検討中
小型巡航ミサイルやAESAレーダー搭載等を視野に

公式には、米空軍は予算化して2025年までAC-130の「在り方」検討中で、105㎜砲の除去や機体改修は全く予算化されていないことから、早くても機体改修は2026年以降にしか実現しない状況ですが、匿名の空軍特殊作戦軍関係者はDefense-Newsの取材に「(105㎜砲除去は)ほとんど決定事項。既成事実として除去後の部内検討が行われている」と述べており、約30機全機が対象になるのかも含め不明ですが、同機が大きな転換点にあるのは間違いなさそうです
11月7日付Defense-News記事によれば

●米国が2022年NDSで対中国を中心とした大規模紛争対処に焦点を当てる中でも、引き続き中東やアフリカ地域において、AC-130Jの活躍の場はなくならないだろうと考える者も多い

●匿名の関係者の話を総合すると、105㎜砲を除去した後に搭載を検討されているのは、弾種不明ながら敵脅威の少ない遠方から発射可能な小型巡航ミサイルと、敵地上部隊の動向を把握可能なAESAレーダー、更に今後の統合戦力として不可欠なネットワーク通信機器等も模様である

●過去には「レーザー兵器」搭載が検討され、2016年当時の特殊作戦軍司令官が「搭載試験用の特別クルーや機体を準備し、試験機材の受け入れ準備は万全だ」、「2020年には搭載完了し試験的な実戦投入も」とまで発言していたが、機体の振動でレーダービームの生成が困難で、十分な出力確保も容易でないことから、米空軍として航空機搭載レーザー兵器開発全体が「引き続き検討中」ながら、実質的には停止しているのが現実
AC-130Jの紹介YouTube映像(約14分半)
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米空軍は本検討を、特殊作戦軍司令官だったJim Slife空軍作戦部長を中心に進めていますが、Slife中将は次期空軍副参謀総長として議会承認待ちの状態で、引き続き本検討を空軍の真ん中から采配していく事になります。

AC-130関連の記事
「AC-130用レーザー兵器が大きく遅延中」→https://holylandtokyo.com/2021/10/21/2332/
「20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
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新たな米空軍トップが要望「既存方針&計画をやり通せ」 [米空軍]
過去3代の空軍参謀総長が練った指針や方針の実現目指す
「Follow Through:やりぬけ、行動に移せ」が合言葉
歴代トップの下で方針作成の実務家が具現化に挑む
11月6日、2日に3か月半待たされてやっと第23代米空軍参謀総長就任の議会承認を得たDavid W. Allvin空軍大将(前副参謀総長)が、全ての米空軍勤務者に宛てた2ページのメッセージを発出し、過去3代の参謀総長が様々な検討や議論を経て定めた「21世紀の米空軍」を実現するための方針や指針やコンセプトを、「Follow Through:やりぬけ、行動に移せ、具現化せよ」との言葉を繰り返し用いて「実現」することを要望しました
メッセージの中でAllvin新参謀総長は、脅威環境の変化や世界の技術革新が米軍に求める変化を「Speed, tempo, range, agility, flexibility, precise lethality, and resilience」だと端的に表現し、もちろん「将来の不確かさambiguity」はあるものの、変化要素は本質的に米空軍の得意分野であり、過去数年で米空軍が練ってきた方向性に沿って「Follow Through」し、現状から「Move Out:変化&前進」することが重要で、立ち止まって検討する時ではないと訴えています
そしてこの「Follow Through」こそが、2022年NDSが掲げた中国を中心とする本格的脅威や露イランNK等々の不安定要因に対応し、またイスラエル―ハマス戦争で顕在化した「地域紛争が様々な世界のアクターを巻き込んで大きな不安定要因となる」現実への対応力や抑止力を高める最善の道であると米空軍に向け訴えています
具体的に7つの「Follow Through」分野を揚げ、
●空軍兵士や文民職員やその家族が望む相応しい変化を成し遂げ、彼らの忠誠や犠牲に値するものを提供する変革
●「Operational Imperatives:任務遂行上不可欠な作戦能力要素」を実践可能な行動能力として実現獲得するため、各部隊が団結し、深い思慮の踏まえて効率的に取り組み
●「Air Force Future Operating Concept:空軍将来作戦コンセプト」が意図する戦力投射を実現するため、前線展開部隊が迅速に有効な戦力発揮できるよう、各部隊が部隊間連携を含め、示された作戦行動パラダイムに適応
●現時点で未受領の将来装備や予期される新たな獲得能力や技能を織り込み、適切な部隊編成や規模等を適切に設計し実現
●大国との本格紛争に最適化した組織部隊編成の導入。各種能力の「融合」が求められる。部隊指揮官によっては訓練、即応態勢維持、作戦遂行が焦点になり、支援能力や維持整備が焦点になる指揮官もあろうが、全員が紛争や抑止のため、訓練面、装備面、即応態勢面全てで配慮することを重視
●各兵士等のパフォーマンス最大化を目指した訓練面での変革。新技術導入による革新の効果を確認してきた一方で、兵士個々人の経験や技量や特性に応じた学習機会や、迅速かつ効率的なスキル付与手法にも着目
●米空軍兵士が潜在的に持っている必ずしも明らかになっていない能力やスキルを、米空軍が抱える課題と結び付け解決に導く。空軍構成員が秘めている輝く部分を米空軍全体で活用可能な「エコシステム」の確立
---全般を通じ「Follow Through」実現のため、空軍内の規律や規範を維持しつつ、組織内のバリアを取り除き、組織の上下だけでなく横断的かつ全方向の連携で、組織の持つ潜在能力を最大発揮させたい
//////////////////////////////////////////////
抽象的な表現や形容詞が頻出する官僚組織文書ですが、ご覧の皆様には「行間を読んで」Allvin新米空軍参謀総長の課題をお察し頂けば・・・と存じます。
特に「人材の確保や兵士個々の能力アップ」に関する事項が多く挙げられており、兵士の離職率が高まり、新戦力募集が厳しい中で、兵士や家族の勤務環境を整えるとともに、各兵士個々人の能力アップに向けた教育訓練の充実重視が目立っているように感じました
まんぐーすの注目点は以下です
●対中国の西太平洋で活躍の場がない(足の短い)F-35の調達予定機数をどのタイミングで削減するか
●高額(1機1000億円?)な次期制空機NGADと無人ウイングマンCCAをどのように取り込むのか
●主に対中国作戦念頭のACE構想具現化の限界(輸送力や展開場所確保)にどう対処するか
●B-21導入や次期ICBM(GBSD)やABMS開発導入のかじ取り
〇(米空軍に限らず米国防省全体として、)中国経済崩壊で中国軍まで崩壊した場合の「将来脅威」をどう設定するか
Allvin新米空軍参謀総長の関連
「やっと議会承認」→https://holylandtokyo.com/2023/11/06/5205/
「Allvin大将をご紹介」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
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「Follow Through:やりぬけ、行動に移せ」が合言葉
歴代トップの下で方針作成の実務家が具現化に挑む


そしてこの「Follow Through」こそが、2022年NDSが掲げた中国を中心とする本格的脅威や露イランNK等々の不安定要因に対応し、またイスラエル―ハマス戦争で顕在化した「地域紛争が様々な世界のアクターを巻き込んで大きな不安定要因となる」現実への対応力や抑止力を高める最善の道であると米空軍に向け訴えています
具体的に7つの「Follow Through」分野を揚げ、

●「Operational Imperatives:任務遂行上不可欠な作戦能力要素」を実践可能な行動能力として実現獲得するため、各部隊が団結し、深い思慮の踏まえて効率的に取り組み
●「Air Force Future Operating Concept:空軍将来作戦コンセプト」が意図する戦力投射を実現するため、前線展開部隊が迅速に有効な戦力発揮できるよう、各部隊が部隊間連携を含め、示された作戦行動パラダイムに適応
●現時点で未受領の将来装備や予期される新たな獲得能力や技能を織り込み、適切な部隊編成や規模等を適切に設計し実現

●各兵士等のパフォーマンス最大化を目指した訓練面での変革。新技術導入による革新の効果を確認してきた一方で、兵士個々人の経験や技量や特性に応じた学習機会や、迅速かつ効率的なスキル付与手法にも着目

---全般を通じ「Follow Through」実現のため、空軍内の規律や規範を維持しつつ、組織内のバリアを取り除き、組織の上下だけでなく横断的かつ全方向の連携で、組織の持つ潜在能力を最大発揮させたい
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抽象的な表現や形容詞が頻出する官僚組織文書ですが、ご覧の皆様には「行間を読んで」Allvin新米空軍参謀総長の課題をお察し頂けば・・・と存じます。

まんぐーすの注目点は以下です
●対中国の西太平洋で活躍の場がない(足の短い)F-35の調達予定機数をどのタイミングで削減するか
●高額(1機1000億円?)な次期制空機NGADと無人ウイングマンCCAをどのように取り込むのか
●主に対中国作戦念頭のACE構想具現化の限界(輸送力や展開場所確保)にどう対処するか
●B-21導入や次期ICBM(GBSD)やABMS開発導入のかじ取り
〇(米空軍に限らず米国防省全体として、)中国経済崩壊で中国軍まで崩壊した場合の「将来脅威」をどう設定するか
Allvin新米空軍参謀総長の関連
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あと6年で無人ウイングマンCCAを実用化する試験準備 [米空軍]
単体新装備の試験でなく連携能力を試験するため
試験人員の養成からスタートと語る
運用可能なのか目途が立っているのか?
10月16日付米空軍協会web記事が、Kendall空軍長官が2030年までに(2020年代後半に)運用開始し、1000機から2000機の導入を想定と語っている無人ウイングマン機CCA(Collaborative Combat Aircraft)の性能確認や作戦運用試験を担当する「米空軍テストセンター」長の少将や担当部隊指揮官大佐にインタビューし、前例のない試験に臨む準備について紹介しています
CCAは、2024年度予算案の説明で空軍司令部作戦部長や計画部長が、3つの任務「shooters」「electronic warfare platforms」「sensor-carrying aircraft」遂行を期待する一方で、手頃な価格での迅速な導入を最優先にする観点から、米空軍側が要求性能を出し企業に提案させる流れとは異なり、手頃な価格範囲で企業側に何が出来ると問いかけて進める等、異例の方針を打ち出し「完成時期をどんどん前倒し中」のプロジェクトです。
その背景には、対中国作戦を「煮詰めれば煮詰めるほど」、既存の航空アセットだけでは多量の敵目標に対処しきれず、また中国に強固に防御された空域での戦いで味方有人機に多くの損害が出るリスク認識が、今ごろになって急速に高まっている現実があるとまんぐーすは理解していますが、
CCAに関する最も大きな問題は、中国最前線にCCA発進基地を確保し展開させ、敵の基地攻撃を逃れて無事離陸させ、更に航続距離を確保(空中給油?)して任務を遂行させることが可能なのか?、有人機の展開拠点や維持整備体制確保も危うい中で、多量のCCAを作戦投入可能なのか?・・・にあるとまんぐーすはネチネチと申し上げてきた次第です。
本課題については更に、2022年7月にWigston英空軍参謀総長が「(CCAより遥かに小型の)無人機の群れ研究に手ごたえを感じている」と発表した際に、正直に「依然として、無人機の群れを攻撃対象となる敵防空網内に運搬&投入する能力開発は、現在も継続中」と認めており、小型無人機でも前線投入が困難な現実と併せ、再度ご紹介させていただきます。
「英空軍参謀総長:無人機の群れ前線投入が課題」
→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/
そんな中ではありますが、今日の本題戻って、CCA受領後の米空軍試験担当である「米空軍テストセンター」幹部へのインタビュー記事から概要をご紹介します
●CCA受領後にどのような試験が求められるか、その試験はそのような組織編制で行うべきかについて検討を重ねているが、CCA受領後の試験には、前例のない様々な技術者や多方面の運用者の連携融合が求められることは間違いない。例えば、無人機運用を知る者、AIや自立化技術活用の専門家、またCCAが連携する戦闘機や作戦機運用の専門家との連携が不可欠だが、その融合が試験成功のカギとなる
●また試験を行う試験空域の運用法、各種制限、手順等も改めて見直しが必要で、CCA運用試験に関連する様々な部署と連携しつつ、同機体試験の具体的計画を検討している
●CCAに進む前段階として複数のプロジェクトが基礎研究として行われてきたが、各研究参加者はCCA試験の重要な人材であり、例えばSkyborg計画でXQ-58 Valkyrie開発に携わった関係者には、データベースインフラ構築面や戦闘機や作戦機部隊との連携試験での貢献を期待している
●またF-16改修無人機X-62Aを使用した空中戦闘機動や自立化無人機の戦術開発プロジェクト「VISTA:X-62A Variable In-flight Simulation Test Aircraft」関係者には、CCAの高度な自立運用能力試験への貢献を期待している
●更に、有人機と無人機のチーム運用検討に6機程度のF-16を活用して取り組んできた「VENOM project」(Viper Experimentation and Next-gen Operations Model)関係者には、センサーを活用した自立型航空機の更なる発展や、複数の航空機が関与する場面での試験状況確認面での貢献を期待している
●CCAは指揮統制改革面で、米空軍のABMSや統合レベルのJADC2におけるノード的な役割も期待されており、その方面での実戦的な環境での試験にも取り組む予定である
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記事の前半でも触れましたが、CCAを対中国作戦が行われる西太平洋地域の何処に展開し、どのように維持整備し、どのように作戦地域に投入するのか・・・との最もベーシックな疑問への回答が示されない限り、CCAが納入されても、性能確認や作戦運用確認試験の基礎計画さえ立案困難だと思うのですが・・・
16日付米空軍協会web記事は有能な「John A. Tirpak」編集長の筆によるものですが、有能な米軍事メディアの皆様には、是非この点を米空軍幹部に問いかけて頂きたいと思います。
無人ウイングマン機CCA関連
「AIアルゴリズム集大成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「関連技術を23年から本格開発へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
2024-25年に安価で小型の無人システムを海空中心に大量導入
Replicator構想を国防副長官がぶち上げも・・・
「同構想を慎重に補足説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
「同構想を発表」→https://holylandtokyo.com/2023/08/31/4997/
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試験人員の養成からスタートと語る
運用可能なのか目途が立っているのか?

CCAは、2024年度予算案の説明で空軍司令部作戦部長や計画部長が、3つの任務「shooters」「electronic warfare platforms」「sensor-carrying aircraft」遂行を期待する一方で、手頃な価格での迅速な導入を最優先にする観点から、米空軍側が要求性能を出し企業に提案させる流れとは異なり、手頃な価格範囲で企業側に何が出来ると問いかけて進める等、異例の方針を打ち出し「完成時期をどんどん前倒し中」のプロジェクトです。

CCAに関する最も大きな問題は、中国最前線にCCA発進基地を確保し展開させ、敵の基地攻撃を逃れて無事離陸させ、更に航続距離を確保(空中給油?)して任務を遂行させることが可能なのか?、有人機の展開拠点や維持整備体制確保も危うい中で、多量のCCAを作戦投入可能なのか?・・・にあるとまんぐーすはネチネチと申し上げてきた次第です。

「英空軍参謀総長:無人機の群れ前線投入が課題」
→https://holylandtokyo.com/2022/07/28/3474/
そんな中ではありますが、今日の本題戻って、CCA受領後の米空軍試験担当である「米空軍テストセンター」幹部へのインタビュー記事から概要をご紹介します

●また試験を行う試験空域の運用法、各種制限、手順等も改めて見直しが必要で、CCA運用試験に関連する様々な部署と連携しつつ、同機体試験の具体的計画を検討している

●またF-16改修無人機X-62Aを使用した空中戦闘機動や自立化無人機の戦術開発プロジェクト「VISTA:X-62A Variable In-flight Simulation Test Aircraft」関係者には、CCAの高度な自立運用能力試験への貢献を期待している

●CCAは指揮統制改革面で、米空軍のABMSや統合レベルのJADC2におけるノード的な役割も期待されており、その方面での実戦的な環境での試験にも取り組む予定である
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16日付米空軍協会web記事は有能な「John A. Tirpak」編集長の筆によるものですが、有能な米軍事メディアの皆様には、是非この点を米空軍幹部に問いかけて頂きたいと思います。
無人ウイングマン機CCA関連
「AIアルゴリズム集大成試験」→https://holylandtokyo.com/2023/08/08/4922/
「2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「長官:NGAD 200機、CCA 1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
「関連技術を23年から本格開発へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
2024-25年に安価で小型の無人システムを海空中心に大量導入
Replicator構想を国防副長官がぶち上げも・・・
「同構想を慎重に補足説明」→https://holylandtokyo.com/2023/09/08/5016/
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米空軍横田基地部隊が緊急退避や被害対処訓練 [米空軍]
緊急離陸、誘導路離着陸、MQ-9移動支援
滑走路被害復旧、患者空輸、大量負傷者対処など
空自戦闘機の豪へのローテーション派遣検討の中
10月27日付米空軍協会web記事は、米空軍横田基地所属のC-130輸送機部隊(第374空輸航空団)が10月16日から実施した2024年度(10月から米国は次年度)最初の敵攻撃による被害対処演習「Beverly Morning 24-1」の様子を伝え、緊急離陸、不整地離着陸、MQ-9移動支援、滑走路被害復旧、患者空輸、大量負傷者対処など中国や北朝鮮からの攻撃を想定した取り組みを紹介しています
以前、沖縄の米空軍嘉手納基地での戦闘機等の緊急避難訓練や、米軍兵士家族を含めた沖縄緊急脱出の様子をお伝えしたことはありましたが、日本本土の東京近郊の米軍部隊が、本格的に敵攻撃を想定した緊急退避や被害普及や大量負傷者対処訓練を行っているが紹介されるのは、まんぐーすが知る限りでは初めてだと思いますので、日本国民や自衛隊関係者への注意喚起の意味を込めご紹介いたします
10月27日付米空軍協会web記事によれば
●「Beverly Morning」演習は、「敵からの圧力下でも、戦術航空輸送任務が遂行可能な様に準備するための演習である」(Andrew Roddan同輸送航空団司令官)
●演習で実施された主要な訓練
・緊急空中退避「Launch to Survive concept」の原則や手順確認訓練:
敵からのミサイル攻撃警報が出たことを想定し、航空戦力を保全するため、事前に基地近傍所在を指示された兵士を中心として、部隊アセットや貴重品を基地外へ退避させる訓練。普段から緊急空中退避を想定して執っている準備態勢の検証も兼ね訓練
・・飛行場被害復旧
敵攻撃による被害を修復して飛行場機能を継続維持する訓練
・通常滑走路でない「Foxtrot taxiway」使用の離発着訓練
ACE構想の訓練も念頭に、通常滑走路被害時や施設不十分な飛行場展開を想定し、距離が短く、幅が狭く、標識表示灯が不十分な誘導路を使用した離発着訓練
・緊急患者空輸や大量被害者発生時対処訓練
・海自鹿屋基地拠点の米空軍MQ-9部隊の展開支援
鹿屋基地所在のMQ-9部隊の沖縄嘉手納基地への移動支援(C-130輸送機派遣や貨物積み下ろし器材での支援)
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在日米空軍の輸送機部隊が、敵攻撃に備えての避難訓練や被害発生時の対処訓練を行い、MQ-9の鹿屋から嘉手納へのISR強化展開支援訓練を行っているとの、「軍事的合理性」からすんなり理解できるニュースですが、同類のニュースとも考えられる、10月30日に朝日デジタルが配信した「空自戦闘機が豪州へのローテーション派遣検討」との記事もご紹介しておきます
●防衛省は、空自戦闘機を豪州空軍基地に一定期間派遣するローテーション展開の検討に入った。早ければ来年度にも段階的に開始の方針
●防衛省はローテ派遣の目的は訓練だとし、空自の戦闘機部隊が豪州の空軍基地に間借りする形を想定し、広い空域で効率的に共同訓練することが目的で、自衛隊の教育訓練を定めた防衛省設置法4条が法的根拠だと説明。
●派遣は年間数カ月程度を見込み、日本の防空に影響がない範囲でF35やF15、F2を数機程度ずつ派遣し、部隊を交代させつつ実施を想定。豪州展開先に空自機体が不在の間も整備員を残すことも検討。米軍は(兵士の負担軽減や展開先国民との摩擦回避のため、駐留形式でなくローテーション方式を)在日米軍基地を含む世界中の海外基地で繰り返している。
●自衛隊も、ソマリア沖海賊対処のため、海賊対処法に基づき、ジブチの拠点に陸自や海自部隊が展開しているが、海外での訓練を理由にしたケースはこれまでない。
●中国対処に、日豪は急速に安全保障協力を深めている。昨年1月には、共同訓練時の入国手続きを簡単にする「円滑化協定(RAA)」に署名。今月19日の日豪防衛相会談では、RAA活用の共同訓練活発化で一致した。このローテ展開も念頭と考えられる
(このローテ派遣&展開の狙いは様々でしょうが、空自の基地に配備していては、敵のミサイル攻撃で「座して死を待つ」「飛び上がれず戦力にならないまま戦い終了」を避けるため、豪州への退避も念頭にあるものと「軍事的合理性」の視点からまんぐーすは思います)
嘉手納基地からのF-15撤退を契機に
「極東の戦闘機は?軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「嘉手納で統合の航空機避難訓練」→https://holylandtokyo.com/2020/01/24/873/
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
滑走路被害復旧、患者空輸、大量負傷者対処など
空自戦闘機の豪へのローテーション派遣検討の中

以前、沖縄の米空軍嘉手納基地での戦闘機等の緊急避難訓練や、米軍兵士家族を含めた沖縄緊急脱出の様子をお伝えしたことはありましたが、日本本土の東京近郊の米軍部隊が、本格的に敵攻撃を想定した緊急退避や被害普及や大量負傷者対処訓練を行っているが紹介されるのは、まんぐーすが知る限りでは初めてだと思いますので、日本国民や自衛隊関係者への注意喚起の意味を込めご紹介いたします
10月27日付米空軍協会web記事によれば

●演習で実施された主要な訓練
・緊急空中退避「Launch to Survive concept」の原則や手順確認訓練:
敵からのミサイル攻撃警報が出たことを想定し、航空戦力を保全するため、事前に基地近傍所在を指示された兵士を中心として、部隊アセットや貴重品を基地外へ退避させる訓練。普段から緊急空中退避を想定して執っている準備態勢の検証も兼ね訓練
・・飛行場被害復旧
敵攻撃による被害を修復して飛行場機能を継続維持する訓練
・通常滑走路でない「Foxtrot taxiway」使用の離発着訓練

・緊急患者空輸や大量被害者発生時対処訓練
・海自鹿屋基地拠点の米空軍MQ-9部隊の展開支援
鹿屋基地所在のMQ-9部隊の沖縄嘉手納基地への移動支援(C-130輸送機派遣や貨物積み下ろし器材での支援)
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●防衛省は、空自戦闘機を豪州空軍基地に一定期間派遣するローテーション展開の検討に入った。早ければ来年度にも段階的に開始の方針
●防衛省はローテ派遣の目的は訓練だとし、空自の戦闘機部隊が豪州の空軍基地に間借りする形を想定し、広い空域で効率的に共同訓練することが目的で、自衛隊の教育訓練を定めた防衛省設置法4条が法的根拠だと説明。

●自衛隊も、ソマリア沖海賊対処のため、海賊対処法に基づき、ジブチの拠点に陸自や海自部隊が展開しているが、海外での訓練を理由にしたケースはこれまでない。
●中国対処に、日豪は急速に安全保障協力を深めている。昨年1月には、共同訓練時の入国手続きを簡単にする「円滑化協定(RAA)」に署名。今月19日の日豪防衛相会談では、RAA活用の共同訓練活発化で一致した。このローテ展開も念頭と考えられる
(このローテ派遣&展開の狙いは様々でしょうが、空自の基地に配備していては、敵のミサイル攻撃で「座して死を待つ」「飛び上がれず戦力にならないまま戦い終了」を避けるため、豪州への退避も念頭にあるものと「軍事的合理性」の視点からまんぐーすは思います)
嘉手納基地からのF-15撤退を契機に
「極東の戦闘機は?軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「嘉手納で統合の航空機避難訓練」→https://holylandtokyo.com/2020/01/24/873/
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/