米議会がレーザー兵器開発に懸念で調査要求へ [安全保障全般]
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大手Northrop Gの陸軍計画からの撤退を受け
50KWレベルの開発で火災事故連発
22年までに300KW、24年までに500KWを目指すも
2日付Defense-Newsは、下院軍事委員会が2022年度国防予算関連法案に、レーザー兵器開発の重要サブシステムとなる出力&熱管理システム等の開発技術基盤について、2022年6月までに報告するよう国防省に命ずる案を作成したと報じています。
この報告書要求案の背景には、米陸軍が進める車両搭載用50KWレーザー兵器開発において、開発契約を結んだ大手軍需産業の一つであるNorthrop Grummanが、昨年から今年にかけ2回試験中に出力&熱管理システム(power and thermal management systems)で火災を起こし、事業撤退を表明した件があります
国防省は「Directed Energy Roadmap」で、2030年までに1MW(1000KW)級のレーザー兵器開発を目指す方針を掲げ、段階的に予算要求をしているところですが、初期段階の50Kwでの大手撤退を受け、心配になってきたということでしょう
レーザー兵器は、連続発射が可能(弾薬の運搬&保管不要)、光速で目標に到達(同時多数目標に対処可能)などの利点から、無人機から地上火器対処、更には巡航&弾道ミサイルや極超音速兵器対処にまで大きな期待を集めていますが、「いつまでたっても完成まであと5年」と揶揄する専門家もいる分野でもあります
なお「Directed Energy Roadmap」での目標設定は
●2022年までに、150-300KW級の兵器化
100Kwでドローン、小型ボート、ロケット、迫撃砲に対処可能
300kwで巡航ミサイルに対処可能
●2024年までに、500KW級の兵器化
●2030年までに、1GW級の兵器化
2日付Defense-News記事によれば
●まだ最終決定ではないが、下院軍事委員会は2022年度国防予算法案に、エネルギー兵器開発の出力&熱管理システム(power and thermal management systems)等に関する軍需産業基盤状況や、今後の予算や投資計画を、2022年6月までに報告するよう国防省に命ずる内容を盛り込むことにした
●Northrop Grummanが撤退表明した事業は米陸軍の50kWレーザー兵器開発(Directed Energy Mobile Short-Range Air Defense program)で、NorthropとRaytheonが競い合い、ハネイウェル傘下のRocky Research提供出力&熱管理システムを使用した車両搭載用レーザー兵器本体を試作する契約であった
●今年春の試作兵器の比較試験(shoot-off)に向け、Northropも準備を進めていたが、2020年末と2021年1月の試験で出力&熱管理システム付近から火災を発生させ、比較試験までに契約要求事項を満たすことを断念し撤退を表明したものである
●まだ開発初期段階の50kw級開発での大手の撤退を受け、今後の開発計画に懸念を深めた米下院は、James Langevin議員 (D-Rhode Island)を中心に報告を求める法案をまとめた。
●なおレイセオン社は比較試験(shoot-off)で期待されていた成果を発揮し、ストライカー装甲車3両に搭載する次の段階のデモ確認に進んでいる
●米陸軍は既に50kwを超える開発にも着手しており、100kw級開発を2019年の選定でレイセオン社を破った「Dynetics and Lockheed Martin team」チームに託している。ここでの出力&熱管理システムはRolls-Royce社が担当している
●更に300kw級にも着手し、Dynetics社が担当して、Heavy Expanded Mobility Tactical Truckへの搭載を目指して開発に取り組んでいる
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本日の記事は米陸軍の話題ですが、米空軍では昨年夏ごろ、戦闘機搭載用の自己防御用レーザー兵器(敵の空対空ミサイルを撃退用)開発はハードルが高すぎるとして投資を中止し、基地防御用の無人機撃退用地上配備レーザー兵器に重点を移す決定をしています
5年ほど前に盛り上がったエネルギー兵器(レーザー兵器含む)開発ですが、ここ最近は明るい話題を聞くことがなく、予算の制約もあり「いつまでたっても完成まであと5年」・・・状態な気がしています
エネルギー兵器関連
「戦闘機防御用から撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
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大手Northrop Gの陸軍計画からの撤退を受け
50KWレベルの開発で火災事故連発
22年までに300KW、24年までに500KWを目指すも
2日付Defense-Newsは、下院軍事委員会が2022年度国防予算関連法案に、レーザー兵器開発の重要サブシステムとなる出力&熱管理システム等の開発技術基盤について、2022年6月までに報告するよう国防省に命ずる案を作成したと報じています。
この報告書要求案の背景には、米陸軍が進める車両搭載用50KWレーザー兵器開発において、開発契約を結んだ大手軍需産業の一つであるNorthrop Grummanが、昨年から今年にかけ2回試験中に出力&熱管理システム(power and thermal management systems)で火災を起こし、事業撤退を表明した件があります
国防省は「Directed Energy Roadmap」で、2030年までに1MW(1000KW)級のレーザー兵器開発を目指す方針を掲げ、段階的に予算要求をしているところですが、初期段階の50Kwでの大手撤退を受け、心配になってきたということでしょう
レーザー兵器は、連続発射が可能(弾薬の運搬&保管不要)、光速で目標に到達(同時多数目標に対処可能)などの利点から、無人機から地上火器対処、更には巡航&弾道ミサイルや極超音速兵器対処にまで大きな期待を集めていますが、「いつまでたっても完成まであと5年」と揶揄する専門家もいる分野でもあります
なお「Directed Energy Roadmap」での目標設定は
●2022年までに、150-300KW級の兵器化
100Kwでドローン、小型ボート、ロケット、迫撃砲に対処可能
300kwで巡航ミサイルに対処可能
●2024年までに、500KW級の兵器化
●2030年までに、1GW級の兵器化
2日付Defense-News記事によれば
●まだ最終決定ではないが、下院軍事委員会は2022年度国防予算法案に、エネルギー兵器開発の出力&熱管理システム(power and thermal management systems)等に関する軍需産業基盤状況や、今後の予算や投資計画を、2022年6月までに報告するよう国防省に命ずる内容を盛り込むことにした
●Northrop Grummanが撤退表明した事業は米陸軍の50kWレーザー兵器開発(Directed Energy Mobile Short-Range Air Defense program)で、NorthropとRaytheonが競い合い、ハネイウェル傘下のRocky Research提供出力&熱管理システムを使用した車両搭載用レーザー兵器本体を試作する契約であった
●今年春の試作兵器の比較試験(shoot-off)に向け、Northropも準備を進めていたが、2020年末と2021年1月の試験で出力&熱管理システム付近から火災を発生させ、比較試験までに契約要求事項を満たすことを断念し撤退を表明したものである
●まだ開発初期段階の50kw級開発での大手の撤退を受け、今後の開発計画に懸念を深めた米下院は、James Langevin議員 (D-Rhode Island)を中心に報告を求める法案をまとめた。
●なおレイセオン社は比較試験(shoot-off)で期待されていた成果を発揮し、ストライカー装甲車3両に搭載する次の段階のデモ確認に進んでいる
●米陸軍は既に50kwを超える開発にも着手しており、100kw級開発を2019年の選定でレイセオン社を破った「Dynetics and Lockheed Martin team」チームに託している。ここでの出力&熱管理システムはRolls-Royce社が担当している
●更に300kw級にも着手し、Dynetics社が担当して、Heavy Expanded Mobility Tactical Truckへの搭載を目指して開発に取り組んでいる
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本日の記事は米陸軍の話題ですが、米空軍では昨年夏ごろ、戦闘機搭載用の自己防御用レーザー兵器(敵の空対空ミサイルを撃退用)開発はハードルが高すぎるとして投資を中止し、基地防御用の無人機撃退用地上配備レーザー兵器に重点を移す決定をしています
5年ほど前に盛り上がったエネルギー兵器(レーザー兵器含む)開発ですが、ここ最近は明るい話題を聞くことがなく、予算の制約もあり「いつまでたっても完成まであと5年」・・・状態な気がしています
エネルギー兵器関連
「戦闘機防御用から撤退へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-01
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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