戦闘機用自己防御レーザーから事実上撤退か? [米空軍]
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当初計画では2021年に飛行試験予定を2023年に
当初から小型化(出力)と振動対処が課題で克服困難か
無人機対処レーザー兵器が優先課題の模様です
6月30日付Defense-Newsは、米空軍研究所が進める戦闘機に自己防御用レーザー兵器を搭載するる「SHiELD」計画について、当初は2021年に初の飛行試験(F-15で)を行う予定だったが、コロナの影響や技術的課題から、2023年まで遅れるとの開発責任者の発言を報じました
一方、開発責任者が単に「遅れる」と述べたのに対し、米空軍の新装備調達を仕切る高官が、レーザーを含むエネルギー兵器の活用法については再考が必要で、戦闘機への搭載に消極的な発言をしていることから、「計画消滅」の雰囲気さえ出てきました
戦闘機に自己防御レーザー兵器を搭載する「SHiELD」計画(Self-Protect High Energy Laser Demonstrator)は、2016年ころから本格化し、2019年には地上からの発射で飛翔するミサイルの迎撃試験に成功したとのニュースで盛り上がりましたが、その時点でも、必要な出力のレーザー兵器の小型化と、戦闘機の振動の中でのレーザー生成や照準が依然として大きな課題であると言われていました
レーザーを含むエネルギー兵器には比較的安定した予算確保が出来ており、「SHiELD」計画では、レーザー生成をロッキードが、ビーム制御をNorthrop Grummanが、そして戦闘機(試験ではF-15使用予定だった)搭載用のポッドをボーイングが担当する強力な体制が組まれていました
しかしここにきて、無人機対処用のニーズが大きくなり、技術的にも難しい航空機搭載用のレーザーは自己防御用も含めて厳しい立場に置かれているようで、そんな雰囲気が漂う高官の発言を中心にご紹介します
6月30日付Defense-News記事によれば
●6月10日、米空軍研究所AFRLで「SHiELD」計画責任者のJeff Heggemeier氏は、「これは非常に難しい技術融合を伴うプロジェクトで、レーザー技術の成熟度合いを示すことが目的だが、コロナの影響もあり、2年遅らせることになった」と述べた
●また「小さな航空機搭載用のポッドに様々なパーツを詰め込むことが非常に難しい。いま実用化に向けて期待されているレーザー兵器は、そのような難しさのない地上配備型であることを考えて頂きたい」とも述べ、技術的ハードルが高いことを示唆した
●Heggemeier氏の発言の雰囲気とは異なり、米空軍の新規装備f導入を仕切るWill Roper次官補の見方はより厳しく、6月9日には「SHiELD開発チームには、話し合いをしよう」と告げていると述べ、「夢見ている出力レベルとは異なる段階にあることを理解しなければならない」と表現した
●そして Roper次官補は無人機対処の重要性と高い優先度について言及し、「レーザーがまず目指すべきは、単純な作りだが重要で恐れるべき脅威となっている小型無人機だ。これら無人機をいちいちミサイルで撃ち落とすわけにはいかない」、「これこそレーザー兵器が成熟すれば対処すべき脅威だ。我々は出力向上を目指している」と語った
●更に戦闘機搭載レーザーに関し、「SHiELD計画は装備化を前提としたプロジェクトではない。レーザー兵器が航空機に搭載可能なほどに成熟しているか、技術的課題をクリアーしているかを見極めることが目的のプロジェクトだ」とまで述べた
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辞任を表明したGriffin技術担当国防次官は、ミサイル防衛用の航空機搭載レーザー兵器の実現可能性について、「極めて懐疑的だ:extremely skeptical」ときっぱり語って摩擦を起こしていましたが、戦闘機搭載自己防御用レーザーも、今後しばらく、もしかしたら今後一切話題に上ることはないかもしれません
AC-130など大型装置が搭載可能な機体となれば、地上配備型レーザー兵器成熟を受け搭載の可能性はあるのでしょうが、無人機や無人機の群れ対処用のエネルギー兵器開発が優先投資の対象と考えてよいでしょう
SHiELD計画関連の過去記事
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
無人機対処にレーザーや電磁波
「国防省として無人機対処策を絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「2021年に米艦艇にHELIOSを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
エネルギー兵器関連
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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当初計画では2021年に飛行試験予定を2023年に
当初から小型化(出力)と振動対処が課題で克服困難か
無人機対処レーザー兵器が優先課題の模様です
6月30日付Defense-Newsは、米空軍研究所が進める戦闘機に自己防御用レーザー兵器を搭載するる「SHiELD」計画について、当初は2021年に初の飛行試験(F-15で)を行う予定だったが、コロナの影響や技術的課題から、2023年まで遅れるとの開発責任者の発言を報じました
一方、開発責任者が単に「遅れる」と述べたのに対し、米空軍の新装備調達を仕切る高官が、レーザーを含むエネルギー兵器の活用法については再考が必要で、戦闘機への搭載に消極的な発言をしていることから、「計画消滅」の雰囲気さえ出てきました
戦闘機に自己防御レーザー兵器を搭載する「SHiELD」計画(Self-Protect High Energy Laser Demonstrator)は、2016年ころから本格化し、2019年には地上からの発射で飛翔するミサイルの迎撃試験に成功したとのニュースで盛り上がりましたが、その時点でも、必要な出力のレーザー兵器の小型化と、戦闘機の振動の中でのレーザー生成や照準が依然として大きな課題であると言われていました
レーザーを含むエネルギー兵器には比較的安定した予算確保が出来ており、「SHiELD」計画では、レーザー生成をロッキードが、ビーム制御をNorthrop Grummanが、そして戦闘機(試験ではF-15使用予定だった)搭載用のポッドをボーイングが担当する強力な体制が組まれていました
しかしここにきて、無人機対処用のニーズが大きくなり、技術的にも難しい航空機搭載用のレーザーは自己防御用も含めて厳しい立場に置かれているようで、そんな雰囲気が漂う高官の発言を中心にご紹介します
6月30日付Defense-News記事によれば
●6月10日、米空軍研究所AFRLで「SHiELD」計画責任者のJeff Heggemeier氏は、「これは非常に難しい技術融合を伴うプロジェクトで、レーザー技術の成熟度合いを示すことが目的だが、コロナの影響もあり、2年遅らせることになった」と述べた
●また「小さな航空機搭載用のポッドに様々なパーツを詰め込むことが非常に難しい。いま実用化に向けて期待されているレーザー兵器は、そのような難しさのない地上配備型であることを考えて頂きたい」とも述べ、技術的ハードルが高いことを示唆した
●Heggemeier氏の発言の雰囲気とは異なり、米空軍の新規装備f導入を仕切るWill Roper次官補の見方はより厳しく、6月9日には「SHiELD開発チームには、話し合いをしよう」と告げていると述べ、「夢見ている出力レベルとは異なる段階にあることを理解しなければならない」と表現した
●そして Roper次官補は無人機対処の重要性と高い優先度について言及し、「レーザーがまず目指すべきは、単純な作りだが重要で恐れるべき脅威となっている小型無人機だ。これら無人機をいちいちミサイルで撃ち落とすわけにはいかない」、「これこそレーザー兵器が成熟すれば対処すべき脅威だ。我々は出力向上を目指している」と語った
●更に戦闘機搭載レーザーに関し、「SHiELD計画は装備化を前提としたプロジェクトではない。レーザー兵器が航空機に搭載可能なほどに成熟しているか、技術的課題をクリアーしているかを見極めることが目的のプロジェクトだ」とまで述べた
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辞任を表明したGriffin技術担当国防次官は、ミサイル防衛用の航空機搭載レーザー兵器の実現可能性について、「極めて懐疑的だ:extremely skeptical」ときっぱり語って摩擦を起こしていましたが、戦闘機搭載自己防御用レーザーも、今後しばらく、もしかしたら今後一切話題に上ることはないかもしれません
AC-130など大型装置が搭載可能な機体となれば、地上配備型レーザー兵器成熟を受け搭載の可能性はあるのでしょうが、無人機や無人機の群れ対処用のエネルギー兵器開発が優先投資の対象と考えてよいでしょう
SHiELD計画関連の過去記事
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
無人機対処にレーザーや電磁波
「国防省として無人機対処策を絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
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「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
エネルギー兵器関連
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06
国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24
夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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