英戦闘機開発にイタリアも参加へ [安全保障全般]
追記:10日夕刻、英と伊が共同開発の政府間合意文書に署名
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戦闘機Tempest開発にスウェーデンに続いて
独仏スペイン連合に対抗し第6世代機機開発
DSEIの会場で発表の模様
10日付Defense-Newsは、10日から13日の間、ロンドン郊外で開催されている兵器見本市DSEI(Defence and Security Equipment International)で、英国が2018年7月に開発開始を打ち出した第6世代機Tempest開発計画に、スウェーデンに続いてイタリア参加が発表されると報じています。英伊の政治関係が微妙なため発表のタイミングが微妙になっているとも伝えていますが・・・
欧州では、2018年4月に独仏が第6世代機の共同開発を発表して他の参画国を募集し始め、スペインが参加を表明していますが、3か月遅れの2018年7月に英国国防相が負けじとTempest開発計画を発表し、今年の7月18日にスウェーデンが英国との共同開発に署名しているところです。また、日本やトルコにも英国からお誘いが来ているようです
ちなみに、独仏スペイン連合はFCAS(Future Combat Air System)との呼び名の元、Airbus社とDassault社がリードする形となっており、英国側チームはBAEシステムズやロールスロイス、仏のMBDAそしてSaabなど欧州企業が参加することになっており、欧州を2分する形となっています
英戦闘機産業の年間売上高は60億ポンド超で、過去10年間の防衛輸出額の8割以上を占める重要分野であり、EU離脱で英製造業の先行きに不透明感が漂うなか、重点分野として独仏に負けられない戦いですが、併せて英空軍の主力「ユーロファイター・タイフーン」の後継として、2035年(2040年との報道も)までに実戦配備を目指し、計画の初期段階として20億ポンド(約3000億円)を投入するとしています
第6世代機Tempestのイメージは(各種報道より)
●Tempestは無人飛行が可能になる模様だ。さらに、スウォーミング(群れ飛行)技術によって複数のドローンを制御するほか、レーザーに代表されるような指向性エネルギー兵器を装備する。
●指向性エネルギー兵器への大容量の電力供給を実現すべく、ロールスロイスが革新的なガスタービンを開発するという報道も一部に出ている。
●複雑なデータネットワークとクラウド技術を活用し、兵器とセンサーを結びつけるコンセプトも打ち出されている
(ちなみに、仏独スペイン連合の次世代機もドローンの遠隔操作機能を搭載予定と報道されており、米空軍の検討方向と非常に似ています)
10日付Defense-News記事によればイタリアは
●10日午後の段階で、関係高官は、英国とイタリア政府との間でどのような形式の発表がなされるのか不透明であると語り、英伊間の波風の多い政治情勢が不透明感の原因だとコメントしている
●恐らくDSEI期間中に、両国の国防相が共同声明文書をイベントを開催して発表することになるだろうとも同高官は述べている
●国家間の協力関係確立はまだ成立していないが、既に企業レベルでは協力が始まっており、例えばイタリアのLeonardo社はセンサーやアビオニクス分野で協力することを昨年発表している。仮に国家間合意が成立した場合、この企業協力が変化するかは不明である
●関係者の間では、イタリアの関与具合がスウェーデンを超えるのではないかとの噂もあり、DSEIでどこまで明らかのなるか注視されている
●7月の記者会見でSaab社のCEOは、「我が社にとって、短期的なTempest計画参加の目的は、我が社製グリペン戦闘機の能力向上に役立てる事だ」、「現代の戦闘機は75%ソフトウェアで成り立っており、ハードの変更なく能力向上が可能だ」と表現していた
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欧州の第6世代機開発については、2018年4月に独仏の計画をご紹介して以来放置していたので、イタリアの行く先は不確かながら、Tempest開発計画を切り口に現状をご紹介しました
2035~2040年頃に、戦闘機がどの様な位置づけを維持しているのかはなはだ疑問ではありますが、英国のEU離脱が避けられそうもない混乱にEUが突き進む中、「独仏スペイン」 VS「 英伊スウェーデン」の戦いが勃発しているということです
いずれの陣営も、本当に開発資金がねん出できるのか?・・・との点が本当の関心事かと思われますが、とりあえずご紹介まで・・・
欧州の戦闘機関連話題
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
米空軍の次世代制空機検討PCA
「NGAD予算確保に空軍苦闘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28
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戦闘機Tempest開発にスウェーデンに続いて
独仏スペイン連合に対抗し第6世代機機開発
DSEIの会場で発表の模様
10日付Defense-Newsは、10日から13日の間、ロンドン郊外で開催されている兵器見本市DSEI(Defence and Security Equipment International)で、英国が2018年7月に開発開始を打ち出した第6世代機Tempest開発計画に、スウェーデンに続いてイタリア参加が発表されると報じています。英伊の政治関係が微妙なため発表のタイミングが微妙になっているとも伝えていますが・・・
欧州では、2018年4月に独仏が第6世代機の共同開発を発表して他の参画国を募集し始め、スペインが参加を表明していますが、3か月遅れの2018年7月に英国国防相が負けじとTempest開発計画を発表し、今年の7月18日にスウェーデンが英国との共同開発に署名しているところです。また、日本やトルコにも英国からお誘いが来ているようです
ちなみに、独仏スペイン連合はFCAS(Future Combat Air System)との呼び名の元、Airbus社とDassault社がリードする形となっており、英国側チームはBAEシステムズやロールスロイス、仏のMBDAそしてSaabなど欧州企業が参加することになっており、欧州を2分する形となっています
英戦闘機産業の年間売上高は60億ポンド超で、過去10年間の防衛輸出額の8割以上を占める重要分野であり、EU離脱で英製造業の先行きに不透明感が漂うなか、重点分野として独仏に負けられない戦いですが、併せて英空軍の主力「ユーロファイター・タイフーン」の後継として、2035年(2040年との報道も)までに実戦配備を目指し、計画の初期段階として20億ポンド(約3000億円)を投入するとしています
第6世代機Tempestのイメージは(各種報道より)
●Tempestは無人飛行が可能になる模様だ。さらに、スウォーミング(群れ飛行)技術によって複数のドローンを制御するほか、レーザーに代表されるような指向性エネルギー兵器を装備する。
●指向性エネルギー兵器への大容量の電力供給を実現すべく、ロールスロイスが革新的なガスタービンを開発するという報道も一部に出ている。
●複雑なデータネットワークとクラウド技術を活用し、兵器とセンサーを結びつけるコンセプトも打ち出されている
(ちなみに、仏独スペイン連合の次世代機もドローンの遠隔操作機能を搭載予定と報道されており、米空軍の検討方向と非常に似ています)
10日付Defense-News記事によればイタリアは
●10日午後の段階で、関係高官は、英国とイタリア政府との間でどのような形式の発表がなされるのか不透明であると語り、英伊間の波風の多い政治情勢が不透明感の原因だとコメントしている
●恐らくDSEI期間中に、両国の国防相が共同声明文書をイベントを開催して発表することになるだろうとも同高官は述べている
●国家間の協力関係確立はまだ成立していないが、既に企業レベルでは協力が始まっており、例えばイタリアのLeonardo社はセンサーやアビオニクス分野で協力することを昨年発表している。仮に国家間合意が成立した場合、この企業協力が変化するかは不明である
●関係者の間では、イタリアの関与具合がスウェーデンを超えるのではないかとの噂もあり、DSEIでどこまで明らかのなるか注視されている
●7月の記者会見でSaab社のCEOは、「我が社にとって、短期的なTempest計画参加の目的は、我が社製グリペン戦闘機の能力向上に役立てる事だ」、「現代の戦闘機は75%ソフトウェアで成り立っており、ハードの変更なく能力向上が可能だ」と表現していた
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欧州の第6世代機開発については、2018年4月に独仏の計画をご紹介して以来放置していたので、イタリアの行く先は不確かながら、Tempest開発計画を切り口に現状をご紹介しました
2035~2040年頃に、戦闘機がどの様な位置づけを維持しているのかはなはだ疑問ではありますが、英国のEU離脱が避けられそうもない混乱にEUが突き進む中、「独仏スペイン」 VS「 英伊スウェーデン」の戦いが勃発しているということです
いずれの陣営も、本当に開発資金がねん出できるのか?・・・との点が本当の関心事かと思われますが、とりあえずご紹介まで・・・
欧州の戦闘機関連話題
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
米空軍の次世代制空機検討PCA
「NGAD予算確保に空軍苦闘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28
2019-09-12 05:00
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