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防衛研究所の論考「安全保障としての半導体投資」 [安全保障全般]

半導体不足問題の概要を分かり易く包括的に
さすが「特別研究官」。肩ひじ張らず多忙な一般人向け

NIDS SemiCon.jpg1月19日付で防衛省防衛研究所が「NIDSコメンタリー」の枠組みで、小野圭司・特別研究官による7ページの解説論考「安全保障としての半導体投資」を公開し、様々な要因で世界中で不足状態となっている「半導体」について、まんぐーすの勝手な解釈によると、「日本の半導体産業栄枯盛衰」「現代社会における半導体の重要性」「地政学リスク・生産拠点の偏り」「露のウクライナ侵略があぶりだしたもの」「製造装置の視点」「日本の現状や日本の利不利」の視点で解説されています

小野圭司 防研.jpeg小野圭司・特別研究官による小論をご紹介するのは2回目で、2020年8月に今は存在しない防衛研究所の「ブリーフィングメモ」の枠組みで公開された 「サイバー傭兵の動向」(←https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/)を取り上げ、非常に多くのアクセスを頂きました。決して文章をこね回して偉そうに語るのではなく、日々の業務に忙殺されている若手自衛官や安全保障を志す若者や、一般社会を支える働き盛り世代が平易に理解できることを意識した「書きぶり」に「特別研究官」の人間性がにじみ出ているように思うのはまんぐーすだけでしょうか

前置きはこれくらいにして、半導体に関する幅広い話題や視点を概説した小野氏による「NIDSコメンタリー」を、まんぐーすの勝手な理解と再構成に基づき、項目建てや記載順序や表現ぶりを変更してご紹介いたします

「日本の半導体産業栄枯盛衰史」
NIDS Semi3.jpg●WW2時から米国がリードし、1960-70年代のアポロ計画で半導体技術を向上させた米国の技術覇権は揺ぎ無きものであったが、1980年代に入り日本が急速に追い上げ、1988年には半導体売上で世界上位3社を日本企業が独占し、10位以内に6社が占める勢いを見せた
●しかし、日本企業が総合電機メーカーの1分野として半導体事業を扱い、変化の激しいい急激な「シリコンサイクル」への対応の意思決定で後れを取り、更にプラザ合意を受けた急激な円高、日米貿易摩擦が生んだ日米半導体協定による米国製購入の強制、日本企業による米国企業買収の政治圧力阻止等で弱体化した日本企業は、「失われた30年」に突入して今日に至っている

「半導体の重要性と需給ひっ迫」
NIDS Semi66.jpg●センサー多用による半導体需要急増→普通自動車1台に500個→電気自動車は1500個に→更にAI自動運転車両となると3000個以上の半導体が必要に。ジェットエンジンや艦艇ガスタービンエンジン制御にも1基につき5000個など需要急増
●5Gやデータセンタ需要の拡大、コロナによる在宅勤務や巣ごもり需要によるPCなど情報家電の需要増、生成AIの開発に必要な画像処理半導体の需要急増、米中対立による中国製半導体の市場からの排除、日本の半導体工場の連続火災、米国半導体工場の停電事故による製造停止などの需給ひっ迫要

「地政学リスク・生産拠点の偏り」
NIDS Semi-Con.jpg●今や最も軍事的緊張が高い朝鮮半島や台湾海峡に関連する台湾・韓国・中国が、世界の半導体の60%以上を製造しているという、いびつな生産拠点分布が抱える地政学リスク
●米国は、米国企業による半導体製造占有率は54%あるが、米国内製造はわずか11%で、非常時の半導体確保面で大きなリスクを抱えていると認識し、1980年代の日本企業たたきに見られた「半導体ナショナリズム」ではなく、米国企業でなくてもよいから米国内で製造してくれる企業を求める「半導体の地産地消」を追求しようとしている

●米国は台湾TSMC等に米本土での生産拠点設置を求めているが、台湾は「米軍向け半導体供給」との自国安全保障上の切り札として、簡単には米本土での工場建設を受け入れないだろう
●日本の千歳市に建設中の国家プロジェクト「ラビダス」工場建設も、5兆円以上の投資を計画しているが、日本企業や日本政府による4兆円以上だけでなく、台湾TSMCや米企業など外資系企業からも1兆円以上の投資を受け入れる形態をとっている

「露のウクライナ侵略があぶりだしたもの」
NIDS Semi2.jpg●ロシアは半導体の9割以上を海外に依存しており、露への半導体経済制裁は露の戦争継続能力を削ぐであろうと期待されたが、期待されたほどの成果は上がっていない
●露やウクライナが使用しているハイテク兵器でも、最先端のロジック半導体やメモリーを多数使用しているわけではなく、信号をデジタル変換するアナログ半導体や、電力制御用のパワー半導体が大半を占めている
●また露もウクライナも多数の無人機を投入しており、どんなに単純な小型無人機でも半導体は不可欠だが、これも最先端の半導体が使用されているわけではない

NIDS Semi5.jpg●西側による露への半導体輸出規制は半年で効力を失ったとされている。経済制裁に加わっていない中国香港、トルコ、UAE、カザフスタンなどを経由して、「半導体ロンダリング」されて西側から流出しているのが実態。
●家電製品もロシアに迂回輸出され、「ロシアは冷蔵庫や食洗器から半導体を取り出し、軍装備の修理に充当している」とEU委員長が指摘したケースもある

●半導体製造に重要な役割を果たす露光装置に必要な「ネオンガス」は、ウクライナが世界の供給量の7割を算出しており、価格が一時10倍に跳ね上がった。同じく露光工程に必要なパラジウムもロシアが世界生産の4割を占め価格が2倍に

「製造装置の視点」
NIDS Semi4.jpg●2022年10月にバイデン政権は、先端半導体やその製造装置・技術の中国向け輸出を事実上禁じ、半導体製造装置に強いオランダと日本にも同調を求めた
●ところが多く使用されているパワー半導体は先端品でない為、輸出規制対象外の装置で製造可能で、中国企業が内製化に取り組んでおり、中国の半導体製造大手SMICは輸出規制対象外の装置で先端半導体に当たる7ナノメートルの半導体製造に成功したとも報じられている

「日本の現状や日本にとっての利不利」
NIDS Semi8.jpg●ハイテク兵器でも使用され、需要が大きいパワー半導体は日本企業の得意分野でもあるが、次世代パワー半導体SiC(炭化ケイ素)パワー半導体では日本は劣勢である
●半導体製造装置では、日本が強みを発揮している部分もあるが、市場規模が大きい装置では、米国やオランダ企業が社の大半を抑えている
●半導体製造の全側面を押さえた「純国産」は現実的ではない。日本には強みを有する部分での競争力を維持・拡大して、他の機材・部材の交渉力に結び付ける努力が求められ、そのための人材育成は不可欠。バブル崩壊後のその場凌ぎの対応で、半導体人材や脳を流出させた愚は繰り返してはならない

●日本は半導体製造に重要な水確保面で優位である。半導体の生産拠点である中国沿岸部・欧州のほぼ全域、米国・韓国の広い範囲で水資源が危機に直面しており、台湾も台湾島中南部では慢性的な水不足である。他方、日本については、概ね水資源のリスクは低い
●半導体製造に大量に必要な電力確保は日本にとってのアキレス腱。TSMC、サムスン電子、SK ハイニックスが消費する電力は、各社が台湾・韓国の総発電量の 5~6%に達する。韓国では政策的に電気料金が抑えられており、これは半導体産業にとっては「見えない補助金」に等しい

NIDS Semi7.jpg●日本では東日本大震災以降、火力発電比率が上昇し電気料金も上がっている。最近では、生成 AI利用が各方面で始まっているが、生成 AI は開発&利用は相当量の電力が必要。日本でも国産生成 AI 開発が進められているが、これは半導体需要を促す一方で、電力消費面で半導体製造業と競合する。
●火力発電の比率を引き下げて、安価で安定した電力供給の体制を整備することは、エネルギー安全保 障や地球温暖化対策だけではなく、「戦略物資」としての半導体確保の上でも重要である。 特にコメントはありませんが、いつものように、まんぐーすによる「つまみ食い」記事ですので、ご興味のある方もない方も、ぜひ一度原文をご覧いただければ・・・と思います

7ページの論考現物
https://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary293.pdf 

小野圭司・特別研究官による解説論考
「サイバー傭兵の動向」→https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/

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米国政府:露が核使用の対衛星兵器開発中 [安全保障全般]

米議員の問題提起を契機に米大統領府報道官が認める
ロシアによる「宇宙条約」違反のやりたい放題

Turner House.jpg2月14日の米下院情報委員会(House Intelligence Committee)委員長Mike Turner議員(共和党)による米国政府への情報開示請求に端を発し、メディアを巻き込んで話題となっている「ロシアによる核を用いた宇宙配備の対衛星兵器開発」に関し、15日にはJohn Kirbyホワイトハウス報道官が記者会見で自ら冒頭から本件を切り出して、「この場で説明できる範囲は限定されるが、米国情報機関は以前から本件を察知してフォローしており、大統領にも報告されている」と説明しました

Turner Russia Asat.jpgまずTurner委員長は米国時間14日に、「深刻な国家安全保障上の脅威に関する懸念事項が生起しつつあり、同盟国を含めてどう対処すべきかを議論するため、バイデン大統領に関連の情報を秘密制限解除して説明するように求めた」と米下院のXアカウントを通じて明らかにし、そこから「ロシアによる核を用いた対衛星兵器開発」に関する件だとメディアや専門家が発信してこのような事態になっている模様です

15日の定例記者会見でのKirby報道官の説明
●Turner委員長が言及した脅威については、その秘密レベルからこの場で共有できることは限られるが、ロシアが開発中の対衛星兵器に関するものである
Kirby White House.jpg●同兵器はまだ完成しておらず使用可能な状態にはないが、ロシアが開発中の同兵器は宇宙に配備することを想定したもので、仮に同兵器をロシアが打ち上げられるようなことになれば、露を含む130国以上の国が批准(1967年発効で、日本は同年に批准)している宇宙条約(Outer Space Treaty)が定めた、核兵器の宇宙への展開を禁じた条項に違反することとなる

●ロシアはこの種の兵器開発に、何年も前からではないが、何か月も前から取り組んでいたが、米国情報機関がここ数週間で、ロシアが本兵器開発をどのように進めているかに関しより確度の高い情報を入手できた
●(記者から、ウクライナ支援に対する共和党の反対姿勢に対抗するための議会対策として、このようなロシア関連情報を利用しているのでは、との憶測も報じられているがとの質問に対し、一言で回答、) Bollocksだ(たわごとに過ぎない!)

Haines Reagan2.jpgAvril Haines国家情報長官(Director of National Intelligence:講道館へ1年間柔道修行留学したこともある異色の女性長官です!)による2023年脅威分析報告書では
●ロシアは引き続き、宇宙関連ロシア軍部隊の強化と、米国やその同盟国の宇宙活動能力を破砕し低下させる兵器の配備に努めており、破壊と非破壊手段の両方で、地上発射と宇宙配備型の電磁波、サイバー、エネルギーを利用した兵器を含む開発に取り組んでいる・・・と記述されています

更にまた米宇宙軍トップのSaltzman大将は13日に、
●我々は、ロシアや中国による「nefarious:極悪非道」な宇宙兵器開発を目の当たりにしている。他に適切な形容詞があればぜひ教えてほしいが、とても、極めて憂慮すべきレベルである
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Russia nuclear Asat.jpg2月16日には、ロシアで反政府・反プーチン活動を行って逮捕拘留されていたナワヌルイ氏が、北極圏内にある刑務所で死亡したとのニュースが世界を駆け巡りましたが、プーチンの「nefarious:極悪非道」ぶりは留まるところを知りません。

具体的にどのような対衛星兵器なのかわかりませんが、人類共通の公共財である宇宙空間を、核爆発による強烈な電磁波やそれによって生じる宇宙ゴミで無差別に破壊しかねない試みに、心の底から怒りを覚えます

Mike Turner下院情報委員長の声明文(Xへの投稿)
https://twitter.com/houseintel/status/1757805804885823775?s=46&t=pYNJFAcMl-cz2vCabuai5g

Haines国家情報長官の関連記事
「ロシアの弾薬不足」→https://holylandtokyo.com/2022/12/08/4032/
「中国の宇宙兵器開発」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/116/

宇宙条約(Outer Space Treaty)等に関する外務省の解説
https://www.disarm.emb-japan.go.jp/itpr_ja/chap12.html

John Kirby大統領府報道官の会見トランスクリプト
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2024/02/15/press-briefing-by-press-secretary-karine-jean-pierre-and-white-house-national-security-communications-advisor-john-kirby-3/

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台湾近傍フィリピン北端に米国支援で軍施設増強中 [安全保障全般]

バシー海峡の真ん中の島にも港湾施設増強
フィリピン北端エリアの空港や港湾再整備

Philli Batnes.jpg2月5日付Defense-Newsは、対中国を念頭に置いたフィリピンと米国間の防衛協力合意(2014年締結:EDCA:Enhanced Defense Cooperation Agreement)に基づき、米国支援によりフィリピン国内で進む港湾や空港や倉庫や兵舎等整備について取り上げ、特に台湾とフィリピン間の国境となるバシー海峡に面するフィリピン北端地域や、バシー海峡中間にあるフィリピン領の島での施設整備など、中国が発狂して「力でねじ伏せる」とわめきちらす取り組みをご紹介します

特にフィリピンは、2022年7月に就任したマルコスJr大統領が対中国を意識して米国との連携強化に大きくかじを取り、米軍が対中国で「戦力の分散運用」を目指す中で、分散展開先や物資集積場所等になりそうな場所提供を積極的に進め始めており、2014年のEDCA締結後に5か所、2023年には追加で4か所の計9か所で港湾や空港や倉庫や兵舎等のプロジェクトが進んでおり、最近もオースチン国防長官がマルコス大統領と米軍プレゼンス拡大に合意したところです

Phili EDCA.jpg当然フィリピン側にも中国の「息のかかった」と推測される、某沖縄知事の様な反米親中政治家がおり、「米軍基地が整備されると中国の攻撃目標になり、戦争に巻き込まれる」と叫んでおり、米国もフィリピン政府側も9か所でのプロジェクトについては「ロープロファイル」の説明ぶりで、

例えば2014年から23年までのプロジェクト数について、米国報道官が14プロジェクト約84億円と言えば、元フィリピン側関係者は実際には21プロジェクト約120億円相当と語るなど細部不明な状態ですが、2024年度はフィリピン政府発表が14プロジェクトで、米側関係者は34プロジェクトと語る共同プロジェクト花盛りの急激右肩上がり状態で米比関係が加速推進されています

Philli Lal-Lo.jpg注目すべきプロジェクトは、台湾との国境となるフィリピン北端「Cagayan province」で進む、比「Naval Base Camilo Osias」やその約60㎞西側で具体的検討が進む比「Lal-Lo Airport」での燃料貯蔵施設や指揮統制センター建設プロジェクト、更にバシー海峡中間点付近の島々で構成される比「Batanes province」で進む港湾施設計画で、比海軍が昨年10月から先行展開して着々と準備が進むプロジェクトなどです

まんぐーす自作の見づらい地図を1つ添付していますが、中国政府が「米国はこれらプロジェクトが災害対処や地域経済振興の一環だと主張し、フィリピン政府関係者は難民対策にもなる等と意味不明の言い訳をしているが、単純にして明確に、米国が先導する米同盟国をそそのかした中国囲い込み政策だ」、「フィリピン政府の協力姿勢は、極めて深刻にフィリピンの国益を損なうことになり、地域の安定も危険にさらすことになる」とわめき叫ぶのも納得の大胆さです

Phill EDCA2.jpg感心するのはフィリピンの元比政府外交関係者で現在政府系コンサルタント会社を率いるフィリピン識者が、「米国側関係者と面談すると、台湾有事への備えが最優先事項だと鼻息荒いが、我々はその際は当てにしないでくれ・・・と米側には言っている」、「でもフィリピンでは、米国が比を去ることをだれも望んでいない、なぜなら、米が去れば、中国がもっと攻撃的になると知っているからだ」と達観した現実的な視点を根っこに持っている点です
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Phill Lal-Lo2.jpgドゥテルテ大統領時代に、米国が同大統領の麻薬撲滅作戦を「人道的に問題」などと非難しなければ、5年以上前から米比関係は右肩上がりの改善を見せたと思いますが、フィリピンの動きは日本も是非学びたいものです

中国経済の限界が不動産バブル崩壊によって顕在化し、金融崩壊に至る今となっては中国共産党支配体制の崩壊まで見えてきそうな様相となっていますが、今がチャンスです。中国包囲網を強化いたしましょう!!!

フィリピン関連の記事
「米空軍F-22が初展開」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「米軍のアジア太平洋協力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/02/20/4294/
「比の新大統領は中国寄り?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/
「日本製監視レーダー提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/

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米がトルコへの最新F-16と改修キット売却承認 [安全保障全般]

トルコのスウェーデンNATO加盟承認を受け
F-35計画から排除されたトルコに代替戦闘機として
トルコの「米国戦術核兵器シェアリング」にも貢献か

sweden nato4.jpg1月27日付Defense-Newsが、スウェーデンのNATO加盟に反対していたトルコが賛成すると米国政府に約束したことを受け、米国務省が40機の最新F-16と79機分のF-16近代化改修キットを$23 billion(約3兆4000億円)で売却することを承認(正確には米議会に通知)したと報じています。米議会内にはトルコの人権問題を理由にF-16売却に反対する有力議員も存在するようですが、トルコが人権問題を改善すると一応コミットしたことで、この話は進むようです

トルコがスウェーデンのNATO加盟に反対している表面上の理由は、トルコに対し反政府活動をしているクルド人等へのスウェーデンの姿勢が不適切との説明ですが、一般にはトルコが「駆け引き材料」としてスウェーデンのNATO加盟承認を利用している見られていました

一方でトルコの戦闘機問題の経緯は・・・
sweden nato2.jpg●トルコは約200機のF-16戦闘機を保有運用しているが、その中の旧式F-16約100機をF-35に更新し、残り約100機(現在は79機)を能力向上するとの構想の下、F-35共同開発メンバー(部品の製造分担を含む)に当初から参加していたが、2019年にトルコが防空ミサイル選定でロシア製S-400の導入決定したことでトルコ防空を実質支えてきた西側諸国が猛反発、トルコをF-35計画から排除することを米国トランプ政権が2019年9月に決定

F-16 turkey3.jpg●F-35導入の道を断たれたトルコには、ロシアがSU-35やステルス機SU-57E売り込んだり、トルコ自身が国産ステルス戦闘機TF-X開発に本腰との動きもあったが、有効性や実行可能性の問題から話は進まず、また100機のF-16能力向上についてもとん挫。ただ、NATO唯一のイスラム国であるトルコとの関係も米には重要で、F-35部品調達のトルコ完全脱却も時間が必要等の点から、2021年10月に「米がトルコにF-16売却提案」との報道が。
●別の視点として、欧州NATO諸国(ドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコ)による「米国戦術核兵器シェアリング」任務で、有事必要時には、5か国の戦闘爆撃機によりB61戦術核爆弾が運搬&投下する約束がなされていますが、この役割をトルコに継続させるため、長く使用可能な最新F-16をトルコに提供する意味も多少はあると思料

sweden nato3.jpg2022年2月からのロシアによるウクライナ侵略を受けた「中立国スウェーデンやフィンランドのNATO加盟の動き」は、2023年4月に露と長い国境線を持つフィンランドの加盟が実現して大きく前進しましたが、スウェーデンの加盟については、トルコとハンガリーの反対で1年以上ごたごたしています。

残るはハンガリーだけですが、トルコの態度変更を受け、ハンガリー首相が反対姿勢転換の方向性を示すも、翌1月25日には同じ政党所属の議会議長が「判断を急ぐ必要はない」と発言しており、「露骨にロシアに肩入れし、ウクライナ支援や北欧国の新規加盟を妨害し続けている」ハンガリーに対し、NATOや西側諸国からは「NATOはハンガリーに対する安全保障の部分的停止も視野に入れるべき」、「ハンガリーをEUから蹴り出せ」との声も高まっています

忘れてました・・・同記事はギリシャが40機のF-35を購入することも、米国務省が承認したと報じています。諸経費を含め1.26兆円とか・・破綻国家に売却して大丈夫なのでしょうか・・・?

スウェーデン関連の記事
「欧州戦闘機計画とス」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「欧州空の盾計画にスが参加」→https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/
「B-1爆撃機が初展開」→https://holylandtokyo.com/2023/06/22/4780/

トルコへのF-35提供停止などの経緯
「F-35代替でF-16提案か?」→https://holylandtokyo.com/2021/10/20/2357/
「トルコへのF-35部品依存」→https://holylandtokyo.com/2020/10/14/432/
「トルコ代替で米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14

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「ウ」への米国支援兵器約2400億円分が記録不十分も [安全保障全般]

22年2月開戦から23年6月までの国防省監察官調査
23年末で総額6兆6000億円の援助物資の4%以下
「汚職による横流し等の形跡は一切ない」「記録は改善中」

Javelin FMG-148.jpg1月11日付DefenseOne記事が、米国防省監察官が米国からウクライナへの支援供給武器の管理追跡状況(2022年2月の開戦から2023年6月までの記録を監査)について調査&監査した結果、開戦時の各種混乱、米国監視担当官の開戦時不在やその後の要員不足、安全確保面からの前線状況確認不足、ウクライナ及び米国側双方の事務作業の遅れ等々から、

開戦後から大量に援助された携帯防空兵器Stingerや対戦車ミサイルJavelins等々の追跡記録が、約1.67Billiomドル(約2400億円)相当分(2023年末時点で援助装備品総額は約6兆6000億円で、その3.7%に相当)に関し不明確だと指摘している、と報じています

Stinger SAM.jpgただ、記録不十分な責任が米側の事務処理不備に起因する部分も相当部分含まれ、また米国からの援助装備品の追跡管理は時間が経過するほど改善されており、かつ援助品がウクライナ側担当者の汚職により横流し転売されたりした形跡は全くなく、

むしろ貴重な援助兵器をウクライナ兵士が死守しようとして落命したケースも多数あり、現在もウクライナ兵約8000名の生死や所在が不明な全面戦争の混乱の中、教訓とすべき点はあるが致し方ない側面が多い、との論調のDefenseOne記事となっています

記録不備の原因等として報告書は
ukuraine UAV.jpg●在ウクライナ米国大使館が、開戦の2022年2月から同年5月まで閉鎖されており、この5か月間に現地で支援物資をフォローする人員が不在だった
●同大使館再開後も、監査を担う国防協力室の職員配置がウクライナ各地のオフィスに一か所1名で、かつ米国政府が危険な前線地域への米職員の立ち入りを制限したことから、2022年春頃から大量に提供された支援兵器を前線で十分に追跡記録&確認できなかった

●米本土側でも、通常の支援物資の流れとは異なる多様なルートで、短期間に大量の兵器が提供されたことから、事務スタッフのデータ処理が追い付かず、入力漏れ等の事態が多発した
●それでも、2023年2月時点では総データの87%が規定で定められた期限までに把握&データベース入力されなかったが、2023年6月時点でデータベース更新不備率が56%にまで低下している

ウクライナ議会の支援物資監視担当議員のコメント
ukraine war lesson2.jpg●(開戦当初の混乱はあったかもしれないが、)現時点で米側監査官は24時間いつでもどこでも監査することができ、午前2時に対戦車ミサイルの保管状況確認を受け入れることもある。
●我が国はロシアの侵略を受けた全面戦争下にあり、現在約8000名のウクライナ軍兵士が生死不明の状態だが、そのような混乱の中でも、物質追跡が出来なくなったものについては「追跡不能」や「所在不明」として報告している
●わが軍兵士は援助兵器を大切に使用しており、貴重な兵器を守るために犠牲となった兵士が多数いることも忘れないでほしい

在ウクライナ米国大使経験者のJohn Herbst氏は、
●支援物資追跡に関しては、支援対象国の管理要員が不足しているケースが多いのだから、米国がリーダーシップを発揮して監視要員を増員すべき

CSISのMark Cancian研究員
Ukraine air defense.jpg●支援物資の追跡管理に関しては、米国主導で民間業者の人員を投入することで、米国政府職員のオーバープレゼンスを避けつつ、管理レベルを向上させることが得策
●ロシアの戦車を目の前にして、援助兵器使用記録を適時に入力することが困難なのは当然であり、ウクライナ側の状況は致し方ない
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この監査は、武器援助を担当する米国防省自身が行っている点で不十分だとのご意見もありましょうし、2400億円との不明援助装備等の規模に関しても決して小さいとは言えません。

DefenseOne記事の英文タイトルは如何にもですが、記事の内容は冷静な視点を維持していると感じますし、まんぐーすも致し方ないと思います。今後の教訓とすればよいと思います。

様々な視点から「ウ」の教訓
「23106月:米陸軍首脳「ウ」の教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/10/13/5129/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「22年6月:米陸軍首脳のウの教訓」→https://holylandtokyo.com/2022/06/01/3245/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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バルカン緊張:米がコソボに対戦車ミサイル輸出許可 [安全保障全般]

コソボとセルビア(ロシアと同盟関係)対立が昨秋から先鋭化
両国国境付近にセルビア部隊が近年にない増強
NATOがコソボの治安部隊を増派中

Kosovo.jpg1月11日、米国安全保障協力庁(U.S. Defense Security Cooperation Agency)が、コソボ共和国から購入要望が出ていた246発の携帯型対戦車ミサイルJavelinと関連装置に関し、米国政府として売却を承認すると発表しました

同ミサイルはウクライナ紛争で大量に米国など西側諸国からウクライナに提供されたため、その在庫が急減し、穴埋めに長期間要すると懸念されていた兵器ですが、増産体制が確保できたのか、バルカン半島地域の緊張を受け、2022年にアルバニアも購入許可を米国から得、2023年12月にはロシアの脅威に直面するルーマニアも263発の購入承認を受けたところです

Javelin FMG-148.jpg本日はこの武器売却を契機に、「イスラエルVSハマス戦争」以降に世界の安全保障環境が流動化する中で、「西側VSイエメンのフーチ派反政府組織」が最近クローズアップされていますが、この戦火が昨年春頃からにわかに緊張感が高まってきた「コソボ(NATO側)VSセルビア(ロシアの同盟国)」に拡大しそうな不穏な状態についてご紹介いたします

2023年春以降の動向(各種報道より)
●1990年代に激しい民族紛争が起こった旧ユーゴスラビアのコソボで、コソボ住民(多数派のアルバニア系住民)と少数派のセルビア系住民の対立が再び先鋭化
Kosovo2.jpg●コソボは2008年に(ロシアと同盟関係にある)セルビアから一方的に独立し、住民の多くはアルバニア系だが、北部ではセルビア系が多数を占め政府との対立が継続

●セルビア側は2023年秋からコソボとの国境地帯への部隊の増強を続けており、北大西洋条約機構(NATO)は2023年10月1日、コソボに駐留する治安部隊の増派を決め、コソボのゲルバラ外相が「近年、これほど国境地帯にセルビア軍部隊が集まったことはなかった」と危機感を表明
●この状態に至るまでには、2023年5月にコソボ北部で、セルビア系住民のデモ隊がNATO主導の平和維持部隊と激しく衝突して多数のけが人が出る事態が発生し、2023年9月末には同じくコソボ北部で、コソボ警察官が襲撃され、1人が死亡、1人がけがをする事態が発生

Kosovo3.jpg●この際にコソボのクルティ首相は、セルビアが支援する部隊の仕業だと主張し、「セルビアの暴力とテロへの支援は、われわれの国家安全保障や国際法などに対するひどい侵害だ」とセルビア側を非難する声明をSNS投稿
●一方、この襲撃を行ったセルビア系住民のメンバー3名が死亡したことに関しセルビアのブチッチ大統領は、襲撃したのはセルビア系住民だと認めた上で、コソボ政府に責任があると主張し、双方の緊張状態が続き現在に至っている
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上記のような状況でのコソボへの携帯型対戦車ミサイルJavelin売却承認ですから、早々にセルビア大統領はこれを非難する声明を出しています。背後で世界の混乱期に乗じ、ロシアがセルビアを煽っているような気がしてなりませんが、かつての「世界の弾薬庫」は、今再びきな臭いにおいを漂わせています
CH-92A china.jpg
なお、以前から航空機産業基盤があるセルビアは、自国製と中国製等の無人機を大量に導入しており、その保有数からバルカン半島内で1番の無人機大国となっており、仮に本格武力衝突となれば、NATO平和維持部隊は相当のリスクを負う可能性があります

小国の対立で際立つ無人機の威力
「コソボと対立のセルビアが無人機大国へ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/29/3970/
「無人機でアゼルバイジャン大勝利」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/

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台湾:真の注目は2月1日の台湾議会議長(立法院長)選出 [安全保障全般]

国民党52、民進党51、民衆党8 過半数は57議席
民衆党がキャスティングボードを握るのか?
総統選で候補統一失敗の国民党と民衆党が協力可能か
総統選に勝利の民進党は、民衆党との協力関係なしでは・・・

台湾 立法院.jpg1月16日付で防衛研究所が、13日の台湾総統選挙結果を踏まえ、速攻で中国研究室の五十嵐隆幸・研究員による「台湾・総統選挙の結果と今後の展望」とのクイックレビューを「NIDSコメンタリー」枠組みで発表しました

中国によるSNS等を巧みにフル活用した統一戦線工作「情報化作戦」にもかかわらず、13日の選挙では民進党の頼清徳が当選し、1996 年以降初めて同一政党が3期以上続けて政権を握ることとなりましたが、立法委員選挙では 10 議席を減らし、14 議席を増やした国民党に1議席及ばず、第二党に転落しました

台湾 立法院5.jpgこのため、議会では第一党である国民党でも過半数に5議席足りず、第三党の民衆党の協力関係を、民進党と国民党がどのように構築するかが国政を占うことになり、第三党の民衆党が言わば「キャスティングボード」を握る形になっています

過去を振り返れば、民進党は 2000 年に初めて政権交代を選挙で成し遂げましたが、陳水扁政権の 2 期 8 年は「ねじれ」状態が続き、政局が混乱して低迷を続けた苦い過去を経験しています。

台湾 立法院3.jpg一方で2016 年からの蔡英文政権は、2 期 8 年を通じて立法院の過半数を維持し、多くの政策を推し進めてきましたが、その反面、滲み出る「驕りと慢心」に有権者は不満を募らせ、これを利用した(中国と)国民党が、立法院での選挙で逆転した形となりました

今後台湾では、5月20日に新総統就任式が行われる前に、当選した立法議員が2月1日に初登院し、新たに議長である立法院長が選出されますが、これがある意味「民進党・頼清徳政権」の命運を左右すると言っても過言ではありません。

台湾 立法院7.jpg言い換えれば、1996 年以降初めて同一政党が3期以上続けて政権を握ることになりましたが、「民進党・頼清徳政権」は初めて 1 期 4 年で終わる政権になる可能性も少なくない状態です。総統選挙は1月13日に終わりましたが、「民主党の取り込み」を狙う二大政党の争いが、2月1日の立法院長選出に向け激しさを増していく事になります

五十嵐隆幸氏による「立法院長」選出の解説をご紹介
台湾 立法院4.jpg●野党である民衆党が国民党と組むことで、民進党を少数与党に追い込む可能性がはあるが、民衆党主席の柯文哲は、2014 年の台北市長選挙では民進党の支持を受け、国民党の候補を破って当選した過去がある。
●また今回の総統選挙では、一時は国民党と候補者一本化で合意したが、それを反故にして民衆党トップとして出馬しており、両党関係の悪化は否めない

●一方で、立法院の副院長や閣僚ポストと引き換えに、民衆党は立法院で民進党との協力に合意する可能性はあり、民進党が民衆党と政策協定を結ぶことができない限り、頼清徳は厳しい政権運営を迫られることになる。
台湾 立法院6.jpg●例えば国防政策面では、米国が台湾に対し武器売却を決定したとしても、立法院で予算案が通過しなければ実際の購入は困難になる。議会で予算案や重要法案が通過せずに政策が停滞すれば、蔡英文政権のように高い支持率を維持することは難しくなり、「ねじれ状態下」の陳水扁政権の二の舞になりかねない

●「民進党・頼清徳政権」の「陳水扁政権化」を見越して、民衆党の柯文哲が 4 年後の総統選挙に再チャレンジを狙っているのであれば、国民党とも民進党とも距離を置き、是々非々の路線を取るであろう

●台湾では、これまでにも「第三極の誕生」と期待される現象が起きたが、その度に二大政党のどちらかに吸収されるか、議席を失っている。
●どちらかと組むことを決めれば、民衆党はキャスティングボートを握るどころか、衰退の道を辿ることになるかもしれない。 民衆党は、チェック・アンド・バランス機能を果たすことで、存在感を示す道を選ぶことも可能だろう
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習近平 愛される国.jpg中国の経済崩壊に伴う国力低下が影響し、大半はもう大丈夫だ・・・との雰囲気が日本に漂っていますが、中国によるなりふり構わぬ「情報化作戦」は、ボディーブローのように民進党政権にダメージを与えており、「頼清徳政権が初めて 1 期 4 年で終わる政権になる可能性」は決して低くない模様です

台湾の状況は「対岸の火事」ではありません。日本では岸田政権がフラフラ状態ですが、この隙に・・・と考えるのが大陸の赤い星国でしょう。

7ページの同コメンタリーPDF現物
https://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary292.pdf

台湾関連の記事
「中国による台湾への非接触型「情報化戦争」」→https://holylandtokyo.com/2024/01/05/5398/
「中国は台湾侵攻どころではない」→https://holylandtokyo.com/2023/12/08/5330/
「中国の影響工作/概要解説」→https://holylandtokyo.com/2023/12/21/5362/

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グアムにシンガポール空軍受け入れ施設増設へ [安全保障全般]

2019年の両国間覚書に基づくとか・・・
東京ドーム18個分の土地を新たに開拓して
何故グアムに今?覚書から5年経過し・・

F-15SG 2.jpg1月3日付米空軍協会web記事は、2019年に米シンガポール間で結ばれた覚書(MOU)に基づき、米空軍が12機のシンガポール空軍版F-15EやF-16等を受け入れて長期訓練可能な施設の建設を今後3-7年間かけて計画しており、そのための事前準備として環境影響調査報告(EIS:Environmental Impact Statement)を2024年中旬に中間報告、2025年初旬に最終報告の予定で進めると報じています

グアム島は対中国の最前線基地として重視され、米ミサイル防衛庁が中国からの弾道&巡航ミサイル防衛体制確立を最優先課題と取り組み中の拠点で、サンゴで形成された施設建設が困難な限られた地籍と原住民にとっての宗教的聖地への配慮等から、ミサイル防衛施設の配置や確保が大きな課題となっている難しい場所ですが、そこに空軍機受け入れ用に追加で200エーカー(東京ドーム18個分)のスペースを新たに確保する施設の建設計画です

Andersen AFB5.jpg両国間の2019年覚書では、シンガポール空軍版F-15Eストライクイーグルの最新型であるF-15SGのほか、同空軍F-16とE-2C早期警戒機も受け入れ可能な施設をアンダーセン空軍基地内に設けることが合意されており、新たな格納庫、機体整備施設、燃料施設、駐機場、道路や駐車場や関係者の施設等が建設計画に含まれているようです

シンガポール空軍は同国周辺空域が非常に混雑して大規模な飛行訓練が難しいことから、これまでにも同様の展開施設が設けられ、F-16用施設がアリゾナ州Luke空軍基地に、 F-15用がアイダホ州Mountain Home空軍基地に、AH-64 Apacheヘリ用はアリゾナ州Marana基地に、それぞれ設けられているようですが、今回はF-15SGを主対象とした受け入れ施設です。

F-15SG 3.jpgもちろん米空軍省はこの受け入れ施設が、重要な同盟国であり、毎年様々な形で共同訓練を行っているシンガポール空軍だけでなく、米空軍機のほか、米軍他軍種の航空機や同盟国等のグアム島での受け入れ施設としても将来に渡り利用可能で、対中国の態勢整備を進める米軍全体にとっても重要な意味を持つと説明しているところです

米空軍協会ミッチェル研究所のMichael Dahm研究員も、「対中国のカウンターバランス面でも意味深く、シンガポール空軍が米空軍戦闘機と継続的に訓練でき、同時に機体の維持整備施設にもアクセス可能となる点でも利点が多い」と、シンガポールから遠くないグアム島での新拠点確保の意義を強調しています
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Andersen AFB6.jpg2019年のMOU締結から5年越しでの200エーカー施設建設の動きです。上でもご紹介したように、グアムの限られた地籍を考えると、諸調整が今後も大変だと思いますが、シンガポール空軍は40機のF-15SGと70機のF-16を擁し、F-35A型購入も進める一大戦力ですので、有事には中国に近いシンガポールから避難し、グアム島からの作戦遂行を考えているのかもしれません。

同空軍は西側(日米を除く)スタンダードであるA330MRTT空中給油機の導入を進めており、グアム島からの遠距離作戦にも対応可能な体制整備を進めつつあり、そんな「思惑」のアンダーセン基地におけるF-15SG受け入れ施設計画だと理解しました

シンガポール空軍関連記事
「シンガポール空軍との演習を利用し」→https://holylandtokyo.com/2023/11/16/5245/
「F-35A型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09/15/3638/
「F-35B売却許可」→https://holylandtokyo.com/2020/01/15/866/

グアムのミサイル防衛関連
「本格試験を2024年開始」→https://holylandtokyo.com/2023/08/22/4937/
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/

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中国による台湾への非接触型「情報化戦争」 [安全保障全般]

防衛研究所が日本台湾交流協会と共同研究
ペロシ下院議長の台湾訪問時を分析し「失敗」と
台湾は中国にとっての「試験場」

AnpoReport2312.jpg防衛研究所が、所属研究者による論文集である安全保障戦略研究(2023年12月号)を発表し、日本台湾交流協会との共同研究事業としてまとめられた論文『中国が目指す非接触型「情報化戦争」 ―物理領域・サイバー領域・認知領域を横断した「戦わずして勝つ」戦い―』を掲載しています

防衛研究所の中国研究室・五十嵐隆幸研究員と日本台湾交流協会・荊元宙氏による同論文は、「サイバー領域と認知領域の定義を確認し、中国の活動を整理したうえで、それに物理領域を加えた全ての領域で横断的に繰り広げられる非接触型の「情報化戦争」について、台湾を事例にその実態を理解する手がかりを考察」することを狙いとし、

Pelosi taiwan.jpg事例として、2022年8月2日から3日のペロシ米下院議長による台湾電撃訪問時に、台湾社会が見舞われたサイバー攻撃と、ペロシ離台後の人民解放軍による軍事演習を取り上げ、

「中国は台湾に対して領域横断的な非接触型「情報化戦争」を仕掛けたのだが、それは失敗に終わった。現時点で中国が台湾に対して繰り広げる領域横断的な非接触型「情報化戦争」の形態を見る限り、平素より対策を講じ、過剰に反応しなければ、その効果を無効化もしくは低減可能であることを台湾は証明した」と結んでいます

AnpoRepo2312.jpg更に同論文は、「また、2014 年から始まったロシアとウクライナの間の紛争を見ても、サイバー領域や認知領域での戦いが戦争全体の帰趨を左右したとは言い難く、むしろその限界が示され、それだけでは戦争に勝てないことが証明されている」と分析しています

同論文は、ペロシ米下院議長の台湾訪問から8月10日の中国による台湾周辺での軍事演習終了までの間の、中国による猛烈な「サイバー領域と認知領域」での非接触型「情報化戦争」の事例を細かく紹介し、4日以降の軍事演習についても概要をフォロー&紹介していますが、

Pelosi taiwan2.jpg『日本や欧米などのメディアは「第四次台湾海峡危機」として動向を注視したが、中国による台湾対岸で軍事演習に台湾の人々は「慣れ」てしまっており、「強要」の効果を失いつつあった。実際、台湾の人々は、圧倒的多数がその軍事演習を「怖くなかった」と語り、軍事演習下でも普通の生活を送っていた。台湾がパニックになっていたら中国の思うつぼだったが、威嚇で屈服させようとする中国の思惑は台湾に通じなかった』と結んでいます

AnpoRepo2312-4.jpgただし論文は、『「人海戦術」で自国民の命を顧みなかった中国でも、今は少子高齢化で軍隊は募集難に苦しみ、「兵士の命」の重要性が増している。ゆえに中国は「戦わずして勝つ」との究極の目標を目指し、領域横断的な非接触型「情報化戦争」の能力構築に努力を継続する』とし、『中国にとって台湾は、中国が領域横断的な非接触型「情報化戦争」の能力を国家総動員で構築していくための「試験場」になっている』と記し、西側の油断を戒めています

また、今後の本分野へのAI技術の活用の可能性に注目し、『最先端の AI 技術で言語や文化の壁を克服し、認知領域での優勢を獲得することで、物理領域と情報領域における優勢をより確保することへと繋がり、それが領域横断的な非接触型「情報化戦争」の到達点になる』とコメントしています
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AnpoRepo2312-5.jpgなお、中国の「情報化局地戦争」の範囲に関して同論文は、以下のように説明しています。

『「領域」についての認識は、米国や NATO 諸国のみならず、中国でもほぼ共通しており、本稿では(米国防省が示している) CDS(領域横断的な相乗作用(Cross Domain Synergy) の区分を準用し、物理次元に存在する陸、海、空、宇宙の 4 領域は「物理領域」、情報次元は Information と Intelligence との混同を避け、かつ、実態にそぐわせて「サイバー領域」、人間の心の中を「認知領域」として議論を進めていく』

AnpoRepo2312-3.jpgその他にも同論文は、学術的論文として、中国の「情報化局地戦争」概念をその経緯も含めて詳しく説明しており、ご興味のある方は論文をご覧ください

日本に対する中国の「情報化局地戦争」について、防衛研究所が分析&対外発信しない徹底した姿勢は、「中国安全保障レポート2024」や「NIDSコメンタリー」や今回の「安全保障戦略研究(2023年12月号)」から、よぉーーーーく理解できました

安全保障戦略研究(2023年12月号)の全体
https://www.nids.mod.go.jp/publication/security/security_202312.html

論文「中国が目指す非接触型「情報化戦争」」
https://www.nids.mod.go.jp/publication/security/pdf/2023/202312_02.pdf 

防衛研究所の対中国姿勢がわかる公刊物
「「中国の影響工作」概要解説」→https://holylandtokyo.com/2023/12/21/5362/
「異様な中国安全保障レポート2024」→https://holylandtokyo.com/2023/11/28/5299/

防衛研究所による各種論考紹介記事
「サイバー傭兵の世界」→https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/
「量子技術の軍事への応用」→https://holylandtokyo.com/2022/01/14/2577/
「先の大戦・あの戦争の呼称は」→https://holylandtokyo.com/2021/08/13/2103/

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防衛研究所が「中国の影響工作」概要解説 [安全保障全般]

情報を制御して自らに有利な状況生み出す工作
欧米民主主義の正当性を弱めるため習近平が強化指示
西側諸国向けは効果的ではないと分析

NIDS China.jpg防衛研究所webサイトが12月8日、山口信治・中国研究室主任研究官による「中国の影響工作概観——その目標・手段・組織・対象」との5ページの論考を「NIDSコメンタリー」として掲載し、習近平が強化している「情報を制御して自らに有利な状況生み出す行動である影響工作」について、タイトル通り「その目標・手段・組織・対象」との視点から紹介していますのでご紹介いたします

少々乱暴に結論から言うと、山口主任研究官は、中国による影響工作は主たる対象を「台湾、各国の華僑華人、グローバルサウスの国々」に置いており、「西側諸国に対する工作は、必ずしも大きな効果を上げているわけではない」と分析しており、日本のマスゴミが中国の経済崩壊について極めて消極的な報道姿勢を撮り続けていることや、日本の現状や将来に関して悲観論を強調する報道ばかりを垂れ流している現状との大きなギャップを感じる結論レポートとなっています

NIDS China2.jpgマスゴミだけでなく、防衛研究所も11月24日発表の「中国安全保障レポート」で、中国の経済崩壊について一切触れない異様とも言える研究姿勢を示していますが、これが日本政府の検閲のせいなのか、防衛研究所としての政府への「心遣い」なのか、中国軍事脅威の崩壊兆候を「隠したい」防衛省の姿勢を反映したものなのかは不明ですが、以下でご紹介する「NIDSコメンタリー:中国の影響工作概観」を見るにあたり、事前に注意喚起させていただきます

山口主任研究官による分析概要
●影響工作とは、情報を制御し、相手国の認識や判断を操作したり混乱させることで、自分たちに有利な状況を作り出す行動を指すが、本稿では中国の影響工作の背景や影響工作の手段と目標、実施に関わる組織、その対象、それがもたらす問題を概観
●習近平は、西側諸国が中国の軍事的封じ込めだけでなく、民主主義や人権イデオロギー浸透により、中国共産党を内部から変質させたり、政権を崩壊させようとしているとの認識を強く持っている。西側は中国におけるカラー革命を画策しているので、西側による中国を「妖魔化」する情報発信や、政権への信頼を揺るがせる言説を排撃し、さらに米欧の民主主義の国際的な正当性を弱め、中国の見方考え方を内外に拡散浸透させなければならないと、習近平は考えている

Hua Chunying4.jpg●上記認識を基に中国は、①中国のイメージを向上して中国政策に対する支持を広げ ②中国に不利な外国の主張や情報に反駁し、中国に不利な情報を遮断し、③相手国の社会の分断を拡大し、政治社会に混乱を生み出す・・・事を推進している

●具体的には、第一にプロパガンダ・宣伝分野で、中国国営メディア情報発信を拡大し、 外国メディアへの中国外交官の寄稿や新華社記事の配信で中国の主張を世界に伝え、外国のプロパガンダへ反駁する。第二のディスインフォメーションでは、偽情報をソーシャルメディアなどに流し、相手国の主張への信用を毀損し、相手の社会や政治に混乱をもたらす
●第三の統一戦線工作は習近平が特に重視して強化している手段であるが、主要敵を内部分裂させたり、友好勢力を増やそうとする策略を意味する。対象として重要なのが華僑・ 華人や外国における友好人士で、習近平は工作を統一的な指揮下で再活性化させようとしており、党の部門である中央統一戦線工作部のみに任せるのではなく、党全体の重要事業と位置付け、関連部門間の連携強化を推進している。

NIDS China3.jpg●ただし、これら中国の手法は、ロシアのような直接的に相手の政治・社会の混乱を狙うアプローチに比べてより間接的で、言説空間において優位に立ち、相手の掲げる価値を引き下げることを狙ったもので、中国は伝統的に相手国のエリート層への働きかけが得意な一方で、ディスインフォメーションは中国にとって比較的新しい手法である
●本工作実施に関連する組織は非常に多く、その指揮関係は非常に複雑。大方針に基づくとは言え、その実施が関係機関の緊密な調整下で実施されているというよりは、バラバラな行動の集合と見る方が適切

●中国の影響工作にかかわる組織は、大きく分けて、宣伝、統一戦線、人民解放軍の3つの系統。宣伝系統は、宣伝に関わる組織からなり、「中央宣伝思想工作領導小組 (組長)」が工作の全般的指導と調整実施。三つ目の人民解放軍は、軍の影響工作を実施する。新たに設立された戦略支援部隊は、 サイバー、電磁スペクトラム、宇宙という情報に関わる機能を統括しており、関連の深い心理・認知領域もその任務に含まれている模様
●二つ目の統一戦線工作系統は、習近平により組織的な強化が図られており、党内に中央統一戦線工作領導小組を設立し、中央統一戦線工作部の機能が大幅に強化され、政府内の独立部門だった国務院僑務弁公室、国務院国家民族事務委員会、国務院国家宗教 事務局が中共中央統一戦線部の指揮下に置かれるなど、一元的統制が強化されてきた

Wenbin2.jpg●主要な対象は、台湾、グローバルサウスの国々、そして各国の華僑華人である。西側諸国に対する中国の影響工作は、必ずしも大きな効果を上げているわけではない。
●まず、台湾の独立傾向を防ぎ、さらに統一を促進することは、中国共産党にとって長年の大目標。次のグローバルサウスの国々については、「一帯一路」等でグローバルサウスの国家と経済・政治・安全保障上の関係を深めようとの姿勢の表れ。世界中に拡大する華僑華人コミュニティを中国共産党の政策のためにまとめ上げ、動員することも狙いとしてるが、華僑華人は実際には多様で、すべてが中国共産党の影響下にあるわけではない

●何が問題か。中国の影響力工作が民主主義国にもたらす可能性があるのは、社会の分断と混乱、政策課題について中国有利な世論誘導、人権や民主との普遍的価値の相対化、選挙介入による政治体制への影響力行使、価値・イデオロギー面から現在の国際秩序を揺さぶり不安定化すること・・・などである
NIDS China4.jpg●中国の手法は、それほど洗練されているとは言えない部分がある。とくにディスインフォメーションはかなり粗い。工作を担当する組織間調整が綿密とは考えにくいく、洗練された連携が取れない状態かも

●影響工作の効果の検証は一般的に難しいが、中国のアプローチは間接的であることから更に難しくなっている。中国の限界、弱さを正しく把握することも重要。
●日本は、中国による様々なタイプの行動に対し、価値や原則を守るために全政府的アプローチで対処が必要。影響工作は技術発展と密接な関係にあり、特に人工知能の発展は、影響工作の実施側と対抗側の双方に今後欠かせないものとなる。グローバルサウスへの工作への対処には、広い国際的協調による対策が欠かせない
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最近の地上波放送や新聞雑誌が、視聴率を下げ発行部数を減らしている原因は、「テレビ放送や新聞雑誌がつまらないだけでなく、目にすると気分が悪くなるからだ」とのSNS上での声が大きな賛同を集めています。

習近平 愛される国.jpg中国の影響力工作がもたらすものを、山口分析官は「社会の分断と混乱、政策課題について中国有利な世論誘導、人権や民主との普遍的価値の相対化、選挙介入による政治体制への影響力行使、価値・イデオロギー面から現在の国際秩序を揺さぶり不安定化」だと端的に指摘していますが、日本のマスゴミが日々垂れ流しているのは、これらを狙った操作された情報ばかりで、普通の日本国民が「目にすると気分が悪くなる」レベル情報のオンパレードです

それなのに山口分析官が「西側諸国に対する工作は、必ずしも大きな効果を上げているわけではない」と論評している評価の根拠が良くわかりませんし、日本への影響工作(日本の政治家や報道機関へのハニートラップ工作等々)に言及が一切ない点なども含め、論考全体を読んでみて話の流れに不自然さが感じられ、誰かによって初期原稿が大きく修正された可能性を強く感じました。

中国経済崩壊に言及ゼロ
「異様な中国安全保障レポート2024」→https://holylandtokyo.com/2023/11/28/5299/

防衛研究所による各種論考紹介記事
「サイバー傭兵の世界」→https://holylandtokyo.com/2020/08/05/515/
「ミャンマーと露の接近を恐れるASEAN」→https://holylandtokyo.com/2023/05/02/4545/
「量子技術の軍事への応用」→https://holylandtokyo.com/2022/01/14/2577/
「「先の大戦」「あの戦争」を何と呼ぶべきか」→https://holylandtokyo.com/2021/08/13/2103/

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(やっと)日英伊戦闘機GCAP開発の管理体制に合意 [安全保障全般]

2022年12月の3か国共同開発合意から1年かけ決定
本部を英国に設置、CEO2名(政府代表と企業代表)が並立リード
政府代表CEOに日本人、企業代表CEOを伊から

GIGO.jpg12月14日、2022年12月に日英伊3か国が共同開発で基本合意した次世代戦闘機GCAP(Global Combat Air Program)に関し、1年間の長きにわたる協議を経て、プロジェクト組織の大枠となる「GIGO:GCAP International Government Organization」を規定した合意文書に、3か国国防相が東京で署名しました

プロジェクト組織を示したGIGOの細部は報道からは不明ですが、英国に置かれるGIGOの2つの本部(headquarters)は2名のCEOによって率いられ、2名のCEOはそれぞれ「政府組織:governments’ GCAP organization」と「軍需産業組織:industrials’ GCAP organization」を並列の関係で統括するとのことです

GIGO2.jpgそして「政府組織CEO」は日本が差し出し、「軍需産業CEO」はイタリアが差し出すことに決定したとの声明文が出された模様です。ただし、具体的に英国の何処に2つの本部(headquarters)が置かれるのか(別々の場所なのか、同居なのか)、誰が2名のCEOに就任するかなどは発表に一切触れておらず、戦闘機と言う大きな金が動き軍需産業界への広がりも大きい共同開発プロジェクトが、一筋縄では進まない重いプロジェクトであることを伺わせます

2022年12月に基本合意し、2035年までに次世代戦闘機GCAP(以前は英伊スウェーデンによるTEMPEST計画と呼称も、スウェーデンは2023年初に脱退し、現在はGCAPと呼称)を開発配備する予定の本プロジェクトですが、2023年3月の3か国協議前には、英と伊国防相が日本に対し、「一度決めた以上、やり通せ」「開始後におじけ付いて逃げるな」「政治的にも、誰かが抜けることはできない」等々と記者団の前で語るなど、やくざ世界の様相を呈しています

GCAP Industry.jpg今回の組織(GIGO)合意では、「政府組織」に関する発表はほとんどないようですが、「軍需産業組織」については、英BAE Systems, 伊Leonardo と日本の三菱重工が中核企業となってリードすることが規定され、9月に決定された企業協力合意に基づき「将来のGCAP開発製造にかかわる企業連合に関する協議は継続中」「MHIとBAEが東京で最近協議を行った」と発表された様ですが、既に約1000社&9000名以上が関与することが現時点で判明しているようです。

また不確かながら、日英伊の3か国以外にも共同開発国を広げる可能性もささやかれており、2023年初にはサウジ加入の可能性が報道された様ですが、これに対しては日本が拒否反応を示していると当該記事は伝えていたようです
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GCAP2.jpg今回のGIGO合意に関し英国防省は、「共同開発フェーズ:joint development phaseは2025年に開始する予定だ」との声明を出しており、プロジェクトが本格稼働するまでに、2024年1年間かけてまだまだ詰めるべき点が「山積み」であることが伺えますが、このような「海千山千」のロビイストやコンサルタントや政治屋や政治家が暗躍しそうな「魑魅魍魎」の世界に日本が首を突っ込み、貴重な人材を投入する意味が戦闘機にはあるのでしょうか?

2月に当時の英国防相が「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することが不可欠」と日本に釘を刺していましたが、公明党が今ごろになって共同開発に反対姿勢を露わにし、早くも国内体制の足元が揺らぎ始めているグダグダですが、「政府組織」を束ねる日本人CEOのご苦労を生暖かく見守らさせていただきます。

英伊+日本のGCAS開発
2023年3月:日本で3か国協議
「英伊が日本恫喝:逃げるなよ!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
2022年12月:英伊日3か国でGCAP(Global Combat Air Program)合意
「伊が訪日し協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11

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研究者投稿:極超音速兵器を過大評価するな [安全保障全般]

「Masaoさん」による極超音速兵器探知センサー検討
CSIS研究員が12月18日発表の同兵器対処宇宙センサー検討

極超音速物体の表面が高温の空気流と反応し放出される「イオン、ガス、粒子、その他の化学副産物の航跡」を検出する高周波電磁波センサーや紫外線センサー
https://www.airandspaceforces.com/hypersonic-missiles-tracking-space-sensor/
レポート現物→https://www.csis.org/analysis/getting-track
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終末の大幅減速でPAC-3やSM-6で迎撃可能性大
同兵器の迎撃回避機動は大減速と射程減を伴う
技術未成熟&開発製造高価で費用対効果を要再考

Hypersonic Glide B3.jpg12月8日付Defense-Newsが、極超音速兵器に関するMITとスタンフォード大学研究者2名の意見投稿を掲載し、同兵器装備化のための開発や同兵器迎撃システム開発に多額の経費が投入され、今後も更なる投資が予期されているが、シミュレーション分析では同兵器終末段階の大幅減速でPAC-3やSM-3で迎撃可能性が高く、迎撃を難しくする同兵器の機動性も速度や射程の大きな代償を伴うものであると、世間一般の「過剰評価」を戒める投稿内容を紹介しています

更に2名の投稿者は、同兵器の飛翔速度維持し射程距離を延ばすためのスクラムジェット技術には未成熟部分が多く、同推進装置に必要なエンジンと燃料は同兵器全体を大型にして重量を増やし、発射時のブースターを更に大型化する必要があるなど、兵器全体の信頼性確保を困難にする要素にあふれており、また更なる高速化は兵器の耐熱性向上の課題も抱えることになることから開発費高騰も予期され、同兵器関連の費用対効果を再検討する必要があると主張しています

Army hypersonic4.jpg寄稿者の一人であるMITのDavid Wright客員研究員(物理学博士)による意見投稿は、5月末にもDefense-Newsに掲載され末尾の記事でご紹介していますが、今回はスタンフォード大学のCameron Tracy研究員(材料工学博士)も加わって、シミュレーション試験や各種分析を加え、巨額投資の費用対効果を疑問視し、MaRVs弾道ミサイルが多くのシナリオ下で費用対効果で上回ると訴えています

8日付Defense-News掲載の寄稿の概要
●音速の 5 倍以上で大気中を滑空する極超音速兵器開発推進の主な動機は、相手のミサイル防衛装備システムへの対応である。国防省高官の中には「南シナ海で活動する米海軍艦艇は中国の同兵器に対し無防備に等しい」と警鐘を鳴らしている一方で、3月には国防省が「最新装備のイージス艦は同兵器に一定程度対処可能だ」とも発言している。我々は、何が真実で現実なのか、何が可能で不可能なのか理解する必要がある

HAWC3.jpg●例えば我々の最近の分析によれば、一般に流布する情報とは異なり、同兵器が飛翔途中でMach 10-12に加速しても、最終段階で地上目標に大気中をダイブする際の空気との摩擦で大幅に減速し、最新の米軍PAC-3やSM-3で十分に迎撃可能な状態になる。この点はウクライナに提供されたPAC-3が、露製の極超音速兵器Kinzhalの迎撃に多数成功している結果からも証明されている。
●南シナ海上の米海軍艦艇も、最新のイージスシステムを装備していればウクライナ軍と同様の発見・追尾・迎撃対処が可能であり、米ミサイル防衛庁が公開している艦艇MDシステム解説アニメ映像(https://www.dvidshub.net/video/801628/mda-hypersonic-concept)でも、SM-6で迎撃可能なことを説明している

ARRW.jpg●同兵器の迎撃を困難にするためには、更に同兵器の飛翔速度を上げる必要があるが、これ以上の飛翔速度アップは同兵器の大気との摩擦熱を増大させることになり、同兵器製造上の大きなネックとなる可能性が高い
●また同兵器は、飛翔途中に大気中で柔軟に飛翔コースを変更可能で、敵の迎撃を困難にすると吹聴されているが、我々の分析では、仮にマック10の同兵器が30度進路を変更するだけで、速度がマック6まで大気摩擦で減速し、射程距離も4割以上ダウンすることが計算で示されている。つまり、軌道上の進路変更は、迎撃側に有利に働く可能性が高い

HAWC5.jpg●最終段階での同兵器の飛翔速度を確保するため、同兵器にスクラムジェットを搭載したタイプの開発も進められているが、スクラムジェットは未成熟な技術である。また、同兵器の弾頭部に付加するスクラムジェット(エンジンと燃料タンクで構成)は兵器重量を増やし構造を複雑化させ、また発射時にスクラムジェット点火に必要な初速を稼ぐブースター部の大型化も必要なことから、同兵器全体の信頼性リスクも増え、開発費用も含め高リスクな開発案件となる

●極超音速兵器と弾道ミサイルを比較すると、弾道ミサイルは極超音速兵器と同等かより早く発射準備が可能で、弾頭に終末段階で機動可能なMaRVs(maneuverable reentry vehicles)を用いれば、大気圏突入後に数百キロ単位の目標修正も可能で、極超音速兵器と同程度の誘導精度も確保できる
GPI MDA2.jpg●我々は、多くのシナリオにおいて、また多くの評価側面で、極超音速兵器よりMaRVs弾道ミサイルが優れていると評価している。最近の米議会Budget Officeの分析でも、MaRVs弾道ミサイルは1/3の予算で極超音速兵器の効果を確保できるとの結果が示されている

●極超音速兵器を巡り、中露等との軍拡競争の緊張が高まったり、同兵器開発や迎撃システム開発予算が膨らむ傾向にあるが、一般に吹聴されているような性能・能力・効果を同兵器がもたらさず、国家安全保障や国益確保につながらないと我々は考える。米国は同兵器への多額の投資の費用対効果について、事実と現実に目を向け、再考すべきである
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GPI MDA3.jpg今年3月15日に、米ミサイル防衛庁MDAのJon Hill長官が講演で、極超音速兵器の滑空段階での迎撃ミサイル(GPI:Glide Phase Interceptor)開発のため、日米共同開発に成功した弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」の経験を活かし、日本との共同開発が可能かどうか日本側と協議を開始していると語っており、その後どうなったか把握していませんが、とっても心配です

グローバルホークRQ-4やオスプレイ、そして日本の戦闘機族の下支えもあって引き受けたF-35も含め、日米同盟の負の側面となっている装備に続くことが無いよう、中露の脅威の動向も冷徹ににらみつつ、極超音速兵器の滑空段階での迎撃ミサイル開発には対応して頂きたいと思います

同筆者による5月末の寄稿紹介記事
「被撃墜事例相次ぐ極超音速兵器を過信するな」→https://holylandtokyo.com/2023/06/01/4695/

米軍の極超音速兵器開発
「米陸軍の最終確認試験&配備は来年に持ち越し」→https://holylandtokyo.com/2023/11/15/5224/
「空軍がARRW配備断念」→https://holylandtokyo.com/2023/04/05/4478/
「バカ高い極超音速兵器」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/

迎撃兵器システム開発関連
「迎撃兵器を日米共同開発で」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/

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台湾総統「中国は大規模な台湾侵攻を考える状態にはない」 [安全保障全般]

中国の課題を「国内の経済と金融、それに政治的なもの」と分析

Taiwan Sai.jpg11月29日、台湾の蔡英文総統がNYT紙主催のイベントにリモート参加し、参加者からの「中国の台湾侵攻可能性についてどう考えられるか」と問われ、「現在、中国の指導部は内部の課題への対応に追われている。大規模な台湾侵攻を考える時ではないだろう」と述べました

イベント参加者の質問に対し蔡英文総統はまず、「(中国による台湾侵攻の)可能性に関するタイムスケジュールを、議論したり話題にしたがる人が多いことは知っているが、習氏は、最近のバイデン大統領との会談で答えを出している」と表現し、11月15日にバイデン・習近平会談で「2027年や2035年に中国が軍事作戦を行う計画はない」と習氏が発言したとされている事を示唆しました

Taiwan Sai2.jpgそして蔡英文総統は中国情勢について、「現在、中国の指導部は内部の課題への対応に追われている。大規模な台湾侵攻を考える時ではないだろう」と述べ、中国の指導部が直面している課題として「主に国内の経済と金融、それに政治的なものだ」と指摘ました。

この発言を聞いて、2022年2月のロシア侵略直前にウクライナのゼレンスキー大統領が「ロシアによるウクライナ侵攻可能性は低い」と発言していたことを持ち出し、有事や有事への備えに関する蔡英文総統の考えの甘さを指摘する人もいるでしょうが、蔡英文総統がその程度の指導者だとはまんぐーすは思いません

Biden.jpg中国との軍事力の圧倒的な差、中国からの絶え間ないサイバー攻撃や情報戦、中国海空戦力による示威活動のエスカレート傾向等々を十分に把握しつつ、限界がある中で可能な範囲の有事体制強化を水面下で全力で進めつつ、一方で「中国による台湾侵攻の恐れ」による外国資本の台湾から国外への流出や外国から台湾への投資の減少を抑えるため、あえて誤解を恐れず正直に、現時点までに収集した情報から自然と導かれる情勢判断を披露したものと考えます

繰り返しになりますが、可能性が低下しつつある有事に備えた準備は淡々と進めつつ、一方で台湾経済維持の重要性を踏まえ、国家指導者として必要だと考える客観的な情報に基づく情勢認識を披露したものだと考えます

Biden2.jpg米国は、米国内のインフレ抑制だけでなく、中国通貨の暴落を狙った「利上げ状態維持」政策を継続しており、中国への貿易規制などと併せて、超党派の態勢で「中国潰し」に全力投球しており、ある意味で中国に「戦わずして勝つ(軍事的な戦いに至る前に、経済的に破綻させる)」ことに光明を見出しつつあると思います

「中国の不動産バブル崩壊」は「中国金融制度崩壊」を導きつつあり、中国経済や中国の国家としての形が今後どのような道をたどるのか、その影響が世界にどう及ぶのか不安で仕方ありませんが、軍事的脅威だけを声高に叫んでいては、片手落ちだと思う今日この頃です

大変残念な防衛研究所の『中国安保レポ2024』
「中国経済崩壊に言及ゼロの」→https://holylandtokyo.com/2023/11/28/5299/

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2024年夏に独仏西の戦闘機等が大挙アジア訓練ツアー計画 [安全保障全般]

他の戦闘機開発グループの英と伊も加わる可能性
RIMPAC→日→豪→ネシア→インドへ戦闘機30機以上で
アジアでの米国負担軽減で欧州関与を側面支援とか

German AF Asia6.jpg11月27日付Defense-Newsが独国防省や独空軍情報を基に、2024年の7月から8月にかけ、欧州主要国(FCAS次期戦闘機開発でチームを組む独仏スペインを中心に、英と伊も参加可能性大)が戦闘機30機以上と輸送機等で、中国と対峙するアジア太平洋諸国を巡回し、「RIMPAC2024」や豪での「Pitch Black」や印での「Tarang Shakti」演習に参加し、日本にも数日間立ち寄ると報じています

同報道の雰囲気や、2022年にドイツ空軍がアジア太平洋地域への24時間での緊急展開訓練として、6機のEurofighters、4機のA400M輸送機、3機のA330空中給油機でシンガポールにまず展開し、アジア諸国を回って日本にも飛来して空自機と共同訓練した実績からすると、2024年夏の大規模欧州諸国軍機のアジアツアーはドイツ空軍主導で計画されている模様です。

German AF Asia.jpg現時点で既に少なくとも30機の戦闘機(Eurofighters(独8機、スペイン4機)、トーネード独12機、ラファール仏6機)のほか、A400M輸送機8機(独4機、仏スペイン4機)、更にA330空中給油機7機(独3機、仏等3機)も含む大規模編成なっていますが、FCAS国以外からも、「アジア太平洋での米国負担軽減」と「欧州での米支援の支援」趣旨を受け、他の次期戦闘機GCAS開発グループ国(日本も参加!)である英や伊軍機の参加可能性大と、記事は伝えています

German AF Asia5.jpg独空軍によれば、2024年夏の展開に際しては、欧州航空戦力群は北大西洋と北米大陸を横断してアラスカにまず移動し、その後ハワイを中心に7月下旬に開催予定の環太平洋演習RIMPAC2024に参加して艦艇群との連携も演練し、次に日本に数日間立ち寄って日本編隊と飛行訓練を行い、その後は豪州に足を延ばして「Pitch Black」演習に参加予定となっています。

豪での演習後は、インドネシア又はマレーシアに展開して地域完熟訓練と展開国軍との連携を深め、最後にインドに移動して同国主催の国際演習「Tarang Shakti」への参加を調整中だとのことです
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German AF Asia2.jpg記事は、ドイツ空軍が次期戦闘機FCAS開発グループ国である仏スペインとともにアジア訓練ツアーを計画中で、「恐らく英軍とイタリア軍航空機も道中で参加するだろう:possibly also involving aircraft from the U.K. and Italy along the way」と表現しており、FCASグループでないGCAS開発グループである英や伊は、FCASグループが欧州大陸からアラスカへの移動時にのみ、「European face」との欧州諸国の取り組みの一環として参加するだけかもしれません

German AF Asia3.jpg次期戦闘機FCAS(Future Combat Air System)開発のアピールが背景にあると、なんとなく「うさん臭い」アジア訓練ツアー感も漂いますが、「RIMPAC2024」「Pitch Black」「Tarang Shakti」演習参加と日本への立ち寄りもある大変力の入った取り組みですので、歓迎したいと思います

ただドイツは現在、左翼系連合政権による「原発全廃」や「EV過剰推進」等の負の影響をもろに受け、エネルギー価格高騰や世界からの投資一斉撤退で経済が崩壊方向にまっしぐら状態です。ドイツ空軍の元気印「Ingo Gerhartz独空軍参謀総長(冒頭写真)」のご奮闘を祈るばかりです

2022年ドイツ空軍の初アジアツアーなど
「独戦闘機6機がアジア豪星日韓へ」→https://holylandtokyo.com/2022/08/18/3566/
「独で冷戦後最大の航空演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/01/4515/
「独が戦術核共有にF-35導入へ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/

【ご参考:欧州の戦闘機開発2グループ】
●「独仏スペイン」のFCAS(Future Combat Air System)
→独Airbus, 仏Dassault, スペインIndra、仏Thales, 仏MBDA and 仏Safranなど

●「英伊スウェーデン+日本」のGCAS(Global Combat Air System)
「TEMPEST」計画とも呼ばれる
→英BAE、英ロールスロイス、スウェSaab、日MHI、伊Leonardoなど

仏独スペインのFCAS開発
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「ベルギーが関与希望か」→https://holylandtokyo.com/2023/06/26/4766/
英スウェ伊+日本のGCAS開発
「英伊が日本恫喝:逃げるなよ!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
「伊が訪日し協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11

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NATOもE-3後継にE-7導入決定 [安全保障全般]

2031年までに6機で運用態勢確立へ:追加可能性も
2月導入決定の米に続き、豪、韓、トルコ、英と運用仲間に
現保有14機のE-3は2035年までに退役予定

E-7 NATO.jpg11月15日、NATOが現在14機保有(独空軍基地を拠点に運用)して加盟国で共同運用しているE-3早期警戒管制機の後継機としてボーイング製のE-7を選定し、2031年までにとりあえず初度の6機をFMS契約で導入して、運用態勢を確立すると発表しました

NATOは高価なアセットを加盟国で共同購入し、運用要員を各国から差し出して混合編成で運用する方式をE-3や輸送機で実施しており、今回のE-7購入はNSPA(NATO Support and Procurement Agency:7か国:ベルギー、独、ルクセンブルグ、蘭、ノルウェー、ルーマニア、米で構成)により、Saab Global EyeとBombardier Global 6500とNorthrop Grumman E-2Dを比較対象として、2022年下旬から選定作業を行ってきた結果とのことです

E-7 NATO2.jpgNATOが独Geilenkirchen基地を主拠点に14機運用中のE-3は、1980年代に導入されNATOの主要作戦で活躍中で、2011年の911同時多発テロ時には7機が7か月間米本土に派遣され多国籍搭乗クルー編成で運用されたほか、中東での対ISIS作戦や最近のロシアによるウクライナ侵略でも東欧国境の監視に投入されています

E-7はB-737をベースとした機体にNorthrop Grumman製レーダーを搭載したボーイング製で、2010年に豪州で運用を開始し、韓国、トルコ、英国が運用中または発注済です。最近では2023年2月に米空軍が26機導入決定を発表し、2025年のプロトタイプ機を経て、27年に初号機を受領し、32年までに26機全機での運用態勢確立を予定している「世界標準の早期警戒管制機」となりつつある機体です

E-7 NATO3.jpgNATO関係者はE-7選出理由として、(米、英、豪、トルコなど)NATO関係国で既に運用され相互運用性があり、基本的な性能に加え将来的な能力拡張性があるほか、製造ラインが稼働中で入手容易、航続距離や在空性能、搭乗人員数等々の設計面でNATO側の要求を満たし、新規開発リスクが無い点を挙げています

NATOは米軍と同様に、E-3が担っていた空中&地上移動目標監視追尾任務を、将来的には宇宙アセットを中心に、RQ-4無人ISR機や地上&海上配備レーダーで補完しつつ、クラウド使用のマルチドメイン指揮統制システムで連携統制運用する姿を描いていますが、実現にはまだまだ時間と経費が必要なことから、E-7導入機数が「とりあえず」導入決定の6機から増加する可能性を示唆しているようです
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E-767.jpg下の過去記事でご紹介しているように、E-7の今後の能力向上や効率的維持整備のため、米英豪がタッグを組むことを今夏に発表しており、「宇宙アセットによる監視体制確立の夢」はあるものの、実態的には今後数十年間はE-7が「世界標準の空中&地上移動目標監視追尾アセット」となることが確実でしょう。

つまり、日本しか運用していないE-767は今後の維持に益々苦労が増えるということです・・・残念ながら。F-35大量「引き受け」導入や、RQ-4やオスプレイ強制導入などと並び、「日米同盟の負の側面」を象徴する装備品となる可能性大です。KC-46もかな・・・

11月15日のNATO発表
https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_219907.htm?selectedLocale=en

米軍とE-7導入関連の記事
「今後の能力向上を米英豪共同で」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
「E-7とE-3違いを概観」→https://holylandtokyo.com/2023/03/30/4447/
「初号機を2027年納入契約」→https://holylandtokyo.com/2023/03/06/4358/
「導入を正式発表」→https://holylandtokyo.com/2022/04/28/3186/
「E-3は2023年から退役へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/01/3074/
「後継機検討のRFI」→https://holylandtokyo.com/2022/03/01/2711

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