米印空軍演習参加にB-1爆撃機がインド再展開 [安全保障全般]
「Cope India 2023」演習が4月10-24日の間で
米空軍はF-15EとC-130Jも参加、B-1は2月にも
航空自衛隊員もオブザーバ参加
4月13日付米空軍協会web記事が、インド国防省による米印空軍演習「Cope India 2023」に関する12日付プレスリリースなどを紹介しつつ、今年2月に開催のインド航空ショー(Aero India)に続き、B-1爆撃機がインドに展開するなど、米軍とインド軍との関係が強化されつつある様子を伝えています
なおインド国防省発表はわずか6行の短いものですが、最後に「航空自衛隊員がオブザーバー参加し、米印空軍と交流する(Personnel from the Japanese Air Self Defence Force will also observe the exercise and interact with the two participating air forces)」と記されており、アジア・インド太平洋地域において日本に期待される役割が急速に拡大していることを伺わせます
訓練は、4月10日から開始の第1フェーズ「空輸フェーズ」で始まり、横田基地C-130やハワイヒッカム基地のC-17による空輸訓練が行われ、この間にWilsbach太平洋空軍司令官がインド空軍のロシア製SU-30MKI後席に搭乗して飛行する画像が公開されるなど、両国空軍の親密ぶりをアピールする場面が今後も発信されていくものと考えられます
13日から始まった第2フェーズは「航空作戦フェーズ」で、米空軍からはF-15EストライクイーグルにB-1爆撃機、インド空軍はSu-30 MKI, Rafale, Tejas, Jaguar戦闘機、更にインド空軍の空中給油機やAWACSも投入して、24日まで訓練することになっています
米印空軍演習「Cope India」は2004年に初回が実施され、その後2005, 2006, 2009年に実施されていますが、その後は2018年の再開まで間隔が空いており、米印関係のバロメータのような演習となっています。
その他、隔年開催のインド航空ショー(Aero India)の視点で見てみると、2021年開催の同イベントにB-1がインド初展開参加して大きな話題になりましたが、2023年2月開催時にはB-1が大サービスで超音速飛行を行ったほか、F-35の性能展示飛行や三沢F-16デモ飛行チームによるアクロバット飛行なども披露され、会場を大いに盛り上げ、インドメディアで大きく取り上げられたとのことです
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フィリピンでは米軍17000名が参加する大規模演習「Balikatan」が始まり、豪州では7月に米豪演習「Talisman Sabre」が兵站に特化して過去最大の兵站演習として計画されるなど、不動産バブル崩壊で弱みも見せつつある中国に、「対中国」包囲網構築を見せつけるかのような、米軍とアジア太平洋地域諸国との訓練が花盛りであり、誠に素晴らしいことです
インド国防省プレスリリース12日付
→ https://pib.gov.in/PressReleaseIframePage.aspx?PRID=1915928
2021年のB-1爆撃機インド初展開
「米軍爆撃機が75年ぶりインド訪問」→https://holylandtokyo.com/2021/02/10/259/
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米空軍はF-15EとC-130Jも参加、B-1は2月にも
航空自衛隊員もオブザーバ参加

なおインド国防省発表はわずか6行の短いものですが、最後に「航空自衛隊員がオブザーバー参加し、米印空軍と交流する(Personnel from the Japanese Air Self Defence Force will also observe the exercise and interact with the two participating air forces)」と記されており、アジア・インド太平洋地域において日本に期待される役割が急速に拡大していることを伺わせます

13日から始まった第2フェーズは「航空作戦フェーズ」で、米空軍からはF-15EストライクイーグルにB-1爆撃機、インド空軍はSu-30 MKI, Rafale, Tejas, Jaguar戦闘機、更にインド空軍の空中給油機やAWACSも投入して、24日まで訓練することになっています

その他、隔年開催のインド航空ショー(Aero India)の視点で見てみると、2021年開催の同イベントにB-1がインド初展開参加して大きな話題になりましたが、2023年2月開催時にはB-1が大サービスで超音速飛行を行ったほか、F-35の性能展示飛行や三沢F-16デモ飛行チームによるアクロバット飛行なども披露され、会場を大いに盛り上げ、インドメディアで大きく取り上げられたとのことです
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インド国防省プレスリリース12日付
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2021年のB-1爆撃機インド初展開
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北朝鮮が水中核爆発「津波」兵器試験をアピールも [安全保障全般]
水中無人艇で60時間水中侵攻し爆発実験と
敵港湾施設や空母攻撃群に「放射性津波」攻撃とか
米韓の専門家は懐疑的な見解・・・
3月24日北朝鮮の朝鮮中央テレビが、水中無人艇に核兵器を搭載して爆発させ、「放射性津波」を発生させて敵港湾施設や敵空母攻撃群を壊滅させる兵器の試験を、3月21日~23日の間に実施して成功したと報じました。
同テレビは水中無人艇兵器が、海岸から発進するか、艦船で牽引されて沖合から発射可能だと紹介し、「敵の海軍を破壊するために作戦海域に密かに侵入し、水中爆発を通じて超大規模な放射性津波を発生させる」ように設計されていると説明しています
また今回の試験では、水中無人艇兵器が21日火曜日に北朝鮮の東海岸沖から発進し、60 時間近く水中を移動して、敵港湾施設に見立てた標的付近で模擬爆発に成功したと伝え、北朝鮮が2012年から開発を開始し、過去2年間で50回以上テストを行った成果だと強調した模様です
北朝鮮は、この水中無人艇を韓国語で津波を意味する「Haeil:ヘイル」と名付けていますが、金正恩総書記がこの新型兵器の試験を視察したとして、先端が黄色のミサイルのようなものと一緒に写る写真や、無人艇の水中軌道や爆発時の水柱画像も北朝鮮労働新聞で公開しています。
24日付Defense-Newsによれば、韓国の李鍾燮国防相は北朝鮮の発表前日に、一般論として国会議員らに対し、北朝鮮はおそらく核兵器技術で大きな進歩を遂げているが、最先端の兵器に核兵器を搭載する技術をまだ習得していないと述べており、ソウルの北朝鮮研究大学のキム教授は、北朝鮮は韓国の全ての港を攻撃可能だとアピールしているが、その主張を検証することは不可能だとコメントしています
カーネギー平和基金のAnkit Panda上席研究員も、兵器用核物質保有量が限定的な北朝鮮で、弾道ミサイル以外に核物質を使用する選択を非効率だと疑問視し、また「この無人潜水艇は西側対潜作戦に対し極めて脆弱で、先制攻撃の目標にもなるだろう」とコメントしています。また、このような水中艇に適合する核弾頭を開発する能力については評価が分かれており、技術向上には核実験が不可欠であることからも、懐疑的な見方を示しています。
まぁ・・・60時間かけて敵港湾や艦隊を攻撃するなら、弾道ミサイルで核攻撃した方が手っ取り早いと思いますが、「将軍様」の思い付きか、西側の対処を複雑化する深い狙いなのか・・・北朝鮮の考えていることはよくわかりません
同期間に実施の北朝鮮巡航ミサイル訓練映像(130秒)
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敵港湾施設や空母攻撃群に「放射性津波」攻撃とか
米韓の専門家は懐疑的な見解・・・

同テレビは水中無人艇兵器が、海岸から発進するか、艦船で牽引されて沖合から発射可能だと紹介し、「敵の海軍を破壊するために作戦海域に密かに侵入し、水中爆発を通じて超大規模な放射性津波を発生させる」ように設計されていると説明しています

北朝鮮は、この水中無人艇を韓国語で津波を意味する「Haeil:ヘイル」と名付けていますが、金正恩総書記がこの新型兵器の試験を視察したとして、先端が黄色のミサイルのようなものと一緒に写る写真や、無人艇の水中軌道や爆発時の水柱画像も北朝鮮労働新聞で公開しています。

カーネギー平和基金のAnkit Panda上席研究員も、兵器用核物質保有量が限定的な北朝鮮で、弾道ミサイル以外に核物質を使用する選択を非効率だと疑問視し、また「この無人潜水艇は西側対潜作戦に対し極めて脆弱で、先制攻撃の目標にもなるだろう」とコメントしています。また、このような水中艇に適合する核弾頭を開発する能力については評価が分かれており、技術向上には核実験が不可欠であることからも、懐疑的な見方を示しています。
まぁ・・・60時間かけて敵港湾や艦隊を攻撃するなら、弾道ミサイルで核攻撃した方が手っ取り早いと思いますが、「将軍様」の思い付きか、西側の対処を複雑化する深い狙いなのか・・・北朝鮮の考えていることはよくわかりません
同期間に実施の北朝鮮巡航ミサイル訓練映像(130秒)
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フィリピンに米空軍F-22が初展開 [安全保障全般]
テニアン島へのF-22初展開に続き
フィリピン4空港への米軍アクセスも合意
3月13日、1951年から米国と軍事同盟を結んでいるフィリピンに初めて第5世代機である米空軍F-22戦闘機が展開し、同14日にかけて展開先のクラーク空軍基地からフィリピン空軍FA-50(韓国製でF-16ベースの攻撃機)と南シナ海上空で訓練を実施しました。
2月にはオースチン国防長官がフィリピンを訪問し、フィリピン軍クラーク空軍基地以外のフィリピン国内4か所の飛行場への米軍アクセスに合意しており、これら4飛行場の利用には今後施設整備等が必要になるとのことですが、対中国最前線であるフィリピンと米国との関係が、2022年6月のMarcos Jr大統領就任後に改善されつつあるようでうれしい限りです
フィリピンのクラーク基地に展開したF-22の機数を米空軍リリースや報道は言及していませんが、米空軍が多数公開した写真からすると2機で、フィリピン展開直前までグアム島近傍のテニアン島に初展開していたアラスカ州エレメンドルフ基地所属の第525戦闘飛行隊のF-22だそうです
稼働率の低下から、2030年頃からの退役が予期されているF-22ですが、ここに来て様々な場所に「第5世代機として初展開」し、米国と相手国との対中国団結のシンボルとして活躍しています
フィリピン展開中には、フィリピン空軍が保有する最新型機である韓国製FA-50(F-16をベースにロッキードの技術支援も得て製造&輸出している練習機T-50の攻撃機タイプ)と南シナ海上空で共同訓練を実施し、F-22が空中戦をデモしたり、F-22による航空優勢確保の中での対地対艦攻撃訓練をFA-50が行ったようです
また、嘉手納基地所属のKC-135空中給油機が南シナ海に飛来し、展開中のF-22に空中給油を行って、南シナ海で「有事」発生の際は、直ちに駆けつける体制にあることをアピールしたようです。
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中国に押されっぱなしだった昨年までとは少し雰囲気に変化が見え始め、米海兵隊の海兵沿岸旅団MLRが2025年までに沖縄に編制され、日本が400発程度のトマホーク巡航ミサイル購入を決断し、豪州に2030年以降に攻撃原潜が提供されることが発表され、気球対処などなど米国による対中国攻勢が強化されつつあります。
ドゥテルテ大統領時代には、枝葉末節なフィリピンの「人権問題」に米国政権がこだわって米比関係がギクシャクしましたが、この面でも米国が柔軟性を示し始めたのか、フィリピン側が対中姿勢を変化させたのか把握していませんが、変化の兆しを感じます
フィリピン関連記事
「米軍のアジア太平洋協力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/02/20/4294/
「比の新大統領は中国寄り?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/
「日本製監視レーダー提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/
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フィリピン4空港への米軍アクセスも合意

2月にはオースチン国防長官がフィリピンを訪問し、フィリピン軍クラーク空軍基地以外のフィリピン国内4か所の飛行場への米軍アクセスに合意しており、これら4飛行場の利用には今後施設整備等が必要になるとのことですが、対中国最前線であるフィリピンと米国との関係が、2022年6月のMarcos Jr大統領就任後に改善されつつあるようでうれしい限りです

稼働率の低下から、2030年頃からの退役が予期されているF-22ですが、ここに来て様々な場所に「第5世代機として初展開」し、米国と相手国との対中国団結のシンボルとして活躍しています

また、嘉手納基地所属のKC-135空中給油機が南シナ海に飛来し、展開中のF-22に空中給油を行って、南シナ海で「有事」発生の際は、直ちに駆けつける体制にあることをアピールしたようです。
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ドゥテルテ大統領時代には、枝葉末節なフィリピンの「人権問題」に米国政権がこだわって米比関係がギクシャクしましたが、この面でも米国が柔軟性を示し始めたのか、フィリピン側が対中姿勢を変化させたのか把握していませんが、変化の兆しを感じます
フィリピン関連記事
「米軍のアジア太平洋協力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/02/20/4294/
「比の新大統領は中国寄り?」→https://holylandtokyo.com/2022/07/08/3450/
「日本製監視レーダー提供へ」→https://holylandtokyo.com/2020/08/31/536/
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英国も弾薬不足深刻:ウ提供分挽回に10年必要 [安全保障全般]
英議会国防委員会が危機感溢れるレポートも
嘆く声、懸念する声にあふれるも・・・
3月7日英国議会国防委員会が、大量の弾薬をウクライナ支援に提供したことで生じている英国軍の弾薬不足が危機的な状況になっているとの警告レポートをまとめ、英国防省に至急対応策をまとめて英議会に報告せよと求めています。
英国は露によるウクライナ侵略が始まって以来、米国に次ぐ2番目の武器支援国としてウクライナを支え、NLAW対戦車ミサイル、Javelin対戦車ミサイル、Brimstone空対地ミサイル、Starstreak防空ミサイル AMRAAM空対空ミサイルや10万発の火砲砲弾など総額3000億円の支援を行い、追加で砲弾10万発などの提供を約束しているとのことですが、
冷戦終了からつい最近までの軍縮の流れの中で、弾薬製造産業基盤を含む軍需産業全体が大きく縮小した結果として、ウクライナへの提供分「穴埋め」には10年以上必要な懸念すべき状態だと同レポートは訴えています
レポート発表に際しTobias Ellwood国防委員会委員長は、「英国やNATOの弾薬備蓄は危険なレベルにまで縮小している」、「信頼に足る軍隊であるために、英国は十分や軍の人員、兵器、弾薬と装備が確保されなければならない」、「英国軍備蓄を補給するのに長期間要する現状を懸念する」、「政府と産業界は行動を起こさねばならない」と訴えています
同レポートにはRichard Barrons前英国統合軍司令官の証言も掲載され、「1990年から続く重要装備やプラットフォーム投資削減の流れで、弾薬備蓄も予備役も施設インフラも空虚な状態に陥っている」、「ハイエンド紛争に直面した場合、英国軍の弾薬は1週間持たないだろう」と厳しい現状を語っています
現在の政府対応について同レポートは、英国防調達省は昨秋の追加予算で英国軍弾薬備蓄の保管増強予算を確保しているが、この程度の対処では必要な備蓄回復までに10年以上必要であると警鐘を鳴らしています
また同レポートはNATO全体でも同様の厳しい状況だとし、「NATO司令部での聞き取りでは、Javelin対戦車ミサイルの調達は5年待ちの状態で、CSISの換算によれば、ウクライナに提供されたスティンガー携帯防空ミサイル数は、過去20年間に米国以外の国が購入した同ミサイル総量と等しいレベル」だと、消耗の激しさと増産の難しさを指摘しています
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米軍の弾薬不足が深刻で、補給のための軍事産業基盤も弱体化している現状を、様々な研究や発言からをご紹介してきましたが、英国やNATOも同じで、冷戦後の大軍縮の後の現状からすれば米国よりもはるかに厳しい状況と考えられます
英議会国防委員会のレポートは懸念の声に満ちていますが、ウクライナ戦争の影響を強く受け、疲弊した英国やNATO諸国の経済は急激な国防費増を支える余裕はないと思います。残念ながら・・・
弾薬量の圧倒的不足問題
「米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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嘆く声、懸念する声にあふれるも・・・

英国は露によるウクライナ侵略が始まって以来、米国に次ぐ2番目の武器支援国としてウクライナを支え、NLAW対戦車ミサイル、Javelin対戦車ミサイル、Brimstone空対地ミサイル、Starstreak防空ミサイル AMRAAM空対空ミサイルや10万発の火砲砲弾など総額3000億円の支援を行い、追加で砲弾10万発などの提供を約束しているとのことですが、

レポート発表に際しTobias Ellwood国防委員会委員長は、「英国やNATOの弾薬備蓄は危険なレベルにまで縮小している」、「信頼に足る軍隊であるために、英国は十分や軍の人員、兵器、弾薬と装備が確保されなければならない」、「英国軍備蓄を補給するのに長期間要する現状を懸念する」、「政府と産業界は行動を起こさねばならない」と訴えています

現在の政府対応について同レポートは、英国防調達省は昨秋の追加予算で英国軍弾薬備蓄の保管増強予算を確保しているが、この程度の対処では必要な備蓄回復までに10年以上必要であると警鐘を鳴らしています

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米軍の弾薬不足が深刻で、補給のための軍事産業基盤も弱体化している現状を、様々な研究や発言からをご紹介してきましたが、英国やNATOも同じで、冷戦後の大軍縮の後の現状からすれば米国よりもはるかに厳しい状況と考えられます

弾薬量の圧倒的不足問題
「米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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極超音速兵器の迎撃兵器を日米共同開発で [安全保障全般]
「SM-3 block IIA」共同開発の実績踏まえ
まだ初期段階で分担可能性を協議中
2030年代初頭に初期型配備めざし
3月15日、米ミサイル防衛庁MDAのJon Hill長官(海軍中将)が講演で、極超音速兵器の滑空段階での迎撃ミサイル(GPI:Glide Phase Interceptor)開発を目指し、日本との共同開発が可能かどうか日本側と協議を開始していると語り、弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」開発成功の経験を活かしたいと意欲を示しました
極超音速兵器は滑空段階で、音速の5倍以上のスピードでしかも機動することから、その迎撃は極めてハードルが高いと考えられていますが、GPI開発は「mission solution analysis phase」段階にあり、どのような技術が必要で、どのように協力体制や企業体制を組んで迎撃システムを構築すべきかを検討していると同長官は述べ、2024年度予算案に約270億円の予算要求をしていると記者団に説明しています
また、GPI開発の目標として「a deployment or getting to that first article out there in the early 30s」と表現し、2030年代初頭の初期配備を目指しての構想だと語っています
日本にMDAのGPIチームを派遣し、日本政府の技術、調達、兵站担当幹部を交えた検討会を既に開催し、次回は米国関係企業も含めたメンバーで日本を訪問して議論を深め、「どのような協力分担や体制が良いか煮詰めて行く段階だ」と現状を同長官は説明し、
サクセスストーリーである弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」開発(日本が主に2段目と3段目の推進装置等を担当)の流れを踏襲すれば、日本側に今回も推進装置を担ってもらう形だが、今回日本側は弾頭を含む迎撃体部分を含む前方部分の担当にも関心をしているとも述べています
現状での課題として同長官は、GPI開発に競争環境を導入するため、2022年6月にMDAがレイセオンとN-グラマンの2社と同時に契約したことを上げ、今日本側が話を進めるとなれば、最終的には1社が脱落することが分かっていながら、設計思想が異なる2社と並行して業務を進める必要があることだと述べ、2社が1社に絞り込まれる時期等は現時点で未定で、技術成熟の状況を踏まえて判断・・・とのみ示されていると語っています
また、米側企業としては、日本企業が下請け契約に回ってくれることを希望しているだろうが、今後の協議結果によって、「SM-3 block IIA」開発の際のように、当初は米企業が日本企業の下請けに回る可能性もある・・・ともHill長官は触れています
申し送れましたが、このGPIはイージス艦の垂直発射管から発射することを想定しており、その点でも「SM-3 block IIA」開発との親和性が高いとのことです
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日本政府と日本企業のやる気や本気度合いがどの程度かわかりませんが、極めて難しい挑戦ですし、開発費用がどの程度のなるのか気になるところです
ネット情報によると、弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」1発の価格が26~30億円とされており、極超音速兵器への対処は弾道ミサイルより遥かに難しいとなると、GPIは1発50億円超とかのレベルになるのでしょうか?
迎撃兵器システム開発関連
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
米軍の極超音速兵器開発
「バカ高い極超音速兵器:米議会が試算」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「高価な兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「潜水艦へは2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24
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まだ初期段階で分担可能性を協議中
2030年代初頭に初期型配備めざし

極超音速兵器は滑空段階で、音速の5倍以上のスピードでしかも機動することから、その迎撃は極めてハードルが高いと考えられていますが、GPI開発は「mission solution analysis phase」段階にあり、どのような技術が必要で、どのように協力体制や企業体制を組んで迎撃システムを構築すべきかを検討していると同長官は述べ、2024年度予算案に約270億円の予算要求をしていると記者団に説明しています

日本にMDAのGPIチームを派遣し、日本政府の技術、調達、兵站担当幹部を交えた検討会を既に開催し、次回は米国関係企業も含めたメンバーで日本を訪問して議論を深め、「どのような協力分担や体制が良いか煮詰めて行く段階だ」と現状を同長官は説明し、

現状での課題として同長官は、GPI開発に競争環境を導入するため、2022年6月にMDAがレイセオンとN-グラマンの2社と同時に契約したことを上げ、今日本側が話を進めるとなれば、最終的には1社が脱落することが分かっていながら、設計思想が異なる2社と並行して業務を進める必要があることだと述べ、2社が1社に絞り込まれる時期等は現時点で未定で、技術成熟の状況を踏まえて判断・・・とのみ示されていると語っています

申し送れましたが、このGPIはイージス艦の垂直発射管から発射することを想定しており、その点でも「SM-3 block IIA」開発との親和性が高いとのことです
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ネット情報によると、弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」1発の価格が26~30億円とされており、極超音速兵器への対処は弾道ミサイルより遥かに難しいとなると、GPIは1発50億円超とかのレベルになるのでしょうか?
迎撃兵器システム開発関連
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/
米軍の極超音速兵器開発
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「高価な兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
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露による3月9日のミサイル飽和攻撃を概観 [安全保障全般]
兵器不足で飽和攻撃間隔が長くなる傾向
極超音速兵器から旧式ミサイルまで多様な兵器混合で81発
イラン製ドローンや地対空ミサイルで地上攻撃も
3月10日付Military.com記事が、ウクライナ軍のValerii Zaluzhnyi参謀総長のインタビュー等を交え、昨年10月から定期的に露軍が実施している3月9日の各種ミサイル混合の大規模同時飽和攻撃の状況を紹介し、ロシアとウクライナの対応を取り上げています
ウクライナ国内のどの施設が、ロシアのどの兵器で攻撃されたか、またウクライナ側の被害がどの程度かについて等、多くの関連情報が軍事上の秘密事項となっているため、またウクライナ側は西側からの兵器支援を強く要請している点からも、出てくる情報や表現ぶりに偏りがある可能性もありますが、ウクライナVSロシアのミサイルを巡る戦いの数少ない情報ですのでご紹介することにしました
3月10日付Military.com記事によれば
●ロシアはウクライナ国民の抗戦意志を弱めるため、昨年10月から多様なミサイルや攻撃ドローン等を交えた飽和攻撃を定期的に繰り返しているが、英国防省は、その攻撃間隔は長くなる傾向にあり、飽和攻撃に必要なミサイル数確保が困難になっているためと分析している
●9日の大量のミサイル飽和攻撃には、極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射)や旧式の超音速兵器Kh-22(TU-22Mから発射)、最新のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイル、その他の短射程の航空機発射のミサイルやイラン製攻撃ドローンShahedが使用されたほか、本来防空用ミサイルであるS-300まで近距離地上目標攻撃に使用している
●ロシアは9日の攻撃で、これまで1回の飽和攻撃で2発しか使用してこなかった極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射、音速の10倍速度、射程2000㎞)を6発も使用したが、増加の狙いは不明。ウクライナ軍参謀総長は、露は様々なミサイルの組み合わせを試してウクライナの弱点を探っており、露の攻撃は改善されつつ部分もある、と語っている
●ウクライナ空軍報道官は、極超音速兵器Kinzhalと旧式の超音速兵器Kh-22(飛翔速度音速の3倍も誘導装置が旧式で攻撃精度低い)に対する防御兵器が無いと、西側に支援を求めている。極超音速兵器Kinzhalは特に高価であることから、ロシア軍も当初から慎重に同兵器を使用しているが、6発を使用した効果や攻撃対象は不明
●露はウクライナ国民の意志を弱体化するためにエネルギーインフラを攻撃しているが、ウクライナ側の施設普及体制も整備されつつあり、攻撃を受けた施設の復旧は早まっている
●9日の81発の飽和攻撃に対し、ウクライナ軍は34発の迎撃に成功したと発表しており、特に亜音速のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイルへの対処には成功しており、攻撃ドローン迎撃技量も向上して大部分を迎撃していると参謀総長は語っている
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「ウクライナは、世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面しており、余談を許さない」との米空軍大佐と専門家チームの分析を過去記事でご紹介しましたが、弾薬不足はロシアだけでなく西側全体が直面する共通の問題であり、どこまで過去1年間の戦いを継続できるのか、ギリギリの段階にあると認識しておくべきです
どちらの弾薬庫が先に空っぽになるか・・・互いの探り合いが続いているのでしょう・・・
それから、日本も中国からのミサイル飽和攻撃の最前線に立たされていることをお忘れなく!
米空軍大佐の提言が話題
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
弾薬枯渇の危機に直面し
「英国もNATOも弾薬不足深刻化」→
「米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
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極超音速兵器から旧式ミサイルまで多様な兵器混合で81発
イラン製ドローンや地対空ミサイルで地上攻撃も

ウクライナ国内のどの施設が、ロシアのどの兵器で攻撃されたか、またウクライナ側の被害がどの程度かについて等、多くの関連情報が軍事上の秘密事項となっているため、またウクライナ側は西側からの兵器支援を強く要請している点からも、出てくる情報や表現ぶりに偏りがある可能性もありますが、ウクライナVSロシアのミサイルを巡る戦いの数少ない情報ですのでご紹介することにしました
3月10日付Military.com記事によれば

●9日の大量のミサイル飽和攻撃には、極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射)や旧式の超音速兵器Kh-22(TU-22Mから発射)、最新のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイル、その他の短射程の航空機発射のミサイルやイラン製攻撃ドローンShahedが使用されたほか、本来防空用ミサイルであるS-300まで近距離地上目標攻撃に使用している

●ウクライナ空軍報道官は、極超音速兵器Kinzhalと旧式の超音速兵器Kh-22(飛翔速度音速の3倍も誘導装置が旧式で攻撃精度低い)に対する防御兵器が無いと、西側に支援を求めている。極超音速兵器Kinzhalは特に高価であることから、ロシア軍も当初から慎重に同兵器を使用しているが、6発を使用した効果や攻撃対象は不明

●9日の81発の飽和攻撃に対し、ウクライナ軍は34発の迎撃に成功したと発表しており、特に亜音速のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイルへの対処には成功しており、攻撃ドローン迎撃技量も向上して大部分を迎撃していると参謀総長は語っている
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どちらの弾薬庫が先に空っぽになるか・・・互いの探り合いが続いているのでしょう・・・
それから、日本も中国からのミサイル飽和攻撃の最前線に立たされていることをお忘れなく!
米空軍大佐の提言が話題
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ウクライナでの戦い
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弾薬枯渇の危機に直面し
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台湾製のドローン探知レーダーに引き合い殺到 [安全保障全般]
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台湾上空で大量発見される中国偵察ドローン対処に需要急拡大
小型軽量・安価・都市環境でも優れた探知識別能力
ソフト&ハードキル防御システムとのセット販売も
中東やアジア諸国でも需要急増
2月24日付Defense-Newsが、ドバイで開催中の軍事見本市IDEXで話題の、台湾企業(創業4年前のTron Future)製の小型ドローン探知レーダー「T.Radar」を紹介し、台湾上空に多数確認されている中国偵察ドローン対処に台湾内で需要が急拡大し、中東やアジアからの引き合いも増えており、月産100台ペースで製造を続けているが、更なる増産のため2つ目の工場建設を予定していると報じています
台湾と中国間の緊張は急速に高まる中、最近では同探知レーダーが1週間で100機以上も台湾上空で中国偵察小型ドローンを探知するほど中国のドローン活動が活発化しており、当初は台湾陸軍が台湾海峡などの島に設置用に導入していた同レーダーへの需要が爆発的に拡大しているとのことです。されていたが、その、台湾全体で需要が急拡大しているようです
またこのAESA(active electronically scanned array)レーダーは、重量15㎏の軽量小型で低価格ながら、最大5㎞の探知距離を誇り、海面からのレーダー反射ノイズ処理能力に優れ、「4D micro-doppler機能」で小型ドローンと鳥との分別能力も良く、また市街地で低空を飛行する小型ドローンの探知追尾能力も優れていることから、開催中のドバイ軍事見本市IDEXでも世界中の顧客から注目を集めていると記事は紹介しています
中国の軍事雑誌が2023年1月号で、台湾海峡で有事の際は、無人機が極めて重要な「精密誘導攻撃:targeted strikes」の役割を担うと強調したこともあり、この250ワットで30MHzの周波数帯を使用する「T.Radar」は、ソフトキルやハードキル装備や画像認証ソフトとも連接可能に設計されており、見本市でもドローン妨害装置や迎撃システムとのセット販売も行っており人気を集めていたようです
またTron Future社CEOのYu-Jiu Wang氏は、台湾は中国との全面戦争の引き金を自ら引かないとの大原則のもと、対中国で最初にハードキル攻撃を実施することを避けたいと考えており、 「T.Radar」に連接可能な防御システムは、様々な状況に応じて弾頭を選択できるように、非破壊型やジャミング型など多様な選択肢を準備していると、複雑な台湾の立場にも配慮した装備だとアピールしています
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当然、他国でも同種の軽量小型レーダーや防御システムを開発していると思いますが、それらとTron Future製の小型ドローン探知レーダー「T.Radar」との能力差や特徴までご紹介する知識はありません。悪しからず。
でも、写真でご覧いただけるように、構造的にもシンプルそうな小型アンテナですので、台湾のIT産業や半導体産業など知恵とアイディアで他国より優れたレーダーが完成している可能性は十分にあると思います。
それから、当然日本でも大量に必要な装備品だと思いますので、ご検討された方が良いと思います
無人機対処にレーザーや電磁波
「米軍拠点への無人機襲撃をCoyoteで撃墜」→https://holylandtokyo.com/2023/02/06/4201/
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
急速に脚光を浴びる無人機
「世界の火薬庫バルカン半島にも無人機大量流入」→https://holylandtokyo.com/2022/11/29/3970/
「イラン製無人兵器がウで猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アゼルバイジャン大勝利」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/
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台湾上空で大量発見される中国偵察ドローン対処に需要急拡大
小型軽量・安価・都市環境でも優れた探知識別能力
ソフト&ハードキル防御システムとのセット販売も
中東やアジア諸国でも需要急増

台湾と中国間の緊張は急速に高まる中、最近では同探知レーダーが1週間で100機以上も台湾上空で中国偵察小型ドローンを探知するほど中国のドローン活動が活発化しており、当初は台湾陸軍が台湾海峡などの島に設置用に導入していた同レーダーへの需要が爆発的に拡大しているとのことです。されていたが、その、台湾全体で需要が急拡大しているようです

中国の軍事雑誌が2023年1月号で、台湾海峡で有事の際は、無人機が極めて重要な「精密誘導攻撃:targeted strikes」の役割を担うと強調したこともあり、この250ワットで30MHzの周波数帯を使用する「T.Radar」は、ソフトキルやハードキル装備や画像認証ソフトとも連接可能に設計されており、見本市でもドローン妨害装置や迎撃システムとのセット販売も行っており人気を集めていたようです

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当然、他国でも同種の軽量小型レーダーや防御システムを開発していると思いますが、それらとTron Future製の小型ドローン探知レーダー「T.Radar」との能力差や特徴までご紹介する知識はありません。悪しからず。

それから、当然日本でも大量に必要な装備品だと思いますので、ご検討された方が良いと思います
無人機対処にレーザーや電磁波
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米国の対中国攻勢:Cobra Gold演習が最大規模で [安全保障全般]
タイ米国関係が微妙でも、コロナ前規模が復活
オブザーバ国含め30か国7400名規模の大演習
気球、半導体、コロナ中国起源説など米の対中国攻勢
2月28日、タイ軍と米軍が共同開催する世界最大の軍事演習の一つで、コロナ前の規模に戻った30か国参加の「Cobra Gold」演習で開始式典が行われ、約2週間にわたる「実動演習」「指揮所演習」「人道支援演習」の主要3分野演習に計約7400名が参加する訓練がスタートしました
時あたかも、不動産バブル崩壊に端を発する中国経済低迷や共産党統治の「ほころび」が指摘され始め、米国がこの機に乗じて「気球」「半導体」「コロナ中国起源説」などの対中国攻勢を矢継ぎ早に持ち出し、中国への圧力を強めるタイミングであることから、(毎年定期開催の演習ながら)軍事面での包囲網示威活動として注目を浴びています
演習開始式典を報じる一部の米軍事メディアには、米国が2014年のタイ軍事クーデターを厳しく非難してきたことで、タイ軍内に米軍に対する「怒り」や「恨み」が根強く残る中での微妙な開催だと指摘する論調も見られますが、米軍4000名とタイ軍3000名が中心となる7400名規模の大規模での同演習規模復活は、欧州からの参加国(英仏独スウェーデンギリシャ)も含めた対中姿勢を打ち出す役割を十分に果たしていると思います(中国も参加国との心の広い演習ですが・・・)
1982年にタイ米の海洋演習として始まった演習は、地上活動を主体とする統合演習に発展し、中国の関与が深い地域特性を反映して「軍事ゴリゴリ」演習ではなく、広く参加が得やすい人道支援や救難救助や「contingencies other than war」も大きな柱になっている演習ですが、確実に実績を上げてきた演習で、日本はフルスケール参加国5か国(他はSingapore, Indonesia, South Korea、Malaysia)として最近貢献しています
また今回の「Cobra Gold 23」演習では、初めて宇宙ドメイン指揮所演習が組み込まれ、「太陽嵐:solar storms」などの宇宙空間現象が、通信や衛星にインパクトを与え軍事活動に影響が出るシナリオを共有体験&対処する想定が含まれているようです
開始式典の挨拶や訓示では
●タイ駐在米国大使が「本演習は未来に焦点を当てている。どの国も単独では成し得ない複雑な問題を解決すべく、世界中から30か国もの国が集まった」、「このような協力を持ってのみ、我々はこのような課題に対処でき、それぞれの国民の安寧を維持できる」と挨拶し、
●John Aquilino太平洋軍司令官は「本演習を通じ、自由で開かれたインド太平洋地域を維持し、全ての国家が平和で安定的に反映できるような環境を、共に守っていくとの決意を示す」と抱負を述べています
28日付Military.com記事から演習概要ご紹介
●「実同演習:Field training」では、着上陸、戦略的空挺訓練、非戦闘員避難、実弾射撃を実施
●「人道支援演習」では、6か所での学校建設工事を含む活動実施
●「指揮所演習」では、宇宙現象対処、自然災害対処、救難救助、緊急事態対処、患者後方輸送、化学物質流出対処、火災対処を実施
参加30か国の内訳は・・・
●共同主催国2か国 :タイと米国
●フルスケール参加国5か国
Singapore, Japan, Indonesia, South Korea and Malaysia
●人道支援演習のみ3か国
中国、インド、豪州
●小規模緊急事態対処訓練のみ10か国
Bangladesh, Canada, France, Mongolia, Nepal, New Zealand, the Philippines, Fiji, the United Kingdom and Brunei
●オブザーバー参加10か国
Cambodia, Laos, Brazil, Pakistan, Vietnam, Germany, Sweden, Greece, Kuwait, and Sri Lanka
米国防省の特設Cobra Gold演習広報webページ
→https://www.dvidshub.net/feature/CobraGold
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米国は中国国内情勢の混乱を察知し、タイミングを合わせたように「気球」「半導体」「コロナ中国起源説」などを持ち出し、国際包囲網で中国締め付けに乗り出したような気がします。
中国報道官の米国やその同盟国への最近の厳しい発言も、なんとなく中国国内の困難振りを暗示しているような気もします。中国に進出中の日本企業は、早めに退却した方が良いと思います・・・
タイと米国関係の関連
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「タイが中国戦車追加購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-05
「タイが中国潜水艦購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-13
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オブザーバ国含め30か国7400名規模の大演習
気球、半導体、コロナ中国起源説など米の対中国攻勢

時あたかも、不動産バブル崩壊に端を発する中国経済低迷や共産党統治の「ほころび」が指摘され始め、米国がこの機に乗じて「気球」「半導体」「コロナ中国起源説」などの対中国攻勢を矢継ぎ早に持ち出し、中国への圧力を強めるタイミングであることから、(毎年定期開催の演習ながら)軍事面での包囲網示威活動として注目を浴びています

1982年にタイ米の海洋演習として始まった演習は、地上活動を主体とする統合演習に発展し、中国の関与が深い地域特性を反映して「軍事ゴリゴリ」演習ではなく、広く参加が得やすい人道支援や救難救助や「contingencies other than war」も大きな柱になっている演習ですが、確実に実績を上げてきた演習で、日本はフルスケール参加国5か国(他はSingapore, Indonesia, South Korea、Malaysia)として最近貢献しています

開始式典の挨拶や訓示では
●タイ駐在米国大使が「本演習は未来に焦点を当てている。どの国も単独では成し得ない複雑な問題を解決すべく、世界中から30か国もの国が集まった」、「このような協力を持ってのみ、我々はこのような課題に対処でき、それぞれの国民の安寧を維持できる」と挨拶し、

28日付Military.com記事から演習概要ご紹介
●「実同演習:Field training」では、着上陸、戦略的空挺訓練、非戦闘員避難、実弾射撃を実施
●「人道支援演習」では、6か所での学校建設工事を含む活動実施
●「指揮所演習」では、宇宙現象対処、自然災害対処、救難救助、緊急事態対処、患者後方輸送、化学物質流出対処、火災対処を実施
参加30か国の内訳は・・・
●共同主催国2か国 :タイと米国
●フルスケール参加国5か国
Singapore, Japan, Indonesia, South Korea and Malaysia
●人道支援演習のみ3か国
中国、インド、豪州
●小規模緊急事態対処訓練のみ10か国
Bangladesh, Canada, France, Mongolia, Nepal, New Zealand, the Philippines, Fiji, the United Kingdom and Brunei
●オブザーバー参加10か国
Cambodia, Laos, Brazil, Pakistan, Vietnam, Germany, Sweden, Greece, Kuwait, and Sri Lanka
米国防省の特設Cobra Gold演習広報webページ
→https://www.dvidshub.net/feature/CobraGold
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中国報道官の米国やその同盟国への最近の厳しい発言も、なんとなく中国国内の困難振りを暗示しているような気もします。中国に進出中の日本企業は、早めに退却した方が良いと思います・・・
タイと米国関係の関連
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CSISも今度は弾薬調達&提供問題レポート [安全保障全般]
台湾有事に緊要な兵器弾薬が1週間で枯渇の現状
それら緊要兵器の製造には2年以上必要で・・・
従来から指摘されていた問題を再提起
1月23日、CSISのSeth Jones国際安全保障部長で副理事長が「戦時に空っぽの弾薬庫:Empty Bins in a Wartime Environment」とのレポートを発表し、米軍や西側諸国軍の弾薬不足問題を軍需産業側面から指摘しています。
最近、各方面からの弾薬関連の課題指摘をご紹介していますが、特にロシアによるウクライナ侵略で、大国が間接的にでも対峙する戦いでは長期化が避けられず、その中で弾薬や兵器が想定以上のペースで消費されることが明らかになったことを契機として、以前から繰り返し指摘されていた(紛争時には表面化するが、戦後に忘却の繰り返し)問題や課題が、再びクローズアップされた形になっています
CSISは予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さと長期計画の欠落、法的規制の存在などの視点から問題を指摘して改善を提言しています。これまでの提言と重なる部分も多いと思いますが、米国がこの状態なら、日本をはじめ西側諸国は更に悲惨な状況だと言えますので、繰り返しになってもご紹介しておきます
弾薬や兵器の現状
●例えば米軍は、ウクライナに160両の160両のM777 155mm榴弾砲を提供した結果、米陸軍の在庫は「Low」状態になったが、製造企業のBAE Systems社は、毎年150両の発注を数年継続してくれる約束が無ければ、製造ライン再立ち上げは採算に合わないと主張している
●同じくウクライナに8000発提供(保有総数約15000発から提供)したJavelin携帯式対戦車ミサイルは、提供分を補充するのに現状の軍需産業能力だと12年必要である
●中国の強力な防空網下で戦うことが求められる台湾有事には、長射程の精密誘導ミサイルが極めて重要で、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の確保が重要だが、これの保有量は僅か1週間で底をつく程度で、新規発注&製造には20か月以上が必要である。(最重要のLRASMは、必要数確保に最低10年は必要との見積もりあり)
●つまり戦いは始まってからでは補充弾薬を新規提供することは不可能であり、予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さ、法的規制の存在等々の多様な視点から改善を図って平時から備えておくことが必要である
Defense-News報道のCSIS提言概要
●国防製造法(Defense Production Act)で、調達に時間を要する原材料(long-lead subcomponents)、例えば関連金属、推進剤、関連電子部品などを、国家戦略備蓄(strategic munitions reserve)として確保しておき、非常時の弾薬調達を1-2年短縮する。(完成弾での国家戦略備蓄も含まれていると推測)
●米議会の理解を得て、予算科目の枠を超え、柔軟に弾薬調達予算を確保できるような枠組みの確立
●米軍だけでなく、同盟国を含めた弾薬や兵器の必要数の再見積もりと、同見積もりを基礎とした長期的な弾薬調達計画作成と軍需産業との長期的な製造協議
●鈍重で非効率でリスク回避志向の強い現在のFMS(foreign military sales)制度の改革。一般商業ベース取引より2年も余分に時間が必要な現FMS制度の改革
●併せて、緊要な同盟国が相手であっても、重要技術情報が関係すると更に12-18ヵ月余分に輸出承認手続きが必要な現制度の改善
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CSIS関連webページ
→https://www.csis.org/analysis/empty-bins-wartime-environment-challenge-us-defense-industrial-base
報告書現物44ページ
→https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/2023-01/230119_Jones_Empty_Bins.pdf?VersionId=mW3OOngwul8V2nR2EHKBYxkpiOzMiS88
筆者による報告書YouTube解説(4分弱)
44ページのレポートを確認しておらず、1月23日付Defense-News記事だけで同レポートをご紹介していますので、多分に誤解がある恐れがあります。ご容赦ください。ただ、断片的な紹介になっているCSISの提言にも、容易に実行可能なものは全くなく、繰り返す歴史の中で改善できなかった困難な課題が山積していると考えてよいでしょう。中国やロシアだって似たようなものだと推測されます
過去記事でもご紹介した、最もニーズが高く、不足の危機感が共有されている空対艦ミサイルLRASMの例だと、800-1200発必要と想定される中で200発しか保有しておらず、現在年間35発の製造能力を2023年に88発まで増強する計画ですが、それでも必要数確保までには10年必要な計算になります
自衛隊の現状? 「たまに撃つ 弾が無いのが 玉に傷」との川柳があるくらいで、上記レポートの「1週間」程度よりも寂しく、この川柳でググってみると、「3日」以下とか、「3回」以下とか、「出撃2回」以下とか、様々に表現されている方がいらっしゃいます・・・
弾薬量の圧倒的不足問題
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
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それら緊要兵器の製造には2年以上必要で・・・
従来から指摘されていた問題を再提起

最近、各方面からの弾薬関連の課題指摘をご紹介していますが、特にロシアによるウクライナ侵略で、大国が間接的にでも対峙する戦いでは長期化が避けられず、その中で弾薬や兵器が想定以上のペースで消費されることが明らかになったことを契機として、以前から繰り返し指摘されていた(紛争時には表面化するが、戦後に忘却の繰り返し)問題や課題が、再びクローズアップされた形になっています

弾薬や兵器の現状
●例えば米軍は、ウクライナに160両の160両のM777 155mm榴弾砲を提供した結果、米陸軍の在庫は「Low」状態になったが、製造企業のBAE Systems社は、毎年150両の発注を数年継続してくれる約束が無ければ、製造ライン再立ち上げは採算に合わないと主張している

●中国の強力な防空網下で戦うことが求められる台湾有事には、長射程の精密誘導ミサイルが極めて重要で、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の確保が重要だが、これの保有量は僅か1週間で底をつく程度で、新規発注&製造には20か月以上が必要である。(最重要のLRASMは、必要数確保に最低10年は必要との見積もりあり)
●つまり戦いは始まってからでは補充弾薬を新規提供することは不可能であり、予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さ、法的規制の存在等々の多様な視点から改善を図って平時から備えておくことが必要である
Defense-News報道のCSIS提言概要

●米議会の理解を得て、予算科目の枠を超え、柔軟に弾薬調達予算を確保できるような枠組みの確立
●米軍だけでなく、同盟国を含めた弾薬や兵器の必要数の再見積もりと、同見積もりを基礎とした長期的な弾薬調達計画作成と軍需産業との長期的な製造協議

●併せて、緊要な同盟国が相手であっても、重要技術情報が関係すると更に12-18ヵ月余分に輸出承認手続きが必要な現制度の改善
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CSIS関連webページ
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筆者による報告書YouTube解説(4分弱)
44ページのレポートを確認しておらず、1月23日付Defense-News記事だけで同レポートをご紹介していますので、多分に誤解がある恐れがあります。ご容赦ください。ただ、断片的な紹介になっているCSISの提言にも、容易に実行可能なものは全くなく、繰り返す歴史の中で改善できなかった困難な課題が山積していると考えてよいでしょう。中国やロシアだって似たようなものだと推測されます

自衛隊の現状? 「たまに撃つ 弾が無いのが 玉に傷」との川柳があるくらいで、上記レポートの「1週間」程度よりも寂しく、この川柳でググってみると、「3日」以下とか、「3回」以下とか、「出撃2回」以下とか、様々に表現されている方がいらっしゃいます・・・
弾薬量の圧倒的不足問題
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英と伊国防相が日本を恫喝「逃げるなよ!」 [安全保障全般]
英伊国防相が2国協議後の共同記者会見で
3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し
In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと
2月9日、ローマを訪問したBen Wallace英国防相がGuido Crosetto伊国防相と会談後に共同会見し、昨年12月に英伊日3か国で合意した次世代戦闘機共同開発(GCAP: Global Combat Air Programme)に関し3月に日本で予定の3か国協議を前に、途中で計画から逃げ出すことは破滅的結果をもたらすことになり許されないと強調し、日本に釘を刺しました
日本での3月の協議に臨む前に英国とイタリア国防相が事前に話し合い、その会見後に第3の相手(日本)に「In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ」「開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな」「政治的にも、協力体制の重要性から、誰かが抜けることはできない」等々と、改めて本合意への決意を示せと迫るような恫喝的な言いぶりに、まんぐーすは「背筋の凍る」思いがいたしました
まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします
Ben Wallace英国防相は・・・
●政治的にも、誰かが脱落することができない重要な共同開発だ。3か国は皆、10年後には新型戦闘機を必要としており、皆が誰も脱落しない「no dropping out」が求められる
●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る
●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している
●この3か国の協力は、F-1レースで既に最大の貢献をしている実績から驚くにはあたらない。最新技術分野で、我々3か国は新参者ではないのだ
●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である
Guido Crosetto伊国防相は・・・
●この3か国共同開発は、世界が変化していることを示すものである。日本が変われば、それは世界が変化しているということだ
●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている
●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している
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読めば読むほど・・・この戦闘機プロジェクトが、ただならぬ意味合いを持っていることがわかります。日本の地理的な位置取りを考える時、戦闘機にこんなに資金や人材や労力をかける必要があるのか・・・と繰り返し言い続けてきましたが、改めて問いたいです。「本当に戦闘機がそんなに大切なの? 日本の有事に役立つの?」
Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?
それからもう一つ、欧州での戦闘機開発は、英スウェーデン伊グループと、独仏スペインの2グループが競っていますが、その行く末と英伊日の共同開発はどう絡んでいくのでしょうか? 英と伊だって大丈夫か?・・と聞いてみたいです
英国や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「2027年までにデモ機を作成発表」→https://holylandtokyo.com/2022/07/22/3480/
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「138機のF-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
欧州の戦闘機開発バトル
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
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3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し
In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと


まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします
Ben Wallace英国防相は・・・

●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る
●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している

●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である
Guido Crosetto伊国防相は・・・

●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている
●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している
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Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?

英国や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「2027年までにデモ機を作成発表」→https://holylandtokyo.com/2022/07/22/3480/
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
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欧州の戦闘機開発バトル
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上院軍事委員長が「ウ支援」や中国気球を語る [安全保障全般]
民主党の重鎮で米国軍事政策のキーマンの一人
F-16など今後の軍事支援の考え方や気球への「?」
軍事予算10%カット(2022年規模への縮小)には否定的
2月7日、民主党の重鎮で上院軍事委員会委員長であるJack Reed議員が軍事記者団とのオンライン懇談を行い、ウクライナ支援の今後の考え方や中国気球事案、更にウクライナ支援で急膨張する軍事費を抑制する声が高まっている件に関しかなり率直に語りました
ウクライナ支援に関しては、F-16戦闘機より、弾薬や長射程地上火砲や情報&ノウハウ&ソフト支援等が当面の重要項目だと述べ、併せてウクライナで浮き彫りになった弾薬不足と軍需産業基盤問題を最大の教訓だと表現し、中国気球に関しては誰が何のために何をしたかったのか等々の基本的な疑問から解決する必要があると語っています
オンライン懇談会の全体を把握しているわけではありませんが、7日付米空軍協会web記事が上記内容を報じていますので、様々な思惑や意見が交錯して情報が混乱している事象に関するキーマンの発言でもあり、頭の整理にご紹介しておきます
ウクライナ支援について
●ウクライナからの軍事支援要望への対応を考える際、米国は戦いの現状と何が違いを生み出すかに基づいて判断する必要がある。今の段階では、F-16戦闘機の要望は最も緊急性が高いものとは考えられず、既存兵器の弾薬や戦車を含む戦闘車両、HIMARSなど長射程ロケットシステムが、よりインパクトを与え、かつウクライナ軍が迅速に円滑に受け入れ可能な兵器だと考える
●ロシア側の強固な防空体制を勘案すれば、ウクライナ軍はF-16戦闘機を有効に使用できる状態には無い。現状でウクライナ軍戦闘機等は、ロシア防空網の脅威でほとんど活動できていないし、飛行しても超低空を這うように侵攻し、目標直前で安全な範囲で高度を上げ爆弾等を投下する程度の極めて限定的な作戦しかできていないし、それでも操縦者を失っている
●ウクライナ空軍は胸に手を当ててよく考えるべきだ。F-16の提供を受けて何が変わるのか? 現状の強固な露防空網を前にしてF-16を生かすことができるのか? 長期的な視点でF-16の有効性を否定することはできないが、現時点では優先度は低い
●米議会では、すでに提供済のGMLRS(Guided Multiple Launch Rocket System)より射程の長い、ATACMS(Army Tactical Missile Systems)を推す声がある。既にGMLRS投入でロシアは前線指揮所を後退させざるを得なくなっており、ATACMS導入が更なる効果を生むとの期待からである。また米だけでなく、NATOや西側諸国からの様々な軍事的助言やインテル提供やソフト改修支援なども、極めて重要な役割を果たしている
●(ロシアが反撃準備を進めているとの一部の分析に関し、)ウクライナ軍は優秀で士気が高く、露の攻撃に耐え、西側提供の戦闘車両等々を巧みに使用&維持整備して反撃できると考えている。ウクライナ軍は電子戦にも優れた能力を発揮している
●(一方で、ロシアが大規模に後退を迫られるような事態になった場合、)特に、2014年にロシアが併合したクリミア半島にウクライナ軍が迫るようなことになれば、ロシアによる核兵器投入の危険性が高まるのではないかと懸念している
ウクライナの教訓と米国防費への影響
●ウクライナから得た最も大きな教訓は、弾薬の緊急調達や緊急製造に対応できない軍需産業の問題であり、議会として今後取り組まねばならない大きな課題である
●(ウクライナ支援を含め国防費が急膨張していることへの懸念から、)一部共和党議員からでている、国防予算を約10%カットして2022年予算レベルを上限に押さえる案については、8-10兆円の削減を意味するが、紛争が進行中であることや中国軍事行動が活発化している中では、多くの支持を得ることは難しいと思う
米本土に進入した中国の気球に関して
●米国は大統領の指示に基づき、適切に対応して撃墜した。
●多くの米議員が疑問を持っているように、既に活動している中国の偵察衛星で、気球より多くの情報を得ているはずなのに、なぜ? 何の目的で? 何がきっかけで? あんな気球を送り込んだのか理解に苦しむ。習近平を含む中国指導部の政治的判断が絡まない、下層レベルの判断で行われた可能性も高いと思う
●いずれにしても、気球を回収して調査しており、中国にとって不都合な結果が出る可能性もある。米議会は来週(13日の週)に調査報告を受ける予定になっている
●いかなる結果になろうとも、米議会は中国に限らず、領空侵犯を許さないし、今回の事案で明らかになった領空監視能力等のギャップを見極め対処していく
/////////////////////////////////////////////////////
ウクライナのF-16要求を、米国として受け入れがたい理由は、Jack Reed委員長の発言や戦いのエスカレーションを望まない米国の思惑、そして現実的な面からは先日ご紹介した米空軍大佐による軍事メディア寄稿に表現された「戦闘機では露にかなわない論」など、様々に表現されており、実現は難しいのでしょう
中国の気球に関しては、2月8日に米国防省報道官が記者会見を行い、数年前から世界中で同様の気球偵察活動を行っていると説明し、2月13日の週の米議会への国防省報告が注目されます
ロバート・ゲーツ語録75
→中国の文民と軍人の間にはすき間の兆候がある。2009年の音響測定艦インペカブルへの対応や2007年の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、私が訪中間の2010年1月のステルス戦闘機J-20初飛行も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→
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「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
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F-16など今後の軍事支援の考え方や気球への「?」
軍事予算10%カット(2022年規模への縮小)には否定的

ウクライナ支援に関しては、F-16戦闘機より、弾薬や長射程地上火砲や情報&ノウハウ&ソフト支援等が当面の重要項目だと述べ、併せてウクライナで浮き彫りになった弾薬不足と軍需産業基盤問題を最大の教訓だと表現し、中国気球に関しては誰が何のために何をしたかったのか等々の基本的な疑問から解決する必要があると語っています

ウクライナ支援について
●ウクライナからの軍事支援要望への対応を考える際、米国は戦いの現状と何が違いを生み出すかに基づいて判断する必要がある。今の段階では、F-16戦闘機の要望は最も緊急性が高いものとは考えられず、既存兵器の弾薬や戦車を含む戦闘車両、HIMARSなど長射程ロケットシステムが、よりインパクトを与え、かつウクライナ軍が迅速に円滑に受け入れ可能な兵器だと考える

●ウクライナ空軍は胸に手を当ててよく考えるべきだ。F-16の提供を受けて何が変わるのか? 現状の強固な露防空網を前にしてF-16を生かすことができるのか? 長期的な視点でF-16の有効性を否定することはできないが、現時点では優先度は低い

●(ロシアが反撃準備を進めているとの一部の分析に関し、)ウクライナ軍は優秀で士気が高く、露の攻撃に耐え、西側提供の戦闘車両等々を巧みに使用&維持整備して反撃できると考えている。ウクライナ軍は電子戦にも優れた能力を発揮している
●(一方で、ロシアが大規模に後退を迫られるような事態になった場合、)特に、2014年にロシアが併合したクリミア半島にウクライナ軍が迫るようなことになれば、ロシアによる核兵器投入の危険性が高まるのではないかと懸念している
ウクライナの教訓と米国防費への影響

●(ウクライナ支援を含め国防費が急膨張していることへの懸念から、)一部共和党議員からでている、国防予算を約10%カットして2022年予算レベルを上限に押さえる案については、8-10兆円の削減を意味するが、紛争が進行中であることや中国軍事行動が活発化している中では、多くの支持を得ることは難しいと思う
米本土に進入した中国の気球に関して

●多くの米議員が疑問を持っているように、既に活動している中国の偵察衛星で、気球より多くの情報を得ているはずなのに、なぜ? 何の目的で? 何がきっかけで? あんな気球を送り込んだのか理解に苦しむ。習近平を含む中国指導部の政治的判断が絡まない、下層レベルの判断で行われた可能性も高いと思う
●いずれにしても、気球を回収して調査しており、中国にとって不都合な結果が出る可能性もある。米議会は来週(13日の週)に調査報告を受ける予定になっている
●いかなる結果になろうとも、米議会は中国に限らず、領空侵犯を許さないし、今回の事案で明らかになった領空監視能力等のギャップを見極め対処していく
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中国の気球に関しては、2月8日に米国防省報道官が記者会見を行い、数年前から世界中で同様の気球偵察活動を行っていると説明し、2月13日の週の米議会への国防省報告が注目されます
ロバート・ゲーツ語録75
→中国の文民と軍人の間にはすき間の兆候がある。2009年の音響測定艦インペカブルへの対応や2007年の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、私が訪中間の2010年1月のステルス戦闘機J-20初飛行も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
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ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
米国務省が露のNew START条約不履行を非難 [安全保障全般]
コロナで2020年3月から両国合意で現地査察中断も
2022年夏に査察再開要望も露が継続拒否
両国による条約協議委員会開催も露が拒否
2011年の同条約発効以降で初の不履行訴え
1月31日、米国防省が米議会に戦略兵器削減条約(New START treaty:2011年発効、2021年1月に26年までの延長に期限ぎりぎり露が合意)の状況に関すレポートを提出し、同条約締結以来初めて、ロシア側が現地査察に応じず、かつ同条約に関する協議委員会(Bilateral Consultative Commission)開催を拒否し、同条約不履行状態にあると訴えました
現地査察に関しては、2020年3月にコロナ感染を受け、米露両国の合意に基づき当面中断することになっていましたが、米国が2022年夏に査察再開を提案してもロシア側がコロナを理由に引き続き拒否している状態で、米国務省はこれを露のウクライナ侵略に対する西側制裁への反発に過ぎないと非難しています
また、米側が査察問題をロシアと協議するため、条約が規定する「Bilateral Consultative Commission」の開催を露に要請したところ、2022年11月には一端同意する姿勢を示したものの、後に拒否して現在に至っており、更なる条約違反だと米国務省は訴えています
米国務省報道官は、「米国は完全に同条約を履行すべく、いつでも建設的にロシアと行動する用意がある」と述べ、ロシアが同条約維持のため、違反状態を解消するよう促しています
これを受け米議会では、政権与党の民主党議員である上院軍事委員長、上院会合委員長、上院インテル委員長が「我々はNew START条約の初度締結時からロシアとの軍備管理を支持し、同条約の延長にもトランプ&バイデン両政権下で賛同応援してきた。ただし今般の状況に鑑み、同条約の順守が、将来のロシアとの戦略兵器軍備管理を上院で考察するにあたり極めて重要な意味を持つことを、明確にしておきたい」と訴えています
また共和党の有力議員(下院軍事委員長、同委員会委員2名、下院戦略兵器小委員長)はより厳しい姿勢の声明を出し、「ロシアによる査察拒否は条約のより大きな履行違反につながる可能性が高く、米国は戦略核増強に備えるべきだ」、「バイデン政権は国防省に対し、ロシアが条約上限を大幅に超える核弾頭を展開することに備えるよう、準備指示を出すべきだ」と主張しています
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いつものロシアのやり方ですが、2026年の同条約有効期限まで、のらりくらりと米側の核兵器強化の動きを封じつつ、ロシアは時間を稼いでコッソリ核弾頭や核兵器の増強を図る道を探るのでしょう。
ウクライナ侵略に伴う西側の制裁で瀕死状態のロシア経済ですから、核弾頭や核兵器の増強どころか、核兵器の管理事体がしっかりできているのかが心配になりますが、米議会内で温度差は多少あるものの、超党派でロシアに厳しい目が向いていることに安堵しておきましょう
新START期限切れ寸前延長
「露が土壇場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
「延長へ米露交渉始まる?」→https://holylandtokyo.com/2020/04/20/730/
「中国は核兵器管理条約を拒否」→https://holylandtokyo.com/2020/07/13/570/
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2022年夏に査察再開要望も露が継続拒否
両国による条約協議委員会開催も露が拒否
2011年の同条約発効以降で初の不履行訴え

現地査察に関しては、2020年3月にコロナ感染を受け、米露両国の合意に基づき当面中断することになっていましたが、米国が2022年夏に査察再開を提案してもロシア側がコロナを理由に引き続き拒否している状態で、米国務省はこれを露のウクライナ侵略に対する西側制裁への反発に過ぎないと非難しています

米国務省報道官は、「米国は完全に同条約を履行すべく、いつでも建設的にロシアと行動する用意がある」と述べ、ロシアが同条約維持のため、違反状態を解消するよう促しています

また共和党の有力議員(下院軍事委員長、同委員会委員2名、下院戦略兵器小委員長)はより厳しい姿勢の声明を出し、「ロシアによる査察拒否は条約のより大きな履行違反につながる可能性が高く、米国は戦略核増強に備えるべきだ」、「バイデン政権は国防省に対し、ロシアが条約上限を大幅に超える核弾頭を展開することに備えるよう、準備指示を出すべきだ」と主張しています
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ウクライナ侵略に伴う西側の制裁で瀕死状態のロシア経済ですから、核弾頭や核兵器の増強どころか、核兵器の管理事体がしっかりできているのかが心配になりますが、米議会内で温度差は多少あるものの、超党派でロシアに厳しい目が向いていることに安堵しておきましょう
新START期限切れ寸前延長
「露が土壇場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
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「2025年に中国と戦う」文書で話題の輸送コマンド司令官 [安全保障全般]
配下部隊に業務指針や指示事項を示す年頭文書
空中給油機の連続運用や少人数運用に挑戦する粘血指揮官
「出る杭は打たれる」で「後ろから撃たれた」か・・・
米国時間の1月27日からSNS上やメディア報道で、米空軍大将が「2025年に中国と戦うことになろう」との見積もりを含む文書を配下部隊に配信する準備をしていた・・・と話題となっています。
文書は、本ブログでも3回取り上げている米空軍輸送コマンドの熱血司令官Mike Minihan大将が新年に当たり、配下部隊に自身の情勢認識や部隊運営方針及び当面(2月と3月)の指示事項を周知するためのもので、2月1日付で配信される予定だったもののようです
「2025年に中国と戦うことになる」・・・との部分は、「2025年」を強調したいというよりも、戦いへの準備に十分な時間が無い可能性が高い事を部下に注意喚起するために、一つの見方を取り上げたものと見るべきで、それ以上のものではないと思いますが、話題になったのでご紹介しておきます
「2025年に中国と・・」は文書冒頭の情勢認識を述べた部分で、
●私が間違っていることを望むが、部下の分析によると、我々は中国と2025年に戦うことになる
●習近平は3期目の任期を確保し、2022年10月に戦争準備委員会(set his war council)を設置した
●台湾は2024年に総統選挙を予定し、これが習近平によい条件(reason)を提供する。米国の大統領選挙も2024年にあり、習近平に混乱した米国をもたらすだろう
●このように全ての情勢が、習近平と戦争準備委員会に良い条件と機会を2025年に提供することになる
●2022年を使って我々は勝利をつかむための基礎設定を行った。前年の基礎を基に、2023年を我々は明確な作戦行動につなげるために活用する
●私が「明確な作戦行動」との言葉で意味するところを知りたければ、1月に「Total Force Team Charleston」が行ったことを確認してくれ
国防省報道官は直ちに、「Minihan空軍大将の見解は、米国防省の見解ではない」とコメントを出し、「国家防衛戦略は明確に、中国は国防省にとってのpacing challengeであり、我々の焦点は同盟国等と協調して平和で自由で開かれたインドアジア太平洋地域を維持することだ、と規定している」と述べています。
また中国に関しては常に、「pacing challenge」で、米軍はアジア太平洋に指向する必要があるとの姿勢を明示しながらも、喫緊の衝突が差し迫っているわけではないとのトーンで情勢を説明しています
一方で過去にも軍人司令官は、例えば2021年に当時のPhil Davidson太平洋軍司令官が「中国は2027年までに台湾に対して軍事行動を起こす」と発言したり、米海軍トップのMichael M. Gilday大将が昨年10月に「米軍は2022年や23年に(中国と)戦う準備が無ければならない。私はそれを否定できない。それを言いまわって警告するつもりも、それを望むこともないが」と語ったりしています
今回の話題の発言の主であるMinihan大将は、前職が太平洋軍副司令官で対中国作戦の難しさを知り尽くした高級幹部で、KC-46が不具合を多数抱えたままの状態にもかかわらず、「不具合による運用制限の中でも、乗員や整備員に必要な訓練や各種手順の改善徹底を図ることで、リスクを抑えて実戦運用に提供可能だ。我々には今必要でなんだ。今の戦いに敗北すれば将来は無い」と運用開始を宣言したり、
中国作戦での空中給油機ニーズが膨大であることを踏まえた対策検討として、KC-46の最大能力発揮のため、様々な事前訓練やメディカル面での検証や配慮を行いつつ、36時間連続飛行の試みや「操縦者1名・給油操作員1名」での運用などに挑戦を続け、最前線の要求に対応しようと模索を続けている熱血指揮官です
2月1日付で正式通達予定の司令官名の文書が、1月27日時点でSNS上に流布する米軍の悩ましい現状ですが、熱血司令官の熱血ぶりについていけない部下の中に、「リークして司令官を苦しめてやろう」との意図を持った者がいたと解釈するのが自然でしょう・・・。難しい時代になったものです・・・
当該文書は以下の1月30日付米空軍協会web記事に掲載の写真でご確認ください
→https://www.airandspaceforces.com/read-full-memo-from-amc-gen-mike-minihan/
Mike Minihan大将関連の記事
「KC-46A空中給油機が36時間連続飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/12/12/3974/
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
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空中給油機の連続運用や少人数運用に挑戦する粘血指揮官
「出る杭は打たれる」で「後ろから撃たれた」か・・・

文書は、本ブログでも3回取り上げている米空軍輸送コマンドの熱血司令官Mike Minihan大将が新年に当たり、配下部隊に自身の情勢認識や部隊運営方針及び当面(2月と3月)の指示事項を周知するためのもので、2月1日付で配信される予定だったもののようです

「2025年に中国と・・」は文書冒頭の情勢認識を述べた部分で、
●私が間違っていることを望むが、部下の分析によると、我々は中国と2025年に戦うことになる
●習近平は3期目の任期を確保し、2022年10月に戦争準備委員会(set his war council)を設置した

●このように全ての情勢が、習近平と戦争準備委員会に良い条件と機会を2025年に提供することになる
●2022年を使って我々は勝利をつかむための基礎設定を行った。前年の基礎を基に、2023年を我々は明確な作戦行動につなげるために活用する
●私が「明確な作戦行動」との言葉で意味するところを知りたければ、1月に「Total Force Team Charleston」が行ったことを確認してくれ

また中国に関しては常に、「pacing challenge」で、米軍はアジア太平洋に指向する必要があるとの姿勢を明示しながらも、喫緊の衝突が差し迫っているわけではないとのトーンで情勢を説明しています

今回の話題の発言の主であるMinihan大将は、前職が太平洋軍副司令官で対中国作戦の難しさを知り尽くした高級幹部で、KC-46が不具合を多数抱えたままの状態にもかかわらず、「不具合による運用制限の中でも、乗員や整備員に必要な訓練や各種手順の改善徹底を図ることで、リスクを抑えて実戦運用に提供可能だ。我々には今必要でなんだ。今の戦いに敗北すれば将来は無い」と運用開始を宣言したり、

2月1日付で正式通達予定の司令官名の文書が、1月27日時点でSNS上に流布する米軍の悩ましい現状ですが、熱血司令官の熱血ぶりについていけない部下の中に、「リークして司令官を苦しめてやろう」との意図を持った者がいたと解釈するのが自然でしょう・・・。難しい時代になったものです・・・
当該文書は以下の1月30日付米空軍協会web記事に掲載の写真でご確認ください
→https://www.airandspaceforces.com/read-full-memo-from-amc-gen-mike-minihan/
Mike Minihan大将関連の記事
「KC-46A空中給油機が36時間連続飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/12/12/3974/
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/
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米イスラエルが8500名規模の巨大統合演習 [安全保障全般]
空母にHIMARSに航空機140機などなど
イランがウクライナ混乱に乗じて不穏な動きの中
安全保障担当米大統領補佐官も訪イスラエルして
米イスラエル軍が8500名超(米6400名、イスラエル1200名)規模の大規模統合全ドメイン演習「Juniper Oak」を、1月23日から27日の間にイスラエル及び東地中海で実施しました。演習開始直前の18-20日には、サリバン安全保障担当米大統領補佐官がイスラエルを訪問して地域情勢等について協議を行ったと報じられるなど、緊張感が漂う中での演習開始です
両国から航空機約140機、空母を含む艦艇6隻が参加し、宇宙軍や特殊作戦軍も参加する広範な内容を含む演習で、ウクライナ紛争で欧米が足を取られる中、イランが核兵器開発をさらに進め、中東域全体でイランの支援を受けたイスラム過激派が無人機攻撃等を活発化させる情勢を背景に、陸海空宇宙サイバードメインに渡る巨大演習です
2020年9月の歴史的なアブラハム合意でイスラエルとUAE&バーレーンが国交を樹立し、その流れを受け2021年9月にはイスラエルが米欧州軍管轄から米中央軍管轄に移行し、イランに警戒感を持つアラブ諸国とイスラエルの関係が、単なる雪解けから連携フェーズに進展しつつある中での大規模演習に注目が集まっています
演習参加航空機は末尾に列挙しますが、両国軍からの発表によれば、演習科目は正にオールドメインで、米軍が推進するJADC2を中核に据えた指揮統制協力を意識し、航空侵攻から防空、海上航空阻止、SEAD、戦時救難、電子戦など広範な内容となっており、F-35やFA-18はもちろんのこと、B-52やAH-64アパッチヘリからRC-135特殊作戦機、EA-18G電子戦機、AC-130特殊攻撃機など航空機20機種以上や、低高度衛星、艦艇やウクライナで話題のHIMARSまで参加する戦力構成になっています
同演習についてMichael Kurilla米中央軍司令官は、「(米国とイスラエル以外で、)世界中のどの国も、この地域にこの規模の戦力を、このレベルの機敏さをもって集結することはできない」、「全ドメイン、陸海空宇宙サイバーで訓練を実施し、如何なる緊急事態にも対処しうる能力を強化する」と述べ、米軍事専門家も「(米中央軍司令官の発言はその通りで、)地域の潜在的敵対国や我が同盟国等に、その能力を改めて示した意義は極めて大きい」とコメントしています
米軍からの参加航空機
• Four B-52s
• Four F-35s、Four F-15Es、Four F-16s、45 F/A 18s、
• One AC-130、Two MQ-9s
• Six EA-18Gs、One RC-135
• Two HH-68s、15 MH-60s、Four AH-64s
• Five E-2Ds
• One HC-130
• Two KC-46s
イスラエル軍からの参加航空機
• Six F-35s、18 F-16s、Eight F-15s
• Two AH-64s
• Two unmanned aerial vehicles
• One UH-60、One CH-53
• One Gulfstream G550
• Two 707s
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ウクライナ問題と台湾問題が世界中でホットな話題ですが、中東でもイランの核開発が以前の5か国合意の制限レベルを超えて進展しつつあるほか、イランから又はイランの支援を受けた過激派からと推測される無人機攻撃などが最近継続して発生しており、予断を許さない状況です
ちなみに「Juniper Oak」演習では、弾薬18万ポンドが使用されたそうです
アブラハム合意以降の動向関連記事
「B-52をサウジ戦闘機が護衛」→https://holylandtokyo.com/2022/11/17/3957/
「B-52が中東9か国と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/
「UAEへのF-35輸出協議中」→https://holylandtokyo.com/2021/11/24/2443/
「UAE司令官視察:イで史上最大の多国間空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2021/11/12/2408/
「米中央軍で対イランの動き2つ」→https://holylandtokyo.com/2021/09/15/2224/
「イが欧州軍から中央軍管轄に」→https://holylandtokyo.com/2021/01/19/301/
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イランがウクライナ混乱に乗じて不穏な動きの中
安全保障担当米大統領補佐官も訪イスラエルして

両国から航空機約140機、空母を含む艦艇6隻が参加し、宇宙軍や特殊作戦軍も参加する広範な内容を含む演習で、ウクライナ紛争で欧米が足を取られる中、イランが核兵器開発をさらに進め、中東域全体でイランの支援を受けたイスラム過激派が無人機攻撃等を活発化させる情勢を背景に、陸海空宇宙サイバードメインに渡る巨大演習です

演習参加航空機は末尾に列挙しますが、両国軍からの発表によれば、演習科目は正にオールドメインで、米軍が推進するJADC2を中核に据えた指揮統制協力を意識し、航空侵攻から防空、海上航空阻止、SEAD、戦時救難、電子戦など広範な内容となっており、F-35やFA-18はもちろんのこと、B-52やAH-64アパッチヘリからRC-135特殊作戦機、EA-18G電子戦機、AC-130特殊攻撃機など航空機20機種以上や、低高度衛星、艦艇やウクライナで話題のHIMARSまで参加する戦力構成になっています

米軍からの参加航空機
• Four B-52s
• Four F-35s、Four F-15Es、Four F-16s、45 F/A 18s、
• One AC-130、Two MQ-9s
• Six EA-18Gs、One RC-135
• Two HH-68s、15 MH-60s、Four AH-64s
• Five E-2Ds
• One HC-130
• Two KC-46s
イスラエル軍からの参加航空機
• Six F-35s、18 F-16s、Eight F-15s
• Two AH-64s
• Two unmanned aerial vehicles
• One UH-60、One CH-53
• One Gulfstream G550
• Two 707s
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ちなみに「Juniper Oak」演習では、弾薬18万ポンドが使用されたそうです
アブラハム合意以降の動向関連記事
「B-52をサウジ戦闘機が護衛」→https://holylandtokyo.com/2022/11/17/3957/
「B-52が中東9か国と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/
「UAEへのF-35輸出協議中」→https://holylandtokyo.com/2021/11/24/2443/
「UAE司令官視察:イで史上最大の多国間空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2021/11/12/2408/
「米中央軍で対イランの動き2つ」→https://holylandtokyo.com/2021/09/15/2224/
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世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面するウクライナ [安全保障全般]
最新戦車の次はF-16など戦闘機提供ではない
戦闘機での航空優勢狙いは非効率でロシアの思うつぼ
ロシアの航空優勢拒否戦略の継続が追求すべき道
防空弾薬の枯渇がロシアの狙いであり、それを防げ!
1月25日付Defense-Newsが、米空軍大佐とシンクタンク研究員の寄稿を掲載し、米国とドイツがウクライナに最新戦車提供に合意したことを受け、世間では次はウクライナに戦闘機を提供すべきとの意見があるがそれは完全な誤りであり、ロシアが戦術転換でミサイルや無人機攻撃によるウクライナ民間インフラ攻撃を激化させる中でも、ウクライナは犠牲を耐え忍んでも防空兵器枯渇を防止する選択的使用に舵を切り、防空兵器によりロシアの航空優勢確保を拒否し続けるべきだと主張しています
2名の寄稿者は、過去1年間の露によるウクライナ侵略の教訓は、現代の航空戦には、高価な戦闘機などよりも機動力を備えた地上配備の防空装備が適しているとの一つの現実であり、ウクライナにF-16などの戦闘機を提供して航空優勢を確保しようとする手法は、ロシア軍の航空アセット数量からしても完全な誤りだと指摘しています
しかし同時に筆者は、米軍をはじめ西側諸国が長年にわたり防空ミサイル等の防空システム投資を軽視してきた付けは大きく、ウクライナに提供できる防空ミサイル等の弾薬類は底をつきかけており、厳しい状況に直面しつつあると指摘し、例えば米軍はパトリオット防空ミサイル1個大隊程度しか支援できない状況だとしています
弾薬不足に苦しむロシア側も、似た状況にある米軍や西側の状況に気付き始めて作戦を転換し、無人機や長射程ミサイルでウクライナの発電所など社内インフラを攻撃し、厳しい冬を迎えたウクライナ国民の交戦意志を削ぐ作戦を重視すると同時に、ウクライナ軍が貴重な防空兵器を消費せざるを得ない環境を作為して、弾薬枯渇状態による防空無効化で航空優勢を確保しようとしていると筆者は分析しています
従来の航空優勢確保は、敵の防空兵器を味方の戦闘爆撃機などで物理的に破壊するSEAD(suppressing enemy air defense)を通じてでしたが、ウクライナでロシア軍は史上初めて、無人機や長射程ミサイルを敵国民や社会インフラに向けて発射し、「敵の防空兵器を強制的に消耗させることによる航空優勢の獲得」を狙っているとも表現しています
寄稿者の主張は厳しい選択をウクライナに迫っています。弾薬在庫が限られた西側各国からの防空兵器支援は今後あまり期待できない現状を踏まえ、ロシア軍によるウクライナ国民や重要社会インフラに対する攻撃にも、防雨兵器の使用は選択的に抑制し、少しでも長く防空兵器を温存してロシアの完全な航空優勢確保を拒否する「air-denial strategy」を継続すべきとの提案です
そして、極めて非効率な戦闘機による無人機や長射程ミサイルの要撃などに乗り出し、数量で勝るロシア航空アセットを戦場に駆り出したり、最前線のウクライナ地上部隊の防空能力を犠牲にしてはならないと寄稿者は訴えています
///////////////////////////////////////////////////
寄稿者は、輸送機パイロットのMaximilian Bremer米空軍大佐(空軍輸送コマンド特殊計画部長)と、スティムソンセンター上級研究員でジョージタウン大学教員のKelly Grieco客員教授の2名です。ウクライナでの戦況や戦闘機提供の狙いを十分把握していませんが、この寄稿の提言はオプションとして議論に値するものだと考えご紹介しました
なお1年前にも、ウクライナに関するご両名の寄稿「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」をご紹介しております
先日、ウクライナ空軍の戦闘機パイロットがロシアの無人機や巡航ミサイル要撃任務に従事し、厳しい緊張感に苦悩しているとの外国メディアの報道を見ましたが、実態としては、ウ空軍の戦闘機パイロットは戦いにほとんど貢献できず、高価なアセットとこれまでの訓練経費を生かせないまま、軍内で「肩身の狭い」思いをしているということでしょう・・・
これは、「ウクライナ」と言う環境での戦いだからでしょうか? まんぐーすは必ずしもそうだとは思いません。現代の、そして将来の航空戦の厳然とした現実だと思います。
同コンビによる別寄稿
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
CSISやCSBAの台湾への提言:非対称戦略へ
「CSISが台湾軍に非対称戦術を迫る」→https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
「CSBAは2014年に同要求」→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/
嘉手納基地からのF-15撤退関連
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/
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戦闘機での航空優勢狙いは非効率でロシアの思うつぼ
ロシアの航空優勢拒否戦略の継続が追求すべき道
防空弾薬の枯渇がロシアの狙いであり、それを防げ!


しかし同時に筆者は、米軍をはじめ西側諸国が長年にわたり防空ミサイル等の防空システム投資を軽視してきた付けは大きく、ウクライナに提供できる防空ミサイル等の弾薬類は底をつきかけており、厳しい状況に直面しつつあると指摘し、例えば米軍はパトリオット防空ミサイル1個大隊程度しか支援できない状況だとしています

従来の航空優勢確保は、敵の防空兵器を味方の戦闘爆撃機などで物理的に破壊するSEAD(suppressing enemy air defense)を通じてでしたが、ウクライナでロシア軍は史上初めて、無人機や長射程ミサイルを敵国民や社会インフラに向けて発射し、「敵の防空兵器を強制的に消耗させることによる航空優勢の獲得」を狙っているとも表現しています

そして、極めて非効率な戦闘機による無人機や長射程ミサイルの要撃などに乗り出し、数量で勝るロシア航空アセットを戦場に駆り出したり、最前線のウクライナ地上部隊の防空能力を犠牲にしてはならないと寄稿者は訴えています
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なお1年前にも、ウクライナに関するご両名の寄稿「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」をご紹介しております

これは、「ウクライナ」と言う環境での戦いだからでしょうか? まんぐーすは必ずしもそうだとは思いません。現代の、そして将来の航空戦の厳然とした現実だと思います。
同コンビによる別寄稿
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
CSISやCSBAの台湾への提言:非対称戦略へ
「CSISが台湾軍に非対称戦術を迫る」→https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
「CSBAは2014年に同要求」→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/
嘉手納基地からのF-15撤退関連
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/
ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
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