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国防長官:良くて横ばいの国防予算でNDS遂行するには [エスパー国防長官]

10日公表予定の2021年度国防予算案の方向性
全ドメイン、連接、指揮統制、関連機関見直し

Esper SAIS4.jpg6日、エスパー国防長官がジョンズホプキンズ大学SAISで講演し、10日にも公表予定の2021年度国防予算案の方向性について語り「良くて実質現状維持」程度しか期待できない国防予算の範囲で、国家防衛戦略NDSの目的を達成するため、50あまりの国防省関連機関の業務や組織見直しを行ったと明らかにしました

また、NDSが示した中国やロシア対処のため、「multi-domain作戦」に焦点を置き、米空軍の「全ドメイン指揮統制」取り組みを推進し、かつ米軍戦力運用を「迅速機敏に」、「予想を困難に」、「破壊力を増し、柔軟で、状況適応力に富んだ」ものに変革する方向に投資すると語りました

前職の陸軍長官時代に200もの諸計画や装備開発を「夜間検討会:night court」を行って見直し、より重要な分野に約2兆8000億円を振り向けた手腕を米国防省全体に対し行う決意を示し、昨年8月末には「私は今、毎週90~120分間を本件の公式な会議に当てており、これを繰り返し続けて道を切り開きたい」と意欲を語っていましたが、約8500億円程度の予算再配分を行うようです

7日付米空軍協会web記事によれば
Esper SAIS.jpg●エスパー長官は「米国は国家として財政上の大きな課題を抱えており、国防費が今後も横ばいであることを肝に銘じ、国防省自らの活動や予算配分を精緻に見直し、与えられた予算で国家防衛を遂行しなければならない」と現状認識を語り、
予算は横ばいか、良くて物価上昇分3-5%程度の増加しか期待できない。従って、特定分野の削減や古い兵器システムの早期退役など厳しい選択を行って経費を確保し、必要な分野に再配分しなければならない」、「米議会はこの現状を理解して、国防省の改革を支援してほしい」と訴えました

●削減分野として、過去4ヶ月に渡り「fourth estate」と呼ばれる約50の国防省関係機関経費約10兆円を精査し、医療機関の縮小や「reducing the Cooperative Threat Reduction Program, and reprioritizing missile defense research」などにより約6500億円を捻出し、核抑止や技術開発に再配分すると説明した。
●また、この「fourth estate」から約2000億円相当の業務を米軍組織に移管し、「fourth estate」の規模縮小を行うと述べた

Esper SAIS2.jpg予算の再配分先の焦点としてエスパー長官は、「部隊の即応態勢や破壊力向上には、技術や組織変更だけでなく、戦い方の近代化によって米軍能力を効果的に束ねることが欠かせない」、「そのため予算編成では、全ドメイン作戦を含む、統合の作戦コンセプト開発と実行をサポートする資源配分を行っている」と述べた
●そして、米軍部隊のより迅速で機敏な展開を可能にし、米軍戦力運用を「迅速機敏に」、「予想を困難に」、「破壊力を増し、柔軟で、状況適応力に富んだ」ものに変革する方向に投資すると説明した

具体的な例として国防長官は、米空軍が進める「ABMS:空中戦闘管理システム」や「JADC2:統合全ドメイン指揮統制取り組み」への投資増額を計画していると説明した
更に、地域戦闘コマンドを含む米軍部隊の再編についても言及し、対テロや麻薬密輸対処などの低列度紛争対処から、中国やロシア対処に切り替えるため、国家防衛戦略NDSに沿った人と組織の再構築を検討していると述べた。米アフリカ軍や南米軍の再検討が始まっていると伝えられている
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2021年度予算(2020年10月1日から使用)案の公表は、日本時間の10日夜あたりで、日本のメディアでも11日の新聞には概要が掲載されると思いますが、特定の予算項目が話題に挙がったり、極東関連の予算のみに焦点が当って全体の狙いが見えにくくなる傾向が毎年あるので、ぼんやりとした内容ですが、エスパー長官の思いを前もってご紹介してみました

Esper SAIS3.jpg予算がないんです・・・。中国が西太平洋でA2ADを完成間近でも、ロシアが大西洋や北極圏や東欧正面で活動を活発化していても、無い袖は振れない厳しさが感じられます

そんな中で、フロノイ元政策担当国防次官が提言した、核戦力近代化はほどほどで、中国を72時間脅威下におく体制造り、などは一つの勇気ある提言だと思います。

大統領選挙で政争の具にされそうな米国防政策ですが、エスパー長官の「夜間検討会:night court」までやって改革を進めようとする熱意と、多士多彩な専門家の知恵が、上手くかみ合ってNDSの目標達成に向かうことを祈ります

エスパー国防長官の思い
「資源配分の再検討を不退転の決意で」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-31
「Esper長官の略歴」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20

ABMSとJADC2関連
「予算で将来連接性を重視しアセット予算削減」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「米空軍の夢をCSBAが応援!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「初の統合「連接」実験演習は大成功」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「空軍資源再配分の焦点は連接性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-08
「マルチドメイン指揮統制MDC2に必要なのは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-24

米海空軍の戦力大増強への反対意見
「中国抑止をフロノイ女史らが語る」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17

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