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空軍長官が国防省にF-35への新エンジンAETP搭載迫る [亡国のF-35]

米議会や他軍種や他国からの追い風がなさそうな状態なのに
2024年度予算案に組み込む必要性を訴え
最後は国防省調達担当次官の判断だと

AETP XA-100.jpg7月26日、kendall空軍長官が講演で、耐久性に問題がありF-35稼働率低迷の一つの要因となっているF135エンジン問題に関し、2024年度予算空軍案を決める夏に、新型AETP(Advanced Engine Transition Program)エンジン導入の方向を決定したいと訴えつつ、米海軍やや海兵隊にも関係する問題であるので、LaPlante調達担当国防次官に最終判断が委ねられていると述べました

AETP XA-101.jpg新型AETPエンジンは、もともと次世代制空機NGAD用に開発されてきたエンジンで、これを今頃F-35に搭載しようとすると7000億円以上の追加経費が必要な上、垂直着陸型F-35Bには搭載不可能な構造になっていることから、先日退官したFick国防省F-35計画室長(空軍中将)は、「異なる道に進むなら、他者へのコスト増が無いように、米空軍独自の経費でやるべきだ」と突き放した発言をしていた所です

また、これまでのところ、米空軍以外で新型AETPエンジンを導入したいと表明している軍種やF-35導入国はありませんし、現在のF135エンジン改修搭載案にも前向きな発言を聞いたことがありません。(F-35維持費が高止まりしている中、他軍種も他国もそれどころではない状態です)

Kendall 7.jpgそんな中でもKendall空軍長官は講演で、「だらだらとF-35への搭載検討研究開発費を投入したくない」と述べつつ、「私は強くATEPエンジンを希望している。F-35の更なる能力向上につながるからだ」、「最終的な決断は、他軍種やF-35他形態との国防省としての立場の一体性から、調達担当国防次官に委ねられるだろう」と語っています

米議会の中は様々なようで、2022年度国防授権法では、AETPエンジンであるGE社 XA-100 とPratt & Whitney社XA-101エンジンを2027年までに「Block 4」形態以降のF-35に搭載可能かについて、よく吟味するよう国防省に検討を求めている一方で、

AETP XA-100 2.jpg35名の超党派議員団は LaPlante調達担当次官にレターを送り、F-35が本格大量生産に入る中で極めて改修リスクが高く、追加費用も膨大なF-35へのAETP搭載案を断念するよう要求し、F-35計画の屋台骨である「兵站分野の共有化」をAETPエンジン導入でぶち壊すことがあってはならないと警鐘を鳴らしています

ちなみに、AETPエンジン導入のメリットについて空軍長官は講演で触れなかったようですが、26日付米空軍協会web記事によれば企業関係者は、推力の増加やステルス性の向上、更に電子戦能力向上やエネルギー兵器搭載を容易にする発電量増加を挙げているようです
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AETP XA-100 4.jpg今年5月17日の上院証言でKendall長官は、「空軍単独で進むことは考えない」との方向性を示唆していたようですが、このような他軍種や議会やF-35導入国との関係にあまり配慮しているようには見えない発言の真意はどこにあるのでしょうか?

F135エンジンの改修型導入か、AETPエンジン導入か、はたまた現在のF135の修理体制を増強して、予想より頻発する故障に対応しながら付き合っていくのか・・・極めて大きな「亡国のF-35」を巡る動きですので注視してまいりましょう

F-35のエンジン問題
「空軍長官:数か月で決着すべき」→https://holylandtokyo.com/2022/05/26/3260/
「上院でエンジンとODIN議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「民間監視団体が酷評」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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米軍F-35が不良射出座席カートリッジで飛行停止に [亡国のF-35]

射出用カートリッジ発火装置に製造過程で欠損
2700個点検して3個に欠損発見
4月に欠損部品発見も、なぜか今頃前線部隊で総点検

F-35 Martin Baker3.jpg7月29日付米軍事メディアが、米空軍F-35A型機の射出座席で、座席射出用点火装置に点火剤であるマグネシウムが欠損したカートリッジが「4月」に見つかった件で、米空軍最大のF-35保有部隊である米空軍戦闘コマンドACC報道官が同日、「29日に、ほぼすべてのF-35A型機の飛行を取りやめ(stand-down)指示が出て、データを分析している」と明らかにしたと報じました。

F-35 stand-down.jpg同報道官は、発表時点でどれだけの確認が終了し、確認終了までにどれだけ時間が必要かには触れず、「飛行取りやめは週末を通じて続き、来週(8月1日の週)前半には通常体制に戻ることになろう」と明らかにし、欧州米空軍や太平洋空軍F-35A型機も同様の措置が取られ、翌日からは空軍教育訓練コマンド所属のT-38練習機の半数や6機のT-6初等練習機も飛行を取りやめたとも報道されています

問題の米空軍F-35A型機の射出座席は「英国」Martin-Baker社製で、同社製造工程におけるミスで発生したもので、特定期間に製造された米空軍F-35A用の「CAD:cartridge-actuated device」に十分な量の起爆用マグネシウム剤が充填されなかったことが原因と判明しているようです(原因判明時期は報道無し)

F-35 Martin Baker2.jpgMartin-Baker社は特定期間製造の米空軍用F-35Aのみが対象と説明したようですが、同じ工場で製造されたF-35Bs/Cs, F/A-18s, EA-18s, T-45s, and F-5Ns用の射出座席を使用する米海軍や、T-38とT-6を使用する空軍教育コマンドも、念のため同社同工場製の射出座席を使用する機種の飛行を取りやめ、この動きは同社製の射出座席を使用する他の85か国の軍の機体に広がっているようです(航空自衛隊の対応は不明)

F-35A型機の点検は、機体から射出座席を取り外せば「目視数秒」で確認可能とのことで、座席の機体からの取り外しも含めて1日飛行停止すればチェックは終了するそうで、7月29日付報道には同社報道官の言葉として「米空軍F-35A型機の70%の点検は終了」、「わずかな不良CADが見つかった」と紹介する記事や、「2700個のCADを確認し、3個の不具合品を特定した」との情報を報じるメディアもある状況です

F-35 Martin Baker4.jpg最初にCADの異常を「4月」に見つけたのは米空軍Hill飛行場の整備員で、「CADが異常に軽い」と感じて検査したらマグネシウム発火剤が欠損していたらしいですが、国防省F-35計画室は時期不明ながら「緊急TCTD(Time Compliance Technical Directive)」を出し「90日以内の点検」を指示しましたが、その後時期不明ながら「通常TCTD」で「90日以内の点検」に指示を変更しており、これら経緯も含め7月29日になってやっとACCが「飛行取りやめ(stand-down)指示」を出した流れが「???」です

F-35 stand-down2.jpg米空軍関係者はこの「飛行取りやめ(stand-down)」(飛行完全停止(grounding)とは異なり、チェックが終了した機体や座席は直ちに飛行可能)の影響は軽微で、飛行取りやめ期間に他の機体部分の定期整備作業を行うことで、トータルの飛行時間は取り返せる等と語っているようです
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いつものように、何か裏がありそうなF-35関連事案とその対応ですが、整備支援システムALISや後継ODINの混乱の中、前線部隊整備員の皆様の負担がこれ以上増えないことを祈るばかりです

F-35 Martin Baker.jpgこの英国Martin-Baker社製の射出座席は、2015年から17年にかけ、体重が軽い操縦者が緊急脱出した場合に首を負傷するリスクがあることが判明し、対策として、体重に応じた切り替えスイッチを座席に付加して射出のタイミングを調整可能とすること、射出時に頭を支えるパネルを座席に付加すること、操縦者用ヘルメットHMDの重量を約250g削減する改善策3点セットで操縦者の体重制限がやっと解除された前科がある座席です

製造企業が英国籍企業であることから、米国製の射出座席に変更すべきだとの声が米議員の間から上がり、F-35開発の更なる遅延を恐れた国防省やMartin-Baker社が猛反発し、共同開発国である英国への思いやりもあり、何とか継続採用することになった座席でもあります

英国製F-35の射出座席問題2015-17年
「F-35座席問題の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25
「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

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チェコが東欧で2番目のF-35購入国へ進む [亡国のF-35]

ポーランドに続き24機導入の交渉開始を発表
物価上昇中で早く交渉に決着付けたいと
18番目の購入国になるか。
韓国も追加で20機F-35A導入決定

Cernochova Czech3.jpg7月20日、チェコ共和国のPetr Fiala首相が、現在2027年までリース契約中のグリペンC?D型戦闘機14機の後継として、米国政府と24機のF-35A購入交渉に入ると発表し、交渉役にJana Cernochova国防相を指名しました。また同首相は同時に、スウェーデン製の歩兵戦闘車両導入交渉も進めると語ったようです

Cernochova Czech.jpgF-35購入交渉役のCernochova国防相(女性)は、もし価格交渉で2023年10月までに米側と折り合わなければ候補機種から外し、Typhoonやグリペン能力向上型を指向する旨を示唆したようですが、関連素材や部品価格が上昇を続ける中で、早期に決着したい意向も示したようす。

仮に米国との交渉がまとまれば、2020年1月に32機のF-35購入を表明したポーランドに続く東欧2番目の購入国になり、世界では18番目の、そして欧州では10番目に購入又は具体的な検討表明をした国となります

Rehka Czech.jpgチェコ軍のKarel Rehka参謀総長はF-35Aを高く評価し、「他機種に比べ極めて高性能で、2040年代はおろか、2060年代まで有効だろう」と軍としてF-35を強く希望していることを隠さず、「F-35は多機能戦闘機で、単に戦闘機や戦闘爆撃機としてではなく、戦場ネットワークの指揮統制センターとして機能し、同時に高性能センサーを備えたスパイ機でもある」と表現しています

欧州の軍事情報筋は、ギリシャがF-35購入検討を行っているほか、他の「several」ヵ国の欧州諸国がF-35導入を検討していると、Defense-Newsに語っているようです

F-35 Czech.jpgロッキード社報道官は、「チェコ共和国がF-35に関心を示していただいて光栄である。同国の関心にこたえるため如何なる支援も惜しまない」、「交渉に関する情報は両国政府から提供されるだろう」と述べるにとどめています
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ロシアによるウクライナ侵略を受け、米空軍が2-4機のF-35を欧州に派遣していますが、購入可能性のある欧州諸国にその能力をデモする意図もあるのかもしれません。

F-35 Greece4.jpgただ一方で、末尾の過去記事で取り上げているように、米軍や英軍はF-35維持経費の高止まり等を受け、F-35調達数削減の方向にあることを忘れてはなりません。

なお、韓国は7月15日、従来の40機に加え、追加で20機F-35Aを調達することを決定しました

F-35導入を決定又は具体的協議表明した国(カッコ内は購入予定機数)

●共同開発国(8か国とその他1国)
 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(交渉がまとまれば88機
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40機。追加20機を2022年7月決定)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)

●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)、ドイツ(最大35機)、チェコ(交渉まとまれば24機)、ギリシャも交渉中とか・・・

最近のF-35購入決定国
「カナダがF-35を88機の1番候補に」→https://holylandtokyo.com/2022/03/31/3061/
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holylandtokyo.com/2022/03/16/2920/
「フィンランドが15番目」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「スイスが14番目の購入国に」→https://holylandtokyo.com/2021/07/02/1976/
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

F-35調達機数削減の動き
「米海軍が2023年度予算で調達抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/

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米海軍が製造可能数よりF-35C調達数を抑え優先事業へ予算 [亡国のF-35]

FA-18の延命措置等で必要艦載機数は確保可能と判断
海軍海兵隊全体の優先順位を踏まえF-35調達予算削減
当初は製造ペースが上がらない為としていたが今では・・・

F-35C Carl.jpg6月28日付Defense-Newsは、米海軍が今後5年間は毎年20機調達予定だとしてきたF-35C型機を、2023年度予算では9機しか調達せず(2022年度は15機)、その理由として当初はコロナ禍のサプライチェーン混乱による製造&調達リスクを上げていたのに、最近になってFA-18と合わせた艦載機数の確保に目途が立ちつつあり、他の優先事項に予算を投入したいためと説明ぶりが変化している、と指摘しています。

同記事は様々な関係者の話を細切れに紹介して読みにくいものとなっていますが、まんぐーすは、従来から開発が遅延するF-35導入を米軍内で最も後回しにしていた米海軍が、維持整備費高止まりのF-35調達をさらに遅らせ、最終的に総調達数(260機:現在50機程度か)削減につなげようとする動きの一つと邪推しております

FA-18 block Ⅲ2.jpg結論として、米海軍がF-35C調達ペースを大幅にダウンすることができるのは、FA-18の機体寿命を4000時間も伸ばす「Super Hornet Service Life Modification (SLM)」改修に必要な時間を、現在の18か月間から2023年までには15か月に短縮し、最終的に2024年には12か月にまで短縮して、運用可能なFA-18機数を、これまでの341機から360機に上方修正できる目途が立ったことが大きいと米海軍首脳が明らかにしています

この結果、これまで米海軍艦載機の不足状態解消に2030年までかかると見積もっていたところ、この問題を2025年には解消可能になったため、F-35C調達ペースを下げ、その分の予算を他の優先分野に配分できるようになったと米海軍は説明しています

F-35C.jpg記事執筆者は、この春の2023年度予算案を議会提出した際から5月中旬まで、海軍長官や米海軍作戦部長は複数の議会説明で、F-35要求数を9機に削減した理由は、コロナの影響でサプライチェーンに課題が残っているからと説明していたことからの変節を指摘しつつ、最近は米海軍報道官が明確に「ロッキードはコロナ禍改善によりF-35Cを年間30機製造可能になっているが、他の優先事項への投資を選択肢として考えられるようになった」と解説しています
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ロシアによるウクライナ侵略で、様々な米軍装備品調達のグダグダが表面化しなくなっていますが、F-35も、フォード級空母も、KC-46も、次期ICBMも、「日暮れて途遠し」状態だと認識しております

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/

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初期型F-35を活用して敵役を演じる部隊編成 [亡国のF-35]

実戦使用不可で、改修費が捻出できない初期型機体の有効活用

F-35 65th Aggres4.jpg6月9日、米空軍はF-35A戦闘機で構成する初めてのアグレッサー部隊(訓練演習で敵機部隊を演じる専門組織。敵の戦術等を普段から研究し米空軍を鍛える役割)として、「第65アグレッサー飛行隊:65th Aggressor Squadron」を航空戦術研究のメッカNellis空軍基地で再立ち上げし、再立ち上げ式典(reactivation ceremony)を行いました

式典には来賓として米空軍戦闘機族のボスであるMark D. Kelly空軍戦闘コマンド司令官も参加し、式典に先立って自らF-15Eに搭乗して新アグレッサー飛行隊長が操縦するF-35と空中戦を行って技量を確認したようです

F-35 65th Aggres3.jpg航空戦術研究のメッカとご紹介したNellis空軍基地は、米空軍の精鋭パイロットを養成する「Weapons School:通称トップガンスクール」が所在するほか、実戦同様の訓練環境を提供する大規模航空演習「Red Flag」を実施する基地でもあり、F-16戦闘機で敵機を演じる「第64アグレッサー飛行隊」も所属しています

「再立ち上げ」とご紹介した「65th Aggressor Squadron」は、WW2時の1942年にP-40プロペラ戦闘機で創設され、その後P-47に機種更新され、1969–1989年の間はF-5Eでソ連機の戦術を模擬しました。いったん閉鎖し再開後の2005–2014年の間はF-15で編成され、その後再び休眠状態になっていましたが、今回F-35Aで復活再立ち上げとなったものです

F-35 65th Aggres.JPGただ、おめでたいニュースにケチをつけるようで申し訳ないですが、フロリダのエグリン空軍基地から「65th Aggressor Squadron」に配属される9機のF-35は、F-35がまだ開発途中だった頃に製造された初期型の実戦投入不可な「non-combat-coded aircraft」で、実戦投入可能にするには多額の改修費が必要で米空軍が対応に苦慮していたものです

開発が大幅に遅れ、要員養成や部隊建設準備用に装備や完成度不十分と知りつつ製造した機体が、将来問題になると知りつつ見切り発車した「開発と製造を同時進行」の「負の遺産」ですが、このような形で表面上は「有効活用舞台」を準備できた・・・と米空軍は説明するのでしょう

Kelly2.jpg式典参加のKelly司令官は、「PRC(中国)が開発する第5及び第6世代戦闘機戦闘機の脅威を受け、我々はLangley, Elmendorf, Hill, Eielsonの各基地に配備された実戦部隊の最新鋭機を(敵機役として)使用しなければならなかったが、本日(戦術研究の拠点である)Nellis空軍基地に第5世代機の能力を演じることが可能な専門部隊を立ち上げた」、「確かな脅威が存在する中、第5世代能力を持つ敵機役が訓練で必要ならば、その役割は専門部隊が担う必要がある」と同飛行隊の重要性を訴えています

米空軍では前線部隊からの強い要求を受け、第5世代機を敵機役とした演習が2021年夏の「Red Flag 21-3」から実施されていたようですが、Kelly司令官が言及したように専門知識や能力が不足する空軍内5世代機部隊が「臨時の敵役」を務める形で実施され、訓練効果が「いまいち」だったようで、「負の遺産」の有効活用ですが米空軍作戦機部隊からは大きな期待が寄せられています

F-35 65th Aggres5.jpgF-35アグレッサー部隊「65th Aggressor Squadron」の初代隊長はBrandon Nauta中佐で、お写真から拝見すると東洋系のようなお顔立ちですが、2020年4月の「Red Flag アラスカ」にF-16アグレッサー部隊員として参加された記録があるので、航空自衛隊の中にもご存じの方がおられるかも・・・
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30数年ぶりに続編が公開されたトム・クルーズ主演の「トップガン・マーベリック」が大ヒット中で、ハリウッド映画の王道を行く娯楽大作としてまんぐーすも音響の良い映画館で大いに楽しませていただきました。

topgun maverick.jpgこの映画の撮影に全面協力してパイロット不足解消に必死な米海軍に負けじと、米空軍も「Weapons School:通称トップガンスクール」所在のNellis空軍基地とアグレッサー部隊のアピールに懸命な模様です

初代の映画「トップガン」公開時には、米海軍パイロットへの志願者が10倍以上になったらしいですが、続編大ヒットの勢いに乗って、米軍のパイロット志願者不足がどこまで解消されるかにも注目です

米空軍パイロット不足関連
「コロナ後の民間との操縦者争奪戦」→https://holylandtokyo.com/2021/10/17/2271/
「女性登用増に航空機設計基準変更」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-20
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「不足さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10

トップガン関連の記事
「太平洋軍司令官はトップガンパイロット」→https://holylandtokyo.com/2020/12/07/337/
「さらに公開延期でも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/12/722/
「予告編第2弾」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-18
「予告編公開:映画トップガンの続編」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-20-1

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今後数か月でF-35エンジン換装是非に結論出す [亡国のF-35]

Kendall空軍長官が2024年度予算案検討過程で決定すると
米空軍レベルではなく国防省レベルの決定が必要と語る
現F135エンジン改修か、次世代AETP搭載か
NGAD用に開発の高価なAETPには他軍種も同盟国もしり込み

AETP7.jpg5月17日、Kendall空軍長官が上院予算関連委員会で証言し、エンジンブレードの早期劣化が発覚して故障が頻発しているF-35戦闘機のF135エンジン(Pratt & Whitney製)対策に関し、F135改修型導入か、次世代制空機NGAD用に開発中のAETP(Adaptive Engine Transition Program :GE AviationとP&W社が競いが開発中)を導入するか、他オプションを追求するか等の決定を、国防省レベルで2024年度予算案を取りまとめる今後数か月で決定する必要があると述べました

「問題は相当に複雑な状況にある」と慎重な表現を用いた同空軍長官は、具体的なコスト等には言及しませんでしたが、いかなる手段を選択しようとも、「従来と異なるものを求めるなら、そのコストは使用者が負担する必要がる」と国防省は明言しており、開発中のAETPなら「開発経費を含むコスト」を導入者が負担することになります

Kendall SASC.jpgF135改修型導入、次世代制空機NGAD用に開発中のAETP導入、他オプションの特徴やコストについて、関連報道は触れていませんが、少なくとも最も高価と言われる開発中AETPについては、垂直離着陸B型には搭載できず、空母用C型用には更なる改修(+αの費用発生)が必要で、意向確認は行っていないようですが、米海軍や米海兵隊はもちろん、他のF-35導入国でも、現時点でAETP導入に同意した国はないと空軍長官は証言しています

最近数か月間、関係議員、空軍幹部、エンジン製造企業及び国防省F-35計画室はF-35エンジン問題と改修案について精力的に協議か行われていると記事は伝えていますが、細部はよくわかりません

AETP engine.jpg記事はKendall長官が「空軍単独で進むことは考えない」と示唆したと紹介しつつも、現状について「米空軍と議会は興味を示している」、「一部議員が2027年からAETPを導入する法案を準備した」とも紹介しており、空軍の「腹の中」もよくわかりません

以下では「2024年度予算の国防省案を固める今後数か月で検討する必要がある」、「国防省レベルで判断してもらう必要がある」との意味深な発言をしているKendall長官の議会証言ぶりをご紹介しま

17日付米空軍協会web記事によれば同長官は上院で
Kendall4.jpg●F-35用エンジンのパフォーマンスを改善するオプションがいくつか存在するが、相当に複雑な状況にある
●(Susan Collins上院議員の質問に応え、)米軍の他軍種からも、他のF-35購入国からも、AETPエンジン導入の必要性については同意を得ていない

●米軍の他軍種も、他のF-35購入国も、それぞれの懐事情があり、要求性能も異なっている。米空軍は他の運用者や国と比較して、圧倒的に多くの機体を保有しており、本件に関する関心が高い
●一方で新型エンジン導入は、開発費を含めて大きなコスト負担を伴う。現在使用しているF135エンジン改修案は、より安価にエンジン性能を改善できる手段である。また中間的な他のオプションも存在している

AETP engine4.jpg●考慮・検討して判断すべき多くの要素があり、判断には広い視点からの熟慮が必要であり、いかなる現有F135エンジンからの変更も国防長官室が最終判断すべきと考えているが、我々が2024年度国防省予算案をまとめる今後数か月で判断が行われると予期している
●米空軍は次期制空機NGAD用にAETP技術開発に取り組んでおり、必要な予算を確保しているが、F-35エンジンの更新や改修判断は、極めて複雑な状況を踏まえより高いレベルでの判断が求められる
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AETP engine3.jpg記事は、Kendall長官が「空軍単独で進むことは考えない」と示唆した(seemingly hinting that the Air Force won’t look to “go it alone” with their own separate effort)と描いていますが、米空軍の本音はどのあたりにあるのでしょうか?

AETPを米海軍や他国も含めて導入してくれれば、AETP開発費負担が分散でき、次期制空機NGADの価格(1機数百億になると同長官が)を少しでも抑えられるから、何とかF-35にAETPを搭載するオプションを追求出来ればと、米空軍は考えているかもしれません。

AETP6.jpgまたは、F-35にこれ以上資金投入は望まず、NGADや無人随伴機やB-21ステルス爆撃機や核抑止分野に資金を投入したいので、AETP派にも配慮してよいエンジンだと表現しつつも、国防省側で不採用決定してほしい・・との考えかもしれません

F-35のエンジン問題
「上院でエンジンとODIN議論」→https://holylandtokyo.com/2022/05/18/3223/
「下院軍事委員長がAETPに関心」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「民間監視団体が酷評」→https://holylandtokyo.com/2022/03/25/2933/
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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F-35のエンジン問題とODINへの現場の声 [亡国のF-35]

GAO最新報告書がエンジン問題を酷評も
国防省F-35計画室はいつものように対処中と
導入開始のODINについて現場は「ストレス依然高い」

F-35 Hill AFB6.jpg4月28日、下院軍事委員会でF-35の維持費高止まり問題が取り上げられ、議員からは「維持費問題を無視したF-35導入は止めよ」「F-35はロッキードは金づるになってしまっている」等々と厳しい批判が国防省F-35計画室長や調達担当国防次官に投げつけられ、特にエンジンブレードの耐久性問題が表面化しているF135エンジンや、兵站情報システムALISの後継であるODINへの疑問が噴出しています

2020年に発覚したF135エンジン問題は、タービンブレードの耐久性が想定より低くエンジン故障が頻発し、修理能力限界を超え、40~50機のF-35が搭載エンジン不足から飛行不能に陥っている問題です。

F-35 Greece4.jpgこれに対し国防省F-35計画室長は3つのアプローチで対処すると述べ、修理に必要な時間短縮、修理施設の増設、他の修理サイクルを調整しエンジンの前線部隊所在時間延長に取り組むと言い続けてきましたが、実際には修理能力強化以上に故障が頻発し、例えば2021年5月には38機がエンジン待ち非稼働でしたが、9月末には52機に同様機体が急増していることが暴露されています

また兵站情報システムALISの後継システムODIN(Operational Data Integrated Network)については、2022年1月末に14セットを米国の各軍種用基地や英国とイタリアのF-35拠点基地に提供したとの発表がありましたが、その後について会計検査院が配備先を訪問して聴取した現場の声を記事が取り上げているのでご紹介しておきます

4月28日付米空軍協会web記事によれば
Fick3.jpg●国防省は2021年1月にF-35稼働率が70%に達したと宣伝したが、そこをピークに2021年9月には53%にまで低下しており、2021年全体では目標の65%を下回る61%であった
●そして4月28日に米会計検査院が発表したレポートでは、F-35の稼働率は68%以下と報告されており、同軍事委員会の議員は口々に「受け入れがたい数値だ」と不満を口にし、このような稼働率や維持費高止まりの問題を放置したまま、新たな機体を導入することは許容しがたいとF-35計画室長や国防次官を非難した
●エンジン修理待ちによる非稼働機は2022年2月で36機にのぼり、何か月も30機以上の状態が続いており改善の兆しが見えないとも、同委員会の委員は非難した

●F-35計画室長(Eric T. Fick空軍中将)は前述の3つのアプローチにより、F135エンジン修理能力は向上しつつあり、2021年の77個エンジン修理から、2022年には122個まで修理能力を高める予定だと説明した
Maurer.jpg●そして同室長は、米会計検査院GAOが4月末の報告書で「このままでは、2030年のF-35非稼働機の43%はエンジン問題に起因することになる」指摘した件に関し、必要な対策をとっており、GAOの指摘の様にはならないと反論した

●しかし議員らはGAOが指摘したように、F-35計画室の将来見通しが楽観的な予算配分見通しや故障発生見積もりの前提で導かれている点を懸念しており、この点に関し議論は平行線のままだった
●GAOレポート執筆のDiana MaurerはF-35計画室の説明に関し、同計画室の計画が完全に遂行されることを期待するしかないが、(現実には、これまで様々な課題に関し、)同計画室の計画はその一部が実行されたにすぎない・・・とコメントしている

ALISからODINへの移行について
Fick4.JPG●F-35計画室長は、ALISからODINへの移行によって、スイッチを切り替えるように従来の不具合が解消されると説明したことを反省していると述べた
●同室長は、実際にはF-35の兵站情報システム生態系が、徐々に変化していき、部屋の照明が次第に明るくなるように変化が見えてくるのが現在の状況だと説明した

●このような説明に対し、ODINが導入された前線部隊を視察したGAOのDiana Maurer氏は、前線の維持整備担当兵士は、依然として相当レベルのフラストレーションをODINになっても感じており、改善されているとは思うが、前線兵士が望むレベルにはないと感じていると指摘した
また同氏は、ODINが目指す改善のレベルとその評価をどのように実施するのかを明確にし、改善をしっかり把握して資源投入すべきだとかねてから主張していると訴えている
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Maurer2.jpg米会計検査院GAOがF-35の問題点を指摘すると、国防省F-35計画室は「GAOの指摘は目新しいものではない」「その点は既に把握済で、対処している」と常に答えてきましたが、最終的にはGAOの指摘したとおりに問題が大きく顕在化し、小手先だけの対処措置しか行われなかったことが白日の下にさらされる結果を繰り返してきました

「F135エンジン問題」はさらに悪化の一途をたどるでしょうし、、「ODIN導入」にしても、最終的なしわ寄せは現場の整備員が背負ってカバーすることになるのでしょう・・・・。

これが多かれ少なかれ産軍複合体によって生み出された国防装備品の実態ではありますが、F-35クラスの史上最大の国防装備品ともなると、「亡国のF-35」と呼ぶほどの威力を発揮することになります。担当する皆様は本当にかわいそうです

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

F-35のALISをODINへ
「ODINまず14セット提供」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-02
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

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NATO司令官:F-35は少数だが活躍、2030年までに550機 [亡国のF-35]

4-6機がポーランドとルーマニアに展開
16機F-15ポーランドや8機F-16ルーマニア展開と共に

Wolters7.jpg3月30日、NATO司令官で米欧州コマンド司令官を兼任するTod D. Wolters米空軍大将が下院軍事委員会に出席し、ロシアのウクライナ侵略に伴って米本土から東欧諸国に展開している4~6機の米空軍F-35が、ISR任務等に「エレガント」な働きをしていると証言し、現在欧州に100機F-35が存在するが、2030年には計画通り550機規模の戦力になることを期待していると語りました

ウクライナ情勢の緊迫を受け、
米空軍は以下のように米本土から航空戦力を東欧に増強中

●B-52:2月10日米本土から英国基地へ

●F-16:2月11日8機をドイツ基地からルーマニアFetestiへ
●F-15:2月上旬8機を英国基地からポーランドLaskへ
    追加で2月14日に8機米本土からポ国へ

●F-35:2月16日6機米本土からドイツSpangdahlemへ
    2月24日同機が独からポーランドとルーマニアへ更に展開
    3月30日下院軍事委員会でWolters大将「現在は4機が東欧に展開」と証言

3月30日にNATO司令官Wolters大将は議会で
Wolters5.jpg●(米本土Hill空軍基地から)東欧に展開している4機のF-35A型機は、ロシアによるウクライナ侵略に対するNATO対処の一環としてエレガントにISR任務を遂行しているが、将来、現在計画されている欧州へのF-35導入が完了したら、現在よりはるかに大きな戦力であることが明らかになるだろう

●これまで同機が今の情勢下で、抑止と安全保障に貢献してくれているように、今後もNATOの戦略能力、戦況把握と警報発令、指揮統制、ミッション指揮の改善に極めて大きな役割を果たしてくれるだろう
●F-35のNATO諸国への導入が劇的に進みつつあり、現段階で約100機が欧州に存在するが、私はこの数が計画通り増加し、2030年には約550機規模の素晴らしい戦力に成長することを願っている
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Wolter司令官が語った「2030年には約550機」とは以下の合計
Denmark(27機), Italy(90), Netherlands(37),
Norway(52), 英国(138)、Belgium(34)
ポーランド(32)、スイス(32)
フィンランド(64)、ドイツ(最大35)

F-35 Germany.jpgF-35のISR能力の優秀さは各所で語られていますが、同司令官が「550」との数字に言及する際、上記の各購入国が公式に発表している購入予定数の単純合計なのに、わざわざ「our hope is・・・」との表現で語っている点に注目です。

英国の国防相が昨年6月、F-35維持費の高止まりに怒りを爆発させ、英議会で「我々は白紙の小切手にサインするつもりは無い」と導入機数削減に公然と言及するなど、米国との関係からF-35購入を決定した国々も、米国防省のF-35調達機数削減検討を注視しています

まんぐーすのざっくり予想は、欧州全体で最高300機・・・です。200-250機で落ち着く可能性もあると思います。米軍だって半減の勢いですから。

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

「民間監視団体がF-35改善なしと」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-17
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/

最近のF-35購入決定国
「カナダが第1候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-29
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-15
「フィンランドが15番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-11
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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カナダが次期戦闘機88機にF-35を1番候補に [亡国のF-35]

総予算範囲で交渉決裂なら選定2番のグリペンへ
2025年に一番機導入予定で交渉へ

Tassi canada.jpg3月28日、カナダの調達担当大臣は、カナダ軍保有のCF-18戦闘機の後継として複数の候補機種を比較検討した結果、1番候補としてF-35が選ばれ、サーブ社のグリペン戦闘機が2番候補になったと語り、まず1番候補のF-35がカナダ政府予算の約1兆8000憶円範囲内で購入できるか交渉を開始すると明らかにしました

仮に、上記予算範囲内で1番機を2025年に受領する契約にロッキード社と合意できなければ、2番候補であるグリペンを求めサーブ社と交渉するとも同大臣は語っています

Trudeau.jpgカナダは策士であるトルドー首相の下、F-35共同開発国でありながら同機の開発遅れや価格高騰を理由に購入決定を延期し続け、一時は138機保有の老朽化CF-18を補完する「つなぎ戦闘機」として豪空軍中古F-18購入案まで持ち出して「戦って」いましたが、2018年頃から複数機種を候補に「ゆったりのんびり情勢をしっかり見極める機種選定」を開始していまし

2018年11月の記事からカナダ機種選定模様を
CF-18 canada.jpg●カナダ空軍はCF-18戦闘機を138機所有しているが、30年以上の使用で機体寿命に達しつつあり、ほどなく77機程度まで使用可能機数が減少することになる
●カナダはCF-18後継を想定してF-35共同開発国に加わり、60機購入を計画していたが、2015年にトルドー政権はF-35計画への不信感をあらわにし、F-35購入を少なくとも5年は延期し、白紙的に検討すると発表

●一方で老朽CF-18の穴埋めとして、ボーイング製FA-18の購入を検討し始めたが、ボーイング社がカナダのボンバルディア社を旅客機のダンピングで訴えたことから米カナダ関係が悪化し、FA-18の購入検討を中止し、中古の豪州空軍FA-18を25機購入を協議中。2018年9月、製造元米国も承認することを表明
F-35 canada.jpg●旅客機ダンピング問題は、2018年1月に米国調停機関がボーイングの訴えを却下して決着したが、トランプ政権の強引な米国製品売り込みの失敗例として、またNAFTAを巡り悪化する米カナダ関係を象徴する事象として大きな話題に

●紆余曲折の末、現有CF-18の老朽化もあり、トルドー政権下のカナダ国防省は本格的な後継機選定を、F-35、タイフーン、ラファール、グリペン、FA-18E/Fを対象として2018年から再開したところ
Gripen SAAB.jpg●カナダ政府は、今回の戦闘機選定を「once-in-a-generation opportunity for the Canadian economy」と見なし、産業政策の重要な柱と見ている。カナダはF-35共同開発国として1000億円の投資を行い、110社のカナダ企業が備品供給や維持整備に関与する資格を得ているが、今後の維持関連業務は費用対効果で定期的に見直されることから、いつ除外されてもおかしくない不安定なものである
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「予算範囲内で1番機を2025年に受領する契約にロッキード社と合意できなければ、2番候補であるグリペンで交渉」との戦術が功を奏するのかどうか「?」ですが、交渉がまとまればフィンランドが15番目で、ドイツが16番目、そしてカナダが17か国目のF-35購入国になります

みんなで渡れば怖くないのか? 

F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)

●共同開発国(8か国とその他1国)
F-35 canada2.jpg 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)、そしてカナダ(交渉がまとまれば88機
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(9か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)、ドイツ(最大35機)

●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)、ドイツ(最大35機)

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

策士トルドー首相カナダ選定の紆余曲折
「仕切り直し再開か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23

「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20

最近のF-35購入決定国
「ドイツが戦術核運搬用に16番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-15
「フィンランドが15番目」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-11
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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民間監視団体:F-35問題は改善の兆し見えず [亡国のF-35]

エンジン含む部品調達不足やソフト開発で続くトラブル
欠陥箇所総計は870を超え、むしろ増加傾向

Grazier POGO3.jpg3月16日付Defense-Newsが、1月に米国防省の作戦運用試験&評価局が発表した初めての公開版(限定的内容の)「F-35開発プログラムレポート」について、民間監視団体POGO(Project on Government Oversight)がF-35の実態を正しく伝える内容になっていないと主張し、非公開版を入手&公開して批判している様子を紹介しています

Grazier POGO2.jpgF-35については、米空軍を中心とした米軍内で調達機数削減の検討が水面下で進む一方で、F-35導入を避け続けていたドイツまでが3月14日にウクライナ情勢を受け35機以内の導入を決定するなど、西側諸国で「地滑り的」な調達決定が相次ぎ、米国政府を挙げての強硬な売込み活動が伺える状況です

民間団体POGOが批判の対象にしているレポートを作成した作戦運用試験&評価局(DOT&E :Office of the Director, Operational Test and Evaluation)は、議員立法で設置された部署で、国防省の各種開発計画を極めて厳しく評価することで知られた部署ですが、国民向けの公開バージョン報告書で指摘されている内容で、特に以下の3点についてPOGOは不誠実だと指摘しています

部品不足やエンジン問題がF-35稼働率向上を阻害
●国防省は2021年1月にF-35稼働率が70%に達したと宣伝しているが、そこをピークに同年9月には53%にまで低下しており、2021年全体では目標の65%を下回り61%となっている
F-35 F135.jpg●非稼働31%の内訳は、定期修理8%、修理中15%、部品待ち16%で、レポートは7月までは修理労力の少ない新型機導入で高稼働率を維持できたとしているが、2021年後半に稼働率が下がったのが部品供給を維持できないサプライチェーンの根本的問題である点を過小評価している

●別のデータでは、2021年12月時点で、25%の機体が部品待ちで非稼働になっていることが明らかになっている。これは短期的に稼働率を上げても、長期的な改善を維持できる状態にないことの証左で、国防省F-35計画室の楽観的な見通しとはかけ離れている
●同様にF135エンジン問題(タービンブレードの耐久性不足)について、F-35計画室長は対処可能で根本原因を解決すると述べ続けているが、非公開バージョンではF135エンジンは修理工場の能力を超えて故障が発生しており、エンジン不足は悪化の一途をたどっている。例えば2021年5月には38機がエンジン待ち非稼働だったが、9月末には52機にエンジン待ち機体が急増している

ソフト導入時の事前チェックが不十分で問題多発
ODIN5.jpg●F-35は「ソフトウェアの塊」とも言え、新ソフト導入時の事前確認が極めて重要だが、ソフト試験予算が十分ではなく様々な問題が発生している。公開レポートでは削除されているが、新しいAMRAAMソフトを導入した際、旧ソフトとの適合確認が不十分で旧ソフトを破壊した事案が非公開レポートでは紹介されている
●上記のようなトラブルを避けるため、F-35「Block 4」導入に向け、F-35計画室はC2D2との半年ごとに細かなバグや修正を継続的に行う手法の導入を試みたが、この手法も「持続的実施不可能」と同計画室が判断するに至っている

●同計画室はC2D2が完全にはうまくいかなかったが、「Block 4」導入に向け多くの役割を果たしたと強調しているが、新ソフト導入時の試験確認予算不足は致命的であり、ALIS後継のODIN開発がソフト開発予算不足で一時中断したように、このソフト導入時のトラブルは今後も続くとPOGOは警鐘を鳴らしている

不具合件数(deficiencies)は増加し続けている
POGO4.jpg●F-35関連の不具合件数(deficiencies)は公開レポートには含まれていないが、非公開版では2020年に871件(最高度のCategory 1不具合10件含む)で、2021年9月末には845件(Category 1不具合6件含む)となって若干の削減を示している

POGO2.jpg●しかし2022年3月時点では873件(Category 1不具合5件含む)となっており、不具合件数は増加傾向を示している。F-35計画室は、F-35使用者から直ちに影響する不具合ではないと確認しているとか、パイロットや整備員の業務マニュアルに明記して注意喚起しているとか言い訳しているが、800以上の不具合とは異常である
●F-35計画室は2021年に不具合171件を解決したとアピールしているが、要求性能を満たすための新たな改修や不具合是正に伴い、新たな不具合を生み出している状態で、終わりが見えない状態が続いている「一歩進んで2-3歩後退」との表現が正しいと感じる
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POGOのwebサイト(スタッフ50名規模)
https://www.pogo.org/

F-35 luke AFB.jpg民間団体に指摘されるまでもなく、非公開の生々しいレポートを少なくとも米軍関係者は見ており、米空軍は高止まりしているF-35維持整備費が確定する2025年に現在の調達予定数1763機を再検討し、米海兵隊も司令官も購入機数見直しを示唆しています。最大の同盟国英国も国防相が維持費高止まりに激怒し、調達機数半減を検討との報道も出ているところです

ドイツで16か国目となるF-35導入国ですが、「みんなで渡れば怖くない」ではなく、各国がそれぞれ、足元の安全を確認しながら進まないと「金食い虫F-35」どころか、「亡国のF-35」が現実になりつつあります
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F-35 Bloomberg.jpg3月16日付Bloombergによれば、米国防省は3月28日公表予定の2023年度予算案で、F-35調達機数を当初予定の「94機」から35%削減して「61機」にする模様です

性能について評価する声は操縦者や作戦運用関係者からあるが、あまりにも維持費や整備費が高価で多く購入しても維持できない・・・のが理由です

結果として米軍のF-35調達機数の経変変化は
2020年度 98機
2021年度 85機
2022年度 85機
2023年度要求 94機→61機へ

米国が「亡国のF-35」から静かに引き始めている中、海外への売り込み攻勢を強めている現実がここにあります

F-35調達機数削減の動き
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holylandtokyo.com/2021/06/25/1949/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
「フィンランドが15か国目に」→https://holylandtokyo.com/2021/12/14/2520/
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holylandtokyo.com/2021/03/10/157/

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holylandtokyo.com/2021/07/27/2022/
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holylandtokyo.com/2021/02/17/263/
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holylandtokyo.com/2021/02/03/254/

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ドイツが戦術核共有任務にF-35導入発表 [亡国のF-35]

仏との第6世代戦闘機開発の障害と拒否してきたが
ウクライナ情勢受けNATOや米国との関係重視
「最大35機」との微妙な表現で、タイフーン15機と共に

F-35 Germany3.jpg3月14日、ドイツ国防相がドイツ空軍参謀総長を従えて会見を行い、現在トーネード戦闘機が担っているNATO任務の戦術核運用を、トーネード戦闘機の老朽退役が始まる2030年までに引き継ぐため、F-35を35機導入すると発表しました

また併せて、ユーロファイターを15機、トーネードが担っていた電子戦や随伴任務の後継機として導入すると明らかにしました

トーネード後継の最終決定は2023-24年までに行えばよいものと考えていましたが、以前から続いていた米国からドイツへの国防支出増額要求に加え、今次のウクライナ侵攻を受けたドイツの政策大転換もあり、このような発表に至ったものと推測しています

German Lambrecht.jpg今回の決定に際しドイツのChristine Lambrecht国防相は、「プーチンのウクライナ侵略に対する唯一の対応である。NATOの一体性と信頼にたる抑止のため、F-35以外の選択肢はない」と表現し、Ingo Gerhartzドイツ空軍参謀総長は、既にF-35を購入している欧州諸国との協力体制も選択の背景だと語り、英国、オランダ、ベルギー、イタリア、デンマーク、ノルウェーに加え、最近スイスとフィンランドもF-35導入を決定したいることを利点として説明しています

ドイツはメルケル政権が退陣した後、「信号機政権(主張の異なる多様な政党の連立政権)」とも揶揄される複雑な連立政権が誕生しましたが、今年1月に大きな一つの安全保障政策の試金石であった「戦術核兵器シェアリング」継続を表明し、次の段階として複雑な要因が絡むトーネード後継戦闘機選定に注目が集まっていました

トーネード後継選定に絡む複雑な背景は・・・
Tornado-b61.jpg●戦術核運搬対応機は、トーネードのほかF-16があるが、将来オプションとしては現在核対応改修中のF-35のみで、FA-18の改修可能性は未定で、ユーロファイターとなると米側の協力が期待薄
●欧州は次世代戦闘機開発を2つのグループ(独仏と英伊)で進めており、次世代戦闘機と重なるF-35導入に政治的抵抗感が強い
●独仏チームの次世代戦闘機開発は、仏ダッソー社(ラファール製造)が役割分担交渉で強気姿勢を崩さず、独との共同開発協議が暗礁に乗り上げ状態

FA-18 block Ⅲ.jpg上記の状況下、最新型FA-18(電子戦機EA-18G含む。FA-18が戦術核搭載任務担う)とユーロファイターを同数程度購入する案で検討中との独高官発言が2018年にはありましたが、ドイツ政治の混乱の中でFA-18を除外してユーロファイター1本で検討するとの話が出たこともありまし

2020年春には独仏の戦闘機開発協議が停滞する中で、「上の2機種に加え、F-35も含めた3機種混合案も検討中(F-35を戦術核任務に)」との報道出て、同ドイツ政府高官が3機種混合案の議論を認める発言をしたりしていたところでした

Parly France.jpg14日付Defense-Newsによれば、3月9日にドイツ国防相がフランスを訪問し、仏のFlorence Parly国防相(両名とも女性)と会談してF-35導入決定について仏側に説明すると同時に、独仏の戦闘機開発計画「FCAS program」への継続コミットも確認しています。ただし14日のF-35購入独発表に関し、仏国防省報道官はノーコメント状態だそうです

一方で、ドイツはトーネード戦闘爆撃機80機を戦術核運搬任務の他にも電子戦やSEAD任務でも使用しており、「最高35機」のF-35調達だけではトーネードの穴埋めには不十分であることから、ユーロファイター15機も電子戦用等として購入を決定した模様です

typhoon3.jpgDefense-Newsの記事はF-35調達(「will buy up to 35 F-35」との微妙な発表表現もあり)だけを伝え、ユーロファイター15機の話を報じておらず、まんぐーすは混乱しましたが、トーネード80機を「F-35X35機 + ユーロファイターX15機」でカバーするのであればあり得る話であり、ドイツ国防省とドイツ空軍には悩ましい課題は一挙に解決です

ついでに、F-35を最大35機に抑えたことで、独仏の次世代戦闘機開発「FCAS program」への継続コミットも維持する形を残したということでしょう

独仏の次期戦闘機開発に関わる仏側企業ダッソー社CEOは3月上旬、ドイツは欧州製機体にも関心を示す姿勢を見せつつも、米国から核任務用にF-35を購入するよう圧力をかけられていると吐き捨てるように語っており、まだまだ次期戦闘機を巡るドロドロはまだまだ続きますが・・・
//////////////////////////////////////////

F-35 Germany.jpgいろんな話が絡み合っており、どのような流れでご説明するか混乱したまま記事にしてしまいました

とりあえず、ドイツがF-35を「最大で35機」購入すると発表し、2030年までに導入してNATOドクトリンに示された戦術核運搬に使用するということす。ついでにユーロファイター15機導入も決め、退役するトーネード80機の穴埋め問題にも回答したということです。

欧州の戦闘機開発
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

「独仏が混合C-130飛行隊を発足」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-03

ドイツの核兵器共有の後継機問題
「問題の整理:独新政権が核兵器共有継続」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-13
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

戦術核兵器とF-35等
「F-35への戦術核搭載へ第一歩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

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復活F-35兵站支援システムODINまず14セット提供済 [亡国のF-35]

2021年4月には予算不足で「戦略的中断」を発表も
同年7月には計画再開していた模様
米軍内ほか、英・伊・蘭にも提供済とか

F-35 Gilmore.jpg1月31日付Defense-Newsは、米国防省F-35計画室が、新型F-35兵站情報システムであるODINの最初の14個セットを、米空軍や米海軍海兵隊F-35基地やF-35使用国である英伊蘭にも提供したと報じています

ODIN(Operational Data Integrated Network)は、機能不全で部隊や関係機関に大混乱を引き起こした約2兆円のF-35兵站情報システムALISの後継システムで、2020年1月に開発が決定し、2022年12月運用開始に向け準備が行われていましたが、2021年4月に予算不足で「戦略的停止strategic pause」を宣言するに至りました

ODIN2.jpgしかし2021年7月には開発を再開していた模様で、初度出荷のODINシステム14個セットの提供に至った模様です。ALISがロッキード丸抱えだったのに対し、ODINではロッキードはハードのみで、システム全体管理とソフトは国防省が主導・・・に変更して光明が見えて来たようです

F-35計画室長のEric Fick中将は、「世界のF-35兵站支援システム近代化の一里塚となるODINの使用開始だ」、「国防省、関連企業、F-35使用国による共同作業で成しえたものであり、急増するF-35機体を国際的に支える兵站運用管理を大きく飛躍させるもの」と声明を出しています

ODIN8.jpgALISは、ソフト不具合からデータ誤処理を頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理担当者を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機材重要が重く機動展開に不向きなど問題だらけでしたが、ODIN導入により処理速度は約2倍に、機材重量は約1/4になったということです

ALIS時に国防省試験評価局から問題視されていた「サイバー脆弱性」について、F-35計画室は今回の声明で触れていませんが、何らかの強化策が執られたものと思われます

ODIN7.JPGただ、2021年4月に「戦略的中断」を招いた予算問題は引き続き続いており、今もALISに苦しむ部隊に、いつまでにいくつODINが届けられるかは予算次第だということです

今回の初提供14個セットが必要数の何パーセントなのか不明ですし、日本よりオランダやイタリアが先かよ・・・とか、色々疑問もありますが、以下では、14個セットが配分された基地名を列挙ご紹介します
(記事本文にはオランダにも提供、と明記してあるが、配分基地名にオランダの基地名なし???)

米空軍
Eglin Air Force Base, Florida;
Luke Air Force Base, Arizona;
Edwards Air Force Base, California;
(3セット、うち2セットは英と蘭用システム試験支援のため)
Nellis Air Force Base, Nevada;
Hill Air Force Base, Utah;
Eielson Air Force Base, Alaska;

米海軍・海兵隊
Naval Air Station Lemoore, California;
Marine Corps Air Station Miramar, California;
Marine Corps Air Station Beaufort, South Carolina;

製造企業
Lockheed Martin Aeronautics factory in Fort Worth, Texas;
海外
Amendola Air Base, Italy;
Portsmouth Naval Base, U.K.

これどうなった?ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

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2022年を占う:米海兵隊F-35調達削減の予兆 [亡国のF-35]

米海軍273機に対し、海兵隊は420機調達予定も
米海兵隊司令官は2020年当時から機数削減示唆

F-35C VMFA 314.jpg1月3日付Defense-Newsは、「2022年を占う:New in 2022」シリーズ記事の一つとして、「海兵隊はF-35を必要としているが、その将来は複雑だ」との論点記事を掲載し、米海軍よりも多い420機のF-35調達予定の米海兵隊は、その調達機数削減を検討していると示唆しています

米海兵隊F-35は、全ての米軍F-35の先陣を切り、海兵隊F-35B型が2015年に初期運用態勢を最初に宣言し、2018年9月にアフガンで初実戦投入されたほか、海兵隊F-35C型も2021年7月に完全運用態勢確立を宣言し、2022年に空母搭載任務が予定されています

Queen Elizabeth2.jpgまた、英海軍の新型空母エリザベスにも米海兵隊F-35Bが派遣され、米英F-35が同空母で共同運用態勢に入るなど、米海兵隊はF-35活用に積極的で、C型の運用では米海軍よりも数歩前を進んでいます

しかし同記事は、米海兵隊司令官の発言や操縦者不足や育成状況、更には米海兵隊が無人機重視に向かいつつある様子から、米海兵隊による420機のF-35調達(B型350機、C型70機)計画は縮小される方向で検討されていると示唆しています

1月3日付Defense-News記事等々によれば
Berger2.jpg●David Berger海兵隊司令官自らが指揮し、「No. 1 priority」と呼んでまとめた米海兵隊の2030年のあるべき姿を描いた構想「Force Design 2030」(2020年3月23日発表)では、対中国を強く意識し、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などが柱になっている
●また同構想は、「米海兵隊を強固に防御された戦域への遠征部隊、海軍と連携した戦力に再設計するもの」で、「現下の資源制約の下で、最新技術や変革を取り込むため、旧来装備を取り除き、現在より小ぶりで軽快な態勢に再編する」方向を目指すものとなっている

F-35B.jpg●2021年7月、米海兵隊は米海軍に先立ち、空母でのカタパルト運用を想定したF-35C型の完全運用態勢確立を宣言し、2022年に空母での運用開始を予定しているが、その飛行隊VMFA 314)は限定的なF-35C操縦者しか養成しておらず、米海兵隊内での操縦者不足も米空軍等と同様に解決の目途が立っていない

●2020年の米議会証言でDavid Berger海兵隊司令官は、F-35の優れた能力の必要性と重要性をアピールしつつも、種々の環境の変化を踏まえた現実的な可能性として、「私は軍事産業界に、米軍が作戦環境に適応していくように、我々も修正に備える必要があるとシグナルを発している」、「現時点では調達計画に変更はないが、我々は作戦環境や敵の動向に応じて適応していく必要がある」と語って調達数削減を匂わせている
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Smith2.jpg米議会は、2025年にF-35の維持整備経費の削減可能度合いが確定する時点で、総調達機数(現在は1763機)の削減を判断する条項を国防授権法に盛り込んだとされており、Brown空軍参謀総長も同様の考え方だと発言しています

軍需産業政策全体にも関わることでもあり、米海兵隊だけで先行して調達数削減を打ち出すことは容易ではないでしょうが、何事も先陣を切る海兵隊だからこそ、言い出しやすい面があるかもしれません

過去にピューリッツアー賞最終候補にも残ったこともある元海兵隊員Todd South記者の執筆記事からご紹介しました

関連のF-35記事
「2025年に調達上限設定を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-01
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13

F-35のエンジン問題
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「F-35エンジン改良検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-01-2
「AETPの開発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-07-02-1

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ノルウェーがF-35を世界初(?)の領空保全任務に [亡国のF-35]

北緯68度39分の厳しい環境の基地で
42年任務を果たしたF-16と交代で

Norway F-35.jpg1月6日、ノルウェー空軍がF-35を領空保全任務(NATO quick-reaction alert mission:日本でいう対領空侵犯措置任務)に就けたと発表し、42年間同任務を果たしてきたF-16と交代することになりました。

同国F-35が緊急発進態勢をとったのは、北緯68度39分にあるEvenes空軍基地で、従来F-16が待機していたBodø空軍基地より180㎞も北に位置し、緯度でいうとロシアとアラスカに挟まれたベーリング海峡の最狭部と同じ緯度の北極エリアです

F-35 Norway3.jpgEvenes空軍基地で15分以内に緊急発進できる態勢をとったのは3機のF-35で、これまで任務を担ってきたF-16の同任務飛行時に随伴し、対処要領等の学んで任務に備えてきたということです。なお、F-35部隊の主力は同国南部のØrland空軍基地に配備されるようで、Evenes基地は任務用前線展開基地の位置づけのようです

同国空軍は52機のF-35導入を予定しており、2025年には全機が揃って同機運用態勢を確立する予定だそうですが、暖流の影響で緯度のイメージよりは気温が上がるとはいえ、この場所での戦闘機運用は容易ならざるものがあると思われます

F-35 Norway4.jpg一例として、ノルウェー空軍F-35は世界で唯一ドラッグシュートを装備し、凍結した滑走路でもスリップなく既定の範囲内で制動できるよう改修されています

なおノルウェーはEvenes空軍基地を拡大しつつあり、P-8対潜・海洋哨戒機の北方配備基地としても準備しているようです。

米空軍戦力のロシア正面での展開先は、スカンジナビア半島と欧州大陸に囲まれたバルチック海エリアににらみを利かすポーランドで、1月6日に米空軍F-16が展開配備され、ポーランドやベルギー空軍F-16とともに任務に臨むとNATO声明が出されています
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F-35 Norway2.jpgF-35がいわゆるスクランブル待機態勢に入ったということですが、F-35をロシアの各種偵察機や情報収集機にも接近対処させ、ロシアの情報収集網に飛び込んで任務させる覚悟が米国で固まったということでしょうか?

先日、UAEへのF-35輸出交渉が難航しており、そのネックの一つが米国がUAEに要求している「F-35の運用制限」だとご紹介し、中露に近接する日本のF-35にも何らかの制約が課せられているのでは・・・・と邪推しましたが、その辺りはどうなのでしょうか?

米国との関係において、ノルウェーと日本とUAEにどのような差があるのか・・・気になるところです

中東と米国の関係
「UAEが米国との武器購入交渉停止表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-16
「UAEへの武器輸出を国務省次官補が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-17
「UAE空軍司令官視察:イスラエル最大の多国間空軍演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-04
「米国防省の武器輸出担当DSCA長官が怒りの辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-15

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フィンランドが15番目のF-35購入国に [亡国のF-35]

欧州で9番目の購入国に
64機を2026年から導入開始予定

F-35 Finland.jpg12月10日、フィンランド国防省がF-18戦闘機の後継機種選定に関し、F-35、F-18 Super Hornet、Dassault’s Rafale、Eurofighter Typhoon とSaab’s Gripenを比較した結果、F-35に決定したと発表しました

フィンランド空軍は、64機のF-35を約6000億円で購入し、併せて空対空ミサイル(AMRAAM and Sidewinder)を約960億円で購入する予算を組んでいるとのことです。また、2030年までの維持整備パッケージとして、約3700億円を計上するそうです

F-35 Finland2.jpgフィンランドは選定理由として、F-35の軍事的能力の他、部品を含めた供給の安定性、製造過程へのフィンランド軍需産業への参画度、費用対価格の優位性の他、多くの購入国が形成するコミュニティーの存在を上げています

この結果、F-35購入国は15か国となり、欧州だけで9か国となりました。

今後、購入決定の可能性があるのは、共同開発国でありながら購入決断を先送りして計画の落ち着きを待っている策士カナダと、トーネード後継と戦術核運用が新連立政権の課題となっているドイツといわれています

F-35導入を決定した国(カッコ内は購入予定機数)

●共同開発国(7か国とその他2国)
 豪州(100機), Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、米国(2443)(空軍1763、海兵隊420、海軍260)
 カナダは共同開発国ながら選定を延々と実施中で、今年結果発表予定
 トルコも共同開発国ながら、ロシア製SAM購入で排除された

●FMS購入国(8か国)
Belgium(34機), Israel(19), 日本(42+100) , 韓国(40)、シンガポール(当面12機 最終的に約50機) ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機)

●欧州だけピックアップすると・・・
Denmark(27), Italy(90), Netherlands(37), Norway(52), 英国(138)、Belgium(34機)、ポーランド(32機 2020年1月)、スイス(32)、そして、フィンランド(64機 2026年から導入)
/////////////////////////////////////////////

F-35 Finland3.jpg兵站情報システムODIN開発がとん挫したままのF-35は、維持整備費が高止まり状態にあり、米議会や英国等から不満の声が上がっていますが、今後も低下する見通しはありません。

また、米空軍が1763機の調達予定機数を削減することは「ほぼ暗黙の了解」(2025年の維持費状態を見て決断予定)状態にあり、機体や部品価格の高騰は避けがたく、「亡国のF-35」の道まっしぐらです

最近のF-35
「安価版シム装置発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-03
「欧州最初の米飛行隊編成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-04
「新型戦術核B61-12投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-06
「2025年に調達上限設定を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-01
「酸素生成装置問題を解決せよ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-08-03
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

これどうなった?ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

F-35維持費削減は極めて困難
「国防省F-35計画室長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「米空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1

エンジンブレードの耐熱性不足
「エンジン問題で15%飛行不能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-15
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
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https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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