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日本の海上保安庁が南シナ海のF-35C海没点公示 [安全保障全般]

引き上げ作業実施地点を公示
国際機関指定の担当業務を淡々と遂行も
中国も狙う軍事機密の所在を公開と米軍事メディアが

F-35C Sink4.jpg1月31日付Defense-News記事が、空母カールビンソンで着陸に失敗して1月24日南シナ海北部海域に海没した「機密情報の塊」F-35Cの位置を、日本の海上保安庁が「サルベージ作業が別示されるまで継続される地点」として公示したとして、驚きを持って伝えています。

海没地点は、南シナ海北部のフィリピン寄りの海域で、中国が軍事基地化しているウッディー島の東350マイル&スカーボロー環礁北方200マイルの海域です。最も近い陸地フィリピンからは西方185マイルの地点で、海上保安庁海洋情報部(JHDO)は水深11800フィート(約3500m)だとDefense-Newsの取材に答えたようです

F-35C Sink2.jpgまたDefense-Newsは、米海軍第7艦隊が、この地点公示に関する質問に一切の回答を避けたと伝えています

海上保安庁は、国際海事機関(International Maritime Organization)によって各国当局に分担海域が割り振られている航行警戒情報「NAVAREA XI」発出を担当する当該海域のエリアコーディネーターになっており、国際取り決めに基づいて淡々と情報を公示したもので、このような航行警告には、航行援助施設の変更や現在の海洋活動、または欠陥、浚渫、漁場などの危険に関する情報が含まれるそうです。
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F-35C sink3.jpg当該記事は淡々と事実を伝え、2020年3月にはフィリピン海の海底7600mからMH-60Sヘリを引き上げ、これが海底回収の深度記録となっているとも紹介していますが、中国が黙って見守るほど「素人」ではない・・・とも表現し、1月31日付web紙面トップ記事に掲載しています

中国は、海上保安庁に教えてもらう以前からF-35C海没地点を把握済で、周囲に監視船などを派遣して「がん見」状態でしょうが、米軍側が海上保安庁の航行警戒情報「NAVAREA XI」発出を、どのように受け取ったかは定かではありません

岸田総理.jpg親中だと自民党内からも岸田政権が批判を受け、訪米日程調整もできないまま「電話会談」でお茶く濁すと揶揄される岸田総理ですが、飛んだところで矢面に立たされるかもしれません

ご紹介しているF-35Cが海没する様子の写真は、乗員の誰かが撮影し、無断でSNSに流出させた写真のようで、後で米海軍が渋々事故当時の写真だと認めざるを得なかったもので、この点でも事故続き空母カールビンソンの問題の根深さが垣間見られます

海上保安庁海洋情報部のシンプルな「NAVAREA XI」公示
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/TUHO/keiho/cgi/disp_warnings.cgi?TYPE=NAVAREA11&TANA=220041&LANG=EG

F-35C海没事故関連の記事
「南シナ海の米空母でF-35着陸失敗等事故5件相次ぐ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-26

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1年半遅れで約2年ぶりに攻撃原潜完成へ [Joint・統合参謀本部]

戦略原潜を優先し、攻撃原潜の建造を後回し
今後は新人や経験浅い作業員を鍛えて巻き返し目指すと
しかし強制削減の影響で優先の戦略原潜も万全ではなく

Graney.jpg1月24日、米海軍潜水艦を担当するGeneral Dynamics Electric Boat社のKevin Graney会長が、約1年半遅れでヴァージニア級攻撃原潜「Oregon」が2月に完成すると語り、米海軍の戦略原潜コロンビア級1番艦優先の方針のもとで「二の次」扱いされながらも、コロナ感染や人員不足や予算強制削減による各種制約を乗り越え、完成にこぎつけた造船所の現状を語りました

ヴァージニア級攻撃原潜「Oregon」は、もともとは2020年秋に米海軍へ引き渡し予定でしたが、それが16か月遅れで今年2月に実現する見通しが立ったとの同会長の発言です

Virginia-class2.jpg「Oregon」について同会長は、2021年12月に試験航海を行い、多少いくつかの細かな修正箇所が見つかったものの、最重要な推進装置は完璧な状態であることが確認できたと述べ、2月の引き渡しに自信を示しています

ただ約1年半の納入遅延については米海軍の方針に沿ったものだと言わんばかりに、「コロンビア級戦略原潜の1番艦建造を計画通りに遂行するため、幾らかの社内リソースをヴァージニア級攻撃原潜から引き揚げて投入した」、「現時点では(攻撃原潜計画が順調に進み、人手も充足できているので、)新たな人材等のリソースを攻撃原潜にも投入できると考えており、次の攻撃原潜Montanaにも取り組める」と語っています

Graney2.jpg攻撃原潜「Oregon」の遅延とコロナの関係について同会長は、現場従業員の86%が強制なしにワクチン接種2回を完了しているが、オミクロン株の影響もあり、11月の感謝祭以降の8週間で、コロナ感染者の4割が発生する事態となっており、特に監督者レベルの職員に影響が出て建造作業に遅れが出たが、状況は日々改善に向かっており、1-2週間で「森を抜けられる」と説明しています

一方で米海軍優先事業のコロンビア級戦略原潜ですが、2027年米海軍へ納入、2030年初の任務投入を目指し、現時点で計画より約15%先行的に進んでいると語っていますが、予算の強制削減枠のため、2021年度は5500億円要求したにもかかわらず5000億円しか予算が獲得できず、2022年度の積み残しが出ていると米海軍は訴えているところです
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Virginia-class submarine2.jpg最近、予算の強制削減枠についての発言が、国防長官以下の国防省高官から増えています。2023年度予算案議会提出に向けたアピールでしょうが、「良くて横ばい」となっている昨今の国防予算からすれば、国防省の悩みは深刻です

もちろん、新規装備の価格高騰と開発遅延による開発費の高騰など、悪しき伝統を引き継ぐ米軍側の責任も重いのですが、特に米海軍の問題は根深く、開発案件から、造船所の人員不足と練度低下、部隊での事故・火災、汚職問題などの規律維持問題など、オールラインアップの課題を抱えています

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