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米海軍は3大近代化事業から1つを選べ [Joint・統合参謀本部]

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海軍長官による海軍メモ文書内容
次期イージス艦、次期攻撃原潜、FA-18後継に優先順位を
予算不足で同時進行は不可能と

Harker.jpg8日付Defense-Newsは、Thomas Harker臨時海軍長官が4日付のメモ文書で、国防長官室からの2023年度予算案準備に関する方針指示を踏まえ、2023年度予算案では、主要3大近代化事業(次期イージス艦DDGX、攻撃原潜SSNX、FA-18後継NGAD)の中で優先事業を一つに絞り込み、他を犠牲にして満額予算配分するよう指示していると報じました

4日付のメモ文書でHarker長官は、「米海軍には次世代の航空、水上、水中アセットを同時開発するだけの余裕はない。現有装備の維持整備と次世代装備の開発調達のコストバランスを勘案しながら、3つの事業の優先順位を明確にして1つに絞り込み、他の2つ関連の作戦上、財政上、技術上のリスクを再検討しなければならない」と厳しい認識を示しています

以下では、Defense-News記事が取り上げている3大近代化事業、Arleigh Burkeイージス艦後継DDGXと、ヴァージニア級攻撃原潜後継のSSNXと、FA-18空母艦載攻撃機の後継NGAD(Next Generation Air Dominance)の現在位置をご紹介しておきます

Arleigh Burkeイージス艦後継DDGX
DDG X2.jpg現在主力イージス艦であるArleigh Burke級は、Flight III近代化改修までを随時実施してきたことで、Baseline 10 システムやAN/SPY-6防空レーダーを艦艇に導入することができた
しかし、今後本格紛争に必要とされるレーザーなどビーム兵器や、極超音速兵器を運用するためには大電力が必要で、現在形態の修正程度では対応できないことから、DDGX開発が急務となっており、3大事業の中では1番の2029年投入を目指した計画が組まれている
米海軍は2022年度予算案に、DDGXの基礎設計や設計分析、地上試験や選考調達経費などを約140億円要求している

Virginia級攻撃原潜後継のSSNX
SSN X.jpg上述のDDGXが追加装備のための次世代艦艇を目指すのに対し、SSNXは米海軍攻撃原潜の方向性を大きく転換することを目指す開発プロジェクトである
Virginia級は冷戦終了後の本格紛争相手がいない状態で構想され、1998年から導入されているが、本格紛争での中露との対峙を前提としたとき、安価に沿岸作戦と地上攻撃を追求したVirginia級の延長線上のSSNXではためだと米海軍は考えている

最近ではロシア潜水艦隊の活発化を受け、兵装を強化し、水中ステルス性を備えて敵領土近海に侵入して敵艦艇や潜水艦を攻撃できるような、かつてのSeawolf級潜水艦計画の復活をイメージさせる潜水艦追及の声も上がっている
米海軍は2022年度予算案に、より高速で、水中ステルス性が高く、より多くの兵器を搭載でき、多様な装備を組み替えて搭載可能な潜水艦を求め、約110億円の初期検討予算を要求している

FA-18空母艦載攻撃機の後継NGAD
NGAD Navy.jpg3大近代化事業の中では、最も導入時期が遅い装備であり、3つの中で勝ち残るのが難しいと考えられる装備品である。米海軍はFA-18とF-35C型で2030年代の作戦運用を考えているが、FA-18の機体寿命に伴う退役に合わせNGAD導入を構想している
対テロ紛争で空母艦載機の酷使が続き、FA-18追加購入や延命改修措置を繰り返してきた米海軍だが、延命措置にも限界があり、2021年度予算でFA-18 の追加生産を終えており、2022年度予算要求案からはNGAD開発を本格化させると米海軍はしている(要求額は非公開)

仮に3大事業でNGADを犠牲にすることになれば、米海軍は早急にFA-18生産ラインの維持と追加購入を決定して作戦ニーズに対応する措置をとる必要があり、さもないと2030年代に艦載攻撃機不足に直面する

そのほかHarker臨時海軍長官はメモ文書で
次期戦略原潜コロンビア級には全面支援を要求
Harker2.jpg統合レベルのJADC2や米空軍のABMSと並び、データ共有や指揮統制の次世代化を図る「Project Overmatch」への全面支援要求

COVID-19関連で必要性が認識されたテレワーク環境整備や、Naval Community Collegeへの教育訓練投資強化を要求
海軍の膨大なインフラ施設維持費の問題を指摘し、10年計画で不要施設の見直し廃止を進めるよう要求
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DDGXが優先されそうな記事内容でしたが、大型水上艦艇は、弾道ミサイルや巡航ミサイルなど精密誘導兵器の餌食となりやすく、本格紛争での価値がそれほど高いのでしょうか?

無人の中小艦艇を多数準備して、分散運用する方式を追求する方向ではないのでしょうか? 陸軍はもとより、米海軍と空軍の考え方の変化の遅さに「?」な印象です

米海軍最近の話題
「無人システム計画が議会等から猛批判浴びる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-22
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艦艇修理の大問題
「空母や艦艇修理の3/4が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
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