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新設第16空軍の重要任務は2020年大統領選挙対策 [米空軍]

米空軍のサイバーとISR部隊が合併
電子戦部隊も気象部隊も
情報融合で敵情を把握し迅速に対応へ

16th Air Force.jpg11日、米空軍が2年前から準備を進めてきた第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)の合併改編式典が行われ新たに第16空軍が「情報制圧組織:“information dominance” organization」として編成されました

サイバー空間での情報と、写真・映像・電磁スペクトラムからの情報を総合的に組み合わせて新たなインテリジェンスを生み出し、敵情を迅速に把握して地域コマンドや機能コマンドに提供し、併せて攻撃的な作戦もサイバー空間や電磁スペクトラム領域で行う任務を担うことが期待されています。最後になって世界的なセンサー網を保有する気象部隊も配下に入れる決断もあり、意気込みが伺えます

Haugh.jpg第16空軍の指揮官Timothy Haugh中将も異例の出世で、今年3月末までは准将だったのが、4月に少将に昇任し、更に9月26日には第16空軍司令官になるため議会の承認を得て中将にまで昇任して11日の新編式を迎えた人物です

ご経歴からは、ISRとサイバー両分野で多様なポストを経験した「他に得がたい人材」であることが伺えますが、表現は悪いですがいわゆる「おたく揃い」のサイバーとISR部隊をまとめて機能させるには、実務や組織を知る指揮官の強力なリーダーシップが欠かせないとの判断でしょう

そんな第16空軍ですが、新編指揮に参列した統合の米サイバーコマンド副司令官が「2020年大統領選挙対策が重要な任務になる」とその働きに期待する祝辞を述べており、大きな注目を集めています。

14日付米空軍協会web記事によれば
16th Air Force2.jpg第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)の融合により、米国防省全体がデータ及びデジタル指向認知に向かう中、米空軍はデジタル世界で何が起こっているのかをより明確に把握し、より容易に悪者から我を守って攻撃できることを目指し、バラバラだったRQ-4からRC-135までの多様なアセットと情報処理分配システムの「コラボ」の道を切り開く

●Goldfein空軍参謀総長は「今日から第16空軍は情報ドメインにおける思考のリーダーだ。統合部隊指揮官と米空軍部隊にかつてないレベルの能力を提供してくれる」、「敵が我々の部隊身辺の動きと活動を見て正しく評価したならば、軍事力による国家目的達成を考え直すだろう」と語った
●また参謀総長は米海軍も同様の動きをしていることを意識しつつ、国防省全体で情報融合を進める方向にあると語った

Haugh新第16空軍司令官は、わが部隊はサイバーや電子スペクトラム空間で誰が悪さを働いているのかを迅速に突き止め公にすることで紛争抑止に貢献すると述べ、陸海空ドメインに比して匿名性が高いドメインでの抱負を語り、「他の統合部隊とも協力し、敵の悪事を暴く力で敵の行動を明らかにする機会を拡大し、敵の能力を拒否して行きたい」と語った
16th Air Force3.jpg●第16空軍の隷下に入る各部隊の指揮官も記者団に対し抱負を語り、例えば「敵の統合防空システムIADSについて、味方に迅速により正確な情報を提供して作戦の道を切り開きたい」、「ISRとの連携強化でサイバーの弾薬を活用する」、「開発中の電子戦ツールで、友軍を敵目標により近づけることが可能になる」、「ISRやサーバー(SNS含む)を活用して、敵エリアの気象状況把握能力を向上する」などと語った

●テキサス州ラックランド空軍基地での新編指揮に参列した統合の米サイバーコマンド副司令官Ross Myers海軍中将は祝辞で、2018年の米中間選挙で米空軍サイバー部隊が米欧州コマンドのサイバー戦対処を大いに助けてくれた事を讃えた後、「2020年大統領選挙対策が重要な任務になる」と述べ、米サイバーコマンドが第16空軍と共に来年の大統領選挙を大きな任務として捉えていることを示唆した。
●そしてMyers海軍中将は、「選挙におけるサイバーセキュリティー任務は2020年大統領選挙が終わりではなく、今後我々にとって永遠の任務となるだろう」と表現した
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CyberPolicy2.jpg2020年の大統領選挙に対する外国勢力の「情報操作」や「誘導工作」に対処することに、米サイバーコマンド幹部が明確にコミットすると明らかにしました

かつてオリンピックは「アマチュアの祭典」と呼ばれ、各競技でプロとアマチュアの選別が厳格でしたが、今やそんな話が嘘のようにプロ参加が当たり前となっていますが、かつて軍事組織が国政に絡むことを避けてきたのが嘘のように、大統領選挙の防御を米軍が担う次代になりました

五輪の世界でもそうですが、アマチュアだけでは、または米軍以外では、まともなレベルの競技や選挙防衛が出来ない時代になったと言うことでしょう。

それにしても、Haugh新第16空軍司令官は推定51歳の中将です。活躍をご祈念申し上げます

第16空軍の指揮官Timothy Haugh中将の経歴
https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/1286007/major-general-timothy-d-haugh/

第16空軍の関連記事
「遅延中、ISRとサイバー部隊の合併」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

米大統領選挙や英国のEU離脱国民投票を始め、多様な事例や各国の取り組みを紹介する良書
「ドキュメント誘導工作を読む」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1

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