嘉手納で統合の基地防衛&航空機避難訓練 [Joint・統合参謀本部]
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西太平洋部隊の保有装備だけで何ができるか確認とか
若手の発案から4か月の短い準備期間で
13日付米空軍協会web記事が、1月10日に米空軍嘉手納基地を中心に実施された基地防衛&航空機避難演習「WestPac Rumrunner」を取り上げ、現場若手幹部のアイディアから4か月余りの短期間で準備され、極めて低コストで実行された重要な演習だと紹介しています
これまでも、対中国有事の際に中国からのミサイル攻撃の第1撃で機能喪失しそうな嘉手納基地関連では、作戦航空機のグアムやハワイへの緊急避難訓練や、代替飛行場としてグアム周辺の施設が不十分なサイパンやテニアン島を使用した緊急展開訓練、更には家族の緊急国外退去訓練などをご紹介してきましたが、今回は嘉手納近傍の在日米軍の海軍、海兵隊、陸軍部隊も参加したようです
嘉手納基地所属の第67飛行隊のBrian Davis大尉が、4か月前に南シナ海上の米海軍艦艇で「Valiant Shield」演習の準備ミーティング中に思いついき、「西太平洋に所在する米軍部隊がどんな能力を持ち、何ができるか」を実地に確認しようとの目的で実施された演習と説明されています
今頃になってそんなことを確認しているの???・・・とも突っ込みたくなりますが、現在および近い将来の中国軍のA2AD能力を踏まえると、結果的に自らの存在意義を否定しかねない現実直視の演習に取り組んだ「心意気」を讃え、ご紹介します
もちろん、作戦運用上の高度な秘匿事項でしょうから、演習の細部や教訓については一切触れられていませんので、その辺は悪しからず・・・
13日付米空軍協会web記事によれば
●10日、演習計画責任者である Davis大尉は、「今日は嘉手納が自らを防御する日だ」と語り、嘉手納のほか、普天間基地や在沖縄陸軍基地から50機以上の航空機が参加した「WestPac Rumrunner」について説明した
●同演習には、嘉手納基地所属の米空軍機や特殊作戦部隊のほか、空母レーガン艦載機、普天間基地所属の海兵隊機、米陸軍からは第1大隊、第1防空連隊、等が参加した
●演習では、基地の防空作戦(defensive counter-air)を中心にしつつも、海上での救難救助訓練、緊急作戦機避難展開訓練、設備不十分な前線基地での給油訓練などが行われ、全ての行動は作戦司令部との通信が途絶した状況を想定して行われた
●Davis大尉は演習の狙いや成果について、「何か示された要求事項を達成するとの進め方ではなく、どれだけ現有装備で行動できるかを確認し、結果として多くのことが実施可能だと判明した」と語った
●嘉手納基地司令官も兼務する第18空軍司令官Joel Carey准将は、「我々は打たれ強く、機敏で、根拠飛行場である嘉手納基地だけでなく、分散された設備不十分な前線基地からも運用可能な能力を備えている必要がある」と語り、
●「数十年に渡り、米軍は根拠となる中心的な基地に戦力を集中し、そこから戦力投射する方式をとってきた。嘉手納基地はその意味で地域の安定に今も大きな貢献し、日本との関係を支えている」と述べた後、「しかし敵対者が能力を向上させる中、我々はさらに能力を向上させ、その一つの方策として、設備不十分な展開基地からの作戦遂行能力を強化しなければならない」と同演習の重要性を説明した
●第961空中管制飛行隊の作戦課長である少佐は、「様々な基地からアセットを持ち寄り、任務を遂行する訓練機会となった」、「西太平洋地域に保有しているアセットだけで、地域の統合戦力が組織的活動を遂行した」と同演習を振り返った
●また演習計画責任者である Davis大尉は、「通常この規模で演習を行えば数億円の予算が必要だが、今回は80万円程度で実施できた」と効率性の面でも成果をアピールした
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嘉手納基地司令官も兼務する第18空軍司令官が、嘉手納基地の存在意義説明に苦労する様子から、嘉手納基地所在および在沖縄所在米軍戦力が、対中国有事が迫った場合に取りうる行動をお察しください。
グアムやハワイやアラスカや北部豪州への撤退や、サイパンやテニアン、ニューギニアやソロモンへの分散避難かもしれません。最近では太平洋空軍司令官も、「中国の攻撃から、西太平洋の基地を守るのは困難だ」と明言するようになり、それはそれで現実直視で結構なことです
那覇基地に所在する航空自衛隊の戦闘機や海上自衛隊の対潜哨戒機は、そんな場合どうするのでしょうか??? 基地を守る地上要員を置き去りに、東日本へ避難するのでしょうねぇ・・・。順軍事的に考えれば・・・
太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
米空軍の西太平洋対策
「担当空軍司令官がACEを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
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西太平洋部隊の保有装備だけで何ができるか確認とか
若手の発案から4か月の短い準備期間で
13日付米空軍協会web記事が、1月10日に米空軍嘉手納基地を中心に実施された基地防衛&航空機避難演習「WestPac Rumrunner」を取り上げ、現場若手幹部のアイディアから4か月余りの短期間で準備され、極めて低コストで実行された重要な演習だと紹介しています
これまでも、対中国有事の際に中国からのミサイル攻撃の第1撃で機能喪失しそうな嘉手納基地関連では、作戦航空機のグアムやハワイへの緊急避難訓練や、代替飛行場としてグアム周辺の施設が不十分なサイパンやテニアン島を使用した緊急展開訓練、更には家族の緊急国外退去訓練などをご紹介してきましたが、今回は嘉手納近傍の在日米軍の海軍、海兵隊、陸軍部隊も参加したようです
嘉手納基地所属の第67飛行隊のBrian Davis大尉が、4か月前に南シナ海上の米海軍艦艇で「Valiant Shield」演習の準備ミーティング中に思いついき、「西太平洋に所在する米軍部隊がどんな能力を持ち、何ができるか」を実地に確認しようとの目的で実施された演習と説明されています
今頃になってそんなことを確認しているの???・・・とも突っ込みたくなりますが、現在および近い将来の中国軍のA2AD能力を踏まえると、結果的に自らの存在意義を否定しかねない現実直視の演習に取り組んだ「心意気」を讃え、ご紹介します
もちろん、作戦運用上の高度な秘匿事項でしょうから、演習の細部や教訓については一切触れられていませんので、その辺は悪しからず・・・
13日付米空軍協会web記事によれば
●10日、演習計画責任者である Davis大尉は、「今日は嘉手納が自らを防御する日だ」と語り、嘉手納のほか、普天間基地や在沖縄陸軍基地から50機以上の航空機が参加した「WestPac Rumrunner」について説明した
●同演習には、嘉手納基地所属の米空軍機や特殊作戦部隊のほか、空母レーガン艦載機、普天間基地所属の海兵隊機、米陸軍からは第1大隊、第1防空連隊、等が参加した
●演習では、基地の防空作戦(defensive counter-air)を中心にしつつも、海上での救難救助訓練、緊急作戦機避難展開訓練、設備不十分な前線基地での給油訓練などが行われ、全ての行動は作戦司令部との通信が途絶した状況を想定して行われた
●Davis大尉は演習の狙いや成果について、「何か示された要求事項を達成するとの進め方ではなく、どれだけ現有装備で行動できるかを確認し、結果として多くのことが実施可能だと判明した」と語った
●嘉手納基地司令官も兼務する第18空軍司令官Joel Carey准将は、「我々は打たれ強く、機敏で、根拠飛行場である嘉手納基地だけでなく、分散された設備不十分な前線基地からも運用可能な能力を備えている必要がある」と語り、
●「数十年に渡り、米軍は根拠となる中心的な基地に戦力を集中し、そこから戦力投射する方式をとってきた。嘉手納基地はその意味で地域の安定に今も大きな貢献し、日本との関係を支えている」と述べた後、「しかし敵対者が能力を向上させる中、我々はさらに能力を向上させ、その一つの方策として、設備不十分な展開基地からの作戦遂行能力を強化しなければならない」と同演習の重要性を説明した
●第961空中管制飛行隊の作戦課長である少佐は、「様々な基地からアセットを持ち寄り、任務を遂行する訓練機会となった」、「西太平洋地域に保有しているアセットだけで、地域の統合戦力が組織的活動を遂行した」と同演習を振り返った
●また演習計画責任者である Davis大尉は、「通常この規模で演習を行えば数億円の予算が必要だが、今回は80万円程度で実施できた」と効率性の面でも成果をアピールした
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嘉手納基地司令官も兼務する第18空軍司令官が、嘉手納基地の存在意義説明に苦労する様子から、嘉手納基地所在および在沖縄所在米軍戦力が、対中国有事が迫った場合に取りうる行動をお察しください。
グアムやハワイやアラスカや北部豪州への撤退や、サイパンやテニアン、ニューギニアやソロモンへの分散避難かもしれません。最近では太平洋空軍司令官も、「中国の攻撃から、西太平洋の基地を守るのは困難だ」と明言するようになり、それはそれで現実直視で結構なことです
那覇基地に所在する航空自衛隊の戦闘機や海上自衛隊の対潜哨戒機は、そんな場合どうするのでしょうか??? 基地を守る地上要員を置き去りに、東日本へ避難するのでしょうねぇ・・・。順軍事的に考えれば・・・
太平洋軍を巡る関係者の発言
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「アジア太平洋地域で基地増設を検討中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-28
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
米空軍の西太平洋対策
「担当空軍司令官がACEを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
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