空自も真剣になれよ!米空軍F-22の迅速展開検討に思う [米空軍]
本日も相変わらず、抑止効果が疑問な対領空侵犯措置だけ
飛行場被害の対処を語ると、戦闘機の価値が下がるから?
7日付米空軍協会web記事は、同協会の「Air Warfare Symposium」で講演した太平洋空軍司令官O’Shaughnessy大将の発言を紹介し、米太平洋空軍が有事に根拠基地が被害を受けたり、代替基地に展開する必要が生じた際の対応策として、F-22戦闘機の迅速&簡易展開パッケージを準備する様子を取り上げています
新たに検討されているACE(Agile Combat Employment)は、2013年から導入されている「Rapid Raptor concept」を発展させたモノで、どちらかというと平時の「Show of Force」的な展開をイメージしていた「Rapid Raptor」を、より実戦を意識した形態に発展させようとする取り組みです
しかし思います。米太平洋空軍が、対中国有事で第一列島線上の根拠飛行場や、グアムやハワイの飛行場が被害を受けることを想定し、施設が不十分な飛行場の使用を考えて知恵を絞る中、航空自衛隊は何をやっているのでしょうか?
7日付米空軍協会web記事で「けなげな」米空軍の努力を
(有効性は疑問ですが・・)
●2日、フロリダ州で開催された「AWS17」でO’Shaughnessy太平洋空軍司令官は、「Rapid Raptor」コンセプトを発展させた「ACE」コンセプトを検討する機動展開訓練を行ったと聴衆に語った
●「Rapid Raptor」コンセプトは、通常の機動展開より小規模機数で兵站支援パッケージも局限した展開方式を具現化したものであるが、「ACE」コンセプトは、これまで展開先とは想定しなかった施設不十分な場所への展開を可能にするものを目指す
●例えば「ACE」では、どのようにして作戦下の機動を行うか? 指揮統制をどのように行うか? 不便な展開先で航空機が故障した場合の対応をどうするか? 等々への対策を盛り込んだ展開コンセプトをまとめる取り組みを行う
●検討の一環として、太平洋空軍は2機のF-22と1機のC-17輸送機による機動展開を行った。アラスカの基地を出発し、豪州の豪空軍Tindal基地を経由し、より小規模な豪空軍Townsville基地に展開を試みた
●Townsville基地で我々は、C-17輸送機の翼からF-22への給油を試みた。こうした小規模基地を利用するためには、海軍や陸軍に簡易燃料タンク(ゴム製の膀胱のような簡易タンク)を設営してもらう方法も考えられる
●またF-22操縦者をC-17に載せ、ハワイのヒッカム基地の航空作戦センターと連絡手段を確保する事も試みた。これによりインドアジア太平洋地域のどこからでも、十分な兵站支援がなくとも、厳しい環境下で作戦が可能になる
///////////////////////////////////////////////////////
米空軍が対ISILや対ロシアで疲弊する中でも、懸命に被害状況下に備えた準備に地道な努力を続けているのに、日本では同様の検討や装備品の導入が全く議論されていません
それもこれも、空自の飛行場が有事初動で大きな被害を受けると語ってしまうと、戦闘機の有効性に疑問符がつき、ただでさえ評判の悪いF-35予算の確保や、意味不明の国産戦闘機開発に暗雲が立ちこめるからです。
更に言えば(これがより比重が大きいかも)、戦闘機への疑問符に伴う戦闘機への投資削減は、パイロット削減や手当の減少につながりかねないからです。これを本末転倒と言わずして、何と呼びましょうか?
だから民間飛行場を活用しての空自戦闘機の訓練や、民間飛行場を有事活用する法的整備に関する政治サイドへの要望に力が入らないのです!!!
だから組織のトップが、極東の軍事バランスに全く関係のない英国空軍と「空中戦の訓練」をやって大喜びしたり、サイバーや宇宙は操縦者以外の誰かがやるんだろうと平然と口に出せるんです。
非パイロットで米シンクタンク研究員である元空将から、「長距離空対地ミサイルを備えたロシアや中国の戦闘爆撃機の配備は、空自の対領空侵犯措置の軍事的効果に根本的な疑問を投げかけている」、更に「より高度な戦闘能力の向上を期すため、これまで任務の中核であった対領空侵犯措置にかかる態勢の抜本的見直しを」と率直で正しい指摘を受けながら、相変わらずスクランブル回数の増加だけで「忙しさ」をアピールしています
過去に、台湾に国防政策を提言する米シンクタンクCSBAのレポートをご紹介した際の、執筆者達の言葉が耳に残っています。
「何よりも重要なのは、根本的に新たな国防戦略の採用を決心することにより、ワシントンと台湾国民に対し、台湾が自国の防衛に強く引き続き関与しているとのシグナルを発信することである」
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
提言の内容を踏まえて上記発言を解釈すると、いつまでも脅威の変化から目を背け、台湾国防関係者が最新戦闘機や大型艦艇などの派手な装備ばかりを米国に要求しているようだと、国防に対する真剣さを米国関係者から疑われることになるよ・・・との警告です
航空自衛隊、本日も反省の色無し・・・
「米軍被害復旧部隊を沖縄から追い出した日本」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
米空軍は中国の攻撃に備え
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09
「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
空自OBが対領空侵犯措置の効果を疑問視
「対領侵中心の体制見直しを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
いつまで戦闘機だけを優先するの???
F-3開発の悲劇と日本への提言→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
F-35の主要課題→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
サイバー関連の記事
「ホワイトハッカー活用が本格化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「米空軍が兵器のサイバー対処室を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-05
「米軍サイバー機関の問題や対策を議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「自ら創造したサイバー空間に苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「サイバー脅威の変化と対処を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21
「対ISサイバー作戦で大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21
「成果Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1
「組織の枠を超えた情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07
「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23
台湾の国防政策を提言
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
飛行場被害の対処を語ると、戦闘機の価値が下がるから?
7日付米空軍協会web記事は、同協会の「Air Warfare Symposium」で講演した太平洋空軍司令官O’Shaughnessy大将の発言を紹介し、米太平洋空軍が有事に根拠基地が被害を受けたり、代替基地に展開する必要が生じた際の対応策として、F-22戦闘機の迅速&簡易展開パッケージを準備する様子を取り上げています
新たに検討されているACE(Agile Combat Employment)は、2013年から導入されている「Rapid Raptor concept」を発展させたモノで、どちらかというと平時の「Show of Force」的な展開をイメージしていた「Rapid Raptor」を、より実戦を意識した形態に発展させようとする取り組みです
しかし思います。米太平洋空軍が、対中国有事で第一列島線上の根拠飛行場や、グアムやハワイの飛行場が被害を受けることを想定し、施設が不十分な飛行場の使用を考えて知恵を絞る中、航空自衛隊は何をやっているのでしょうか?
7日付米空軍協会web記事で「けなげな」米空軍の努力を
(有効性は疑問ですが・・)
●2日、フロリダ州で開催された「AWS17」でO’Shaughnessy太平洋空軍司令官は、「Rapid Raptor」コンセプトを発展させた「ACE」コンセプトを検討する機動展開訓練を行ったと聴衆に語った
●「Rapid Raptor」コンセプトは、通常の機動展開より小規模機数で兵站支援パッケージも局限した展開方式を具現化したものであるが、「ACE」コンセプトは、これまで展開先とは想定しなかった施設不十分な場所への展開を可能にするものを目指す
●例えば「ACE」では、どのようにして作戦下の機動を行うか? 指揮統制をどのように行うか? 不便な展開先で航空機が故障した場合の対応をどうするか? 等々への対策を盛り込んだ展開コンセプトをまとめる取り組みを行う
●検討の一環として、太平洋空軍は2機のF-22と1機のC-17輸送機による機動展開を行った。アラスカの基地を出発し、豪州の豪空軍Tindal基地を経由し、より小規模な豪空軍Townsville基地に展開を試みた
●Townsville基地で我々は、C-17輸送機の翼からF-22への給油を試みた。こうした小規模基地を利用するためには、海軍や陸軍に簡易燃料タンク(ゴム製の膀胱のような簡易タンク)を設営してもらう方法も考えられる
●またF-22操縦者をC-17に載せ、ハワイのヒッカム基地の航空作戦センターと連絡手段を確保する事も試みた。これによりインドアジア太平洋地域のどこからでも、十分な兵站支援がなくとも、厳しい環境下で作戦が可能になる
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米空軍が対ISILや対ロシアで疲弊する中でも、懸命に被害状況下に備えた準備に地道な努力を続けているのに、日本では同様の検討や装備品の導入が全く議論されていません
それもこれも、空自の飛行場が有事初動で大きな被害を受けると語ってしまうと、戦闘機の有効性に疑問符がつき、ただでさえ評判の悪いF-35予算の確保や、意味不明の国産戦闘機開発に暗雲が立ちこめるからです。
更に言えば(これがより比重が大きいかも)、戦闘機への疑問符に伴う戦闘機への投資削減は、パイロット削減や手当の減少につながりかねないからです。これを本末転倒と言わずして、何と呼びましょうか?
だから民間飛行場を活用しての空自戦闘機の訓練や、民間飛行場を有事活用する法的整備に関する政治サイドへの要望に力が入らないのです!!!
だから組織のトップが、極東の軍事バランスに全く関係のない英国空軍と「空中戦の訓練」をやって大喜びしたり、サイバーや宇宙は操縦者以外の誰かがやるんだろうと平然と口に出せるんです。
非パイロットで米シンクタンク研究員である元空将から、「長距離空対地ミサイルを備えたロシアや中国の戦闘爆撃機の配備は、空自の対領空侵犯措置の軍事的効果に根本的な疑問を投げかけている」、更に「より高度な戦闘能力の向上を期すため、これまで任務の中核であった対領空侵犯措置にかかる態勢の抜本的見直しを」と率直で正しい指摘を受けながら、相変わらずスクランブル回数の増加だけで「忙しさ」をアピールしています
過去に、台湾に国防政策を提言する米シンクタンクCSBAのレポートをご紹介した際の、執筆者達の言葉が耳に残っています。
「何よりも重要なのは、根本的に新たな国防戦略の採用を決心することにより、ワシントンと台湾国民に対し、台湾が自国の防衛に強く引き続き関与しているとのシグナルを発信することである」
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
提言の内容を踏まえて上記発言を解釈すると、いつまでも脅威の変化から目を背け、台湾国防関係者が最新戦闘機や大型艦艇などの派手な装備ばかりを米国に要求しているようだと、国防に対する真剣さを米国関係者から疑われることになるよ・・・との警告です
航空自衛隊、本日も反省の色無し・・・
「米軍被害復旧部隊を沖縄から追い出した日本」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
米空軍は中国の攻撃に備え
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09
「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
空自OBが対領空侵犯措置の効果を疑問視
「対領侵中心の体制見直しを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
いつまで戦闘機だけを優先するの???
F-3開発の悲劇と日本への提言→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
F-35の主要課題→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
サイバー関連の記事
「ホワイトハッカー活用が本格化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「米空軍が兵器のサイバー対処室を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-05
「米軍サイバー機関の問題や対策を議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-14
「自ら創造したサイバー空間に苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「サイバー脅威の変化と対処を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-21
「対ISサイバー作戦で大きな教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21
「成果Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1
「組織の枠を超えた情報共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-07
「中国には君らも脆弱だと言っている」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-23
台湾の国防政策を提言
「RAND:台湾は戦闘機中心を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「CSBA:台湾は弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
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