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今年2回目の無人機対処兵器の実地評価テスト [Joint・統合参謀本部]

多様な提案をジャンル別に年2回ペースで統合オフィスが評価
4月は副次的被害が少ない兵器を空軍主導で評価
今回は陸軍中心に個人携帯のオプション評価

JCO2.jpg9月24日付Defense-Newsは、無人機対処兵器選定のため、米軍JCO(統合小型無人機対処システム室:Joint Counter-Small Unmanned Aircraft Systems Office)を中心として年2回ペースで実施されている企業提案評価実地テストで、8月末から実施された今年2回目の様子を紹介しています

同様の評価テストは今年4月にもJCO監督のもと米空軍主催で行われ、その際は「副次的被害の少ない」提案(無人機を無人機で捕獲、捕獲網やひも付き弾丸で無効化など)の評価でしたが、今回は陸軍主導で、個人携帯型タイプなどが5種類の提案を対象に実施された様です

JCO.jpg各提案装備の成熟度は様々で、約3週間の評価期間開始当初は不十分な出来だった提案を期間中に改良し、主催者が準備した「複数の脅威シナリオ」に対応した提案もあったようですが、国防事業に新規企業を呼び込む狙いもあるようで、今後も同様の提案評価試験が継続して行われる計画です

今回の評価テストの結果は30日以内に参加企業に通知され、合格企業は直ちにプロトタイプ製造契約に移行するようで、迅速な開発&調達の姿勢も大事にしているようです

各提案の細部中身まで把握できませんが、どのような提案がどのような条件で評価されているのかの概要をご紹介し、喫緊の課題である小型無人機脅威への懸命の取り組みにアプローチしたいと思います

24日付Defense-News記事によれば
IXI’s DroneKiller.jpg●評価テストは4月と同じアリゾナのYuma試験場で実施され、8月30日から9月17日の間に、JCOと米陸軍RCCTO(Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)が協力して行った。

●今回の評価テストのテーマは「地上からの経空脅威拒否Ground-Based Aerial Denial」で、目標への終末誘導をせず、複数又は単独の目標を破壊または無効化するタイプが対象となる。ただし、地上発信の無線周波数帯を利用のサイバーや電子線攻撃は含まない
●また、目標無人機1機あたりの対処コストが160万円以下であることが条件となっている

●評価テスト対象の5機種は
・敵無人機に接近すると破裂し、破片で相手を無効化する弾丸
--- Northrop Grumman’s XM1211 30mm Proximity Round,

・個人携行の通常小火器から弾丸発射可能
(個人携行型小火器タイプは、既存の小火器に装着して使用でき、重さ11㎏(24 pounds)以下、単価400万円以下)
--- Smash Hopper from Smart Shooter(5.56mm弾)
--- Flex Force’s Agile Small Deflection Precision Stabilized Weapon System(7.62mm弾),

・電子戦利用の無人機無効化兵器
--- IXI’s DroneKiller
--- DroneGun MKIII from Drone Shield.
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Smash Hopper2.jpgJCOは2019年後半に設立され、2019年11月に米陸軍が主導するよう国防長官が指示した組織です。国防省は小型無人機対処装備の要求性能をいくつかのタイプ別に2020年9月に設定し、JCOはその要求性能を基礎に評価テストを行っているようです

JCOは既に40以上の提案を評価しており、併せて敵脅威情報に基づき更なる改良を促しているようです

この分野に限りませんが、今後の軍事技術発展には、民間の自由で柔軟な発想の活用が不可欠であり、小規模なベンチャー企業でも参加が比較的容易なこの分野が、軍需産業界活性化の突破口として期待されています

今年1回目の4月の評価テスト
「オプション試験中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/

無人機対処にレーザーや電磁波
「HOR:強力電磁波で大量の小型無人機を同時無効化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-22
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-20
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1

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F-35への戦術核搭載へ第一歩:投下試験終了 [亡国のF-35]

設計承認後は作戦運用態勢承認のため配備基地の態勢整備へ
核搭載改修するF-35の配備先は不明
遠くない将来に配備先等も明らかになるとか

F-35 B61-127.jpg4日、米空軍戦闘コマンドACCが、F-35への戦術核爆弾(B61-12)搭載承認への第一歩として、2機のF-35がネバダ州の試験演習場で、模擬戦術核爆弾の投下試験に成功したと認めました

この模擬弾の投下試験は、戦術核搭載承認の第1段階である「nuclear design certification」の一環で、今後国防省とエネルギー省が試験データを分析して「nuclear designレベル」での承認に向けた審査を行うとのことです

その後の第2段階「nuclear operational certification」では、実際に核搭載型F-35が配備される部隊に対し、必要な訓練が実施され維持整備を含む部隊能力が備わっているかを確認する運びとなります

F-35 B61-126.jpgACC関係者は、今後の承認プロセスの時程や「operational certification」対象となる配備基地について言及を避けましたが、遠くない将来に明らかになろうと述べたようです

またACC関係者は、核搭載型F-35への主要な機体改修内容として、機内兵器庫に設けられる地上で操作が必要な「mission select switch」と、操縦席でパイロットが操作する「nuclear consent switch」があると説明していますが、核爆発で発生する電磁パルス(EMP)からの防御機構も付加する必要があると考えられます

ACC関係者は、現在F-15EとF-16(更に独空軍のトーネード)が戦術核を搭載可能だが、ステルス機であるF-35が自由落下型のB61-12戦術核を搭載可能となることで、攻撃目標により接近して正確な攻撃が可能になると意義を強調しています

F-35 B61-124.jpg一方で戦闘爆撃機に戦術核を搭載する必要性については様々な議論があり、特に対ロシアを巡る西側欧州諸国で議論のあることです。現在、米軍の戦術核兵器がドイツ、ベルギー、オランダ、イタリー、トルコに計200発程度保管され、必要時には各国戦闘爆撃機に搭載して使用できる態勢がとられていますが、対ロシア抑止の手段ではあるものの、各国政府は各国民の理解を今後も得ることは容易でないと考えています

費用面でも戦術核を維持することは大きな負担で、老朽化した旧式B61戦術核を全て「B61-12」に置き換えるには約1兆円必要だとも見積もられており、シンクタンクの中には、「B61-12」への置き換えは限定数にとどめ、戦闘爆撃機への戦術核搭載は止め、B-21次期爆撃機に搭載して使用しては・・・との提言も見られます

この場合、冷戦期から行われているドイツ、ベルギー、オランダ、イタリー、トルコと米国との「核シェアリング」が無くなることを意味し、政治的には大きなインパクトがあると考えられ、なかなか欧州関係国やNATO内で考え方を一本化することが難しいようです

F-35 B61-123.jpg大きくとらえれば、サイバー戦や宇宙戦までも含めた戦いの変化の中で、核抑止や核戦力をどう位置付けるかの議論にも発展する「リトマス試験紙」の意味合いもあり、末尾の過去記事でご覧いただけるようにチマチマとフォローしております。

ご興味のある方は、過去記事もぜひ覗いてみてください。本日はとりあえず、模擬戦術核投下試験に成功したACC関係者の言葉をご紹介しておきます

5日付米空軍協会web記事によれば試験関係者は
F-35 B61-122.jpg●ACC戦略抑止副部長(中佐)は、「潜在的敵対国は、作戦開始前により多くの可能性を想定したゲームプランを考える必要に迫られるだろう」と、F-35への戦術核爆弾(B61-12)搭載承認を得ることの意義を語った
●また「非ステルス機では実現不可能な、より戦闘地域深くへの侵攻攻撃が可能になる」、「重力投下型のB61-12戦術核は、より目標に接近できれば、より正確に目標を攻撃できる」と、模擬弾での試験成功の意義を強調した

●別のACC幹部(中佐)は、「第5世代機が全く新しい戦略的レベルの能力獲得に近づき、米国の核抑止を強化することになる」と述べる一方で、「全てのF-35が戦術核型になるわけではない」と述べた
●更に同中佐は、「それほど遠くない将来、design certificationに加え、配備基地においてoperational certificationを獲得し、地域戦闘コマンド司令官に供することになろう」と説明した
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F-35 B61-125.jpgドイツ空軍は、戦術核運搬機としてトーネード戦闘爆撃機を保有していますが、老朽化に伴う後継機選定を迫られており、戦術核搭載承認を得るのが容易でない欧州製のタイフーンやFA-18にするか、承認を得た高価なF-35を選ぶのか、又は上記3機種混合調達かの選択を迫られています。

戦術核絡みで「F-35を押し売り」されたくないとの思惑がドイツや欧州諸国にはあり、ドイツや欧州国民感情もあり、メルケル政権後のドイツ連合政権の動向もあり・・・、本日ご紹介した米空軍中佐レベルの言葉だけではとても語りきれないF-35戦術核搭載試験のお話でした

戦術核兵器とF-35等
「米空軍に追加の戦術核は不要」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-04
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ドイツと戦闘機選定関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

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中国が年内に新型空母艦載機披露へ [中国要人・軍事]

中国軍企業AVICと中国空軍が時同じくして発表
武漢で姿が確認されているJ-31改造版か

J-31 Sun Cong.jpg9月29日付Defense-Newsは、中国海軍幹部がZhuhai航空ショーでの記者会見で、今年中に新型の空母艦載機を披露すると明らかにし、同じタイミングで中国航空産業AVIC(Aviation Industry Corporation of China)が同社アカウントのSNS上で同様の発信を行ったと報じました。

両者の発表が同じ中身を示すものかは確認できていないようですが、AVIC(中国航空工業集団)の子会社であるSAIC(瀋陽飛機航空集団)の工場で、輸出に成功しなかった中国版F-35とも呼ばれる戦闘機J-31を艦載機に改修する様子らしい状況が最近確認されており、西側の憶測を呼んでいるところでしたので、それとの関係が指摘されています

6月にご紹介したJ-31改良新型艦載機?
「中国海軍の新型艦載機開発?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10

9月29日付Defense-News記事によれば
J-31 Sun Cong2.jpg●中国国営の「環球時報」によれば、中国海軍が使用中の艦載戦闘機J-15の設計チームを率いた中国海軍戦闘機設計チーム長であるSun Cong氏は、Zhuhai航空ショーでの記者会見で、「中国人民は今年後半に、次世代の空母艦載戦闘機を目にすることになるだろう」と語った
●またCong氏は、適当なタイミングで新艦載戦闘機のより細部について明らかにすることになろうとも述べた

●同様に、AVIC(中国航空工業集団:Aviation Industry Corporation of China)は自社の中国版ツイッター(Weibo)アカウントで、2021年末までに、新型の空母艦載機を披露すると発信した
●Sun氏もAVIC社も細部については全く触れていないが、AVIC社のSNS上には、2つの垂直尾翼を備えたステルス形状の機体シルエット画像が添付されていた

J-31 Sun Cong3.jpg●なお、今年のZhuhai航空ショーでは、ステルス攻撃機と言われるJ-20が、国産エンジンWS-10C搭載して披露され、2機編隊での飛行展示を連日行って注目を集めた

●最近中国航空産業の国産エンジン開発が進展し、従来はロシア製エンジンを搭載していた双発機のJ-11やJ-16が、中国製WS-10を10年ほど前から搭載をはじめ、単発のJ-10が今年中国製WS-10を搭載し始めていることが確認されている
●ただしJ-31は、現有艦載機のJ-15と同様に、これまでのところロシア製エンジンでのみで飛行している

J-31関連:今年 6月9日付Defense-News記事によれ
●武漢にある中国海軍の開発試験拠点で改良型のJ-31(FC-31)が目撃され、未確認だが、空母艦載機への使用可能性が出てきた
J-31 2nd2.jpg●同機は輸出用を目指して2012年に初飛行したが、輸出には結びつかず、その後は空母艦載用に改修されるとのうわさが流れていたが、2016年にステルス性を向上させた新たな姿を見せて初飛行し、話題となった

●ステルス形状がより追及され、エンジンの空気取り入れ口のステルス化が進み、機体内兵器搭載庫が追加された
●依然として完成間近な段階ではないが、モックアップが中国海軍の開発拠点武漢の模擬空母上で確認されたことから、空母艦載可能性が高まったと話題になっている
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China aircraft carrier.jpg有事のことを考えると、中国が空母に多額の投資をし、西側潜水艦や航空攻撃や艦艇からのミサイル攻撃の「格好の餌食」になってくれれば良いのですが、グレーゾーンまでのことを考えると事は単純ではありません

南や東シナ海、台湾周辺などに中国空母がウロチョロするようなことが常態化すれば、威圧感を感じざるを得ませんし、偶発的な事案の可能性も高まり、厄介な話になると思います

仮にお披露目になる新型艦載機がJ-31改良型とすると、行動半径が500㎞程度(とても短い)との報道もあり、その能力のほどは未知数です

中国版F-35とも呼ばれ輸出に失敗したJ-31関連記事
「中国海軍の新型艦載機開発?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10
「輸出用の中国製ステルス機J-31改良型初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-27

単発で初:中国国産エンジン搭載
「単発J-10CにWS-10B搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-12

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つなぎ給油機KC-YにロッキードがLMXTで名乗り [米空軍]

KC-46と争ったA330ベースMRTTの発展型LMXT
13か国で約50機が運用中のMRTTに自動給油装置加え
ボーイングはKC-46でKC-Yに参戦予定でバトル再び

LMXT.jpg9月17日、ロッキード社は米空軍が選定を開始した「つなぎ空中給油機KC-Y」に、現在英豪など13か国で運用中のA330ベースのMRTT給油機を発展させたLMXT(Lockheed Martin “Next” Tanker)で挑戦すると発表し、その実績や利用可能飛行場が多い点、また全てを米国内で製造する等の点をアピールしました

米空軍の給油機は、以下の体形で整備の方向です
●179機が2027年までに製造されるKC-46を「KC-X」
●「つなぎ給油機:bridge tanker」を「KC-Y」、KC-46の製造修了の2027年頃から、運用70年となる老朽KC-135や、KC-10の後継として導入予定
●将来作戦環境に備えステルスや無人・自律性を追求可能性がある「KC-Z」

Ovost6.jpg2020年10月末、Ovost米空軍輸送コマンド司令官(女性)は「(KC-Y)は戦闘空域での使用は想定しておらず、米国内での訓練や海外への機動展開支援を担い、給油を受ける米軍航空機が即応態勢を維持するために貢献する」と説明しています

上記のスケジュールで「KC-Y」を導入するには、2022~23年度予算に具体的経費を盛り込む必要があり、米空軍は2020年末から情報提供要求RFIを出し機種選定が動きだしていますが、「つなぎ機」の対象となりえるのは、「KC-X」を巡って数回機種選定をやり直す「泥沼を」戦ったボーイングのKC-46Aと、ロッキード&エアバス社提案のA330 MRTTを多少改修したご紹介する「LMXT」機体になりそうで、既に胸騒ぎの予感です

本日は、ロッキード社のTony Frese担当副社長がアピールした「LMXT」の特長についてご紹介いたします

19日付米空軍協会web記事によれば「特長」は

●ベースとなるMRTTの実績十分
LMXT2.jpg--- A330 MRTTは、豪州空軍が初導入後、現在では英、サウジ、UAE、仏、シンガポール、韓国など13か国で49機が作戦運用されており、これまでに25万飛行時間で6万回の空中給油実績実績
--- 更に、米軍機で空中給油認可済は10機種以上で、戦闘機ではF-35、F-22、F-16、F-15、A-10、爆撃機ではB-1、輸送機・哨戒機ではC-17、E-3、P-3及びP-8A対潜哨戒機、そのほかE-7にも給油可能
--- ベースとなるA330は世界で1600機以上使用され、部品調達など機体維持上の問題がない

●使用可能飛行場が3割増
--- 翼がKC-46より大きく揚力が大きいため、アジア太平洋地域で利用できる飛行場が3割増(現在150が196に増加)になる
--- 英語解釈が難しいが→LMXT could “nearly double” the KC-46’s reach in the Indo-Pacific, with longer time on station, assuming a full load of fuel.

●JADC2のネットワークシステム運用装置搭載可能
--- 機体の上部デッキ3か所にJADC2ネットワークシステムを搭載可能

●3か国が導入決定の自動給油装置アリ
--- 「fly-by-wire boom system」で全自動装置を試験中(既に330回給油試験済で今年中に昼間運用認証予定、夜間認証は2023年)
--- 高解像度高精彩3Dの画像システムを使用し、処理速度や反応速度が速い

●100%米国製との要求を満たす
--- 製造場所は複数案検討中だが、かつてC-5輸送機を製造してスペースに空きがあり4機同時製造が可能なジョージア州Marietta工場や、A320旅客機を製造中のアラバマ州Mobile工場などを中心に検討中
--- 様々なオプションが可能で検討中だが、部品調達は少なくとも全米34州の150企業から行い、その数は今後さらに増える
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LMXT3.jpg「使用可能飛行場が3割増」の部分は、機体重量許容性や翼が大きいための駐機場所の確保可能性を加味したものか、また米空軍の評価基準との関係は不明です

また「“nearly double” the KC-46’s reach in the Indo-Pacific」との英語表現が、何を意味しているのかよく分かりません、ネット情報では航続距離はほとんどKC-46と差がないので・・・

いずれにしても、KC-46が「グダグダ」状態ですので、実績あるLMXTとの機種選定は「ドロドロ」ドロ沼の危険性を秘めており、気になるところです

KC-X,Y,Zの考え方
「つなぎ空中給油機KC-Yに着手へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-05
「2016年当時の空中給油機後継プラン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-22

選定やり直し3回:KC-46機種選定の泥沼
「KC-X決定!泥沼回避可能か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

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米空軍宇宙軍兵士はワクチン接種期限に間に合うか? [オースチン国防長官]

11月2日までに2回接種後2週間経過が必要も
兵士の約6%は期限に間に合わず罰則対象か?

Austin7.jpg8月25日にAustin国防長官が全米軍兵士へのコロナワクチン接種を速やかに実施するよう各軍種トップに命じたことを受け、各軍種毎に接種期限を設けて全兵士への接種を全力で進めていますが、最も早い11月2日に期限を設定した空軍省隷下の米空軍と宇宙軍正規兵の状況に注目が集まっています

米空軍&宇宙軍正規兵の期限11月2日は、2回目の接種が終わって2週間経過した日を基準と指定しており、1回目の接種と2回目接種の間隔3週間と、2回目後の2週間を合わせた計5週間が必要なことから考えると、11月2日に間に合うには、9月28日までに少なくとも1回目を接種しておく必要がありました

COVID-19 2.jpeg9月28日時点での米空軍&宇宙軍正規兵の接種状況は、2回とも終了75.1%、1回目のみ終了18.8%との合計で計93.9%(約94%)で、3週間前から約20%急増しての約94%であり、急速に接種が進んでいる状況にはありますが、逆に約6%の米空軍&宇宙軍兵士が期限までに間に合わない恐れがあります

8月25日の国防長官指示では、何らかの身体的理由や宗教上の理由での「ワクチン免除」も認めていますが、米軍では海外展開が日常的であることから、既に10数種類のワクチン接種が義務付けられており、宗教上の理由で免除を求める者は「ほぼゼロ」「極めてまれ」と言われており、身体的理由で接種できないケースも特殊な場合のみで、ごく少数と言われています

COVID-19 vaccine.jpegこのような米軍の現状から、期限までに接種を受けない者へは、状況や理由に応じ何らかの罰則(from non-judicial punishment to courts martial)を科すことになっていますが、現時点で期限が最も早い米空軍&宇宙軍でも、「理由なき未接種者」への罰則をどうするか明らかにしていません

Austin国防長官が8月25日にワクチン全員接種を各軍種に命じた以降、軍内のワクチン反対派兵士から命令差し止め訴訟などが既に複数行われており、最近では「コロナに罹患して回復した者は免除せよ」訴訟も開始された様です。

COVID-19 vaccine3.jpeg基本的に米軍内ではファーザー製ワクチン接種を行っており、1回目接種から接種完了までの期間を5週間と見積もっていますが、緊急用のみで使用を認めている接種1回でOKな「Johnson & Johnson製」を導入するのか等、11月2日に向け様々な動きが憶測されているようです

ちなみに、米空軍&宇宙軍正規兵の期限は11月2日ですが、米海軍海兵隊は11月28日、米陸軍は12月15日と期限を設定しています

COVID-19.jpegまた、州兵や予備役兵は正規兵と同じ期限ではないようで、接種率も10%程度遅れているようです

米軍を取り巻く各種政策や装備開発&調達の話題とは異なりますが、米軍を構成する人的戦力を見る一つの視点として、今後話題になる可能性も踏まえご紹介しておきます

自衛隊部隊でのクラスター発生が時々報道されていますが、日本ではどうなんでしょうか?

コロナ関連の記事
「患者が多い職域は?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-14
「コロナでSCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「旅客機移動でコロナ感染リスク低い」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-16  
「米軍主要幹部が一斉に自主隔離」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-07
「コロナで安全保障環境は激変する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-25 

「米国防省内の今後のコロナ対処方針」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-07
「RIMPAC、陸軍士官学校、英空母の事例」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「ワクチン完成までの1年間程度は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-24
「米空軍士官学校卒業式2020」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-20
「中国やロシアの情報工作」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-15

「海空アクロチームが激励飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-29-1
「米国防省や米軍のコロナ対処・措置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

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中国版EA-18Gが中国航空ショーに地上展示 [中国要人・軍事]

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中国版SU-27であるJ-16戦闘機を改良したJ-16D
米軍の電子戦機体系と同等の方向目指すとの推測アリ
複数の異なるポッドを搭載する模様

J-16D6.jpg24日付 Thedrive.com/が、中国Zhuhai航空ショー(9月28日から10月3日開催)に、中国空軍の新型電子戦専用機J-16Dが展示されると紹介し、その外観から細部不明の性能等を推測しています

Zhuhai航空ショーは、1996年から隔年で開催される中国航空産業の一大イベントですが、開催年であった昨年2020年はコロナのため延期され、1年遅れで2021年開催になったところです

外観から見たJ-16Dの特徴等は
●J-16戦闘機と比較して
J-16D.jpg・ 両翼端に電子戦用POD搭載(EA-18GのAN/ALQ-218と同様に、高性能のパッシヴセンサーと推測)
・ 翼下2か所と胴体下部側方2か所に計4つのPOD(少なくとも3つは異なる外観のPODで、EA-18Gと同様に対象周波数帯別に複数のPODを用意していると推測) 
・ その他、機体外部に多数のアンテナ構造物付加
  
J-16D5.jpg・ 機体先端のレドームが短く小型→おそらく新型AESAレーダーが搭載
・ キャノピー前方にあったIRST装置が無くなっている
・ Gunが無くなっており、同スペースに電子戦装備を搭載したと推定

・ 中国空軍機である標識がぼかして機体に描かれ、製造番号「1090」から第1機製造機体の9番機

現地取材Joseph Trevithick記者の所見
EW US.jpg●米空軍の運用構想として、F-35やF-22が突破型ジャマーとして活動するのを、少し遠方からEA-18Gがサポートする運用を一つの形とし、側面からスタンドオフジャマーEC-130や、局所的な補完としてスタンドイン使い捨てジャマーMALD(Miniature Air-Launched Decoy)の投入が考えられるが、中国も同様の装備体系を目指していると推定される

●EA-18Gが高周波用と低周波用の2種類の外装POD(AN/ALQ-99)を保有し、更に中間周波用ポッドを開発中であることから推測すると、J-16Dも敵の火器管制用高周波を狙ったPODと、通信周波数用のPOD保有が考えられ、更には空中から防空や通信システムへのサイバー攻撃を狙ったPOD開発も考えられる
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J-16D3.jpg今回の航空ショーの別の目玉として、RQ-4のようなジェット推進高高度無人機WZ-7や、J-20ステルス攻撃機の登場も予期されているようです

目玉として登場する新装備は、全てサイバー窃盗の「成果」の様な気がしてなりませんが、今後の西側の情報収集により、その実力のほどが明らかになることを期待いたします

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