新型空母フォードの計画責任者更迭 [Joint・統合参謀本部]
海軍長官に続き、史上最高価格の不調艦艇の犠牲者か
当初2018年運用開始予定が、今では2023年とも
7月1日、新型フォード級空母の1番艦空母フォードの空母プログラム責任者であったRon Rutan大佐が「職務パフォーマンス不良」を理由に更迭され、Brian Metcalf,海軍大佐が新たな責任者に任命されました
新型空母フォードは、米海軍艦艇としては史上最高の1兆5千億円もの建造費をかけた空母ですが、専門家が「多くの新技術を盛り込もうとし過ぎた」と評価する背景もあり、当初2018年に運用開始を予定していたものの数々のトラブルに悩まされて運用開始が大きく遅れています。
それでも無理やり、F-35も搭載できず、弾薬運搬用のエレベーター装備の多くが非稼働状態でも、運用開始を宣言しようと準備を進めていましたが、大規模な航空部隊を搭載した「お披露目」的な6月頭の演習で、目玉である電磁カタパルトEMALSが故障して訓練中止を余儀なくされるなど、空母削減議論が進む中で厳しい状態に直面しています
特にトランプ大統領がフォード級空母に厳しい視線を向け、過去2回「電磁カタパルトはだめだ。止めるように海軍に言っている」と発言し、2019年1月には「2019年夏までに兵器エレベーターを使用可能にしなければ海軍長官をクビニする」と告げ、実際にRichard Spencer前海軍長官を更迭しています
空母ルーズベルトのコロナ感染問題で辞任したThomas Modly前臨時海軍長官も、トランプ大統領から空母フォード問題を厳しく指摘されている様子を、「大統領は空母フォードに強い関心を持っており、大統領の懸念はもっともである。この空母はvery, very高価格で、稼働させる必要がある」、「数々の涙の果てに現在の状況があるのだが、史上最も高価なアセットは、今や米海軍は何をやっても駄目だとの象徴になってしまったいる」と語って危機感を表現していたところです
7日付Defense-News記事によれば
●1日、空母フォードで新型空母「Program Manager」を務めていたRon Rutan大佐が、「職務パフォーマンス不良:performance over time」を理由に更迭され、「Naval Sea Systems Command」スタッフへの転勤を命ぜられた
●米海軍の関連声明では「リーダーの交代時期に完璧なタイミングはないが、この困難な時期に、空母フォードチームをリードする新たなエネルギーが必要であると判断した。後任のMetcalf大佐は開発プログラム管理に熟達しており、空母フォードにとって大きな力となるだろう」と説明している
●退役海軍大佐でコンサルタント会社の軍事専門家Jerry Hendrix氏は、「2005年に同空母建造が始まって以来に抱える多数の技術的問題と時間的遅れは、一つの新造艦艇にあまりに多くの新技術や装備を盛り込もうとしたことから生じているが、Rutan大佐の更迭は、同空母の問題が依然として混乱した状態にあることを示している」とコメントしている
●更にHendrix氏は、「明らかに同空母が抱える問題は、空母乗艦の大佐一人の管理の範囲をはるかに超えており、米海軍としては新たなアプローチを期待してのことだろう」、「空母フォードの問題はあまりにも大きすぎる」と述べている
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記事は空母フォードの運用開始時期について、「2023年までに運用開始するとは考えにくい:but now will likely not deploy until 2023」と表現しています。
空母ルーズベルトのコロナ問題で退任させられたModly海軍長官の言葉、「(空母フォードは)今や、米海軍は何をやっても駄目だとの象徴になってしまったいる: a metaphor for why the Navy can’t do anything right」との言葉が重く響きます・・・
米海軍はどうなるのか・・・
フォード級など米空母関連
「お披露目演習でEMALS故障」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-12
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇案!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「半年かけて空母の将来像を至急検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「レーザー兵器搭載に自信」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「国防次官が空母1隻とミサイル2000発の効果比較」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
当初2018年運用開始予定が、今では2023年とも
7月1日、新型フォード級空母の1番艦空母フォードの空母プログラム責任者であったRon Rutan大佐が「職務パフォーマンス不良」を理由に更迭され、Brian Metcalf,海軍大佐が新たな責任者に任命されました
新型空母フォードは、米海軍艦艇としては史上最高の1兆5千億円もの建造費をかけた空母ですが、専門家が「多くの新技術を盛り込もうとし過ぎた」と評価する背景もあり、当初2018年に運用開始を予定していたものの数々のトラブルに悩まされて運用開始が大きく遅れています。
それでも無理やり、F-35も搭載できず、弾薬運搬用のエレベーター装備の多くが非稼働状態でも、運用開始を宣言しようと準備を進めていましたが、大規模な航空部隊を搭載した「お披露目」的な6月頭の演習で、目玉である電磁カタパルトEMALSが故障して訓練中止を余儀なくされるなど、空母削減議論が進む中で厳しい状態に直面しています
特にトランプ大統領がフォード級空母に厳しい視線を向け、過去2回「電磁カタパルトはだめだ。止めるように海軍に言っている」と発言し、2019年1月には「2019年夏までに兵器エレベーターを使用可能にしなければ海軍長官をクビニする」と告げ、実際にRichard Spencer前海軍長官を更迭しています
空母ルーズベルトのコロナ感染問題で辞任したThomas Modly前臨時海軍長官も、トランプ大統領から空母フォード問題を厳しく指摘されている様子を、「大統領は空母フォードに強い関心を持っており、大統領の懸念はもっともである。この空母はvery, very高価格で、稼働させる必要がある」、「数々の涙の果てに現在の状況があるのだが、史上最も高価なアセットは、今や米海軍は何をやっても駄目だとの象徴になってしまったいる」と語って危機感を表現していたところです
7日付Defense-News記事によれば
●1日、空母フォードで新型空母「Program Manager」を務めていたRon Rutan大佐が、「職務パフォーマンス不良:performance over time」を理由に更迭され、「Naval Sea Systems Command」スタッフへの転勤を命ぜられた
●米海軍の関連声明では「リーダーの交代時期に完璧なタイミングはないが、この困難な時期に、空母フォードチームをリードする新たなエネルギーが必要であると判断した。後任のMetcalf大佐は開発プログラム管理に熟達しており、空母フォードにとって大きな力となるだろう」と説明している
●退役海軍大佐でコンサルタント会社の軍事専門家Jerry Hendrix氏は、「2005年に同空母建造が始まって以来に抱える多数の技術的問題と時間的遅れは、一つの新造艦艇にあまりに多くの新技術や装備を盛り込もうとしたことから生じているが、Rutan大佐の更迭は、同空母の問題が依然として混乱した状態にあることを示している」とコメントしている
●更にHendrix氏は、「明らかに同空母が抱える問題は、空母乗艦の大佐一人の管理の範囲をはるかに超えており、米海軍としては新たなアプローチを期待してのことだろう」、「空母フォードの問題はあまりにも大きすぎる」と述べている
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記事は空母フォードの運用開始時期について、「2023年までに運用開始するとは考えにくい:but now will likely not deploy until 2023」と表現しています。
空母ルーズベルトのコロナ問題で退任させられたModly海軍長官の言葉、「(空母フォードは)今や、米海軍は何をやっても駄目だとの象徴になってしまったいる: a metaphor for why the Navy can’t do anything right」との言葉が重く響きます・・・
米海軍はどうなるのか・・・
フォード級など米空母関連
「お披露目演習でEMALS故障」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-12
「国防省が空母2隻削減と無人艦艇案!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「半年かけて空母の将来像を至急検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「レーザー兵器搭載に自信」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-05
「国防次官が空母1隻とミサイル2000発の効果比較」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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