米トルコ関係:S-400とF-35部品を巡り再び緊迫 [安全保障全般]
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トルコがロシア製S-400レーダーで米軍F-16追尾で緊迫
一方でトルコ製造F-35部品に2023年まで依存
各種軍事メディアが、米国やNATOからの強い反対を押し切り、ロシアから高性能防空ミサイルシステムS-400を導入した米トルコ関係の現状を報じ、輸入したロシア製のS-400レーダーで米空軍F-16を追尾するようなトルコに経済制裁を訴える超党派の米議会の動きや、一方でS-400がらみでF-35計画から排除したはずのトルコから、F-35部品を当面購入し続けなければならない悩ましい状況を伝えています
イスラム諸国唯一のNATO加盟国であるトルコを重視する西側諸国は、トルコに防空システムを実質提供するような形で支えてきましたが、エルドアン大統領の世俗主義からイスラム主義重視姿勢への転換で西側との関係が悪化し、2019年7月にトルコはロシア製S-400装備の導入を開始します
トランプ大統領は、F-35を100機も購入予定のトルコとの関係を維持したい未練たっぷりでしたが、S-400導入を看過することはできず、トルコをF-35共同開発国から除外し、トルコ用に製造済みだった6機のF-35を米国が使用することを2019年7月に決定します。
ただ、F-35共同開発国としてトルコが担っていた900種類ものF-35部品製造について、米国防省は2020年春までに米国企業を中心とした企業に移転を完了したいと説明していましたが、ロッキード社のずさんな部品供給体制立ち上げやコロナの影響等もあり順調にはいかず、今では2023年までトルコ製造F-35部品に依存する状況が続く模様です
そんな中、トルコ軍S-400による米軍F-16ロックオン?に米議会が激怒し、トルコに対する経済制裁措置を求める動きが活発化しています・・・
7日付米空軍協会web記事によれば
●7日、米議会上院のChris Van Hollen議員(民主党)とJames Lankford(共和党)はポンペイオ国務長官に対し書簡を送り、8月に地中海地域4か国の演習に参加した米空軍F-16を、トルコ軍のS-400レーダーが追尾した事例が初確認され、今後も同様の動きでS-400を通じ関連情報がロシアに流出する懸念大だと訴えた
●ちなみに同演習は、最近トルコがキプロス周辺の領有権問題がある海上に油田調査リグを出す等の行動をしていることを受け、トルコによる東地中海地域への軍事行動への対処を想定したものだった
●トルコは昨年11月、トルコ空軍のF-16をS-400テストのために飛行させS-400レーダーでの探知状況等を確認しているが、今回は米空軍のF-16を対象にS-400が使用された初のケースであり、ロシアへの探知追尾状況に関する情報流出を両議員は懸念している
●書簡で両議員は更に、NATOがトルコに提供している防空システムの情報がロシアに流出していないか、NATOのLink-16情報がロシアに流出していないかを確認するよう求めている
●また両議員は、米国やNATOの要請に応じず、トルコがS-400使用をやめる気配がないことから、米議会が「Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act (CAATSA)」に基づくトルコへの制裁法を2019年に成立させているにもかかわらず、トランプ政権がこれを実行しないことに不満を示すプレスリリースも出している
トルコがS-400を黒海沿岸に展開
●6日、トルコ軍はS-400を試験するため、同防空システムをトルコ北部の黒海沿岸港湾都市Sinop周辺の演習場に展開させ、周辺空域への民間航空機の侵入を制限する公布を出した
(黒海はロシアが併合したクリミア半島に面しており、NATO軍とロシア軍が相互に演習や警戒監視活動を活発に行っている緊張地域である)
●トルコ軍は当初、ロシアから輸入したS-400を2020年4月に運用開始する計画だとしていたが、コロナの影響で運用開始時期が遅れていると説明している
●米国は、トルコがS-400を運用開始すれば制裁を発動すると警告しており、S-400運用開始の遅れは米国との関係も背景にあるのではと憶測されている
●運用開始時期についてはトルコ国防省調達部門トップは、「このような重要な装備品については、いつから運用を開始するかに関し、公にする意思はない。運用開始準備がどの程度進んでいるかについても、トルコの戦略的位置づけからすれば答えるつもりはない」と回答を拒否している
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イランとトルコが、イスラム主義(政治も生活も全部イスラムでやるというイデオロギー)の国をリードし、西側や他のアラブ諸国と対峙する時代に向かうのでしょうか? 心配です。
もう一方のF-35の部品調達問題ですが、トルコ製部品の代替問題以前に、ロッキード社のサプライチェーン管理がでたらめで、ALISの機能不全に加え、議員対策から米本土の州や全世界にばらまいた部品製造企業が期待した品質や納期を満足せず、混乱カオス状態にある模様です
加えてトルコ製造部品の代替探しです。2020年予定が2023年まで伸びるとは、「見通しが立たない」と宣言しているようなものです。
米国防省もF-35フル生産にかじを切り、フィンランドもF-35購入(60機)に傾きそう(2021年機種決定予定)な流れですが、「亡国のF-35」状態に変化ありません
米トルコ関係
「トルコの代わりに米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2
「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「露がトルコにSU-35売込み大詰め!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-29
「プーチンがトルコ大統領にSu-57Eを売り込み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28-1
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トルコがロシア製S-400レーダーで米軍F-16追尾で緊迫
一方でトルコ製造F-35部品に2023年まで依存
各種軍事メディアが、米国やNATOからの強い反対を押し切り、ロシアから高性能防空ミサイルシステムS-400を導入した米トルコ関係の現状を報じ、輸入したロシア製のS-400レーダーで米空軍F-16を追尾するようなトルコに経済制裁を訴える超党派の米議会の動きや、一方でS-400がらみでF-35計画から排除したはずのトルコから、F-35部品を当面購入し続けなければならない悩ましい状況を伝えています
イスラム諸国唯一のNATO加盟国であるトルコを重視する西側諸国は、トルコに防空システムを実質提供するような形で支えてきましたが、エルドアン大統領の世俗主義からイスラム主義重視姿勢への転換で西側との関係が悪化し、2019年7月にトルコはロシア製S-400装備の導入を開始します
トランプ大統領は、F-35を100機も購入予定のトルコとの関係を維持したい未練たっぷりでしたが、S-400導入を看過することはできず、トルコをF-35共同開発国から除外し、トルコ用に製造済みだった6機のF-35を米国が使用することを2019年7月に決定します。
ただ、F-35共同開発国としてトルコが担っていた900種類ものF-35部品製造について、米国防省は2020年春までに米国企業を中心とした企業に移転を完了したいと説明していましたが、ロッキード社のずさんな部品供給体制立ち上げやコロナの影響等もあり順調にはいかず、今では2023年までトルコ製造F-35部品に依存する状況が続く模様です
そんな中、トルコ軍S-400による米軍F-16ロックオン?に米議会が激怒し、トルコに対する経済制裁措置を求める動きが活発化しています・・・
7日付米空軍協会web記事によれば
●7日、米議会上院のChris Van Hollen議員(民主党)とJames Lankford(共和党)はポンペイオ国務長官に対し書簡を送り、8月に地中海地域4か国の演習に参加した米空軍F-16を、トルコ軍のS-400レーダーが追尾した事例が初確認され、今後も同様の動きでS-400を通じ関連情報がロシアに流出する懸念大だと訴えた
●ちなみに同演習は、最近トルコがキプロス周辺の領有権問題がある海上に油田調査リグを出す等の行動をしていることを受け、トルコによる東地中海地域への軍事行動への対処を想定したものだった
●トルコは昨年11月、トルコ空軍のF-16をS-400テストのために飛行させS-400レーダーでの探知状況等を確認しているが、今回は米空軍のF-16を対象にS-400が使用された初のケースであり、ロシアへの探知追尾状況に関する情報流出を両議員は懸念している
●書簡で両議員は更に、NATOがトルコに提供している防空システムの情報がロシアに流出していないか、NATOのLink-16情報がロシアに流出していないかを確認するよう求めている
●また両議員は、米国やNATOの要請に応じず、トルコがS-400使用をやめる気配がないことから、米議会が「Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act (CAATSA)」に基づくトルコへの制裁法を2019年に成立させているにもかかわらず、トランプ政権がこれを実行しないことに不満を示すプレスリリースも出している
トルコがS-400を黒海沿岸に展開
●6日、トルコ軍はS-400を試験するため、同防空システムをトルコ北部の黒海沿岸港湾都市Sinop周辺の演習場に展開させ、周辺空域への民間航空機の侵入を制限する公布を出した
(黒海はロシアが併合したクリミア半島に面しており、NATO軍とロシア軍が相互に演習や警戒監視活動を活発に行っている緊張地域である)
●トルコ軍は当初、ロシアから輸入したS-400を2020年4月に運用開始する計画だとしていたが、コロナの影響で運用開始時期が遅れていると説明している
●米国は、トルコがS-400を運用開始すれば制裁を発動すると警告しており、S-400運用開始の遅れは米国との関係も背景にあるのではと憶測されている
●運用開始時期についてはトルコ国防省調達部門トップは、「このような重要な装備品については、いつから運用を開始するかに関し、公にする意思はない。運用開始準備がどの程度進んでいるかについても、トルコの戦略的位置づけからすれば答えるつもりはない」と回答を拒否している
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イランとトルコが、イスラム主義(政治も生活も全部イスラムでやるというイデオロギー)の国をリードし、西側や他のアラブ諸国と対峙する時代に向かうのでしょうか? 心配です。
もう一方のF-35の部品調達問題ですが、トルコ製部品の代替問題以前に、ロッキード社のサプライチェーン管理がでたらめで、ALISの機能不全に加え、議員対策から米本土の州や全世界にばらまいた部品製造企業が期待した品質や納期を満足せず、混乱カオス状態にある模様です
加えてトルコ製造部品の代替探しです。2020年予定が2023年まで伸びるとは、「見通しが立たない」と宣言しているようなものです。
米国防省もF-35フル生産にかじを切り、フィンランドもF-35購入(60機)に傾きそう(2021年機種決定予定)な流れですが、「亡国のF-35」状態に変化ありません
米トルコ関係
「トルコの代わりに米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2
「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「露がトルコにSU-35売込み大詰め!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-29
「プーチンがトルコ大統領にSu-57Eを売り込み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-28-1
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