SSブログ

南シナ海監視強化へ:三菱の対空監視レーダー輸出契約 [安全保障全般]

フィリピンへ防衛装備移転三原則に基づき初の完成品輸出
固定型3基と移動型1基を100億で
両機種ともFPS3とTPSP14をベースに「新たに開発・製造」

FPS-3 2.jpg8月28日、日本の防衛省とフィリピン国防省はそろって、フィリピンが南シナ海の警戒監視強化のため2018年から進めてきたレーダー選定プロジェクト「Horizon 2 Air Surveillance Radar System acquisition project」に関し、「フィリピン国防省と三菱電機㈱の間で同社製警戒管制レーダー・4基を約1億ドルで納入する契約が成立した」と発表しました。契約書への署名は、マニラと東京でそれぞれ行われた模様です

フィリピンの同プロジェクトは、南シナ海、海底資源や水産資源が豊富とされるルソン島から東約300㎞の「Benham Rise:ベンハム隆起」周辺を中心とした上空の警戒監視強化を狙ったものです

South china sea.jpg日本にとっては、2014年に安倍政権が、武器輸出を原則禁止してきた「武器輸出三原則」に代わり、「わが国の安全保障に資する場合」などの条件を満たせば装備品の輸出や国際共同開発を認めるとした「防衛装備移転三原則」の枠組みでの、初めての国産完成品装備の輸出となりました

これまでも部品レベルでは、「防衛装備移転三原則」に基づく輸出は米国などに行われましたが、完成品としての輸出契約は初めてです

完成品輸出の取り組みは、オーストラリアへの潜水艦(そうりゅう型)輸出でフランス企業に敗れるなど厳しい状況が続き、タイ軍への同じ警戒管制レーダー売り込みでも、三菱電機提案のFPS-3廉価版がスペイン製品に敗れた苦難の道がありました

各種報道では、共に1990年前後から自衛隊が導入を始めて調達が終了している空自の固定式警戒管制レーダー「FPS3」3基と陸自の移動式対空レーダー「TPSP14」1基の計4基を、約100億円で輸出と紹介されていますが、防衛省の公式発表(お知らせ)では、「当該レーダーは、三菱電機㈱がフィリピン空軍の要求に基づき、自衛隊向けのレーダーを製造した経験を踏まえて、新たに開発・製造するもの」となっており、自衛隊使用型よりダウングレードする部分があると推測されます

FPS-3 3.jpg例えば空自の固定式FPS-3は、遠方用と近空用の2つのレーダーアンテナで構成されており、1セットで100億円ぐらいの価格だったと思いますので、今回の4基で100億円となれば、かなり装備を絞り込んだものとなると思います。もちろん技術進歩により、30年前の設計思想を安価に最新技術で再現し、性能や信頼性を向上させ、価格低下が可能になっているとも思いますが

警戒管制レーダーは、専守防衛の日本では重視され、信頼性や耐久性に高い要求がなされているとも言われていますので、世界一般のレベルにそのあたりをそろえれば、価格が下がるのかもしれません

この種の警戒管制レーダーは、約450㎞程度の監視範囲を持ちます。地球が丸く、電波が直進するので、遠方になれば高度の高い物体しか探知できませんが、フィリピンのルソン島沿岸部に設置すれば、南シナ海の1/3~1/2ぐらいを探知範囲に入れることが可能になります

TPSP-14 2.jpg「Horizon 2」プロジェクトでは、2022年からレーダー提供開始(expected to be delivered to the Philippines starting 2022)となっているようで、工事開始が2022年なのか、1基目が2022年から稼働するのか細部は不明ですが、工事の無事進捗を願いたいと思います。特にジャングルを切り開いての工事が予想され、中国から支援を受けたフィリピン国内分子の嫌がらせなども想定されるます。武運長久を祈らずにはおれません

なお今回の契約成立の背景には、2017年に成立した自衛隊不用装備品の無償譲渡等を可能とする自衛隊法上の規定により、陸自UH-1ヘリの部品や海上自衛隊のTC-90練習機5機を、フィリピンに無償譲渡した両国間のつながりと維持整備に関する信頼感もあったものと推測いたします
「日本が譲渡のヘリ部品でフィリピンUH-1が復活へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-13 

防衛省の公式発表(お知らせ)
フィリピンへの警戒管制レーダーの移転について
→ https://www.mod.go.jp/j/press/news/2020/08/28a.pdf

最近のフィリピン関連記事
「日本が譲渡のヘリ部品でフィリピンUH-1が復活へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-13
「比大統領は特攻隊の慰霊碑を自費で建立していた」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-11-2
「露とアジアの関係を2点から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-23
「東南アジア3か国が共同警戒へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-18
「比が米軍に南シナ海共同警戒中止を通告!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08

東アジア戦略概観2020のwebページ
http://www.nids.mod.go.jp/publication/east-asian/j2020.html

同概観紹介記事https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-21

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

米国唯一の大型稼働砕氷艦が火災で運行不能 [Joint・統合参謀本部]

「Healy」が火災で、「Polar Star」は南極準備で修理中
北極圏に派遣可能な砕氷艦ゼロの惨状

Healy.jpg8月25日付Military.comは、同18日に北極圏に向け出港したばかりの中型砕氷艦「Healy」で同日火災が発生し、推進モーターや回転を伝えるシャフトが損傷して北極への進出が不可能になり、シアトルに修理のため向かっていると報じました

北極海の氷減少に伴い、中国までもが北極圏での活動を強化するため大型砕氷艦2隻体制に昨年増強し、ロシアが原子力推進6隻を含む10隻程度の外洋航行砕氷船(合計では50隻との統計も)を、プーチンの大号令の下、20隻体制に増強を進める一方で、米国は建造から40年以上経過した老朽の大型砕氷船「Polar Star」と、艦齢20歳の中型の科学調査用砕氷船「Healy」しか保有がない状況にありました

それが今回の「Healy」推進機関付近での火災により、艦齢40歳を超えて維持&修理に時間が掛かり、年間6か月間の稼働が精いっぱいのなさけない状態の「Polar Star」のみが、米国の保有する極圏で使用可能な砕氷艦となりました

Polar-Security-Cutter.jpgさすがのトランプ政権も特に北極圏の覇権争い激化を懸念し、2029年完成を目指した「砕氷艦3隻体制」構築に向け予算措置を始め、計画の増強を視野に入れた見直しも大統領が指示しているところですが、新体制完成はまだまだ先の話であり、今後10年間は米国の北極(南極も)プレゼンスは期待できない見通しです

ちなみに、老朽砕氷艦「Polar Star」は今秋まで予定の修理終了後、米国観測隊支援のため南極へ向かう事になっており火災の「Healy」を埋め合わせる砕氷艦はありません

8月25日付Military.com記事によれば
8月18日にアラスカのSewardを出港した「Healy」全長約130mは、同日午後9時30分に2つある推進機関の一つが火災に見舞われた。幸い火災は26分間で鎮火でき負傷者もなかったが、左側の推進モーターとモーター回転をスクリューに伝えるシャフトを破損し、砕氷艦として運行できなくなったと沿岸警備隊の報道官は説明した
Healy2.jpg艦齢20歳の「Healy」は火災当時、米本土から60マイル沖合を航行していたが、乗り組んでいた海軍科学者や沿岸警備隊の訓練を受けたクルーなど28名と共に、10月まで予定していた北極圏での活動をキャンセルしてシアトルに向かった

沿岸警備隊の太平洋エリア司令官Linda Fagan中将は、「火災を早期に鎮火させたクルーの働きを多とするが、同砕氷艦が修理を終えるまで、国家の極地安全保障活動を支える砕氷艦能力が著しく限定されることとなった」と苦しいコメントを発表している

Polar Star.jpgこの「Healy」の火災は、7月に発生したF-35搭載改修終了まじかの強襲揚陸艦Bonhomme Richardの大火災、小規模ながらその後に強襲揚陸艦Kearsargeと建造中の空母John F. Kennedyで連続発生した米海軍艦艇火災に続くものとして、海洋安全保障関係者に衝撃を与えている
砕氷艦態勢立て直しのために「3隻体制」を目指しての取り組みは、1隻目が現在設計段階で、2021年初頭に建造が始まり2024年進水の予定である。2隻目はトランプ政権として約600億円を2021年度予算案に計上しているが、上院が審議中で予断を許さない状況にある
////////////////////////////////////////////////

「傷口に塩」を擦り込むような話が連続して発生しているのが米海軍と沿岸警備隊です

もともと「Healy」は中型の科学調査用砕氷船ですから、米国のプレゼンスと言っても限定的な力しかありませんが、それでも情けない話です・・・

「Healy」火災の被害がどの程度で、修理にどれくらいの期間が必要なのか記事は触れていませんが、軽ければ早々にメディアに情報が出るはずですので、相当の被害だと考えてよいでしょう。18日の火災ですから・・・

中国の砕氷艦について(海自幹部学校)
→ https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-122.html 

北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13

北極圏:米国防省と米軍の動き
「大統領が米砕氷艦計画の再評価指示」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-15
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

同艦艇の再使用困難か 完成直前の虎の子F-35B搭載可能艦艇喪失は大打撃
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15

応援お願いします:ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

GAO指摘:米空母と潜水艦修理の75%が遅延 [Joint・統合参謀本部]

最近3000億円以上をかけ改善を企図も悪化の一途
最近5年間51隻の統計で平均145日遅延の惨状

shipyard4.jpg21日付NavyTimesは、同週に米会計検査院GAOが発表した米海軍艦艇修理に関するレポートを取り上げ、2015年から2019年の間の米海軍艦艇と潜水艦の定期修理遅延が、最近3000億円以上を改善対策に投入しているにもかかわらず悪化しており、米海軍が2018年にまとめた改善計画も初期段階の状況把握の進捗さえ半分程度だと酷評している模様です

米海軍の艦艇や潜水艦修理は、「Portsmouth:Virginia州」、「Kittery:Maine州」、「Honolulu:Hawaii州」、「Bremerton:Washington州」の4か所で行われていますが、任務量が減らない中で艦艇数が減る中、アセットに負担がかかって要修理・補修箇所が増える中、修理予算や人材確保難などの要因も重なり、全く改善の見通しが立たない状況です

米海軍は、数年前から艦艇の衝突事故、海外での艦艇受け入れ業者関連の汚職事案、コロナ集団発生事案、強襲揚陸艦の大火災、加えて新型空母と戦略原潜の価格高騰などなど、「何をやってもダメな米海軍」の揶揄される状態にありますが、さらに追い打ちをかける厳しい状況が明らかになりました

21日付NavyTimes記事はGAO報告書を引用しつつ
shipyard3.jpg艦艇や潜水艦修理施設(shipyard)のパフォーマンス改善のため、米海軍は近年約3300億円を投入しているが、GAOが17日の週に発表した報告書は「修理施設の慢性的で改善傾向の見えない修理作業の遅延により、空母や潜水艦の即応体制を引き続き悪化させている」と厳しく指摘している
2015年から19年の間に行われた空母と潜水艦51隻の修理作業は、全体で7425日遅延し、平均で1隻あたり145日の遅れとなっており、空母だけで見れば平均113日、潜水艦は平均225日の遅延を記録する深刻さで、修理の遅れは他の修理の遅延を招き、これが玉突き的に運用ローテーション計画や新装備の搭載試験や改修計画を雪だるま的に混乱させている

この遅延の大きな要因には、修理施設の技術レベル低下、重要作業を担当する熟練作業員不足にあり、加えて計画修理終了後に発覚する不具合や計画外作業への対処が挙げられている
材不足問題に対し米海軍は、追加手当支給による「残業増」で遅延を取り返そうとしてきたが、GAOは、4つの修理施設すべてで労働時間増はすでに限界に達しており、一部の部門では過重労働により生産性が低下する事態にまで陥っていると指摘している

shipyard2.jpg米海軍は2018年、「Shipyard Performance to Plan initiative」をまとめて本格的に対処を始めたはずだが、遅延の状況や原因を把握するために準備するとしていた25の「指標」のうちの13個の指標が未着手であるなど、入り口段階でこの「initiative」の遂行に問題ありとGAOは指摘している
また「initiative」は、「段階的目標や最終目標、その時程を示しておらず、遅延改善を把握するモニタリング方法についても不明確にしている」とGAOは指摘している

特に潜水艦は、修理が遅れると「安全運航の証明期間」が切れ「使用不能」状態に陥るが、2015年以降、潜水艦の証明期間切れ「使用不能」期間が年々増加しており、米海軍幹部はこの期間が少なくとも今後2年間は増加し続けると認めるだけでなく、コロナの影響で更に伸びると見積もっている状況だとGAOは指摘している
shipyard5.jpgGAOは米海軍に対し、修理作業員不足対策としてこれ以上の「残業増」を避け、人材確保や計画外トラブル発生防止対策などの遅延改善に向けた目標設定、具体的実施事項を明確にするアクションプランや時程の設定、改善状況を把握する「指標」の整備を進めるよう勧告している
/////////////////////////////////////////////////////////

この問題は、本ブログでも5年前から取り上げていますが、全く改善傾向がみられません

艦艇等修理施設を取り巻く大きな環境から生じる構造的問題となっており、程度の差こそあれ、米空軍の航空機修理も同様の傾向にあります

過去記事の「軍需産業レポート」もご覧いただき、米軍のアセット維持が様々な変化から難しくなっている様子をご確認ください。西側全体が同じ傾向とも言えます・・・

艦艇修理の大問題
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
「空母確保困難でMQ-25給油機3年遅れか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-11

「軍需産業レポート2019」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

米空軍:女性登用増に航空機設計基準変更へ [米空軍]

旧設計のF-15は女性の9%しか受け付けない大きさで設計
対象人口の95%に適応する新設計基準作り命じる
人口で4倍の中国に人的戦力の質で対応するため!?

female pilot.jpg19日付米空軍協会web記事は、米空軍航空機や搭乗員操作機器が50年以上前の男性操縦者の身体データを基に設計され、有能な女性の登用を妨げているとして、男女を合わせた対象人口の95%を受け入れ可能な操縦席などの機体設計基準制定に向け、Will Roper米空軍調達担当次官補等を中心に着手したと報じています

また、今後の新型機の設計基準見直しと並行して現在女性の門戸を狭めている各機体の身体基準が適切かを見直し、また女性登用拡大のための改修が可能かコストはどれくらいかを、軍需産業とも協議を米空軍が始めていると紹介しています

Will Roper氏は、単に米空軍の操縦者が不足しているだけでなく、中国との人口差が10年後には4倍に拡大することを踏まえ、有能な人材を根拠なき古い基準で門前払いしていては、中国に対抗できないとの主張まで展開して施策を推進しているようで

19日付米空軍協会web記事によれば
female p.jpg6日にDefense Newsのインタビューに答えたRoper氏は、8月4日付で、今後の米空軍の航空機操縦席や操作装置設計において、対象人口の95%が操作可能になるような大きさの設計基準で考えるよう指示し、女性や有色人種の人材を活用できるよう取り組んでいくと語った
例えば1967年の男性パイロットの身体データを基準に設計されたF-15戦闘機は、女性人口の9%しか適合できない大きさで操縦席が設計されており、今後もこの基準で装備品を設計すれば、高度な装備品を扱う人材の確保段階で劣勢に置かれるとの危機感をRoper氏は訴えた

4日付の指示により、米空軍Lifecycle Management Centerが対象人口の95%を包含するような人間工学的なデータをまとめ、新たな設計基準作りを行うことになった
4日付の指示はまた、新たな基準がまとまるまでは、「疾病管理センター:Centers for Disease Control」から入手した8つの身体特性データを基に、より広範な人口を許容できる仮基準で運用で定め、コックピット、搭乗員の操作卓や搭乗員の装具を設計するよう命じてい

今そこにある壁
Ruttenber.jpg女性搭乗員拡大を推進する「Women’s Initiative Team」のリーダーを務めるJessica Ruttenber中佐(KC-135操縦者)は、女性の1/3を身体基準で門前払いしているC-130やC-17輸送機の問題を訴えつつ、その後継機が現基準を維持すれば今後30年以上問題が続くと訴えている
また、F-35や開発途上にあるT-7練習機は女性の95%が操縦者になりえる大きさで操縦席が設計されているが、F-35操縦者コースに進む前段階で通過しなければいけないT-38練習機は、41%の女性しか適合できない大きさで設計されており「隠れた壁」となっていると訴えた

female pilot 2.jpgRuttenber中佐自身も身長が1-2㎝不足してパイロットコースから排除されかけたが、例外規定の適応を勝ち取るため、複数の輸送機基地を訪問して彼女の身長でも操縦可能であることを証明した経験しており、各機種ごとの現行身体基準の適切性を再確認する必要があると主張している
Roper次官補はまた、新たに導入される4世代機F-15EXが、F-15やF-15Eと同様の設計基準で計画され、女性の9%しか受け付けない方向にあることを問題視し、軍需産業界と交渉を始め、他の運用中の空軍航空機についても身体基準緩和に必要な改修可能性や費用について、ロッキード、ボーイング、グラマン幹部と協議を開始していると語り、産業界の反応は「前向き」だと述べている

今後の設計基準を新たに定めることと、コストのかかる既存航空機の改修は別問題だとRoper氏は述べつつ、いざとなれば牙をむいて予算獲得に動きたいと意欲を見せている
/////////////////////////////////////////////////

F-15EX 3.jpg米軍入隊志願者の減少やパイロット希望者の減少など、公表されていない様々な統計数値がここまでの危機感を生んでいるのだと思います。新たな設計基準値がいつ頃まとまるのか不明ですが

海上自衛隊が2000名増員するそうですが、人材募集で最も苦労していると言われる海上自衛隊が、本当に使える人材を2000名増やせるのでしょうか?。陸空自衛隊との人の奪い合いはどのような様相を呈するのか?

今の時代、就職先としての自衛隊はお勧めできる職場だと思います。前線も後方もなくなる時代ですから・・・・。皆様の周辺の若者にも、自衛隊をご推薦いただければ幸いです

米空軍パイロット不足関連
「ヘリ操縦者養成から固定翼削除試行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-06
「米空軍がパイロット募集の身長基準を廃止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-23
「Fly-only管理の募集中止」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-15
「5年連続養成目標数を未達成」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-19
「採用の身長基準を緩和」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-18
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

トランプ大統領:UAEはF-35を欲している [安全保障全般]

イスラエルとの国交樹立を契機に長年の要望を
UAEはイスラエルのイラン核施設攻撃に備え
ポンペイオ国務長官の中東歴訪を見る視点として

Israel UAE.jpg20日付Military.comは、19日にトランプ大統領が「(イスラエルと国交を樹立する)UAEがF-35を欲しがっている。この申し出を検討している」と記者団に述べたことを受け、イスラエルとUAEの国交樹立という世界を驚かせたニュースの一つの到達点としての、「米国からUAEへの最新武器提供」の可能性や取り巻く情勢について紹介しています

種々報道されている通り、両国の国交樹立はイランの脅威に対応するためのものと考えられていますが、最新兵器の中東諸国への提供となると「イスラエル軍事力の質的優位:qualitative military edge」の確保との中東における軍事バランスの大原則に米国としてメスを入れることになることから、イスラエルの反応と共に注目されるところです

F-35 Gilmore.jpgスラエルもUAEも、国交樹立とイランの脅威は関係ないとの公式見解ですが、イスラエルのネタニアフ首相が連立政権を組む政党トップ(元軍参謀総長で今の国防相)にも直前までUAEとの国交の件を秘密にしていたこともあり、様々な憶測と反発がイスラエル国内にもあるようで、米大統領選挙の結果の影響も含め、中東情勢を占う動きが注目されている様子をご紹介します

20日付Military.com記事によれば
トランプ大統領がUAEからのF-35購入要請について発言したことにイスラエル首相は公式に反発しており、同首相が繰り返しUAEとの国交と武器取引の関連性を否定しているにもかかわらず、イスラエル国内には疑心暗鬼の雰囲気が漂っている
なぜなら同首相が最近、エジプトがドイツ製最新潜水艦導入することに対し、イスラエル国内関係者に相談なく同意していたことで非難を浴びていたり、国交の件を連立を組む政党トップで現国防相であるBenny Gantz元イスラエル軍参謀総長にも国交の件を直前まで伝えていなかったと明らかになったからである

Israel UAE2.jpg1948年の独立以来、周辺を敵対的なアラブ諸国に囲まれたイスラエルは、「少しでも軍事的な隙を見せれば、長期的な国家の崩壊につながる」との危機感の元、米国の支援を得て最新の軍事兵器で「qualitative military edge」を維持してきた経緯があり、米国がF-35をUAEに提供することになれば、「隙」を生む可能性があるとイスラエルの安保関係者は懸念している
ただ、米国からの武器輸出は、様々な事前交渉や米議会の承認が必要なことから、かねてからUAEが希望しているMQ-9無人機の輸出でも複数年が必要で、更に捜査員や整備員の教育を含めると、すぐに実現できるものではない

MQ-9 3.jpg一方のUAE側は、16か月間継続して国内のAl-Dhafra基地に米空軍F-35を受け入れ続け、その能力を目の当たりにしていると思われるところ、UAE外相が20日に「UAE-Israel国交樹立合意は、結果的に安全保障と国防の側面を含むことになろう」、「国交樹立で(6年越しで希望している)F-35導入は容易になるだろう」と意味深な発言をしている
また実質的にUAEの国政を仕切っているSheikh Mohammed bin Zayed Al Nahyan皇太子は以前から、イランの核開発が続けばイスラエルが核施設を先制攻撃することになり、その場合イランはUAEも反撃対象に含めるので中東全域の戦争に発展すると警告している

Israel UAE3.jpgまたウィキリークスが漏洩させた外交文書によれば、同皇太子は2009年に米国との交渉で「UAEは我々がやるべきことをやる。イランがミサイルを撃ち込んできたらUAEは反撃し、イランを抹殺する」とまで発言している
この発言は、イスラエルがF-35の初号機を米国から受領した際、ネタニアフ首相がF-35の前で述べた言葉そっくりであり、米国によるUAEのF-35購入要請への対応が注目されている
////////////////////////////////////////////////////

米国の仲介により進められた今回の「UAE-Israel国交交渉」が、どのような内容を含むものなのか、今後の関連報道やリーク、展開に注目したいと思います

トルコが購入予定だった100機のF-35をどこかに売りたいのでしょうが、そう単純な話ではありません。しかし世界は激動です・・・

中東とF-35
「中東第2のF-35購入国はUAEか?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-11-05
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17

米国の武器輸出管理の緩和問題
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「違法?サウジに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

独駐留米軍削減でドイツのNATO核任務に影響は? [安全保障全般]

独Spangdahlem基地から伊へのF-16移転や
英から独への給油機やオスプレイ移転中止は
有事の戦力分散及び増強基地確保の点で評価されているが

Spangdahlem AFB.jpeg13日付Defense-Newsは、7月29日にエスパー国防長官が明らかにしたドイツ駐留米軍1.2万人削減・移転計画の概要に関し、F-16航空団の伊移転や英国から独への航空戦力移転中止は、有事に独Spangdahlem基地を戦力分散及び増強基地として使用できる点で評価できるとの専門家意見を紹介しつつも、

約20発ともいわれるドイツ国内保管のNATO用戦術核兵器と、その管理部隊(第52 Munitions Maintenance Group)の扱いは、ドイツ世論が核任務からの離脱を望む傾向があることから、より大きな米独関係やNATO問題に発展する可能性があると指摘し、ドイツ空軍の同戦術核運搬用トーネード戦闘爆撃機の後継選定にも影響を与えると今後の注目点を指摘しています

ドイツはNATO加盟国として、米国が提供する戦術核爆弾B-61を自国航空機で投下する任務(伊、蘭、ベルギー、トルコと共に)を担っており、現在はトーネード戦闘爆撃機がこの任務を担っていますが、老朽化から2025年までに後継機導入計画をまとめる必要があり、独は93機のユーロファイターと、45機のFA-18とEA-18Gの3機種を混合して後継機とする方向で検討中で、この場合FA-18が戦術核搭載機の「跡継ぎ役」だとの報道が出たりしている中での動きです

13日付Defense-News記事によれば
Spangdahlem AFB2.jpeg●F-16部隊の移転細部計画は今後国内外の様々な利害関係者との調整を経て煮詰められる予定で、欧州米空軍は細部未定としながらも、7月末の会見でエスパー国防長官はF-16部隊のイタリアへの移転について、黒海地域に近いところに移転することで、NATOの南東正面での「dynamic force employments」やローテーション派遣をより実行しやすくなると説明していた
8月6日に退役したGoldfein前空軍参謀総長は退任直前のインタビューで、自身がSpangdahlemの飛行部隊長及び基地司令官として2002年から勤務した経験も踏まえ、「F-16飛行部隊が移転した後には、豊富な燃料貯蔵、広大な駐機スペース、航空機整備施設が残ることから、RamsteinもSpangdahlemも将来的に極めて重要な施設であり、必要不可欠だ」と語っている

Spangdahlem AFB3.jpeg元欧州米空軍司令官のFrank Gorenc氏も、余剰施設が残るSpangdahlem基地の可能性に触れ、中国やロシアを相手に考える場合、航空アセットや人員を分散して生き残りを考える必要があるが、NATO東側面の防御に、同基地の広大なスペースや施設は極めて重要な役割を果たすだろうと述べ、「米本土からの増強戦力投入が基本構想だが、増強戦力を受け入れるインフラや場所が必要だ」、「米国や西側諸国からの戦力増強を防ごうとするプーチンに平手打ちを与えるべく受け皿が必要」とドイツ基地の重要性を説明している
更に、2019年にSpangdahlemを拠点に実施されたF-15E展開演習を振り返り、「所属するF-16部隊と米本土から展開したF-15E部隊を同時に活動させることができた余裕がある」、「同基地には多くの投資をしてきた」、「当時F-15E部隊はテントや仮設施設で2週間演習に参加したが、F-16部隊が移転した後は飛来戦力を余裕で受け入れ可能となる」とも元司令官は語っている

戦術核兵器B61の扱いに注目が集まる
Büchel Air Base.jpeg話題のSpangdahlem基地から約50分ほどの距離に、約20発の戦術核兵器B61を保管するBüchel空軍基地があり、核兵器を管理する米空軍第52弾薬維持管理群の第702弾薬支援隊が所在している
ドイツはNATOの「nuclear sharing」ドクトリンの対象国(伊、蘭、ベルギー、トルコと共に)で、トーネード戦闘爆撃機(電子戦も担う)が必要時この基地から戦術核を搭載して出撃する計画となっている

しかし、CSISのRachel Ellehuus研究員は国防省で欧州NATO・政策を2018年まで担当した経験も踏まえ、米空軍F-16航空団が移転することで、独との共同訓練や意思疎通の機会が減り、米独の政治関係が緊迫する中で、ドイツ国民に不人気な「nuclear sharing」からドイツが撤退する可能性も否定できないと懸念している
Büchel Air Base2.jpeg同研究員は、「F-16部隊の移動が、独の核任務離脱に直結するわけではないが、核任務反対派に油を注ぐことにはつながり、世論の米国への信頼感にも影響し、トーネード後継選定における複雑さを増す可能性は十分にある」と分析している

///////////////////////////////////////////////////////

イスラエルとUAEの国交樹立へ、との大きなニュースが入ってきましたが、米国の主要同盟関係が怪しい状態は当面続きそうです

Goldfein前空軍参謀総長も元欧州米空軍司令官のFrank Gorenc氏も、Spangdahlem基地からのF-16航空団移転にどれほど前向きかは不明ですが、それが決定事項であるなら、その中で最善を尽くすことを考えようとの軍人らしいコメントです

日本が猛暑とコロナで「脳死」状態にある中でも、世界は動いていますので、ちまちまと考えていきましょう

ドイツ駐留米軍削減の関連
「国防長官が1.2万名削減計画を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14 

ドイツと戦闘機関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

戦術核兵器とF-35等
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

米国のB-21次期爆撃機と極超音速兵器の開発状況 [Joint・統合参謀本部]

共に2021年に開発試験が山を迎える最重要装備です
B-21次期爆撃機と極超音速兵器(Hypersonic weapon)です

B-21 3.jpg余り明るい話題のない米国防省ですが、8月の夏休み前に、極めて重要な新装備開発である「B-21ステルス爆撃機」と中露に後れを取る「極超音速兵器(Hypersonic weapon)」に関する、期待を持たせる開発状況ニュースが入っていましたので、休み明けの憂鬱な皆様に提供させていただきます

次期爆撃機B-21は、F-35やKC-46Aと並ぶ3大重要事業と呼ばれ、2020年代半ばに運用開始予定、強固な防空網を突破可能な性能(ステルス等)、1機約600億円($550million)以下、80-100機製造、無人機もあり得る(正式にはoptionaly manned)、既存成熟技術を活用して開発リスクを避ける等々の方針で進められていますが、2018年12月に「重要設計審査:critical design review」を終了したとの発表がありましたが、細部については公開されていません

B-21 bomber.jpg2019年7月、開発を担当するNorthrop Grummanのフロリダ州の工場を視察した後、米空軍副参謀総長Stephen Wilson大将が講演で、初飛行は「863日後だ」(2021年12月3日)と語り開発の順調さをアピールし、2019年秋に格納庫らしき場所で撮影された写真1枚が公開されましたが、その後は再び秘密の闇に入っています

そんな中、13日付Defense-News記事によれば
米空軍RCO(緊急能力開発室:Rapid Capabilities Office)トップのRandall Walden氏は、コロナの影響を受けてはいるが、「全ての困難で重要な設計段階や、難しい製造問題は全て解決済みの過去の話となっている。現在は実際に機体を製造し、飛行試験に進むことに集中している」と計画の進捗に自信を示した
LRS-B NG.jpg同室長はコロナでいくつかのサプライヤーが影響を受け、例えば機体を担当する「Spirit AeroSystems社」は、ボーイングのB-737MAX製造中止を受け会社全体が危機に直面しているが、旅客機部門の人材をB-21に配置転換して全力対処しており、試験機の製造を進めていると説明した

8月3日、同室長はエスパー国防長官と共にB-21試験機が製造されている加州PalmdaleのNorthrop Grumman工場を訪問したが、国防長官は計画の進捗に大変満足していたと訪問を振り返った
同室長はまた、既にB-21搭載予定システムの一部を他の航空機に搭載して飛行特性やソフトの確認を開始していると説明したが、昨年7月に空軍副参謀総長が初飛行予定が2021年12月と述べたことに関しては、最も早い初飛行の可能性日程だと慎重に語って

//////////////////////////////////////////////////////////

極超音速兵器(Hypersonic weapon)は、当初開発に取り組んだ2011-12年頃に予算不足もあり研究が頓挫した経緯があり、軍需産業側の態勢や運用部隊の整備などが遅れていました

hypersonic5.jpg中国やロシアが既に部隊配備を完了と主張していることから米議会や専門家から早期装備化要求が厳しく、米国防省として最優先事業として実用化を急ぎ、国防省が3軍でばらばらだった開発計画をまとめ、3軍が共通使用するボディー部分「C-HGB:Common-Hypersonic Glide Body」(弾頭、誘導システム、ボディー内配線、熱防護シールドで構成)の開発を全力で進めました

その結果2020年3月には、2017年10月に続く「C-HGB」の2回目の飛翔試験がカウアイ島で実施され、超超音速飛行で予定通り着弾して成功したと伝えられています。この成功を受け3軍はそれぞれに、地上・艦艇・航空用ランチャーや関連システム開発を進めており、それぞれ陸2023年、海2023年、空2022年配備を目指して開発が行われているところです

米陸軍の状況:5日付Defense-News記事によれば
Hypersonic3.jpg5日、米陸軍で極超音速兵器やエネルギー兵器等の迅速開発配備を担当するNeil Thurgood中将は、2023年部隊配備との野心的な計画を実現すべく、米海軍と協力し2021年には年間3回の「C-HGB」発射飛翔試験を計画しているとDefense-Newsに語った
同中将は「年3回の試験計画は非常に野心的なものであるが、中国やロシアの動向を見るに、我々は積極的に動かざるを得ない」と述べ、2023年に「Block I version」を配備するために全ての試験に明確な目的があり、飛翔距離、スピード、誘導正確性などを設定していると説明した

この野心的な試験ペースを成立させるため、国防省ミサイル防衛庁を含めた複数の他機関から応援を得て複数の試験チームを設け準備を並行して行わせている、と同中将は説明している
一方で本開発の資金面について同中将は、国防省がすべての資金を出してくれるわけではなく、開発リスクを局限するように見積もりつつ、陸軍の資源を有効活用できるよう、一つの試験で並行していくつかの課題に挑戦することになると説明した

米空軍の状況:10日付Defense-News記事によれば
Hypersonic2.jpg8日、米空軍がロッキードと開発を進めている極超音速兵器ARRW(AGM-183A Air-launched Rapid Response Weapon)に関し、最後の「captive-carry試験」を実施し、テレメトリーやGPS信号を地上に送信することに成功したと、米空軍第412試験飛行団が発表した
ARRWの「captive」弾はB-52爆撃機に搭載され、B-52とARRWの融合適合も併せて確認され、今年後半に予定されている最初の「Booster Test Flight」に向けた一つのヤマを越えた、と試験担当幹部は語っている

昨年6月、ARRWは同じくB-52に搭載され、空気抵抗や飛翔時の振動に関するデータを収集しており、8月5日の試験と合わせ、今年後半の初の空中発射試験に向けてチーム全体の士気が高まっていると関係幹部はコメントしている
////////////////////////////////////////////////////////////

Hypersonic4.jpg米国防省全体としてネガティブなニュースが多い中、数少ない「順調」を伺わせる話題ですのでまとめてご紹介しました。共に計画通りなら、2021年末には初飛行や複数の発射試験の結果が出ているはずです。期待いたしましょう

ただし、B-21開発に関してRCO室長のWalden氏が、「試験飛行を行って初めて明らかになる問題点が、新型機には必ず存在するから、我々はそれを乗り越えなくてはならない」と述べているように、まだまだこれからが開発の山場です

極超音速兵器(Hypersonic weapon)に関しても、3軍共通のボディー部分「C-HGB」の飛翔試験が、2年半ぶりに3月に実施され、一度成功しただけですから、まだまだ道は長いと考えるべきでしょう。

B-21爆撃機の関連記事
「2021年12月3日初飛行予告」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-29
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2 
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27

「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「B-1の稼働機一桁の惨状」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春のBomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

米軍の極超音速兵器開発
「ボディー試験に成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-22
「空軍開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-16
「攻防両面で超超音速兵器話題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-09-08-1
「防御手段無し」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-03-21-1
「宇宙センサー整備が急務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31

中露の極超音速兵器
「ロシア第3の超超音速兵器3M22 Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1

予算不足で中断した頃の過去記事
「PGSに少し光り??」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「パネッタ長官はPGSに期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51Aは初期実験段階」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

米国防省「新たな統合作戦コンセプト」を年末までに [米国防省高官]

エスパー長官肝いりで年末までに
前線と後方の線引きをなくすが合言葉

Hyten New Concept.jpeg14日付Defense-Newsが、米国防省がエスパー国防長官の肝いりで年末完成マストで精力的に取り組む「新たな統合作戦コンセプト:a new joint war-fighting concept」作成について取り上げ、将来の予算編成にも直結するコンセプトについて、John Hyten統合参謀副議長とVictorino Mercado戦略計画担当次官補の言葉を紹介しています

Hyten副議長が「私が軍人として経験した全てと相反するコンセプト」、「前線と後方の区別をなくす」と語れば、Mercado次官補は「過去4軍を束ねるような作戦コンセプトは一度も存在しなかった」、「(策定中の統合コンセプトは)各コマンドの見積もりを束ね今後の投資を形作るもの」と述べるなど、米軍の装備や作戦運用を予算制約がある中でも大きく変革しようとの意気込みを感じさせてくれます

Hyten New Concept2.jpegただ、完成したコンセプトを公にするかについては、広く変化を知らしめることのメリットと、中国やロシア等に知られることのデメリットの釣り合いをよく考えて今後検討されるだろうと述べるにとどまっており、想像をたくましくするしかないような気配もしますが、「同盟国」も巻き込むような話しぶりもありますので、日本で最近話題の「敵地攻撃(策源地攻撃)」との関係も邪推しながらご紹介します

14日付Defense-News記事によれば
12日、ハドソン研究所での講演でJohn Hyten統合参謀副議長は「新たな統合作戦コンセプト」について、「私が軍人キャリアで行ってきた全てと全く異なる方向性のコンセプトで、一番大きな違いは、従来存在した前線と後方を区別するような境界線がなくなることだ」と表現し、数10年続いてきた伝統的な考え方を捨て去ることを要求する考え方だと述べた
Hyten.jpg従来のコンセプトについて副議長は、「ここまでが作戦エリアで、前線ラインがここで、陸軍がここで、空軍はここで作戦すると区分して考えてきた」、「ラインを引いて地域を分割して全ての作戦を計画してきた」と説明した

しかし新コンセプトについて同大将は、今後の強固に防御され地域においては「地域を区分してきたラインが消え去る」と表現し、今後作戦に参加する全ての部隊は、統一された指揮統制を受けつつ、自ら自身を防御しつつ、同時に敵奥地を遠方攻撃(deep-strike)でき、敵をくぎ付けにする必要があるとし、「海軍部隊も、空軍部隊も、海兵隊部隊もだ」と述べた
に副議長は、同盟国もそうであるべきと述べ、多国籍編成は同盟国等も一体となって融合して行動できることで可能となるとし、このためには開発中の統合全ドメイン指揮統制能力の獲得が必要になるとも説明した

Mercado.jpegHyten副議長の講演に先立ち、13日にVictorino Mercado戦略計画担当次官補は記者団に対し、「これまで米軍は各軍種が別々のコンセプトを持って戦っていたようなもので、4軍が一体となって戦うようなことは一度もなかった」とまで表現し、新たな作戦コンセプトが画期的なものであることを強調した
そして同次官補は新作戦コンセプトについて、我々の将来投資のいくつかを直接司り、各コマンドのレビューや米海軍の艦艇建造計画等も結び付けることになると述べ、指揮統制も、兵站要領も、ある程度共通のものを新コンセプトで規定し、ギャップを埋めるものだとし、今存在すればよかったのに・・・ともつぶやいた

同副議長も同次官補も、エスパー長官が設定した年末までの新コンセプト完成に自信を見せたが、国防省が完成した新コンセプトの詳細を公開するかに関する質問に対して同次官補は、「新コンセプトを広く共有すべきとの観点はあるが、作戦上の秘密として扱うべきとの観点も踏まえ、慎重に発言すべきと考える」と対応した
/////////////////////////////////////////////////////////

9 月末までにまとめる米軍部隊の世界的再編検討と並行して、年末までの「新たな統合作戦コンセプト:a new joint war-fighting concept」検討が進められてきたものと推測します

Hyten2.jpgた、同盟国にも「自身を守りつつ、敵奥地を遠方攻撃(deep-strike)」を求める方向の影響を受け、最近日本でも「敵地攻撃(策源地攻撃)」という議論が突然吹きあがってきたと邪推いたします

米大統領が、米政権が、変わっても方向性は変わらないのか気になりますが、エスパー長官の決意は固いようです。

米国防省が実施中の「世界的な米軍再編」検討の一環で、ドイツ駐留米軍削減が発表され、在韓米軍削減検討も進む
「ドイツ駐留米軍削減が発表」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-30
「在韓米軍削減検討も進む」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(0)  コメント(0) 

8企業がAI空中戦でF-16パイロットに挑む [米国防省高官]

速報「AlphaDogfight Trials」
人間操縦者とAI操縦者によるバーチャル空中戦対決の結果

F-16想定のシミュレーター対決(Gun攻撃のみ)
AI側は8企業チームの総合評価で最強の「Heron Systems社」
人間はWeapon School卒業直後の州空軍操縦者「Banger」2千時間以上の経験
5回「Basic fighter maneuver」シナリオで対決
5-0でAI側の圧勝で終了!

対決後の人間操縦者コメント「米空軍が通常の訓練で安全上から設けている、敵側との高度差500フィートやGun攻撃時のAOA(angle of attack)制限にAI側はとらわれていなかった。最初の対決でこの点に気づき、2回目以降は私もより攻撃的に行動し、生存時間を徐々に伸ばすことができた。AI操縦者は判断が人間よりも格段に早く、その差も出たように感じた」と述べている

詳しくは20日付米空軍協会やC4ISRnet記事をご覧ください
https://www.airforcemag.com/artificial-intelligence-easily-beats-human-fighter-pilot-in-darpa-trial/
https://www.c4isrnet.com/artificial-intelligence/2020/08/21/ai-algorithm-defeats-human-fighter-pilot-in-simulated-dogfight/

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

実際には8企業の勝者のみがF-16パイロットに挑戦
8月18-20日にバーチャル環境で

AlphaDogfight.jpeg米国防省最上位の研究機関であるDARPAが3年計画(2023年春頃まで)で進めている、人工知能AIを作戦機に搭載して空中戦に活用し、人間操縦者をより大局的な判断やAI搭載無人機の「指揮統制」に従事させようとするACEプロジェクト(Air Combat Evolution)の一環として、先進AIが人間操縦者とバーチャル空間で空中戦対決を試みる「AlphaDogfight Trials」を、8月18-20日の間に開催するとDARPAが発表しました

当初は、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」との米空軍技術展示商談会で決勝戦を披露する予定だったようですが、コロナの影響で上記期間にオンライン開催されることになったようです

AlphaDogfight2.jpeg「AlphaDogfight Trials」ついては後程ご説明するとして、2019年5月に発表されたDARPAのACEプロジェクトについて復習しておくと・・・・
--- 空中戦を中心とした航空作戦全般にAIを導入し、操縦者負担を軽減して他の大局的な判断に集中させることを狙いとし、更に有人機と無人機の連携を、様々なシナリオ下で可能にする技術開発にも重点を置く
--- 空中戦シナリオを、異機種、多数機、作戦レベルの多様なシナリオへ広げ、これらの過程で、人工知能による自動化への人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする
--- 目指すところは、一人の操縦者が複数の自律的に行動可能なAI無人機を従え、より大きな作戦を遂行可能なミッションシステム指揮官となることを可能にすること

--- ACEは以下の4つの技術分野があり、複数の企業が担当
---- 第1に、空中戦アルゴリズムを構築
---- 第2に、操縦者と無人機の間の信頼感構築と信頼度測定
---- 第3に、第1,2、4分野の進捗具合を把握し規模を拡大
---- 第4に、実際の有人機と無人機での融合(integrate)でデモ飛行 

AlphaDogfight3.jpegDARPAのACEプロジェクトのほかにも、米空軍研究所AFRLが既存の戦闘機にAIを搭載し、2021年に人間が操縦する戦闘機と空中戦を行うプロジェクトを進めており、プロジェクトの成果については「多数進行中の他のAI活用システム」に融合・統合されて利用されることになっているようです

いずれのプロジェクトも、「人間操縦者をAIにサポートさせたら素晴らしい」とか、米空軍が優先推進する「Skyborg:無人ウイングマン構想」に生かすとか、空中だけでなく地上の維持整備にもAIを生かすなど、人間の領域を冒さないよう表現して「戦闘機族」を刺激しない、AI科学者たちの「心遣い」が感じられる今日この頃です

そんな「心遣い」と「やさしさ」に包まれた、「AlphaDogfight Trials」(囲碁のAlpha碁をまねた?)の計画をご紹介いたします

7日付C4isrnet記事によれば
F-16 RefuelAFG.jpg●7日、DARPAが発表した「AlphaDogfight Trials」計画によれば、8月18-20日の間に昨年選ばれた8つの企業のAIチームがバーチャル空間で優劣を競い、優勝AIチームが決勝戦で人間のパイロットとバーチャル空間で空中戦対決を行うことになる
昨年選ばれた8社は、Aurora Flight Sciences, EpiSys Science, Georgia Tech Research Institute, Heron Systems, Lockheed Martin, Perspecta Labs, PhysicsAI and SoarTechの8社であるが、昨年の企業選定から1年余りの期間で、AI空中戦に関して目覚ましい進歩を遂げているとDARPAは説明してい

まず「AlphaDogfight Trials」の第1ラウンドでは、Johns Hopkins 大学応用物理研究室が開発した5種類のAIシステムと8チームが個別に戦い各企業の出来栄えを基礎評価し、第2ラウンドでは8チームが総当たり戦で優劣を決める
第3ラウンドは、総当たり戦の上位4チームがトーナメント方式で戦い、勝者が決勝戦で人間操縦のF-16と戦うことになる

F-16.jpg当初の計画では、7月末にラスベガスで開催された「AFWERX」で決勝戦を披露する予定だったが、この計画では近傍に所在するネリス空軍基地の「Air Force Weapons School」から操縦者を招いて対決してもらう計画だったが、8月20日の決勝戦で誰が人間側の操縦をするかは不明
DARPAは「AlphaDogfight Trials」のオンライン観戦が可能だとし、米空軍のみならず、海軍海兵隊戦闘機操縦者や、米軍指導者やAI研究者の観戦登録を呼びかけている
////////////////////////////////////////////////////

米軍以外の人間が観戦できるのか不明ですが、夏休み明けには刺激的なイベントになりそうです

DARPAが掲げる本プロジェクトの目的には、「人工知能AIに対する人間の信頼感を高めることを大きな狙いとする」と掲げられており、「人間の壁」が大きいことが感じられます

AlphaDogfight4.jpegAIへの人間の信頼感が向上していかない大きな理由の一つに、なぜAIが「なぜ」その結論に至ったかの「思考過程」を説明してくれない(できない・解析できない)点にある、とよく言われます。ビジネスや医療の分野にも進出が進むAIですが、そのあたりの突破にも期待したいところです

無人機空中戦の検討プロジェクト
「無人機含む空中戦を支えるAI開発本格化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-19
「米空軍研究所AFRLは2021年に実機で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-05

米空軍の計画
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

豪州とボーイングの取り組み
「試験初号機を披露」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-05-1
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2

無人ウイングマンの位置づけ
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「戦闘機族ボスがNGADを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

コロナのワクチン優先接種対象を如何に決定するか [ふと考えること]

米国の「Operation Warp Speed」責任者が語る
議論百出不可避な難問に挑む姿勢を語る
まず大方針は「政治的な関与を排除する」

COVID-19 vaccine2.jpeg6日、トランプ大統領からコロナワクチン完成時のワクチン配分や接種要領、接種優先順位を司る「Operation Warp Speed」責任者に任命されているMoncef Slaoui博士が、検討状況について語り、「Operation Warp Speed」の重要事項を決定する第3者的な科学的会議体(independent scientific summit)の立ち上げに取り組んでいる段階で、まだ具体的な決定は行っていないと述べつつ、原則的な考え方を披露しました

「Operation Warp Speed」はSlaoui博士をトップにし、ロジの専門家である米陸軍マテリアルコマンド司令官のGus Perna大将をCOO(業務執行責任者)に据える体制で5月にスタートしていますが、Slaoui博士はロンドンに本社を置く世界有数の規模を持つグローバル製薬企業「GlaxoSmithKline」の前トップだった人物だそうです

日本でも「コロナワクチンを1.2億回分確保した」との政府発表があったりしますが、3か月から半年程度継続する効力を得るには2回程度以上の接種が必要とも言われており、「誰を優先し、どのように接種を進めるか」は議論百出不可避な難問であり、「総論賛成、各論反対」の課題に直面する前に、今から考えておくご参考にご紹介します

10日付Military.com記事によれば
Slaoui.jpegシンクタンクAEIからの音声配信でSlaoui博士は、まだ「Operation Warp Speed」の初期段階にあると説明し、一部で政府関係者が語ったと報道されている、軍人や高齢者や特定グループが優先接種を受けるとの情報を否定した

ただ同博士は、国立衛生研究所のFrancis Collins所長等と議論を続けてきたことを紹介しつつ、「このきわめて重要で緊要な(接種優先順位の)問題について、現時点で明確に私が言えるのは、この問題が政治的な意図を基に決定されてはならないという点である」と述べた
そして同博士は「米国の学際的な英知を集めた会議体で、疫学的、倫理的、生物学的な面から、如何に国民にベストなワクチン提供を行うかを議論する」、「ワクチン配分に関する、科学的で第三者的な知見の創出と提供に尽力する」と説明した

COVID-19 vaccine.jpeg更に同博士は、「2021年の2月末までに、米国のリスク国民に免疫を提供できる十分な量のFDA認可ワクチンが入手できることを願っている」、「事実とデータがすべてであり、いつワクチンが完成して入手できるか、10月かもしれないし、11月か12月になるかもしれない」
そして「これが現時点での答えである。また私個人としては、私が不適切だと考えることを強制されたなら、私は直ちに辞任するつもりでいる」とも言及した

6月に匿名の政府関係者は、「連邦政府機関として我々は、弱い立場の人、ワクチンが必要でも金銭的に手が届かない人でも接種が受けられるようにすることが役割であり、社会インフラにとって不可欠な人、国防に従事する人にもワクチンを提供することが我々の義務だと感じている」とメディアに発言していた
COOのGus Perna大将は任命された5月に、例えば数百万回分のワクチンを2021年年初までに梱包し、輸送し、配分する業務は膨大な労力を要する任務であるが、「不可能ではない。米国民と海外の同盟国に貢献したい」と語っていた
/////////////////////////////////////////////////////////

COVID-19 2.jpeg医療従事者への優先接種に異論はないでしょうが、重要な社会インフラ関係者や国防関係者の範囲は難しい線引きでしょうし、高齢者や持病を持つ人(特に不摂生が原因の病の場合)に優先接種するくらいなら、次の社会を担う子供や若者を優先してほしいと考える意見は少数派ではないはずです

日本経済の原動力となる「働き手」の一群をどのように扱うかも難しいでしょう。職種や業種で区別することは容易ではありませんし、失業者や引きこもり人材、フリーランスの扱いもメディアが騒ぎそうな題材ですし、外国勢力も社会の分断を狙って介入するでしょう

補助金の配分と同じで、マイナンバーの普及が進まない日本では、対象者の特性別把握が難しく、時間がかかる可能も懸念されます。つまらない評論家やタレントの意見を垂れ流されるのにも「耐えられない」感をお持ちの方も多いでしょうし・・・

「コロナで安全保障環境は激変する」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-25 

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(1) 

次の国防長官有力候補が国防政策を語る [安全保障全般]

バイデンが勝利したらの話です
オバマ政権で国防省No3だったFlournoy女史が

Flournoy.jpeg6日、バイデン政権が誕生したら国防長官候補のNo1と言われる元政策担当国防次官のMichèle Flournoy女史が講演で、中国やロシアに対抗すべく取るべき国防政策について国防費の伸びが期待できない中、既存の伝統的戦力の数量や投資を削減してでも新たな必要分野への投資を行うべきと語り、また議会との関係改善が欠かせないと主張しました

Michèle Flournoy女史は、ゲーツ国防長官とパネッタ国防長官時の2009年から2012年の間に国防省No3の政策担当次官を務め、同次官に就任する前はシンクタンクCNAS共同創設者としてCNASの研究を仕切っていた人物です

Flournoy3.jpeg国防次官就任前にも、1990年代後半から2000年にかけて政策担当次官補代理等として、QDRの作成や拡散防止政策、またロシアやウクライナ政策を担当していた経験もあり、実務面でも人脈面でも国防長官にふさわしい人物で、1960年12月生まれの59歳との若さも激務の国防長官にはうってつけで

このように経験豊富な人物ですので、その主張は突飛さではなく重さを感じさせるもので、ゲーツ元国防長官から「外交面で正しい判断をすることが少ない」と揶揄されるバイデン氏を支えるには必要な人材と言えましょう

10日付Defense-News記事によれば
オンラインで開催されたAspen Security Forumに登場したFlournoy女史は、中国やロシアに対する信頼できる抑止力を維持するために、伝統的な戦力を犠牲にしてでも、「game-changing」な技術に投資すべきであると主張した
Flournoy2.jpeg「我々の抑止力が失われたわけではないが、日々損なわれている」と危機感を示し、「必要な能力に投資する必要がある」と訴え、「一つは前線投入までに10年は必要な(長期的)投資で、もう一つは今後5年間の対処に備えるもので、既存の装備を従来とは異なる方向で使用するための投資だ」と説明した

また、これら投資に必要な予算を確保するため、大統領選挙でどの候補が勝利しても近未来に国防予算の伸びが期待できない中では、「伝統的な戦力:legacy forces」を削減する「厳しい選択・決断」をして予算を浮かせる必要があると訴えた
そして資金が確保できたなら、米軍をより脅威に適合した、残存性の高く、効率的で、より抑止に効果的なものにする方向に投資する必要があると語った

具体的な投資方向として2つを上げ、まず、中国が追求する陸海空宇宙サイバー空間での攻撃下でも生き残れるような通信ネットワークや指揮統制システムのための「network of networks」が必要だと主張した
Flournoy4.jpegそして2つ目に、有人システムを増強するための無人システムへの投資増を訴え、「米国の行動を妨げる極めて厳しい脅威圏リングを中国が構築しており、これに対処するため人間が管制する無人システムで有人戦力を増強する必要がある。それも従来手法から劇的に進歩した、ISRと兵器等が一体となったより良い抑止効果を生む新たな関係を構築する方向で」と説明した

また同女史は、行政面での要改善事項として、米議会との意思疎通を改善して「案件の停滞・渋滞:logjam」を避け、立法府との信頼に基づく関係を取り戻す必要性を強く主張した
国防省が限られた予算内でのトレードオフを決意し、事業のスクラップ&ビルドを議会に提案しても、議会への説明や意思疎通がうまくいかずにとん挫しているケースがいくつもある」と指摘し、「議会の主要メンバーをウォーゲームやシミュレーション演習に招き、なぜ国防省提案が必要なのかを理解してもらう必要がある」とFlournoy女史は説明した
////////////////////////////////////////////////////////////////

Haris.jpegバイデン候補が副大統領候補として、黒人女性でアジアの血も流れるカマラ・ハリス上院議員(55)を指名したとのニュースが飛び込んできました

選挙は「水物」で結果が出るまで分かりませんが、現在はハーバードの「Belfer Center for Science and International Affairs」で上級研究員を務めるFlournoy女史に注目しておきましょう

フロノイ元国防次官関連
「米議会で中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「強制削減下の国防」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-06-18-1
「ヘーゲル長官の後任を打診されたが」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-11-25
「国防次官候補者の発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-25
「フロノイ次官の退任」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-13
「フロノイのアジア政策授業」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

米空軍が本格的5世代機と4世代機の融合試験 [米空軍]

F-35A, F-22, F-15E, B-2, RQ-170, EA-18Gの豪華メンバーで
敵防空網制圧を最新電子戦装置も活用して検証

RQ-170 3.jpeg6日付米空軍協会web記事は、米空軍の最新戦術研究開発部隊である第53試験評価群が、8月4~6日にかけてネリス空軍基地周辺の試験演習場で、敵防空網への侵入や制圧戦法を検証するため、上記のステルス機や攻撃機や電子戦機を組み合わせた大規模な検証演習を行ったと紹介しています

この検証演習では、中国やロシアの強固な防空網を想定し、これまで米空軍内の兵器戦術検討会議で練られてきた机上の作戦運用法を、実際の場で実機を使用して検証することが試みられ、最新のF-35やF-22と第4世代機の連携や、最新の電子戦装備やソフトを組み合わせた新たな運用法などが検証された模様です

もちろん秘密中の秘密の部分ですので細部は公開されていませんが、(イランが撃墜したと機体破片を公開したことがあるのみで細部は謎の)RQ-170無人ステルス偵察機まで登場する演習ですので、ご紹介しておきます

6日付米空軍協会web記事によれば
F-22Hawaii.jpg米空軍の最新鋭で謎に包まれた航空機たちが集結し、机上で議論が重ねられてきた敵防空網を突破して制圧する戦術の検証演習が行われ、最新鋭機とひと世代前のアセットの協力体制などの確認が実施された
集められたのは、ますます高度化する敵防空網との戦いで先頭に立つべきF-35A, F-22, F-15E, B-2, RQ-170に加えて米海軍のEA-18Gで、全米各地の戦術検討部隊から呼び寄せられた

細部は公表されていないが第53航空団のリリースにによれば、例えば、米空軍はF-35が敵防空網を制圧し、RQ-170無人ステルス偵察機やB-2ステルス爆撃機をよりリスク低く敵防空圏に侵入させる戦法を検証したり、F-35とF-22が第4世代機のF-15Eなどとチームを編成し、如何に最新の電子戦機材も組み合わせて効果的に威力を発揮するかを検証した模様である
EA-18G-Aust.jpgそこでは、これまでB-2が採用してきた侵入作戦・戦法を、最新ステルス戦闘機がどのようにサポートできるかや、敵防空網制圧に際し、4世代機と5世代機がどのような情報交換をしつつ多様な電子戦技法を組み合わせて効率的に能力発揮するか等の検証が試みられたようである

第53航空団の担当幹部は「このような検証演習を通じ、最先端の脅威環境における我がアセットの統合戦力発揮能力を改善していきたい」と語っている
/////////////////////////////////////////////

8月6日、米空軍は新たな黒人参謀総長Charles Brown大将を迎えましたが、前職の太平洋軍司令官として中国沿岸地域の強固な防空網を知り尽くした知見で、このような試みを発展させていただきたいものです

RQ-170 2.jpegステルス機と我々が考えているRQ-170無人ステルス偵察機やB-2ステルス爆撃機も、最新鋭機であるF-35やF-22の支援を受ける必要があるのが「敵の最新防空網」だということです

もう空中戦場面は、制空を巡る戦いでは想定しにくいと思います

EW関連の記事
「国防省EW責任者が辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-19
「ACC司令官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-19
「米空軍がサイバーとISRとEwを統合」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「電子戦検討の状況は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-13
「エスコート方を早期導入へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27

「米空軍電子戦を荒野から」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1
「ステルス機VS電子戦攻撃機」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

イランとRQ-170
「イランがRQ-170コピー版を初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-11-13-1
「ハメネイ氏がコピー無人機視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-13
「RQ-170をイランが捕獲し公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28-1

世代間や機種間リンクの記事
「世代間リンクにNG社が名乗り」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-08-24
「Red-FlagでF-22リンク問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02
「世代間リンクに対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10
「世代間リンクが鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1

8月6日に空軍参謀総長就任のBrown大将が語る
「米空軍は海兵隊と同じ方向を目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「人種問題を経験から語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-06-1

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

米国防省:中国製部品排除に時間的猶予を [米国防省高官]

8月13日からの規制第2弾を9月末まで延期
軍需産業界は法執行の1年程度延期を要望

Section 889.jpeg14日付Defense-Newsは、米国が2018年国防権限法(NDAA)第889項で定めた、今年8月13日が期限の「特定中国企業5社の製品を使っている企業は米国政府との取引を禁止」との条項に関しその執行を9月末まで延期すると国防省に伝えたと報じました

2018年の国防権限法(NDAA)第889項(Section 889 of the 2019 National Defense Authorization Act)は、中国への情報や技術流出を防止するために、中国への警戒感を強めている米議会が超党派の賛成で可決してトランプ大統領が2018年8月13日に署名して成立している法律で、排除される「特定中国企業5社」は、通信機器大手「ファーウェイ」や「ZTE」、監視カメラメーカー「ハイクビジョン」や「ダーファテクノロジー」、無線通信「ハイテラ」の5社です

Section 889 2.jpeg2018年の国防権限法(NDAA)第889項は2段階で上記企業製品の排除を求めており、2019年8月に「第1弾」として上記5社からの「製品やサービスの政府(直接)調達」を禁じ、今年8月13日からは「第2弾」として、「中国5社の製品などを使う一般企業からの政府調達」を禁じています

しかし上記5社の製品はすでに広く米国企業が使用しており、多くの階層下請け企業から構成される軍需産業界を考えるとき、Lord調達担当次官が議会で「例えば第7次下請け企業が、(国防省契約と関連のない仕事で)駐車場の監視カメラに特定5社のカメラを使っていた場合までを調べ、その下請け企業をサプライヤーにしている主要軍需産業との関係を無効にするような法規制の遂行には猶予が必要だ」と訴えたように、実効性の点で問題があるようです

14日付Defense-News記事によれば
Ratcliffe.jpegDefense Newsが入手した政府内の「memo」によれば、米国防省は政府機関全体からファーウェイ製等の製品や部品を排除する法律の執行に関し、時間的猶予を与えられた模様である
本来であれば今年8月13日から効力を発する2018年国防権限法(NDAA)第889項の「中国企業5社からの製品やサービスの政府調達禁止」について、9月30日まで猶予された模様である

国家情報長官DNIであるJohn Ratcliffe氏から、Lord調達担当次官あてに出されたmemoは、「米軍が戦争を抑止し、米国の安全保障を守る米国防省の任務遂行のためのサービスや物品の調達が、2018年国防権限法(NDAA)第889項の遂行と同等に、国家安全保障の利害に直結するものだと理解する」と述べ、
Lord次官に対し、同法律執行に関する現実のリスクとリスク緩和対策、調達禁止製品に関する代替品調達の計画状況について情報提供するようにmemoは求めている

Lord2.jpg第889項の規定により、国防省関係機関には、自ら関連中国企業の製品を使用していないと証明できない企業とは契約変更や締結ができない状況で困惑が広がっていたところ、この「執行猶予」は一時的な安らぎにはなろう
しかしそれ以前に、コロナ対応の軍需産業支援「追加」策が政党間の争いに巻き込まれてとん挫している中、国防省や軍需産業関係者からは、「まずコロナ対策に集中すべきだ」、「現実的に迅速な実行不可能(far-reaching)なルール強制には、1年程度の猶予期間が必要だ」との声が各所から上がっている
//////////////////////////////////////////////////

これが米国軍需産業の現実だということでしょう少なくとも2年前には米議会で可決され、トランプ大統領が署名していた法律ですから、色々努力もなされてきたのでしょうが、世界のサプライチェーンから中国製部品を排除することが如何に困難なことかを改めて示しています

最近も同様の中国企業排除の大統領指示が次々に出ていますが、実行に移すには相当な労力が必要だということです。ただ中国の姿勢を考えるとき、中国製品排除は必要なことでしょうから、皆で協力して取り組むことが必要だということでしょう

今回の国防省への「執行猶予」で気を緩めることなく、日本企業にも中国製品排除に取り組んでいただきたいものです

偽部品関連の記事
「米国防省の兵站&調達次官が改革」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-29-1
「偽部品識別にDNAを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-24
「上院による偽部品レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-23-1
「米国製兵器は偽物だらけ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-29
「中国製にせ部品との戦い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

米国の武器輸出管理の緩和問題
「Lord次官:半年以内に武器輸出制限を緩和したい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

豪州で話題:日本戦前の南洋諸島進出を学び中国を警戒 [安全保障全般]

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
//////////////////////////////////////////////////////////////////////

近代史を勉強しないとだめですねぇ・・・

庄司潤一郎.jpg3月末に防衛研究所の庄司潤一郎(研究幹事)が「日本の南進と南洋興発-中国の太平洋進出への示唆」との本文6ページの論考を「NIDSコメンタリー」として発表し、太平洋戦争準備のため、日本軍が南洋諸島で民間企業を正面に据えて拠点建設等にあたった歴史を振り返り、現在の中国が南太平洋の島嶼国家にアプローチする様子を見る資として提供しています

ここでの南洋諸島とは、マリアナ諸島(サイパン、テニアンなど)、カロリン諸島(パラオ、ポナペ、トラックなど)、マーシャル諸島(クエゼリン、ルオットなど)を指します

南洋諸島2.jpg第一次大戦後、米国との決戦に備え、「現状維持」を定めたワシントン海軍軍縮条約の制約の下で、欧米から「軍事作戦の準備をしている」とたびたび警戒されながら、拠点整備の前面に立った「南洋興発(南洋興発株式会社:松江春治社長)」の活動を通じ、1941年12月の開戦直後の日本軍の快進撃を支えた拠点づくりを振り返りたいと思います

同論考の最後に筆者が触れているように、今日の中国の大きな経済力を考えれば、南太平洋の島々への影響を排除することは不可能であり、戦前日本の状況との単純な比較は難しいですが、現在、豪州の専門家の間で「ナンヨーコーハツ」(南洋興発)が関心を呼んでいるということなので、近代史に弱い日本人として、外国との議論で恥をかかないように、南洋興発を取り巻く歴史を学んでおきましょう

「日本の南進と南洋興発-中国の太平洋進出への示唆」によれば
1914年6月第一次世界大戦の勃発とともに、日本はドイツに対して宣戦を布告、日本海軍の南遣支隊は、1914年 10 月中旬までにドイツ領の南洋群島を占領、守備隊(司令部:トラック)が置かれ、軍政が敷かれた

1920年12月、日本は国際連盟から、軍事基地建設禁止を条件として南洋群島の委任統治を任された。1922 年4月に日本は軍隊を撤退させ、新たに南洋庁をパラオに設置、民政に移管
南洋諸島3.jpg1922年のワシントン海軍軍縮条約で日本は、主力艦艇建造量の制約を受け入れる代わりに、米国にも南洋諸島での軍事施設の「現状維持」を約束させることを選択

1923年、「帝国国防方針」を定め、米国との戦いを予期して、南洋諸島で前哨戦を、小笠原諸島で決戦を挑む方向での準備を進めることとした
1930年から、民間企業である「南洋興発」を前面に立て、農業や漁業のための施設建設や開拓を理由に、有事に軍事転用可能な施設の準備するため、基礎測量などを軍の協力も得て開始

1933年3月に国際連盟脱退を通告。1934年にワシントン海軍軍縮条約の破棄も通告し、2年後の1936年に同条約の縛りがなくなると、1937年の日中戦争開始や1939年のWW2開始を受け、本格的な軍事拠点(港湾、飛行場、水上離着陸場など)の建設に入る
この頃、南洋興発の松江春治社長と、米海軍の嶋田軍令部次長、山本五十六海軍次官、永野修身聯合艦隊司令長官、米内光政や野村吉三郎(のちの駐米大使)などなどが、たびたび意見交換したり、現地訪問したりしており、同社長の実行力と構想は、軍側幹部を魅了していたと伝えれれている。実際、オランダの会社と合弁企業を設立して事業を進めるなど、国際情勢が日本に厳しい中でも同社長は辣腕を発揮した

工事が最盛期の1939年には約1万人が現場の作業に従事しており、軍はその秘匿に苦心していた模様である。そして1941年12月の開戦までに、陸上と水上機用の航空基地が南洋諸島で18か所完成
ただ、滑走路や燃料施設は完成したが、防御用火砲陣地やレーダー設備は不十分なまま開戦を迎えた。それでも南洋諸島の各拠点は緒戦での日本軍の迅速な南方制圧に大きく貢献し、フィリピン作戦の拠点としても重要な役割を果たした

南洋諸島4.jpgこの日本の戦前準備は、まず南洋諸島の地政学的戦略的緊要性や石油・天然ガスなど資源面での重要性を再認識させる。また、平時における民間企業を前面に据えた拠点構築の事例として興味深い。更に、列強ひしめく中、当時のポルトガル領チモールのような位置的に緊要だが脆弱な国が翻弄される様子は、中国と米豪の間で揺らめく現在の南洋諸島の立場と重なって見え
一方で、当時の日本と異なり、中国はすでに世界第2位の経済大国として南洋諸島に大きな影響力を持っており、中国の進出を食い止めることは不可能と考えられる。この観点から豪州な研究者からは、西側からの援助などで中国の影響力を南太平洋から排除するのは困難であり、「戦時に中国軍の基地を無力化する軍事力を構築する方がコストが低い」との主張がなされてい
/////////////////////////////////////////////////////////

ほとんど細部に触れることなく、歴史年表の抜き書きのような、概要の概要紹介になってしまいましたが、庄司理事の論考は豊富な資料を基に、南洋興発の活動を興味深く説明しており、なかなか目に触れることがないながら、今日的意味を持つ近代史の重要な1ページですので、ぜひ一度ご覧ください。6ページですから

同論考によれば、「最近でも、ソロモンの中央州政府が、中国の複合企業「中国森田」にツラギ島を 75 年間貸与する契約を結んだことが問題化し、米豪などの強い反発で「無効」とされた。ツラギ島は天然の良港があり、大東亜戦争中日本海軍の根拠地が置かれていた。その他、パプアニューギニアの北東部マヌス島での中国の支援による港湾拡張計画・幹線道路の建設やバヌアツにおける中国企業による埠頭や空港の建設などの動きが、中国による海軍基地建設として報じられている」らしいです

南洋諸島.jpgまんぐーすもそうですが、日本人の中で、南洋諸島とかつて呼ばれた島々の位置と名前を言える人が何人いるでしょうか・・・。グアムの海に「なまこ」が多いことぐらいしか知らない自身を振り返ると、先人の知恵と努力を前に、アジア太平洋を語る資格などないような気がしてきます。更に、今の若い人にとっては、一層遠くなってしまった島々です

防衛研究所の「NIDSコメンタリー」サイト
http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/comme_index.html

数少ない関連の記事
「対中国で米軍配置再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「アジア認識を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-07

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

B-2爆撃機がアジア中東アフリカに睨みを利かせる海外展開 [米空軍]

3機がDiego Garciaで中東とアジアの両面対応か
イランとの緊張でカタールへの爆撃機展開がない今

Diego Garcia.jpeg12日、3機のB-2ステルス爆撃機がインド洋に浮かぶ「Diego Garcia」島に展開しました

B-2爆撃機のアジア展開は、ハワイに展開した2019年1月以来1年半ぶりであり、大型爆撃機による「Continuous Bomber Presence」方式を修了し、「Dynamic Force Employments」方式へと切り替えた今年4月以降で初めての展開です

B-2Whiteman.jpg今回の展開に関しては太平洋空軍がプレスリリースを出しているようですが、「Diego Garcia」島は、今年1月にイラン革命防衛隊司令官の殺害を巡ってイランと米国の緊張が高まった際、カタールのアル・ウデイド基地に展開していたB-52爆撃機が再展開した拠点でもあり、アジア太平洋と中東の双方ににらみを利かせる役割を担っているものと邪推します

ついでに言えば、ロシアが反政府勢力への支援を強化している「リビア」への圧力の意味もあるのでは・・・と勝手に考えております

12日付米空軍協会web記事によれば
母基地であるモンタナ州Whiteman空軍基地から29時間フライトで飛来した3機のB-2爆撃機は、太平洋軍の立場からすると、グアム島にすでに展開していたB-1爆撃機と、アジア太平洋地域で合流したことになる
Diego Garcia2.jpeg3機のB-2展開部隊指揮官であるChristopher Conant中佐は太平洋空軍のプレスリリースで、「この緊要な場所に戻ってこられたことに興奮している。国家防衛戦略NDSを体現するため、地域の同盟国や米軍他軍種との関係を強化しつつ、われの戦闘能力を磨いていきたい」と発信している

B-2派遣部隊はDiego Garcia派遣期間中、パートナー国との訓練や南シナ海などでの「抑止任務」を行うことになる。ちなみに2019年の派遣B-2部隊は、27ソーティー計171時間の飛行で訓練等を行った実績を残している
(ただしDiego Garciaはアジア太平洋への拠点としてではなく、)今年1月にイランとの緊張が高まったことでカタールの基地から再移動してきたB-52部隊は、Diego Garciaからイラク、シリア、アフガニスタンでの作戦行動を行っていた

B-2takeoff.jpgちなみにグアム展開のB-1爆撃機は、8月7日、航空自衛隊の8機のF-2戦闘機や6機のF-15戦闘機、更に空母ロナルド・レーガン戦闘群との共同訓練を日本海で行ってい
///////////////////////////////////////////////////

中国による好き放題は相変わらずで、イラク・シリア・アフガンも落ち着く方向にはなく、レバノンは大爆発で混乱が加速し、リビアでもロシアが勢力拡大を図る中、コロナで米空母の回しが厳しいとなれば、大型爆撃機への期待は高まるばかりです

バイデン候補が副大統領候補に示したハリス女史は、軍事費に冷たく、票になりそうな退役軍人対策費アップに熱心だそうですが、日本が「お盆休み」期間のこのタイミングでも、世界を俯瞰して命ぜられた任務を淡々と遂行する米軍前線部隊の皆さんに敬意を表したいと思います

グアムCBP関連の記事
「CBPからDFEへの変化を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-30
「16年続いた大型爆撃機のグアム駐留CBP終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-19
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04

中東でも
「18年継続の爆撃機中東派遣終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-30-1
「対イランに中東へB-52短期派遣」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-08

欧州にも
「アイスランドにB-2」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-30

ロシアがリビアで
「ロシアがリビアにSAM等増強」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-28
「ロシアがリビアにMig-29」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-27

爆撃機ロードマップ
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春のBomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 

韓国が早期警戒管制機とSIGINT機を追加購入へ [安全保障全般]

8月16日までは夏休みで更新なしです。不定期更新はあるかも

恐らくE-737追加購入
SIGINT機は再び国産システム搭載方向

E-737.jpg6月29日付Defense-Newsは、26日に韓国国防調達庁DAPAが、機種機数非公開ながら早期警戒管制機とSIGINT機の購入を韓国政府内で決定したと発表したと報じました

韓国は現在、2012年から運用している早期警戒管制機E-737を4機と、SIGINT機としては、2000年頃から運用のHawker 800 business jets改良機4機と、2017年導入の2機のDassault Falcon 2000改良機を使用しています

今回のDAPAの発表には金額の発表しかなく、機種は不明ですが、記事は早期警戒管制機はE-737を追加で購入することに間違いなく、SIGINT機は4機の旧式Hawker 800改良機の後継機だと説明しています

韓国のことですから、今後もどんでん返しがあるかもしれませんが、どちらを向いて国防強化に当たっているのか良くわからない国ですので、ご紹介しておきます

29日付Defense-News記事によれば
E-737 2.jpgDAPA発表によれば、韓国政府内の「Defense Project Promotion Committee」は、機種機数非公開ながら、2027年までに運用開始する早期警戒管制機購入費として約1400億円を、また2026年までに運用開始するSIGINT機調達費として約800億円を承認した

DAPAは機種機数を公開していないが、早期警戒管制機については、韓国が2012年から4機運用している「Peace Eye 737」と呼ばれる、B-737旅客機を改修して、「Northrop Grumman Multi-Role Electronically Scanned Array (MESA radar)」を搭載した機種になることはほぼ間違いない

Hawker 800 Korea.jpgSIGINT機については、2017年導入の2機のDassault Falcon 2000改良機とともに運用する事を想定し、国産のSIGINTシステムを搭載する機体を導入する方向である
新型SIGINT機が後継機となる4機の旧式 Hawker 800改良機は、1996年に機体を購入し、当時の韓国産プロジェクトSIGINT装置の搭載改修を経て2000年代初頭に部隊配備された機体で、画像偵察装置と合成開口レーダーを搭載した4機のHawker 800XPとともに、北との境界線付近を中心に活動してきた
////////////////////////////////////////////////////

SIGINT Korea.jpg29日付Defense-Newsは、米国が求めるアジア諸国のISR能力向上の流れに沿ったものだとの表現で記事にしていますし、その視点でも間違いではないでしょうが、2-3機購入して南への監視を強化するプランもありそうな気がします

日本に対してのみ強気の韓国政権ですが、経済の方は極めて厳しい見通しが各所から出ています。F-35購入と共に、その行く末を生暖かく見守りたいと思います

韓国は「対北」を越えた軍備増強中
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-03

在韓米軍関連の記事
「基地勤務の韓国人5千名レイオフ開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-01
「在韓米軍司令部が70㎞南へ移動」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08
「韓国の米軍再編は順調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-27
「在韓米軍は兵士に不人気?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02

KF-X関連の記事
「KF-Xは欧州のミサイル搭載?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30-1
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31

韓国とF-35関連記事
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国がF-35に最終決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1
「急転直下:F-35を選定か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-19

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0)