米空軍は次世代制空機検討を急がない(急げない?) [米空軍]
5年ごとに機種変更や予算確保に四苦八苦など、様々な発言が相次ぐ中
11月18日付Defense-Newsは、米空軍の戦略計画部長David Nahom中将がベルリンで開催されたイベントで、次世代の制空については様々なオプションが検討されているが、今後の技術的ブレークスルーを見極めつつ、AIやクライドやソフト開発の動向も踏まえて「急がずに検討する」と語りました
次世代制空(NGAD:Next Generation Air Dominance)を担う戦闘機については、「第6世代機とは呼ばない」とか、「family of system」で考えるとか、「PCA:penetraiting counter air」と呼ぶとか、「2017年が検討の山だ」とか、様々に数年前から騒がれましたが、
今年9月頃からは、戦闘コマンド司令官が「夏の議会閉会中に、NGAD関連の予算の重要性を議会スタッフに説明に回ったが、理解を得るのは容易ではない」とか、Will Roper調達担当次官補が「1機種を選定して長期間製造を続けるのではなく、複数の機種と契約を結んで継続的な改良で競わせ、5年ごとに時流に合ったものに変更する」といった案に言及するなど、迷走というか、お金がないから打ち出せないのか、奥歯にものが挟まった表現が空軍幹部から続いていたところです
ご紹介する戦略計画部長の発言も、F-35も生産が始まったばかりだし、F-22はまだ若い機体だし、先を急がずじっくり考える・・・といった内容ではっきりしませんが、空軍参謀総長がスクラップ&ビルドで予算をねん出して統合レベルの「連接性」や「ネットワーク化」強化に注力すると先日発言していましたので、そちらを優先するのかもしれません。
良くわかりませんが、発言の雰囲気をご紹介します
18日付Defense-News記事によれば
●ベルリンで開催された「International Fighter Conference」で戦略計画部長David Nahom中将は、次世代制空機のデザインが落ち着くまでには、F-35の教訓を整理したり、新興技術を把握したりする必要もあり時間が必要だと語った
●また、幾つかのオプションも提示されているが、いずれもコンセプト段階であり、米空軍の5世代戦闘機であるF-35は生産が始まったばかりで、F-22もまだ若いことから、米空軍の前線は当分にぎやかだろうから、「米空軍は急いでいない」とも表現した
●手短に言えば、米空軍はいくつかのオプションを可能な限り長く残しておきたいと考えており、次世代機1機種だけに大きな役割を背負わせるのではなく、多様なソフトとハード、データクラウド、AIや連接性を駆使してを組み合わせた形を模索しているようだ
●Nahom中将も「一つのプラットフォームに固執したくない」、「(従来とは)大きく異なるアプローチをとっている」と表現している
●種々の検討を進める中で「第6世代機」との言葉は米空軍内で使用されなくなり、どんな技術革新が起こるかわからないことから「何が第6世代機の特徴なのか、私にはわからない」と同中将は質問に答えた
●米空軍は将来の航空宇宙戦の基礎となる情報やデータの整理・分析・共有の枠組みつくりに取り組んでおり、このために次期予算要求では「デジタルの背骨」形成のため大きな投資を予定していると、同中将は現状を説明した (この投資が落ち着くまで、NGADは急げないとの意味か?)
●そんな中でも同部長は、「ステルス性は重要だ。しかしスピード(迅速な開発投入)もまた重要だ」と述べ、理論的方向性が固まった場合には、これまでの戦闘機や装備品よりもはるかに素早く迅速に形にして前線に投入できることを重視すると説明した
●この発言は、Will Roper調達担当次官補が10月に語った、「5年以内に開発完了」、「産業界が可能と考える新型機を、一定のサイクル・頻度を定めて投入する必要があると考えている。間違っているかもしれないが5年間隔ぐらいと考えている」とのコンセプトと同じ流れである
●欧州でも独仏が中心に進めるFCASと、英国主導のTEMPEST計画が次世代戦闘機として進行中だが、両方ともデータクラウドやAIを活用して革新的な兵器を目指している
●同中将は米空軍の検討と欧州計画の相違について、欧州は強固に防御された空域が分散して存在するイメージで構想しているようだが、米国は全ての作戦空域が強固に防御され、突破力を必要とする前提で考えている、と表現した
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まんぐーすは、米空軍は種々の検討を経て、次世代制空NGADの中核事業は、「次期予算要求では「デジタルの背骨」形成のため大きな投資」の山の後に回されたのではないか・・・と勝手に想像しています。
まぁ・・・予算強制削減の縛りがなくなったり、F-35の調達機数を大幅削減するとの決定がない限り、当面は「無い袖は振れない状態」が続くのでは・・・と思います。
もしこの邪推が正しいとするならば、Goldfein空軍参謀総長は良く判断したと思います。大したものです。戦闘機ではなく統合の「連接性」や「ネットワーク」を重視したのですから・・・
迷走?米空軍の次世代制空NGAD検討
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28
欧州の戦闘機関連話題
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
11月18日付Defense-Newsは、米空軍の戦略計画部長David Nahom中将がベルリンで開催されたイベントで、次世代の制空については様々なオプションが検討されているが、今後の技術的ブレークスルーを見極めつつ、AIやクライドやソフト開発の動向も踏まえて「急がずに検討する」と語りました
次世代制空(NGAD:Next Generation Air Dominance)を担う戦闘機については、「第6世代機とは呼ばない」とか、「family of system」で考えるとか、「PCA:penetraiting counter air」と呼ぶとか、「2017年が検討の山だ」とか、様々に数年前から騒がれましたが、
今年9月頃からは、戦闘コマンド司令官が「夏の議会閉会中に、NGAD関連の予算の重要性を議会スタッフに説明に回ったが、理解を得るのは容易ではない」とか、Will Roper調達担当次官補が「1機種を選定して長期間製造を続けるのではなく、複数の機種と契約を結んで継続的な改良で競わせ、5年ごとに時流に合ったものに変更する」といった案に言及するなど、迷走というか、お金がないから打ち出せないのか、奥歯にものが挟まった表現が空軍幹部から続いていたところです
ご紹介する戦略計画部長の発言も、F-35も生産が始まったばかりだし、F-22はまだ若い機体だし、先を急がずじっくり考える・・・といった内容ではっきりしませんが、空軍参謀総長がスクラップ&ビルドで予算をねん出して統合レベルの「連接性」や「ネットワーク化」強化に注力すると先日発言していましたので、そちらを優先するのかもしれません。
良くわかりませんが、発言の雰囲気をご紹介します
18日付Defense-News記事によれば
●ベルリンで開催された「International Fighter Conference」で戦略計画部長David Nahom中将は、次世代制空機のデザインが落ち着くまでには、F-35の教訓を整理したり、新興技術を把握したりする必要もあり時間が必要だと語った
●また、幾つかのオプションも提示されているが、いずれもコンセプト段階であり、米空軍の5世代戦闘機であるF-35は生産が始まったばかりで、F-22もまだ若いことから、米空軍の前線は当分にぎやかだろうから、「米空軍は急いでいない」とも表現した
●手短に言えば、米空軍はいくつかのオプションを可能な限り長く残しておきたいと考えており、次世代機1機種だけに大きな役割を背負わせるのではなく、多様なソフトとハード、データクラウド、AIや連接性を駆使してを組み合わせた形を模索しているようだ
●Nahom中将も「一つのプラットフォームに固執したくない」、「(従来とは)大きく異なるアプローチをとっている」と表現している
●種々の検討を進める中で「第6世代機」との言葉は米空軍内で使用されなくなり、どんな技術革新が起こるかわからないことから「何が第6世代機の特徴なのか、私にはわからない」と同中将は質問に答えた
●米空軍は将来の航空宇宙戦の基礎となる情報やデータの整理・分析・共有の枠組みつくりに取り組んでおり、このために次期予算要求では「デジタルの背骨」形成のため大きな投資を予定していると、同中将は現状を説明した (この投資が落ち着くまで、NGADは急げないとの意味か?)
●そんな中でも同部長は、「ステルス性は重要だ。しかしスピード(迅速な開発投入)もまた重要だ」と述べ、理論的方向性が固まった場合には、これまでの戦闘機や装備品よりもはるかに素早く迅速に形にして前線に投入できることを重視すると説明した
●この発言は、Will Roper調達担当次官補が10月に語った、「5年以内に開発完了」、「産業界が可能と考える新型機を、一定のサイクル・頻度を定めて投入する必要があると考えている。間違っているかもしれないが5年間隔ぐらいと考えている」とのコンセプトと同じ流れである
●欧州でも独仏が中心に進めるFCASと、英国主導のTEMPEST計画が次世代戦闘機として進行中だが、両方ともデータクラウドやAIを活用して革新的な兵器を目指している
●同中将は米空軍の検討と欧州計画の相違について、欧州は強固に防御された空域が分散して存在するイメージで構想しているようだが、米国は全ての作戦空域が強固に防御され、突破力を必要とする前提で考えている、と表現した
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まんぐーすは、米空軍は種々の検討を経て、次世代制空NGADの中核事業は、「次期予算要求では「デジタルの背骨」形成のため大きな投資」の山の後に回されたのではないか・・・と勝手に想像しています。
まぁ・・・予算強制削減の縛りがなくなったり、F-35の調達機数を大幅削減するとの決定がない限り、当面は「無い袖は振れない状態」が続くのでは・・・と思います。
もしこの邪推が正しいとするならば、Goldfein空軍参謀総長は良く判断したと思います。大したものです。戦闘機ではなく統合の「連接性」や「ネットワーク」を重視したのですから・・・
迷走?米空軍の次世代制空NGAD検討
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05
「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28
欧州の戦闘機関連話題
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
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