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太平洋空軍司令官Brown大将へのインタビュー [米空軍]

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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次期空軍トップ候補に指名される直前のもの
2月末のインタビューを4月1日公開

Brown2.jpg4月1日付米空軍協会webが、次の米空軍参謀総長候補に指名されたCharles Q. Brown太平洋空軍司令官へのインタビュー記事を掲載しました。

インタビューは2月末にフロリダで開催された米空軍協会航空戦シンポジウムの期間中に行われ、3月2日に発表された次期参謀総長候補指名発表の数日前ですので、米空軍全体の話題にはなっていませんが、アジア太平洋地域を考える上で、また米軍の対中国戦力を考える上で示唆するものがありますので、Q&A方式ご紹介しておきます

コロナウイルス関連については、2月末の時点では軽いやり取りしかありませんので、特に取り上げません
今となっては、現在の心境をうかがいたいところではありますが・・・

4月1日付米空軍協会web記事
●Q 国家防衛戦略NDSにおけるアジア太平洋重視の影響は?
●A アジア太平洋地域について、政策担当者や意志決定者によく理解してもらう教育フェーズがとても重要だ。欧州を中心とした冷戦終了後、過去25年以上に渡り、我々にとって心地よいゾーンであるNATOと活動してきたからである。

我々がアジア太平洋地域を理解しているか良くわからない。意思決定に携わるのもが、より多くこの地を訪れることで、より多くを深く学ぶことが出来ると思う。のように脅威を捉え、パートナーがどのようであるかを理解する必要ある。全てがひとつの枠組みで捉えられない(It’s not one size fits all)

Brown4.jpg当地域の広さは欧州コマンドの約5倍、その中では場所によって異なる力学が働いている。日本や韓国やモンゴルは、一つの対極にあるインドとは異なるし、豪州やNZとも異なっている もう一つの違いは、アジア太平洋地域と米国が(欧州と比較して)経済的により密接な関係にある点である。ロシアはそれほどではないが、中国とアジア太平洋諸国との関係が深いもある

●Q 以前、中国とロシアの軍事協力が増えているとの話があったが、現状は(注:日韓関係が揉めた際、両軍機が編隊で日本海を飛行したことを捉え、両軍緊密化に警戒感を示していた)
●A 彼ら両国が軍事関係を強化しようとしているのかわからないし、アジア太平洋での地政学的な見方で共通の考えを持っているのかも不明である
彼らは共に演習を行うことがあるが、同じ日に、同じ場所で、両軍がそれぞれ並行的に訓練を行っているだけで、相互の連携はほとんどない。米軍が同盟国軍などと行う共同演習とは異なる

Brown3.jpgまた別の視点で、中露のどちらが、この関係で「junior partner」なのかという点も興味深いたぶん両国とも下になるのはいやだと考えているし、両国間には米軍とその同盟国間とは異なる「摩擦」も存在している。米国の同盟国等との関係では、相手が小さな空軍であっても、パートナー国ならではの分野があり、相互に補完して行動する柔軟性がある

●Q 欧州には「European Deterrence Initiative」用の特別予算枠があるが、アジア太平洋でもほしいと思わないか
●A その件はよく議論している。最初から大きな額を求めるわけではなく、欧州を参考に太平洋地域でどのように投資すべきかを考える必要がある

欧州では、私が欧州空軍作戦部長(A3)に着任した翌週に、ロシアがクリミアに侵攻を始め、明らかな危機と皆が意識し対応した。しかし中国はそのような際立ったトリガーと成る行動はとらず、南シナ海での動きのように、レーダーに映らないところで少しづつ着実に既成事実を積み上げ、長期的視点で狙いを達成する手法で行動している。この違いも踏まえる必要がある

●Q ACE(Agile Combat Employment)の進み具合はどうか
Brown.jpg●A コンセプトや大枠を示すことで、各部隊は色々なアイディアを出してくれる。正に米空軍らしい動きに自信を感じている。一方で各部隊レベルの指揮官と各地で話をすると、食い違いや部隊レベルでは解決できなかったり、リスクが明らかになることもある。それを取り上げリスクを如何に取り除くかを考えている

輸送が困難な大きく重い地上装備に問題や、細分化された特技制度の課題などもある。新たな軽量で移動しやすい装備の要望や同盟国から借用するアイディアなどを検討しているし、特技制度についても、簡単な他特技の業務を行える体制整備など検討している

また各地域空軍の副司令官クラスが集まって、ACE構想に関する意見交換を行い、互いに知見を共有したり、言葉の統一について検討したりを始めている
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Brown大将は、中尉時代に1.5年、大佐の基地司令として1年を在韓国の米空軍F-16部隊で過ごした程度で、アジア太平洋全体を見渡して勤務したのは太平洋空軍司令官としての勤務が初めてです。

ですから、NATOがパートナーである過去25年間とは「心地よさ」が異なる・・・とアジア太平洋地域の国々との関係を示唆しています。(the past 25-plus years since the Cold War in Europe, and in our alliance with NATO, we have a comfort zone there)

まずアジア太平洋について学んでもらうことが必要との発言にも、典型的な米国民の一般的視点が感じられます。
コロナで米国がどうなるのか先が見えませんが、太平洋空軍司令官から空軍参謀総長になる初ケースでしょうから、期待いたしましょう

次の米空軍トップ候補:Charles Q. Brown空軍大将の公式経歴
https://www.af.mil/About-Us/Biographies/Display/Article/108485/major-general-charles-q-brown-jr/

集中配備から、分散運用する新コンセプトACEへ
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

Brown太平洋空軍司令官の関連
「Brown大将が次期空軍トップ候補に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-03
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「現空軍トップとベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「中露空軍の連携飛行を警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-31
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「南シナ海で中国軍鎮静化?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-28
「燃料と弾薬の備蓄不足を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02-1
「新司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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