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日米が協力すべき軍事技術分野4つ [安全保障全般]

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
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Atlantic Councilの研究レポート
日向亮との人物が執筆メンバーです

Atlantic.jpg17日、米シンクタンクAtlantic Councilが「新たな技術と日米国防協力:Emerging technologies and the future of US-Japan defense collaboration」とのレポートを発表し、中国対処を念頭に、具体的に4つの技術分野を日米の軍需産業や技術基盤を踏まえて提言し、併せて両国が協力するに当って克服するべき課題も指摘しました

また、現在議論されているであろう日本の次世代戦闘機開発への米国の関与具合や落ち着きどころが、両国軍需産業分野の協力の将来に大きな影響を与えるだろうと触れています

このレポートは2名の研究者がまとめたもので、1人はAtlantic CouncilのTate Nurkin上級研究員ですが、もう一人が日向亮(Ryo Hinata-Yamaguchi)との不思議な人物で、豪州国立大学を卒業後、豪州国防アカデミーで博士号を取得し、韓国の延世大学や高麗大学を経て、現在は釜山大学の客員教授(推定38歳)との経歴です

そんなに目新しい内容ではありませんが、Defense-Newsの主力記者であるAaron Mehta国防省特派員(副編集長)の記事で、同webサイトのトップに派手にアップされ、「東京の郊外より」でも触れている内容が「4つの技術分野」になっているのでご紹介しておきます

17日付C4ISRNet記事によれば
Atlantic4.jpgレポート執筆者は、米中がしのぎを削っている軍事技術分野として、「無人システム」、「超超音速兵器」、「AIの軍事応用」を上げ、これらを航空及びミサイル攻撃及び防御、また水中での戦いに絡めて激しい競争が行われていると全般状況を捉え
これらを背景としつつ米国の戦略と日本の地域利害、更に両国の産業力のマッチングを考慮し、地域と世界の安全保障に少なからず影響を受え、全ドメイン分野のバランスと安定が掛かった挑戦的な分野として、日米が協力すべき「4つの技術分野」を提言している

●無人水中艇と対潜水艦戦闘能力
中国は過去10年にわたり、有人及び無人の両潜水艦へ膨大な投資を行っている。米国も本分野への投資を始め、日本ではIHIが独自に無人水中艇開発を行ったが、防衛省としてこの分野への参画決断はない状態である。論理的に見て協力が望まれる分野である

●AIを活用した仮想訓練環境整備
両国は2016年に仮想空間での共同演習を行っているが、両国には更に実相に即した共同訓練が必要であり、機械学習や先進の仮想現実技術の導入による訓練のレベルアップが望まれる。また、様々な仮想やシム訓練が別々に細分化されている実情を変え、両国が協力して細分化された仮想訓練を融合する取り組みが必要である。そして日米両軍が協力して対処すべき緊急事態に即した環境での訓練体制を整えるべきである

●無人機の群れと無人ウイングマン
Atlantic3.jpg無人ウイングマン(loyal wingman)は、米国が次世代制空NGAD構想の柱の一つとして数年にわたり投資を続けている分野であり、無人機の群れも大きな投資対象となっている。両分野とも日本の防衛省が2016年頃から関心を示している分野である

●無人機への対処システム
既に世界中の国や企業がこの分野に挑んでいるが、日本側で取り組みがある「高出力マイクロ波システム:high-power microwave generation system」などを絡め、両国が協力して成果が期待できる分野が存在する

両国が克服すべき課題
日本が防御の観点から装備近代化を優先するのに対し、米国は戦力投射を優先して考えており、両国の協力に当りすり合わせが必要である
Atlantic2.jpg米国がクロスドメイン作戦遂行にとって重要だと最近数年力を入れている宇宙やサイバー分野で、日本は遅れをとっており、協力するにも差が生じている

共同研究に関する両国のアプローチ法が対照的で、米国が作戦コンセプトや必要な能力分析を重視して取り組む一方で、日本は依然として軍需産業の利害や技術開発の視点からスタートしがちであり、かみ合わないことが多い
日本の国防費のGNP1%枠は足かせとなっている。また、2014年まで日本の軍需産業に兵器輸出を禁じていた政策の結果として、技術や製造能力は優れていても、規模が小さく輸出経験不足である。日本政府がこれら企業を保護するため、甘い契約を許容してきた経緯も災いしている

米国企業側には日本企業の参入への懸念があり、先進技術の流出やシェアを奪われる可能性への心配から、共同開発に前向きでないこともある

日本の次期戦闘機開発で課題が浮上
counterdrone2.jpg上記の諸課題は、日本の次期戦闘機開発(F-3開発)への米国参入交渉でも既に浮上している。例えば、ロッキードが提案したF-22/F-35技術を活用した「ハイブリッド型開発」を日本が拒否し、「既存機の派生型は眼中にない」と主張したことは記憶に新しい
F-3開発は長期的な日米共同開発枠組みを考える上で極めて重要な案件である。このプロジェクトは今後の両国協力の道を切り開き、両国協力の中核となりうるが、逆に失敗は、将来の両国の共同開発を妨げることになろう

更に、中国や韓国との両国それぞれの関係が、日米の軍事共同開発に与える影響も無視できない。例えば超超音速兵器といった攻撃的性格の強い兵器の場合、中国やロシアからの様々な圧力が関係国に影響を与えうる
●また韓国と日本との関係は、歴史的な問題を含んでおり、日米韓の協力関係をより複雑なものにしている
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レポート紹介webページ
https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/emerging-defense-technologies-and-the-future-of-us-japan-defense-collaboration/

日米共同開発の「黒歴史」を知る方にとっては、細部の分析について突っ込みどころ満載でしょうが、まぁ・・アジェンダを整理したと考えていただければと思います

Atlantic日向亮.jpgまた、最近の米国からの装備品押し売りにヘキヘキしている皆様にとっては、共同開発どころじゃない・・・とお怒りのところでしょうが、コロナで米国軍需産業がどのような運命をたどるか判りませんので、チャンスもあるかも・・・程度のお気持を維持していただきたいと思います

ところで、この日向亮(Ryo Hinata-Yamaguchi)さん・・・謎ですねぇ・・・。この時期に韓国で・・・

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https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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