ロシア第3の超超音速兵器「3M22 Zircon」 [安全保障全般]
ロシア太平洋艦隊のフリゲート艦Gremyashchiyに配備へ
1月20日付Military.comが、昨年末にプーチン大統領が各所で言及した対艦用の超超音速兵器「3M22 Zircon」を取り上げ、米海軍にとっては防御が極めて難しい空母キラーとして紹介しています
この記事をきっかけに「ググって」みると、プーチン大統領は、昨年末にご紹介した12月24日の軍幹部への訓示以外に、ロシア太平洋艦隊へ配属される2500トン級のフリゲート艦Gremyashchiyを10月31日に訪問し、ご紹介する超超音速兵器「3M22 Zircon」を搭載すると明らかにしていたようです
Military.com記事の執筆者は、これはトラブル続きの空母を1隻しか保有しないロシア軍が、空母12隻体制を維持しようとしている米海軍にぶつけてきた「空母キラー」兵器だと紹介し、1000トン級の「Buyan-class」コルベット艦に搭載する想定で取り上げていますが、いずれにしても中小艦艇に搭載して空母を無効化する「費用対効果の高い」兵器だと見ています
20日付Military.com記事によれば
●プーチン大統領は、ロシア製のスーパー兵器の時代が来た、と米国に思わせたいのであろう
●昨年末、プーチン大統領が各所で語った超超音速兵器の開発や配備計画は、確かに米国の伝統的なこれまでの早期警戒や警報システムが探知困難との懸念を生むものである
●(昨年10月31日にプーチン大統領が太平洋艦隊フリゲート艦に搭載を明言した)対艦超超音速兵器「3M22 Zircon」は、高度が低い大気圏内を速度マック7で飛翔し、射程距離300-700㎞(1000㎞との報道もあり)と言われる兵器で、艦艇搭載だけでなく、航空機や潜水艦、更に地上発射型も開発されていると言われている
●これだけの高速で大気中を飛翔すると、兵器の先端部が高圧となることで「プラズマの雲」が生じ、ミサイル探知用レーダーの電波を吸収してレーダーに映らなくなるともいわれている
●米艦艇のイージスシステムは、最短でも目標探知から反応まで8-10秒必要と言われているが、「3M22 Zircon」はこの数秒の間に20㎞進むと計算でき、また艦艇発射の迎撃ミサイルが「3M22 Zircon」の速度に追随できないとも言われている
●技術情報ニュースサイト「Popular Mechanics」によれば、仮に米イージス艦が「3M22 Zircon」を100マイル(180km)遠方で探知したとしても、1分間しか対処時間がない。実質的には、発射直後を迎撃するか、「3M22 Zircon」の飛翔経路上に障害物を浮遊させておくしか迎撃手段は無いと考えられる
●ロシア軍が超超音速兵器追求シフトにかじを切ったのは、米軍の規模や技術、更に空母の隻数で圧倒的に劣っているからであろう。
●例えば、ロシア海軍が保有する15隻の1000トン級「Buyan-class」コルベット艦は、1隻に25発の「3M22 Zircon」を搭載可能であり、米海軍の最新空母フォード級でさえ「3M22 Zircon」6発以下で撃沈な可能と見積もられる中で、相当な戦力となる
●このような兵器技術の急速な進歩は、航空母艦という兵器システムの役割について、米海軍の再考を迫るものとなろう
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中国もロシアも、米国がテロとの戦いに忙殺されている間に、臥薪嘗胆、敵の弱点を突く戦法・戦術・技術を練ってきたということです
先日ご紹介した、下院軍事委員会での中国抑止に関する専門家への意見聴取では、米軍自身が保有する超超音速兵器について「大きな影響はない。あくまで戦術兵器だ」との意見が出ていましたが、敵が保有する超超音速兵器は「Game Changer」的な意味を持つと考えられます。(その性能が本当であれば・・・)
整理すると、露軍が部隊配備又は開発中の超超音速兵器は・・・
●対艦用の「3M22 Zircon」 射程距離300-700㎞(1000㎞との報道もあり) 開発中
●航空機発射用の「Kinzhal」 射程2000㎞ 配備済
●大陸間飛翔ミサイル「Avangard」 昨年12月配備 マッハ20
露の超々音速兵器と米大型艦艇の脆弱性
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「米議会で中国抑止を考える」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
1月20日付Military.comが、昨年末にプーチン大統領が各所で言及した対艦用の超超音速兵器「3M22 Zircon」を取り上げ、米海軍にとっては防御が極めて難しい空母キラーとして紹介しています
この記事をきっかけに「ググって」みると、プーチン大統領は、昨年末にご紹介した12月24日の軍幹部への訓示以外に、ロシア太平洋艦隊へ配属される2500トン級のフリゲート艦Gremyashchiyを10月31日に訪問し、ご紹介する超超音速兵器「3M22 Zircon」を搭載すると明らかにしていたようです
Military.com記事の執筆者は、これはトラブル続きの空母を1隻しか保有しないロシア軍が、空母12隻体制を維持しようとしている米海軍にぶつけてきた「空母キラー」兵器だと紹介し、1000トン級の「Buyan-class」コルベット艦に搭載する想定で取り上げていますが、いずれにしても中小艦艇に搭載して空母を無効化する「費用対効果の高い」兵器だと見ています
20日付Military.com記事によれば
●プーチン大統領は、ロシア製のスーパー兵器の時代が来た、と米国に思わせたいのであろう
●昨年末、プーチン大統領が各所で語った超超音速兵器の開発や配備計画は、確かに米国の伝統的なこれまでの早期警戒や警報システムが探知困難との懸念を生むものである
●(昨年10月31日にプーチン大統領が太平洋艦隊フリゲート艦に搭載を明言した)対艦超超音速兵器「3M22 Zircon」は、高度が低い大気圏内を速度マック7で飛翔し、射程距離300-700㎞(1000㎞との報道もあり)と言われる兵器で、艦艇搭載だけでなく、航空機や潜水艦、更に地上発射型も開発されていると言われている
●これだけの高速で大気中を飛翔すると、兵器の先端部が高圧となることで「プラズマの雲」が生じ、ミサイル探知用レーダーの電波を吸収してレーダーに映らなくなるともいわれている
●米艦艇のイージスシステムは、最短でも目標探知から反応まで8-10秒必要と言われているが、「3M22 Zircon」はこの数秒の間に20㎞進むと計算でき、また艦艇発射の迎撃ミサイルが「3M22 Zircon」の速度に追随できないとも言われている
●技術情報ニュースサイト「Popular Mechanics」によれば、仮に米イージス艦が「3M22 Zircon」を100マイル(180km)遠方で探知したとしても、1分間しか対処時間がない。実質的には、発射直後を迎撃するか、「3M22 Zircon」の飛翔経路上に障害物を浮遊させておくしか迎撃手段は無いと考えられる
●ロシア軍が超超音速兵器追求シフトにかじを切ったのは、米軍の規模や技術、更に空母の隻数で圧倒的に劣っているからであろう。
●例えば、ロシア海軍が保有する15隻の1000トン級「Buyan-class」コルベット艦は、1隻に25発の「3M22 Zircon」を搭載可能であり、米海軍の最新空母フォード級でさえ「3M22 Zircon」6発以下で撃沈な可能と見積もられる中で、相当な戦力となる
●このような兵器技術の急速な進歩は、航空母艦という兵器システムの役割について、米海軍の再考を迫るものとなろう
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中国もロシアも、米国がテロとの戦いに忙殺されている間に、臥薪嘗胆、敵の弱点を突く戦法・戦術・技術を練ってきたということです
先日ご紹介した、下院軍事委員会での中国抑止に関する専門家への意見聴取では、米軍自身が保有する超超音速兵器について「大きな影響はない。あくまで戦術兵器だ」との意見が出ていましたが、敵が保有する超超音速兵器は「Game Changer」的な意味を持つと考えられます。(その性能が本当であれば・・・)
整理すると、露軍が部隊配備又は開発中の超超音速兵器は・・・
●対艦用の「3M22 Zircon」 射程距離300-700㎞(1000㎞との報道もあり) 開発中
●航空機発射用の「Kinzhal」 射程2000㎞ 配備済
●大陸間飛翔ミサイル「Avangard」 昨年12月配備 マッハ20
露の超々音速兵器と米大型艦艇の脆弱性
「プーチンが超超音速兵器を大自慢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-26
「米議会で中国抑止を考える」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
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