SSブログ

いやいやながら好ましいF-15EXの144機導入に進む米空軍 [米空軍]

現有F-15Cの急速な老朽化とF-35購入予算不足により
とりあえず使える機数を確保するためF-15EXを 

F-15EX 2.jpg29日付米空軍協会web記事が、28日に米空軍がF-15EXと搭載エンジンF110-129を購入する旨の告知を行ったと紹介し、契約が5月に行われるだろうと紹介しています

F-35調達加速が最優先事項と言い続けてきた米空軍が苦渋の決断を行い、今更ながら約30年ぶりに第4世代機であるF-15を2020年度予算に8機盛り込み、計144機の購入計画を受け入れた背景は、昨年3月にダンフォード統合参謀本部議長(当時)と国防省のコスト評価室高官が以下のように説明していますので復習しておきます

ダンフォード統合参謀本部議長(当時)
現在使用しているF-15Cが2027-28頃に退役のタイミングを迎えることから、今後10-15年間のオプションを考えた場合、F-15EXがF-15Cの後継としてベストな選択だ
いずれは全機をF-35でまかなう方向に向かうが、今はコスト面と量確保の面から、近未来においては混合編成が正しい選択だと判断した

機体価格面でF-15EXはF-35より少し安価な程度だが、維持運用経費面ではF-15EXはF-35の半分以下である。更に機体寿命面でF-15EXはF-35の2倍以上である
米空軍の将来の主力戦闘機はF-35であり、「彼らは」そこから離れることはない

国防省のコスト評価室高官(匿名)
健全で強固な軍需産業基盤を維持するため、ロッキードマーチン製のF-16ではなく、ボーイング社が製造するF-15Xに決定した
●「考慮要素の一つが、軍需産業企業の多様性を確保ことである」、「多様な国防軍需産業を維持することが、国防省の利害と一致する。より多くの多様性があれば、より競争が促進され、価格面で良い方向に向かう」。
当時のマティス国防長官が突破型機とスタンドオフ型をミックスすることを指示し、F-35が突破した後、スタンドオフ型のF-15EXなどが後に続くイメージを選んだ

F-15EX.jpg先日ご紹介したように、米空軍参謀総長は、「Wargameの結果を詳細に分析した結果、伝統的な航空アセット予算を約3兆円削減して、より戦いの結果に影響を与える連接性強化を2021年予算で追求する」と今年1月に明らかにしており、F-35調達や次世代制空NGAD検討を先送りし、お手頃なF-15EX購入する方向性は、更に強固となっている今日この頃です

そんなF-15EX調達の最新状況をお知らせしておきます。淡々とした事実のみですが・・・

29日付米空軍協会web記事によれば
28日米空軍は、ボーイング社からF-15EXを、搭載するF110-129 エンジンをGeneral Electric Aviationから、それぞれ単独供給元から調達する方向だと発表し、5月には契約を結ぶ方向だと明らかにした
●「F-15C/D戦闘機のリフレッシュと、F-15C/Dの増強のため」との理由で、現時点では購入機数や購入時期を明確にしない形での契約の話が進められている

F-15EX 3.jpgF-15EXは、現在サウジとカタールに製造されているF-15をベースにボーイングが製造するが、米空軍が迅速な納入を希望していることから、F110-129 エンジン製造が可能ながら、Pratt & Whitney社の同エンジン製造工場が必要な米空軍の認証を受けていない(新たな認証には時間が必要)ため、General Electric Aviationのみがエンジン供給元となった
●米空軍は1機のF-15に 2基必要な同エンジンを480基購入予定で、一部は現有の古いF-15のためにも使用する予定。ちなみに米空軍は、同エンジンを保有する約半分のF-16に使用し、また約8割のF-15Eにも使用している

米空軍は2020年度予算に8機分の予算を要求していたが、米議会は米空軍がF-15EX導入の戦略や全体計画に関するレポートを提出するまでは、2機分の予算しか執行させないとの姿勢である
●米空軍はまた、F-15C/DをF-15EX並みに能力向上する近代化改修実施を計画しており、強力なコンピュータ、コックピット表示、EPAWSS(電子戦&脅威判定装置:Eagle Passive Active Warning Survivability System)を搭載する事になる
//////////////////////////////////////////////////

当時のマティス国防長官やダンフォード議長、更に国防省コスト評価室の「卓見」により、米空軍は限られた資源の中で最善の選択をできたとも言えましょう

Dunford.jpgF-35用の自動兵站情報システムALIS断念と、ODIN(Operational Data Integrated Network)導入決断、更には「連接性強化予算編成」の決断など、F-15EX導入に導いた米空軍外部の人々の冷静な判断が、全体最適の方向に導いたと考えられます

今振り返って見ると、昨年3月のダンフォード議長の冷めた言いぶり・・・米空軍の将来の主力戦闘機はF-35であり、「彼らは」そこから離れることはない・・・には、米空軍のF-35への固執ぶりを嘲笑しているともとれるニュアンスが感じられます

関連の記事
「国防省高官もF-15EX導入を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23-1
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「空自MSIP機も能力向上改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
「ボーイングがF-15X宣伝中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1

「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。