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国防長官:ドイツから米軍1万2千名を削減する [エスパー国防長官]

大統領の指示以前から検討していたことを強調
時程は不明も約半数は米本土に戻る計画
アジアへの移動は「現時点で計画なし」

Esper5.jpeg29日、エスパー国防長官が欧州米軍司令官(兼ねてNATO司令官)らを伴って会見を行い、トランプ大統領が6月に発表した「ドイツが国防費を増加させないことへの制裁」としての駐留米軍削減について、大統領の指示以前から検討していた世界的な米軍再編の一環だと強調しつつ、当初言われていた0.95万人規模より多い約1.2万人規模の削減を計画していると説明しました

正確には削減する11900名の約半数にあたる6400名は米本土へ帰還し、他はポーランドやイタリア、バルト三国や黒海周辺地域に移動してNATO戦力配置をより東に移動させる方向で、ドイツには依然として欧州最大の24000名が残ると国防長官らは説明しました

Wolters2.jpeg国防長官は「ドイツは欧州で最も豊かな国であり、国防支出を増やすべきだ」と述べる一方で、ドイツ駐留米軍削減や移転について数か月前から検討を開始しており、大統領の指示は検討作業を加速させたに過ぎない」と、削減が既定路線であることを強調、「私が考える戦略的な他の目的達成のための一つのピースだ」と表現し、「全世界の地域戦闘コマンド体制の長期的見直し」の一部だと語りました

一方で国防長官は、部隊の大規模な移転には兵士家族への影響や、地域社会など多数の利害関係者との調整が不可欠であり、慎重に調整や検討を進める必要があるとも説明し、具体的な駐留米軍削減の時程については一切触れませんでした。また移転に伴う経費を「数千億円:single digit billions」と推計していると述べました

Germany US.jfifまた記者団からの、アジア太平洋地域への移動計画はあるかとの質問に対し国防長官は、「可能性はあるが、現時点では計画はない」と答えています

以下では、「9月末までにまとめる」と1月25日にエスパー長官が発言していた米軍の世界的な再編検討として、トランプ大統領が6月15日に独駐留米軍削減を発表する以前から練られていた、かなり具体的な移動対象部隊について会見からご紹介します

「9月末までに米軍再編検討を」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

7月29日付Military.com記事によれば
会見は、エスパー長官がJohn Hyten統合参謀本部副議長とTod Wolters欧州米軍司令官(兼ねてNATO司令官)を伴って行われた
●司令部機能の移転について
--- 欧州米軍司令部と同特殊作戦軍司令部をシュツットガルトから、ベルギーMonsへ
--- 米アフリカ軍司令部2500名をシュツットガルトから、場所未定ながらベルギーへ

●米陸軍の移転について
--- 第2騎兵連隊4500名は、米本土へ
--- 新設の第5軍の司令部をポーランドへ、関連部隊をポーランドやバルト3国へ
--- 陸軍第52施設大隊を含む2個大隊を、イタリアへ

米空軍の移転について
--- 独駐留の第52戦闘航空団F-16飛行部隊と航空団スタッフが、イタリアへ
--- ドイツへ移転予定だった英Mildenhall空軍基地駐留の空中給油航空団と特殊作戦航空団の米空軍2500名は、移転中止で英駐留継続
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Germany US3.jfif在韓米軍削減話の際もご説明しましたが、トランプ大統領による「同盟国の軍事費負担増」要求が検討加速の材料となったことは確かですが、米軍と米国防省が世界的な米軍再編を検討しており、「9月末までにまとめる」と1月25日にエスパー長官が発言していますので、トランプ大統領をうまく利用して米国防省が「やりたいことをやっている」とも言えます

米空軍爆撃機が今年春から始めた「dynamic force employments」方式へと切り替えとの名目で、専門家からは、ドイツや韓国だけでなく、中東や日本に駐留する米軍兵士も再編(削減)検討の対象になっているとの指摘もあり、ドイツや韓国の状況は日本にとって対岸の火事ではありません

PACOM.jpg先日の記事の繰り返しになりますが、中国(北朝鮮も含む)の弾道ミサイルや巡航ミサイル、サイバー戦や電子戦能力の充実度を考えれば、有事に在日米軍をそのまま在日米軍基地を根拠として活動させることには限界があり

有事間際になって日本から在日米軍が「転進」したのでは見た目も悪いので、日本の国防費支出や駐留経費負担程度を理由に、在日米軍を平時のうちに削減することは、トランプ政治的にも純軍事的視点からも「あり得る選択肢」だとも思います

ドイツ駐留米軍削減の関連
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14 

在韓米軍の関連記事
「在韓米軍削減案報道に長官は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-22
「米軍基地勤務の韓国人5千名レイオフ開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-01
「在韓米軍司令部が70㎞南へ移動」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08
「韓国の米軍再編は順調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-27
「在韓米軍は兵士に不人気?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02

在日米軍基地は有事には
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

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ロシアが衛星から衛星攻撃物体の射出実験 [サイバーと宇宙]

2017年頃から続く一連の実験
宇宙兵器の制限を訴えるロシアを偽善者と非難

Raymond.jpg23日、初代宇宙コマンド司令官かねて宇宙軍参謀総長Raymond大将が声明を出し、7月15日にロシアが行った「Cosmos 2543衛星から、他のロシア衛星に向け、高速で物体を射出する実験」を、ロシアが軍事ドクトリンで表明している「米国やその同盟国の宇宙アセットを危機にさらす兵器」の試験だと厳しく批判しました

このような衛星破壊を伴わない実験をロシアは以前から行っており、米国務省は2018年に初めてこの問題を国連軍縮会議で取り上げ、今年4月にもChris Ford 国務次官補(当時)が、詳細には言及できないが「2017年にはCosmos 2519が子衛星Cosmos 2521を射出し、更にその子衛星Cosmos 2521が孫衛星Cosmos 2523を速度250km/hで射出する実験を行った」とロシアを非難しています

Cosmos 2543.jpg米国は、ロシアが外交の場で宇宙での軍備管理の必要性を訴え、米国の宇宙活動能力に制限を加えようとする一方で、ロシア自身が宇宙兵器開発を自制する意思を全く示さないのは、ロシアが偽善者であることの動かぬ証拠だと非難し、4月15日にロシアが行った地上発射の直接衛星攻撃兵器実験と合わせてロシアの非道ぶりを訴えているところです

米国防省は6月に「国防宇宙戦略」を発表し、中国やロシアの宇宙開発に強い危機感を示し、米国社会全般に危機感が不足していることや、米国防省の対応も後手に回っていることを認めた上で、同盟国も含めた取り組み強化を誓ったところですが、コロナ危機に付け込んだロシアや中国に全く容赦はないようです

23日付C4isrnet記事によれば
Raymond3.jpg23日付の声明文でRaymond宇宙コマンド司令官は、「7月15日に宇宙軌道上で衛星攻撃兵器の試験を行ったのは、米国の政府衛星に接近したことで我々が年初に懸念を表明した同じロシア衛星である」と述べ、「このロシアの活動は、ロシアの軍事ドクトリンが明記している、米国とその同盟国の宇宙アセットを危険にさらす兵器展開への取り組み」と一致するもので、ロシアは継続的にその実現に動いていると懸念を表明した
ちなみに7月15日の試験に関与したロシア衛星は、2019年11月と12月に打ち上げられたCosmos 2542とCosmos 2543で、打ち上げ後から米国の政府衛星に接近する特異な動きを見せ、米国関係者が懸念を表明していたものである

米国務省はこのようなロシアの宇宙活動を2018年に国連軍縮会議で初めて取り上げ、ロシアの行為が宇宙兵器の制限を主張する発言と食い違う偽善的なものだと非難し、今回の宇宙コマンドの声明でも同様の懸念を表明し
Cosmos 2543 4.jpg「(7月15日のロシアによる)試験は、ロシアによる宇宙兵器制限の主張が偽善によるもので、米国の能力を抑えようとする意図から出たものであることを明確に示している。ロシア自身は宇宙兵器開発を止める考えを全く持っていない。これは地上発射の直接攻撃兵器を含めてのことである」とChris Ford軍備管理担当次官(現在)はコメントしている

米国防省は6月に発表した「国防宇宙戦略」で中国やロシアの活動について危機感を示し、「宇宙アセットは、もはや安全な聖域に存在するものではなくなってきており、様々なレベルの戦いでターゲットになる恐れと直面している。特に中国とロシアは宇宙アセットへの最大の脅威となっており、米国とその同盟国の軍事能力をそぐため、「宇宙の兵器化」に向け、多様な能力の研究・開発・試験を行っている」と表現しているところである
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コロナと大統領選挙で混乱状態の米国を見て、中国が本性を現したかのような振る舞いを世界各地で見せていますが、ロシアも負けていないようです

Cosmos 2543 2.jpg「Cosmos 2519が子衛星Cosmos 2521を射出し、更にその子衛星Cosmos 2521が孫衛星Cosmos 2523を速度250km/hで射出」の部分は、英文の理解が正しいのか自信がありませんが、宇宙に関して非公開の部分が多い中で、米関係者の精いっぱいの表現だと思うので、推測してご紹介しました

2018年の国連軍縮会議以降、米国関係者のこのロシア衛星に関する表現は「ぼんやりした」ものでしたが、今回は具体的に「launched an additional object into space」、「high relative speed of about 250 km per hour,」とまで語っており、米側の状況把握能力を明かしてまで脅威を訴える手段に出たようです

ロシアの宇宙兵器疑惑
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26

米国の取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
「航空機からロケット発射で衛星を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-14
「宇宙軍の最初の攻撃兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-09
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27
「宇宙Fenceレーダー試験開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-12-1
「同盟国にも宇宙関連訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「Space Fence試験レーダー完成」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-29
「米空軍のSpace Fenceを学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-28

その他の宇宙関連記事
「5G企業にGPS干渉の恐れある電波使用許可へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-14

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イランとロシアが中東・アフリカで動く [安全保障全般]

イランは模擬空母を相手にホルムズ海峡で演習開始
ロシアはリビア派遣アセットを増強

小ネタ2件です
Russi Libia.jpg7月24日付米空軍協会web記事は、5月末からロシア空軍のMig-29やSu-24がリビアの反政府勢力支援に展開している件で最新の衛星写真から、追加で地対空ミサイル部隊や大型輸送機による兵員増強が進んでいると報じています

また7月27日付Military.com記事は、6月にホルムズ海峡に近い軍港で確認された「ニミッツ級米空母」そっくりの約2/3の大きさの模型空母が港付近から出た様子が衛星写真で確認されたと報じ、模型空母を使用したイラン革命防衛隊による米空母攻撃演習が行われるのではないかと伝えています

ロシアによるリビア反政府組織の「覆面」支援増強
Wagner Group2.jpgロシアによるリビア反政府グループ(Libyan National Army)支援は、ロシア軍の分身として活動するロシア民間軍事会社「Wagner Group」に兵器を提供する形で行われており、5月25日に米アフリカ軍のStephen Townsend司令官が会見で衛星写真を示し、少なくとも6機のMig-29が反政府組織支配地域であるリビア東部の飛行場で確認されたと発表して公になりました

同司令官は、「ロシアは長くリビア国内紛争への関与を完全に否定してきたが、ロシアが支援する反政府勢力への提供戦力を拡大したことは明らかで、反論の余地はない」、「我々はロシア軍Mig-29が、同じくロシア軍SU-35の護衛を受けつつリビアに飛来するのを、その過程も含め全て監視していた」と語り

Mig-29戦闘爆撃機が、当初シリア内のロシア軍展開基地に移動し、そこでロシア空軍の塗装から国籍識別表記などを消し、カモフラージュ塗装に塗りなおされた過程もフォローしていた」と明らかにし、ロシアの非道ぶりを訴えていました

7月24日付米空軍協会web記事によれば
SA-22.jpg米南アフリカ軍によれば、5月末に確認されたMig-29やSu-24に加え、追加のSu-24戦闘爆撃機、SA-22地対空ミサイル、戦闘装甲車、Il-76大型輸送機及び多くの人員が活動する様子が新たに確認された

米アフリカ軍作戦部長のBradford J. Gering海兵隊少将は、「ロシアは引き続き、民間軍事組織に対して支援を行うことで、好ましくない役割を果たしている」、「新たに確認された装備は、更なる攻勢作戦継続の意図を示している」と声明文で指摘している
更に米アフリカ軍声明は、「仮にロシア勢力がリビア海岸を支配することになれば、次に彼らは長射程のA2AD兵器を沿岸に展開するだろう」、「そうなれば、欧州南部側面に対する極めて深刻な現実的懸念となるだろう」と訴えている

「ニミッツ級米空母」そっくりの模型空母動く
iran_mockup_aircraft_c.jpg6月9日付のAP通信が、ホルムズ海峡に面する都市Bandar Abbasのイラン革命防衛隊港湾施設近傍の海上で、米空母ニミッツ級をやや小型にしたモックアップが確認できるとして、2015年に同様の模擬米空母を使用して行われた革命防衛隊の演習が計画されているのだろうと報じていましたが、当該模型空母が港湾から出て動き出したようです

このモックアップの存在をイラン政府や革命防衛隊関係者は認めていませんが、衛星写真からすると全長200m・幅50mで、本物のニミッツ級空母の全長300m・幅75mに比較すると約2/3の大きさだということです

speedboat Iran.jfif2015年に同様のモックアップが確認された際は、革命防衛隊の演習「Great Prophet 9」で使用され、小型のスピードボートの群れでモックアップを取り囲んで機関砲やロケット弾で攻撃し、最終的には地対艦ミサイルで攻撃して破壊しており、今回もそのような使用が見込まれます

7月27日付Military.com記事によれば
27日に公開されたMaxar Technologies社撮影の衛星写真は、模型空母がタグボートに曳航され、Bandar Abbas近郊の港湾からホルムズ海峡方向に向かっている様子をとらえている
空母の左上からは、革命防衛隊のものと推定される小型高速ボートが波しぶきをあげて模型空母に接近する様子も確認でき、攻撃訓練を行っているようにも見える

Fake CV Iran.jpg現在ペルシャ湾では米空母Eisenhowerが数か月間活動しているが、恐らく交代用と思われる空母ニミッツがホルムズ海峡を通過し、先週末にペルシャ湾に入ったばかりであり、「ニミッツ級空母」を模した模型空母への攻撃訓練は、米イラン関係を考えると挑発的である
ちょうど7月23日には、テヘラン発ベイルート行きのイラン民間機(Mahan Air社のA310型機)に対し、米空軍のF-15Eが2機で接近し、イラン民航機が回避旋回を行って乗客数名がけがをする事態が発生している

米軍側はこの事案についてイラン機が飛行ルートを外れ、シリア内の米軍事施設が存在する半径55nmの飛行禁止ゾーンに接近し、無線による呼びかけに応答せずて侵入したことから、ヨルダンから飛来して警戒飛行を行っていた2機のF-15Eを確認のため指向したと説明し、民航機の1000m以内には接近していないと説明している
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Mig-29.jpgイランの模擬空母はともかく、ロシアがロシア軍機の「国籍徽章」を消して、しかもロシア最新鋭戦闘機SU-35にエスコートさせてリビアに送り込んでいるという国際法を完全に無視する非道な行為に出ているにもかかわらず、コロナの混乱で誰もこれに関心を持つものはいない現状です

米アフリカ軍は「NATO南側面への脅威」と表現して国際社会に訴えていますが、米政権でさえ動きがあるのか不明です

最近は、日々発表される「今日のコロナ感染者数」にも何も感じなくなってきましたが、世界の安全保障問題について無関心・無反応になると、「いつか来た道」をたどりそうで心配です

それぞれの関連記事
「ロシアがリビアにMig-29」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-27
「ホルムズ海峡にイランが模擬米空母を設置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-10

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太平洋軍司令官がグアムへのイージスアショア配備熱望 [Joint・統合参謀本部]

この話は、米国内議論の枠組みを広く捉えないと
対中国にはTHAADとイージス艦コンビでは不十分と
F-35等のアセットより防御優先の米議会が支持する方向

Davidson3.jpg21日、Davidson太平洋軍司令官が記者団に、太平洋軍の最優先事項として米議会に要望している「Homeland Defense System Guam」構想の一環として、2026年までにイージスアショア導入を切に希望していると語りました

米太平洋軍は3月半ばに、議会の要求で「2021年から26年の間に必要な新たな投資」要望レポートを提出し、その最初で「360-degree persistent and integrated air defense capability in Guam」として約1800億円を要求しており、その具体的な装備として「イージスアショアシステム」を今回初めて司令官が明確にしました

3月の要望レポートは米議会から高評価を得ており、上院軍事委員長は「国防省は国家防衛戦略NDSを遂行するために、航空機や艦艇等の装備品の話ばかりしていたが、やっとその運用基盤にも目を向ける提案が出てきた」と語り、欧州に習って「Pacific Deterrence Initiative」を立ち上げようと下院とも連携して動き始めています

Davidson.jpg太平洋軍の要望は「グアム島の360度ミサイル防衛」、「長射程兵器」、「敵の長射程兵器探知追尾レーダシステム」、「分散基地の整備」、「分散運用や分散基地を支えるロジ能力の強化」、「同盟国の強化」、「演習場ネットワークの整備」などで、米議会からは「F-35なんか購入するよりこっちの方がはるかに優先で重要だ」との声が上がっており、限られた予算枠の配分に苦しむ国防省のアジア太平洋担当者からは困惑の声が上がっています

「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29

日本では、「問題の」イージスアショアに関するニュースとして同司令官発言が紹介されていますが、米国ではアジア太平洋地域で中国を抑止するための投資優先議論として話題になり、国防省内では、太平洋軍の要望レポートが予想以上に議会の評価を得て、思わぬ展開に戦々恐々・・・といったところです・・・

22日付Defense-News記事によれば
Aegis Ashore system.jpgDavidson太平洋軍司令官は「Aegis AshoreはNo1優先であり、可能な限りグアム島に早く導入したい」、「国家防衛戦略を迅速に完全に遂行するために最も重要なアクションである」と語り、太平洋軍として要望していた「a 360-degree, persistent, integrated air-defense capability in Guam」の具体的装備を明らかにした
同司令官は「Homeland Defense System Guam」の柱となるのが「Baseline 10 Aegis Ashore」だと具体的なシステムバージョンにも言及した

イージスアショア導入の理由について、「私が一番の導入推進者なんだが、まず第1に既に実用化されており、2926年までに導入可能なこと」を上げ、更に「将来の脅威に備えるには、現在配備中のTHAADとイージス艦の組み合わせより強力なシステムが必要だ」と語った
Aegis FMS.jpgそして「THAADとイージス艦の組み合わせは北朝鮮からのミサイルを想定したものだが、地域一番の脅威である中国を考える場合、弾道ミサイルや巡航ミサイル対応に、より強力で永続的な対処能力がグアムには必要だ」と説明した

同司令官は更に、「イージスアショアが提供する指揮統制能力にも期待しており、イージスアショアとパトリオットなど他のシステムもリンクして、探知した目標への対処を総合的にレベルアップすることが可能になる」とも説明し、「2026年に運用開始するには、2021年に予算確保が必要だ」と訴えた
太平洋軍の要望を歓迎する米議会は、欧州諸国をロシアの脅威から守るための「European Deterrence Initiative」に習った太平洋版の「Pacific Deterrence Initiative」を立ち上げて推進する動きを見せており、同司令官の要望のいくつかは受け入れられる可能性が高い

PACOM.jpgこのほかに、同盟国の能力強化や関係強化のための施策や、マルチドメイン作戦能力強化のための実験演習などの充実も同司令官は要望している。予算が認められれば位、アラスカ、加州、ネバダ、ハワイ、グアムなどの演習場を新たな手法でネットワーク化して使用し、これに日本や豪州のエリアも組み合わせ、敵の行動も含め、新兵器や第5世代戦闘機やIAMDシステムをシミュレーションして訓練効果を高めたいと要望している
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イージスアショア紹介動画(ロッキード作成)


中国大陸から見て、日本列島より遥か遠方にあるグアム島でさえ、THAADとイージス艦では不十分で、更にイージスアショアとパトリオット等々が必要との太平洋軍司令官の要望です

Davidson2.jpgイージスアショア撤退後の日本国内の議論を見ていると、イージスアショア代替議論は重箱の隅に向かいつつありますし、敵地攻撃議論にしても、移動目標対処の難しさや、「数万個」と言われる攻撃目標数を踏まえない勇ましい議論が先行しています

まず、グアム島へのイージスアショア配備要望に至った脅威分析を、米軍に質問・確認することから始めてはいかがでしょうか

イージスアショアやPDI関連の記事
「上下院軍事委員長が対中国抑止PDI推進」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-29
「イージスアショア撤退の日本に提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-28
「1年前の太平洋軍要望事項」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-29

3月中旬の太平洋軍の議会への要望
細部は以下のDefense-News記事を参照ください
https://www.defensenews.com/global/asia-pacific/2020/04/02/inside-us-indo-pacific-commands-20-billion-wish-list-to-deter-china-and-why-congress-may-approve-it/

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米国:MTCR解釈変更で無人機輸出緩和宣言 [安全保障全般]

他のMTCR参加国にも同様の解釈変更求める
「米国の利害を他国の人質にはしない」と独自判断で

Cooper MTCR.jpg24日、米国務省のClarke Cooper軍政問題担当次官補が、「搭載能力500kg以上かつ射程300km以上の無人航空機」輸出を「原則禁止」としてきたMTCR規定の解釈を米国として変更し、同範囲の無人機でも「速度が時速800km/h以下の無人機」は輸出可能とすると発表しました

これはMTCR参加国全ての同意を得たものではなく、同日別のChris Ford軍備管理担当次官補が説明したように、「今後他のMTCR参加国が同様の解釈スタンスを取るように働きかける」との性質のもので、この一方的解釈変更の背景に「MTCRに関する、如何なる米国改革提案をも拒否する国の存在がある」と語って、暗に米国の無人機輸出を妨害するロシアの存在を非難しました

このMTCR解釈変更により、諸外国から要望が多いMQ-9 Reaper(巡航速度370 kph)やRQ-4 Global Hawk(同575 kph)の輸出がMTCRによって縛られなくなると同時に、米国と豪州で別々に進められている次世代制空のカギを握る「無人ウイングマン機」共同開発の縛りも取り除くことになります

改めてMTCRについて復習します
MTCR3.jpg1987年発足のMTCR(ミサイル技術管理レジーム:Missile Technology Control Regime)は、主に巡航ミサイル技術の拡散防止のために設けられた枠組みで、あくまで非公式&自発的な集まりで、国際約束に基づく枠組みではない
大量破壊兵器の運搬手段となるミサイル及びその開発に寄与しうる関連汎用品・技術の輸出を規制することを目的とし、1987年当時の技術的解釈で「搭載能力500kg以上かつ航続距離300km以上の無人航空機」を「category-1」と区分し、MTCR枠組みで最も厳しい輸出規制「原則禁止:presumption of denial」の対象としている

米英など西側諸国35か国(なぜかロシアも)が参加し、参加国は、アルゼンチン,オーストラリア,オーストリア,ベルギー,ブラジル,ブルガリア,カナダ,チェコ,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,ハンガリー,アイスランド,インド,アイルランド,イタリア,日本,韓国,ルクセンブルグ,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,ポーランド,ポルトガル,ロシア,南アフリカ,スペイン,スウェーデン,スイス,トルコ,ウクライナ,英国,米国であ

MTCR2.jpg一方で、米国製無人機がミサイルに分類されて輸出が大きく制限されている中で、この枠組みに縛られない中国製コピー無人機が、ヨルダン、イラク、サウジ、UAE、エジプト、パキスタン、ナイジェリアなど西側同盟国を含む国々に大量に輸出されている
現代の戦いで重要な無人機を、米国が同盟国に十分に提供できないことは以前から問題視され、米国務省が窓口になって、「無人機をMTCRの枠組みから外す」ことや、「category-1」の縛りから「速度が時速600や800㎞以下」を除外することなどを参加国に提案するも、イエメンなどで中国製無人機による民間人の犠牲者が急増し、ロシアだけでなく、米国内の軍備管理派からの慎重論もあり、MTCRの議論が進めにくい状態が生まれている皮肉な現状がある

24日付Defense-News記事によれば
Ford MTCR.jpg「速度が時速800km/h以下の無人機」は輸出可能とすると発表したClarke Cooper次官補は、「制限緩和の対象となる無人機は、あくまで大量破壊兵器運搬のリスクがない無人機であり、高速の巡航ミサイル、極超音速兵器、先進の無人作戦機は緩和の対象ではない」と強調した
Cooper次官補による公式発表の直後、ハドソン研究所で講演したChris Ford軍備管理担当次官補は、米国政府は他のMTCR参加国に米国と同じ解釈で対応するよう働きかけていくと説明すると同時に、「米国の提案にはすべて反対するとの基本姿勢を頑なに取り続けるMTCR国が存在する」と表現し、講演後にそれがロシアであることを示唆しつつ、MTCR内での協議が成立しない状況を説明し、米国による独自解釈変更への理解を求めた

米国の軍需産業界はこの解釈変更を歓迎しているが、前述のFord次官補が、この解釈変更でどの程度無人機輸出が拡大するかに関する質問に明確に回答しなかったように、MTCR以外にも兵器輸出に関する様々な認可プロセスが存在することを懸念する関係者も存在する
MQ-9 4.jpg例えばある関係筋は、「2018年にも、手続きが煩雑なFMSではなく、通常の企業による無人機の直接輸出販売が許可されたが、大幅な輸出の伸びにはつながらなかった。輸出先地域の軍事バランス変更を懸念する勢力が存在し、また民間人への被害を懸念する声もあり、輸出拡大は単純に進まない」と今回の解釈変更にも慎重な見方を崩していない

また同情報筋は、「民主党のバイデン大統領が誕生したら、MTCRの解釈変更をそのまま継続するだろうか?」との疑問も提示している。実際、上院軍事委員会の主要メンバーで民主党のBob Menendez議員は今回の解釈変更を厳しく非難し、「世界中に人権侵害をまき散らす恐ろしい兵器を広めることにつながる、デタラメな解釈変更だ」と直ちに非難声明を出してい
Stimson CenterのRachel Stohl副理事長も、「再びトランプ政権は、中長期的な米国の安全保障及び外交的な利害を犠牲にして、短期的な選挙目当ての経済的利益を優先した」、「MTCRは単に、戦いの様相を大きく変化させ、その使用の合法性や戦略的効果に深刻な疑問や懸念のある殺傷兵器が野放しなるのを抑制するために存在するのだ」とその解釈変更を非難している
///////////////////////////////////////////////////

RQ-4 Misawa3.jpg細かなことですが、「F-35を英国と共同開発しているのに、MTCRのために無人機の共同開発ができないばかげた状態にある」との問題意識が反映され、米空軍や豪州が検討を本格化している無人ウイングマンを考え、「600㎞/h以下」ではすぐに限界を迎えるので「800km/h以下の除外」が必要だと理解されたのは良いことなのでしょう

世界の動きが速くなってきました。INF全廃条約とオープンスカイ図条約に続き、MTCRについても縛りをなくす動きが急激に進みました。より大きな視点でいえば、米中対立はすごい勢いで、関係国を巻き込みながら進んでいます。日本の報道をだけを見ていては、この動きについていけません。注意しないと!!!

外務省によるMTCR解説
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mtcr/mtcr.html

米国の武器輸出管理の緩和問題
「国防次官:半年で武器輸出規制緩和へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「中国無人攻撃機が中東で増殖中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-06-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「肩透かし無人機輸出緩和」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「違法?サウジに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

中国と無人機
「中国がサウジで無人攻撃機の製造修理」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29
「中国が高性能無人機輸出規制?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03
「輸出用ステルス機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27

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黒人女性が初めて米海軍戦闘操縦コース卒業 [Joint・統合参謀本部]

今後FA-18かEA-18GかF-35Cパイロットに?
今頃になって初とは・・・・との感ありですが

Swegle.jpg10日、黒人女性が初めて米海軍の戦闘攻撃操縦コースを卒業し、今後FA-18やEA-18GやF-35Cパイロットになる道を切り開いたと米海軍が発表しました

この女性は米海軍士官学校卒業生のMadeline Swegle中尉(バージニア州出身)で、写真のT-45C Goshawkでの戦術飛行訓練コースを無事卒業し、まもなく米海軍パイロットの証である「黄金色のウイングマーク」を授与されるとのことです

Swegle2.jpg今後は当面、T-45C Goshawk飛行訓練を受けた同じテキサス州のKingsville海軍航空基地の飛行教育部隊に所属するとのことで、空母艦載機の部隊に配属されるのかはっきりしませんが、良いニュースの少ない米海軍がアピールしていますので取り上げ、以下では米海軍の女性パイロットの歴史や、米軍の女性戦闘パイロットの経緯をご紹介しておきます

10日付Military.com記事によれば
2019年の米海軍提供データによれば、米海軍艦載機(FA-18、EA-18G、E-2C、C-2)における黒人パイロット比率は、僅か1.9%である
Mariner.jpgまた民間メディア調査によれば、2018年時点で、米海軍における女性パイロット数は765名で、全操縦者に占める比率は7%以下であった

米海軍が女性パイロットを初めて登用したのが1973年で、選ばれた8名の中で初めて戦闘爆撃機のパイロットになったRosemary Mariner女史(故人)は、1974年にA-4CとA-7Eの操縦資格を獲得し、大尉でリタイアしている
米海軍初の黒人女性操縦者は、1980年にウイングマークを取得し、後にC-1A空母着艦輸送機のパイロットとなったBrenda Robinson女史で、2008年退役まで米海軍で勤務した記録が残されている

米空軍や米軍全体では
McSally.jpg米国防省が、女性による戦闘任務飛行を初めて許可したのが1993年で、現在はアリゾナ州選出の上院議員として活躍しているMartha McSally議員が、1995年にA-10操縦者として初の戦闘任務飛行を遂行している。その後同議員は初の女性戦闘飛行隊長も務め、大佐の階級で退役して政治の世界に転身した (なお同議員は2019年3月、米軍内での性的暴力問題を議論する議会の場で、現役時代に上官からレイプされたことを告白して大きな話題となっている

米空軍初の黒人女性戦闘機パイロットは、1999年にF-16操縦者となったShawna Rochelle Kimbrellで、2001年にイラクでの初実戦任務を経験し、現在も中佐パイロットとして勤務している
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Kimbrell.jpg黒人の艦載機パイロットが2%以下とは・・・。どんな流れで要員選考を行うとこのような結果になるのでしょうか? 黒人兵士にとって、まだまだ艦艇航空の世界は閉ざされた世界なのかもしれません

ですから、黒人でかつ女性であるMadeline Swegle中尉の今後が、引き続きテキサス州の飛行教育部隊で勤務するとの「不可解」な進路で気になります

米海軍としてはFA-18かEA-18GかF-35Cパイロットに育てないと話にならないでしょうから、慎重に進めるのでしょうか?

Swegle中尉の屈託のない笑顔が、今後も見られることを祈念せずにはおれません・・・

軍での女性を考える記事
「初の米空軍下士官トップにアジア系女性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-20
「GAO指摘:女性の活用不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「初の歩兵師団長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-10
「超優秀なはずの女性少将がクビに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-11
「3軍長官が士官学校性暴力を討議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「上院議員が空軍時代のレイプ被害告白」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空自初:女性戦闘機操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

米軍での性的襲撃事案多発を考える記事
「士官学校に改善の兆しなし」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-02
「米3軍の長官が士官学校でのセクハラ問題議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-10
「現役パイロット時に上官にレイプされた」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-08
「空軍士官学校の内通者が反旗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1
「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1
「暴力削減にNGO導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-05

「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19
「指揮官を集め対策会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04
「海軍トップも苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20

「女性5人に一人が被害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10
「空軍内で既に今年600件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-1
「米軍内レイプ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19

女性と徴兵制
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

関連の記事
「女性兵士の装具改善に時間必要」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-13
「今頃・・女性兵士にフィットした飛行服等に改良へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07
「女性初のF-35操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-08
「女性だけの編隊で攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04

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WSJ誌報道の在韓米軍削減案提示に国防長官が [エスパー国防長官]

国防省報道官や太平洋軍司令官も関連発言
大統領だけの思い付きではなく、国防省も支持の印象です

Esper3.jpg21日、エスパー国防長官やDavidson太平洋軍司令官などが別々の場で17日付WSJ誌電子版による「米統合参謀本部がホワイトハウスに対し、在韓米軍削減オプションを複数案提示した」との報道に関し発言し、情勢や新たな装備導入などに応じ、国家防衛戦略NDS遂行のため最適な態勢を追求するとして報道を否定しませんでした

WSJ誌報道の背景には、在韓米軍駐留経費の韓国負担増問題があり米韓の実務者間では2019年の韓国負担経費額(約1200億円)から13%増で合意したものの、米国防省と国務省が「トランプ大統領が納得しない」として拒否し、経費負担割合を定める特別措置協定(SMA)が3月末で失効して、在韓米軍で勤務する韓国人のうち約4千名が無給休職に追い込まれる等の問題に発展しているところです

Korea3.jpg幸い、在韓米軍で働く韓国人職員の人件費については、2020年末まで韓国政府が全額を負担することで合意(協定では韓米8:2)しましたが、あくまで暫定措置であり、国防費が伸びないドイツに対しトランプ大統領が、制裁として「ドイツ駐留米軍3.45万人のうち約9500人を削減」して一部をポーランドに移すと指示した件もあり、単なる恫喝で終わらない可能性もあります

元々韓国は米軍兵士にとって人気のない勤務地で韓国側が費用の大半を負担し、米軍司令部等をソウルから南へ70㎞の場所に移すと同時に、最新設備の米軍兵士住宅をたっぷり準備するなどの措置を行ってきましたが、米軍内にも中東への長期派遣などで負担感が増しており、海外駐留部隊の削減に強い反対姿勢はない雰囲気です

21日付米空軍協会web記事によれば
Esper.jpgエスパー国防長官は21日、「全ての地域戦闘コマンドの状況を見ているところであり、国家防衛戦略NDS遂行のため、最適化した配置を検討している」、「(検討は)米国により柔軟性を提供することを狙いとするもの」等と表現し
最近米空軍爆撃機部隊が始めた、グアム島に駐留派遣する形式ではなく、米本土の基地から必要時に長距離直接派遣を情勢に応じ柔軟に行う「dynamic force employments」方式を、海軍艦艇や地上部隊にも適用するオプションも含まれると示唆した

21日、米太平洋軍司令官のPhilip S. Davidson海軍大将は別の場で記者団に、「朝鮮半島に駐留する米軍に関する変更命令は受けていない」と述べる一方で、「米軍がF-35など新たな高性能装備を導入する過程で、北朝鮮と今夜から対峙することになっても勝利を収めることが可能な態勢が変化することはあり得る」と表現した
Davidson.jpgそして地域戦闘コマンド司令官として、「どのような態勢が任務達成のために必要なのかを見極めることは、司令官としての責務である」とも述べ、「どの部隊を新たに導入し、どの部隊を米本国に戻すかをのガイダンスを、情勢に応じて示す必要がある」と語った

米国防省のRath Hoffman報道官は21日の会見で、「いくつかの地域戦闘コマンドは、より効率的な米軍全体の態勢を考える上で、変更の必要性や可能性がある伝統的な任務や行動を背負っている」と語っている
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米議会からは、ドイツ駐留兵士の削減にも在韓米軍削減についても反対の声が上がっていますが、日米の専門家からは、ドイツや韓国だけでなく、中東や日本に駐留する米軍兵士も削減検討の対象になっているとの指摘もあり、韓国の状況は対岸の火事ではありません

Korea-runway2.jpg中国(北朝鮮も含む)の弾道ミサイルや巡航ミサイルの充実度や、サイバー戦や電子戦能力を考えれば、有事に在日米軍をそのまま在日米軍基地を根拠として活動させることには限界があり、米空軍は戦力の分散運用ACE(Agile Combat Employment)構想に向けた検討や訓練しているのですが

有事間際になって日本から在日米軍が「転進」したのでは見た目も悪いので、日本の国防費支出や駐留経費負担程度を理由に、在日米軍を平時のうちに削減することは、トランプ政治的にも純軍事的視点からも「あり得る選択肢」だとも思います。21日の国防長官らの発言ぶりを聞いて、残念ながらそう思いました

ドイツ駐留米軍削減の関連
「独駐留米軍を1万人削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-16
「移動先ポーランド大統領と会談」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-25
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10

在韓米軍の関連記事
「米軍基地勤務の韓国人5千名レイオフ開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-01
「在韓米軍司令部が70㎞南へ移動」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08
「韓国の米軍再編は順調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-27
「在韓米軍は兵士に不人気?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02

在日米軍基地は有事には
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

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インドネシアが欧州の中古戦闘機購入打診 [安全保障全般]

「墺」の汚職問題で揺れるタイフーンに触手を
ロシア・韓国・米国を天秤にかけて交渉する策士

Eurofighters.jpg20日Defense-Newsが、インドネシア国防相がオーストリア国防相に書簡を送り、オーストリアが2002年から導入した15機のEurofighter Typhoon戦闘機を全て購入したいと提案していると報じています

インドネシアメディアによれば同国国防相は書簡の中で、このような売却要請が「極めてセンシティブ」である事を承知の上だとお詫びを述べつつ、暗にオーストリアのタイフーン戦闘機を巡りオーストリア内で、2002年の同機購入決定にさかのぼって汚職がらみの問題が浮上している事を連想させる内容になっているようです

Eurofighter2.jpgインドネシア側が購入を打診した直接的な理由は、上記の汚職疑惑に加え、15機のタイフーン戦闘機のコストと能力について疑問の声が上がり、「より効果的で、より費用対効果の高い」解決策を求めて、2017年にオーストリアが同戦闘機の早期退役を決定した事にあるようです

詳しい経緯や両国の戦闘機事情況まで記事は紹介していませんが、近隣ドイツのトーネード後継機選定に触れるまでもなく、どの国の戦闘機選びも「ドロドロ」感にあふれている印象です。大きなお金が動きますから・・・・

20日Defense-News記事によれば
F-16D ground.jpgインドネシアの墺タイフーン戦闘機に対する動きは、米国務省がインドネシアへのMV-22オスプレイ売却を承認したとの「サプライズ発表」の2週間後に明らかになっている
インドネシアは、米国の州空軍が運用していた23機のアップグレード改修済F-16C/Dを2014年から導入して使用しているが、広大な島国の防衛のため追加の戦闘機を探していたところである。ちなみにオーストリアのタイフーン戦闘機は、「Tranche 1」との防空任務用のタイプである

いろんな意味で興味深い今回のインドネシアの動きであるが、SU-35をインドネシアに売り込んでいたロシアにとってはショックなニュースであろう
SU-35.jpgインドネシアが現在SU-27とSU-30を運用していることから、同系列のSU-35を売り込んだロシアは売却交渉でインドネシア側の同意を得たが、約1300億円の契約書にインドネシア側がサインを渋り、2018年になって交渉破談が決定した背景があるからである

このSU-35交渉決裂の背景には、ロシアからインドネシアが戦闘機を購入することで、米国から制裁を受ける恐れが生じたからではないかと報じられている。なお米国では、イラン、北朝鮮、ロシアなど米国の敵対国から武器や軍事装備品を購入した国に制裁を科すことが出来るCAATSA法が2017年に成立している
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MV-22オスプレイに関する米国務省の許可と、2週間後のタイフーンへのアプローチの関係は、邪推すると、米国がオスプレイ売却を決定し、オスプレイ入手を確実にした後に、墺タイフーンの話を持ち出して、2つの交渉が影響し合わないようタイミングをずらした・・・とのことでしょうか

インドネシアは中国製の新幹線を導入する等、ロシア&中国とも関係を持つ国ですので、オスプレイ売却許可ニュースが 「surprise announcement」となったようですが、米国も武器輸出規制を緩和して輸出促進に乗り出していますから、インドネシアの巧みな動きとも解釈できます

KF-X 2.jpgインドネシアは韓国とも戦闘機「KF-X」開発を進めていますが、インドネシアが技術者を引き上げたとか、インドネシア側が共同開発資金を支払わないなど、暗雲が立ち込めているようですので、ロシアより韓国の方が「タイフーン話」に衝撃を受けているのかもしれません

コロナの影響で、インドネシアは国防費を7%以上削減する方針だと報道されていますが、その辺りとの関係も気になります。いずれにしても、南シナ海を囲み、中国正面に存在する大国ですので、変な方向に進まないことを祈ります

インドネシア関連の記事
「F-16購入可能性国でもあるらしい」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23
「米国がFMSで小型無人偵察機を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-22
「米軍の活動拠点を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-16-1
「KF-X計画インドネシアが2割負担」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-05-28

米国の武器輸出管理の緩和問題
「Lord次官;半年で緩和を目指す」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-18
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
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「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3

ドイツと戦闘機関連記事
「独3機種混合案検討を認める」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-23-1
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29

KF-X関連の記事
「KF-Xは欧州のミサイル搭載?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30-1
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31

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やり直し歩兵戦闘車ブラッドレー後継選定 [Joint・統合参謀本部]

米陸軍の将来を占う装備もグダグダの機種選定
昨年応募企業が1社しかなく仕切り直しになった選定です

OMFV4.jpg17日、米陸軍が1980年代から派生形を含め6500両以上使用してきたブラッドレー歩兵戦闘車(IFV)の後継車両となるOMFV(optionally manned fighting vehicle)機種選定のため、やり直しの提案要求書RFP案を公開し、今後40日間で関連企業から広く「案」への意見や質問を受け付けるようです

この「やり直し」選定は、当初は提案要求書に応えた提案から2社に絞り込み、プロタイプを製造させて最終的に1つを選ぼうと米陸軍が考えていたものの、要求性能や納期要求の厳しさから昨年11月に提案要求書に応えたのが「General Dynamics Land Systems」1社だけとなったことから、米陸軍が競争原理が働かないと選定の「やり直し」を今年1月に決定した経緯を受けて行われています

Bradley2.jpg「やり直し」の原因になった現実を見ない要求や選定の進め方に米議会は激怒し、米陸軍幹部を厳しく叱責して「やり直し」を注視しているわけですが、今回米陸軍は具体的数値要求をあまり含まない「企業側の革新的な発想を促進する自由度の高い要求案」を公開して「ご意見」を伺い、正式な提案要求書を発出するステップを踏むようで

これまでのゴタゴタはさて置き、歩兵戦闘車両は米陸軍の戦い方の根本を問われる装備品で、現在のブラッドレー歩兵戦闘車も、20年以上の検討過程の紆余曲折を経て1980年から1994年まで量産が行われましたが、湾岸戦争やイラク戦争の教訓を経てたびたび改修されて今日に至っています

後継のOMFV(optionally manned fighting vehicle)について今日は触れませんが「有人型のオプションも残して:optionally manned」との触れ込みで始まって、完全な有人機として開発されている米空軍のB-21次期ステルス爆撃機のように、完成品は「有人歩兵戦闘車」になると予想して間違いないでしょう

まずは現在のブラッドレー歩兵戦闘車(IFV)について
Bradley.jpg1950年代から検討が始まり、幾つかの構想や試作も行われたが、甲論乙駁で量産に至らず、ブラッドレーM2としての量産が始まったのが1980年で、1994年までに偵察用派生型等を含め6700両以上が製造された
操縦3名輸送席6-7名で、機械化歩兵小隊は4両で編成され、M1戦車と行動を共にし、緊要時に輸送席から歩兵を下車させ、戦車と戦闘車両と歩兵が相互補完して作戦を遂行する運用が基本。このためM1戦車と同程度の速度性能が要求され、C-17輸送機で空輸可能なことも要求されている

25mm機関砲とTOW対戦車ミサイル2発を搭載し、7.62㎜機関銃も装備している。アルミニウム装甲で成形炸薬弾(HEAT)の直撃に耐えられない点が問題視され、湾岸戦争後に装甲強化型への改修も行われた
湾岸戦争では、敵車両撃破数でM1戦車を上回ったが、被撃破のほとんどは有軍相撃であったことから、赤外線識別装置が追加装備された

OMFVのやり直し選定について
17日付Defense-News記事によれば
OMFV.jpg米陸軍の地上戦闘システム担当Brian Cummings少将は、「我々は5フェーズからなるOMFV計画の第1フェーズを粛々と進める過程で、産業界からの意見や革新的アイディアを得たいと考えている」、「真に変革をもたらす戦闘車両を兵士に提供するため、何が実現可能かに関する産業界からのご意見を楽しみにしている」とRFP案公開に合わせて語った
陸軍の次世代先頭車両検討チームのRoss Coffman准将は、「過度に制約を設けることなく、期待される要求性能を正確に定めることが極めて重要だ」、「米陸軍は産業界とのオープンな対話を通じ、技術の最先端を反映したOMFVの要求性能を確実に定めたい」とコメントしている

OMFV2.jpg17日にwebサイト上で公開された提案要求書RFP案掲載ページでは、「産業界の設計思想の自由度を確保し、革新的発想を後押しするため、米陸軍は可能な限りパフォーマンスレベルの数値規定や細部指示を避けた」、「米陸軍は重箱の隅に提案を追う込むようなやり方を望んでおらず、産業界の皆さんが前向きに陸軍に革新をもたらすような最新技術融合と将来の拡張性確保を目指す提案をまとめ、陸軍のビジョン実現に共に取り組んでいただくことを望んでいる」と狙いを説明している
今回の「案」への意見聴取を踏まえ、最終RFPを発出し、応募提案から最大5つの候補を選定して2021年6月に設計契約を結び、最終選考に進む予定である
///////////////////////////////////////////////////////

米陸軍がOMFV(optionally manned fighting vehicle)の要求性能をまとめるにあたり、どのような戦場の様相や相手を想定しているのか大変気になりますが、要求性能が固まったあたりでご紹介を考えたいと思います

OMFV3.jpgそれにしても、「産業界の設計思想の自由度を確保し、革新的発想を後押しするため」とは言え、「具体的数値掲載を避けた」提案要求書を提示され、提案が採用されなかった企業は、「恣意的な選定作業が行われた」とクレームをつけたりしないのでしょうか? 恐らく米陸軍内でも、様々な意見がある歩兵戦闘車でしょうから、内輪もめにならないように、またスッキリ選定が進むことを祈ります

OMFVは特別です。海兵隊が対中国を考え戦車部隊を廃止し、長射程兵器の導入を積極的に進めようとする中、米陸軍の作戦構想を直に反映しそうなOMFVの行く末に注目したいと思います

それにしても、今のブラッドレーとOMFVの写真や想像図からは、2つの違いがよくわかりませんねぇ・・・

米陸軍関連
「士官の昇任審査書類から写真除外へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-26
「海洋プレッシャー戦略に唖然」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-13
「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「射程1000㎞の砲を真剣検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1

米海兵隊の変革関連
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

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Lord次官:半年以内に武器輸出制限を緩和したい [米国防省高官]

あくまで「hope to」で実現可能性は未知数
最新兵器の輸出緩和に踏み込めるか、技術保護と利益のはざま?

Lord2.jpg16日、Lord調達担当国防次官が講演し、米国製兵器の輸出規制を今後半年以内に見直し、米国が諸外国にとって引き続き最新兵器の提供国であり続けるよう取り組みたいと「熱く」語りました。

背景には、米国が技術漏洩への懸念や人道的配慮などから兵器輸出を自己規制する中、またMTCRのような兵器技術拡散防止枠組みに縛られている間に、中国がコピー兵器を遠慮容赦なく中東や第3諸国(古い)と呼ばれる米国の友好国に売り込んでいる現実があり、同時に米国防予算が頭打ちの中、米産業界から国内市場がこの状況では軍需部門を維持できないと泣きつかれている現状があります

この問題は国家予算を絞り始めたオバマ政権時代から顕在化し、トランプ政権になってからの2018年には、「輸出手続きの迅速化」や「最新技術でない兵器の規制緩和」などが行われてきましたが、Lord次官は最新兵器についても、先端技術の保護措置を講じつつ輸出を可能にし、厳しさを増す軍需産業の商売を助けたいとの意向のようです

16日付Defense-News記事によれば
Lord4.jpg共和党系のReagan Foundationで講演したLord次官は、「(兵器の)輸出制限に、最近数か月熱くなって(passionate)取り組んでいる」、「今後6か月以内に、特に輸出可能な兵器技術の範囲をよりオープンにして拡大したいと強く希望している」と語った
そして「我々が兵器技術を向上させている一方で、輸出可能な範囲を拡大していないことで、兵器輸出の国際市場において競争力を失いつつあることを懸念している」、「典型的な例として、これまで顧客であり、将来においても有望な顧客であったはずの中東諸国が、中国やロシアから兵器を輸入し始めており、インドもその方向に向かいつつある」と強い懸念を示した

この兵器輸出制限改革は以前から何度も議論されてきた話題で、2018年にトランプ政権が新たな方針を示した際も、「戦略的に考える必要がある」とLord次官の講演での発言と同様の言葉を使用し、21種類の弾薬やミサイル、複数の技術範囲について政府の許可なしで輸出可能とした経緯がある
weapon sale2.jpgしかし、当時新たに許可された品目は、既に米国が技術を独占したものではなく、広く一般市場に流通し始めていたもので、輸出許可しなければ米国産業の市場を狭める恐れのある兵器や装備品であった。Lord次官は今回、従来の範囲では不十分だと考えているようだ

一方で同次官は、「焦点を絞った議論を続けている。多くの最新兵器は最新技術や最新データを搭載しており、我々はそれら最新技術が輸出した兵器から簡単に取り出されないように細心の注意を払う必要がある」と課題を語っている
更に同次官は、カナダ、英国、豪州を含めて米国軍需産業基盤と見なす「NTIB:National Technology and Industrial Base」との枠組みの関係強化も追求したいと述べ、より軽易に産業基盤として協力できる体制にしたいと意欲を示した
//////////////////////////////////////////////////////////////////////

剛腕で名の知れた同次官でさえ「hope to」との表現で語っているように、実現可能性については未知数で、コロナで混乱する世界経済の中で様々なプレーヤーがうごめく中、すんなりと事が進む雰囲気ではないようです

Lord3.jpgMTCRに縛られ、一定規模以上の無人機がミサイルとみなされ輸出自粛を迫られている様子や、輸出した先で民間人被害を発生させるとの人道上の懸念から輸出に踏み出せない西側諸国と、何の縛りも心の痛みも感じない中国やロシア・・・

「良貨は悪貨に駆逐される」との言葉を思い出しました。でもこの間SNS上で、「世界から羨望や憧れの念を持たれない国が、覇権国になった例はない」との言葉を目にし、そうであってほしいと願う次第です

米国の武器輸出管理の緩和問題
「MTCRの縛りで中国に無人機輸出で負ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-04
「2018年の武器輸出促進策」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-10-2
「輸出手続きの迅速化措置」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「違法?サウジに緊急武器輸出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-25

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プーチン緊急指示:21日まで大規模に軍事演習を [安全保障全般]

「対テロ」主題と言いつつ、アジア太平洋部隊も活動へ
15万人の大規模動員で、混乱の米軍を威力偵察か

putin russia.jpg17日、プーチン大統領が緊急指示を出し、ロシア南西部を主としつつも、アジア太平洋部隊をも動かす15万人動員の大規模演習を7月21日まで実施せよと命じました。

演習の主眼は「テロ脅威の撃退」だとプーチン大統領は語ったようですが、兵員15万人のほか、軍用車両2.7万両、400機以上の航空機、100隻以上の海軍艦艇を動員し、特に海軍部隊は黒海からカスピ海、北極圏から太平洋地域にわたる地域で活動するらしく、今年後半に予定されているより大規模な演習「Caucasus-2020」の準備も兼ねて訓練するとロシア国防省が説明していることからも、とても「対テロ」の枠では収まりません

Caucasus-2020.jpg米国がコロナと人種問題と大統領選挙で混乱し、トランプ大統領と米軍部隊との関係も微妙で、コロナ関連で米軍部隊の即応態勢が実際どうなのか極めて心もとない中「米軍の即応体制を威力偵察で確認してやるか・・・」といったロシア側の意図も見え隠れする大規模演習です

まんぐーすが中国首脳や中国軍幹部なら、これにタイミングを合わせ、南シナ海や尖閣周辺で「示威行動」を強化しようと考えるでしょう・・・。静かな週末であることを祈ります

ロシア関連の記事
「コロナで米国防省の環境は激変する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-25
「米海軍が30年ぶりバレンツ海進出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-06
「ロシアがリビアにMig-29」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-27
「新START条約延長交渉始まる?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18-1
「露の対衛星兵器に警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「新設の米海軍第2艦隊はロシア潜水艦対処用」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03
「冷静後でロシア潜水艦が最も活発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21-1
「ロシアTU-160爆撃機が南アフリカ展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-22 
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「特殊作戦軍が中露と対峙する」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-19
「米アフリカ軍削減の動き」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

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Defense-Newsが日本のF-2後継機開発を報じる [安全保障全般]

7日の防衛省による自民党への説明受け
準トップ記事扱いです
90機保有のF-2後継機

F-3 1.jpgあまり関心が持てず、放置していた航空自衛隊のF-2後継機に関する事項を、9日付Defense-Newsが準トップ記事扱いで短く淡々と報じていますので、ご紹介しておきます

記事は、7日に防衛省が自民党の国防議員連盟に対し、開発スケジュール案を提示したことを紹介するものですが、その前に経緯的なものを簡単に日本のメディアから拾ってみると・・・

---2019年12月防衛大臣が「将来戦闘機」から「次世代戦闘機開発計画」ニュー・ジェネレーション・ファイター(NGF)へと呼称を変更と明らかに

---報道ロッキード社によるF22とF35をベースにしたハイブリッド案を断った英BAEシステムズが提案した「テンペスト」共同開発計画も蹴った 
---報道日本政府は「日本主導の開発」を掲げ米軍や、米軍事産業への過度な依存から脱却することを目指している
---報道最大100機程度の導入を想定。1機200億円以上になる可能性があり、コスト削減は重要課題

F-3 2.jpg---2020年5月、防衛省は次期戦闘機の開発チームを防衛装備庁内に20数人規模でスタート。機体のイメージはほぼ固まり、後は生産企業と役割分担をどう決めるかが中心作業。国産100%は運用面やコスト面から不可能で、「日本主導」の原則を押さえつつ、米英など外国企業参加をどこまで認めるかが焦点何をもって「日本主導」と見なすかは曖昧

以上のようなざっくりとした経緯(正確かどうか自信なし)を踏まえつつ、9日付Defense-Newsが報じるところをご覧ください

9日付Defense-News記事によれば
日本が、次世代の国産戦闘機開発のスケジュールを作成し、2024年から試作機製造に着手し、本格生産を2031年開始する方向の流れを明らかにした
7日、防衛省が与党である自民党関係者に戦闘機開発の計画案を提示し、主契約企業を遅くとも今年中に、早ければ今年10月にも決定し、2020年度中に機体形状や重量、エンジン推力などの「構想設計」に着手する方向を示した

F-3 3.jpg日本は過去10年間、戦闘機の技術の開発に取り組んできており、ステルス形状設計や同素材、active electronically scanned array radars、ターボファンエンジンなど研究対象に含まれている
●また日本は、これら技術を実証するデモ機を、2016年から18年の間で飛行試験している
●なお日本は、(共同開発国でないにもかかわらず)F-35の米国に次ぐ顧客であり、A型を115機、B型を42機運用予定である
//////////////////////////////////////////////////////

まぁ・・・もう熱く語る気力もないのですが、戦闘機など航空アセットは、脆弱で攻撃されやすい飛行場インフラに依存しており、中国の膨大な各種ミサイル兵器により、またサイバー攻撃や電子戦線攻撃によって無効化される可能性が高く、有事における機能発揮が危ぶまれるアセットです

Asia Pacific.jpgこの状態を踏まえ米空軍は航空アセットの分散運用をACE構想などで取り組んでいますが、米空軍戦闘コマンド司令官や太平洋空軍司令官からは、「中国正面で、戦闘機は将来必ずしも必要なアセットではない可能性」との発言や、「西太平洋の基地防御は困難」とのあきらめムードが漂う表現ぶりも聞かれる今日この頃です

FMSに押されて衰退傾向にある日本の軍需産業基盤の維持育成の「最後の砦」として、自衛隊出身議員などが「日本主導の原則」の旗を押し立てているわけですが、イージスアショア撤退を契機に始まった様々な議論も踏まえ、また無人機や地上配備型攻撃兵器との投資バランスも含め、よーーーーーーく考えた方がよいと思います

「機体のイメージはほぼ固まり」・・・との報道もありますが、米空軍が根本的に次世代制空NGAD見直しをWill Roper氏を中心に始める前の、PCAと呼ばれて頃(3-4年前)のイメージではないでしょうか?

中国正面で戦闘機に出番はあるのか?
「戦闘機族ボス:中国正面で戦闘機のニーズは・・・」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「西太平洋の基地防御は困難」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
「欺まんで中国軍を騙せ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21

中国軍事脅威の本質は
「脅威の変化を語らせて下さい」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「中国軍事脅威の本質を考えよう」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2012-12-30
「A Balanced Strategyを振り返る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2011-11-27

分散運用へ新コンセプトACE
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08

意思決定先延ばしの米空軍次期制空機
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

「戦闘機族のボスがNGAD予算を危惧」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-21
「PCA価格はF-35の3倍?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

欧州の戦闘機関連話題
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独の戦闘機選定:F-35除外も核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

無人機ウイングマン構想
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21

日米技術協力の視点
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18

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強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃 [Joint・統合参謀本部]

火災温度1000度越えで、同艦艇の再使用困難か
完成直前の虎の子F-35B搭載可能艦艇喪失は大打撃

Bonhomme Rich4.jpg13日付Defense-Newsは、定期修理&F-35B搭載用改修のためサンディエゴ港で停泊していた強襲揚陸艦Bonhomme Richardで12日朝に発生した大規模な火災は、恐らく艦艇を使用不能または長期使用不可能にする可能性が高く、F-35B搭載の強襲揚陸艦ローテーション派遣を困難にし、米海軍と米海兵隊にとって大きな痛手となると報じています

15日の時点で57名が負傷し、懸命の消火活動でも鎮火の見通しが立たない状況ですが、艦内の火災温度が1000度に達し、艦艇を構成する鉄材の強度や形状を変質させる温度に至っていると報じられていることから、複数の専門家が艦艇としての再使用は困難と見積もっているようです

米海軍と海兵隊は、10隻保有する強襲揚陸艦の半分をF-35B搭載可能に改修を進める計画を進めていますが、当初の4隻の中の1隻が火災の「Bonhomme Richard」で、約2年間の改修期間を間もなく終えようとしていたタイミングでの大惨事です

Bonhomme Rich3.jpg艦艇を1隻前線に展開させておくには通常4隻体制が必要で、他の3隻は、緊急バックアップ又は増強用、1隻は定期修理、更に1隻は次の任務に向けた訓練に従事するローテーションを組むそうです。更に今回はF-35B搭載用の改修が加わることから、更に1隻追加で必要で、今年に入って海軍海兵隊は、5隻目の対象艦艇を「Boxer」に指定したばかりでした

火災の「Bonhomme Richard」以外の4隻も改修が完成しているわけではなく、「Tripoli」が今月就航するものの、まだ訓練に2年を要する状態であり、米海軍海兵隊の思惑は大きく影響を受けることになるようです

本日はその辺りを専門家の言葉からご紹介します。艦艇のローテーションには詳しくなく、間違いにはご容赦を・・・

13日付Defense-News記事によれば
Clark CSBA2.jpgハドソン研究所のBryan Clark研究員は、「大きな問題である。米海軍省にとってF-35Bは唯一の作戦投入可能な5世代機であり、貴重なF-35B展開基盤となる艦艇の損害は痛い」、
●「海兵隊が地上配備の飛行部隊を削減し、10隻の強襲揚陸艦のうち半分の5隻をF-35B搭載可能に改修して作戦する構想への転換にもダメージになり、地域コマンドにF-35Bを提供する構想にもブレーキがかかる」とコメントしている

軍事コンサルタントのJerry Hendrix氏は、「極めて大きなインパクトを持つ惨事である。2年のF-35B改修を間もなく終え、今後少なくとも8年間は運用可能なBonhomme Richardに、海軍と海兵隊は大きな期待をし、今後8年間のアジア太平洋における中心艦艇と考えていたはずだ
●「我々は簡単に代替艦艇を準備するような魔法を使えない。米海軍と海兵隊の今後10年間の計画に大きな問題を投げかけた」と述べている

Bonhomme Rich.jpg更に海軍研究家のBryan McGrath氏は、「まず第一に誰かがBonhomme Richardの役割を担う必要があり、次に搭載する予定だったF-35Bの運用法について、時程も含めて大幅な見直しが必要になる」、
更に「米海軍と海兵隊は今、対中国を見据えて運用の融合を目指そうとしているが、その検討や実行もスローダウンせざるを得ないだろう」、「1000度の熱に襲われた同艦艇が、戦列に復帰することはないと思う」とコメントしている
//////////////////////////////////////////////////////////////

米海軍省がF-35B搭載可能に改修する計画の5隻の強襲揚陸艦が、現在それぞれどのような状態にあるのか把握していないのですが、2018年9月に米海兵隊F-35Bが、中東に展開中の公海上の強襲揚陸艦Essexから発進し、アフガンで米軍F-35として初実戦任務を遂行していますので、ESSEXはF-35B対応可能な艦艇です

Bonhomme Rich2.jpgもう一隻USS Waspも、2011年10月に初めてF-35Bの垂直着陸と離陸を成功させていますので、この2隻はF-35B搭載改修が終了していると思います。後は「Tripoli」と火災の「Bonhomme Richard」の2隻ですから、厳しい運用です

ポンペイオ国務長官が、中国の南シナ海での主張は「違法」だと厳しく発言しても、ハードパワーがこの状態では大変つらいです。空母フォードもそうですが、米海軍に試練が続きます

強襲揚陸艦とF-35B
「F-35BとC型に超音速飛行制限」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「F-35B艦載強襲揚陸艦が南シナ海初航行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-07
「F-35Bが初の実戦任務」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28-1
「海兵隊F-35は岩国の次に中東へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03-1

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グリフィン前技術開発次官の後任は若干33歳 [米国防省高官]

ホワイトハウスのCTOとして昨年8月から勤務
トランプ大統領への大口資金支援者の元部下

Kratsios3.jpg13日、直属の部下を引き連れて退任したGriffin技術開発担当国防次官の後任として、ホワイトハウスで「Chief Technology Officer」を昨年8月から努めていた若干33歳の元ベンチャーキャピタル幹部Michael J. K. Kratsios氏が、10日付で「臨時次官」に就任したと米国防省が発表しました

なお、Griffin前次官が引き連れて辞任したLisa Porter前次官補の後任には、同次官室の「No3」の位置づけだったMark J. Lewis氏が、同じく10日付で「臨時」扱いで就任しています。なおMark J. Lewis氏の前職名は「director of defense research and engineering for modernization」です

Kratsios2.jpg前任のGriffin前次官がNASA長官など政府機関の経験豊富で、物理博士号のほか、工学やMBAなど5つの修士号保持者であった一方で、Kratsios臨時次官はプリンストン大学で政治学学士を収めた後、細部は不明ながら、トランプ大統領の選挙を支援した「PayPal」共同創設者であるベンチャー資本家Peter Thiel氏の側近を務めた後、昨年ホワイトハウス入りしたばかりの33歳です

ホワイトハウスwebサイトでは、Kratsios氏の職務について「トランプ政権の優先課題と先進技術開発を結びつけること」と記されているようですが、各種報道では、無人機を米国内空域で飛行させるための諸政策についてFAA連邦航空局と調整に当たっていた等と説明されています

よくわからない新進気鋭の人物ですので、各種報道からMichael J. K. Kratsios臨時次官についてご紹介いたします

13日付米空軍協会web記事等によれば
Kratsios5.jpg米国防省報道官はKratsios臨時次官について、「上院の承認が必要なホワイトハウスの政治任用ポストで、人工知能、量子コンピュータ、自動走行自動車、商用ドローン、STEM教育、先進製造技術等の国家政策立案に携わっていた」と紹介し
最近では「American AI Initiativeを統括し、国家量子計算機調整オフィスを立ち上げ、はコロナ対策高性能計算機コンソーシアム発足にも従事してきた」とホワイトハウスでの業績を紹介した

同報道官は国防省と関係の深い分野として、「大統領が推進している5Gや国家的ブロードバンド普及にも尽力し、臨時次官として継続してそれらの業務を国防省の立場から司ることになる」とを紹介している
エスパー国防長官は、「我々は新たな技術を見極めて開発を進める経験を持ち、広範な産業界と勤務津に連携して事業を推進できる人材を探してきた」とのコメントを出し、Kratsios臨時次官に期待を示した

ホワイトハウスでCTO(Chief Technology Officer)に就くまでは、大統領技術担当副補佐官補佐として勤務していたが、CTO就任時には上院の承認を得ており、今回「臨時」次官には議会の承認は不要である
////////////////////////////////////////////////////

Kratsios4.jpgアメリカ的なドラスティックな人事ですが、国防省報道官がKratsios臨時次官の過去の業績を語れば語るほど、「いくらなんでもそれは盛り過ぎ・・・」と言いたくなります

国防省という極めて硬直的な組織において、この若手抜擢が吉と出るのか凶と出るのか・・・。前後任とも「Michael」がファーストネームの一貫性に期待する次第です

対中国や対ロシアの軍事技術開発のカギを握る人物です。プリンストン大学出身の優秀な頭脳に期待いたしましょう

ちなみに、前次官と直属の部下は「Logiq Inc」との会社を立ち上げたようです

ホワイトハウス掲載のKratsios氏経歴
https://www.whitehouse.gov/people/michael-kratsios/

国防省のプレスリリース
https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2271633/dod-names-acting-under-secretary-of-defense-for-research-and-engineering/

Griffin前次官の関連記事
「部下を引き連れ辞任発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-24
「超超音速兵器対処は同盟国協力が鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-09
「空母1隻とミサイル2000発とどっちがお得?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-20
「5G民間企業に軍演習場開放も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-14
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同盟国支援下での戦いの厳しさを教えてくれた韓国の巨星没す [ふと考えること]

白善燁:まんぐーすが最も尊敬する韓国人です
勲一等瑞宝章を授与された韓国退役軍人

白善燁 Whity.jpg7月10日、朝鮮戦争の韓国軍の英雄であり、米軍に最も信頼された韓国軍人であり、韓国で勤務する多くの自衛官がお世話になった恩人であり、同盟国(米国)の支援を得て戦うということがどういうことなのかを教えてくれた師でもある、白善燁(ペク・ソニョプ)退役大将(交通大臣・仏大使等)が鬼籍に入られました

99歳の大往生でしたが、日本の植民地下の満州士官学校を卒業し、親日派として知られていたことから、現在の政権下では批判的に扱われ、本来は国の英雄にふさわしい「国立顕忠院」に埋葬されることになっていたのですが、格の低い「大田顕忠院」に埋葬されることになったという現実に直面しています

白善燁 Whity 4.jpg韓国政府のこのような扱いに憤懣やるかたない市民も多く、ソウル中心部に市民団体が設けた献花台には、幅広い年齢の人々が弔問に訪れているとの報道に接し、少しは救われた思いでいます

とても簡単に書き表すことが出来ないのですが、以下では、白善燁退役大将(1920年ー2020年)の朝鮮戦争当時のご功績を中心に、簡単にご紹介いたします

1950年6月に北の侵攻により朝鮮戦争が勃発した際、若干29歳の第1師団長であった白大佐は、ソウル攻防戦を韓国軍として最後まで戦い、厳しい敗走の中で米軍から誤爆を受けて被害を被る等の苦難の中で南下し、8月2日から最後の拠点となったプサン防衛戦(多富洞の戦い)を戦うこととなる
北の猛攻を受け、大隊長2名を失う苦戦で兵士の敗走が始まる中、自らもマラリアの高熱で苦しむ中、兵士を集めて「我々にはもう退がる所はないのだ。ここを死守しなければならない。我々を助けに来てくれた米軍が谷底で戦っているではないか。信頼してくれている友軍を裏切ることが韓国人にできようか」訓示し、自ら銃剣突撃の姿で先頭に立ち、反撃のきっかけを作った

白善燁 Whity 3.jpgこの姿は米軍指揮官達を感激させ、米軍の韓国軍に対する信頼感を高めた
プサン防御を果たし、9月15日に仁川上陸作戦に国連軍が成功して戦況を巻き返すと、今度は平壌への一番乗りを目指す進軍が始まった。韓国軍が一番乗りを果たさねば韓国人の面目が立たないと決意した白准将は、幹線道路が米軍の大型車両で埋まって進めないと見るや、悪路の裏道をもろともせず、昼夜を分かたぬ進軍で平壌一番乗りを果たし、米軍に存在感を示した

平壌解放後さらに北進する過程で、敵捕虜への尋問から「中共軍」の大規模介入を察知し、直ちに米軍にも情報を提供したが米軍は直ぐには信じず、米軍連隊が大損害を受けて初めて白准将情報の正確さを認め、韓国軍への見方を改善させた
この後、「中共軍」の大規模侵攻で国連軍は敗走に次ぐ敗走を強いられたが、白准将の第一師団は常に最後の部隊として敵と戦いながら南下し、38度線付近までの米軍の南下を助けた

白善燁 Whity 6.jpg1951年3月に上官の死亡により、30歳で第1軍団長に少将として就任し、同年7月から始まった休戦会議には、韓国軍と米軍からの強い推薦を受け、若干30歳で韓国軍代表として参加した
北との戦いが落ち着いた後は、光州付近を中心とした韓国南部で勢力を伸ばしていた「共産ゲリラ」の掃討任務を任され、1952年3月までに鎮圧に成功した

52年7月には陸軍参謀総長、かねて戒厳部隊司令官に命ぜられ、53年1月には同陸軍初の大将に32歳で昇進した
1960年5月に退役後は、中華民国(台湾)、中東諸国、フランス、カナダで韓国大使を歴任し、朴正煕政権では交通大臣を務めた。公務を離れた後は、国有の化学・肥料メーカーの社長として1980年まで務めた

1995年、日韓国交正常化30周年に、勲一等瑞宝章を授与される
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プサン防衛の戦い(多富洞の戦い)での、白将軍の訓示の内容が伝えられています

白善燁 Whity 5.jpg連日連夜の激闘は誠にご苦労で感謝の言葉もない。よく今まで頑張ってくれた。だがここで我々が負ければ、我々は祖国を失うことになるのだ
我々が多富洞を失えば大邱が持てず、大邱を失えば釜山の失陥は目に見えている。そうなればもう我が民族の行くべき所はない

だから今、祖国の存亡が多富洞の成否に掛かっているのだ。我々にはもう退がる所はないのだ。だから死んでもここを守らなければならないのだ。
しかも、はるばる地球の裏側から我々を助けに来てくれた米軍が、我々を信じて谷底で戦っているではないか。信頼してくれている友軍を裏切ることが韓国人にできようか

いまから私が先頭に立って突撃し陣地を奪回する。貴官らは私の後ろに続け。もし私が退がるようなことがあれば、誰でも私を撃て。さあ行こう! 最終弾とともに突入するのだ

「東日本大震災」の時もそうでした。福島第一原発の懸念が払しょくされない中、自衛隊が本気で被災地の救援に立ち向かう姿を見て、米軍も本格的に支援の手を差し伸べてくれました

白善燁 Whity 2.jpg外から来援に来てくれた同盟軍の立場になればそうでしょう・・・・。国を離れた遠方の地で、支援先の国の「本気」を確信できなければ、手を差し伸べる気にもならないだろうと・・・・

朝鮮戦争時の白将軍の写真を見ると、米軍将軍達との年齢差が際立ち、どんな感じだったんだろうかと想像をたくましくしてしまいます

白将軍は、今の文在寅政権をどの様にご覧になっていたのでしょうか? そのお気持ちを察するに、複雑な思いに駆られます。合掌

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中国外務省:明確に核兵器管理条約を拒絶 [安全保障全般]

中国が協議に応じる可能性を明確に否定
中国参加の可能性を匂わせる米国側発表を厳しく批判

Lijian.jpg10日、中国外務省報道官は、2021年2月に失効する米露2国間の新START条約の延長協議に関し、同条約の単純な延長ではなく、新たな米中露の3か国条約への拡大を狙っている米国に対し、中国がそのような条約への拒絶姿勢を明示しているにもかかわらず、中国に参加の可能性があるかのような情報を流布している米国を、「不誠実だ」と厳しく批判しました

新START条約は米露間(オバマ政権時)で2011年2月5日に発効したもので、双方の戦略核弾頭上限を1550発とし、その運搬手段である戦略ミサイルや爆撃機配備数上限を700に制限する条約です。有効期限は10年間で、最大5年の延長を可能とし、条約の履行検証は米露両国政府による相互査察により行うこととなっています

New START.jpg核兵器管理の条約には新STARTとINF全廃条約がありましたが、1987年12月8日に米露が署名し、相互に射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するINF全廃条約は、ロシアが条約を履行していないとして、トランプ政権が2019年8月2日に破棄通告しています

INF全廃条約破棄を受け、新START条約が核兵器管理の唯一の枠組みとなったことから、多くの専門家が同条約の延長すべきと主張していますが、トランプ大統領は本条約を「オバマ時代の悪いディールだ」と呼び、新START条約の延長はせず、中国も含めた米中露の3カ国で核兵器管理の合意を追及すべきだと発言しています

一方ロシアは、プーチン大統領が新START条約の延長を提案し、延長協議の中で露の最新ICBM等も議論の対象にする準備があるとの姿勢を示していますが、トランプ政権の露中米3カ国取り決め追求については、米露と比較して少ない核兵器しか保有しない中国が、保有核兵器削減を求める可能性のある議論を拒んでいる現実を踏まえて「非現実的だ」と距離を置いています

Putin-decree.jpgロシアが「議論の対象にする準備がある」と誘い文句にしている最新兵器の一つは、開発中の「Sarmat」(Satan2:RS-28)で、弾頭10-16個搭載し、音速の20倍で飛翔してミサイル防衛網を突破可能といわれる射程11000kmの新型ICBMで、北極圏経由のみならず、南極経由で米国を攻撃可能とロシアが明らかにして米国を仰天させた新兵器です。ロシア系研究機関が「10発で米国の全国民を殺害する威力がある」との試算も発表しています

更にAvangard超超音速兵器は、通常弾頭と核弾頭の両方を搭載可能で、大気中を音速の20倍以上で飛翔して敵の探知や迎撃兵器を無効化する兵器で、2019年12月に配備を開始するとプーチン大統領が発表した兵器で、米国には防御手段がない兵器です

最新兵器を条約延長協議の枠に入れることをチラつかせ、新START条約延長を提案するロシアの姿勢には、米側のミサイル防衛やICBM・超超音速兵器への「足かせ」を狙う下心などが見え隠れし、素直に喜べないところですが、このあたりで長かった前置き概要説明を終え、今日の話題であるもう一つの軸・中国の反応をご紹介します

10日付Military.com記事によれば
Arms Control China.jpg10日、中国外務省Zhao Lijian報道官は定例記者会見で、中国が核兵器管理条約の議論を明確に拒否しているにもかかわらず、米国側が条件次第で中国が議論に加わるとの情報を流布させ報道させていると厳しく非難し、改めて核兵器軍縮条約に加わる意思はないと記者団に語った
本件に関しては8日にも、中国外務省軍事管理部長であるFu Cong氏が、中国は米露と比較して極めて少数の核兵器しか保有していないことから、更なる保有兵器削減を要求するような条約に加わることは「非現実的:unrealistic」だと述べ、米国は自らが新START条約を延長しない口実を作るため、中国を誘っているに過ぎないと米国の姿勢を非難している

中国外務省報道官は、「米国の本件に対する姿勢は、真剣さもなく、誠実さもない。そんなことをしているくらいなら、ロシアからの条約延長提案に対応すべきだ」と批判し、「3か国条約案に対する中国の反対姿勢は極めて明確であると述べ、
2週間前にウィーンで行われた米露間の同条約関連協議に中国が参加する意思が全くなかったにもかかわらず、米側が「核軍縮交渉に第3国が加わる環境を整える必要がある」との報道を流し、中国が条約に参加する可能性があるかのような誤情報を拡散していると非難した
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DF-26.jpg中国外務省軍事管理部長の言葉「米国は自らが新START条約を延長しない口実として、中国を誘っているに過ぎない」が、現時点では一番説得力がある説明に聞こえます。トランプ大統領にとっては新START条約も、2019年8月に破棄通告したINF全廃条約と同程度の位置づけなのかもしれません

中国に関していえば、IISSの分析「米国がINF条約で禁じられていた兵器を開発してアジア太平洋地域への配備を示唆しても、中国を軍備管理のテーブルに着かせることはできないだろうとし、同時にまた、米国が同兵器開発や配備を控えたとしても、中国が軍備管理協議に興味を示すとは考えにくい」が残念ながら現実ですし、香港や尖閣周辺で中国が見せる最近の露骨な姿勢からも、コロナでの世界の混乱を攻勢のチャンスととらえた中国を止めることは容易でない・・・ということです

China-USA.jpgIISSの分析は更に米国が中国正面の西太平洋地域に巡航ミサイルを配備しようとしても、同ミサイルの配備先となる国々に中国が様々な圧力をかけるだろうから、配備自体が極めて困難だろうとも予測していました

混乱の米国は、新STARTの延長協議をどう収めるのでしょうか?

新START期限切れ関連
「延長へ米露交渉始まる!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18-1
「Esper新長官アジアへ中距離弾導入発言と新STARTの運命」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-08-04
「IISS:米国による対中国巡航ミサイル導入は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-09

ロシアの兵器開発とINF条約関連経緯
「第3の超超音速兵器Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
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