米軍艦艇が30年以上ぶりにバレンツ海進出 [Joint・統合参謀本部]
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
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最近の露航空機の挑発行動への反応か
女性第6艦隊司令官の指揮の下、英海軍とともに
4日、冷戦時代の1980年代半ば以降初めて、4隻の米海軍艦艇(駆逐艦3隻、補給艦1隻)と1隻の英海軍艦艇がロシアの懐であるバレンツ海に入り、北極圏における西側海軍のプレゼンスを示しました。
このところ、ロシア爆撃機のアラスカ周辺飛行や地中海での米海軍P-8への危険な接近飛行などがみられたことから、西側の姿勢を示し、北極圏への関与意図を明示する意味合いもあるものと考えられます。なお、同海域への進行航行は、ロシア側の誤解を避けるため5月1日に事前にロシア側に通告されていたようです。
ちなみに米海軍はここ数年、北極の氷減少に伴う環境の変化を受け、2018年には空母トルーマン戦闘群の一部艦艇と海兵隊のIwoJima強襲揚陸部隊を投入した演習「Trident Juncture」を北極圏で実施し、2019年にも米海軍駆逐艦とミサイル巡洋艦が活動して実績を残しつつあるところです
また、末尾の関連記事にあるように、米海軍はロシア海軍潜水艦隊が冷戦以降で最も活動が活発になっていると警戒を強めており、昨年末にはロシア潜水艦対処専用に第2艦隊を異例の体制で立ち上げ、特に北大西洋から北極海周辺の露潜水艦の活動情報集約と分析配分に新体制で臨んでいるところです
5日付Military.com記事によれば
●ロシア沿岸に近いバレンツ海を航行したのは、アーレイバーク級イージス艦Donald Cookのほか、駆逐艦Porterと駆逐艦Roosevelt、高速補給艦Supply、更に英海軍フリゲート艦Kentの計5隻である。
●バレンツ海航行の前には、これら艦艇は米海軍潜水艦やP-8哨戒機とともに、ノルウェー海で対潜水艦訓練を実施ており、合わせて約1200名の米英海軍兵士が参加している
●これら駆逐艦が所属する米第6艦隊のLisa Franchetti司令官(女性)は、「我々は地域の安全と安定を確保することにコミットしており、同時に北極圏沿岸諸国との信頼醸成や北極圏利用の基礎を構築することにも関与している」と米軍の姿勢を再確認する一方で、
●北極圏全般の状況を「予断を許さない、容赦のない状況」と述べ、「我が水上部隊は如何なる作戦行動にも備えなければならない。この荒涼たる海域の厳しい環境に慣れるためには、絶えざる警戒と訓練が欠かせないし、常にこの地域に我々の作戦の太鼓の音(steady drumbeat)を鳴り響かせなければならない」と強い意志を示した
5日付Nikkei Asia Review記事によれば
●バレンツ海沿岸のムルマンスクに拠点を置くロシア海軍バレンツ艦隊は、4日から米英艦艇の監視活動を開始している
●4月の記者会見で米国務省幹部は、北極圏へのテコ入れのため、約12億円の経済支援パッケージをグリーンランド(デンマーク領)に提供するとともに、夏の期間に米領事館をグリーンランドに設置すると発表している
●一方で北極圏に関し中国が、「北極圏近傍国家:near-Arctic state」との立場を主張し、北極圏のステイクホルダーとして議論への関与を要求していることに関し、ポンペイオ国務長官は「北極圏国家と非北極圏国家の2区分しか存在しない」、「第3のカテゴリーなど存在しないので、中国のnear-Arctic stateとの主張は受け入れない」と拒絶していることころである
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長らく北極圏について触れていませんが、コロナ関連の混乱の中で、粛々とバチバチとつばぜり合いは続いています。中国は「near-Arctic state」と主張するそうですが、この点では日本も中国と仲間になれそう・・・ではありませんねぇ・・・
第6艦隊司令官のFranchetti中将はイタリア系のお名前に見えますが、イタリアの南部ナポリに司令部を置く部隊指揮官としてコロナ対策に万全を期し、バレンツ海で頑張っていただきたいと思います
たくさんの北極圏関連記事を並べましたので、ご興味のある方はどうぞ・・・
活発なロシア軍潜水艦対応
「新設の米海軍第2艦隊はロシア潜水艦対処用」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03
「冷静後でロシア潜水艦が最も活発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21-1
北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
北極圏:米国防省と米軍の動き
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26
欧州・北極圏に関連する記事
「NATOが選挙妨害演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「グリーンランドに中国企業進出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-2
「B-1とB-52欧州展開等」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24-1
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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最近の露航空機の挑発行動への反応か
女性第6艦隊司令官の指揮の下、英海軍とともに
4日、冷戦時代の1980年代半ば以降初めて、4隻の米海軍艦艇(駆逐艦3隻、補給艦1隻)と1隻の英海軍艦艇がロシアの懐であるバレンツ海に入り、北極圏における西側海軍のプレゼンスを示しました。
このところ、ロシア爆撃機のアラスカ周辺飛行や地中海での米海軍P-8への危険な接近飛行などがみられたことから、西側の姿勢を示し、北極圏への関与意図を明示する意味合いもあるものと考えられます。なお、同海域への進行航行は、ロシア側の誤解を避けるため5月1日に事前にロシア側に通告されていたようです。
ちなみに米海軍はここ数年、北極の氷減少に伴う環境の変化を受け、2018年には空母トルーマン戦闘群の一部艦艇と海兵隊のIwoJima強襲揚陸部隊を投入した演習「Trident Juncture」を北極圏で実施し、2019年にも米海軍駆逐艦とミサイル巡洋艦が活動して実績を残しつつあるところです
また、末尾の関連記事にあるように、米海軍はロシア海軍潜水艦隊が冷戦以降で最も活動が活発になっていると警戒を強めており、昨年末にはロシア潜水艦対処専用に第2艦隊を異例の体制で立ち上げ、特に北大西洋から北極海周辺の露潜水艦の活動情報集約と分析配分に新体制で臨んでいるところです
5日付Military.com記事によれば
●ロシア沿岸に近いバレンツ海を航行したのは、アーレイバーク級イージス艦Donald Cookのほか、駆逐艦Porterと駆逐艦Roosevelt、高速補給艦Supply、更に英海軍フリゲート艦Kentの計5隻である。
●バレンツ海航行の前には、これら艦艇は米海軍潜水艦やP-8哨戒機とともに、ノルウェー海で対潜水艦訓練を実施ており、合わせて約1200名の米英海軍兵士が参加している
●これら駆逐艦が所属する米第6艦隊のLisa Franchetti司令官(女性)は、「我々は地域の安全と安定を確保することにコミットしており、同時に北極圏沿岸諸国との信頼醸成や北極圏利用の基礎を構築することにも関与している」と米軍の姿勢を再確認する一方で、
●北極圏全般の状況を「予断を許さない、容赦のない状況」と述べ、「我が水上部隊は如何なる作戦行動にも備えなければならない。この荒涼たる海域の厳しい環境に慣れるためには、絶えざる警戒と訓練が欠かせないし、常にこの地域に我々の作戦の太鼓の音(steady drumbeat)を鳴り響かせなければならない」と強い意志を示した
5日付Nikkei Asia Review記事によれば
●バレンツ海沿岸のムルマンスクに拠点を置くロシア海軍バレンツ艦隊は、4日から米英艦艇の監視活動を開始している
●4月の記者会見で米国務省幹部は、北極圏へのテコ入れのため、約12億円の経済支援パッケージをグリーンランド(デンマーク領)に提供するとともに、夏の期間に米領事館をグリーンランドに設置すると発表している
●一方で北極圏に関し中国が、「北極圏近傍国家:near-Arctic state」との立場を主張し、北極圏のステイクホルダーとして議論への関与を要求していることに関し、ポンペイオ国務長官は「北極圏国家と非北極圏国家の2区分しか存在しない」、「第3のカテゴリーなど存在しないので、中国のnear-Arctic stateとの主張は受け入れない」と拒絶していることころである
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長らく北極圏について触れていませんが、コロナ関連の混乱の中で、粛々とバチバチとつばぜり合いは続いています。中国は「near-Arctic state」と主張するそうですが、この点では日本も中国と仲間になれそう・・・ではありませんねぇ・・・
第6艦隊司令官のFranchetti中将はイタリア系のお名前に見えますが、イタリアの南部ナポリに司令部を置く部隊指揮官としてコロナ対策に万全を期し、バレンツ海で頑張っていただきたいと思います
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活発なロシア軍潜水艦対応
「新設の米海軍第2艦隊はロシア潜水艦対処用」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03
「冷静後でロシア潜水艦が最も活発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21-1
北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
北極圏:米国防省と米軍の動き
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20
ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26
欧州・北極圏に関連する記事
「NATOが選挙妨害演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「グリーンランドに中国企業進出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-2
「B-1とB-52欧州展開等」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24-1
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15
ブログサポーターご紹介ページ
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2020-05-07 05:00
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