米空軍調達を知る剛腕Kendall氏が空軍長官候補に [米空軍]
オバマ政権で調達&開発担当国防次官を4年
陸軍士官学校卒で航空工学修士とMBAと法学博士
F-35低度量産開始時に「米軍の悪しき習慣だ」と酷評
F-35調達数削減配置か? ICBM存続で現ICBM延命か?
27日付各種報道が、バイデン政権が次期空軍長官にFrank Kendall元調達&開発担当国防次官(71歳:シンクタンクCPA上席研究員)を指名し、空軍副長官候補にフィリピン系女性で元空軍士官のGina Ortiz Jones氏(40歳)が初めて有色人種女性として推薦したと報じました
Frank Kendall氏は、オバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、権限委任による国防省調達の迅速化や効率化を強力に進めた剛腕で名をはせた人物です。
特に航空機や宇宙アセットの調達改革に取り組みましたが、F-35の開発との同時本格生産開始が決定された際は、「米軍の悪しき習慣だ」、「私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う」と担当次官らしからぬ本音発言で物議をかもしました
また、将来航空戦力検討の過程では「航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している」と述べ、足の短い戦闘機への投資にくぎを刺すような発言も遠慮なくしていた剛腕次官でした
一方のGina Ortiz Jones副長官候補は、空軍士官として3年、国防情報局DIAで情報分析官として勤務し、その後米通商代表部でオバマ政権とトランプ政権にまたがって勤務し、2018年にテキサス州上院議員選挙に出馬したが落選し、2019年にも再度挑戦するも2回目の落選を経験している方です。15歳で母親にレズビアンであることを告白するも、当時の米軍の「言わない、聞かない」方針に沿って、空軍勤務間は性的志向を公言しなかった方です
勝手な想像ですが、Frank Kendall氏は豊富な経験から、F-35や次期ICBM調達など重要な調達問題目白押しの米空軍での仕切りを期待されてのノミネートで、F-35調達数削減への道を開くことが第一優先任務でしょう。Jones副長官候補は、初のアジア系女性副長官やレズビアン副長官としての「多様性」話題を狙ってのバイデン政権人事だと思われます
Frank Kendall氏のご経歴など
●1949年1月生まれの71歳で、陸軍士官学校をJack Reed上院軍事委員長と同期生として卒業。10年間陸軍士官として勤務し、陸軍士官学校で施設工学の教官も務めた経験がある
●航空宇宙工学修士を加州工科大学で、MBAをロングアイランド大学で、法学博士号をジョージタウン大で取得
●1990年代には軍需産業レイセオンで研究開発副社長として勤務し、国防省入省直前は国防関連コンサル会社Renaissance Strategic Advisorsで経営人の一角を占めていた
●国防省では、国防長官室で戦術戦闘検討部長や戦略国防システム担当次官補代理などを務めた
●オバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、調達兵站と研究開発の両方を同時に担当した最後の国防次官となった
////////////////////////////////////////////////////////
上記でご紹介したように、国防予算右肩下がりのオバマ政権時代の調達担当次官で、特にF-35をはじめとする米空軍航空宇宙アセット調達に深くかかわった人物です
陸軍士官学校卒業ながら航空宇宙工学修士号を持ち、空軍調達には一言もつ剛腕の空軍長官と、初の黒人空軍参謀総長として「変化しなければ敗北する」と背水の陣で改革に臨むBrown大将のコンビに、レズビアン女性アジア系副長官のトリオが、如何なる方向に米空軍を導くのか注目してまいりましょう
Kendall氏が国防次官当時の記事
「米国防省内部でF-35計画見積を巡り内紛」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-09
「将来航空機投資を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-10-25
「レーザー兵器は万能薬ではない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-09-12
「F-35をまとめ買いで安く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-05-31
「Offset Strategy」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-09-06-1
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陸軍士官学校卒で航空工学修士とMBAと法学博士
F-35低度量産開始時に「米軍の悪しき習慣だ」と酷評
F-35調達数削減配置か? ICBM存続で現ICBM延命か?
27日付各種報道が、バイデン政権が次期空軍長官にFrank Kendall元調達&開発担当国防次官(71歳:シンクタンクCPA上席研究員)を指名し、空軍副長官候補にフィリピン系女性で元空軍士官のGina Ortiz Jones氏(40歳)が初めて有色人種女性として推薦したと報じました
Frank Kendall氏は、オバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、権限委任による国防省調達の迅速化や効率化を強力に進めた剛腕で名をはせた人物です。
特に航空機や宇宙アセットの調達改革に取り組みましたが、F-35の開発との同時本格生産開始が決定された際は、「米軍の悪しき習慣だ」、「私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う」と担当次官らしからぬ本音発言で物議をかもしました
また、将来航空戦力検討の過程では「航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している」と述べ、足の短い戦闘機への投資にくぎを刺すような発言も遠慮なくしていた剛腕次官でした
一方のGina Ortiz Jones副長官候補は、空軍士官として3年、国防情報局DIAで情報分析官として勤務し、その後米通商代表部でオバマ政権とトランプ政権にまたがって勤務し、2018年にテキサス州上院議員選挙に出馬したが落選し、2019年にも再度挑戦するも2回目の落選を経験している方です。15歳で母親にレズビアンであることを告白するも、当時の米軍の「言わない、聞かない」方針に沿って、空軍勤務間は性的志向を公言しなかった方です
勝手な想像ですが、Frank Kendall氏は豊富な経験から、F-35や次期ICBM調達など重要な調達問題目白押しの米空軍での仕切りを期待されてのノミネートで、F-35調達数削減への道を開くことが第一優先任務でしょう。Jones副長官候補は、初のアジア系女性副長官やレズビアン副長官としての「多様性」話題を狙ってのバイデン政権人事だと思われます
Frank Kendall氏のご経歴など
●1949年1月生まれの71歳で、陸軍士官学校をJack Reed上院軍事委員長と同期生として卒業。10年間陸軍士官として勤務し、陸軍士官学校で施設工学の教官も務めた経験がある
●航空宇宙工学修士を加州工科大学で、MBAをロングアイランド大学で、法学博士号をジョージタウン大で取得
●1990年代には軍需産業レイセオンで研究開発副社長として勤務し、国防省入省直前は国防関連コンサル会社Renaissance Strategic Advisorsで経営人の一角を占めていた
●国防省では、国防長官室で戦術戦闘検討部長や戦略国防システム担当次官補代理などを務めた
●オバマ政権時の2010年から12年にかけ調達担当国防次官補を務め、続く12年から16年まで調達兵站&開発担当国防次官として「Better Buying Power initiative」をWork副長官らと推進し、調達兵站と研究開発の両方を同時に担当した最後の国防次官となった
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上記でご紹介したように、国防予算右肩下がりのオバマ政権時代の調達担当次官で、特にF-35をはじめとする米空軍航空宇宙アセット調達に深くかかわった人物です
陸軍士官学校卒業ながら航空宇宙工学修士号を持ち、空軍調達には一言もつ剛腕の空軍長官と、初の黒人空軍参謀総長として「変化しなければ敗北する」と背水の陣で改革に臨むBrown大将のコンビに、レズビアン女性アジア系副長官のトリオが、如何なる方向に米空軍を導くのか注目してまいりましょう
Kendall氏が国防次官当時の記事
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米国務省が豪州へのMQ-9B輸出許可 [安全保障全般]
今後、議会承認や価格交渉があるも12機が豪州へ
関連機材や兵器やセンサー等含め約1800億円
4月23日、米国務省が豪州への12機の無人偵察攻撃機MQ-9B SkyGuardian売却をFMS形式で承認すると発表しました。
この承認は、あくまで米国政府として安全保障などの国際関係上問題ないとの判断を示したもので、今後米議会の承認を受け、その後に具体的な価格交渉に入るとの前段階の審査結果ですが、対中国で米国とガッチリスクラムの豪州が相手ですから、価格面で折り合えば何の問題もなく売却に進みます
豪州は2018年に豪空軍用の中高度長期在空無人機の選定に入り、MQ-9 Reaperと今回承認を受けたMQ-9B SkyGuardianを候補に挙げて比較検討しているようです
MQ-9 Reaperと今回承認を受けたMQ-9B SkyGuardianの違いは、原型であるMQ-9 Reaperを改良し、有人機と無人機が同一空域で飛行可能な条件として欧州が定めた飛行規制に対応ている点です。一方で、NATOの装備規格STANAG 4671は引き続き満たしており、MQ-9の海外輸出版とも呼ばれています。
MQ-9Bは2018年7月に大西洋横断に成功し、大きく報道されたところです
輸出版MQ-9であるMQ-9B SkyGuardianの購入国は、英国空軍のほか、台湾空軍が4機予定しており、ベルギーとUAEも購入を計画していると報じられています
またMQ-9の非武装型であるMQ-9ガーディアンは、米国の税関・国境警備隊で使用されており、沿岸警備隊は海洋監視用に改修した「シーガーディアン」を使用しています。日本の海上保安庁も、東シナ海の海洋監視を目的として、2020年から実証実験を行っています
国務省が承認した交渉の出発点となる価格は1800億円とされており、これには機体12機、エンジン、地上操作装置、訓練用シュミレータ、衛星通信用装置、操縦者や操作員と機体との通信装置の価格が含まれているようです
具体的な装備としては
Targeting System-D electro-optical/infrared sensors;
Lynx AN/APY-8 synthetic aperture radars;
Leonardo’s SAGE 750 electronic support measure system;
Rio communication intelligence systems; and
six Joint Direct Attack Munition tail kits が含まれているようです
MQ-9の概要:Wikipedia情報によれば
製作: General Atomics
操縦員(遠隔操作): 2名(操縦者1名、センサー員1名)
エンジン: Honeywell TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
長さ: 11 m (36 ft) 翼幅: 20 m (66 ft)
機体重量: 2,223 kg (4,900 lb) 最大離陸重量:4,760 kg (10,500 lb)
最高高度: 15,200m (50,000 ft) 運用高度:7,600m (25,000 ft)
滞空時間: 14〜28時間
航続距離: 5,926 km (3,200 nmi,)
ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
最高速度:482 km/h (260 knots)、巡航速度:276-313 km/h (150-170 knots)
自衛隊が海上保安庁に先を越された形です。RQ-4グローバルホークなんかじゃなくて、MQ-9にしておけばよかったのに・・・。戦闘機命派や有人対潜哨戒機命派の強固な組織防衛のため、無人機導入に関し、全てで後手後手になっている自衛隊です
関連の記事
「本格紛争対応に一部を機体改修へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-22
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-26
「CSBAが米空軍の将来体制を提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「ハドソン研:68機MQ-4では不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-23
「米海軍のMQ-4グアム配備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-29
「CSISが米空軍の無人機用に苦言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-31
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関連機材や兵器やセンサー等含め約1800億円
4月23日、米国務省が豪州への12機の無人偵察攻撃機MQ-9B SkyGuardian売却をFMS形式で承認すると発表しました。
この承認は、あくまで米国政府として安全保障などの国際関係上問題ないとの判断を示したもので、今後米議会の承認を受け、その後に具体的な価格交渉に入るとの前段階の審査結果ですが、対中国で米国とガッチリスクラムの豪州が相手ですから、価格面で折り合えば何の問題もなく売却に進みます
豪州は2018年に豪空軍用の中高度長期在空無人機の選定に入り、MQ-9 Reaperと今回承認を受けたMQ-9B SkyGuardianを候補に挙げて比較検討しているようです
MQ-9 Reaperと今回承認を受けたMQ-9B SkyGuardianの違いは、原型であるMQ-9 Reaperを改良し、有人機と無人機が同一空域で飛行可能な条件として欧州が定めた飛行規制に対応ている点です。一方で、NATOの装備規格STANAG 4671は引き続き満たしており、MQ-9の海外輸出版とも呼ばれています。
MQ-9Bは2018年7月に大西洋横断に成功し、大きく報道されたところです
輸出版MQ-9であるMQ-9B SkyGuardianの購入国は、英国空軍のほか、台湾空軍が4機予定しており、ベルギーとUAEも購入を計画していると報じられています
またMQ-9の非武装型であるMQ-9ガーディアンは、米国の税関・国境警備隊で使用されており、沿岸警備隊は海洋監視用に改修した「シーガーディアン」を使用しています。日本の海上保安庁も、東シナ海の海洋監視を目的として、2020年から実証実験を行っています
国務省が承認した交渉の出発点となる価格は1800億円とされており、これには機体12機、エンジン、地上操作装置、訓練用シュミレータ、衛星通信用装置、操縦者や操作員と機体との通信装置の価格が含まれているようです
具体的な装備としては
Targeting System-D electro-optical/infrared sensors;
Lynx AN/APY-8 synthetic aperture radars;
Leonardo’s SAGE 750 electronic support measure system;
Rio communication intelligence systems; and
six Joint Direct Attack Munition tail kits が含まれているようです
MQ-9の概要:Wikipedia情報によれば
製作: General Atomics
操縦員(遠隔操作): 2名(操縦者1名、センサー員1名)
エンジン: Honeywell TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
長さ: 11 m (36 ft) 翼幅: 20 m (66 ft)
機体重量: 2,223 kg (4,900 lb) 最大離陸重量:4,760 kg (10,500 lb)
最高高度: 15,200m (50,000 ft) 運用高度:7,600m (25,000 ft)
滞空時間: 14〜28時間
航続距離: 5,926 km (3,200 nmi,)
ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
最高速度:482 km/h (260 knots)、巡航速度:276-313 km/h (150-170 knots)
自衛隊が海上保安庁に先を越された形です。RQ-4グローバルホークなんかじゃなくて、MQ-9にしておけばよかったのに・・・。戦闘機命派や有人対潜哨戒機命派の強固な組織防衛のため、無人機導入に関し、全てで後手後手になっている自衛隊です
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対テロ戦力だったMQ-9を本格紛争用に改修へ [米空軍]
保有270機の中の70機を改良へ
使い道や改良の細部は不明ながら10年延命措置も
21日、米空軍がMQ-9無人偵察攻撃機の本格紛争用への能力向上改修のため、製造企業であるGeneral Atomics社と約300億円の契約を結んだと発表しました。契約には19機の改修経費が含まれ、最終的には保有機270機の中の71機に改修を行うようです。またこの改修には、機体寿命を10-15年延長するための延命措置も含まれているとのことです
これまで、MQ-9改修計画は全く耳にしないとお伝えし、「旧世代兵器は消え去るのみ・・・」などとご紹介したこともあったのですが、水面下で能力向上の検討が行われていたようです
もちろん前線部隊からは、MQ-9の改修型より、ステルス性を持つ新型無人偵察攻撃機「MQ-X」開発を望む声が多いようですが、270機も保有するMQ-9を簡単に捨てるわけにもいかず、残りの寿命を有効に活用する検討が行われていたことはご紹介していました。
例えば昨年9月には、演習「Exercise Agile Reaper」が西海岸の海上中心に3週間以上実施され、空母戦闘群や潜水艦など米海軍アセットや、特殊作戦部隊や海兵隊、C-130輸送機なども参加し、MQ-9の航続性能と長時間在空能力を生かし、対中国作戦での「strike coordination and reconnaissance」や「combat search and rescue」などなどに活用する試みが行われ、部隊の機動展開能力向上にも取り組んでいたようです
21日付米空軍協会web記事によれば
●GA社との契約発表を行った米空軍Life Cycle Management Center(AFLCMC)は、具体的な能力向上改修の中身は「closely held:閉鎖情報管理」するとしているが、最初の改修は電子妨害対処能力を向上させる「自己防御用の電子妨害対処アンテナシステム」だと説明している
●そのほかには、データリンク能力、発電能力、照準センサー関連の能力アップが図られ、「open-architecture」採用による迅速な最新技術受け入れ能力アップも改修項目に含まれている模様である
●米空軍AFLCMCはこの改修の背景を、MQ-9は今、過激派組織対処(C-VEO:Counter-Violent Extremist Organizations)のISRや攻撃任務から、強固に防御された厳しい作戦空域での任務にシフトしつつあると説明している
●そして改修されたMQ-9は新たな名前を付与され、「MQ-9 Multi-Domain Operations (M2DO) system」と呼ばれるようになり、「2035年まで作戦上有効であり続けるだろう」ともAFLCMCは説明した
●ただし、電力供給能力向上に伴い誰もが想定する「電子戦能力向上」に関しては、上記の電子妨害対処用アンテナ改修以外には答えられないと対応した
////////////////////////////////////////////
昨年9月の演習「Exercise Agile Reaper」をご紹介した際に、MQ-9部隊の指揮官(中佐)が、MQ-9操縦者やセンサー捜査員の教育プログラムを約1か月間延長し、より複雑な作戦地域を想定した内容を付加したと部隊の変革を語っていました
また「この演習は、我が部隊が世界中どこへでも、未経験の場所へでも迅速に機動展開できることを示す良い機会であり、統合戦力に海洋作戦状況を提供する能力を示すチャンスでもある」とアピールし、演習後は「我々が迅速に展開を完了し、MQ-9の運用を開始し始めたことで、他の演習参加者たちを驚かせた」と語っていました
有事に西太平洋の島々へ、MQ-9を展開させる運用する余裕が米軍にあるのか、秘められた活用方法があるのか等、興味は尽きないところですが、いつもながら決してあきらめず「コツコツ」と取り組む姿勢には感心します
関連の記事
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使い道や改良の細部は不明ながら10年延命措置も
21日、米空軍がMQ-9無人偵察攻撃機の本格紛争用への能力向上改修のため、製造企業であるGeneral Atomics社と約300億円の契約を結んだと発表しました。契約には19機の改修経費が含まれ、最終的には保有機270機の中の71機に改修を行うようです。またこの改修には、機体寿命を10-15年延長するための延命措置も含まれているとのことです
これまで、MQ-9改修計画は全く耳にしないとお伝えし、「旧世代兵器は消え去るのみ・・・」などとご紹介したこともあったのですが、水面下で能力向上の検討が行われていたようです
もちろん前線部隊からは、MQ-9の改修型より、ステルス性を持つ新型無人偵察攻撃機「MQ-X」開発を望む声が多いようですが、270機も保有するMQ-9を簡単に捨てるわけにもいかず、残りの寿命を有効に活用する検討が行われていたことはご紹介していました。
例えば昨年9月には、演習「Exercise Agile Reaper」が西海岸の海上中心に3週間以上実施され、空母戦闘群や潜水艦など米海軍アセットや、特殊作戦部隊や海兵隊、C-130輸送機なども参加し、MQ-9の航続性能と長時間在空能力を生かし、対中国作戦での「strike coordination and reconnaissance」や「combat search and rescue」などなどに活用する試みが行われ、部隊の機動展開能力向上にも取り組んでいたようです
21日付米空軍協会web記事によれば
●GA社との契約発表を行った米空軍Life Cycle Management Center(AFLCMC)は、具体的な能力向上改修の中身は「closely held:閉鎖情報管理」するとしているが、最初の改修は電子妨害対処能力を向上させる「自己防御用の電子妨害対処アンテナシステム」だと説明している
●そのほかには、データリンク能力、発電能力、照準センサー関連の能力アップが図られ、「open-architecture」採用による迅速な最新技術受け入れ能力アップも改修項目に含まれている模様である
●米空軍AFLCMCはこの改修の背景を、MQ-9は今、過激派組織対処(C-VEO:Counter-Violent Extremist Organizations)のISRや攻撃任務から、強固に防御された厳しい作戦空域での任務にシフトしつつあると説明している
●そして改修されたMQ-9は新たな名前を付与され、「MQ-9 Multi-Domain Operations (M2DO) system」と呼ばれるようになり、「2035年まで作戦上有効であり続けるだろう」ともAFLCMCは説明した
●ただし、電力供給能力向上に伴い誰もが想定する「電子戦能力向上」に関しては、上記の電子妨害対処用アンテナ改修以外には答えられないと対応した
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昨年9月の演習「Exercise Agile Reaper」をご紹介した際に、MQ-9部隊の指揮官(中佐)が、MQ-9操縦者やセンサー捜査員の教育プログラムを約1か月間延長し、より複雑な作戦地域を想定した内容を付加したと部隊の変革を語っていました
また「この演習は、我が部隊が世界中どこへでも、未経験の場所へでも迅速に機動展開できることを示す良い機会であり、統合戦力に海洋作戦状況を提供する能力を示すチャンスでもある」とアピールし、演習後は「我々が迅速に展開を完了し、MQ-9の運用を開始し始めたことで、他の演習参加者たちを驚かせた」と語っていました
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米情報機関トップが中国開発宇宙脅威を語る [サイバーと宇宙]
講道館で柔道を学んだ経験もある女性
オバマ時に女性初のCIA副長官や安全保障大統領副補佐官
14日、米国の政府情報機関すべてを束ねる国家情報長官(DNI:Director of National Intelligence)に女性として初めて就任しているAvril Haines氏が、上院情報委員会でDNIの年次リスクレポート(Global Risk Assessment report)について証言し、中国の宇宙脅威について語りました
DNIは、911同時多発テロを事前に察知防止できなかった反省を踏まえ、セクショナリズムナリズムに陥っていた米国の政府情報機関(CIAや国防省情報機関などなど)を束ねるポストとして2005年に設立され、大統領と国家安全保障会議の情報補佐官としての役割を担っており、毎日大統領に情報ブリーフィング(President's Daily Brief:大統領と大統領が承認した人物のみ閲覧可能)を行うポストです
Avril Haines氏は、高校卒業後に日本に1年間滞在し、その際柔道の講道館に所属した経験がある女性で、シカゴ大学で物理学士を取得した後の20代にはボルチモアの田舎でカフェを経営し、カフェでの詩の朗読を売りにしていた変わった方ですが、33歳でジョージタウン大学法学博士を取得し、国務省の条約局や政治軍事局でキャリアをスタートしています
その後、上院外交委員会の法律副主任として時のバイデン外交委員長を支え、2010年からはオバマ政権のホワイトハウスで安全保障担当スタッフを務め、2013年にオバマ大統領によって初の女性CIA副長官に指名されています。そしてCIA副長官の後は2017年まで女性初の安全保障担当副補佐官を務めました
そんなDNI女性が上院で、ロシアの宇宙脅威を説明するとともに、中国の宇宙能力開発を米国の技術競争力に対する「一番の脅威だ」と語ったようです
14日付Defense-News記事によれば
●Avril Haines国家情報長官(DNI)は、中国は人民解放軍を中核として、米国を宇宙で出し抜くため、また米国が宇宙での主導権から得ていた軍事・経済面などでの利益を確保するため、米国や同盟国の衛星攻撃能力を多様な手法で獲得する野望に向かって突き進んでおり、既に一部は実用化されていると語った
●年次レポートは広範なリスク分析の報告であるが、その中ではロシアの宇宙能力が引き続き脅威であることと共に、中国の宇宙能力開発を米国の技術競争力に対する「一番の脅威だ」と位置付けている
●中国が着手した138個の商用地球監視衛星群に関する委員からの質問に対しDNIは、米国の宇宙支配に対する中国による多様な挑戦の一つだと回答したが、米国側の能力について保全上触れなかった
●そしてHaines国家情報長官は、「一般常識として、中国は米国の宇宙での指導的立場にとって代わるため、米国よりも多様な分野で懸命な取り組みを続けており、宇宙でリーダーシップを獲得することに焦点があることは疑う余地はない」と語った
●滅多に公の場で語らないDNIが議会で証言した背景には、秘密のベールに包まれ、米議会で中国の宇宙脅威への理解が不足しているとの一部議員の危機感と証言実現への働き掛けがあったと言われている
●米国情報機関は具体的な中国の活動として、中国は2022~24年までに低高度軌道に宇宙ステーションを投入し、ロボットによる継続観測を企図して月面への探査ミッションを継続し、将来的には「断続的な人間チーム派遣」を目指すと分析している
●中国の対宇宙兵器開発が増加しつつある状況についてレポートは、2019年に解放軍の宇宙支援部隊が地上発射対衛星兵器の訓練を開始し、既に低高度軌道の衛星のデリケートな光学センサーを無効化(blind or damage)する地上発射ミサイルや地上発射レーザー兵器を配備していると記している
●またレポートは、中露両国が対衛星兵器部隊の増勢に取り組み、新たな破壊及び非破壊型対衛星兵器の配備が続いているとし、
●ロシアについても、「電磁波妨害やサイバー妨害、エネルギー兵器、地上及び衛星からの対衛星兵器で、米国や同盟国衛星を狙っている」、「大規模な偵察、通信、航法衛星ネットワークは、カギとなる対抗者であることを示している」と説明している
////////////////////////////////////////////////////////
DNIによる年次リスクレポート2021年(20ページ)
→https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/ATA-2021-Unclassified-Report.pdf
DNIによる議会証言関連報道
→https://www.airforcemag.com/dni-cyber-is-the-common-weapon-among-top-adversaries/
中国が「2022~24年までに低高度軌道に宇宙ステーションを投入」したら、スプートニクショックまではいかないまでも、少しは西側諸国に衝撃が走るのかもしれませんが、コロナの傷がいえるまで、中国の脅威への関心が高まるには時間がかかるのかもしれません
中国とロシアが西側民主主義の限界をチャンスととらえて攻勢を強める中、米国情報機関トップへの期待は高まるばかりです。かつてゲーツ氏が国防長官になる前に打診され断ったDNIポストですが、女性初の壁を何度も突破してきた講道館メンバーのAvril Haines氏に、ここは期待しておきましょう
中露の宇宙関連記事
「中国安全保障レポートはサイバー宇宙情報軍民」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-15
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26
最近の宇宙関連記事
「80トンの物量を世界中に宇宙経由で1時間以内で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08-1
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
「航空機からロケット発射で衛星を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-14
「宇宙軍の最初の攻撃兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-09
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
オバマ時に女性初のCIA副長官や安全保障大統領副補佐官
14日、米国の政府情報機関すべてを束ねる国家情報長官(DNI:Director of National Intelligence)に女性として初めて就任しているAvril Haines氏が、上院情報委員会でDNIの年次リスクレポート(Global Risk Assessment report)について証言し、中国の宇宙脅威について語りました
DNIは、911同時多発テロを事前に察知防止できなかった反省を踏まえ、セクショナリズムナリズムに陥っていた米国の政府情報機関(CIAや国防省情報機関などなど)を束ねるポストとして2005年に設立され、大統領と国家安全保障会議の情報補佐官としての役割を担っており、毎日大統領に情報ブリーフィング(President's Daily Brief:大統領と大統領が承認した人物のみ閲覧可能)を行うポストです
Avril Haines氏は、高校卒業後に日本に1年間滞在し、その際柔道の講道館に所属した経験がある女性で、シカゴ大学で物理学士を取得した後の20代にはボルチモアの田舎でカフェを経営し、カフェでの詩の朗読を売りにしていた変わった方ですが、33歳でジョージタウン大学法学博士を取得し、国務省の条約局や政治軍事局でキャリアをスタートしています
その後、上院外交委員会の法律副主任として時のバイデン外交委員長を支え、2010年からはオバマ政権のホワイトハウスで安全保障担当スタッフを務め、2013年にオバマ大統領によって初の女性CIA副長官に指名されています。そしてCIA副長官の後は2017年まで女性初の安全保障担当副補佐官を務めました
そんなDNI女性が上院で、ロシアの宇宙脅威を説明するとともに、中国の宇宙能力開発を米国の技術競争力に対する「一番の脅威だ」と語ったようです
14日付Defense-News記事によれば
●Avril Haines国家情報長官(DNI)は、中国は人民解放軍を中核として、米国を宇宙で出し抜くため、また米国が宇宙での主導権から得ていた軍事・経済面などでの利益を確保するため、米国や同盟国の衛星攻撃能力を多様な手法で獲得する野望に向かって突き進んでおり、既に一部は実用化されていると語った
●年次レポートは広範なリスク分析の報告であるが、その中ではロシアの宇宙能力が引き続き脅威であることと共に、中国の宇宙能力開発を米国の技術競争力に対する「一番の脅威だ」と位置付けている
●中国が着手した138個の商用地球監視衛星群に関する委員からの質問に対しDNIは、米国の宇宙支配に対する中国による多様な挑戦の一つだと回答したが、米国側の能力について保全上触れなかった
●そしてHaines国家情報長官は、「一般常識として、中国は米国の宇宙での指導的立場にとって代わるため、米国よりも多様な分野で懸命な取り組みを続けており、宇宙でリーダーシップを獲得することに焦点があることは疑う余地はない」と語った
●滅多に公の場で語らないDNIが議会で証言した背景には、秘密のベールに包まれ、米議会で中国の宇宙脅威への理解が不足しているとの一部議員の危機感と証言実現への働き掛けがあったと言われている
●米国情報機関は具体的な中国の活動として、中国は2022~24年までに低高度軌道に宇宙ステーションを投入し、ロボットによる継続観測を企図して月面への探査ミッションを継続し、将来的には「断続的な人間チーム派遣」を目指すと分析している
●中国の対宇宙兵器開発が増加しつつある状況についてレポートは、2019年に解放軍の宇宙支援部隊が地上発射対衛星兵器の訓練を開始し、既に低高度軌道の衛星のデリケートな光学センサーを無効化(blind or damage)する地上発射ミサイルや地上発射レーザー兵器を配備していると記している
●またレポートは、中露両国が対衛星兵器部隊の増勢に取り組み、新たな破壊及び非破壊型対衛星兵器の配備が続いているとし、
●ロシアについても、「電磁波妨害やサイバー妨害、エネルギー兵器、地上及び衛星からの対衛星兵器で、米国や同盟国衛星を狙っている」、「大規模な偵察、通信、航法衛星ネットワークは、カギとなる対抗者であることを示している」と説明している
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DNIによる年次リスクレポート2021年(20ページ)
→https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/ATA-2021-Unclassified-Report.pdf
DNIによる議会証言関連報道
→https://www.airforcemag.com/dni-cyber-is-the-common-weapon-among-top-adversaries/
中国が「2022~24年までに低高度軌道に宇宙ステーションを投入」したら、スプートニクショックまではいかないまでも、少しは西側諸国に衝撃が走るのかもしれませんが、コロナの傷がいえるまで、中国の脅威への関心が高まるには時間がかかるのかもしれません
中国とロシアが西側民主主義の限界をチャンスととらえて攻勢を強める中、米国情報機関トップへの期待は高まるばかりです。かつてゲーツ氏が国防長官になる前に打診され断ったDNIポストですが、女性初の壁を何度も突破してきた講道館メンバーのAvril Haines氏に、ここは期待しておきましょう
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資金不足でF-35兵站システムODIN開発停止 [亡国のF-35]
ALIS後継システムODINのソフト開発一時停止
要求より42%カットされた2021年度予算で資金尽きる
国防省F-35計画室長が衝撃の発表:再開時期説明できず
22日、米国防省F-35計画室長のEric Fick空軍中将が下院軍事委員会で、機能不全で部隊や関係機関に大混乱を引き起こしているF-35兵站情報システムALISの後継システムとして、2020年1月に開発が決定(2022年12月運用開始を計画)したODINのソフト開発が、見積りの甘さと資金不足で「戦略的停止strategic pause」状態に至ったと証言しました
また再開見込みについて同室長は説明できず、ALISからODINへの移行状況、ODINハードの開発状況、同機保有部隊の状況、及び使用可能資金状況を踏まえて検討し、最新の状況を米議会にも今後報告していくと述べるにとどまりました
兵站情報システムALIS(Autonomic Logistics Information System)の問題は語るに切ない惨状で、ソフト不具合からデータの誤処理が頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理施設を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機動展開用の機材が大きく重くかつネット接続できないなどなど、問題大爆発状態でした
いくら言ってもロッキードがALISを修正できないことから、2020年1月に国防省は開発費2兆円のALISをあきらめ新たなODIN(Operational Data Integrated Network)導入を決定し、ハードはロッキードだが、システム全体管理とソフトは国防省が主導して開発すると宣言しました。
その後、昨年9月には新ハードの一部導入が海兵隊部隊で始まり、「装備の重量が1/10に」、「データ処理速度が2-3倍に」、「使いやすさも改善で部隊でも好評」とかの大本営発表(米国防省F-35計画室)がなされていたところでした
22日付Defense-News記事によれば
●F-35計画室長は、2021年度のODIN関連予算が(おそらく予算要求額から)42%カットされたこともあり、ODINソフト開発の資金が底をついたことから、同開発を「戦略的停止strategic pause」したと証言した
●そして「ODIN開発は全ての面において前進していたが、ALISシステムの複雑性やODINへの移行業務量を過小評価していたことについて、幾つかの教訓を得ることとなった」と反省の弁を述べた
●また「我々はODINが想定されている地点に到達するため、ハード面でも、データ処理環境面でも、ソフト面でも必要するレベルに確実に到達し、ALISが期待されていた機能獲得追求を続ける」と語った
●ただし同室長はODINソフト開発再開時期については説明できず、ALISからODINへの移行状況、ODINハードの開発状況、同機保有部隊の状況、及び使用可能資金状況を踏まえて検討し、最新の状況を米議会にも今後報告していくと証言するにとどまった
●下院での発言とは別に提出された説明文書は、「ODINの装置はALISと比較して75%小型化され、重量も90%削減されており、価格も30%削減できる見込みである。またデータ処理速度も2-3倍速くなっていることが現場から報告されている」と説明している
●また同文書は、「今年夏には、単一機材で複数の飛行部隊を支えることが可能な、経費も節減できる新機材を提供開始する予定」で、「ALISからODINへの移行経費として、今後5年間で約500億円を投資する予定だ」と説明している
///////////////////////////////////////////////////
米国と「血の同盟」で結ばれたF-35共同開発国である英国がF-35調達予定機数を半減することを匂わせはじめ、1700機以上調達予定だった米空軍も1000機まで削減する検討中と報じられる中、共同開発国でもないFMS調達国待遇に甘んじつつも、世界第2位の調達機数を予定している日本は、「亡国のF-35」とともに没することになるのでしょうか・・・
あまりに悲しく、戦闘機のために汗を流している現場の隊員の皆様があまりにもかわいそうです。航空自衛隊のOBを含む戦闘機命派には、しっかり説明責任を果たしていただきたいと思います。
でもねぇ・・・航空自衛隊の主要ポストを務めた戦闘機パイロットは、退役後に外に向けて語ることがありませんねぇ・・・。パイロット以外の人しか研究会とか学会的なところには出てきませんし・・・。
ALISの後継システムODIN
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02
F-35維持費削減は極めて困難
「国防省F-35計画室長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-03
「米空軍参謀総長が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-02
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1
最近のF-35
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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また再開見込みについて同室長は説明できず、ALISからODINへの移行状況、ODINハードの開発状況、同機保有部隊の状況、及び使用可能資金状況を踏まえて検討し、最新の状況を米議会にも今後報告していくと述べるにとどまりました
兵站情報システムALIS(Autonomic Logistics Information System)の問題は語るに切ない惨状で、ソフト不具合からデータの誤処理が頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理施設を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機動展開用の機材が大きく重くかつネット接続できないなどなど、問題大爆発状態でした
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●ただし同室長はODINソフト開発再開時期については説明できず、ALISからODINへの移行状況、ODINハードの開発状況、同機保有部隊の状況、及び使用可能資金状況を踏まえて検討し、最新の状況を米議会にも今後報告していくと証言するにとどまった
●下院での発言とは別に提出された説明文書は、「ODINの装置はALISと比較して75%小型化され、重量も90%削減されており、価格も30%削減できる見込みである。またデータ処理速度も2-3倍速くなっていることが現場から報告されている」と説明している
●また同文書は、「今年夏には、単一機材で複数の飛行部隊を支えることが可能な、経費も節減できる新機材を提供開始する予定」で、「ALISからODINへの移行経費として、今後5年間で約500億円を投資する予定だ」と説明している
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米国と「血の同盟」で結ばれたF-35共同開発国である英国がF-35調達予定機数を半減することを匂わせはじめ、1700機以上調達予定だった米空軍も1000機まで削減する検討中と報じられる中、共同開発国でもないFMS調達国待遇に甘んじつつも、世界第2位の調達機数を予定している日本は、「亡国のF-35」とともに没することになるのでしょうか・・・
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戦略爆撃機による核抑止アラート待機復活を示唆 [Joint・統合参謀本部]
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新型ICBM開発が無くなりICBM待機が不可能になった場合
米戦略軍司令官が上院軍事委員会で訴える
20日、上院軍事委員会でCharles Richard戦略軍司令官が証言し、核抑止3本柱の一つであるICBM配備が維持できなくなったら、冷戦終了後に中止した戦略爆撃機のアラート待機を復活させざるをえなくなると訴え、バイデン政権内や民主党左派が検討している次期ICBM(GBSD)開発中止やICBM自体の廃止議論をけん制しました
同司令官が仮定した「もしICBM保有がなくなったら」との表現が、次期ICBM(GBSD: )開発が中止になり、かつ現ICBM(Minuteman III)の老朽化で非稼働になることを懸念しているのか、一気にICBM廃止をバイデン政権が「核態勢見直し: nuclear posture review」で打ち出す可能性を述べているのか不明です。
しかし、これまで同司令官が「現ICBM(Minuteman III)の延命は不可能」と訴え、次期ICBM(GBSD)開発予算の削減や開発延期を懸念していたレベルから一気に話が飛躍したことから、核抑止3本柱からICBMを無くし、戦略原潜と戦略爆撃機の2本柱体制への移行が本格的に議論されている可能性を感じさせます
サイバー兵器や宇宙兵器が、国家機能を停止されるほどのインパクトを持ち、なおかつ攻撃発信源の特定が困難な性格を帯びていることから、伝統的な核抑止の役割が低下しているとの議論と、次期ICBM(GBSD)開発に10兆円を超える莫大な予算が必要である現実を踏まえ、米国の核抑止3本柱維持が難しく成りりつつある様子を、戦略軍司令官の証言を機会に考えます
20日付Defnse-News記事によれば
●Richard戦略軍司令官は、「大統領が命じている全ての任務を遂行するには、核抑止の3本柱の、どの一つが欠けることも許容できない」と述べ、
●「既に現在でも、3本柱全が即応態勢にあるわけではない点が忘れられている」、「現時点でも既に即応態勢にあるのは2本柱(ICBMと潜水艦)だけである」とまず現状を説明した
●そして同司令官は、「仮にICBMがなくなれば、我々は完全に戦略原潜のみに核抑止を依存する事になる」、「仮にICBMがなくなれば、戦略爆撃機のアラート待機(核兵器を搭載しての滑走路脇での即応体制待機)の復活を要望することになると、私は既に国防長官に告げている」と述べた
●ただ同司令官は、ICBMが運用停止した場合に、どの爆撃機をアラート待機につけるかについては言及しなかった
●米空軍が保有する爆撃機で核兵器搭載可能なのは、核搭載巡航ミサイルを搭載可能なB-52と、重力投下型核爆弾B61とB83を搭載可能なB-2爆撃機であるが、開発中のLRSO(Long Range Stand Off weapon:しばしばこれも開発中止議論が起こる)は両機種に搭載可能な設計となってる。(B-1はSTART条約で通常弾頭のみ搭載可能)
●報道によれば、2017年に米空軍は北朝鮮の核脅威を受け、B-52の核搭載アラート待機準備を進めたと言われているが、最終的な実施指示は出なかったと言われている
●また同司令官は同委員会で、繰り返し現ICBM(Minuteman III)は老朽化が進んで延命措置が不可能である点と、2030年代の中国やロシアの脅威に対処するには次期ICBM(GBSD)開発の遅延は許容出来ない点を訴えた
●例えば同司令官は「現ICBM管制センターに入るためのスイッチの構造を知る者は既に存在せず、商売にならないそのような装置に取り組もうとする企業も存在しない」と延命の難しさを説明した
なお22日、米空軍Dawkins戦略計画部長は本件について
●戦略爆撃機にアラート待機を命じても、現有戦力では長く続けることはできない
●より多くのパイロット、爆撃機、整備員、核兵器管理施設、空中給油機を確保する必要がある
●次期ICBM開発は、現有ICBM延命措置よりも安価である
・・・と述べ、無理な話だと示唆しています
なお、可能性のあるB-52爆撃機保有76機の内、核兵器搭載可能なのは46機のみです
///////////////////////////////////////////////////
核兵器の3本柱議論について「疎い」まんぐーすには、Richard戦略軍司令官の3本柱不可欠論が弱いような気がしますが、配備後半世紀が経過する現ICBM(Minuteman III)の延命が困難なのは理解できる気がします
今後の議論の展開を注視するしかないのですが、ICBM維持に必要な経費が莫大であることを考えると、他に優先順位が高い兵器や装備開発があるような気はします。難しい問題です
GBSD関連の記事
「国防副長官の認識」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-03
「米戦略軍司令官がICBM延命論に怒りの反論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-07
「バイデン政権で国防政策はどう変わるのか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-09
ICBM後継に関する記事
「ボーイング怒りの撤退」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-07-27
「提案要求書RFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「次期ICBM(GBSD)企業選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
米軍「核の傘」で内部崩壊
「ICBMサイト初のオーバーホール」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-15
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29
21世紀の抑止概念を目指す
「同司令官が中露の軍事力増強と抑止を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-01
「米議会で専門家を交え中国抑止を議論」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-17
「新STASRT条約は延長へ!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-17
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
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新型ICBM開発が無くなりICBM待機が不可能になった場合
米戦略軍司令官が上院軍事委員会で訴える
20日、上院軍事委員会でCharles Richard戦略軍司令官が証言し、核抑止3本柱の一つであるICBM配備が維持できなくなったら、冷戦終了後に中止した戦略爆撃機のアラート待機を復活させざるをえなくなると訴え、バイデン政権内や民主党左派が検討している次期ICBM(GBSD)開発中止やICBM自体の廃止議論をけん制しました
同司令官が仮定した「もしICBM保有がなくなったら」との表現が、次期ICBM(GBSD: )開発が中止になり、かつ現ICBM(Minuteman III)の老朽化で非稼働になることを懸念しているのか、一気にICBM廃止をバイデン政権が「核態勢見直し: nuclear posture review」で打ち出す可能性を述べているのか不明です。
しかし、これまで同司令官が「現ICBM(Minuteman III)の延命は不可能」と訴え、次期ICBM(GBSD)開発予算の削減や開発延期を懸念していたレベルから一気に話が飛躍したことから、核抑止3本柱からICBMを無くし、戦略原潜と戦略爆撃機の2本柱体制への移行が本格的に議論されている可能性を感じさせます
サイバー兵器や宇宙兵器が、国家機能を停止されるほどのインパクトを持ち、なおかつ攻撃発信源の特定が困難な性格を帯びていることから、伝統的な核抑止の役割が低下しているとの議論と、次期ICBM(GBSD)開発に10兆円を超える莫大な予算が必要である現実を踏まえ、米国の核抑止3本柱維持が難しく成りりつつある様子を、戦略軍司令官の証言を機会に考えます
20日付Defnse-News記事によれば
●Richard戦略軍司令官は、「大統領が命じている全ての任務を遂行するには、核抑止の3本柱の、どの一つが欠けることも許容できない」と述べ、
●「既に現在でも、3本柱全が即応態勢にあるわけではない点が忘れられている」、「現時点でも既に即応態勢にあるのは2本柱(ICBMと潜水艦)だけである」とまず現状を説明した
●そして同司令官は、「仮にICBMがなくなれば、我々は完全に戦略原潜のみに核抑止を依存する事になる」、「仮にICBMがなくなれば、戦略爆撃機のアラート待機(核兵器を搭載しての滑走路脇での即応体制待機)の復活を要望することになると、私は既に国防長官に告げている」と述べた
●ただ同司令官は、ICBMが運用停止した場合に、どの爆撃機をアラート待機につけるかについては言及しなかった
●米空軍が保有する爆撃機で核兵器搭載可能なのは、核搭載巡航ミサイルを搭載可能なB-52と、重力投下型核爆弾B61とB83を搭載可能なB-2爆撃機であるが、開発中のLRSO(Long Range Stand Off weapon:しばしばこれも開発中止議論が起こる)は両機種に搭載可能な設計となってる。(B-1はSTART条約で通常弾頭のみ搭載可能)
●報道によれば、2017年に米空軍は北朝鮮の核脅威を受け、B-52の核搭載アラート待機準備を進めたと言われているが、最終的な実施指示は出なかったと言われている
●また同司令官は同委員会で、繰り返し現ICBM(Minuteman III)は老朽化が進んで延命措置が不可能である点と、2030年代の中国やロシアの脅威に対処するには次期ICBM(GBSD)開発の遅延は許容出来ない点を訴えた
●例えば同司令官は「現ICBM管制センターに入るためのスイッチの構造を知る者は既に存在せず、商売にならないそのような装置に取り組もうとする企業も存在しない」と延命の難しさを説明した
なお22日、米空軍Dawkins戦略計画部長は本件について
●戦略爆撃機にアラート待機を命じても、現有戦力では長く続けることはできない
●より多くのパイロット、爆撃機、整備員、核兵器管理施設、空中給油機を確保する必要がある
●次期ICBM開発は、現有ICBM延命措置よりも安価である
・・・と述べ、無理な話だと示唆しています
なお、可能性のあるB-52爆撃機保有76機の内、核兵器搭載可能なのは46機のみです
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核兵器の3本柱議論について「疎い」まんぐーすには、Richard戦略軍司令官の3本柱不可欠論が弱いような気がしますが、配備後半世紀が経過する現ICBM(Minuteman III)の延命が困難なのは理解できる気がします
今後の議論の展開を注視するしかないのですが、ICBM維持に必要な経費が莫大であることを考えると、他に優先順位が高い兵器や装備開発があるような気はします。難しい問題です
GBSD関連の記事
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米軍「核の傘」で内部崩壊
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21世紀の抑止概念を目指す
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ちょっと古いが米軍の即応態勢評価 [安全保障全般]
GAOによる2017-2019年の米軍即応態勢報告
議会に2020年1月までに報告された内容の公開版
国防省が評価指標を整備しないため部隊指揮官に調査
7日、米会計検査院GAOが米議会の指示で作成した米軍の即応態勢評価レポートの2017年~19年部分(議会には2018年8月から2020年1月に報告済)を、公開可能部分だけを公表しました。
その中身は、地上部隊は改善を示したものの、海分野は低下し、空・宇宙・サイバー分野は分野によりさまざまとの結果だったようです
なお、国防省は既に米議会に報告されている同レポートの内容について、概ね同意しているとGAOはコメントしています
この調査は、故マケイン議員らが中心となり2019年国防授権法で規定されたもので、約20年に及ぶ対テロ戦により米軍の本格紛争への即応態勢が低下しているとの危機感から米議会が求めたもので、2017年を基準年として2022年まで継続評価&議会報告することを法的に求めているものです
議会の命を受けたGAOは、2019年5月に国防省に対して即応態勢評価の指標を定めて改善状況を把握できるようにすべきだと指摘しましたが、国防省側は即応体制回復に取り組んで予算審議等の中で報告しており、各軍種も把握していると指標整備提言を無視する形で今日に至っています
そのような中、GAOは「Resource readiness:人員装備の充足状況等」と「Mission capability readiness:統合作戦任務の遂行可能状況」の2側面から、各部隊指揮官に「即応態勢にある」「条件付きで即応態勢にある」「そのレベルにない」の3段階で自身の部隊を評価して回答するよう依頼し、調査結果としてまとめています
調査では、陸海空に加え、宇宙とサイバーの5つのドメイン分野から、19個のミッションエリアの部隊を選び、上記のような指揮官への質問を行って集計した模様です。
米空軍の場合、19個のミッションエリアには、爆撃機部隊、戦闘機部隊、空中給油部隊、戦闘ヘリ部隊の4つのミッションエリアが選ばれ、部隊指揮官に対し質問したようです
GAOのwebサイトで約40ページのレポートが7日に公開されていますが、その中身の確認はサボって、8日付米空軍協会web記事から、レポートのさわりのさわりの概要だけをご紹介します
8日付米空軍協会web記事によれば
●GAOのDiana Maurer国防能力管理部長によるレポートは、「Resource Readiness」の視点で、19のミッションエリアで10エリアが改善傾向を示したが、海上分野は全てのエリアで改善が見られなかったと評価している
●「Mission capability readiness」の視点では、19エリアの中で、地上部隊関連の5エリアのみで改善が見られ、海空宇宙サイバー分野は全て低下傾向を示している
●個別に見ていくと、米空軍ではハリケーンで大きな被害を受けたF-22部隊へのダメージが大きく、陸軍のAH-64アパッチに代表される操縦者不足が、また海兵隊の軽攻撃ヘリは修理施設の能力限界などなどが、即応態勢低下の大きな原因となっている
●海上ミッションエリアでは、艦艇の修理補修を支える民間と国防省の造船修理施設の能力不足が、即応体制向上の大きな障害となっている
●宇宙分野では、まだ即応体制の目標設定が不明確な部門も多く、評価が難しいとGAOレポートはコメントしている
//////////////////////////////////////////////////
これだけの内容では米軍の即応態勢について語れませんが、本格紛争態勢が十分ではないとの危機感が米国にあることや、海空軍で厳しい状態にある傾向はご覧いただけると思います。
海軍艦艇の修理施設については何回か取り上げましたが、予算不足で部品や人の確保が困難となり、艦艇修理計画が連続で組めず、熟練作業員の雇用維持も若手の計画的採用や育成もできず、悲惨な状況にあることが話題となる惨状です。米海軍は衝突や火災事故も多く、人事のゴタゴタモ頻発しており、本当に心配です
艦艇修理の大問題
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
「空母確保困難でMQ-25給油機3年遅れか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-11
「軍需産業レポート2019」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
GAO関連の記事
「日韓への米軍駐留効果を評価」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-18
「米軍の女性採用&離職防止努力不足を指摘」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「F-35部品供給が増産に追い付かず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-13
「不明瞭な操縦者養成&訓練を非難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-14
「米空軍の無人機操縦者処遇を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-04-16
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議会に2020年1月までに報告された内容の公開版
国防省が評価指標を整備しないため部隊指揮官に調査
7日、米会計検査院GAOが米議会の指示で作成した米軍の即応態勢評価レポートの2017年~19年部分(議会には2018年8月から2020年1月に報告済)を、公開可能部分だけを公表しました。
その中身は、地上部隊は改善を示したものの、海分野は低下し、空・宇宙・サイバー分野は分野によりさまざまとの結果だったようです
なお、国防省は既に米議会に報告されている同レポートの内容について、概ね同意しているとGAOはコメントしています
この調査は、故マケイン議員らが中心となり2019年国防授権法で規定されたもので、約20年に及ぶ対テロ戦により米軍の本格紛争への即応態勢が低下しているとの危機感から米議会が求めたもので、2017年を基準年として2022年まで継続評価&議会報告することを法的に求めているものです
議会の命を受けたGAOは、2019年5月に国防省に対して即応態勢評価の指標を定めて改善状況を把握できるようにすべきだと指摘しましたが、国防省側は即応体制回復に取り組んで予算審議等の中で報告しており、各軍種も把握していると指標整備提言を無視する形で今日に至っています
そのような中、GAOは「Resource readiness:人員装備の充足状況等」と「Mission capability readiness:統合作戦任務の遂行可能状況」の2側面から、各部隊指揮官に「即応態勢にある」「条件付きで即応態勢にある」「そのレベルにない」の3段階で自身の部隊を評価して回答するよう依頼し、調査結果としてまとめています
調査では、陸海空に加え、宇宙とサイバーの5つのドメイン分野から、19個のミッションエリアの部隊を選び、上記のような指揮官への質問を行って集計した模様です。
米空軍の場合、19個のミッションエリアには、爆撃機部隊、戦闘機部隊、空中給油部隊、戦闘ヘリ部隊の4つのミッションエリアが選ばれ、部隊指揮官に対し質問したようです
GAOのwebサイトで約40ページのレポートが7日に公開されていますが、その中身の確認はサボって、8日付米空軍協会web記事から、レポートのさわりのさわりの概要だけをご紹介します
8日付米空軍協会web記事によれば
●GAOのDiana Maurer国防能力管理部長によるレポートは、「Resource Readiness」の視点で、19のミッションエリアで10エリアが改善傾向を示したが、海上分野は全てのエリアで改善が見られなかったと評価している
●「Mission capability readiness」の視点では、19エリアの中で、地上部隊関連の5エリアのみで改善が見られ、海空宇宙サイバー分野は全て低下傾向を示している
●個別に見ていくと、米空軍ではハリケーンで大きな被害を受けたF-22部隊へのダメージが大きく、陸軍のAH-64アパッチに代表される操縦者不足が、また海兵隊の軽攻撃ヘリは修理施設の能力限界などなどが、即応態勢低下の大きな原因となっている
●海上ミッションエリアでは、艦艇の修理補修を支える民間と国防省の造船修理施設の能力不足が、即応体制向上の大きな障害となっている
●宇宙分野では、まだ即応体制の目標設定が不明確な部門も多く、評価が難しいとGAOレポートはコメントしている
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これだけの内容では米軍の即応態勢について語れませんが、本格紛争態勢が十分ではないとの危機感が米国にあることや、海空軍で厳しい状態にある傾向はご覧いただけると思います。
海軍艦艇の修理施設については何回か取り上げましたが、予算不足で部品や人の確保が困難となり、艦艇修理計画が連続で組めず、熟練作業員の雇用維持も若手の計画的採用や育成もできず、悲惨な状況にあることが話題となる惨状です。米海軍は衝突や火災事故も多く、人事のゴタゴタモ頻発しており、本当に心配です
艦艇修理の大問題
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-22
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-16
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
「空母確保困難でMQ-25給油機3年遅れか」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-11
「軍需産業レポート2019」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
GAO関連の記事
「日韓への米軍駐留効果を評価」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-18
「米軍の女性採用&離職防止努力不足を指摘」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-20
「F-35部品供給が増産に追い付かず」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-13
「不明瞭な操縦者養成&訓練を非難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-14
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日本用グローバルホークが米国で初飛行 [ふと考えること]
4月15日加州Palmdale基地で
日本発注3機は2023年までに納入完了
3月18日に約70名の臨時偵察航空隊が三沢で編成済
4月15日、日本が3機導入予定のRQ-4Bグローバルホークの初飛行が、Northrop-Grumman社により加州Palmdaleで無事行われました
このRQ-4導入は自衛隊からの要求に基づき決まったものではなく、日米のドロドロの中で「政治マター」として決まったと言われており、導入後の機体管理や飛行運用に関しては陸海空で押し付けあった結果、仕方なく航空自衛隊が引き受け、収集した情報の分析は情報本部となったいきさつがある装備です
形式上は、日本の要求に基づき米国務省がFMS提供を2015年に承認し、2018年に3機と地上管制装置(2セット)と関連装備や初期部品等を合わせて約540億円で契約が結ばれた流れになっています。
また最近では、RQ-4を日本で受け入れる約70名の臨時偵察航空隊が、今年3月18日に航空自衛隊三沢基地で編成されたところです。
日本導入が議論されていた2014年頃から、グアム所属の米空軍RQ-4が台風避難との理由で、夏から秋に4機程度が三沢に展開する運用が続いており、日本に任務を移管する準備が進んでいたような印象を受けます。なお日本展開中、RQ-4は台湾周辺や南シナ海の偵察飛行を行う様子が公開情報で確認されています
ちなみに、先日ご紹介した米空軍による「2030年想定台湾シナリオWar Game」では、ステルス性のないRQ-4を米空軍は使用できず、小型無人機の群れやXQ-58Aやステルス無人偵察機導入を想定していた模様で、有事にRQ-4活躍の場確保は難しそうな状況です
ノースロップ・グラマン社は初飛行を受けた声明で
●非武装のRQ-4グローバルホークは、航空自衛隊が日本の領域を守り、脅威を監視し、必要に応じ人道支援の実施を支援する等、オンデマンド型のISR(情報収集・警戒監視・偵察)機能をもたらします。
●この初飛行の成功は、日本という米国の同盟国への、高高度長時間滞空型航空機の納入プロセスにおける、非常に意義深いマイルストーンとなります
●日本のグローバルホークが完全に運用態勢に入ると、日本は、米国の他の同盟国である、豪州、NATO、韓国と同様に、高高度長時間滞空型UAVを運用する国の一員として、この重要な国の監視アセットを運用することになります。
///////////////////////////////////////////////
3機の維持経費が毎年100億円との報道もあり、明るいニュースというよりは、気が重くなる報道ですが、何とか活用してほしいものです。
紹介したくない東京新聞半田記者の記事
「グローバルホーク日本導入の悲劇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-22
米空軍によるWarGameのご紹介
「米空軍による台湾シナリオWar Game」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-17
防衛省のRQ-4関連のQ&A
→https://www.mod.go.jp/rdb/tohoku/gyomusyokai/08_tihotyosei/oshirase/global-hawk/qa.html
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日本発注3機は2023年までに納入完了
3月18日に約70名の臨時偵察航空隊が三沢で編成済
4月15日、日本が3機導入予定のRQ-4Bグローバルホークの初飛行が、Northrop-Grumman社により加州Palmdaleで無事行われました
このRQ-4導入は自衛隊からの要求に基づき決まったものではなく、日米のドロドロの中で「政治マター」として決まったと言われており、導入後の機体管理や飛行運用に関しては陸海空で押し付けあった結果、仕方なく航空自衛隊が引き受け、収集した情報の分析は情報本部となったいきさつがある装備です
形式上は、日本の要求に基づき米国務省がFMS提供を2015年に承認し、2018年に3機と地上管制装置(2セット)と関連装備や初期部品等を合わせて約540億円で契約が結ばれた流れになっています。
また最近では、RQ-4を日本で受け入れる約70名の臨時偵察航空隊が、今年3月18日に航空自衛隊三沢基地で編成されたところです。
日本導入が議論されていた2014年頃から、グアム所属の米空軍RQ-4が台風避難との理由で、夏から秋に4機程度が三沢に展開する運用が続いており、日本に任務を移管する準備が進んでいたような印象を受けます。なお日本展開中、RQ-4は台湾周辺や南シナ海の偵察飛行を行う様子が公開情報で確認されています
ちなみに、先日ご紹介した米空軍による「2030年想定台湾シナリオWar Game」では、ステルス性のないRQ-4を米空軍は使用できず、小型無人機の群れやXQ-58Aやステルス無人偵察機導入を想定していた模様で、有事にRQ-4活躍の場確保は難しそうな状況です
ノースロップ・グラマン社は初飛行を受けた声明で
●非武装のRQ-4グローバルホークは、航空自衛隊が日本の領域を守り、脅威を監視し、必要に応じ人道支援の実施を支援する等、オンデマンド型のISR(情報収集・警戒監視・偵察)機能をもたらします。
●この初飛行の成功は、日本という米国の同盟国への、高高度長時間滞空型航空機の納入プロセスにおける、非常に意義深いマイルストーンとなります
●日本のグローバルホークが完全に運用態勢に入ると、日本は、米国の他の同盟国である、豪州、NATO、韓国と同様に、高高度長時間滞空型UAVを運用する国の一員として、この重要な国の監視アセットを運用することになります。
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3機の維持経費が毎年100億円との報道もあり、明るいニュースというよりは、気が重くなる報道ですが、何とか活用してほしいものです。
紹介したくない東京新聞半田記者の記事
「グローバルホーク日本導入の悲劇」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-22
米空軍によるWarGameのご紹介
「米空軍による台湾シナリオWar Game」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-17
防衛省のRQ-4関連のQ&A
→https://www.mod.go.jp/rdb/tohoku/gyomusyokai/08_tihotyosei/oshirase/global-hawk/qa.html
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DARPAが核熱推進システム設計を3企業と契約 [サイバーと宇宙]
Nuclear Thermal Propulsion核熱推進との技術
「原子力ロケット」とも呼ばれることも・・・
13日付C4isrnetは、DARPAがDRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画の一環として、「NTP:核熱推進」システムの設計契約を、3企業(General Atomics, Blue Origin and Lockheed Martin)と12日に結んだと紹介しています
「Cislunar Operations」とは地球と月の間の空間での宇宙作戦を意味しており、同空間での迅速機敏な移動を可能にする推進装置を、2025年までに「above low Earth orbit」で実現するため、「NTP:核熱推進」との挑戦的な分野にDARPAが乗り出したようです
担当のNathan Greiner空軍少佐は、「選ばれた企業チームは、先進原子炉、推進剤、宇宙船を設計開発する能力を有することを示したメンバーで構成されている」、「我々が追求するNTP技術は、宇宙における将来作戦を支える基礎となることを目指している」と声明を出しています
DARPAは具体的な契約金額を明らかにしていませんが、契約の「Phase 1」では、GA社がNTP用原子炉と推進サブシステムを設計し、Blue OriginとLockheed Martin社がそれぞれ独立して宇宙船を設計することになっており、NTP推進システムの能力をデモすることが主目的となった契約のようです
同少佐は、「Phase 1では、実際に宇宙空間でのデモを行う前段階として、リスク低減を目指すことになる」と述べ、後に続くフェーズ用の設計や関連システム設計製造に必要な検討と資を得ることが主眼となると語っています
まぁ、この報道だけでは「NTP:核熱推進」について全く理解できませんので、以下ではネット情報を拾ってNTPについて簡単にご紹介を「試み」ます
Nuclear Thermal Propulsion:核熱推進とは
●NTPとは、臨界状態の高温の原子炉の炉心に、液体水素などの推進剤を当てて超高温・高圧のガスにし、それを噴射するという単純なものである。
●ただしNTPロケットは理論上、これまでに実用化されたあらゆるロケットエンジンをはるかに超える、きわめて高い性能を出すことができ、有人月・火星探査はもちろん、その先の宇宙空間への飛行にも大きく役立つ技術だと言われている
●最大の特長は効率がとてもよい点にあり、現在の燃料と酸化剤を燃やし、発生ガスを噴射するロケットと比べ、2倍以上も効率(燃費)がよい。つまり同じ量の推進剤でも、より速いスピードを得ることができ、約8か月必要な火星への片道の有人飛行期間を3か月程度に短縮する可能性があり、NASAが1960年代からコンセプトとして何度か取り組んできた
●ロケットはこれまで実用化されたことはないが、1950~70年代には米国とソ連でさかんに研究され、米国では「ナーヴァ」(NERVA)、ソ連では「RD-0410」といったエンジンが実際に造られ、噴射試験まで行われている
●欠点は安全性である。打ち上げに失敗すれば、放射性物質が撒き散らされる可能性がある。NTPロケットはその仕組み上、炉心に当たって汚染されたガスを噴射することになるので、大気圏内で使うわけにはいかないし、地上で噴射試験をする場合にも細心の注意を払う必要がある(それでも1950~70年代には米国とソ連が実験を行っていた)
●これら問題対処のため、最近では濃縮度5~20%の低濃縮ウラン(HALEU)を採用や、これを炭化ジルコニウム(ZrC)で被覆した頑丈な完全セラミックカプセル化燃料技術等が実用化され、実用化に再び期待がもたれるようになってきた
●火星探査などへの活用を目指すNASAは2017年8月、3年計画で米国企業BWXテクノロジーズと組んで、エンジンや核燃料の設計、試験を実施すると発表していたところである
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全くの素人で、完全にネット情報つまみ食いのご紹介でしたが、従来ロケットの2倍以上の効率(燃費)を生かし、NASAが惑星探査用に本格開発に乗り出した技術を、米国防省は地球周辺での「Cislunar Operations」に利用しようとしています
怪しげな中国やロシアの衛星を、機敏に動いて無効化するような衛星作戦を考えているのでしょうか? DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)との計画名からすると、そんなイメージがわいてきます
「NTP」とか、「DRACO」とか、「Cislunar Operations」とか、「核燃推進」とか・・・そんな言葉を記憶にとどめておきましょう・・・
最近の宇宙関連記事
「80トン物量を世界中に宇宙経由で1時間以内で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08-1
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
「航空機からロケット発射で衛星を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-14
「宇宙軍の最初の攻撃兵器」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-09
「画期的:衛星が推進力衛星とドッキングで延命へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-27
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「原子力ロケット」とも呼ばれることも・・・
13日付C4isrnetは、DARPAがDRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)計画の一環として、「NTP:核熱推進」システムの設計契約を、3企業(General Atomics, Blue Origin and Lockheed Martin)と12日に結んだと紹介しています
「Cislunar Operations」とは地球と月の間の空間での宇宙作戦を意味しており、同空間での迅速機敏な移動を可能にする推進装置を、2025年までに「above low Earth orbit」で実現するため、「NTP:核熱推進」との挑戦的な分野にDARPAが乗り出したようです
担当のNathan Greiner空軍少佐は、「選ばれた企業チームは、先進原子炉、推進剤、宇宙船を設計開発する能力を有することを示したメンバーで構成されている」、「我々が追求するNTP技術は、宇宙における将来作戦を支える基礎となることを目指している」と声明を出しています
DARPAは具体的な契約金額を明らかにしていませんが、契約の「Phase 1」では、GA社がNTP用原子炉と推進サブシステムを設計し、Blue OriginとLockheed Martin社がそれぞれ独立して宇宙船を設計することになっており、NTP推進システムの能力をデモすることが主目的となった契約のようです
同少佐は、「Phase 1では、実際に宇宙空間でのデモを行う前段階として、リスク低減を目指すことになる」と述べ、後に続くフェーズ用の設計や関連システム設計製造に必要な検討と資を得ることが主眼となると語っています
まぁ、この報道だけでは「NTP:核熱推進」について全く理解できませんので、以下ではネット情報を拾ってNTPについて簡単にご紹介を「試み」ます
Nuclear Thermal Propulsion:核熱推進とは
●NTPとは、臨界状態の高温の原子炉の炉心に、液体水素などの推進剤を当てて超高温・高圧のガスにし、それを噴射するという単純なものである。
●ただしNTPロケットは理論上、これまでに実用化されたあらゆるロケットエンジンをはるかに超える、きわめて高い性能を出すことができ、有人月・火星探査はもちろん、その先の宇宙空間への飛行にも大きく役立つ技術だと言われている
●最大の特長は効率がとてもよい点にあり、現在の燃料と酸化剤を燃やし、発生ガスを噴射するロケットと比べ、2倍以上も効率(燃費)がよい。つまり同じ量の推進剤でも、より速いスピードを得ることができ、約8か月必要な火星への片道の有人飛行期間を3か月程度に短縮する可能性があり、NASAが1960年代からコンセプトとして何度か取り組んできた
●ロケットはこれまで実用化されたことはないが、1950~70年代には米国とソ連でさかんに研究され、米国では「ナーヴァ」(NERVA)、ソ連では「RD-0410」といったエンジンが実際に造られ、噴射試験まで行われている
●欠点は安全性である。打ち上げに失敗すれば、放射性物質が撒き散らされる可能性がある。NTPロケットはその仕組み上、炉心に当たって汚染されたガスを噴射することになるので、大気圏内で使うわけにはいかないし、地上で噴射試験をする場合にも細心の注意を払う必要がある(それでも1950~70年代には米国とソ連が実験を行っていた)
●これら問題対処のため、最近では濃縮度5~20%の低濃縮ウラン(HALEU)を採用や、これを炭化ジルコニウム(ZrC)で被覆した頑丈な完全セラミックカプセル化燃料技術等が実用化され、実用化に再び期待がもたれるようになってきた
●火星探査などへの活用を目指すNASAは2017年8月、3年計画で米国企業BWXテクノロジーズと組んで、エンジンや核燃料の設計、試験を実施すると発表していたところである
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全くの素人で、完全にネット情報つまみ食いのご紹介でしたが、従来ロケットの2倍以上の効率(燃費)を生かし、NASAが惑星探査用に本格開発に乗り出した技術を、米国防省は地球周辺での「Cislunar Operations」に利用しようとしています
怪しげな中国やロシアの衛星を、機敏に動いて無効化するような衛星作戦を考えているのでしょうか? DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)との計画名からすると、そんなイメージがわいてきます
「NTP」とか、「DRACO」とか、「Cislunar Operations」とか、「核燃推進」とか・・・そんな言葉を記憶にとどめておきましょう・・・
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「80トン物量を世界中に宇宙経由で1時間以内で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-08-1
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米空軍による台湾シナリオWar Game [米空軍]
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2018年と19年War Gameでの大敗北を受け
2020年秋には大損害も何とか勝利の戦力編成は
2030年を想定し、新たな戦力構成検討に資するため
12日付Defense-Newsが、米空軍が米議員も招いて2020年秋に行った2030年想定の台湾シナリオ大規模War Gameの様子を、Clint Hinote米空軍戦略計画部長(中将)へのインタビューをもとに取り上げ、2018年と19年実施のWar Gameでの反省を踏まえ、様々な新装備や新体制を組み込んだ米軍体制で、大損害を被りつつも何とか勝利に持ち込んだ様子の一端を紹介しています
演習の性格から、細部状況は不明ですし、2022年度予算案を提出する前に結果を整理していることから、米空軍の現在の検討や開発方針を支える結果となっている点は否めませんが、本ブログで細切れにご紹介している様々な断片を全体像で捉える機会にもなりますので、長い長い記事ですが、概要の概要をご紹介します
演習の経緯
●2018年War Gameは南シナ海を舞台にしてほぼ現状戦力で戦ったが、記録的な短時間で大敗北を喫した。19年台湾シナリオではインサイド部隊とアウトサイド部隊の効果を比較する形式で行い、敗れたが、最善の組み合わせを考える資となった
●これら2回の結果を踏まえ、2030年を想定し、まだ具体化されていない装備等を含め、様々な施策を実施した想定で米軍戦力を準備した結果、war game開始直後、仮想中国軍指揮官が戦力配備から台湾侵攻を中国側に不利として躊躇するまでに米側体制準備ができた。
米軍の体制(指揮統制や配備)
●全ドメイン指揮統制コンセプトを導入完了し、軍種間で各種センサー情報を共有でき、迅速な指揮統制が可能な態勢を確立。空軍はABMSを導入し、海軍の「Project Overmatch」や陸軍の「Project Convergence」と連携連接して円滑な情報や指示共有が可能
●米空軍は指揮統制の分散・権限移譲を図り、全軍種のメンバーで構成される5-30名の小指揮統制チームがタブレット等を用いて強靭で柔軟な指揮統制を維持。中国側によるハワイのヒッカム司令部攻撃にも作戦の指揮統制途絶を無くす
●西太平洋地域に、滑走路を延長して施設も強化した分散運用基地を複数準備し、各拠点に燃料・部品・運用支援機材を事前集積。戦力を分散配置した結果、どの拠点にも容量の5割以下の戦力しか配置せず、1拠点の被害が全体に大きな影響を与えない体制を強化
●台湾も国防支出を増加して現在の国防強化構想実現に成功し、無人システムや電子戦装備を強化し、陸海空軍の増強を完了
戦闘機の構成
●次世代戦闘機NGAD、F-35、F-15EX、更にBrown参謀総長が提唱した「5世代機マイナス・4世代機プラス」の4機種構成
●NGADは、従来F-35が想定していた敵空域侵入を伴うSAM制圧などの作戦を行い、足の短いF-35は中国艦艇対処や巡航ミサイル対処などに馬車馬のように機能する。ただしここでもF-35は、まだ配備されていない「Block 4」が前提で、現有タイプでは任務遂行は不可能
●F-15EXは防御的任務の他、長射程ミサイルや極超音速兵器の発射母機として活躍し、新導入の「4世代プラス機」は本土防空や反乱分子対処に投入
無人機の活用
●MQ-9やRQ-4は台湾シナリオでは活躍の場はなく、現在開発中や構想レベルの戦力が必要となる。台湾海峡には小型安価なドローンで構成される「無人機の群れ」が主としてセンサーや通信中継機として、また時には兵器を搭載し大量投入される
●XQ-58A Valkyrieのような無人機は、第2列島線上のグアム島などから発進し、損耗をあまり気にすることなく敵艦艇や敵地上目標を攻撃する
●RQ-4の後継的なアセットには、ISRに留まらず、通信データーノードや空中レーダーとしての機能も期待され、老朽化が進むE-3の後継として豪空軍のE-7Aの無人機バージョンも検討されている
爆撃機と輸送機の役割
●B-52とB-21を使用し、B-52は危険の少ない遠方から大きな搭載能力を生かしてスタンドオフ攻撃を実施し、B-21はその突破力から敵空域での作戦を担当する
●一方、作戦が始まると双方のミサイル射程範囲での空輸は困難となり、水食糧から医療品、燃料・弾薬・整備機材等の事前集積が不可欠であることが明らかになった
●物資の前線空輸が困難となる輸送機だが、その搭載能力を生かし、パレタイズされた長射程兵器を機内から投下する手法が期待されている。敵からすれば、予期しない場所からミサイルが飛んでくる脅威となり、また攻撃能力が不足しがちな戦域で戦力となる
●空中給油はKC-46Aがフル体制で活動したが、敵脅威エリアで活動できなかった。同時にWar Gameでは、空想の小型給油機を大量に配備使用する形と、より大型のタンカーを運用する形態が試された。結果についてHinote中将は、今後の検討の資を得られたが、様々な条件で結果は異なり、単純に結論は得られないと語った
両軍の損耗について
●2018年のWar Game時より米軍の損害は抑えられ、中国軍はより大きな損害を受けたが、それでも依然として大国との戦いは「破滅的:catastrophic」な被害を両サイドにもたらす
●中国の野望に対して軍事力で立ち向かうということは、その損耗を受け入れる覚悟を必要とする。今回のWar Gameには両院軍事委員会のメンバーが招待され、戦いの想定される様相や教訓共有の場となったが、これが今後の予算説明円滑化に資することが期待されている
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対中国を想定し、米陸軍や海兵隊が長射程兵器の導入を中核に据える部隊改編に注力する中、米空軍はWar Gameやシミュレーション等の結果を踏まえてそれらの動きに強く反対する姿勢を示してきましたが、このWar Gameもその主張を支える一つでしょう
両院の軍事委員会メンバー議員を招待するのも大事なことでしょうが、統合参謀本部も含め、陸海海兵隊との意思疎通にも努力してほしいところです。
Davidoson太平洋軍司令官が3月に議会軍事委員会で、「6年以内に中国は台湾支配に動く」と発言して以降、富に注目を集めている台湾シナリオですが、日本の役割をどの程度期待し、どの程度の損害が日本に出ているのかとっても気になります
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「空軍大将が陸軍を痛烈批判」→→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-03
「米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-12
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「米空軍トップがWar Game結果を踏まえ地上部隊批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
輸送機からの兵器投下検討
「輸送機から長射程ミサイル投下を本格検証へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-01
「ミッチェル研究所は輸送機からの兵器投下に反対」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01
XQ-58A Valkyrie関連
「小型ドローン投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-06
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
NGADとF-15EXと5世代マイナス機関連
「F-15EX初号機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15
「5世代マイナス機検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19
「NGAD関連」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-27-1
台湾軍事関連
「台湾軍の対中国体制に危機感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-02
「次の太平洋軍司令官候補が台湾に切迫する危機に警鐘」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-25
「台湾の巨大な中国監視レーダー」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-11-28
CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶ
まとめ→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-08
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2
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2018年と19年War Gameでの大敗北を受け
2020年秋には大損害も何とか勝利の戦力編成は
2030年を想定し、新たな戦力構成検討に資するため
12日付Defense-Newsが、米空軍が米議員も招いて2020年秋に行った2030年想定の台湾シナリオ大規模War Gameの様子を、Clint Hinote米空軍戦略計画部長(中将)へのインタビューをもとに取り上げ、2018年と19年実施のWar Gameでの反省を踏まえ、様々な新装備や新体制を組み込んだ米軍体制で、大損害を被りつつも何とか勝利に持ち込んだ様子の一端を紹介しています
演習の性格から、細部状況は不明ですし、2022年度予算案を提出する前に結果を整理していることから、米空軍の現在の検討や開発方針を支える結果となっている点は否めませんが、本ブログで細切れにご紹介している様々な断片を全体像で捉える機会にもなりますので、長い長い記事ですが、概要の概要をご紹介します
演習の経緯
●2018年War Gameは南シナ海を舞台にしてほぼ現状戦力で戦ったが、記録的な短時間で大敗北を喫した。19年台湾シナリオではインサイド部隊とアウトサイド部隊の効果を比較する形式で行い、敗れたが、最善の組み合わせを考える資となった
●これら2回の結果を踏まえ、2030年を想定し、まだ具体化されていない装備等を含め、様々な施策を実施した想定で米軍戦力を準備した結果、war game開始直後、仮想中国軍指揮官が戦力配備から台湾侵攻を中国側に不利として躊躇するまでに米側体制準備ができた。
米軍の体制(指揮統制や配備)
●全ドメイン指揮統制コンセプトを導入完了し、軍種間で各種センサー情報を共有でき、迅速な指揮統制が可能な態勢を確立。空軍はABMSを導入し、海軍の「Project Overmatch」や陸軍の「Project Convergence」と連携連接して円滑な情報や指示共有が可能
●米空軍は指揮統制の分散・権限移譲を図り、全軍種のメンバーで構成される5-30名の小指揮統制チームがタブレット等を用いて強靭で柔軟な指揮統制を維持。中国側によるハワイのヒッカム司令部攻撃にも作戦の指揮統制途絶を無くす
●西太平洋地域に、滑走路を延長して施設も強化した分散運用基地を複数準備し、各拠点に燃料・部品・運用支援機材を事前集積。戦力を分散配置した結果、どの拠点にも容量の5割以下の戦力しか配置せず、1拠点の被害が全体に大きな影響を与えない体制を強化
●台湾も国防支出を増加して現在の国防強化構想実現に成功し、無人システムや電子戦装備を強化し、陸海空軍の増強を完了
戦闘機の構成
●次世代戦闘機NGAD、F-35、F-15EX、更にBrown参謀総長が提唱した「5世代機マイナス・4世代機プラス」の4機種構成
●NGADは、従来F-35が想定していた敵空域侵入を伴うSAM制圧などの作戦を行い、足の短いF-35は中国艦艇対処や巡航ミサイル対処などに馬車馬のように機能する。ただしここでもF-35は、まだ配備されていない「Block 4」が前提で、現有タイプでは任務遂行は不可能
●F-15EXは防御的任務の他、長射程ミサイルや極超音速兵器の発射母機として活躍し、新導入の「4世代プラス機」は本土防空や反乱分子対処に投入
無人機の活用
●MQ-9やRQ-4は台湾シナリオでは活躍の場はなく、現在開発中や構想レベルの戦力が必要となる。台湾海峡には小型安価なドローンで構成される「無人機の群れ」が主としてセンサーや通信中継機として、また時には兵器を搭載し大量投入される
●XQ-58A Valkyrieのような無人機は、第2列島線上のグアム島などから発進し、損耗をあまり気にすることなく敵艦艇や敵地上目標を攻撃する
●RQ-4の後継的なアセットには、ISRに留まらず、通信データーノードや空中レーダーとしての機能も期待され、老朽化が進むE-3の後継として豪空軍のE-7Aの無人機バージョンも検討されている
爆撃機と輸送機の役割
●B-52とB-21を使用し、B-52は危険の少ない遠方から大きな搭載能力を生かしてスタンドオフ攻撃を実施し、B-21はその突破力から敵空域での作戦を担当する
●一方、作戦が始まると双方のミサイル射程範囲での空輸は困難となり、水食糧から医療品、燃料・弾薬・整備機材等の事前集積が不可欠であることが明らかになった
●物資の前線空輸が困難となる輸送機だが、その搭載能力を生かし、パレタイズされた長射程兵器を機内から投下する手法が期待されている。敵からすれば、予期しない場所からミサイルが飛んでくる脅威となり、また攻撃能力が不足しがちな戦域で戦力となる
●空中給油はKC-46Aがフル体制で活動したが、敵脅威エリアで活動できなかった。同時にWar Gameでは、空想の小型給油機を大量に配備使用する形と、より大型のタンカーを運用する形態が試された。結果についてHinote中将は、今後の検討の資を得られたが、様々な条件で結果は異なり、単純に結論は得られないと語った
両軍の損耗について
●2018年のWar Game時より米軍の損害は抑えられ、中国軍はより大きな損害を受けたが、それでも依然として大国との戦いは「破滅的:catastrophic」な被害を両サイドにもたらす
●中国の野望に対して軍事力で立ち向かうということは、その損耗を受け入れる覚悟を必要とする。今回のWar Gameには両院軍事委員会のメンバーが招待され、戦いの想定される様相や教訓共有の場となったが、これが今後の予算説明円滑化に資することが期待されている
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対中国を想定し、米陸軍や海兵隊が長射程兵器の導入を中核に据える部隊改編に注力する中、米空軍はWar Gameやシミュレーション等の結果を踏まえてそれらの動きに強く反対する姿勢を示してきましたが、このWar Gameもその主張を支える一つでしょう
両院の軍事委員会メンバー議員を招待するのも大事なことでしょうが、統合参謀本部も含め、陸海海兵隊との意思疎通にも努力してほしいところです。
Davidoson太平洋軍司令官が3月に議会軍事委員会で、「6年以内に中国は台湾支配に動く」と発言して以降、富に注目を集めている台湾シナリオですが、日本の役割をどの程度期待し、どの程度の損害が日本に出ているのかとっても気になります
遠方攻撃を巡り米軍内に不協和音
「空軍大将が陸軍を痛烈批判」→→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-03
「米陸軍トップが長射程攻撃やSEADに意欲満々」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-12
「海兵隊は2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
「米空軍トップがWar Game結果を踏まえ地上部隊批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-02
輸送機からの兵器投下検討
「輸送機から長射程ミサイル投下を本格検証へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-01
「ミッチェル研究所は輸送機からの兵器投下に反対」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19-1
「MC-130からパレタイズ兵器投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-01
XQ-58A Valkyrie関連
「小型ドローン投下試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-06
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
NGADとF-15EXと5世代マイナス機関連
「F-15EX初号機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15
「5世代マイナス機検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-19
「NGAD関連」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-27-1
台湾軍事関連
「台湾軍の対中国体制に危機感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-02
「次の太平洋軍司令官候補が台湾に切迫する危機に警鐘」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-25
「台湾の巨大な中国監視レーダー」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2013-11-28
CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶ
まとめ→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-08
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-2
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F-22が約3週間の岩国展開訓練終了 [米空軍]
4月1日には空自三沢F-35との訓練も
おそらく6機展開も訓練内容など細部一切不明ながら
7日付米空軍ニュースサービスは、3月12日から米海軍岩国基地に展開していた米空軍ヒッカム基地(ハワイ)所属のF-22戦闘機が、4月5日に岩国展開訓練を終了し、ACE構想(Agile Combat Employment)の一環としての「DFE:Dynamic Force Employment」を無事終了したと発表しました
なお「DFE:Dynamic Force Employment」は、「戦略的に予想可能ながら、戦術的には予想不可能な」戦力展開として、対中国やロシアを意識した戦術運用に資する方式で、従来米空軍大型爆撃機がプレゼンスを示すために行ってきたCBP(Continuous Bomber Presence)に代わって、戦力ローテーションでなく、事前情報少なく柔軟に機敏に必要地域に航空戦力を展開させる方式で、2020年4月頃から米空軍が行っています
約3週間の展開期間中F-22は、岩国基地所属のFA-18やF-35B、更には航空自衛隊三沢基地所属のF-35A戦闘機との訓練も実施し、国家防衛戦略NDSの狙いとする同盟国との協力関係強化や地域の安定に寄与したとしています
報道によれば、F-22はハワイ所属の米空軍第19戦闘飛行隊とハワイ州空軍第199戦闘飛行隊から派遣された6機で、F-22の日本展開は米空軍嘉手納基地への展開が記憶にありますが、そのほかあまり記憶になく、海兵隊基地への展開となるとそれなりに米空軍として力を入れた訓練ですので、中身はさっぱり不明ですが、ご紹介しておきます
まぁ、マニアの方が岩国まで遠征して撮影された映像からわかるように、まんぐーすなんかより、マニアの方の方がはるかに詳しそうです・・・
マニアの方の撮影:岩国でのF-22離陸(約6分)
7日付米空軍web記事等々によれば
●太平洋空軍の航空サイバー作戦課長であるLansing Pilch少将は、「我々がハイエンド紛争に向けた即応態勢を維持することに焦点を当て訓練を実施した。米海兵隊の第5世代機を含む航空アセットや、共に融合して飛行する可能性のある地域同盟国アセットとも訓練する機会が得られた」と訓練を振り返った
●岩国海兵隊作戦担当幹部は、「岩国の海兵隊操縦者にとって、我々が保有するF-35Bとは異なる第5世代機F-22との訓練や同盟国との訓練は、我々の高い即応態勢を維持する一つの手段であり、free and openなインドアジア太平洋地域の維持に貢献するものだ」とコメントしている
●航空自衛隊の報道発表によれば、4月1日に東北地方西方の日本海上空で、4機のF-22と4機の空自F-35Aが「戦術技量及び日米共同対処能力の向上」訓練を行い、米空軍KC-135空中給油機やF-16戦闘機1機(おそらく写真撮影用)も参加
●航空自衛隊三沢基地所属の302飛行隊長Tamura Hidetoshi2等空佐は、「日米両国の戦闘機部隊は、いかなる状況にも対処可能で、迅速に戦術目的を達成可能な能力を保持している」、「また、我々は定期的に2国間訓練を行うことで、地域の安全保障を確かなものとするエアパワーの維持を図る所存である」、「訓練を通じ、日米両国の意図や能力造成方向が完全に一致していることを確認した」と述べている
///////////////////////////////////////////////////
全く中身のない記事となりましたが、久々に「DFE:Dynamic Force Employment」との言葉を久々に耳にしました。
でもこの言葉、耳障りは良いものの、米軍の前方展開部隊を米本土や後方に下げることの裏返しであることに留意する必要があります。
オースチン国防長官も就任早々、エスパー長官時代から着手していた「体制見直し」を改めて実施すると宣言していましたが、その中には在米海兵隊の大幅削減も含まれていると言われています。引き続き要注意です
米軍再編関連の記事
「オースチン長官が態勢見直し表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
「9月末までに米軍再編検討を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-14
「西太平洋の基地防御は困難」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
DFEの始まり
「ディエゴガルシアでDFE」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-13
「CBPからDFEへの変化を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-30
終了したグアムCBP
「16年続いた大型爆撃機のグアム駐留CBP終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-19
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
中東でのCBP
「18年継続の爆撃機中東派遣終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-30-1
「対イランに中東へB-52短期派遣」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-08
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おそらく6機展開も訓練内容など細部一切不明ながら
7日付米空軍ニュースサービスは、3月12日から米海軍岩国基地に展開していた米空軍ヒッカム基地(ハワイ)所属のF-22戦闘機が、4月5日に岩国展開訓練を終了し、ACE構想(Agile Combat Employment)の一環としての「DFE:Dynamic Force Employment」を無事終了したと発表しました
なお「DFE:Dynamic Force Employment」は、「戦略的に予想可能ながら、戦術的には予想不可能な」戦力展開として、対中国やロシアを意識した戦術運用に資する方式で、従来米空軍大型爆撃機がプレゼンスを示すために行ってきたCBP(Continuous Bomber Presence)に代わって、戦力ローテーションでなく、事前情報少なく柔軟に機敏に必要地域に航空戦力を展開させる方式で、2020年4月頃から米空軍が行っています
約3週間の展開期間中F-22は、岩国基地所属のFA-18やF-35B、更には航空自衛隊三沢基地所属のF-35A戦闘機との訓練も実施し、国家防衛戦略NDSの狙いとする同盟国との協力関係強化や地域の安定に寄与したとしています
報道によれば、F-22はハワイ所属の米空軍第19戦闘飛行隊とハワイ州空軍第199戦闘飛行隊から派遣された6機で、F-22の日本展開は米空軍嘉手納基地への展開が記憶にありますが、そのほかあまり記憶になく、海兵隊基地への展開となるとそれなりに米空軍として力を入れた訓練ですので、中身はさっぱり不明ですが、ご紹介しておきます
まぁ、マニアの方が岩国まで遠征して撮影された映像からわかるように、まんぐーすなんかより、マニアの方の方がはるかに詳しそうです・・・
マニアの方の撮影:岩国でのF-22離陸(約6分)
7日付米空軍web記事等々によれば
●太平洋空軍の航空サイバー作戦課長であるLansing Pilch少将は、「我々がハイエンド紛争に向けた即応態勢を維持することに焦点を当て訓練を実施した。米海兵隊の第5世代機を含む航空アセットや、共に融合して飛行する可能性のある地域同盟国アセットとも訓練する機会が得られた」と訓練を振り返った
●岩国海兵隊作戦担当幹部は、「岩国の海兵隊操縦者にとって、我々が保有するF-35Bとは異なる第5世代機F-22との訓練や同盟国との訓練は、我々の高い即応態勢を維持する一つの手段であり、free and openなインドアジア太平洋地域の維持に貢献するものだ」とコメントしている
●航空自衛隊の報道発表によれば、4月1日に東北地方西方の日本海上空で、4機のF-22と4機の空自F-35Aが「戦術技量及び日米共同対処能力の向上」訓練を行い、米空軍KC-135空中給油機やF-16戦闘機1機(おそらく写真撮影用)も参加
●航空自衛隊三沢基地所属の302飛行隊長Tamura Hidetoshi2等空佐は、「日米両国の戦闘機部隊は、いかなる状況にも対処可能で、迅速に戦術目的を達成可能な能力を保持している」、「また、我々は定期的に2国間訓練を行うことで、地域の安全保障を確かなものとするエアパワーの維持を図る所存である」、「訓練を通じ、日米両国の意図や能力造成方向が完全に一致していることを確認した」と述べている
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全く中身のない記事となりましたが、久々に「DFE:Dynamic Force Employment」との言葉を久々に耳にしました。
でもこの言葉、耳障りは良いものの、米軍の前方展開部隊を米本土や後方に下げることの裏返しであることに留意する必要があります。
オースチン国防長官も就任早々、エスパー長官時代から着手していた「体制見直し」を改めて実施すると宣言していましたが、その中には在米海兵隊の大幅削減も含まれていると言われています。引き続き要注意です
米軍再編関連の記事
「オースチン長官が態勢見直し表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-06
「在日米海兵隊削減を示唆」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-25
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DFEの始まり
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終了したグアムCBP
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「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
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中東でのCBP
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海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習 [Joint・統合参謀本部]
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昨年10月に続き、海兵隊が海軍艦艇を火力支援する新構想演習
沖縄伊江島とハワイを結び分散型作戦を演習
3月29日付MarineTimesは、3月に第12海兵連隊(在沖縄)を中心として、沖縄の伊江島とハワイに海兵隊砲兵部隊を緊急展開させ、対中国艦艇を視野に米海軍艦艇部隊を支援する演習が、米海空陸軍と宇宙軍の支援も得て実施されたと紹介しています
米海兵隊は、2019年にDavid Berger司令官が就任して以来、戦車部隊を廃止し、より小型軽量で機動性が高い部隊編成と、対艦対地長射程攻撃兵器を柱にした海洋作戦支援部隊への変革に取り組んでおり、その狙いはインド太平洋地域の島々を所要に応じて迅速に確保し、飛行場を使用可能にし、高機動ロケットシステムHIMARSや地上発射トマホークなど火砲を緊急空輸してミニA2AD網を構築・維持する体制の確立にあります
この演習もその一環で、昨年10月に初めて実施された飛び石演習「Exercise Noble Fury」と同列にある演習と考えられ、オスプレイやCH-53E、米空軍特殊部隊(おそらくMC-130輸送機)が輸送を支援し、米海軍艦艇センサーが海兵隊火砲部隊に敵艦艇情報を提供して、指揮統制は沖縄の第12海兵連隊本部が執る形態の「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」が試されています
演習指揮官は、まだまだ小規模で、新コンセプトの体験的・試験的な演習だが、将来は同盟国部隊との連携を視野に置いていると語っているところ、当然自衛隊も関わってくると思いますので、昨年10月の飛び石演習「Exercise Noble Fury」に続いてご紹介しておきます
3月29日付MarineTimes記事によれば
●沖縄所在の第12海兵連隊司令官のMichael Roach大佐は、これまでの海兵隊部隊の形であった、歩兵部隊を砲兵媚態が支援する形ではなく、砲兵部隊を歩兵部隊が支援する全く新しい米海兵隊の戦い方の演習を、沖縄とハワイの2か所で同時に3月に行ったと語った
●同大佐は「従来とは逆に、砲兵部隊に歩兵部隊が従属し、砲兵部隊指揮官が歩兵部隊を指揮する形で実施した」と、指揮系統を根本的に変える演習だったと振り返り、米海兵隊全体で進める大国との紛争に備えた「沿岸地域からの戦い:littoral fight against a near-peer competitor」の訓練だと説明した
●海兵隊のDavid Berger司令官が強力に推進するこの戦い方では、米海兵隊は長射程対艦対地兵器と電子戦機材、更に時には敵潜水艦探知装置で、米海軍艦艇の戦力発揮の道を開き、統合戦力と共に敵戦力撃破に貢献する
●そしてその結果として、米海兵隊は(過去20年間従事してきた対テロ作戦で中心だった)歩兵部隊重視を改め、戦車部隊を廃止し、米海軍が望むことを海兵隊として全力で支える方向に進んでおり、長射程火力による敵艦艇撃破能力に力を入れている
●演習では、夜間にMV-22Bオスプレイから先遣エリート部隊が伊江島に降り立ち、敵占領部隊を無効化し、飛行場を確保して海兵隊F-35Bを向かい入れた
●それに続き、オスプレイやCH-53Eで海兵第8師団第3大隊員が輸送され、主力となる砲兵火力が展開し、長射程精密攻撃能力を不便な前線展開地に確保した
●これら主力海兵隊戦力展開の支援には、特殊作戦部隊の特殊輸送能力の他、米陸軍の「Multi-Domain Task Force」、「Air Defense Artillery Regiment」や「8th Theater Sustainment Command」、更には宇宙軍のユニットなども加わった
●このような沿岸地域への長射程精密誘導火力の展開は、伊江島とハワイの2か所で同時実施され、指揮統制を沖縄の第12海兵連隊本部が行う「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」形式で行われた。
●展開した海兵隊砲兵部隊には、海上に展開している米海軍艦艇のセンサーから担当エリアの艦艇情報が提供され、砲兵部隊が経験したことのないエリアの情報を目にすることができた
●第12海兵連隊司令官のMichael Roach大佐は、従来の陸上戦闘とは兵站支援ルートが全く異なる点に着目し、演習の成果を更なる部隊能力向上につなげたいと語り、「離島での作戦運用の制限と機会を見極めいく」と将来を見据えた
/////////////////////////////////////////////////////
海兵隊が主力火砲と想定している2つの長射程対艦ミサイルとは、射程100nm以上と言われる「Naval Strike Missile」を無人走行車両に搭載した「NMESIS」(Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)と、米国のINF全廃条約脱退で導入可能になった射程900nmの巡航ミサイル「Tomahawk」の地上発射版です
3月上旬に米議会各所でDavidson太平洋軍司令官が、海兵隊長射程兵器予算が2021年度予算でカットされたことを嘆いて回っていたように、米軍全体での戦い方の方向性が良く見えず、4軍(宇宙軍を入れると5軍)間での予算争いが目立ち、また伝統的装備の継続調達が幅を利かせている状態に、議会も不満を募らせており、海兵隊の変革がどの程度実現するか不確かですが、間違った方向とは思わないので期待しております
「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」に向け、自衛隊とはどのような協力体制構築が検討されているのでしょうか??? まさか・・・先日の米空軍C-130輸送機による陸自第1空挺団員の大規模降下訓練支援は、その一環なのでしょうか???
米海兵隊の変革関連
「海兵隊NMESISで海上目標攻撃成功」→https://holylandtokyo.com/2021/05/03/213/
「歩兵の多能兵士化を推進中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/27/117/
「海兵隊で歩兵が砲兵を支援する新形態演習」→https://holylandtokyo.com/2021/04/15/107/
「対潜水艦作戦にも」→https://holylandtokyo.com/2020/11/09/382/
「在日海兵隊の飛び石演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/26/441/
「司令官が在日米海兵隊削減を示唆」→https://holylandtokyo.com/2020/09/28/488/
「米海兵隊は戦車部隊廃止へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
「2つの長射程対艦ミサイルを柱に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-06
Davidson太平洋軍司令官が海兵隊長射程兵器予算カットを嘆く
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横田米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援
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昨年10月に続き、海兵隊が海軍艦艇を火力支援する新構想演習
沖縄伊江島とハワイを結び分散型作戦を演習
3月29日付MarineTimesは、3月に第12海兵連隊(在沖縄)を中心として、沖縄の伊江島とハワイに海兵隊砲兵部隊を緊急展開させ、対中国艦艇を視野に米海軍艦艇部隊を支援する演習が、米海空陸軍と宇宙軍の支援も得て実施されたと紹介しています
米海兵隊は、2019年にDavid Berger司令官が就任して以来、戦車部隊を廃止し、より小型軽量で機動性が高い部隊編成と、対艦対地長射程攻撃兵器を柱にした海洋作戦支援部隊への変革に取り組んでおり、その狙いはインド太平洋地域の島々を所要に応じて迅速に確保し、飛行場を使用可能にし、高機動ロケットシステムHIMARSや地上発射トマホークなど火砲を緊急空輸してミニA2AD網を構築・維持する体制の確立にあります
この演習もその一環で、昨年10月に初めて実施された飛び石演習「Exercise Noble Fury」と同列にある演習と考えられ、オスプレイやCH-53E、米空軍特殊部隊(おそらくMC-130輸送機)が輸送を支援し、米海軍艦艇センサーが海兵隊火砲部隊に敵艦艇情報を提供して、指揮統制は沖縄の第12海兵連隊本部が執る形態の「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」が試されています
演習指揮官は、まだまだ小規模で、新コンセプトの体験的・試験的な演習だが、将来は同盟国部隊との連携を視野に置いていると語っているところ、当然自衛隊も関わってくると思いますので、昨年10月の飛び石演習「Exercise Noble Fury」に続いてご紹介しておきます
3月29日付MarineTimes記事によれば
●沖縄所在の第12海兵連隊司令官のMichael Roach大佐は、これまでの海兵隊部隊の形であった、歩兵部隊を砲兵媚態が支援する形ではなく、砲兵部隊を歩兵部隊が支援する全く新しい米海兵隊の戦い方の演習を、沖縄とハワイの2か所で同時に3月に行ったと語った
●同大佐は「従来とは逆に、砲兵部隊に歩兵部隊が従属し、砲兵部隊指揮官が歩兵部隊を指揮する形で実施した」と、指揮系統を根本的に変える演習だったと振り返り、米海兵隊全体で進める大国との紛争に備えた「沿岸地域からの戦い:littoral fight against a near-peer competitor」の訓練だと説明した
●海兵隊のDavid Berger司令官が強力に推進するこの戦い方では、米海兵隊は長射程対艦対地兵器と電子戦機材、更に時には敵潜水艦探知装置で、米海軍艦艇の戦力発揮の道を開き、統合戦力と共に敵戦力撃破に貢献する
●そしてその結果として、米海兵隊は(過去20年間従事してきた対テロ作戦で中心だった)歩兵部隊重視を改め、戦車部隊を廃止し、米海軍が望むことを海兵隊として全力で支える方向に進んでおり、長射程火力による敵艦艇撃破能力に力を入れている
●演習では、夜間にMV-22Bオスプレイから先遣エリート部隊が伊江島に降り立ち、敵占領部隊を無効化し、飛行場を確保して海兵隊F-35Bを向かい入れた
●それに続き、オスプレイやCH-53Eで海兵第8師団第3大隊員が輸送され、主力となる砲兵火力が展開し、長射程精密攻撃能力を不便な前線展開地に確保した
●これら主力海兵隊戦力展開の支援には、特殊作戦部隊の特殊輸送能力の他、米陸軍の「Multi-Domain Task Force」、「Air Defense Artillery Regiment」や「8th Theater Sustainment Command」、更には宇宙軍のユニットなども加わった
●このような沿岸地域への長射程精密誘導火力の展開は、伊江島とハワイの2か所で同時実施され、指揮統制を沖縄の第12海兵連隊本部が行う「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」形式で行われた。
●展開した海兵隊砲兵部隊には、海上に展開している米海軍艦艇のセンサーから担当エリアの艦艇情報が提供され、砲兵部隊が経験したことのないエリアの情報を目にすることができた
●第12海兵連隊司令官のMichael Roach大佐は、従来の陸上戦闘とは兵站支援ルートが全く異なる点に着目し、演習の成果を更なる部隊能力向上につなげたいと語り、「離島での作戦運用の制限と機会を見極めいく」と将来を見据えた
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海兵隊が主力火砲と想定している2つの長射程対艦ミサイルとは、射程100nm以上と言われる「Naval Strike Missile」を無人走行車両に搭載した「NMESIS」(Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)と、米国のINF全廃条約脱退で導入可能になった射程900nmの巡航ミサイル「Tomahawk」の地上発射版です
3月上旬に米議会各所でDavidson太平洋軍司令官が、海兵隊長射程兵器予算が2021年度予算でカットされたことを嘆いて回っていたように、米軍全体での戦い方の方向性が良く見えず、4軍(宇宙軍を入れると5軍)間での予算争いが目立ち、また伝統的装備の継続調達が幅を利かせている状態に、議会も不満を募らせており、海兵隊の変革がどの程度実現するか不確かですが、間違った方向とは思わないので期待しております
「分散海洋作戦:distributed oceanic operation」に向け、自衛隊とはどのような協力体制構築が検討されているのでしょうか??? まさか・・・先日の米空軍C-130輸送機による陸自第1空挺団員の大規模降下訓練支援は、その一環なのでしょうか???
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Davidson太平洋軍司令官が海兵隊長射程兵器予算カットを嘆く
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横田米空軍C-130部隊が総力で陸自空挺団500名降下支援
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バイデン政権はオープンスカイズ条約復帰意思なし!? [安全保障全般]
関係国調整用の外交文書をメディアが入手
昨年11月のトランプ政権による脱退を非難していたが
最近はバイデン政権の方がロシアに強行姿勢
7日付Defense-Newsは、米国務省が3月31日付で作成したオープンスカイズ条約(Treaty of Open Skies)関係国との調整用に作成した外交文書の内容を紹介し、昨年11月のトランプ政権による同条約離脱を批判していたバイデン陣営が、今では同条約への復帰がロシアに誤ったメッセージを送ることになると反対姿勢に転じていると報じました
オープンスカイ条約は非武装の航空機で互いに軍事施設や紛争地域の様子を撮影できることに加盟国が同意する条約で、2002年に発効し、欧州諸国やロシアなど34カ国が加盟しています。米国の離脱を受け、2021年1月にロシアも脱退の意思を示しましたが、2月15日には米国が復帰するならロシアも脱退意思表明を見直すとしていたところです。
また、ロシアは欧州加盟国に対し、条約に基づいて得た情報を米国と共有しないことや、欧州にある米軍事施設の上空の査察を制限しないように求めていました
最近のバイデン政権はロシアに対し、トランプ時代よりも強硬な姿勢を示し始めており、3月の記者からの質問に対しバイデン大統領が、プーチンを「人殺し:killer」と呼んだことが象徴的な事象として、両国の対立関係が伝えられているところです。
加えて、4月に入り、米空軍が同条約用に使用していた老朽化が進む2機のOC-135Bを退役させ、「任務がなくなった機体なので、規定に従いアリゾナの砂漠地帯に移送する」と発表したことで、米国務省は「決定ではない」としていますが、事実上、同条約への米国の復帰はなくなったと関係者は見ているようです
7日付Defense-News記事によれば
●5日に米国務省は声明で、オープンスカイズ条約に関する最終決定はなされていないと表明しているが、3月31日付の関係国との外交文書(March 31 demarche)は、「ロシアが継続して同条約違反状態にある中で、同条約への復帰意思を示すことは、ロシアに誤ったシグナルを送り、広範な軍備管理案件における米国と立場を損なうと率直に懸念している」と記し、
●更に「ロシアの同条約違反は、INF条約への違反レベルではないが、ロシアが軍備管理の国際的な取り決めの順守や関与を軽視する一連のパターンを示しており、ロシアが協力的に信頼醸成構築に参画する用意があるかについて疑念を生んでいる」と表現している
●ただし、同外交文書は完全に米国の復帰可能性を排除してはおらず、「我々はしかし、環境が整えば同条約に米国が復帰することや、他の安全保障上の取り組みに同条約が狙った信頼醸成措置を組み込むやり方があると信じている」とも表現している
●5日の声明で米国務省は、将来の同条約への復帰については未決定だとし、「米国は同条約に関連する事項のレビューを精力的に実施中で、同盟国等とも緊密に協議している。その中でロシアによる継続的な条約違反は関心事項である」、「ロシアには条約合意事項を遵守するように働きかけている」としている
●3月末の外国文書が明確に条約復帰を否定していないことや、昨年11月にトランプ政権が同条約脱退時にも同条約用航空機OC-135Bを退役させなかったことから、欧州関係国や一部関係者はバイデン政権誕生後の条約への復帰可能性に期待し、2月のNATO会合で米国に復帰を働きかける動きはあったが、米空軍による同機の退役発表で、バイデン政権に復帰意思がないことが明らかになったとの解釈が広がりつつある
●米空軍は一時、OC-136Bの後継機としてGulfstreamビジネスジェットの使用を検討したこともあり、代替機の投入による条約復帰の可能性が完全に排除されたわけではないが・・・
//////////////////////////////////////////////////
軍備管理の議論全体におけるオープンスカイズ条約の位置づけや、その意義については全く語れませんが、脱退した今になって復帰するのは敷居が高いということでしょう
閉鎖的なロシア圏と、SNS等ITツールの拡散でますます可視化が進む西側とでは、この種の条約を公平に運用することが難しいのではないかと思います。条約維持復帰派や欧州条約締結国の気持ちもわかりますが、米側からすれば失うものが多いとの指摘に反論することは難しい気がします
ただ、バイデン大統領の「人殺し」発言はちょっとビックリです。民主党の柱である「人権」や「環境」に縛られ、一部世論やメディアの雰囲気に流されているのでは・・・とちょっと心配になります
オープンスカイズ条約の概要や脱退派と継続派復帰派の主張など
「同条約脱退以降伝達」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-22-1
「脱退の噂にざわめく」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-10
米空軍の老朽情報収集機がピンチ
「OC-135Bらは後継機無しの方向?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-28-1
「OC-135Bらの維持がピンチ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-08-1
軍備管理関連の記事
「新STARTはとりあえず5年延長」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-22-1
「米国:MTCR解釈変更で無人機輸出緩和宣言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
米国のINF条約脱退経緯
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「第3の超超音速兵器Zircon」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-21
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昨年11月のトランプ政権による脱退を非難していたが
最近はバイデン政権の方がロシアに強行姿勢
7日付Defense-Newsは、米国務省が3月31日付で作成したオープンスカイズ条約(Treaty of Open Skies)関係国との調整用に作成した外交文書の内容を紹介し、昨年11月のトランプ政権による同条約離脱を批判していたバイデン陣営が、今では同条約への復帰がロシアに誤ったメッセージを送ることになると反対姿勢に転じていると報じました
オープンスカイ条約は非武装の航空機で互いに軍事施設や紛争地域の様子を撮影できることに加盟国が同意する条約で、2002年に発効し、欧州諸国やロシアなど34カ国が加盟しています。米国の離脱を受け、2021年1月にロシアも脱退の意思を示しましたが、2月15日には米国が復帰するならロシアも脱退意思表明を見直すとしていたところです。
また、ロシアは欧州加盟国に対し、条約に基づいて得た情報を米国と共有しないことや、欧州にある米軍事施設の上空の査察を制限しないように求めていました
最近のバイデン政権はロシアに対し、トランプ時代よりも強硬な姿勢を示し始めており、3月の記者からの質問に対しバイデン大統領が、プーチンを「人殺し:killer」と呼んだことが象徴的な事象として、両国の対立関係が伝えられているところです。
加えて、4月に入り、米空軍が同条約用に使用していた老朽化が進む2機のOC-135Bを退役させ、「任務がなくなった機体なので、規定に従いアリゾナの砂漠地帯に移送する」と発表したことで、米国務省は「決定ではない」としていますが、事実上、同条約への米国の復帰はなくなったと関係者は見ているようです
7日付Defense-News記事によれば
●5日に米国務省は声明で、オープンスカイズ条約に関する最終決定はなされていないと表明しているが、3月31日付の関係国との外交文書(March 31 demarche)は、「ロシアが継続して同条約違反状態にある中で、同条約への復帰意思を示すことは、ロシアに誤ったシグナルを送り、広範な軍備管理案件における米国と立場を損なうと率直に懸念している」と記し、
●更に「ロシアの同条約違反は、INF条約への違反レベルではないが、ロシアが軍備管理の国際的な取り決めの順守や関与を軽視する一連のパターンを示しており、ロシアが協力的に信頼醸成構築に参画する用意があるかについて疑念を生んでいる」と表現している
●ただし、同外交文書は完全に米国の復帰可能性を排除してはおらず、「我々はしかし、環境が整えば同条約に米国が復帰することや、他の安全保障上の取り組みに同条約が狙った信頼醸成措置を組み込むやり方があると信じている」とも表現している
●5日の声明で米国務省は、将来の同条約への復帰については未決定だとし、「米国は同条約に関連する事項のレビューを精力的に実施中で、同盟国等とも緊密に協議している。その中でロシアによる継続的な条約違反は関心事項である」、「ロシアには条約合意事項を遵守するように働きかけている」としている
●3月末の外国文書が明確に条約復帰を否定していないことや、昨年11月にトランプ政権が同条約脱退時にも同条約用航空機OC-135Bを退役させなかったことから、欧州関係国や一部関係者はバイデン政権誕生後の条約への復帰可能性に期待し、2月のNATO会合で米国に復帰を働きかける動きはあったが、米空軍による同機の退役発表で、バイデン政権に復帰意思がないことが明らかになったとの解釈が広がりつつある
●米空軍は一時、OC-136Bの後継機としてGulfstreamビジネスジェットの使用を検討したこともあり、代替機の投入による条約復帰の可能性が完全に排除されたわけではないが・・・
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軍備管理の議論全体におけるオープンスカイズ条約の位置づけや、その意義については全く語れませんが、脱退した今になって復帰するのは敷居が高いということでしょう
閉鎖的なロシア圏と、SNS等ITツールの拡散でますます可視化が進む西側とでは、この種の条約を公平に運用することが難しいのではないかと思います。条約維持復帰派や欧州条約締結国の気持ちもわかりますが、米側からすれば失うものが多いとの指摘に反論することは難しい気がします
ただ、バイデン大統領の「人殺し」発言はちょっとビックリです。民主党の柱である「人権」や「環境」に縛られ、一部世論やメディアの雰囲気に流されているのでは・・・とちょっと心配になります
オープンスカイズ条約の概要や脱退派と継続派復帰派の主張など
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米空軍の老朽情報収集機がピンチ
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米空軍が電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ [米空軍]
不便な展開基地での輸送や救助救難任務に
C-130輸送機で一度に数機空輸可能なeVTOL
複数の民生用試作開発機を評価やテスト中
5月のACE演習で一部を試験活用へ
3月31日付Defense-Newsは、米空軍が2020年2月から当時のRoper次官補主導で始めた民生用電動へり(eVTOL:electric vertical-takeoff-and-landing)導入検討(Agility Primeプロジェクト)に関し、3月末に候補の一つで輸送機搭載&輸送試験を行い、5月には本格的な演習(Exercise Bushwhacker)で試作中の電動ヘリの搭載・輸送・組み立て等の検証を計画していると報じています
このような電動ヘリは、米空軍が対中国・対ロシアを想定して全世界で取り組む戦力の分散&機動的運用構想ACE(agile combat employment)における人員や物資輸送、更には救難救助用での活用がメインに想定されているアイディアですが、幾つかの特徴があります
一つは、米空軍が要求性能を出して企業に開発させる方式ではなく、民生用に様々な企業やベンチャーが開発・試作しているものをできるだけ活用し、開発費投入を抑える方式を追求していることで、今回C-130(特殊作戦用HC-130J)に搭載された「Hexa」も、現状では搭載重量や航続距離の点でまだまだですが、その可能性と将来性に賭けている段階です
もう一つは、小型ドローン市場が活性化した際の大きな反省事項として、国防省や国が積極的に関与せずに民間企業の競争に任せていた結果、コストを重視した小型ドローン企業が部品の大半を中国のサプライチェーンに依存することとなり、国防省や米政府機関の導入や使用が困難に直面した苦い過去を踏まえている点で、eVTOLではその過ちを繰り返さないように、民生用の開発であっても「前広に」米軍として関与して行こうとの意図が背景にある点です
米空軍としては、100nm先の場所に、3-8名を輸送でき、速度が100マイル/h程度の電動ヘリ(eVTOL)を、2023年までには実用可能なオプションにまで煮詰めたいとの目標を掲げており、12以上の企業から様々な民生用開発品情報を入手するなど、楽しみなのでご紹介しておきます。
3月31日付Defense-News記事によれば
●2020年2月に開始された「Agility Prime」プロジェクトでは、(取り組みの一つとして)、6企業から民生用のeVTOL開発の情報提供を受け、2020年12月にJoby社の「S4」に米空軍として耐空証明を付与したところであるが、様々な開発途上の技術を生かし、米空軍は2023年までに実用的な形(program of record by 2023)にまとめたいと考えている
(注:6企業は、Phenix Solutions, Joby Aviation, Elroy Air, Moog, Beta Technologies、Lift Aircraft.)
●「Agility Prime」プロジェクト担当のJames Bieryla氏は、「我々は従来とは異なる調達法にトライしている」、「厳格な要求性能提示するのではなく、逆の手法で行っている。皆さんの企業では何が出来ますか、と問いかけ、12企業以上から情報を得ることができた。様々な分野で特徴を持つこれら情報をさらに発展させるように促進したいと考えている」と語った
●同プロジェクトの一環として、3月23-24日に第355航空団(A-10攻撃機を主に、HH-60やHC-130からなる救難部隊を保有)で行われたHC-130J輸送機への搭載試験は、情報提供があった一つであるLift Aircraft社の「Hexa」を使用して行われた
●「Hexa」は卵のような形状をした機体で、水上にも着水することができる。3月末の試験ではC-130輸送機に1機のみ搭載したが、機内スペースからすればC-130に一度に「Hexa」を5-6機搭載可能と考えられている。また搭載試験では、「Hexa」1機と支援機材搭載に45分を要したが、手順化すれば15分で搭載可能と考えられる
●現時点では「Hexa」は15分程度しか連続飛行できず、1名しか搭乗できないが、基本技術を生かして搭載量を増やすことは可能であろうし、操縦は大部分が自動化されており習熟は容易で、完全自動化運用も開発中である
●しかし、このようなeVTOLはエンジン駆動と比較して極めて静粛なことから、また輸送の容易性等から、最前線の展開基地での物資輸送の他、偵察要員輸送や安全確保要員の事前派遣等に有用だと、前線部隊から潜在的能力への期待は大きい
●米空軍では、複数の候補機体や要素技術の確認試験を行っており、初期段階の各種アイディアに対し、どのように米空軍が関与して行くか等について検討している。その取り組みは民生用として、皆を助ける技術に成熟する可能性を秘めている
///////////////////////////////////////////////////
「Hexa」(翼無し)や「S4」(翼あり)の写真からご覧いただけるように、SF映画から飛び出してきたような形状の機体です。そのほかにも「eVTOL」情報収集対象の機体には、興味深い機体が含まれています
蓄電池でどれだけ推力が得られるのか? どれだけ航続距離が確保できるのか等々、興味は尽きませんが、夢のある話なのでご紹介しておきます
米空軍のACE構想実現には極めて懐疑的なまんぐーすですが、米空軍や専門家の前向きな「知恵だし」や努力には頭が下がります。日本人も知恵を絞らないと・・・と痛切に感じます
米空軍の戦力分散運用ACE関連
「F-15Eに完成弾JDAM輸送任務を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-04
「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
「米空軍若手がACEの課題を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-13
「中東派遣F-35部隊も挑戦」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「三沢でACE訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-21
「太平洋空軍がACEに動く」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-12
「太平洋空軍司令官がACEを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「F-22でACEを訓練」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-08
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C-130輸送機で一度に数機空輸可能なeVTOL
複数の民生用試作開発機を評価やテスト中
5月のACE演習で一部を試験活用へ
3月31日付Defense-Newsは、米空軍が2020年2月から当時のRoper次官補主導で始めた民生用電動へり(eVTOL:electric vertical-takeoff-and-landing)導入検討(Agility Primeプロジェクト)に関し、3月末に候補の一つで輸送機搭載&輸送試験を行い、5月には本格的な演習(Exercise Bushwhacker)で試作中の電動ヘリの搭載・輸送・組み立て等の検証を計画していると報じています
このような電動ヘリは、米空軍が対中国・対ロシアを想定して全世界で取り組む戦力の分散&機動的運用構想ACE(agile combat employment)における人員や物資輸送、更には救難救助用での活用がメインに想定されているアイディアですが、幾つかの特徴があります
一つは、米空軍が要求性能を出して企業に開発させる方式ではなく、民生用に様々な企業やベンチャーが開発・試作しているものをできるだけ活用し、開発費投入を抑える方式を追求していることで、今回C-130(特殊作戦用HC-130J)に搭載された「Hexa」も、現状では搭載重量や航続距離の点でまだまだですが、その可能性と将来性に賭けている段階です
もう一つは、小型ドローン市場が活性化した際の大きな反省事項として、国防省や国が積極的に関与せずに民間企業の競争に任せていた結果、コストを重視した小型ドローン企業が部品の大半を中国のサプライチェーンに依存することとなり、国防省や米政府機関の導入や使用が困難に直面した苦い過去を踏まえている点で、eVTOLではその過ちを繰り返さないように、民生用の開発であっても「前広に」米軍として関与して行こうとの意図が背景にある点です
米空軍としては、100nm先の場所に、3-8名を輸送でき、速度が100マイル/h程度の電動ヘリ(eVTOL)を、2023年までには実用可能なオプションにまで煮詰めたいとの目標を掲げており、12以上の企業から様々な民生用開発品情報を入手するなど、楽しみなのでご紹介しておきます。
3月31日付Defense-News記事によれば
●2020年2月に開始された「Agility Prime」プロジェクトでは、(取り組みの一つとして)、6企業から民生用のeVTOL開発の情報提供を受け、2020年12月にJoby社の「S4」に米空軍として耐空証明を付与したところであるが、様々な開発途上の技術を生かし、米空軍は2023年までに実用的な形(program of record by 2023)にまとめたいと考えている
(注:6企業は、Phenix Solutions, Joby Aviation, Elroy Air, Moog, Beta Technologies、Lift Aircraft.)
●「Agility Prime」プロジェクト担当のJames Bieryla氏は、「我々は従来とは異なる調達法にトライしている」、「厳格な要求性能提示するのではなく、逆の手法で行っている。皆さんの企業では何が出来ますか、と問いかけ、12企業以上から情報を得ることができた。様々な分野で特徴を持つこれら情報をさらに発展させるように促進したいと考えている」と語った
●同プロジェクトの一環として、3月23-24日に第355航空団(A-10攻撃機を主に、HH-60やHC-130からなる救難部隊を保有)で行われたHC-130J輸送機への搭載試験は、情報提供があった一つであるLift Aircraft社の「Hexa」を使用して行われた
●「Hexa」は卵のような形状をした機体で、水上にも着水することができる。3月末の試験ではC-130輸送機に1機のみ搭載したが、機内スペースからすればC-130に一度に「Hexa」を5-6機搭載可能と考えられている。また搭載試験では、「Hexa」1機と支援機材搭載に45分を要したが、手順化すれば15分で搭載可能と考えられる
●現時点では「Hexa」は15分程度しか連続飛行できず、1名しか搭乗できないが、基本技術を生かして搭載量を増やすことは可能であろうし、操縦は大部分が自動化されており習熟は容易で、完全自動化運用も開発中である
●しかし、このようなeVTOLはエンジン駆動と比較して極めて静粛なことから、また輸送の容易性等から、最前線の展開基地での物資輸送の他、偵察要員輸送や安全確保要員の事前派遣等に有用だと、前線部隊から潜在的能力への期待は大きい
●米空軍では、複数の候補機体や要素技術の確認試験を行っており、初期段階の各種アイディアに対し、どのように米空軍が関与して行くか等について検討している。その取り組みは民生用として、皆を助ける技術に成熟する可能性を秘めている
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「Hexa」(翼無し)や「S4」(翼あり)の写真からご覧いただけるように、SF映画から飛び出してきたような形状の機体です。そのほかにも「eVTOL」情報収集対象の機体には、興味深い機体が含まれています
蓄電池でどれだけ推力が得られるのか? どれだけ航続距離が確保できるのか等々、興味は尽きませんが、夢のある話なのでご紹介しておきます
米空軍のACE構想実現には極めて懐疑的なまんぐーすですが、米空軍や専門家の前向きな「知恵だし」や努力には頭が下がります。日本人も知恵を絞らないと・・・と痛切に感じます
米空軍の戦力分散運用ACE関連
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「GuamでF-35とF-16が不整地離着陸」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-28
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「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
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韓国が国産4.5世代機KF-Xデモ機「KF-21」披露 [安全保障全般]
韓国大統領やインドネシア国防相も式典に出席し
ゴタゴタの戦闘機選定を経て、米国の技術支援なく
9日、韓国が進める国産4.5世代機「KF-X」計画のプロトタイプ「KF-21」初号機の完成披露式典が行われ、文在寅韓国大統領のほか、共同開発国であるインドネシア国防相も出席して行われました
KF-Xの道のりは超複雑です。2013年頃、韓国は次期戦闘機にF-15サイレントイーグル導入で固まっており、ハイローミックス装備体系追求で国産KF-XをF-15製造米ボーイングの支援を得て同時に進めようと考えていました
しかし、日本がF-35導入を決めたことで韓国関係者の血が騒ぎ、大どんでん返しでF-35導入を決めたことからボーイングが怒り、国産KF-Xへの米企業支援が得られなくなり、無理やり完全国産に進まざるを得なかった妥協の産物です。なお、F-35導入を決めた後、韓国はロッキードにもレーダー等の技術提供を堂々と要求したらしいですが、「調子に乗るな!」と断られた黒歴史もあるので、「おまけ」で触れておきます
またKF-X計画は、インドネシアとの共同プロジェクトとして始まっており、インドネシアが2割の開発経費を負担して48機を導入し、技術移転も受ける合意があるようですが、インドネシア側が支払予定額のわずか1割(13%)支払いでストップした状態で「足抜け」の噂も出ており、今回の式典前日にも両国国防相が協議したようですが、「失敗に終わった」と報じられていることろです
KF-Xは、韓国空軍F-4とF-5戦闘機の後継機と想定され、2032年までに計120機製造が予定されている戦闘機ですが、エンジンを米GE製F414にせざるを得ないなど、国防装備の国産化でアピールしたい人気急落中の韓国大統領にとっては、いばらの道が目の前に立ちはだかっています
9日付Defense-News記事によれば
●9日、ソウルの南約440㎞のSacheon氏のKAI工場で開催された「KF-21」初号機披露式典で韓国大統領は、「韓国はついに、我々が作り出した超音速戦闘機を手にした」、「我々は国防の新たな時代を切り開き、航空産業発展の歴史的な一里塚を打ち立てた」と国産装備による軍強化方針の成功をアピールした
●KF-X開発には、2015年から28年の間に約9000億円が投入され、AESAレーダー、電子戦装備、赤外線や光学ターゲティング装置を国産するなど、65%の部品を国内で調達する計画で進められている。ただしエンジンは米GE社のF414を2機搭載することになた
●今後地上での各種試験を進め、2022年7月に初飛行を予定している。その後は約4年間かけ、6機のプロトタイプ機で2200ソーティーの各種試験飛行を行ってから量産フェーズに入る計画である
●量産に入ったなら、韓国空軍F-4とF-5戦闘機の後継機として、2028年までに40機を導入し、さらに追加で2032年までに80機を導入する計画になっている
●様々な技術的課題が取りざたされているが、主要な装備となるはずの韓国産空対地巡航ミサイル開発もその一つである。韓国軍需産業は海外ミサイルメーカーとの協力体制で開発を模索しているが、韓国政府は国防省関連の研究開発機関主導での開発を追求しており、開発がストップしている状態にある
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韓国のF-35選定のゴタゴタと、それに絡んでのKF-X計画の紆余曲折ぶりは、韓国ドラマも真っ青の筋書きのないドタバタ劇となっており、ぜひ下記にご紹介の過去記事で振り返って頂きたいと思いますが、そのたくましさを少しは学んでもいいのかもしれません
文在寅大統領の式典参加で力の入れようが伺えますが、お手並み拝見、高みの見物・・・とまいりましょう。
KF-X関連の記事
「KF-Xは欧州のミサイル搭載?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30-1
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31
韓国の戦闘機ゴタゴタ(突然F-35調達)とKF-X
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国がF-35に最終決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1
「急転直下:F-35を選定か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-19
「韓国国産戦車開発も絡み、トルコ戦車に韓国関与」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-09
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ゴタゴタの戦闘機選定を経て、米国の技術支援なく
9日、韓国が進める国産4.5世代機「KF-X」計画のプロトタイプ「KF-21」初号機の完成披露式典が行われ、文在寅韓国大統領のほか、共同開発国であるインドネシア国防相も出席して行われました
KF-Xの道のりは超複雑です。2013年頃、韓国は次期戦闘機にF-15サイレントイーグル導入で固まっており、ハイローミックス装備体系追求で国産KF-XをF-15製造米ボーイングの支援を得て同時に進めようと考えていました
しかし、日本がF-35導入を決めたことで韓国関係者の血が騒ぎ、大どんでん返しでF-35導入を決めたことからボーイングが怒り、国産KF-Xへの米企業支援が得られなくなり、無理やり完全国産に進まざるを得なかった妥協の産物です。なお、F-35導入を決めた後、韓国はロッキードにもレーダー等の技術提供を堂々と要求したらしいですが、「調子に乗るな!」と断られた黒歴史もあるので、「おまけ」で触れておきます
またKF-X計画は、インドネシアとの共同プロジェクトとして始まっており、インドネシアが2割の開発経費を負担して48機を導入し、技術移転も受ける合意があるようですが、インドネシア側が支払予定額のわずか1割(13%)支払いでストップした状態で「足抜け」の噂も出ており、今回の式典前日にも両国国防相が協議したようですが、「失敗に終わった」と報じられていることろです
KF-Xは、韓国空軍F-4とF-5戦闘機の後継機と想定され、2032年までに計120機製造が予定されている戦闘機ですが、エンジンを米GE製F414にせざるを得ないなど、国防装備の国産化でアピールしたい人気急落中の韓国大統領にとっては、いばらの道が目の前に立ちはだかっています
9日付Defense-News記事によれば
●9日、ソウルの南約440㎞のSacheon氏のKAI工場で開催された「KF-21」初号機披露式典で韓国大統領は、「韓国はついに、我々が作り出した超音速戦闘機を手にした」、「我々は国防の新たな時代を切り開き、航空産業発展の歴史的な一里塚を打ち立てた」と国産装備による軍強化方針の成功をアピールした
●KF-X開発には、2015年から28年の間に約9000億円が投入され、AESAレーダー、電子戦装備、赤外線や光学ターゲティング装置を国産するなど、65%の部品を国内で調達する計画で進められている。ただしエンジンは米GE社のF414を2機搭載することになた
●今後地上での各種試験を進め、2022年7月に初飛行を予定している。その後は約4年間かけ、6機のプロトタイプ機で2200ソーティーの各種試験飛行を行ってから量産フェーズに入る計画である
●量産に入ったなら、韓国空軍F-4とF-5戦闘機の後継機として、2028年までに40機を導入し、さらに追加で2032年までに80機を導入する計画になっている
●様々な技術的課題が取りざたされているが、主要な装備となるはずの韓国産空対地巡航ミサイル開発もその一つである。韓国軍需産業は海外ミサイルメーカーとの協力体制で開発を模索しているが、韓国政府は国防省関連の研究開発機関主導での開発を追求しており、開発がストップしている状態にある
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韓国のF-35選定のゴタゴタと、それに絡んでのKF-X計画の紆余曲折ぶりは、韓国ドラマも真っ青の筋書きのないドタバタ劇となっており、ぜひ下記にご紹介の過去記事で振り返って頂きたいと思いますが、そのたくましさを少しは学んでもいいのかもしれません
文在寅大統領の式典参加で力の入れようが伺えますが、お手並み拝見、高みの見物・・・とまいりましょう。
KF-X関連の記事
「KF-Xは欧州のミサイル搭載?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30-1
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31
韓国の戦闘機ゴタゴタ(突然F-35調達)とKF-X
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国がF-35に最終決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1
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無人ウイングマン試験機が多用途ドローン投下試験成功 [米空軍]
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豪州も3機導入し各種試験中のXQ-58A Valkyrieから
6回目のXQ-58A飛行試験で初の内装爆弾庫からの投下試験
3月26日、米空軍研究所とKratos社が協力し、無人ウイングマン構想の研究機体であるXQ-58A Valkyrieから、ALTIUS-600小型無人機を投下飛行させる試験に成功しました。この際、XQ-58Aの内部爆弾庫(internal weapons bay)を初めて使用し、この面での試験にも成功したとのことです
この無人ウイングマン構想は「Skyborg構想」と呼ばれ、中国やロシアなどの強固な防空網を持つ敵との本格紛争を想定し、現在は有人機がすべてを担っているISR偵察や電子戦や攻撃などの任務を、安価で撃墜されても負担が少ないながら、人工知能等活用で多様な任務遂行可能な無人機に実施させようとの開発構想です。
例えば、リスクの高いエリアでのISR任務を無人機が担当し、有人機は敵から遠い空域に在空して無人機からの入手情報を基に指揮統制をしたり、無人機が兵器を多量に搭載してシューターの役割を担い、有人機が各種情報を基に無人兵装機を誘導するなど、様々な任務分担が想定されています
本構想実現に向け昨年2020年12月に、「Kratos社」のほか「Boeing」「General Atomics」社が、以下のような要求性能概要に沿って、今年7月から「Skyborg構想」のデモ機飛行を行う契約を米空軍と結んだところです。
---大きな戦闘力を発揮しつつも、現有の有人戦闘機に比して維持整備の負担を最小限に抑えなければならない
---モジュラー式で多様なハードとソフトを搭載可能で、多様な任務に対応可能。またソフトは迅速にアップデート可能
---繰り返し使用可能で使い捨てを前提としたものではないが、低コストで任務遂行中に失われても損害が軽微
今回、小型無人機を投下したKratos社のXQ-58A Valkyrieは、恐らく3社のデモ機に提供する基礎技術開発用機体の位置づけで、今回が6回目の試験飛行らしいですが、豪州も同じ機体を昨年5月に豪州首相も隣席の式典で大々的に受け入れ、計3機で試験検討を行っており、米豪空軍協力の象徴ともなっています
他にもXQ-58Aはこれまで、基本的な飛行試験の他、5世代機F-22やF-35を交えた通信中継機としての機能試験などを行ってきており、早ければ2023年にも無人ウイングマン(Skyborg)の仕様を固めたい米空軍の構想(2019年当時の空軍高官の発言)に沿っていろいろ試しているようです
この試験だけで、どうこう言う段階ではありませんが、無人機ウイングマン構想との米空軍だけでなく西側同盟国にとって重要な構想の1段階ですのでご紹介しておきます
5日付Defense-News記事によれば
●5日米空軍は、3月26日にアリゾナ州Yumaの試験場空域で、Kratos社ステルス形状無人機 XQ-58A Valkyrieの内装爆弾庫から、「ALTIUS-600」小型無人機を投下&飛行させる試験に成功したと発表した
●「ALTIUS-600」小型無人機は、機体前方に約3kgのセンサー等搭載機材を乗せ、計約13kgの総重量で飛行する無人機で、投下当初はチューブ状の形状で落下し、姿勢が安定した時点で翼などを展開し、電磁波情報収集、電子妨害、ISR、無人機妨害など多様な任務への使用が想定されている装備である
●米陸軍も、「ALTIUS-600」をヘリや移動車両、更には無人機MQ-1C Gray Eagleから投下や射出する試験を昨年から行っており、機体の高い潜在能力に期待が集まっている装備である。様々な母機や発射機から投射する際の、翼展開や推進システム駆動のタイミングにノウハウ蓄積が重要と言われている
●米空軍のXQ-58A計画担当者は、今回の試験ではALTIUS-600投射の他に、従来より高高度をより高速で飛行する試験も実施し、30か月間のXQ-58A開発が単なるコンセプト実証から、実戦的な能力証明段階にまで達していることを示していると自信を示した
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「ALTIUS-600」小型無人機は、事前プログラムで飛行させるほか、地上等からリモコン操作も可能な無人機で、安価ながら平地があれば着陸させて再利用の可能な無人機だそうです。
XQ-58A Valkyrieがどこまで試験を続けるのか、「Kratos」のほか「Boeing」「General Atomics」社の3機種のデモ機との関係はどうなるのか、無人ウイングマン構想(Skyborg)はどのような運用構想までを狙っているのか等々、興味は尽きませんが、引き続き続報を待ちたいと思います
無人機ウイングマン構想
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3
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豪州も3機導入し各種試験中のXQ-58A Valkyrieから
6回目のXQ-58A飛行試験で初の内装爆弾庫からの投下試験
3月26日、米空軍研究所とKratos社が協力し、無人ウイングマン構想の研究機体であるXQ-58A Valkyrieから、ALTIUS-600小型無人機を投下飛行させる試験に成功しました。この際、XQ-58Aの内部爆弾庫(internal weapons bay)を初めて使用し、この面での試験にも成功したとのことです
この無人ウイングマン構想は「Skyborg構想」と呼ばれ、中国やロシアなどの強固な防空網を持つ敵との本格紛争を想定し、現在は有人機がすべてを担っているISR偵察や電子戦や攻撃などの任務を、安価で撃墜されても負担が少ないながら、人工知能等活用で多様な任務遂行可能な無人機に実施させようとの開発構想です。
例えば、リスクの高いエリアでのISR任務を無人機が担当し、有人機は敵から遠い空域に在空して無人機からの入手情報を基に指揮統制をしたり、無人機が兵器を多量に搭載してシューターの役割を担い、有人機が各種情報を基に無人兵装機を誘導するなど、様々な任務分担が想定されています
本構想実現に向け昨年2020年12月に、「Kratos社」のほか「Boeing」「General Atomics」社が、以下のような要求性能概要に沿って、今年7月から「Skyborg構想」のデモ機飛行を行う契約を米空軍と結んだところです。
---大きな戦闘力を発揮しつつも、現有の有人戦闘機に比して維持整備の負担を最小限に抑えなければならない
---モジュラー式で多様なハードとソフトを搭載可能で、多様な任務に対応可能。またソフトは迅速にアップデート可能
---繰り返し使用可能で使い捨てを前提としたものではないが、低コストで任務遂行中に失われても損害が軽微
今回、小型無人機を投下したKratos社のXQ-58A Valkyrieは、恐らく3社のデモ機に提供する基礎技術開発用機体の位置づけで、今回が6回目の試験飛行らしいですが、豪州も同じ機体を昨年5月に豪州首相も隣席の式典で大々的に受け入れ、計3機で試験検討を行っており、米豪空軍協力の象徴ともなっています
他にもXQ-58Aはこれまで、基本的な飛行試験の他、5世代機F-22やF-35を交えた通信中継機としての機能試験などを行ってきており、早ければ2023年にも無人ウイングマン(Skyborg)の仕様を固めたい米空軍の構想(2019年当時の空軍高官の発言)に沿っていろいろ試しているようです
この試験だけで、どうこう言う段階ではありませんが、無人機ウイングマン構想との米空軍だけでなく西側同盟国にとって重要な構想の1段階ですのでご紹介しておきます
5日付Defense-News記事によれば
●5日米空軍は、3月26日にアリゾナ州Yumaの試験場空域で、Kratos社ステルス形状無人機 XQ-58A Valkyrieの内装爆弾庫から、「ALTIUS-600」小型無人機を投下&飛行させる試験に成功したと発表した
●「ALTIUS-600」小型無人機は、機体前方に約3kgのセンサー等搭載機材を乗せ、計約13kgの総重量で飛行する無人機で、投下当初はチューブ状の形状で落下し、姿勢が安定した時点で翼などを展開し、電磁波情報収集、電子妨害、ISR、無人機妨害など多様な任務への使用が想定されている装備である
●米陸軍も、「ALTIUS-600」をヘリや移動車両、更には無人機MQ-1C Gray Eagleから投下や射出する試験を昨年から行っており、機体の高い潜在能力に期待が集まっている装備である。様々な母機や発射機から投射する際の、翼展開や推進システム駆動のタイミングにノウハウ蓄積が重要と言われている
●米空軍のXQ-58A計画担当者は、今回の試験ではALTIUS-600投射の他に、従来より高高度をより高速で飛行する試験も実施し、30か月間のXQ-58A開発が単なるコンセプト実証から、実戦的な能力証明段階にまで達していることを示していると自信を示した
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「ALTIUS-600」小型無人機は、事前プログラムで飛行させるほか、地上等からリモコン操作も可能な無人機で、安価ながら平地があれば着陸させて再利用の可能な無人機だそうです。
XQ-58A Valkyrieがどこまで試験を続けるのか、「Kratos」のほか「Boeing」「General Atomics」社の3機種のデモ機との関係はどうなるのか、無人ウイングマン構想(Skyborg)はどのような運用構想までを狙っているのか等々、興味は尽きませんが、引き続き続報を待ちたいと思います
無人機ウイングマン構想
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-09
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3
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