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コロナ前でもF-35部品供給が増産に追い付かず [亡国のF-35]

更に追記
5月19日ロッキード社は、コロナによる部品調達困難や工場活動制限により、2020年のF-35製造予定機数141機のうち、18~24機は納期に間に合わない可能性があると発表 一応「18-24 jets is a worst-case scenario」で、今後回復するように頑張る、とのことです
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追記:トランプ大統領がF-35部品製造の国内回帰訴え

14日のTVインタビューで大統領が曰く
Q(製薬メーカーを例に、中国から米国内に回帰させる経済振興策について質問され、)
Trump.jpgA「ばかげた話をいやほど聞かされてきた。例えばF-35だ。素晴らしい戦闘機だが、その部品を世界中で作らせているんだ。オバマが大統領の時に決めたんだが、トルコとの関係が難しくなると部品の調達が滞り、戦闘機を作れなくなるんだ。オバマは良かれと思ってやったんだろうが、世界中から調達しているからそうなる。ばかげた話だ。すべての部品を米国で作るべきなんだ!

Q「可能なのか?」
A「変えようとしている。関連のすべての政策を変更しようとしている。F-35は重要だ。しかし機体をトルコで作って米国に移送している。でも米国との関係が悪化し、トルコがそれを拒否している」

以上のやり取りに関し国防省報道官は、大統領の発言についてはホワイトハウスに確認してくれと対応し、「国防省は引き続きF-35計画にコミットし、最新の谷はない戦闘機を提供し、合わせてコストや維持整備費の削減に取り組んでいく」と述べるにとどめ、ロッキード社もコメントを避け

14日付Defense-News記事は大統領の発言した「F-35製造の米国回帰」計画があるのか不明としたのち、F-35計画の基礎として、共同開発国が部品製造等を分担して行うことが大前提となっていると説明し、トランプ大統領にありがちな思い付き発言だろうと結んでいる
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米会計検査院が指摘、トルコ離脱でさらに悪化へ
加えてコロナの影響で悪化は避けられず

F-35B2.jpg12日付で米会計検査院GAOがF-35問題に関するレポートを出し、2015年段階から懸念されていた急激な増産計画に部品供給が追い付かない状況が2019年に顕在化し、トルコの共同開発国からの離脱で更に悪化する恐れがあると指摘し、米国防省が2021年初旬に予定している「フル生産」決定までに米議会にデータを添えて説明すべきとしています

GAOレポートは問題ばかりを指摘しているわけではなく、2016年当時と比較すれば、2019年は製造134機の中で117機が計画通りに納入されたと改善具合を評価していますが、現在コロナで遅れている最終試験が終了するタイミングで製造ペースアップの「フル生産」を開始したい国防省にとっては厳しいデータが示されていま

もともと2015年当時の国防省F-35計画室長も、急激な増産前提の計画には不安を隠さず、「過去の経験から、新造機の増産は最高で年5割増が限界だと言われているが、このペースを大幅に上回る3倍増産を計画している」と正直に不安を吐露していましたが、いよいよ顕在化し、トルコ離脱でますます悪化の方向ということなのでしょう

12日付Defense-News記事によれば
F-35C2.jpg12日発表の米会計検査院レポートによれば、部品の納期遅延事象は2017年8月当時で2000件以下だったのに対し、2019年7月段階では1万件以上に急増している
また、納期遅延から生じる製造現場での部品不足件数は、2018年7月での875件が、2019年7月には8000件以上に急増しており、不足部品の6割に当たる製造元は20社のサプライヤーに集中していると同レポートは指摘している

GAOはこの部品納入の遅延と現場での部品不足により、「機体の組み立てが長引いて効率が低下し、人件費が積みあがって最終コストが増加する結果となっている」と指摘し、対策の必要性と「フル生産」移行に疑問を呈している
GAOレポートは2019年のデータのみを対象としているが、ロシアから高性能地対空ミサイルシステムS-400を導入したトルコが共同開発国から昨年末に除外されたことから、トルコ企業が製造を担当していた1005種類の部品の代替製造企業を早急に見つけてラインを立ち上げる必要が生じており、2020年中は契約が残っているトルコ企業があるものの、今後の部品安定供給への更なる難題となってくるはずだとGAOは懸念している

F-35C.jpg国防省はトルコ企業の代替サプライヤーを主に米国内で見つけているが、急な要請にこたえて要求に適合した部品製造が可能なのか、トルコ企業と同等の価格でできるのかについては未だ未確定な部分が多く、昨年12月時点ですでに、代替生産を開始した15部品でトルコ企業当時の納期より遅延している。国防省F-35計画室も「新規参加の企業の10%がF-35製造初参加であり、いくつかの部品については2021年まで納期遅延が予期される」と認めている
GAOは新規参入企業関係者からの聞き取り情報として、「一つの部品製造でも、複数の材料を調達するサプライヤーを確保し、調達リードタイムを加味した生産計画を立てて実行するには1年以上は必要」、「更に国防省の事業に参加するには、製造工程や製品に関する認証や試験を通過する必要があり容易ではない」との声を紹介し、前途多難な見通しを示してい

●製造企業に変更等はないが、重要パーツの中で歩留まりが低下して懸念されているのがPratt & Whitney製の「F135エンジン」である期間は明らかになっていないが、2019年中の一時期、不具合が多数発生したことからエンジン納入を停止した時期があった模様で、9割以上のエンジンが納期遅延してた模様である
F-35B.jpgGAOは「機体組み立て後の試験で発覚したエンジン不具合が、2018年には8件だったのが、2019年には18件に急増し、そのたびに機体を分解してエンジンを取り出し確認修理する工程が増え、納期遅延につながった」と指摘し、重要な主要パーツであるだけに原因究明が急務だとしている

GAOは以前から、フル生産が可能な根拠データや計画のリスクを米議会に説明するよう国防省に要求しているが、国防省は十分に対応していないともGAOは指摘している
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コロナ対策や経済振興策のため、2021年度予算案の再検討とか、米国防予算の約3兆円削減などの文字を米メディアで目にするようになって来ましたが、部品供給が「ボトルネック」になりそうなF-35は、最重要事業との国防省内での位置づけにもかかわらず「切りしろ」要員になるのかもしれません

Congress.jpgF-35計画をしつこくフォローしてきた経験からすると、GAOが指摘すると、国防省F-35室長が「既にご指摘の点は把握済・対処済みである」とコメントしますが、最終的にはGAOが指摘したように問題が顕在化して計画全体が遅延修正される・・・とのパターンが当たり前のように繰り返されています。

ただこの部品不足問題は、2015年当時から内部で認識されていた課題であり、そのまま顕在化しているという点でお役所的な匂いがプンプンです。

2015年にすでに明確に認識されていた部品不足問題
「国防省F-35室長が問題視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

米トルコ関係
「トルコの代わりに米で部品製造」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-27
「トルコをF-35計画から除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09

ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
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https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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