米国防省内部でF-35計画見積を巡り内紛 [亡国のF-35]
7日付Bloomberg電子版は、マケイン上院議員がカーター国防長官に出したF-35計画への質問状に関する国防省の回答報告書準備状況について、国防省のMichael Gilmore試験評価部長がFrank Kendall開発担当次官に対し、国防省上層部がしっかり取り組んでいないと抗議した「文書:Memo」を明らかにしました
そもそもの発端は、国防省がF-35開発予算を追加で約550億円を要求し、試験の遅れを示唆したことに激怒したマケイン上院議員が、11月3日にカーター長官宛て書簡で、SDD(System Development and Demonstration)のスケジュールや追加経費、他の優先事業への予算的影響、将来のF-35計画への影響等に関する10個の質問への回答を求めたことにあります
「550億円の追加開発経費要求へ」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
Gilmore部長はケンドール次官にMemoで
●仮にこのまま何ら変更がなされないまま返答報告書が発出されたら、そこに含まれる回答は、良く解釈してもミスリーディングで、悪く言えば「prevarications:詐欺、言い逃れ」に該当する
●F-35計画室等による回答は、明白な事実を無視し、曖昧で誤解を招く表現となっており、現状のまま議員の手に渡れば、議会との間で大きな問題となろう。返信報告書を見直し、明確で、正確で、質問に対する完全な回答とすべきである
●例えば種々のスケジュールの見積もりが甘すぎ、開発段階の飛行試験はどんなに早くても2018年中旬までかかるはずでアリ、実戦的戦闘試験の開始は2020年までずれ込むだろう
●また、米空軍が2018年度に納入されるF-35は、計画されている全ての能力を完全に具備していると約束しているが、「highly unlikely:そうなる可能性は極めて低い」
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マケイン議員の怒りはもっともで、Gilmore部長はかねてから国防省F-35計画室のスケジュールは無謀だと主張してきており、時間が経過するほどGilmore部長の正しさが証明されているのですから・・・
単純なスケジュールの遅れだけでなく、それは当然コストの上昇に直結し、「死のスパイラル」に直結するわけです。拙速な形で米海兵隊と米空軍がF-35のIOCを宣言していますが、実態は何も変わっていませんし、「亡国のF-35」の名に相応しい惨状を呈しています
Gilmore試験評価部長とF-35
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「国防省もやっと1年遅れを認め」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-26
「F-35フル試験は1年遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-27-1
「民間団体が辛辣なF-35現状評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-20
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「整備拠点関連の話」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-05-1
おまけです!イスラエルのF-35操縦者養成
12月12日に、日本と同じくFMSでF-35を購入するイスラエルが、最初の2機を同国南部のNevatim空軍基地に迎えるようですが、イスラエル空軍のパイロットは12日の時点でも、1度もF-35で飛行していないとのことです。
つまり、同国空軍のF-35操縦者は、米国で約1年間の準備訓練を受けましたが、地上でのお勉強とシュミレーター訓練だけで帰国し、米国人操縦者が操縦してイスラエルまで空輸したF-35に、イスラエルで初めて搭乗するとのことです
本件についてイスラエル空軍幹部は
●まず、F-35のシミュレーターは素晴らしく、実機の訓練無しで十分な基礎技量を獲得できる
●そして、F-35には単座型しかなく、いずれにしても初飛行は単独飛行になるので、米国で初飛行しようがイスラエルで初体験しようが関係ない
●他の国はどうか知らないが、これがイスラエルの選択だ(That was our choice)
なおイスラエルは既に33機の購入契約を結び、来年春までに追加で17機の購入契約をまとめる方針。そして将来は更に追加で25機(垂直離着陸型F-35Bになるとの噂が)も加え、計75機の体制を目指すとか。
邪推ですが、米国防省かロッキードから、米国内での操縦訓練に関し、とんでもない金額をふっかけられ、怒りの米国訓練撤退決断があったのかも・・・
そもそもの発端は、国防省がF-35開発予算を追加で約550億円を要求し、試験の遅れを示唆したことに激怒したマケイン上院議員が、11月3日にカーター長官宛て書簡で、SDD(System Development and Demonstration)のスケジュールや追加経費、他の優先事業への予算的影響、将来のF-35計画への影響等に関する10個の質問への回答を求めたことにあります
「550億円の追加開発経費要求へ」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
Gilmore部長はケンドール次官にMemoで
●仮にこのまま何ら変更がなされないまま返答報告書が発出されたら、そこに含まれる回答は、良く解釈してもミスリーディングで、悪く言えば「prevarications:詐欺、言い逃れ」に該当する
●F-35計画室等による回答は、明白な事実を無視し、曖昧で誤解を招く表現となっており、現状のまま議員の手に渡れば、議会との間で大きな問題となろう。返信報告書を見直し、明確で、正確で、質問に対する完全な回答とすべきである
●例えば種々のスケジュールの見積もりが甘すぎ、開発段階の飛行試験はどんなに早くても2018年中旬までかかるはずでアリ、実戦的戦闘試験の開始は2020年までずれ込むだろう
●また、米空軍が2018年度に納入されるF-35は、計画されている全ての能力を完全に具備していると約束しているが、「highly unlikely:そうなる可能性は極めて低い」
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マケイン議員の怒りはもっともで、Gilmore部長はかねてから国防省F-35計画室のスケジュールは無謀だと主張してきており、時間が経過するほどGilmore部長の正しさが証明されているのですから・・・
単純なスケジュールの遅れだけでなく、それは当然コストの上昇に直結し、「死のスパイラル」に直結するわけです。拙速な形で米海兵隊と米空軍がF-35のIOCを宣言していますが、実態は何も変わっていませんし、「亡国のF-35」の名に相応しい惨状を呈しています
Gilmore試験評価部長とF-35
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「国防省もやっと1年遅れを認め」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-26
「F-35フル試験は1年遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-27-1
「民間団体が辛辣なF-35現状評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-20
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「整備拠点関連の話」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-05-1
おまけです!イスラエルのF-35操縦者養成
12月12日に、日本と同じくFMSでF-35を購入するイスラエルが、最初の2機を同国南部のNevatim空軍基地に迎えるようですが、イスラエル空軍のパイロットは12日の時点でも、1度もF-35で飛行していないとのことです。
つまり、同国空軍のF-35操縦者は、米国で約1年間の準備訓練を受けましたが、地上でのお勉強とシュミレーター訓練だけで帰国し、米国人操縦者が操縦してイスラエルまで空輸したF-35に、イスラエルで初めて搭乗するとのことです
本件についてイスラエル空軍幹部は
●まず、F-35のシミュレーターは素晴らしく、実機の訓練無しで十分な基礎技量を獲得できる
●そして、F-35には単座型しかなく、いずれにしても初飛行は単独飛行になるので、米国で初飛行しようがイスラエルで初体験しようが関係ない
●他の国はどうか知らないが、これがイスラエルの選択だ(That was our choice)
なおイスラエルは既に33機の購入契約を結び、来年春までに追加で17機の購入契約をまとめる方針。そして将来は更に追加で25機(垂直離着陸型F-35Bになるとの噂が)も加え、計75機の体制を目指すとか。
邪推ですが、米国防省かロッキードから、米国内での操縦訓練に関し、とんでもない金額をふっかけられ、怒りの米国訓練撤退決断があったのかも・・・
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