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重鎮ケンドール国防次官が将来航空機投資を語る [米国防省高官]

Kendall-F-35.jpg21日、米国防省の装備開発&調達担当の豪腕次官であるケンドール氏が記者会見を行い、F-35開発の教訓を踏まえつつ、今後の米軍作戦機に必要な要素について検討している様子を断片的に語っています。

ケンドール次官の話は、最終的な落とし所や結論は予断出来ませんが、思考の方向性は米空軍が進めている「Air Superiority 2030:2030年代の制空検討」や「Penetrating Counter Air検討」と問題意識を共有しており、特に中国の弾道・巡航ミサイル脅威を強く認識していることを改めて感じさせます

翻って、ケンドール次官(米国防省代表で出席↑写真上↑)と共に、日本用のF-35完成式典に参加した防衛副大臣や航空自衛隊トップが、この辺りの「脅威の変化」を全く感じ取っていない(行動が見られない)のは、脅威認識の相違という点で同盟関係の根幹に関わる事態だと改めて強調しておきます

25日付米空軍協会web記事1は
Kendall22.jpg●21日、ケンドール次官は米国防省が、次世代作戦機がどうあるべきかについて、多くの疑問と格闘していると記者会見で語った。そしてF-35計画の教訓を、米空軍の「Penetrating Counter Air検討」や米海軍のFA-18後継検討に活用すると述べた
●そしてまず最初に、次世代作戦機で各軍種が協力し、搭載システムやそのサブシステムの共有を追求して効率化を図ることはあるだろうが統合計画はないだろうと語った

●更に同次官は、米国防省は既に主要な関係企業(potential primes)とコンセプト検討に入っているが、どのような航空機を調達すべきかに関し、回答よりも疑問の方が多くわき上がっていると語った
●例えば、有人か無人か、航続距離か兵器搭載量か、どれほど洗練されたレベルが必要な、F-35等の現有戦力との組み合わせにおいて何が求められるか等々の疑問であるとも表現した

●航続距離を求める声も、兵器搭載量増を求める声もアリ、永遠の課題だろう。しかし我々に突きつけられた弾道・巡航ミサイル脅威は、航空機ではなく拠点となる航空基地や空母に向けられており、航続距離への要望はより鋭さを増している

25日付米空軍協会web記事2は
F-35 luke AFB.jpg●F-35は「信じがたいほど」「驚くべき装備」である。しかしもう一度F-35計画をやり直すとしたら、今搭載しているような全ての要素技術の搭載を追求しないだろう(not have put all the tactical air eggs in one corporate basket)
●そしてその理由として、「F-35開発にこれほど長期間を要しているのは、信じがたいほど複雑なシステムだからだ」、「洗練されたセンサー、ステルス性等々、これらを融合したF-35は使用者にとって大変有用な装備で、かつこれまでと異なる航空機となっている」と語った

一方でこれらF-35の能力は複雑さという代償を払っている。つまり、より多くの時間をかけ、より技術的な労力を要し、より多くの試験が必要だと言うことである
●ただし結論として、我々はF-35という恐るべき素晴らしい装備を手に入れたわけである

●振り返ってみて、私が国防省の調達に関わるずっと以前のF-35計画当初に立ち戻れるなら、一つの主契約企業に集中するような事業構造を望まないだろう。より競争を促す構造が健全だと思う
●F-35事業では、機体全体で競争部分が限定されていた。新たな能力を「open architecture」で柔軟に取り入れられるよう、その様な窓口を再オープンするように取り組んでいく
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Kendall.jpgケンドール発言で改めて強調されているのは、中国の弾道・巡航ミサイルで米軍等の航空基地や空母が脆弱さを増しており、航続距離を伸ばした航空機の重要性が高まっていること

また装備品開発は、要求を盛りすぎると開発に長時間必要でリスクも高くなるので、要求は堅実なレベルに抑え、それにより企業間の競争を促進して価格低下や質向上に貢献し、なおかつ将来アップグレードに備えた拡張性に配意して早期陳腐化を避ける配慮が必要・・・との点でしょうか

振り返し、繰り返しご紹介してきた考え方ですが、未だ日本では浸透不十分なようです

米空軍の将来制空アセット検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02

いい加減にしろ日本の戦闘機命派
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「悲劇:F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

空自OBに戦闘機を巡る対立
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 
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