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目標放棄:主要戦闘機の稼働率8割 [米空軍]

マティス長官が2018年10月に設定した目標
次期空軍参謀総長候補が議会で証言

Brown nomination2.jpg7日、次期空軍参謀総長候補であるCharles Q. Brown太平洋空軍司令官が議会承認を得るため上院軍事委員会で証言し、2018年10月に当時のマティス国防長官が米軍の主要戦闘機(F-35、F-22、F-16、FA-18)に対し設定した「稼働率8割目標」を、2020年以降は掲げないと説明しました

今後は、マティス長官目標以前の形態、つまり各部隊指揮官が任務や機種の特性に応じて設定する任意の指標を目標として報告する形に戻す一方で、効率的で費用対効果の高い機体維持を追求するため取り組み始めている「strategic sustainment framework」などを通じ、また民間の維持整備手法からも学んで維持費の削減を目指すと説明しています

また、Willson長官時代の2018年8月に米空軍が打ち出した将来の夢構想「The Force We Need」で目指すとした、飛行隊数を70以上増加させて386個とする目標に関しても極めて慎重な表現で「当面は現状程度で頑張るが、386以下では将来にリスク」と官僚っぽい対応を見せています

7日付Defense-News記事によれば
Brown nomi.jpg7日の上院軍事委員会用にBrown大将が準備した資料には、昨年2019年の対象機種の最高稼働率が示され、前年2018年より向上したと主張されているが、「Air Force Times」と「Defense News」が入手した2019年の年平均稼働率データからは、米空軍主要戦闘機の厳しい状況がうかがえる
F-22に関しては、巨大ハリケーンのためにティンダル基地で17機が被害を受けた影響もあるが、結果として米空軍の対処機種は8割を達成できていない。F-35に関しても様々にアピールされているが、まだ新しい期待を使用している部隊立ち上げ段階でこの状況である

   稼働率% 2018年  2019年  2019年最高
   F-16    70    73    75(7月)
   F-22    52    51    68(4月)
   F-35    50    62    74(9月)

Brown大将は証言で「国防長官室は、2018年から始まった主要戦闘機稼働率8割取り組みに関し、2020年度は取り組まないと決定している」と述べ、代わりに、各航空部隊指揮官が定める従来の即応態勢指標を目指すと説明した
●同大将は「今現在の戦いのための態勢の維持と将来への備えのバランスを引き続き追及する。老朽化が進むすべての装備品を維持することは難しくコストもかかるが、維持整備費削減に向け、民間分野を含む最新技術や手法にも目を向け取り組んでいく」と説明した

Goldfein8.jpgこの稼働率8割目標に関しては従来から米空軍内の反発が強く、現在のGoldfein参謀総長も、即応態勢は如何に任務を首尾よく遂行したかによって測られるのもので、機体の稼働率だけから評価されるものではないと昨年8月に述べており、操縦者や整備員等の技量レベル、配分飛行時間、部品や燃料等の準備状況など多様な指標によって総合的に評価されるべきだと主張している
一方で空軍は稼働率8割を前面に出さない代わりに、導入を進めている「strategic sustainment framework」との手法を通じ、各拠点での維持整備作業の状況をネットワークで共有することや、「conditions-based maintenance」の導入に取り組んでいくとBrown大将は説明した

他に、Willson空軍長官時代の2018年夏に取りまとめた「The Force We Need」でぶち上げた、386個飛行隊への飛行隊数25%増構想に関する議員からの質問に対し同大将は、必要な増強だと述べる一方で
当面の間、つまり近い将来においては、国家防衛戦略NDSを遂行する体制にあると説明し、「将来的には386飛行隊態勢に向かう必要があり、それ以下はリスクを伴う」と述べた

F-35.jpgただし、米空軍がそのレベルに完全に達することができない可能性があることは認めつつ、無人機を最大限に活用する体制構築などを通じて、その穴を埋めていきたいと表現し、「386に少し足りないかもしれないが、有人機と無人機の連携、例えばXQ-58 Valkyrieのようなシステムと第5世代機の編隊連携なども含め、我々の活動範囲や状況把握能力を向上させていく」と説明した
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まぁ・・・米空軍のみならず米軍は、20年続いている対テロから中国ロシアとの本格紛争への備えに移行を図る過渡期にあり、従来装備品を大胆に早期退役させて新型装備に切り替えたり、ネットワーク重視の戦い方に転換しようとしている途上にあり、予算総額が横ばいの中、「メリハリ」をつけた予算配分もせざるを得ず、「稼働率」だけを追求できない状況にあり、このような形になったものと思います

Mattis.jpg邪推ですが、おそらく当時のマティス長官は、「今現在の戦いへの態勢の維持と将来への備え」のバランスを取ると海軍や空軍は言うが、表面を取り繕っているだけで実態は十分な統制が取れているとは言えないことから、せめて今の「即応態勢」を確保を確実とするため、わかりやすい「稼働率」目標を示したのだと思いますが、うまくいかなかったようです

「386飛行隊」への増強夢構想については、米海軍が無理と分かっていながら「355隻体制」を訴え続けていることから真似したんじゃないかと邪推していますが、それでなくてもコロナで大変なBrown次期参謀総長ですから、突っ込まないで上げてほしいと思います

主要戦闘機の稼働率を8割にせよ関連記事
「海軍FA-18は何とか達成?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-25
「米空軍はF-16のみ達成可能」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-09-06
「戦闘機稼働率8割への課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-09
「マティス国防長官が指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11

「B-1爆撃機の稼働機一桁の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3

米空軍の将来体制夢構想「The Force We Need」関連
「空軍長官386個飛行隊を追求」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19-1
「早くも386夢構想あきらめ?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-16-1
「CSBAは応援姿勢か!?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24

無人ウイングマン構想
「豪とボーイングが初号機披露」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-05-1
「米空軍の取り組み」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27

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再び中国資本の米軍需産業への接近警戒 [米国防省高官]

3月25日の会見に続き弱小軍需企業への接近警戒
「中国」との国名は出さずに覆面中国資本を警戒

Lord.jpg4月30日、辣腕のEllen Lord調達担当国防次官がネット上での講演で、資本の実態を隠した敵対国企業(shell companies)が、コロナ感染の影響で資金繰りが厳しくなっている重要な軍用装備を支える小規模な米企業に接近する事例が急増していると、3月25日の緊急会見に続き再び警鐘を鳴らし、関係当局と連携して監視を強化していると語りました

コロナウイルス関連で、トランプ大統領が欧州主要国と連携して中国を批判し訴える構えを強めていますが、同次官は敵対国企業(shell companies)の具体的国名には一切言及せず、しかし「私自身の最大の懸念事項」と表現し、目を光らせていることを強調し、その抑止効果を狙っているようです

3月末の会見をご紹介した際には、米ベンチャーキャピタル資本家の「中国はたぶんこの不況に乗じ、触手を伸ばそうとするだろう」、「現在の米国内での、その日暮らしの資金流通状況からすると、受注が先細り傾向にある小規模事業者は、中国資本にとって格好のターゲットとなるだろう」、「手をこまねいて見ているしかないだろう:we’ll only have ourselves to blame」との言葉を紹介しましたが、米政府側に特段の新対策があるような気配はなく、コロナの早期終息を願うばかりです・・・

1日付Military.com記事によれば
China-USA.jpgLord国防次官は、「我々は、敵対国の本当の資本の出どころを隠した企業(shell companies)が、米国企業にアプローチする様子を多数確認しており、大変懸念している」とTV会議の席で述べた
それら隠れ蓑企業が狙いを定めている米企業の中には、米海軍や米空軍装備品の緊要な部品を製造していながら、今次のコロナ感染関連で資金繰りに苦しんでいる企業が含まれており、苦境に付け込んだ悪意ある外国投資金のアクセスを許しかねない事態となっている、と同次官は説明した

同次官は、敵対的な資本が浸透を試みている米企業の中には、小規模で多量の部品や製品を納入しているわけではないが、その部品等がないと米海軍や空軍の航空機や主要装備に支障をきたす重要な企業が含まれている点が大きな問題だと改めて指摘し、軍需産業基盤の脆弱な企業系列への浸透が最大の懸念事項だと語った
Lord2.jpg●そして米議会と協力してCFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States)による疑わしい資本への監視を強化し、米国防省の軍需産業政策推進に協力してもらっていると、同次官は説明した。CFIUSは国家安全保障に関する分野への外国資本の接近監視・ブロック機能を果たしている。

同次官は「中国」との具体的国名は出さなかったが、中国による米国の知的財産権侵害の企てについて以前から警告しており、2019年5月の記者会見では「中国はますます経済的な手段を用いて、我々が努力して開発し獲得した利益を奪取しようとしている。特に国家安全保障にかかわる技術を保有する企業への投資によって経営に浸透する手段が目立つ」と訴えていた
4月30日のTV会議でも、「我々は、極めて注意深く敵対国が以前から仕掛けている経済戦争に対処しなければならない」と発言し、主要な軍需産業に対し、下請け企業ながら重要なパートを担っているサプライチェーン企業に対し、早め早めに資金を流すよう要請していると述べている
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CFIUS.jpgこの問題は、警戒心が薄く、安全保障感覚の低い日本のような社会ではより大きな問題のような気がしますがどうなんでしょうか? コロナ対策における日本の中国への配慮具合からしても、零細な日本の中小企業の状況が懸念されます

武漢研究所からのウイルス漏洩説や、感染拡大初期段階(継続的にでしょうが・・・)における感染状況の隠蔽など、中国に対する国際社会の風当たりが強くなる雰囲気はありますが、コロナ後の経済V字回復をもくろむ諸国にとって中国市場の魅力は捨てがたく、どこまで大きな流れとなるのかも注目したいところです・・・

「米国防次官:混乱に乗じた中国資本の浸透警戒」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26

米国軍需産業の分析レポートなど
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05

米国防省のコロナ対策や影響
「3月18日以降の変化:随時更新」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

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独国防省筋がトーネード後継3機種案検討を認める [安全保障全般]

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最終決定は2022年か23年とか
電子戦機はEA-18Gではなくユーロファイター案も

tornado-G.jpg4月22日付Defense-News記事は、ドイツ国防省筋の話として、3月末にドイツ紙が報じた「独トーネード後継機は3機種混合:Eurofighters、FA-18、EA-18G」案を検討していると認め、一方で最終的な決定はドイツ議会承認を受ける2022年か23年になると語ったと報じています

3月末の報道は、Eurofighter・90機、Super Hornet・30機(戦術核搭載)、EA-18G Growler・15機を混合で選択と報じましたが、今回の記事では、Eurofighter93機、Super Hornet45機(戦術核搭載)、EA-18G Growler15機となっています

この機種選定の複雑理由は、以下の記事で数週間前にご紹介したところで、詳しくは過去記事をご覧いただきたいのですが、簡単に複雑な理由を列挙すると・・・
「独トーネード後継を3機種混合で?」https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29

Eurofighter2.jpg独トーネードはNATO任務として、米軍がドイツ内に保管する約30発の戦術核爆弾を投下する任務を帯びており、その後継機は戦術核投下のための米国の承認を受けた特別仕様である必要があるが、F-35も、FA-18も、ユーロファイターも、その承認をとれていない
しかし、米政府の予定では、F-35は「Block 4」バージョンで能力付加が計画されており、FA-18もは初期型FA-18が同承認を得ていることから、ボーイングは楽観的な見通しを述べている一方で、欧州製のユーロファイターには承認に数年必要とされている

欧州各国は次世代戦闘機開発を2つのグループ(独仏と英伊など)で進めており、F-35はこれへの影響が大きいことから門前払い状態になっているが、戦術核をロシア相手に使用するのに、ステルス機が必要なはず・・との主張はドイツ空軍内に渦巻いており、軍事専門家にもF-35を推す声も強い
英独仏の共同開発のユーロファイターには、欧州次世代戦闘機開発までのつなぎとしてラインや技術者を維持するため、新規需要が必要

22日付Defense-News記事によれば
FA-18 2.jpgドイツ国防省筋はやっと3機種混合案の存在を認め、約30発ともいわれるドイツ国内保管の戦術核兵器B-61を運搬投下する任務には、米国との関係にも配慮しFA-18近代化版を選定したと示唆した
同筋は同時に、Eurofighter93機、Super Hornet45機(戦術核搭載)、EA-18G Growler15機の案が、21日にドイツ議会にも送られたと語った

3機種混合案が妥協の産物であることも認めた同筋は、一つには次世代戦闘機開発を開始した欧州軍需産業を盛り上げるための配慮があり、一方ではNATO加盟国としてドイツが担う役割を安全に果たし、またFA-18型が備える能力を生かすための決断だと説明し、
「3機種混合案は、大西洋をまたぐパートナー関係を強化し、NATOにおける我が国の信頼性を高めるものだ」と説明した

F-35 2.jpg一方で、トーネードが担っていた電子戦機の役割をEA-18Gが引き継ぐ案についてはユーロファイターを推す声が強くあり、エアバス社が製造しているユーロファイター用の電子戦装備や、次期戦闘機開発をにらみつつ英企業のユーロファイター用装備を採用すべきとの主張も出ている
戦術核運搬任務に関し、独政府がFA-18を選んだのは、ユーロファイターより戦術核兵器の運搬承認を安全に取得可能との判断があったのだろう

ただ、戦術核兵器の運搬任務を、引き続きドイツが担っていることについてはドイツ国民の間でも否定的な意見が多く、ドイツの政権は判断を先送りしてきた経緯がある
報道された3機種混合案に関しても、Annegret Kramp-Karrenbauer独国防相は、単なる案の一つに過ぎないし、トーネードが2030年代まで使用可能で、2025年までに後継機導入計画をまとめればよく、機種については2022年か23年に議会承認を得ればよい、とコメントするに留めている
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この話題も、コロナによる「第2の世界恐慌」を受け、どうなるものやら混迷度を深めるものと思いますが、とりあえず現状をご紹介し、将来の変化に備えたいと思いご紹介しまし

EA-18G 2.jpgそれにしても、欧州の国は、景気よく、コロナ対策でバンバンお金を国民に配分していますが、大丈夫なんでしょうか? コロナ前からEUのお荷物だったイタリアやスペインなど、これで吹っ飛ぶんじゃないでしょうか?ギリスなど観光産業しかない国なのに、どうなるんでしょうか?

18世紀から20世紀にかけ、海外を植民地にすることで反映してきた発展してきた欧州は、植民地の独立で一段レベルが下がり、米国やアジアの台頭でまた一段下がり、今回のコロナ問題で衰退国の仲間入りではないでしょうか? もちろん日本だって油断できませんが・・・

日本のメディアは、欧州諸国の国民への大盤振る舞いを讃えるだけでなく、その先にある財政的な問題や欧州の問題も取り上げるべきです!

戦術核兵器とF-35等
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ドイツと戦闘機関連記事
「独トーネード後継を3機種混合で?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-29
「トーネード後継でFA-18優位?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-08
「独の戦闘機選定:核任務の扱いが鍵」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-02-01
「独トーネード90機の後継争い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28

「独戦闘機選定に米圧力?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

「独レーダーがF-35追尾」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-01
「米独2000名に安保アンケート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-10

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米国防省内の今後のコロナ対処方針 [エスパー国防長官]

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米軍兵士を優先度で4階層に分けて検査
経済活動再開地域には2段階対処方針で

Esper corona2.jpg5日、エスパー国防長官とMilley統合参謀本部議長が記者会見して国防省と米軍内におけるコロナ対策の方向性について説明し、米軍兵士(職員含む?)を緊急度や優先度を基準に4つのグループ(4階層:four-tier)に分け、第1階層からウイルス検査を行い、合わせて抗体保持の状況を確認して今後の活動方針検討の資とすると明らかにしました。ちなみに、最優先の第1階層については全員の検査が既に終了しているようです

また、州毎に順次経済活動の再開が始まっていることから、通常体制に向かいつつある州に所在する米軍基地や国防省機関向けの対応指針を示すということです。更に、ウイルスの「人工説」や「意図的拡散説」については考えにくいと否定しています

米軍は、3月13日のトランプ大統領による「国家非常事態宣言」を受け、3月25日に全ての米軍人と文民職員の不要不急の移動を2-3ヶ月間停止すると発表、更に4月14日には指示を延長すると発言し、時期については複数の国防省関係者が夏ごろまでと発言していたところです

corona US Force2.jpgこの意味するところは、中東やアフリカなど厳しい環境の地域に派遣されている部隊の交代ができず、前線部隊の負担が蓄積しているということで、何とか改善の糸口を見つけたい状況にあります

米国防省や米軍のコロナ対策・影響(随時更新・追記中)
5月5日時点で、米軍兵士の感染者は述べ4967名、文民職員や家族、基地内勤務契約業者の感染者延べ合計は7526名で、州兵の派遣数も5万名に近づいて増え続けています
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

また、大規模な演習や訓練は中止や縮小に追い込まれF-35の開発試験や国防省が注力している統合の指揮統制システムABMSの開発や全ドメイン連接実験演習ADC2も延期や遅れが伝えられていますが、そんな中で、出口戦略の一端を明らかにした会見と考えられます

5日付米空軍協会web記事によれば
Esper corona.jpg5日、エスパー国防長官とともに記者会見を行ったMilley統合参謀本部議長は、米軍兵士を4つの階層に分けコロナ検査(a four-tier testing plan)を実施し、「無症状感染者:asymptomatic personnel」を含む米軍内の感染状況を把握すると説明した
4つの階層は、カギとなる戦略任務や国土防衛にあたる兵士(核抑止3本柱関連兵士と領海領空保全などにあたる兵士を指すものと推測)、戦闘地域で活動する兵士、戦闘地域から帰還した兵士、そしてその他の兵士の4つに分類され、第1階層の戦略任務や国土防衛にあたる兵士に対する検査は全員終了しており、第2階層への検査に現在取り組んでいると同大将は説明した

エスパー長官は上記の方向で進めるためには、今後の感染の推移により変更があり得るが、国防省の現在の検査能力2万人/週を、5.6万人/週に拡大する必要があると説明した。一方で、全兵士に対する検査は必要ないと述べ、
●また4階層の優先度の高い3階層の検査を終えた後は、余裕があれば「その他の兵士」に対して「状況監視のための抽出検査:Sentinel testing」を行い、どのくらいの割合で無症状感染者が存在するのかを把握し、後の対処方針の参考にするとの構想を示した

corona US Force.jpgまたエスパー長官は、経済活動を再開し始めたジョージア、フロリダ、テキサス州などの地域の米軍基地や国防省機関を念頭に、国防省として2段階の対応の基本指針を示す予定だと説明し、その一つは全ての国防省関係者に共通する指針で、もう一つは前述の共通指針を基にした、各基地司令官が定める地域の状況に応じた細部指針であると説明した

更に長官は、様々な情報が交錯している「コロナウイルスの起源」に関し、国防省情報機関が引き続き情報収集と分析に取り組んでいると述べ、これまで集まった情報からすると、ウイルスが人工的なものでないことと、意図的に中国内で拡散されたものでない可能性が高い、と述べた
一方で、ウイルスの拡散が武漢の市場から始まったものなのか、同市内の研究所などからなのかについては結論には至っていない、とMilley議長は述べ、「多くの機関が様々視点から分析を行っているが、中国が門戸を開き、国際的な調査を受け入れれば大きな助けとなろう」と語った
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ウイルスの起源等について、なぜ長官でなくMilley議長が説明しているのでしょうか? 国防省の情報機関は長官が束ねているイメージなのですが・・・。長官が触れると刺激的すぎるからでしょうか?

未だに、米国や英国や欧州で爆発的に感染者や死者が拡大している理由がよくわかりませんが、様々な海外の事例を学びながら、この危機を乗り越えていきたいと考える次第です

それにしても、中国は如何なる理由で国際的な調査受け入れを拒否するのでしょうか? それでも国際社会は中国にすがって生きていくことになるのでしょうか? 

コロナ関連の記事
「RIMPAC、陸軍士官学校、英空母の事例」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「ワクチン完成までの1年間程度は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-24
「米空軍士官学校卒業式2020」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-20
「中国やロシアの情報工作」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-15

「海空アクロチームが激励飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-29-1
「米国防省や米軍のコロナ対処・措置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-19

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米軍艦艇が30年以上ぶりにバレンツ海進出 [Joint・統合参謀本部]

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最近の露航空機の挑発行動への反応か
女性第6艦隊司令官の指揮の下、英海軍とともに

Barents Sea 6th.jpg4日、冷戦時代の1980年代半ば以降初めて、4隻の米海軍艦艇(駆逐艦3隻、補給艦1隻)と1隻の英海軍艦艇がロシアの懐であるバレンツ海に入り、北極圏における西側海軍のプレゼンスを示しました

このところ、ロシア爆撃機のアラスカ周辺飛行や地中海での米海軍P-8への危険な接近飛行などがみられたことから、西側の姿勢を示し、北極圏への関与意図を明示する意味合いもあるものと考えられます。なお、同海域への進行航行は、ロシア側の誤解を避けるため5月1日に事前にロシア側に通告されていたようです

Barents Sea.jpgちなみに米海軍はここ数年、北極の氷減少に伴う環境の変化を受け、2018年には空母トルーマン戦闘群の一部艦艇と海兵隊のIwoJima強襲揚陸部隊を投入した演習「Trident Juncture」を北極圏で実施し、2019年にも米海軍駆逐艦とミサイル巡洋艦が活動して実績を残しつつあるところで

また、末尾の関連記事にあるように、米海軍はロシア海軍潜水艦隊が冷戦以降で最も活動が活発になっていると警戒を強めており、昨年末にはロシア潜水艦対処専用に第2艦隊を異例の体制で立ち上げ、特に北大西洋から北極海周辺の露潜水艦の活動情報集約と分析配分に新体制で臨んでいるところです

5日付Military.com記事によれば
ロシア沿岸に近いバレンツ海を航行したのは、アーレイバーク級イージス艦Donald Cookのほか、駆逐艦Porterと駆逐艦Roosevelt、高速補給艦Supply、更に英海軍フリゲート艦Kentの計5隻である。
Franchetti.jpgバレンツ海航行の前には、これら艦艇は米海軍潜水艦やP-8哨戒機とともに、ノルウェー海で対潜水艦訓練を実施ており、合わせて約1200名の米英海軍兵士が参加している

これら駆逐艦が所属する米第6艦隊のLisa Franchetti司令官(女性)は、「我々は地域の安全と安定を確保することにコミットしており、同時に北極圏沿岸諸国との信頼醸成や北極圏利用の基礎を構築することにも関与している」と米軍の姿勢を再確認する一方で、
北極圏全般の状況を「予断を許さない、容赦のない状況」と述べ、「我が水上部隊は如何なる作戦行動にも備えなければならない。この荒涼たる海域の厳しい環境に慣れるためには、絶えざる警戒と訓練が欠かせないし、常にこの地域に我々の作戦の太鼓の音(steady drumbeat)を鳴り響かせなければならない」と強い意志を示した

5日付Nikkei Asia Review記事によれば
Pompeo2.jpgバレンツ海沿岸のムルマンスクに拠点を置くロシア海軍バレンツ艦隊は、4日から米英艦艇の監視活動を開始している
4月の記者会見で米国務省幹部は、北極圏へのテコ入れのため、約12億円の経済支援パッケージをグリーンランド(デンマーク領)に提供するとともに、夏の期間に米領事館をグリーンランドに設置すると発表している

一方で北極圏に関し中国が、「北極圏近傍国家:near-Arctic state」との立場を主張し、北極圏のステイクホルダーとして議論への関与を要求していることに関し、ポンペイオ国務長官は「北極圏国家と非北極圏国家の2区分しか存在しない」、「第3のカテゴリーなど存在しないので、中国のnear-Arctic stateとの主張は受け入れない」と拒絶していることころである
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Barents Sea 6th2.jpg長らく北極圏について触れていませんが、コロナ関連の混乱の中で、粛々とバチバチとつばぜり合いは続いています。中国は「near-Arctic state」と主張するそうですが、この点では日本も中国と仲間になれそう・・・ではありませんねぇ・・・

第6艦隊司令官のFranchetti中将はイタリア系のお名前に見えますが、イタリアの南部ナポリに司令部を置く部隊指揮官としてコロナ対策に万全を期し、バレンツ海で頑張っていただきたいと思います

たくさんの北極圏関連記事を並べましたので、ご興味のある方はどうぞ・・・

活発なロシア軍潜水艦対応
「新設の米海軍第2艦隊はロシア潜水艦対処用」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-03
「冷静後でロシア潜水艦が最も活発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21-1

北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13

北極圏:米国防省と米軍の動き
「米空軍2トップの寄稿;北極圏と米空軍」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

欧州・北極圏に関連する記事
「NATOが選挙妨害演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-13
「グリーンランドに中国企業進出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「セルビアが危ない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-2
「B-1とB-52欧州展開等」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24-1
「対露の欧州米軍予算4倍を説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2
「欧州への派遣や訓練を増加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「F-35初海外はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

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豪とボーイングの無人ウイングマン初号機披露 [安全保障全般]

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豪首相が出席して大きくアピール
これから地上試験し、年後半に初飛行へ
米空軍のXQ-58A計画と並ぶ無人僚機構想海外版

Airpower Teaming System.jpg4日、シドニーで豪州空軍とボーイング社が取り組んでいる無人ウイングマン構想試験機の初号機(3機セットの1番機)の披露式典が開催され、豪州のScott Morrison首相も出席して「豪州と豪州の国防革新における歴史的瞬間になった」と挨拶して場を盛り上げました

まだ4月に組み立てられたばかりのホヤホヤ状態の機体で、今後地上での試験を開始し、今年後半には初飛行をもくろみ、各種飛行試験を通じて、まだぼんやりしている「無人ウイングマン」なる構想をどの方向で具体化して戦力化するかを煮詰めるようです

豪州にとっては「Loyal Wingman Advanced Development Program」との計画ですが、ボーイングとしては世界市場を対象にした「ATS:Airpower Teaming System」開発の一環であり、他国への売り込みの弾みにしたいところのようで、このような派手なお披露目となったようです

XQ-58 Valkyrie.jpgこの無人ウイングマン機は安価で犠牲になっても負担が少ないながら、AIで自律的に飛行し、編隊長機と共に行動して編隊任務を遂行し、空飛ぶ弾薬庫や高性能センサー機であったり、電子妨害に特化した役割を担うことなどを期待されており、任務に応じて様々な機能をモジュール化して機体に組み込んで多様な任務に応用するなどのイメージもあるようで、様々な構想がどこまで可能かを多様な試験を通じて確認するようです

無人ウイングマンには、米空軍もSkyborg構想で取り組んでおり、空軍研究所とKratos Defense and Security社が協力開発したXQ-58 Valkyrieが2019年3月に初飛行し、2023年の実用化を目途に試験検証を行っているところですが、本日はボーイングが海外での最大の無人機投資と力を入れる豪州版無人ウイングマン試験機の様子をご紹介いたします

5日付Defense-News記事などによれば
初号機が公開されたATSは、昨年2月に豪州エアショー@アバロンで模型が展示されたばかりだが、迅速に実機の製造が進んだ。初号機は長さ38フィートで、先端部分は8.5フィートの取り換え可能なモジュールとなっており、使用者の要望により多様なセンサーやシステムを搭載可能となっている点をボーイング担当者はアピールしている
Airpower Teaming System2.jpgATSのステルス性について同社は言及を避けたが、「当然重要な検討要素の一つであり、もう一つの重要な要素である価格とのバランスを考え仕上げていく」と述べるにとどめ、最大のライバルであろうKratos社のXQ-58 Valkyrieとの競争も意識している様子である(注:XQ-58Aは100機以上で1機2億、それ以下で3億と言われている)

同社は価格低減への新技術について、4つしか可動部がないシンプルな形状としたことや、「digital twin」とのバーチャルな機体で設計や維持整備上の諸検討を進めていることや、同社として最大の樹脂混合の機体構造部材を使用して加工を容易にしたことなどを説明した
飛行試験での検証ポイントとして同社は、有人機が無人ウイングマンを細かに操縦する必要のない自律性を持たせることは既定の方向だとしながらも、無人機側から有人機側にどの程度の情報を送信共有させるかや、何を飛行中の有人機から指示させるか等々の程度を煮詰める必要があると語った

豪空軍Mel Hupfeld参謀総長は式典で、「このプロジェクトは、軍需産業との協力で何をなしうるかを示す、革新的で極めて優れた事例である」と述べ、豪州企業35社が試験機製造にかかわり、ボーイング社が全社の英知を結集して迅速に具体化した同機への期待の高さを表現した
ボーイングは同時に、米国防省ともATSの活用について話し合いを進めており、特に先端部の交換可能なモジュール部分を、今後米軍内でも煮詰められていく無人ウイングマン構想に応じて、アレンジして提供するなどの可能性がある
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無人ウイングマンは、米空軍の将来制空構想NGADや次期制空機PCA議論に必ず登場する重要なパーツです。米豪が協力し、分担して進めているとも考えられます。本当は日米でもやりたいのでしょうが・・・日本は・・・

Airpower Teaming System3.jpg中国やロシアを想定した「強固に防御された空域」での作戦では、有人機への被害を避けるため、有人機とともに行動し、または有人機に先行して犠牲をいとわず任務を遂行するプラットフォームが求められています

このコンセプトは海上作戦での無人艦艇でも同じですが、具体的に有人機と無人機の任務分担や、AIにどこまで制御させるかなど、具体的な活用法は今後の課題となっています。末尾の過去記事もご確認ください

まぁそれでも、無人機が離陸する根拠基地が敵の攻撃目標となることは間違いなく、その点での課題は克服できるものではありません

無人ウイングマンの位置づけ
「日米が協力すべき4分野」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-18
「戦闘機族ボスがNGADを語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-28
「CSBAの米空軍将来提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「連接重視で航空アセット削減へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-28
「次期制空機検討は急がない、急げない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-19
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

関連の記事
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2

米空軍の計画
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
「空母搭載の小型無人機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-03
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

米海軍を巡る動きと議論
「米国防省が空母2隻削減案」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-22
「米海軍が半年で空母再検討」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-12
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10
「5年計画で新型大型艦艇設計」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-14

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コロナを巡る米軍と英軍の判断事例3つ [安全保障全般]

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今後各方面で悩ましい判断が続きます

West Point Trump.jpg4月30日付で米軍事メディアが、コロナ感染の最中で米軍と英軍が行った判断の事例を紹介していますので、2年に一度の環太平洋海軍演習RIMPAC2020、トランプ大統領出席の陸軍士官学校卒業式@ニューヨーク、そして新型英海軍空母Queen Elizabethが乗員800名で訓練の3例について取り上げます

いずれも、中止ではなく慎重に対策しながら実施する方向の決断がなされたとの話で、RIMPAC2020は地上での行事を局限してハワイ州への影響を局限かつ期間も短縮、陸軍士官学校卒業式は2週間延期して実施、空母Queen Elizabethは乗員全員のコロナ検査を終え、国防相の許可を得て数週間の最終点検訓練を行うようです

世界各国は、感染のピークを一旦越えたかに見える中、感染第2波を避けつつ通常体制への復帰要領を模索していますが、そんな中での事例を通じ、あれこれ周囲との関係に配慮しつつ前進しようとする様子をご覧ください

2年に一度の環太平洋海軍演習RIMPAC2020
RIMPAC 2020.jpg4月29日、6月末から8月上旬にかけてハワイを中心に計画されてきた2年に一度の環太平洋(海軍)演習RIMPAC2020に関し米海軍は、5週間の訓練期間を8月17-31日までの2週間に短縮して実施する方向だと明らかにした
4月上旬、ハワイ州知事が米海軍に対し、コロナ感染拡大を危惧して同演習をコロナ収束まで延期するよう申し入れていたことに対する米海軍の検討結果で、陸上で行われる参加各国海軍間の交流行事やハワイ研修などの活動を局限することも米海軍側が提案した

米海軍側は「この状況下でも、最大限の演習効果を確保し、かつコロナ感染のリスクを最小限にする演習にする」と述べ、ハワイ州知事は、米海軍が演習の延期と海上での行動中心に見直してくれたことをうれしく思う、今後もコロナの状況を注視するとのコメントを出した
ハワイ州では延べ613名の感染者が出て旅行者の受け入れを停止しているが、最近2週間では新たに4名の感染者しか出ておらず、「social distancing」に注意しつつ、ゴルフ場、自動車販売業等々の営業再開方針を最近明らかにしていた
●なお2年前のRIMPAC2018演習には、25か国から46隻の艦艇と人員25000名が参加し、ハワイに上陸していた

トランプ大統領出席の陸軍士官学校卒業式@NY
West Point Trump2.jpg4月30日、James McConville陸軍参謀総長は「我々はテレビ会議では戦えない」と述べ、当初5月下旬に予定していた陸軍士官学校の卒業式を延期し、6月13日にトランプ大統領隣席の元で卒業生のみで実施すると発表した。なおトランプ大統領は、海空士官学校卒業式には過去出席して祝辞を述べているが、陸軍士官学校は今回が初めて
陸軍士官学校はニューヨーク郊外のWest Pointに所在するが、コロナ感染対策で在校生全員が3月から全米の自宅に戻っており、今回の卒業式のために感染リスクを冒して学校に戻して集団生活をさせることに批判の声や、政治的判断だとの声上がっている

士官学校側は感染対策を完璧に準備すると説明し、帰校した学生を全員検査して感染者を除いて5つのグループに分け、グループ間の接触がないように行動させて卒業式まで2週間の隔離期間を設けるとしている。また卒業生が部隊に赴任するまでに、健康診断や装具の配分や訓練のため士官学校に戻る必要もあると説明している
McConville陸軍参謀総長は「小規模で安全な卒業式を計画する」と述べたが、民主党議員からは「自らのスピーチの場を設定するため、将来の米陸軍を担う1000名もの卒業生をリスクにさらす自分勝手で無謀なトランプ大統領の判断だ」と厳しく批判し、卒業生OBからも批判の声が上がっている   

●ちなみに、空軍士官学校は4月18日にペンス副大統領隣席の元、コロラド州の同校で卒業式を行い、米海軍はバーチャル卒業式形式で行うとしている

新型英空母Queen Elizabethが乗員800名で訓練へ
Queen Elizabeth.jpg4月29日、来年からの実戦投入を予定されている英海軍の新型空母Queen Elizabethが、最終的な8週間にわたる訓練状況点検(Flag Officer Sea Training assessment)を受けるため、乗員800名とともに英海軍ポーツマス港を出港した
排水量6.5万トンの同空母は、F-35戦闘機とともにこの間行動し、戦闘中の被害対処訓練(火災対処や浸水対処などなど)のほか、各種任務遂行の訓練を通じて実戦任務に耐えられるかをテストされる

この種の訓練は通常海軍内で淡々と実施されるが、米空母ルーズベルトが1000名もの感染者を出し、米海軍長官と同空母艦長が職を追われる事態になっていること等を受け、英海軍が本訓練の位置づけや訓練継続の重要性を英国防相に説明し、訓練許可を願い出る異常な手続きを踏んで実施されることになった
同空母の乗員約800名は全員コロナ検査を事前に受け、全員陰性を確認するために数日出港が遅れたが、Ben Wallace英国防相は英議会軍事委員会で4月22日、「米海軍や仏海軍空母で発生した事例には触れたくないが、艦長にはコロナ感染発生したなら艦長の判断で訓練の中止や帰還を躊躇なく行うよう指示している」、「英国近海で訓練を行い、ヘリコプターで何時でも人員輸送が可能な範囲で行動している」と慎重な姿勢を説明した
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RIMPAC 20202.jpg各国、コロナ対策の緩和・解除は本当に難しい話です。具体的な経済統計が出始める中で、統制の利きにくい現代社会においてどのように進めていくのか・・・お互いの様子を参考にしながら・・でしょうが、判断をする立場の皆さんのご心労は察して余りあるものがあります

揚げ足をとるだけの批判をたれながす、マスゴミや芸人やにわか評論家には、なり下がりたくないと切に思う今日この頃です

RIMPAC関連
「2018年バンドウイルカが参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-08-02
「2018年日米陸軍が参加」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-21
「2018年中国の参加拒否」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-07-01
「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24

英空母エリザベスの悲しき現実
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03

「米空軍士官学校卒業式2020」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-20

米国防省や米軍のコロナ対処・措置
(随時、更新・追記してます)
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米空軍幹部が大型爆撃機駐留中止を語る [米空軍]

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イランによる1月のイラクal-Asad基地攻撃がきっかけ!?

B-52.jpg4月29日、米空軍の大型爆撃機を保有するGSC(Global Strike Command)のTimothy Ray司令官が、米空軍協会ミッチェル研究所のオンラインイベントに出演し、中東やアジアでの爆撃機駐留を中止した件について語りました

もちろん「いつでも、どこでも、必要であれば直ちに大型爆撃機を展開する」との姿勢に変化なく、同アセットの運用方針を「strategically predictable and operationally unpredictable」な「Dynamic force employment」方式に変更しただけ、との主張ではありますが、敵対国ミサイルの射程内に貴重なアセットを常駐させるリスクを、イランによる1月のイラクal-Asad基地攻撃で思い知ったのも事実のようで、一つの大きなきっかけであったと示唆しています

b-1b.jpgまた、核搭載能力がない(START条約で制限された)B-1爆撃機が、多彩な兵装が可能で、ギラ付かない点で使用しやすいとの説明もしていますが、昨年稼働率が2割程度にまで落ちた同機をフォローしているようにも見え、いろいろと配慮がある語りぶりで、色々想像を掻き立てられるお話ですのでご紹介しておきます

まず、4月21日の記事でご紹介した、大型爆撃機撤退に関するまんぐーすの「邪推」をもう一度ご紹介し、後にTimothy Ray司令官お話をご紹介します

邪推:Dynamic force employment方式への変更理由
貴重な戦力である大型爆撃機を、3-5機もイランや中国の弾道ミサイル射程内に派遣しておくのはリスクが高いし、情勢が緊迫してきてから撤退させては、同盟国に与える印象が悪いので、米本土待機に変更した
b-1b2.jpg老朽化して部品調達も難しくなっているB-1爆撃機の稼働率が、2019年には一時は2割以下に落ち込むなど、戦力を分散しかつ稼動機数を確保する必要があるCBPを維持するのが困難になった

20年以上続く中東での戦いのため、空軍兵士の海外派遣期間や頻度が高止まりしており、操縦者や兵士の流出に繋がっていることから改善する必要があった
駐留的派遣CBPを維持するためのコストが高く、予算不足の中で遣り繰りが困難になった

GSCのTimothy Ray司令官は中東派遣に関し
2001年からカタールのアル・ウデイド基地に大型爆撃機を展開させ、2016年にはB-52を展開可能にするため滑走路の拡張工事も行ったが、作戦運用上の現実を地域の方程式に入力すると、射程内から退いて、かつ我が航続距離内のに置くインド洋のディエゴガルシア配備にするとの解に1月時点では到達した
B-2.jpgカタールのアル・ウデイド基地は、アフガンやイラクやシリアでの対テロ作戦を支援するのに便利な立地にあり、インド洋のディエゴガルシアからだと、作戦地域での行動時間や規模が限定される

我々は、1月のイラクal-Asad基地への攻撃当日にカタールのアル・ウデイド基地に派遣することになっていたB-52部隊を、在クウェートの第379派遣航空団の指揮下に置いたまま、ディエゴガルシアに展開させることと決定した
イランが1月にイラクal-Asad基地攻撃を攻撃した。我々もイランにイラクやサウジまでを射程に収める攻撃能力があること承知していたが、攻撃の意思を感じたのは事実である。イラクal-Asadによってミサイル射程内に爆撃機を展開させなくなったのではなく、長く検討を続けてきた結果として、ディエゴガルシア配備も含めた継続的な駐留派遣を中止する判断をした

大型爆撃機3機種を保有するJames Dawkins第8空軍司令官も、我々は敵対国のミサイル射程内の基地に爆撃機派遣を完全に排除したわけではなく、なるべくなら脅威を避けたいとの思いがあるだけで、必要があればどこへでも展開する準備はできていると3月に語っていた
ちなみに、1月からディエゴガルシアに展開したB-52部隊は、90ソーティー以上の任務を行い、命じられた任務を100%果たしている

アジア太平洋下でのCBP中止関連
(4月16日にCBP:Continuous Bomber Presenceを終了した後、B-1が日本を周回するような飛行を行っているが、核搭載可能な爆撃機の展開がないとの指摘に関し、)B-52爆撃機部隊が他に派遣されたばかりで「リセット」が必要な時期に当たっただけで、核搭載可能爆撃機の派遣を避けているわけではない
B-52 2.jpgB-1爆撃機は異なるタイプの能力を持ち、スピードが速く、長射程対艦ミサイルLRASM(AGM-158C)やJASSM-ER(AGM-158B)など異なるタイプの兵器を搭載できるなど、パートナー国に大きなメリットをもたらしてくれる

核搭載可能機種も定期的に展開させることになる。B-52はたまたまタイミングが合わなかっただけで、B-2派遣は少し重い。B-2は強い話題性を持つアセットである。核搭載型を持ち込むことは、幾らかの人達に警告的なメッセージと取られることがある
B-1は特徴的な能力とともに、B-52が着陸できない場所に展開可能で、B-52より少ない兵士でサポート可能であることもあり、アジア太平洋地域でより活動してもらうことになろう

●今、すべての大型爆撃機が米本土に戻ってきたが、これにより展開先では活用できないシミュレータ訓練や射爆撃場での訓練を行うことが可能となり、部隊をより整った状態に準備できる
今後は、3機種すべての爆撃機をアジア太平洋地域で見ることになろう
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B-2 2.jpg中東での大型爆撃機の常駐が終了したのが2019年3月で、今年1月のイランによる攻撃を大型爆撃機常駐に関連付けるのは時期的にすっきりせず後付けの説明のような気もしますが、イランとの緊張は昨年から高まっており、少し大きな流れで考えていただければと思います

「邪推」の中で、「シミュレータ訓練や射爆撃場での訓練」の重要性や、後付けのようなB-1の有用性には思いが至りませんでしたが、米軍の考え方を如実に反映するであろう大型爆撃機の動きを、あれこれ邪推しながら眺めてみてはどうでしょうか・・・

北の「かりあげクン」について何か明らかになった時など、にらみを利かせるために大型爆撃機が飛来するかもしれません。真打らしいB-2なんかどうでしょうか?B-1が展開したとの話もあるようですが・・・

グアムCBP関連の記事
「16年続いた大型爆撃機のグアム駐留CBP終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-19
「アジアへの空軍戦力派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04

中東でも
「18年継続の爆撃機中東派遣終了」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-30-1
「対イランに中東へB-52短期派遣」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-08

爆撃機ロードマップ
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春のBomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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米空軍が退役操縦者のがん発生率調査を決定 [米空軍]

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1970年代のパイロット退役者も含め調査へ
強力なレーダー搭載時期と前立腺や泌尿器がんの関連性
結果次第では世界に広がる可能性も

fighter pilot.jpg24日付Military.comは、昨年米空軍が決定した、退役米空軍パイロットとがん発生率との関係調査に関し、これまでの調査とは異なる点などを知りえたとして、他通信社の報道を引用して紹介しています

この調査は、長く退役戦闘機パイロット団体が要望してきた問題のようで、これまで米空軍は、現役パイロットを対象に地上勤務兵士とのがん発生率の差を調査し、有意な差は見られないと結論付けていたようですが、がんは年齢を経て発症する傾向があることから、同団体が退役者を対象にした広範な実態や原因調査を求めていたようです

Red River.jpg民間旅客機の世界でも、宇宙線を大量に浴びるからと言って、一度破綻した航空会社の搭乗員組合が「がんリスク手当」のようなものを勝ち取っていたような記憶がありますが、米空軍の退役戦闘機パイロット団体は、戦闘機に1970年代ころから搭載されるようになった強力な目標捜索レーダーの輻射電磁波を問題視しているようです

同団体などの調べでは、前立腺や泌尿器関連のがん発生率が4-8割も戦闘機パイロット退役者に多いとのデータもあるようで、米空軍では主席医務官である中将を中心とし、既存の国防省や空軍省の人事医療データベースを総動員して効率的な調査を行うようです

24日付Military.com記事によれば
昨年末に米空軍が実施を発表した、この手の調査では初めての退役米空軍パイロットを対象とした全てのがんに関する調査であるが、結果によっては、米海軍も同様の調査を行う方向にあるようだ
通信社McClatchyが入手した情報によれば、退役パイロット団体は以前空軍が実施した現役空軍操縦者を対象とした調査は意味がないと批判し、がん発生率が上がる年齢の退役者を対象に調査すべきと訴えてきた

Red River2.jpgGoldfein空軍参謀総長は、「我々にとって重要なのは、何が起こっているのか真実を知ることだ」、「来年計画している調査結果報告は、コロナ対処の影響により遅れることはない」と22日の記者会見で述べている
上記通信社報道によれば、機体に強力な目標探知レーダーを搭載するようになった1970年にまでさかのぼって全てのパイロットを対象とした調査を行い、これまでの受診履歴などまで調べて一般国民のデータと比較する方向のようである

●上記通信社の調べによれば、退役空軍人を対象とした医療機関での2000年以降のデータによると、前立腺がんの発生率が4割高く、膀胱、尿道など泌尿器がん発生率が8割高いとの結果もある模様
会員数3700名の退役戦闘機パイロット団体「Red River Valley Fighter Pilots Association」は、米空軍主席医務官Dorothy Hogg中将に対し、詳細な調査を行うよう米空軍の決定を促した

fighter pilot2.jpg同団体のJohn Reed退役大佐(元F-15操縦者)は、「Hogg主席医務官は我々の懸念に真摯を耳を傾けてくれ、行動を起こしてくれた。同中将とそのスタッフが先頭に立って動いてくれたことに心より感謝したい。調査結果を待ち望んでいる」と語っている
米空軍は、調査には国防省が現在所有する種々のデータベースも活用して効率的に行うとし、「利用データベースの拡大により、Military Health Systemだけではフォローできていなかった記録にもアクセスし、調査対象者の医療記録の確認を容易にすることができる」としている
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記事内容からは、現役も含めるのか、戦闘機だけでなくすべての機種操縦者を対象とするのか等が明確に確認できませんが、退役操縦者団体が満足する範囲をカバーするものと考えられます

しかし結果次第では、当然賠償や補償を同団体は求めるでしょうから、米空軍だけでなく、米海軍や海兵隊、ひいては世界の空軍にも波及しそうな問題です

レーダーの電磁波に原因を求めるならば、軍が保有する様々なレーダー関連職種の兵士も声を上げるでしょうし、他の政府機関や民間分野にも波及する可能性があります。来年の結果発表を待ちましょう

同団体の名前の由来:ベトナム戦関連
「戦後初:米空軍トップがベトナムへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-14
「約5200機が活躍したF-4ファントムの最終章」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-12
「戦後初:米空母のベトナム訪問」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-02-24

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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SIPRIが激増の2019年世界軍事費統計発表 [安全保障全般]

月初めでご参加の好機です! ご支援お願いいたします
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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リーマン以降で最大の伸び率、最大規模に

SIPRI20.jpg4月27日、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所SIPRI(Stockholm International Peace Research Institute)が、毎年恒例の「SIPRI Military Expenditure Database」の更新を行い、2019年の各国国防費データ統計を発表しました

全世界の統計可能な国々の軍事費合計が約200兆円と前年2018年より3.6%増加し、人口一人当たり平均で294米ドル、1年間の増加額としてはリーマンショック以降で最高額となり、増加率も2010年以降加速度的に増加しているようです

2020年はコロナの影響で落ち込むことが予想されますが、継続的に世界の軍事費のトレンドを追ってきたSIPRIの統計ですので、詳しくは末尾に紹介するデータベースから直接ご確認いただくとして、2019年の軍事費状況について、ザクっとご紹介したいと思います

SIPRIメディアリリースやDefnse-Newsより
SIPRI2020.jpg世界の軍事費トップ5の国で世界の軍事費の62%を占めており、1位米国・約80兆円(世界の軍事費の38%)、2位中国・約28兆円(14%)、3位インド7.7兆円(3.7%)、4位ロシア7兆円(3.4%)、5位サウジ6.7兆円(3.2%)となっている。ちなみにNATO29か国の合計額は115兆円である

リーマンショック後の2010年と比較すると、世界の軍事費は7.2%伸びており、その伸び率は年々増加し、総額は2008年以降で最大規模になった
2018年からの増加率トップ5は、ドイツ10%、韓国7.5%、インド6.8%、中国5.1%、ロシア4.5%で、地域別では、欧州5%、アジアオセアニア4.8%、アメリカ大陸4.7%、アフリカ1.5%の伸びを示している

軍事費上位15か国の合計は約170兆円で、全体の81%を占めるが、15か国の中で3か国の例外を除いては、すべての国が2010年より軍事費が増加している。例外の3か国は、米国(15%減)、英国(15%減)、イタリア(11%減)
中東地域の総軍事費は、前年から7.5%減少の計16兆円となったが、サウジが16%の減が大きく影響していることと、データが入手できなかったカタール、シリア、UAE、イエメンを反映できなかったことも関係している

SIPRI20-1.jpg南米の支出はほぼ前年から変化なく約5.8兆円で、ブラジルが51%の6.9兆円となっている
アフリカ大陸では過去5年間軍事費の増加がみられなかったが、2019年は前年から1.5%増が確認できた。ウガンダ52%、ブルキナファッソ22%増、コンゴ16%、中央アフリカ共和国8.7%、マリ3.6%増、カメルーン1.4%増

SIPRIが集計した149か国のうち、軍事費がGDPの4%以上の国は10か国、3-3.9%の国は13か国、2-2.9%の国は24か国、1-1.9%の国は65か国、1%以下の国は34か国
2019年に軍事費ゼロの国は3か国、コスタリカ、アイスランド、パナマである。
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米国の存在感は大きいのですが、2010年と比較して15%減というのが厳然たる事実で、オバマ政権8年間の兵力削減や予算減額が効いているということです

ドイツの伸びが目立っていますが、2009年から大軍縮をやった底からの軍立て直し中ですから、若者の軍隊離れも深刻で、実態は厳しい状態です。英国も冷戦後の大軍縮後の落ち込みをカバーできていない低迷状態です

韓国ですが、この急激な伸びの中身は、北朝鮮対処でとらえる範囲を超えています。中国に対抗する政権ではありませんので、矛先は南に向いているということでしょう・・・

SIPRIのニュースリリース
https://www.sipri.org/media/press-release/2020/global-military-expenditure-sees-largest-annual-increase-decade-says-sipri-reaching-1917-billion

SIPRIの様々なデータベース
https://www.sipri.org/databases

SIPRI Military Expenditure Database
https://www.sipri.org/databases/milex 

SIPRI関連の他の統計記事
「SIPRI核兵器年次報告2019」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-17
「2018年版」→→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-20

韓国は「対北」を越えた軍備増強中
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-03

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

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