中国無しRIMPAC開始でマルチドメイン化へ [安全保障全般]
米指揮官「中国の行動はRIMPACの全目的に反する」
6月28日、約1か月にわたる世界最大の海洋演習RIMPAC2018の開始イベントが開催され、同演習を主宰する米国を代表してJohn Aquilino太平洋海軍司令官が、冒頭の言葉や「中国不在でもほとんど変わりはない」と語るとともに、演習のマルチドメイン化を進めると表明しました
「環太平洋海洋演習」との名前を冠する演習ですが、欧州の英、仏、独、蘭、イスラエル、そしてインドを含む25か国が参加し、46隻の艦艇、5隻の潜水艦、200機の航空機、そしてマルチドメイン化を象徴する18か国の地上部隊を含む、約25000名が参加する訓練です
ちなみに前回RIMPAC2016に、中国は艦艇5隻と1200名の兵士を参加させていたそうですが、参加国交流立食レセプションでお行儀悪く食べ物だけを汚く食い散らかして交流を図らず「冷たい視線」を浴びたり、艦艇相互訪問時に海上自衛隊参加者だけを拒否したりと負の話題豊富でしたが、今回の参加国は演習本来の中身に集中していただきたいものです
29日付Military.com記事によれば
●真珠湾を望む米海軍施設内で行われたイベントでAquilino太平洋海軍司令官は、「本演習全体が、平和、安定、安全、そしてインド太平洋地域における自由で開かれた活動に資する協力関係を狙いとするものだ」と述べた
●そして「中国の行為は、RIMPACの全ての目的に反するものである」とまで述べ、同演習に招待しなかった国を非難した
●この司令官による発言の背景には、(アジア安全保障会議等での)マティス国防長官の発言、「中国は数年前には南シナ海に兵器等を配備しないと公言していたのに、最近は堂々と軍事要塞化を継続している」との非難に沿ったものである
●演習全体への影響について同司令官は、「中国が参加する可能性があった演習科目は、中国不在でもほとんど影響なく実施される。思いを同じくする参加国の存在により、所望の成果が期待できる」と表現した
●参加国は、アルファベット順に、Australia, Brunei, Canada, Chile, Colombia, France, Germany, India, Indonesia, Israel, Japan, Malaysia, Mexico, Netherlands, New Zealand, Peru, South Korea, Philippines, Sri Lanka, Singapore, Thailand, Tonga, Vietnam, the United Kingdom, and the U.S.の25か国である
●演習指揮官を務める米海軍第3艦隊司令官John Alexander中将は、「参加国全てが海洋国家である。参加国全てが貿易によって繁栄しており、その貿易の大半はインド太平洋を通過している」とRIMPACの重要性を語った
●同中将は今回の演習の新たな取り組みとして、マルチドメイン化を進めていること、つまり実弾射撃を伴う部門に、陸軍の「Multi-Domain Task Force」が海軍発射の対艦ミサイルを迎撃したり、空軍機が長射程対艦ミサイル訓練を行う点を挙げた
●そして「RIMPACでは初の試みで、次回RIMPAC2020年には更にマルチドメイン化を拡大する」、「本演習は海洋演習だが、地上部隊が海洋ドメインを支援するのだ」と語った
●他の特徴として、南シナ海沿岸国で中国と対峙するフィリピンが初めて2隻の艦艇とともに参加する。フリゲート艦と着上陸艦の2隻である
●また、海軍規模が小さい(総戦力フリゲート8隻、潜水艦4隻、着上陸部隊や沿岸警備艇部隊等)チリが、演習間に連合部隊の指揮官ポストを務める計画になっている
●チリ参加部隊の指揮官であるPablo Niemann中佐は、我が国にとって12回目の参加となる今回のRIMPACでより高い責任を果たしたいと語り、チリ海軍創立200周年の今年を記念する演習にしたいとの意気込みを示した
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参加しない中国のことなどコメントする必要もないと思うのですが、会えて言及しているのは「政治的メッセージ」というか、言及するように米国としての指示があるのでしょう。
マルチドメイン化を進めるとなれば、中国やロシアなどいない方が正解です。そういえば、以前オブザーバー参加時に、情報収集艦を連れてきて大ヒンシュクを買ったロシアはどうなっているのでしょうか?
地上部隊とマルチドメイン
「米空軍はS-400対処を陸軍に依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-29
「海兵隊輸送艦からロケット弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-28-1
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス大将がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
RIMPAC2018関連
「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24
「アジア安全保障会議2018」[→]http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-2
前回2016年RIMPAC関連の記事
「RIMPACで日本に嫌がらせ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27
「RIMPAC中国招待を巡るあれこれ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29
「露の情報収集艦が出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-07
6月28日、約1か月にわたる世界最大の海洋演習RIMPAC2018の開始イベントが開催され、同演習を主宰する米国を代表してJohn Aquilino太平洋海軍司令官が、冒頭の言葉や「中国不在でもほとんど変わりはない」と語るとともに、演習のマルチドメイン化を進めると表明しました
「環太平洋海洋演習」との名前を冠する演習ですが、欧州の英、仏、独、蘭、イスラエル、そしてインドを含む25か国が参加し、46隻の艦艇、5隻の潜水艦、200機の航空機、そしてマルチドメイン化を象徴する18か国の地上部隊を含む、約25000名が参加する訓練です
ちなみに前回RIMPAC2016に、中国は艦艇5隻と1200名の兵士を参加させていたそうですが、参加国交流立食レセプションでお行儀悪く食べ物だけを汚く食い散らかして交流を図らず「冷たい視線」を浴びたり、艦艇相互訪問時に海上自衛隊参加者だけを拒否したりと負の話題豊富でしたが、今回の参加国は演習本来の中身に集中していただきたいものです
29日付Military.com記事によれば
●真珠湾を望む米海軍施設内で行われたイベントでAquilino太平洋海軍司令官は、「本演習全体が、平和、安定、安全、そしてインド太平洋地域における自由で開かれた活動に資する協力関係を狙いとするものだ」と述べた
●そして「中国の行為は、RIMPACの全ての目的に反するものである」とまで述べ、同演習に招待しなかった国を非難した
●この司令官による発言の背景には、(アジア安全保障会議等での)マティス国防長官の発言、「中国は数年前には南シナ海に兵器等を配備しないと公言していたのに、最近は堂々と軍事要塞化を継続している」との非難に沿ったものである
●演習全体への影響について同司令官は、「中国が参加する可能性があった演習科目は、中国不在でもほとんど影響なく実施される。思いを同じくする参加国の存在により、所望の成果が期待できる」と表現した
●参加国は、アルファベット順に、Australia, Brunei, Canada, Chile, Colombia, France, Germany, India, Indonesia, Israel, Japan, Malaysia, Mexico, Netherlands, New Zealand, Peru, South Korea, Philippines, Sri Lanka, Singapore, Thailand, Tonga, Vietnam, the United Kingdom, and the U.S.の25か国である
●演習指揮官を務める米海軍第3艦隊司令官John Alexander中将は、「参加国全てが海洋国家である。参加国全てが貿易によって繁栄しており、その貿易の大半はインド太平洋を通過している」とRIMPACの重要性を語った
●同中将は今回の演習の新たな取り組みとして、マルチドメイン化を進めていること、つまり実弾射撃を伴う部門に、陸軍の「Multi-Domain Task Force」が海軍発射の対艦ミサイルを迎撃したり、空軍機が長射程対艦ミサイル訓練を行う点を挙げた
●そして「RIMPACでは初の試みで、次回RIMPAC2020年には更にマルチドメイン化を拡大する」、「本演習は海洋演習だが、地上部隊が海洋ドメインを支援するのだ」と語った
●他の特徴として、南シナ海沿岸国で中国と対峙するフィリピンが初めて2隻の艦艇とともに参加する。フリゲート艦と着上陸艦の2隻である
●また、海軍規模が小さい(総戦力フリゲート8隻、潜水艦4隻、着上陸部隊や沿岸警備艇部隊等)チリが、演習間に連合部隊の指揮官ポストを務める計画になっている
●チリ参加部隊の指揮官であるPablo Niemann中佐は、我が国にとって12回目の参加となる今回のRIMPACでより高い責任を果たしたいと語り、チリ海軍創立200周年の今年を記念する演習にしたいとの意気込みを示した
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参加しない中国のことなどコメントする必要もないと思うのですが、会えて言及しているのは「政治的メッセージ」というか、言及するように米国としての指示があるのでしょう。
マルチドメイン化を進めるとなれば、中国やロシアなどいない方が正解です。そういえば、以前オブザーバー参加時に、情報収集艦を連れてきて大ヒンシュクを買ったロシアはどうなっているのでしょうか?
地上部隊とマルチドメイン
「米空軍はS-400対処を陸軍に依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-29
「海兵隊輸送艦からロケット弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-28-1
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス大将がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
RIMPAC2018関連
「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24
「アジア安全保障会議2018」[→]http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-2
前回2016年RIMPAC関連の記事
「RIMPACで日本に嫌がらせ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27
「RIMPAC中国招待を巡るあれこれ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29
「露の情報収集艦が出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-07
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