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米国防省はメディア対応を回復復活させるのか [エスパー国防長官]

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下記の19日付Foreign Policy誌の記事をアップする前にエスパー国防長官がダンフォード議長と共に国防省会見場でカメラ入りの記者会見を28日行いました。

Esper_dunford.jpg正式な国防長官がこの会見場に登場するのは、なんと1年ぶりだそうで、統合参謀本部議長(10月退役)とのペア会見は・・・・、誰も思い出せないぐらい久しぶりだった様です

エスパー長官は今後メディアとの接触を増やすことを示唆し、「米軍は誇り高い歴史と語るべき物語を持っている。私は、国家の安全を守るために日々任務を遂行する兵士や文民職員の様子を、息子や娘をそのために我々に託してくれた米国民に語る使命を帯びている」と会見の冒頭で決意を述べました。

そして、国家防衛戦略NDSの示す目的を達成することを誓い、空席が多い政治任用ポストの議会承認を迅速に進めることと、2020年度予算の審議を迅速に進めてほしい米議会に要望し、29日に編成される米軍宇宙コマンドを機能させるべく取り組むと抱負を述べました。
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マティス長官時代に低下したメディア対応が復活するか
4年ぶりにPress secretary任命もメディアは疑心暗鬼

Esper5.jpg19日付Foreign Policy誌web版が、「マティス長官の後任者は国防省の沈黙を終わらせたいと考えているのか?」との記事を掲載しメディアとの関係に慎重で定期的な記者団に対する報道官のブリーフィングや記者会見を抑えてきたマティス前国防長官とは異なり、後任者のエスパー長官は報道官等によるメディア接触の機会増加する機会を伺っているようにも見えるが、懐疑的な見方もあるとの観測記事を掲載しています

記事から拾ってみると、例えば2014-15年の間には、カメラが入る国防省報道官会見・ブリーフィングが週2回あり、その他にカメラ無しの報道官との対話の機会がほぼ毎日あったようですが、マティス長官が勤務した2年間とその後長官空席の7か月間はその機会が不定期なり、少なくとも最近14か月間は国防省Press secretaryが国防省の会見場に立ったことはないようです

gatesfhood.jpgそう言えば2010年代前半のゲーツ長官時代には定期的に国防長官と統合参謀本部議長が並んで記者会見を行い、ゲーツ長官最後の同会見時には、記者団から任期中の会見実施への努力に謝意が述べられ記者団からの拍手が送られていました

ゲーツ前長官とメディア
「最後の記者会見でプレスを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2
「他国はなぜ米国と付き合うか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02 

19日付Foreign Policy誌web版によれば
共和・民主の政権の違いに拘わらず、米国の歴史を方向付ける発表の場となってきた国防省ブリーフィングルームは、14か月間に渡りPress secretaryが登壇しない状態に置かれているがそんな状態も間もなく終わりを告げるかもしれない
Farah.jpgエスパー長官が就任して数日後の7月26日に、プレス担当国防次官補代理のJonathan Hoffman氏は「シンプルに述べれば、国防省が、一般国民や米議会指導者や国際社会やメディアと思慮深い関与を持つことが、我々の利益でもある」とのメモを出している

●また8月14日に国防省は、2015年までPress secretaryを務めたJohn Kirby海軍少将の後任者として約4年ぶりに、ペンス副大統領の報道官を務めていたAlyssa Farah女史を国防省のPress secretary任命した
●Hoffman次官補代理は、新任のPress secretaryは、レイバーデー(9月の第一月曜日:今年は9月2日)以降に、「ついに」国防省ブリーフィングルームから会見を行うだろうと明らかにしている

●このように、特に中央軍司令官として(メディア報道や国防省内部からメディアへのリーク)情報が前線兵士の安全を脅かし、敵に利するかを身にしみて感じていたマティス長官時代から2年7か月間冷え込んでいるメディアと国防省との関係に変化の兆しがみられるが、メディア関係者や専門家はそれほど楽観視していない
Trump.jpg●特にメディアを「フェイクニュース」と呼んで嫌うトンランプ大統領の下で、かねてから軍事作戦に関する数多くの情報漏洩を背景にメディアを警戒する国防省の態度が、新長官就任で突然大きく変わると予想するものは少ない

2014年から1年間、プレス担当次官補代理を務めたBrent Colburn氏は、「エスパー長官は、いつメディアへの姿勢を開放的にするかを検討し始めた(started to talk the talk)段階だろう」と述べ、「実際に動きが見えるまではわからない(proof will be if they start to walk the walk)」と表現した

国防省記者協会Robert Burns会長も、「結論付けるのは早い。エスパー長官や首席報道官には、記者団との接触増加や定期的なカメラ入りのブリーフィングの再開を期待しているが・・・」と慎重な言いぶりである
●そして同会長や関係者は、マティ長官がメディアとの接触機会を減らして沈黙した結果として、ワシントンDCに止まらず、世界中で国防省の動きを好き勝手に語る「識者」を増殖させることとなったのだと、その弊害を訴えた
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iiduka.jpgまぁ、最近の中国ロシアの軍事力強化で米国も安易に軍事情報を提供して「敵を利することはできない」との方向が定着しつつあり、何よりも親分であるトランプ大統領がメディアを「国民の敵」とまで呼び捨てにするご時世ですから、エスパー国防長官も難しいところでしょうが、敵対勢力や政敵の「誘導工作」に負けないようにメディアを「活用」していただきたいものです

ただ最近はトランプ大統領が勝手にしゃべりすぎ、米国の各省庁が後で訂正したり釈明に追われたりすることが頻発していますので、各省の長官レベルは怖くてはメディアとの質疑応答に臨めないのが本音かもしれません。

でも冒頭でご紹介した28日に行われた久々の国防長官の「on camera」会見で長官が最初に述べたように、「国の安全のために息子や娘を差し出してくれている米国民に、その様子や奮闘振りを伝えるのが使命」との言葉が、メディアとの対話再開の一番の理由ではないかと思います。国防長官は元軍人ですから・・・

ゲーツ前長官とメディア
「最後の記者会見でプレスを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-17-2
「他国はなぜ米国と付き合うか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02 

John Kirby米国防省報道官(海軍少将)関連
「マケイン議員が報道官に激怒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-24
「国防省がHumint強化へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-27

報道やSNS上に流布する情報を見る上で、参考にしたい新書
→読売の飯塚恵子さんによる新書「ドキュメント誘導工作」をご紹介
→米大統領選挙や英国EU離脱国民投票での報道やSNSでの有権者誘導工作など、豊富な事例と専門家説明で平易に解説
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
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米国防長官:アジア太平洋地域で基地増設を検討中 [エスパー国防長官]

エスパー長官「looking at how we expand our basing locations, investing more time and resources into certain regions we haven’t been to in the past」

Esper1.jpg27日、米海軍大学で学生である少佐から大佐クラスを前に講演したエスパー国防長官が、細部について言及せず冒頭でご紹介した表現で、アジア太平洋の過去進出していない地域での新たな基地設置を検討していると語り、講演を取材したメディアが様々に憶測する事態となっています

学生たちがそのキャリアの大半で従事してきた対テロ作戦から頭を切り替え、大国間の競争・紛争に備えなければならないとの話の流れで、中国の脅威が著しいアジアインド太平洋地域を「我々の優先地域」と表現した後の言及で、話の流れとしては自然です

andersenGM.jpgただし少なくともオバマ政権時代には、「作戦面では打たれ強く、地理的には分散し、政治的に維持可能な」米軍体制をアジア太平洋地域で追求するとし、政治的・財政的な負担を避けるため新たな軍事拠点を設けず、ローテーション派遣で対応するとの方針で、豪州北部に地上部隊をローテーション派遣したり、爆撃機のローテーション派遣を継続するにとどまっていましたので、大きな変化です。
ちなみに他にもローテーション派遣先をフィリピンやタイやベトナムインドネシアでも追求したようですが、順調には進まなかったと認識しています

この件に関しては今年2月12日に、Davidson太平洋軍司令官も上院軍事委員会で同様の方向を示唆していましたが、その状況は末尾に添付するとして、とりあえず本件を報じるDefense-News記事をご紹介しておきます

27日付Defense-News記事によれば
Papua New Guinea.jpg●エスパー長官は米海軍大学で、アジア太平洋地域を「our priority theater」と語り、また国防省として引き続き大国間の競争(great power competition)時代にシフトしていくと表現した
●また「君たちの多くは、その軍キャリアの大半を不正規戦と係わってきたが、時代は変化した」とも表現して学生たちの頭の切り替えを促した

●特に太平洋地域において長官は、「アジア太平洋の同盟国等は米国がリードすることを望んでいるが、そのためには当該地域でプレゼンスを示す必要がある」、「当該地域のすべてでは無理だが、鍵となる場所には所在する必要がある」と述べ
●更に「このために、我々の基地配備地の拡大を検討しており、過去に所在しなかった特定の地域に資源と時間を投入しようとしている」と表現し、それ以上は言及しなかった

●この国防長官発言に関し、ハドソン研究のPatrick Cronin氏は幾つかの可能性をあげ、「シンガポールとフィリピンは古くからの同盟国として対象である可能性があり、タイのウタパオ海軍航空基地の可能性にも言及した
CroninPatrick.jpg●またCronin氏は、来年ベトナムとの国交正常化25周年を祝うことから、米国として演習や艦艇訪問の拡大につなげたいところだとコメントしている。更にマレーシアやインドネシアでは、公にはなっていないアクセスに関する枠組みが設けられているとも表現した。
ミクロネシアや北マリアナに米国防省は従来あまり注目してこなかったが、これら島々から中国の影響力を排除を追求する可能性がある。パプアニューギニアでは現在、米豪が協力して海軍基地を構築しつつあるとCronin氏は述べた

元太平洋軍特別補佐官でCNASのEric Sayers氏は、米空軍機が排他的に利用できるよう簡単な合意が結ばれているヤップやパラオも、重要な地理的場所にあるとコメントした
●そして同氏は、米軍の拠点を増やすことで中国軍の作戦計画を複雑に困難にし、一つの大きな拠点に依存することを避けることが出来、更にフィリピンのように彼らが巻き込まれた事態でのみアクセスが可能と予期される政治的リスクのある国への過度な依存を防ぐことが出来ると利点を述べた
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この件については、今年2月12日にDavidson太平洋軍司令官も上院軍事委員会で同様の方向を示唆し、
Davidson6.jpg●「ここ最近数年のことでなく、数十年間にわたり、太平洋軍の基地や展開先は北東アジア地域に置かれてきた。しかし地域情勢の急激な変化に対応するためどこを拠点に作戦するか、どこに兵力をローテーション派遣するかの再検討を求められている」と述べ、
●対中国を見据え、新たな兵力前進配備場所や物資集積場所を検討しており、地域の同盟国や友好国と協議していると証言しています

Davidson太平洋軍司令官の上院証言の流れで、その際米軍事メディアは以下のような様々な専門家の意見を紹介していました
インドネシア、パプアニューギニア、ミクロネシアなどに間もなく戦力が展開されるだろう
中国が米国と対等な競争者として台頭する中、アジアインド太平洋地域には新たな考え方が生まれており、北東アジアだけでなく、南東アジアからインド洋も含めた展開地域拡大検討が迫られている

Micronesia.jpg●特にグアムとパプアニューギニアをつなぐミクロネシアの島々で、危機に際しての「staging ground」としての利用を視野に置いている
パプアニューギニアのManus Islandに中国が海軍基地を建設しようと試みたが、ペンス副大統領がパプアニューギニアの島々の主権と海洋権益を守るため、豪州と協力すると表明している
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米国第一主義で、アジア太平洋地域の安全保障に関心の低そうなトランプ大統領の下で米中摩擦が過熱する中、過去に実績のない場所で米軍拠点を引き受ける国があるのでしょうか?

中国の進出を脅威に感じるパプアニューギニアやミクロネシアなどの南方の島々のことをイメージしているのでしょうか? 今後の動きに注目したいと思います

太平洋軍司令官の上院証言(2月)
「太平洋軍が兵力分散検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1

太平洋軍の動き
「太平洋軍司令官が議会にお願い事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29
「太平洋空軍が飛行部隊の分散演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27

A2AD中国軍事力関連の記事
「空母キラーDF-26の発射映像」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31
「射程1800㎞の砲を米陸軍に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「DIAが中国軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-17

「H-20初飛行間近?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-13
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30

米空軍の西太平洋対策
「担当空軍司令官がACEを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長の発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09 

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

グアム島の抗たん化対策
「被害復旧部隊を沖縄から避難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1

「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12
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中国のネット窃盗対処強化と日本F-35共同開発国ならず [亡国のF-35]

2つ(3つ)の別の話題です
日本のF-35共同開発国可能性問い合わせに「締め切った」
中国のサイバー窃盗対策にCMMC導入へ

Lord8.jpg26日、Ellen Lord調達担当国防次官が会見を開きトルコをF-35計画から排除することで必要になるトルコに代わって900種類以上のF-35部品を製造する国は「まず」米国内から選定し、その後は定期的に見直しを行い他の部品と同様に品質や納期等に優れた共同開発国等のサプライヤーに発注すると明らかにしました

またF-35B型を含むF-35を追加発注して米国に次ぐ機体数を購入することになる日本が、防衛省整備計画局長名のレターでLord次官に尋ねていた、「日本が今からF-35共同開発国になるための条件と手続き」について共同開発国への道は「既に閉ざされている」と発言しました

更に中国による先端技術に関するサーバー空間での窃盗行為に対処するため、米国防省と兵器研究開発契約を結ぶ企業に対し、新たに設定するサイバーセキュリティー基準CMMCを満たすことを契約の条件する方式を、2020年秋ごろから導入すると語りました

以上はそれぞれに重い案件ですが、26日の会見で一度に明らかにされた内容ですので、まとめて簡単にご紹介しておきます。夏休み明けのぼんやり頭には重すぎる内容ですが・・・

26日付米空軍協会web記事:Lord次官は会見で
F-35-lineUp.jpgトルコ企業が製造することになっていた900種類以上のF-35部品の代替生産は、「米国が製造先変更にかかわる諸費用 nonrecurring engineering costsを負担すること」、及び「円滑で迅速な代替製造基盤確保のため」、当初は全て米国企業が行うことにい決定した
●ただし競争を友とする我々は、常により強靭なサプライチェーンを追求することから、それら部品生産が海外に移転する可能性は常に存在する

トルコのF-35計画からの除外は(書面上は)2020年3月になるが、代替生産の覚書等の手続きや実質の動きを含めると、今から1年後になるだろう
●またトルコが購入し、トルコ軍兵士の養成のため現在米空軍基地に所在している4機のF-35は、トルコ国内に持ち込まれることはない

仮にトルコ(のインジュリック基地)にF-35が展開したとしても、他とのトルコ内の活動から明確に分離されることとする。またトルコによるS-400導入に対する制裁を検討する場合は、米国務省が制裁の検討実施をリードして進める

日本の共同開発国入り要望に対しては
F-35 clear2.jpgトルコがF-35計画から除外され、共同開発国の地位を失うタイミングに併せ、(F-35を追加発注して米国に次ぐ機体数を購入することになる)日本が要請してきていたF-35部品製造と、FMS購入国から共同開発国への格上げ要請については、「FMS購入国が共同開発国になる機会はない」、「共同開発国の門はすでに閉鎖している」と語った

知的財産保護強化:サイバー窃盗対策強化
中国による米国知的財産のサイバー窃盗(Chinese IP theft)を重く見ているトランプ大統領と国防&国務長官の意向を受け、調達担当国防次官室は新たな知的財産保護政策を発表する予定で、国防長官室に知的財産保護担当部署を10月までに設置する方向である
●また知的財産をサイバー窃盗から守るため、従来の様々なサイバーセキュリティー基準を融合して新たな基準を設け、今後の新たな国防省契約締結の条件に含めるため、新たな基準(CMMC:Cyberspace Security Maturity Model Certification)をJohns Hopkins大学応用物理研究室やCarnegie Mellon大学工学研究所や産業界と共同開発している

CyberPolicy2.jpgCMMC基準枠組みは、2020年1月には完成し、同年6月には装備品開発に先立つ技術情報要求等に国防省の要求事項として企業側に提示されることになる。そして同年秋には提案要求書に条件の一つとしてCMMC基準が盛り込まれることになる
●国防省はこれまでの経験から、知的財産について、どこまでが国防省・政府側に帰属し、どこからが企業側のものかが不明確だったと認識しており、本件を明らかにすることが良い開発計画に必要だと考えている
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F-35共同開発国入りをLord次官にレターで要望なさっていた防衛省の鈴木敦夫・整備計画局長、残念でございました・・・

同じFMS購入国である韓国(イスラエルとも)と協力され、米国からバカ高いF-35部品を押し付けられないようご注意ください!

新たなサイバー基準のCMMCがどんなものなのかサッパリ想像できませんが、「応用物理研究室」等が絡む素人には理解しがたいものなのでしょう・・・言葉だけでも覚えておきましょう

「防衛省がF-35共同開発国入りを米国防省に要望」 https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-30
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米国宇宙の壁は消えるか?:情報コミュニティVS国防省 [サイバーと宇宙]

米軍宇宙コマンド創設で長年の厚い壁を消せるのか?
国家宇宙防衛センターの具体的運用要領を決める今後が鍵?

satellite.jpg21日付C4ISRnetは、米国の安全保障関連宇宙アセットの運用方法を巡って「縦割り」状態が問題視されてきた情報コミュニティーと国防省間で今般の米軍宇宙コマンド創設を機会に話し合いが行われ、宇宙コマンド配下の「国家宇宙防衛センター:NSDC:National Space Defense Center」で作戦運用を一元化することで合意した件を取り上げ、画期的だが「大事なのは細部対処要領を詰めるこれからだ」と主張しています

このNSDCは、最初は2015年秋に「JICSPOC:Joint Interagency Combined Space Operations Center」として設置されたものですが、「誰もが、何のための組織か理解できるようにするため」に2017年春にNSDCに改称され、その時点で国家偵察室(NRO)等の「情報コミュニティー」部署もNSDCで共に運用する方向性だったようですが、今年に入って「情報コミュニティ」と「国防省」間で精力的に協議が行われ、「情報コミュニティー」がNSDCの配下に入って有事作戦運用を行うことで合意したようです

これまで、NROを筆頭に国防省から指示されることを「あからさまに毛嫌い:stridently fought against」してきた情報コミュニティーが、トランプ大統領が強力に進める宇宙軍創設の流れの中で、「縦割り排除」「一元統制」の方向に同意したことは画期的と評価されているようですが、今後の具体的議論で「総論賛成、各論反対」になる可能性を危惧する専門家も多いようです

とりあえず報道から現在位置をご紹介しておきます

21日付C4ISRnet記事によれば
Maguire2.jpg●20日、「情報コミュニティー」を取り仕切る臨時national intelligence長官のJoseph Maguire氏は、数か月に渡る情報コミュニティーと国防省間の分析と協議を通じ、新設の米軍宇宙コマンドにおいて両社がどの様に融合するのかについて話し合い、新たなNSDCのあり方に到達したと述べた
●そして「両者は、米軍宇宙コマンドとNROが、NSDCの作戦運用コンセプトの下で融合することに合意した」、「宇宙コマンド隷下のNSDCが、両者の統合作戦運用センターとなり、我が国の緊要な宇宙アセットを防御する重心となる」と表現した

●更にMaguire長官は、「史上初めて、情報コミュニティーと国防省の宇宙防衛部門が一体的な構造を持つこととなり、宇宙防衛のシームレスな計画・権限・能力発揮を確かなものとすることになる」と表現した
●また同長官は、仮に紛争が宇宙に発展するようなことになれば、情報コミュニティーのNROは、数々の演習や分析から得られた教訓をもとに米軍宇宙コマンド司令官から出される命令をNSDC経由で受け、その指示に従って一元的に行動することとなると説明した

satellite2.jpg●関連の専門家は、これまで様々な観点から障害となってきた情報コミュニティーと国防省間の壁が取り払われ、一元的にNSDCで作戦運用するとの決定を「極めて大きな決定」と高く評価している。
しかし一方で同専門家は「課題は常に細部に宿る:the devil’s always in the details」との格言通り、今後多様なシナリオやそれぞれに特製の異なる各宇宙アセットに発生する事態への対処を詰める過程では、両者の意見が対立することは容易に想像できると述べている

将来的には、現在は情報コミュニティーと国防省が重複して調達している装備やアセットの整理も期待されるが、それはまだ先の課題であろうと考えられている
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具体的な事例で「情報コミュニティVS国防省」をご説明できればよいのですが、依然として宇宙については「ほとんど頭が空っぽ」状態ですので、表面的な記事の紹介でご勘弁ください

自衛隊にも宇宙専門部隊が創設されるようですし、今後様々に一般報道される機会が増える「宇宙防衛」ですので、とりあえずご参考まで取り上げました

宇宙作戦センター関連
「商用データもNSDCへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

国家偵察室(NRO)の関連記事
「謎のNROを語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-20-2
「NRO長官が語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16

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遅延中:米空軍のサイバーとISR&EW部隊合併 [サイバーと宇宙]

今年夏から秋へ
センサーを保有する気象部隊も一緒に

Holmes.jpg今年4月に米空軍が発表し、今年夏を目途に進められてきたはずの第24空軍(サイバー担当部隊)と第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)の合併が、新たに米空軍気象航空団(557th Weather Wing)も合併することにした当の理由から、今年秋に連れ込んでいる米空軍戦闘コマンドACCのMike Holmes司令官が23日語りました

米空軍協会の朝食会で講演した同司令官は、遠くに大きな問題があるようには語らなかったようですが、宇宙コマンド配下にあった第24空軍(サイバー担当部隊)を2018年夏に文化の異なるACC隷下に移籍させたばかりであり、更に第25空軍(ISR+EW電子戦担当部隊)と統合するとなると色々課題があるのでしょう

ただ、気象レーダーなどセンサーを保有する米空軍気象航空団(557th Weather Wing)も統合する発想は斬新で、その意気込みのほどが伺えます。
24空軍と25空軍を合併した部隊の名称もまだ未定だと言うことですが、部隊を率いる予定のHolmes司令官の発言をご紹介しておきます

23日付米空軍協会web記事によれば
cyber1-82e9c.jpg●Holmes司令官は朝食会で「この秋に、二つの部隊を融合した新部隊が初期運用体制IOC確立を宣言することができる」と語り、ISR、サイバー、電子戦、暗号等の関連部隊を一人の指揮官の下に配置して運用する部隊の運用について、「information spectrum」でどのように運用し、包括するかを引き続き検討していると状況を説明した
●また同司令官は、「2015年からACC配下にある気象航空団も融合することにした。気象団がセンサーを用いて世界中から情報を収集していることを踏まえての判断である。センサーからのデータが処理されネットワークを通じて世界に提供されている。だから一つの家に入ってISRやサイバー任務ともフィットすると考えた」と説明した

●新たな合併部隊の指揮官は、米空軍のサイバー部隊として、統合のメジャーコマンドである米サイバーコマンドに仕えることになり、米空軍内のサイバー任務部隊やチームを率いることにもなる
●また同時に合併部隊の指揮官は、欧州コマンド、米輸送コマンド、米戦略コマンドの空コンポーネントサイバー司令部を司ることにもなり、米空軍の多様なレベルのネットワークを担当することになる

Cyber-EX.jpg●更に暗号分野の空軍司令官として、NSAなどで勤務する米軍人を支援することになると同大将は説明した
●新たな部隊はテキサス州San Antonio-Lackland統合基地に所在することになるようだが、ネブラスカ州Offutt空軍基地にも情報戦(information warfare)のハブが置かれる模様である

●もちろん新設部隊は米空軍サイバー部隊の中心として、グレーゾーンのつばぜり合いから、本格紛争までを担当することになる
●また新部隊は、電子戦の鍵となる役割を担い、15年以上にわたって対テロに集中して(疎かになっていた)電子戦分野で、高度化する電子戦脅威を迅速に分析して対処する役割を担う
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今年4月と同じコメントですが・・・
CyberPolicy2.jpgサイバーやっている「ネットオタク」と、地域情勢を扱う「情報分析オタク」が仲良くやっていけるのか? 作戦部隊に近い電子戦EW関係者が、オタクの2大双璧「ネットオタク」「情報分析オタク」と融合できるのか・・・。

上層部が議論する理想と、現場人材の実態がかみ合うのかなど、これまたお手並み拝見したい試みです。もちろんこれら組織を有機的に活動させたいとの狙いと趣旨には抵抗できませんが、現場の様子に興味津々です

「米空軍がサイバー軍とISR軍統合へ」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3

第24空軍関連記事
「ハッカーが空軍ネットをチェック」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「サイバー戦と既存航空戦力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-17
「SNSで探知目標を攻撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-06

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新海兵隊司令官が大きな人事制度改革の方向を語る [Joint・統合参謀本部]

柔軟な昇任制度や直属指揮官の判定権限強化
能力の把握要領見直しや20年ルールの廃止なども

Berger5.jpg7月24日付Military.comが新しい海兵隊司令官David Berger大将へのインタビュー記事を掲載し7月15日の週に米海兵隊が示した人事制度改革「planning guidance」について、同司令官の強い思いを紹介しています

新司令官がこだわりを持つ人事制度改革が、今後どのように進められるのか良くわかりませんし、「planning guidance」の位置づけも良くわかりませんが、議会の承認や法律改正が必要なものも含まれているようですので、今後部隊の意見を聞きながら、議会等の反応を見ながら、出来ることから取り組みたいとの意欲の表明だと推測します。

このように「所信表明」的な位置づけのインタビューとは思いますが、米軍全体が抱えている人事制度の課題を凝縮したような問題認識だと思いましたので、ご紹介します

24日付Military.com記事によれば
Berger4.jpg7月11日に就任したばかりのBerger司令官はインタビューで、優秀な兵士にはもっと報いたい、昇任判断を前線部隊指揮官レベルに権限委任したい、専門職域の移動を柔軟にしたい、(昇任可能性がない)20年勤務者を首にする現行規定を見直したいなど、人事制度のドラスティックな改革への思いを語った
●「現在のリーダー層が指揮官や上級軍曹として大部分を過ごしてきた時代とは、異なった人材が必要tになってきている」との認識を同司令官は語り、必要な能力を持った兵士を引き留められるよう、海兵隊の現状をよく知る現場指揮官がもっと人事制度改革に関与していかなければならないと述べた

●現場指揮官たちは現在、部下たちの評価に極めて重要な職務評価レポートや職種適応性レポートを書く責務を負っているが、最終的な昇任審査は海軍司令部等が行っており、誰が昇任しするかの判断に現場指揮官が更に何らかの形で関与できないか考えていると同司令官は述べ、評価対象者を身近で見て把握している人間を評価に関与させる方法が必要だとも表現した
●15日の週に米海兵隊が示した人事制度改革「planning guidance」の中では極めて率直に、「業績評価の仕組みに、正すべき大きな問題がある。その問題には大きな課題となりつつある海兵隊自身が兵士のスキルや業績や潜在能力を評価する能力に対する不信感がふくまれる」と述べられている

Berger3.jpg●更に同司令官は、「人事管理システムの根幹は、必要な人材を励まして組織に引き留め、求める基準を満たさない者を分離していく仕組みである」と明言し、「現在の仕組みには、このシンプルな要求事項を達成する権限や手段が欠けている」と厳しく指摘した
●そして、あまりに多くの海兵隊兵士が、経過時間や経験で評価されているが、本来は才能や業績や潜在能力で判断され昇任させられるべきで、また多くの兵士が若い時代に押し付けられた職種に閉じ込められ、それが嫌なら退役するしかない状況に置かれていると述べ、有能で仕事ができる士官でさえ、時間の経過とともに仕事の興味分野も変わると語った

現階級以上への昇任見込みがない人材は、勤務20年を迎えた段階で退役を迫られるのが現行制度であるが、この規定により有能な部隊の中核的人材を排除しているとも指摘し、20年積み上げた技量保持者を、最も働き盛りの時期に放り出すような制度で部隊の士気を下げていると訴えた
●また報奨制度の問題点も指摘し、学び・考え・革新を生む兵士に報いるインセンティブが更に必要なだけでなく、特定の職域や集合全体ではなく、より対象を絞った個人を讃える方向に向かわなければならず、その逆も必要だと述べ、「精密誘導兵器のように、真に讃えるべき個人に的を定めて資源を投入すべきである」と語った

Berger2.jpg●同司令官はまた、各個人のユニークな特技や特性を生かせる職への移動の機会を与えることの重要性も強調し、米海兵隊全体で訓練方式や装備の改革更新を強く求められている中、教官や特殊技能職、指揮官や幕僚に適切な人材を配置する必要性を訴えた
●これらの課題対処には、議会の承認を得る必要のものもあることから、同司令官はまず、現場指揮官や上級軍曹に部下の将来潜在能力評価に関与させる機会の付与、適性のある人材の教育訓練や必要な幕僚業務への配置、報奨制度の見直しなどから取り組みたいと語った
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陸海空ドメインに加え、サイバーや宇宙、更に忘れられていた電子戦、これらドメインを融合して戦うにあたって必要な人工知能やITやクラウドや指揮統制システムなどに明るい人材確保が喫緊の課題となっている西側諸国軍ですが、基本的に全ての人材を自給自足してきた従来の人事管理制度では対応が不可能になりつつあります

以前から伝統的に海兵隊司令官は率直に危機感を表明していますが、他の軍種も全く同じで、当然日本でも大きな問題となっているのでしょう。

そんな中でも、まず戦闘機パイロットは議論の対象から外して・・・と始めるから、世界の空軍では誰も真剣に考えなくなるんです。戦闘機とパイロット所要の見直しが、空軍改革の原点だと思います。話がそれましたが・・・

人事制度改革に関する記事
「空軍長官最後のインタビュー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18
「上級軍曹選抜から体力テスト除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-2
「米空軍が昇任管理を大幅変更」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04
「再雇用枠を大幅拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
「海兵隊司令官:生活を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
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米空軍研究:ロボット操縦の旧式セスナが初飛行 [米空軍]

安価に既存機を無人機にする手段の研究
米空軍研究所が真面目に取り組み
ニーズや今後の展開が気になります

Cessna 206.jpg15日付米空軍リリースによれば、米空軍研究所AFRLと民間企業が協力し、8月9日に旧式のセスナ機(1968 Cessna 206 )の操縦席にロボット操縦者「ROBOpilot」を乗せて初飛行に成功した模様です

このニュースを見た時、「今や無人機なんて山のように世界に出回っているのに、何で米空軍研究所がこんなことやってるの?」、「お遊びですか?」と疑問に思ったのですが、どうやら、山のように世にある有人機を安価に簡単に無人機運用したいとのニーズが背景にあるようです

明確に研究の背景や今後の応用について空軍リリースや関連報道は触れていませんが、新たな無人機を設計製造すれば相当な資金が必要だし、有人機の操縦システムを無人運用用に1機1機改修するのも資金が必要なので、ロボット操縦士を有人機の操縦席に座らせ、軽易に有人機を無人運用したい(また逆に簡単に有人機に戻したい)との思いがあるのでは・・・と邪推しております

また、米軍操縦者の民間流出が止まらず、操縦者不足が深刻化して対策に苦慮していることから、既存有人機を無人運用する検討しているのかもしれません。

原始的ながら、米空軍研究所の緊急イノベーションセンターが真剣に取り組む「ROBOpilot」をご紹介いたします

15日付米空軍報道リリースによれば
Cessna 206 2.jpg●米空軍研究所AFRLのWilliam Cooley司令官(少将)は、「この初飛行成功は、短時間低コストで、コンセプトを実用化に結び付けるAFRLの革新能力を証明するものだ」と成果を語り、
●AFRLの迅速イノべーションセンター(Center for Rapid Innovation)の上席研究員は、「考えてみてほしい。セスナ機や軽飛行機などの普通の航空機が、迅速にかつ安価に無人機に転換でき、また有人形態にもどすことが容易に可能なのだ」、「恒久的な形状変更をせずに有人と無人形態を変更できるのだ」と利点を強調した

●AFRLは、加州に所在する民間企業DZYNE Technologiesと協力して本計画を進め、「ROBOpilot」を人間が操縦するように航空機を扱うよう作り上げた
●例えば、操縦桿を操り、スロットルを操作し、尾翼や車輪を動かすペダルを踏み、スイッチ類を扱うように「ROBOpilot」は設計されている。またセンサーにより計器パネルを読み、機体姿勢や状況を把握して操縦する仕組みを備えている

Cessna 206 3.jpg●「ROBOpilot」の備え付けは簡単で、操縦座席を取り外して必要な操縦機能を備えた装置が詰まったROBOpilotのフレームを当該スペースに取り付け、必要な個所と接続するだけである
●AFRL関係者は、「ROBOpilot」が既存の民生技術や部品を活用して組み立てられ、その中にAFRLやDZYNE Technologyがこれまで培ってきた航空機設計技術を盛り込んだと説明し、「新たに無人機を設計する手間やコストを省いて、無人機の便利さや有効性を活用できる取り組みだ」とアピールしている

●AFRLの迅速イノべーションセンター(Center for Rapid Innovation)は2006年に設立され、既存技術を生かして迅速に必要なものを前線に届けるとの狙いをもって活動を開始し、作戦運用上のニーズに対応してきた組織である。
●具体的にはこれまで、例えば、移動目標攻撃のためのリックサック式の精密誘導兵器誘導装置、仕掛け爆弾IED対処装置、ドローン対処装置、移動式の秘匿通信システムなどなどで成果を上げてきた
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セスナや軽飛行機より複雑な、軍用輸送機(C-17やC-130のような)への応用を考えているのでしょうか? そうであれば、パイロット世界に結構な衝撃がありそうです

このような発想は、戦闘機には絶対応用されないでしょうが、米空軍内のパイロット族がどの様に生かしていくかに、興味津々です

米空軍パイロット不足関連
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
「世も末:幕僚勤務無し管理検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20

「トップガン続編の予告編」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-20-1
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空母トルーマン艦長に元亡命イラン人!? [Joint・統合参謀本部]

父親がイラン人でイラン革命時にイランから脱出
母親は米国人で生まれはテキサス州

Hakimzadeh3.jpg14日付Military.comが、間もなく中東に派遣されるであろう空母トルーマンの艦長に7月から就任しているKavon Hakimzadeh大佐を取り上げイラン人の血が流れる彼と彼の家族のこれまでを紹介しています

タイトルでは「亡命イラン人」と表現しましたが、同大佐がテキサス生まれであれば米国籍を持っていると思われますので不正確かもしれませんが、誕生後赤ん坊時代にイランへ移住し、イスラム革命吹きすさぶイランから11歳時に脱出しなかったら、恐らく今もイラン人としてイランで生活していた人物だと思います

高校卒業後に米海軍に入隊し、経緯は不明ですが士官となってE-2早期警戒機に搭乗し、7つの異なる米海軍艦艇で勤務し、中東での作戦も既に複数回経験した歴戦の海軍士官で、空母トルーマンの艦長ともなれば相当期待される人物です

任務に関することに記事は触れていませんが、多様な人材を取り込む米軍の一端をご紹介すべくHakimzadeh大佐の人生を取り上げま

14日付Military.com記事によれば
Hakimzadeh2.jpg●Hakimzadeh大佐は、テキサス州でアメリカ人の母親とイラン人の父親に生まれたが、まだ赤ん坊だったときにイランに引っ越した。彼は1970年代の子供時代を懐かしく思い出す。
●同大佐はペルシア語と英語を話す国際学校に通い、南部バプテストの母親の信仰を守り、近くに住んでいた叔父といとこと交流していた。当時、イランは親米であり、西洋文化の多くの側面を受け入れていた。それでも彼は「牧歌的な」子供時代だったと回想する。

●しかし、それは1979年のイスラム革命で大きく変わった。彼と彼の家族は、彼が11歳のときに米国への避難を余儀なくされた。彼の妹は9歳で、母親は妊娠7ヶ月だった。
イランの空港が閉まりそうになる中、飛行機になだれ込み、父親の仕事上の知人を頼ってミシシッピ州ハッティズバーグ近くの小さな町に向かうことになった。

●同大佐は海軍に入隊し、軍が提供した機会を利用して、彼と彼の家族が彼らのために行ったすべてのことを愛する国に返した。30年前にノーフォークに停泊する空母を目にし、自身で空母の艦長になると設定した目標を今年7月に達成した。当時、彼は若い船乗りであり、高校を卒業してすぐに海軍に入隊し、約10年間しか住んでいなかった国に仕えることを決心した。
Hakimzadeh4.jpgコールサインが「ハク」である同大佐は、ノーフォークに拠点を置くE-2早期警戒機の飛行士としてのキャリアの大半を過ごし、イラクとアフガニスタンの戦闘地帯で飛行し、7つの異なる船で8つの作戦遂行に関わった

●現在同大佐は、中東に戻る可能性に備えている。彼の空母戦闘群は展開前の演習を既に完了した。米海軍はその空母がどこに行くのか、いつ行くのかを明らかにしていないが、空母は世界中で緊張が高まった際の視認性の高い抑止力として頻繁に使用される。
空母リンカーンは現在、イランがアメリカの無人機を撃墜し、外国の石油タンカーを押収した後、中東で任務についている。空母トルーマンがこの地域でリンカーンの地位に就くように呼ばれた場合、空母トルーマン乗組員は準備ができていると同大佐は語った

「特定の個人的な不安は関係していない」、「過去に何度も展開した」と彼は言った。
●同大佐の名前は米国では珍しく、また彼が米国の同盟国である中東の国に展開するときに橋渡し役として働けると感じている。同大佐は今でも少しペルシア語を話し、彼の家族の話をもっと知りたいと思っている人たちには喜んで伝えている
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Truman.jpg空母トルーマンは米空軍が2020年度予算案で25年早期退役案を打ち出し、米議会から猛反発を受けて頓挫した曰くつきの空母で、空母乗員はこの春から夏にかけての予算審議を複雑な思いで見てきたと思います

そんな単純ではない状況で7月から艦長を任されたのがHakimzadeh大佐です。このタイミングでいい加減な人間を艦長に命ずることはありません。武運長久を祈ります!

空母と多様な人材の記事
「空母トルーマンの25年早期退役案で紛糾」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-29
「空母関連の映像4つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-20
「ベトナム難民が艦長として故郷に錦」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-18-1

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米軍試験演習場を民間5G開発に提供する [米国防省高官]

脱ファーウェイのため国産メーカー育成へ
超超音速兵器より5Gが優先だ!

Griffin2.jpg13日、ハドソン研究所で講演した米国防省のMike Griffin技術開発担当次官は、ファーウェイでない国産5G技術育成のため優れた民間技術のジャンプスタートを促すため、米国防省の管理している演習試験エリアを提供する準備があると語りました

同次官は、これまで超超音速技術開発だった最優先課題は今や5Gになったと語りその重要性を訴えましたが、一方で国防省にはこの分野で最先端を切り開く能力はなく、民間企業による開拓を期待するしかないと正直に認め、将来の国家安全保障に不可欠な5G開発を支援したいと述べました

「offer its infrastructure as test areas」が具体的に国防省や米軍のどの施設やエリアを示すものなのか不明ですが、政府や地方自治体の強化など複雑な手続きが不要なことで開発をでき、またエリアを分割することで複数の企業が技術情報朗詠を恐れることなく試験を行える等の利点も強調しました

米国も必死だということですが、米中関係の今後が不安定な中、この呼びかけにどれだけの企業や研究機関が手を挙げるのか良くわかりませんが、とりあえず最優先事項だということですのでご紹介しておきます

13日付C4ISRNET記事によれば
5G-2.jpg●Griffin技術開発担当次官は、国防省が5G開発を牽引する能力がないことを率直に認め、「民間企業の通信技術開発が遥かに進んでいることを承知している」と述べ、「民間通信企業のしっぽのノミ」ぐらいにはなりたいと努力しているところだ表現した
●そして同次官は、「国家安全保障のために同技術を国防省は必要としており、競争の激しい環境の中で技術の種が望む方向に育ち発展するよう支援する」と語った

●更に「各種試験やプロトタイプ試行を我々の施設で実施でれば、(広大な敷地を)複数の競い合う企業で分割して使用することで秘密保全を図れる。また、国防省試験場は地方自治体や国の許可が必要ないので、企業の研究開発の迅速化に貢献できる」と利点を説明した
●そして改めて「あくまで5G研究開発は国防省がリードするのではなく、国防省は開発の成果の良き利用者となる事を楽しみにしている」と仕組みを説明した

Griffin3.jpg●同次官の下で現在は1名の補佐官が5Gを担当しているが、今後間もなく新たな組織を編成し、AIや超超音速兵器のような体制で対応すると同次官は述べた
●講演に対して記者団から、5Gがマイクロウェーブ兵器に対し脆弱な点を指摘された同次官は、指摘に同意しつつ、その問題点を見極めて対応を考えることが必要だと応えた

●最後に同次官はファーウェイを意識しつつ、重要な信頼できる通信を確保するためは、信頼できないネットワークやハードを使用できるか?、と述べ、国産5G技術開発の重要性と国防省として開発を支援する意志を打ち出した
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5Gの重要性を十分に理解していないのですが技術開発担当次官が超超音速兵器より重要と明言するのですから、その覚悟の程が伺えます

5G.jpg反面、国防省として支援できることは何でもやるとの悲壮感も感じられ、ファーウェイの技術力の高さを改めて感じさせます

不謹慎ながら、この必死さは、日本から輸出管理を強化され、必死で突っ張っている韓国のイメージとダブってしまいます。もちろん韓国ほど悲観的ではないでしょうが・・・

米中関係を考える記事
「米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「米国防省と米軍2トップが陸軍出身へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20
「中国がレアアース輸出規制へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「2019年中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-06
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1

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比大統領は特攻隊の慰霊碑を自費で建立していた [ふと考えること]

1年半前の記事ですが、アジアと日本を考える
マニラでの市街戦は、多くのフィリピン市民を巻き込み犠牲にしましたが
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やっぱりフィリピン大統領は日本をリスペクトか?
出身地ダバオ市での慰安婦像発言に注目
日本の野党議員も見習ってほしい!

各種報道によれば
慰安婦像フィリ.jpg2018年4月27日夜フィリピンの華人団体などが首都マニラに昨年12月に設置した、日本軍占領下(1942~45年)の慰安婦を象徴するという女性像が台座ごと撤去されたことが分かった。

29日、ドゥテルテ比大統領は、地元ダバオで「(設置は)政府の政策ではない」と、撤去に理解を示した。
一方で「私有地への設置は構わない。我々はそれに敬意を払う。表現の自由は大事だ」と語った。

この慰安婦を象徴する像に対しては、マニラの日本大使館がフィリピン政府に、女性像が唐突に設置された経緯などを明らかにするよう要求。1月にマニラを訪れた野田聖子総務相がドゥテルテ大統領に「遺憾」を表明し、河井克行衆院議員が同大統領に撤去を求めていた。

日本政府関係者によると、ドゥテルテ政権は「4月中の問題解決」を約束。撤去作業はマニラ市と公共事業道路省が実施し、女性像の再設置や移転は行われないとの連絡が撤去後、この関係者に入ったという。

Duterte.jpgマニラの日本大使館は、フィリピン政府から27日、女性像を撤去する事前連絡があったとしている。目撃者によると、同日夜にマニラ市職員と名乗る作業員が「下を通る水道管の修理だ」とし、ショベルカーで像を撤去。台座や記念碑板も一緒に持ち去った。

女性像が建てられていた現場は28日、穴があき、幅約2メートル、奥行き約10メートルの範囲が、フェンスやビニールシートで覆われていた。

こんな出来事を受け、ドゥテルテ大統領のルーツに迫る約1年半前の記事を振り返ります。

//////////////////2016年11月7日の記事////////////////////////
ドゥテルテは最初の特攻隊に敬意を表したのか
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06

duterte-J.jpgドゥテルテとは今話題のフィリピン大統領で、米国に対する過激な発言や、中国の習近平と「ガムをかみながら握手」しつつ多額の援助を引き出した興味が尽きない指導者です。
一方で、日本に対する感情は極めて良好で、2013年には米国旅行を希望する家族を押し切り、家族旅行で日本を訪れて長野でのスキーや東京観光を楽しんだ人物でもあります

また、フィリピンでも最悪の犯罪発生率だったダバオの副市長と市長勤める中で、「東南アジアで最も平和な都市」を標榜するまでに治安を改善させた功績が国民に支持され大統領になった人物ですが、そのダバオ市長時代に私財を投じ太平洋戦争時に米国と戦い、フィリピンが米国から独立する基礎を作ってくれた日本人の墓地に記念碑を建ててくれた人物でもあります

duterte-J4.jpgダバオ市と日本人の関係は古く、戦前、貧しかった日本人が約2万人も職を求めてダバオに渡り、紙幣の原料でもあるマニラ麻を栽培して生活しました。この日本人の活動はダバオに産業を興し、ドゥテルテ大統領は日本人がダバオの発展に貢献してくれたと今回の来日で安倍首相に感謝しています。

その他、戦後日本が、フィリピン政府とミンダナオ反政府ゲリラとの橋渡し役を務めてくれたことも評価しているそうです。

更にドゥテルテ大統領は、2013年3月に発生した東日本大震災に際しダバオ市長として海外のどこの自治体よりも早く「震災で、住む家を失ってしまった方は、ダバオで何人でも引き受けます。避難所としてではなく、楽園となるよう市を挙げて歓迎します。ダバオ市で役に立つことがあれば何でもします」と表明してくれていたことが、今回の訪日にあわせて話題になりました

邪推:なぜ10月25日に来日したか?
duterte-J2.jpgドゥテルテ大統領は10月18日~21日に訪中し、20日には習近平首席とスーツ姿で会談したが、その後の合意文書調印式ではガムを噛みながら、しかも途中から居眠りする様子が放映されるなどの態度をしめした
中国主席は、積極的な投資を約束すると共に、欧米が人権侵害とみる麻薬撲滅対策に理解を示すなど、大盤振る舞いの姿勢で「雪解け」を演出したが、南シナ海問題で特に進展はなかった模様

●その後フィリピン大統領は一端帰国し、改めて25日から訪日を開始。到着後の夕食会は岸田外相がホストを勤め、「仕事の具体的話はしていない」とのコメントを残しているが、大いに盛り上がった様子が外交筋から伝えられている
ではなぜ直接中国から日本を訪問せず、一端帰国して25日から訪日したのか。ここでは多くのフィリピン人の心に今も残り、ドゥテルテ大統領が資材を投じて慰霊碑を建立してくれた日本兵の作戦に関係しているのでは・・・との仮設を立てて考えます

Sikisima.jpg1944年(昭和19年)10月25日、日本軍が最初の「特攻隊」を編制して出撃させたのがフィリピンであり、その「敷島隊」5名はフィリピン各地で名前が今も知られ、慰霊行事が今でも行われています
ドゥテルテ氏はダバオに私財で慰霊碑を建立した当初から、毎年娘を必ず連れて慰霊行事に参加していたようです。そして今回の訪日で、米国の植民地から解放してくれ、地元経済の基礎を作ってくれた日本軍と日本人に対する礼を天皇陛下に直接述べるため、10月25日を選んだののではないかと「邪推」しています

岸田外相との夕食会でも、安倍首相との首脳会談でも、ドゥテルテ大統領は祖国フィリピンを代表し、歴史的観点に立って日本への尊敬と感謝の思いを伝え、今後の関係を構築したいと述べたのではないかと推察しています
duterte-J3.jpg●日本政府が今の時代に、特攻隊の精神を讃える外国首脳の話をオープンに出来るはずはありませんが、一方で米国に対するものとは全く別次元の感情を日本に持つフィリピン指導者と、楽しい食事や話が日本首脳は出来たであろうと想像します

●中国への対処を考える上で、邪推したフィリピン大統領の日本への感情と米国への反発が、単純にプラスになるとは思いませんし、東京裁判史観に反する「特攻隊」の話題化が対中国の米国同盟にプラスであるはずもないでしょう
●それでも、東京裁判史観で縛られた現代日本人の日本軍への偏った視線が、アジアに広く残る日本軍への極めて高い評価に向く切っ掛けになればと思います

最近のフィリピン関連記事
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「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16

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2018年米軍の自殺者数が過去20年で最悪に [米国防省高官]

2019年も昨年を上回るペース
米空軍部隊は1日任務を中断して自殺防止対策日に

Suicide Prevention3.jpg7月末、米国防省の「Defense Suicide Prevention Office」が2001年から公表している米軍兵士の年間自殺者数統計レポートをまとめ昨年2018年の自殺者数が、過去最悪だった2012年の321名を超え、325名を記録する残念な事態となっていることを明らかにしました

米軍兵士の総数は、中東での対テロ作戦等からの撤収もあり、ここ5年間くらいは減少していますが、分母が減る中で自殺者数が過去最悪を記録する危機的な状況で、国防省も頭を痛めています

また今年2019年に入っても状況悪化の傾向が続き2019年第一四半期の自殺者数は既に90名と、昨年の同期間の81名を上回っており、単純計算すると年間360名との数字が重くのしかかっています

Goldfein1-1.jpg4軍別で見て見ると昨年は2017年より米空軍を除く全ての軍種で自殺者が増加しており、唯一減少した米空軍でも2019年に入って自殺者が急増しており、今年7月末時点で既に昨年1年間の数を超えるペースとなっているようで、このままのペースだとここ数年の3倍弱になる恐れが出ているようです

1日、そんな危機的な状況を前に、Goldfein空軍参謀総長とWright米空軍最先任上級軍曹が、全ての米空軍部隊が45日以内に丸一日通常業務を停止し、自殺予防を考える日にするよう指示を出し、自殺防止の再スタートを切る決意を全部隊に発しています

1日付military.com記事によれば
2018年の米軍兵士の自殺者数は、2001年統計公表以降の最高値を記録し325名となった。内訳は陸軍139名、海軍68名、海兵隊58名、空軍60名であり、総数で前年を40名も上回った。昨年との比較では、空軍のみが昨年の63名から若干減少し、他は増加している
●また今年2019年に入っても状況悪化の傾向が続き、2019年第一四半期の自殺者数は既に90名と、昨年同期間の81名を上回っている。

●2018年自殺者の内訳では、男性が95%、また白人兵士が81%を占め、海外派兵経験者は57%を占めている
Suicide Prevention2.jpg●自殺者の約半数は、メンタル面での問題を抱えていたことを部隊が把握していた兵士で、また自殺者の半数は、自殺する前90日以内に軍内の何らかの医療・メンタル・相談窓口等と接触を持っていた

●今年初め、関係する国防省高官は具体的な数値に言及はしなかったが、「自殺数の増減をより正確に把握するためには、兵士総数当たりの自殺者数把握がより重要だと考えるが、その統計値は破滅的で受け入れがたい傾向を示している」と言及していた
米国社会全体でも自殺数は増加しており、1999年との比較で33%も増加しており、10歳から34歳の死因の第2位が自殺となってる

●自殺者の比率を把握する兵士10万人当たりの自殺者数値は、2017年で21.9名で、2016年の21.5名と、一般社会の同年齢層の17.4名よりは高くなっている。ちなみに米軍関連で最も自殺率が高いのは州兵で、29.1名となっている

別の1日付military.com記事によれば米空軍では
Goldfein space.jpg●米空軍の2018年の自殺者数は60名と、2017年の63名から若干減少したが、2019年に入り急増しており、今年7月時点で既に78名が自殺しており、昨年同時期の48名より30名も多く、このままのペースだと年間150-160名を自殺で失う過去最悪となりそうである
●そこで米空軍は1日、Goldfein空軍参謀総長とWright米空軍最先任上級軍曹が、全ての米空軍部隊が45日以内に丸一日通常業務を停止し、自殺予防を考える日にするよう指示を出し、自殺防止の再スタートを切る決意を全部隊に向け発信した

参謀総長は各級指揮官にレターを出し、「いったい米空軍で何が起こっているのだ。希望を失った者に、希望を見出してもらおう」と呼びかけ、この微妙で難しい問題に対応するためには、個々の事象に応じた個人的なアプローチが欠かせないと訴えている
●そして「自殺は予兆を発する者が行うこともあるが、なんの前触れもなく発生することも多い」とその特徴に触れつつ、自殺予防を考える日を契機として、恒常業務を停止して行う「自殺予防を考える日を通じて、自身の問題として、より個人的な部分に寄り添うように取り組んでほしい」と訴えた

Wright3.jpgWright米空軍最先任上級軍曹はビデオ映像で下士官たちに対し、「我々は仲間を、敵と戦て失うよりも多く自殺で失っている」と語り開け、「米空軍が皆さんに自殺防止のために何をやりなさいと指示することはない。どのようになるかを示すこともない。皆さんの部隊で何が必要かは皆さんが一番分かっているだろう」、「自殺について考えることが一つの一番の答えだろう。良い選択肢を与えてあげてほしい。良い方向に導いてほしい」と訴えた
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なかなかシンプルに増加の要因を特定するのは難しいようですが、米国社会全体で自殺者数が増加していることは事実なようです。

まんぐーすの邪推ですが経済好調の米国社会にあって、またイラク・アフガン戦争による負傷兵の悲惨な状況が軍のイメージを低下させ募集が難しくなり、米軍に入隊する若者の質が低下し、入隊時点でメンタル面に問題を抱える者までリクルートしてしまっている現実があるような気がします。

Suicide Prevention.jpgもちろん、海外派兵を含む出張の期間の長期化(家族との接触低下)、予算不足からくる部隊活動の質と士気の低下、部隊の士気に関心がなさそうな最高指揮官(トランプ)、社会と軍隊の分離進行などなど、様々な背景があると思いますが、インプットの質がカギのような気がしますし、そうなると早急な改善は容易ではありません

それにしても、イラク戦争やその後の混乱期、またアフガンに本格介入し、部隊に負荷がかかっていた2000年代よりも自殺者が多いとは深刻です・・・

ちなみに、日本の全年齢層合計の2018年10万人当たりの自殺者数は、男性23.2人、女性10.1人でした。統計の存在する1900年以降で最悪は2003年で、自殺者総数34400人、10万人当たりで男性40.0人、女性14.5人です

米軍と自殺者問題
「2018年は自殺者数最悪ペース」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-1
「米空軍死者の一番は自殺」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12-1
「米海軍の自殺を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「国防省の自殺防止会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
「陸軍も6年連続自殺増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-14

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次の米海軍トップに空母の脆弱性問題を詰問 [Joint・統合参謀本部]

急遽推薦の候補者は議会で承認されましたが
承認質疑で空母の価格高騰と脆弱性を厳しく指摘

Gilday4.jpg次の米海軍人トップ予定者が突然退任に追い込まれ、後釜候補を中将から選ぶという50年ぶりの異常事態に直面した米海軍ですが後釜候補のMichael Gilday海軍中将(統合参謀本部幕僚長)が8月頭に上院でスムーズに承認を得たようです

しかしGilday海軍中将への上院軍事委員会の面々の指摘は厳しく新しい空母やSSBNやフリゲート艦や無人艦など、新型装備導入に際しての計画の遅延や価格高騰の「悪しき伝統」の再発防止を強く求めています

特にFord級空母への風当たりは強く、空母11隻体制の維持を支持している上院軍事委員長でさえ、同空母の価格高騰を「海軍の傲慢さを示しており、犯罪者と呼ぶべきレベル」と厳しく非難し、これ以上は許容しないと申しつけています

6日付Defense-News記事によれば
Gilday.jpgMichael Gilday海軍中将の米海軍トップの作戦部長(CNO)への就任に関する議会審議で、上院軍事委員会は同中将が同ポストのついて取り組むことが期待される重要事項として、大きく膨らんでいるFord級空母のコストと計画の遅延、空母自体の脆弱性への対応を上げた
●議員らは、飛翔速度を増し迎撃兵器を回避するミサイル技術進歩の中で、米海軍空母が中国やロシアのミサイルにとっての「サンドバック状態」になることを危惧し、各種対艦ミサイルや超超音速兵器の進歩への懸念を示し

海軍支援派として知られるAngus King議員は、特に超超音速兵器を空母を無効にする兵器として取り上げ、「悪夢の兵器」として米海軍の考えをただし、米海軍の中で最も高価で重要視されてきた空母の確固とした将来像をと防御法を、官民の知恵を結集して描くべきだと訴えた
●上院軍事委員長のJim Inhofe議員も空母11隻体制を支持し、米海軍が今年1隻削減案を持ち出した際は強く反対して案を葬った議員だが、Ford級空母の価格高騰を「海軍の傲慢さを示しており、犯罪者と呼ぶべきレベル」と非難し、新装備の初号機が価格高騰と計画遅延の常習犯であることに懸念を示した

Gilday2.jpg●同委員長は、同空母が技術的に未熟だった2周波数帯レーダーや電磁カタパルトや着艦フックや兵器用エレベータを無理やり設計に組み込んでリスクを冒し、1隻価格が1.5兆円にまで膨らんだ「悪夢」を厳しく批判し、今後海軍が取り組む新しいSSBNやフリゲート艦や無人艦など、新型装備導入に際しての計画の遅延や価格高騰の「悪しき伝統」再発防止を強く求めた

King議員は超超音速兵器について、「敵があと1年もすれば部隊配備する勢いなのに、我が国は何年も遅れを取っており、極めて危険な能力ギャップを抱えている」と語り、この兵器により米海軍艦艇の優位が失われることに懸念を訴えた

CSBAのBryan Clark研究員はKing議員の懸念に触れつつ、「空母の脆弱性は悪化を続けており、空中発射の超超音速巡航ミサイルがより大きな課題だろう」、「超超音速の空母攻撃兵器は安価で大量投入が可能であり、従来のミサイル防衛が必ずしも対象に想定してこなかった脅威であり、新たな課題として取り組む必要がある」と説明した
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Gilday3.jpg空母の脆弱性は誰もが普通に意識しているはずですが、投資の方向を大転換させるには、数発のミサイルで無効化される空母の姿を目にするまで待つ必要があるのかもしれません。人間のサガでしょうか・・・

米海軍では韓国プサンの港湾業務業者が絡んだ、新たな汚職疑惑が持ち上がっており、これから数年は高級幹部も含めたゴタゴタが予期されるようですし、艦艇建造・修理工場の疲弊も進んでいるようですし・・・

Michael Gilday海軍中将も、大変な時にCNOを引き受けることになったものです。

ところで・・・日本の空母形状護衛艦「いづも」にF-35Bを搭載する計画について、香田元海将と織田元空将が「大反対」論陣を張っていますが、全くごもっともです・・・

「代打の次期米海軍トップ候補」 →https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-19

米空母の話題
「空母1隻削減案に揺れる」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-29
「スミソニアン空母映像4つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-20
「空母群が温故知新訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-25
「空母艦載給油機のRFP発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-13

「映像で学ぶ:米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25
「艦載機燃料タンクの振動問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-29
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

超超音速兵器関連の記事
「米空軍も取り組み本格化」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-16
「ミサイル防衛見直し発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-19
「ロシアが超超音速兵器試験に成功」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-27
「日本に探知追尾レーダー配備?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-24
「LRDRレーダー開発が順調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-10
「グリフィン局長の発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1
「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米空軍が1千億円で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-1
「同兵器は防御不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1

コロンビア級SSBN計画の関連
「NKのおかげSSBNに勢い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-2
「コロンビア級の予定概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

艦艇の修理や兵たんの課題
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
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米陸軍が50KW防空レーザー兵器搭載装甲車両契約 [Joint・統合参謀本部]

Stryker戦闘装甲車両に2022年度搭載
2社と契約し別々に2つのプロトタイプを作成
契約企業以外にも自費開発でのチャンスを残す

striker combat.jpg1日、米陸軍のRCCTO(迅速能力・緊要技術室: Rapid Capabilities and Critical Technologies Office)は、Stryker戦闘装甲車両に2022年度までに50kw防空用レーザー兵器搭載を担当する企業に、Northrop Grumman と Raytheonを選定したと発表しました

これは戦闘装甲車両にM-SHORAD(移動式短射程防空:Manuever-Short-Range Air Defense)能力付与を狙ったもので、同車両にスティンガー携帯型防空ミサイルを2020年度中にプロトタイプ搭載する Leonardo DRSとの契約に並ぶもので、米陸軍は欧州での緊急ニーズに答えるものだと説明しています

脅威の変化を見据え、既に100kw、更に250-300kwへと2024年度を目途に出力をアップする開発計画も始まっているようですが、まずはミニマムの50kwでも早期に完成させ、ロシアの小型無人偵察機などに対応し、運用ノウハウを蓄積しようとの狙いと邪推しております

1日付Defense-News記事は
striker 50kw2.jpg●RCCTOは既にKord Technologiesを主契約企業としてレーザーによるM-SHORAD搭載契約を約220億円で結んでいるが、今回選定されたNorthrop Grumman と Raytheonは、Kord Technologiesのサブ契約者として本事業に参画し、合計で4台のStryker戦闘装甲車両プロトタイプ製造は約520億円の事業になる予定である
Stryker戦闘装甲車両4台で構成されるプロトタイプ小隊には、2020年に2社が別々に開発したいずれかの50kwレーザーが搭載される方向だが、米陸軍は他社が自費で開発した同兵器にも門戸は開かれているとし、可能な限り競争環境を維持しようとしている

●同様にM-SHORAD(移動式短射程防空)機能として、2018年に米陸軍は同車両にスティンガー携帯型防空ミサイルをプロトタイプ搭載する Leonardo DRSとの契約を結んでおり、2020年を目途にプロジェクトを進めている
米陸軍はレーザーなどエネルギー兵器に、無人機、ヘリ、ロケット弾、迫撃砲、野戦砲に対する防空対処を期待しており、米陸軍の運用単位であるBCT(brigade combat teams)の防空能力アップを狙っている

striker 50kw.jpg●米陸軍で本事業をつかさどるNeil Thurgood中将は、「エネルギー兵器を戦場に送る時が来た。米陸軍の近代化計画においてエネルギー兵器は極めて重要な位置を占めている。もはや研究開発デモ段階ではなく、戦略的な戦闘能力であり、前線兵士の手に渡る道を歩んでいるのだ」と説明している
M-SHORADは技術成熟努力の一部であり、「Multi-Mission High Energy Laser」への道の一つである

●米陸軍は既に100kw級レーザーで「High Energy Laser Tactical Vehicle」に取り組んでおり、ロッキード等を交え、「Family of Medium Tactical Vehicles platform」を目指してるが、更に250-300kwの開発を目指している
最も強力な出力のエネルギー兵器は、ロケット弾、迫撃砲、野戦砲やそれ以上の脅威対応に開発されており、「High Energy Laser Indirect Fire Protection Capability」として2024年度の部隊配備を現時点で想定されている
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50kwの防空用レーザー兵器のプロトタイプを、戦闘装甲車両に2022年までに搭載するため、有力2社を競わせることにしたが、自費でもっと良いものを作った企業が現れれば、躊躇なく良い方を採用する・・・との方針です

striker combat2.jpg更に2024年には、300kwクラスも実現して、より大型で高速の目標への対処を目指す・・・ということの様です。

何回かこのような話をご紹介したような気もしますが、2022年だそうです。50kwですが・・・。ちなみに米艦艇には不退転の決意で60kwを2021年に搭載との話がありました

500kw以上ないと、ロケット弾とか野戦砲の玉相手には難しいと思いますが、なかなか出力アップは難しそうです。「何時までたっても、5年後に実現」の法則が今も有効なのでしょうか・・・

エネルギー兵器関連
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「F-15用自己防御レーザー試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-04
「エネルギー兵器での国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」[→]https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24

「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

夢見ていた頃
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「米企業30kwなら準備万端」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「米陸軍が本格演習試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-14-1
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豪州は米国の中距離ミサイル配備要請を否定 [エスパー国防長官]

米豪2+2の場でのやり取りは?
いよいよ在日米軍基地か自衛隊演習場か?
それともグアムに仮置きか?

Australia US.jpg5日、米国がINF条約を破棄してアジアに中距離ミサイルを配備すると表明した直後に、米国と「2+2協議」を行った豪州首脳たちは米国から中距離ミサイル配備に関する受け入れ要請はなく、米側から話題にすることもなかったと語りました

豪州国防相に至っては、TVインタビューで明確に、エスパー国防長官に要請する可能性があるのか直接尋ねたが、「No」との返事だったと明らかにしており、現時点では豪州には配備受け入れ要請はなかったようです

2日に米国がINF全廃条約から公式撤退し、エスパー国防長官が数か月以内にアジアに中距離ミサイルを配備したいと述べた直後から、豪州国内では米海兵隊がローテーション派遣を行っている北部のダーウィンに配備されるのでは・・・との憶測が飛び交っており、今回の米豪2+2の影のメインテーマとも囁かれていたようです

5日付Military.com記事によれば
Australia US2.jpg●5日に「2+2協議」を行って米側の国務長官と国防長官が豪州を離れた後、豪州のScott Morrison首相は「その件については要請されなかったし、協議もしていない。豪州に依頼はない。下線を引いて強調しても良い」と語った
●同じく「2+2協議」後にABCテレビに対し、Linda Reynolds豪州国防相は「私はエスパー国防長官に直接質問し、豪州に配備要請する事が予期されるのかと尋ねたが、エスパー長官は明確にNoと答えた」と明らかにしている

中国に大量の石炭や鉄鉱石を輸出して困難な世界経済の中を立ち回っている豪州に、仮に中国が対象目標となる米国の中距離ミサイル配備要請が米国からあれば、それは豪州を極めて難しい立場に追い込むことになる
●今回の豪州訪問で米側は、経済面で中国との関係を深める豪州に警鐘を発しており、ポンペイオ国務長官は「豪州は目をよく見開いて、中国の増々強硬な行いを見よ」と警鐘を鳴らしている

Australia US3.jpg●また同国務長官は豪州指導者たちに「中国との貿易を続けるために、中国の行いから目を背けてはいけない」と警告し、魂を売るか、豪州国民を守るかの選択だとも表現した
●更に国務長官は「中国と貿易することは可能だと考えるが、同時に中国には世界のルールに沿って行動すべき」と要求すべきだと語った

豪州国内では、米国が中距離ミサイルをアジアに配備すると明らかにして以来、米海兵隊がローテーション派遣を行っている北部のダーウィンに配備されるのでは・・・との憶測が飛び交っていた
●関係の専門家たちには、グアムにある米軍基地に中距離ミサイルが配備される可能性が高いと噂している
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エスパー長官による「数か月以内にアジアに中距離ミサイルを配備したい」発言を配信した米軍事メディア記事は、併せて米国防省高官の話として、
●「今月中にも射程約1100km(620nm)の低高度飛翔タイプ巡航ミサイルの試験が予定され、18ヶ月以内に配備準備が整う見込みである
●「一方で、より長射程で射程1,860-2,490nm(3400-4500km)の弾道ミサイル開発には、5年以上必要だと見積もられている

JASSM.jpg・・・との話を紹介していました。とりあえず1100㎞射程の巡航ミサイル(トマホークやJASSM(Joint Air-to-Surface Standoff Missile)の射程延伸版の地上発射型との見方有)を配備する場所ですので、豪州はないでしょう。

台湾はあり得ないし、フィリピンでは南シナ海対処の意味しかないので、日本かと思いましたが、グアムだとすると、有事に前方展開との考え方でしょうか?

6日夕方、日本に到着したエスパー国防長官は、日本政府や防衛省で何を語るのか・・・?

「エスパー長官がアジアに中距離ミサイル配備発言」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-04

JASSM関連の記事
「JASSMまだまだ射程延伸」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
「更なる射程延伸開発契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
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B-21ステルス爆撃機の初飛行まで863日 [米空軍]

2021年12月3日が予定日だそうです
すごい自信ですが、順調そうで何より
1年ぶりにB-21ご紹介

LRS-B NG.jpg24日、米空軍副参謀総長のStephen Wilson大将が米空軍協会の研究機関であるミッチェル研究所で講演しB-1やB-2爆撃機の後継となるB-21爆撃機の今後の予定について、運用体制確立は2020年代中旬だが、初飛行は「863日後だ」と語り、開発が順調だと示唆しました

同副参謀総長は最近、開発を担当するNorthrop Grummanのフロリダ州の工場を視察した模様で、同社が「先行的に開発を進めている」ともコメントしており、かなりの好印象だった模様です

2020年代半ばに運用開始予定、強固な防空網を突破可能な性能(ステルス等)、1機約600億円($550million)、80-100機製造、無人機もあり得る(正式にはoptionaly manned)、既存成熟技術を活用して開発リスクを避ける等々の方針で進められているB-21ですが、機種選定後は秘密のベールに包まれています

B-21に関しては情報統制が厳しく2018年12月に「重要設計審査:critical design review」を終了したとの発表があったきりで情報がほとんど漏れてきませんが、F-35やKC-46Aと並ぶ3大重要事業ですので、推測たっぷりの専門家の想像も含めて記事をご紹介しておきます

25日付Defense-News記事によれば
Wilson.jpg●米空軍協会機関誌の報道によれば、Stephen Wilson副参謀総長は24日の講演で、「現時点で必ず実現できるとまでは言い切れないが、今から863日後にB-21爆撃機は初飛行の予定となっている」と語り、最近訪問したB-21工場の様子を「moving out on that pretty fast:先行的に開発が進んでいる」とも表現した
●19日には、臨時空軍長官と空軍省の緊急能力造成室(RCP)長が、同じNorthrop GrummanのB-21設計部署を訪問して開発状況を確認した模様で、複数の空軍幹部の目で見て順調だとの印象を受けているようだ

863日後とは2021年12月3日を指し、2年半先の予定であることから、航空専門家のRichard Aboulafia氏は、「今後2年間には多くのことが発生しうる。しかしノースロップ社がスケジュール管理に自信を示しているのは良い兆候だ」とコメントしてくれた
B-21.jpg●同氏は、ノースロップが企業選定で選ばれ、敗れた他社からの訴えが却下されたのが2016年であることを考えると、短い時間で初飛行予定を固められたのは、同社が製造したB-2爆撃機の知見を活かせる、B-2を小型化したようなデザインだからではないかと推測し、「B-2から大きくデザインを変更する必要性はなく、全体に最新技術を導入し、小型化、高性能化を進める方法が合理的だ」と述べている

●ただ、仮にB-2形状から大きな変更があった場合には、2021年前に小型やフルサイズのデモ機による試験飛行が行われる可能性があるとAboulafia氏は見ている

●別の専門家Roman Schweizer氏は、関連情報が全くない中、2021年12月初飛行との情報は全体計画を推測する上で貴重な情報だと述べ、そこから類推すると2019年末頃にプロトタイプ製造のために必要な「Production Readiness Review」が行われることになろうと見積もりを示した
3月のブルームバーグ報道によると、B-21関連予算は、2022年に220億円のところ、2023年には2700億円に跳ね上がり、2024年には更に3700億円に上澄みされる見込みであり、この数字から同専門家は、2023年に低レートの生産に入ると推測している
///////////////////////////////////////

LRS-B5.jpgこの記事に登場する航空専門家はいずれも良く知られたその筋の「プロ」で、Teal GroupのRichard Aboulafia氏には何度もご登場いただいているところですが、その専門家にしても情報を持っていないとすると、相当なレベルで情報統制がなされています

まぁ。「権力と金と女」で世の中は動いているとの鉄則に従えば、既に中露には流れているのかもしれませんが、メディアへの統制は大したものだと思います。

記事の通りに進めば、今年末に「Production Readiness Review」実施をお伝えし、その次は2021年12月の初飛行を写真入りでご紹介するぐらいの頻度でしか話題になりそうもないので、とりあえず「863日後の2021年12月3日」についてご紹介しました

B-21爆撃機の関連記事
「初期設計段階終了」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30
「米空軍の爆撃機体制計画」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2 
「2017年3月の状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-20
「B-21に名称決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27

「敗者の訴え却下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

米空軍爆撃機の話題
「B-1の稼働機一桁の惨状」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-05
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春のBomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
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Esper新長官アジアへ中距離弾導入とSTARTの運命 [エスパー国防長官]

INF全廃条約破棄を受けアジアに数ヶ月でほしい
START条約に変わる拡大枠組みが必要!?

Esper.jpg2日、初めての外国訪問となる豪州との2+2会合に向かうMark Esper新国防長官は記者団、「ロシアが履行していない条約を維持しない」との姿勢でINF全廃条約から米国が撤退したことを受け、アジアに早期に中距離ミサイルを配備する方向だが、より高性能のミサイルの配備には時間が必要との見方を示しました。ただ配備予定国には触れず、今後の関係国との調整が必要だと語りました。

また、唯一残された核兵器管理の枠組みで2021年2月に条約の有効期限が来る2011年締結の米露間の戦略核兵器制限条約であるNew START条約について、トランプ大統領が「オバマ時代の悪いディールだ」と発言していることを受け、また中国を含めた枠組みの必要性を主張している点を配慮し、枠組み対象国や制限対象の兵器について拡大する方向で検討することを示唆した模様です

3日付Military.com記事によれば
●Esper新長官は機内で記者団に、トランプ政権が2日にINF全廃条約から離脱したことを受け、数ヶ月以内にアジアに中距離ミサイルを配備したいとの意向を示し、「遅かれ早かれ、我々は必要な能力を展開させたいと考えるのが普通だ。私は数ヶ月以内を望むが、その準備が正確にどの段階にあるか把握していない」と語った
Esper3.jpg●また、7月23日に議会承認を得て初めての外国訪問に向かう長官は、中距離ミサイルの具体的な配備先については、今後の同盟国等との協議によると述べるに止まった

米軍による中距離ミサイル配備に対する中国からの反発を懸念する記者からの質問に対し長官は、「中国が保有するミサイルの80%以上が中距離射程のものであることを考えれば、米国が同様のものを配備したいと考えることに中国として驚きはないだろう」と応えた
●そして、インド太平洋地域の広大なエリアを考えれば、米国による有効な注射艇兵器の配備は重要だとの考えを示した

●国防省関係筋によれば、今月中にも射程約1100km(620nm)の低高度飛翔タイプ巡航ミサイルの試験が予定され、18ヶ月以内に配備準備が整う見込みである
一方で、より長射程で射程1,860-2,490nm(3400-4500km)の弾道ミサイル開発には、5年以上必要だと見積もられている。上記の巡航ミサイルも弾道ミサイルも核弾頭は搭載しないものである

米露関係悪化でNew START条約はどうなる?
Esper4.jpgNew START条約は2011年2月5日に発行したもので、双方の戦略核弾頭上限を1550発とし、その運搬手段である戦略ミサイルや爆撃機配備数上限を700に制限する条約で、有効期限は10年間で、最大5年の延長を可能とし、条約の履行検証は米ロ両国政府による相互査察により行うこととなっている。
●ただ、この条約を両国の議会が批准した際、米議会は米ミサイル防衛システム(MD)の開発配備が同条約に規制されないとしたが、ロシア議会は、MD配備によりロシアの核が不利になり戦力バランスが不均衡になる場合は条約から脱退できるとの付帯条項を含めた

トランプ大統領は本条約を「オバマ時代の悪いディールだ」と呼び、中国も含めた米中露の3カ国で核兵器管理の合意を追及すべきだと発言している
●これらを踏まえ新長官は、米国は他の核保有国も協議の枠組みに加え、また条約の対称となる兵器の種類も拡大すべきだと語った。そしてNew STARTから新たな枠組みへの議論に展開しても、軍拡競争にはならないし、米国は欧州と太平洋地域を守るミサイル能力の展開が必要だと語った
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INF破棄後に、とりあえず射程1100km程度の地上発射型の巡航ミサイルを配備するとして、日本と台湾とフィリピンぐらいしかないと思いますが、どうなるんでしょうか? 

Esper5.jpgイージス・アショアの配備だけで、オスプレイの配備だけで、防衛省はパンク状態のような気もしますが、明確な攻撃兵器である地上発射型の巡航ミサイル配備の調整など、現在の日本で可能でしょうか?

案外ここは、韓国が開発した射程800kmの「玄武-2C」ミサイルを持ち出し、それも脅威対象の一つとして日本国内に説明する方が、今の雰囲気には合うのかもしれません

豪州との2+2、陸軍士官学校の同級生コンビであるポンペイオ国務長官と頑張っていただきましょう!

「Esper長官の略歴
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20

ロシアの違反が発端:INF全廃条約の失効関連経緯
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

米国核兵器を巡る動向
「次期ICBMのRFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「今後10年の核関連予算見積が23%増」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26
「核兵器輸送がNo2任務」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-11
「ついにINF条約破棄へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「サイバー時代の核管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「リーク版:核態勢見直しNPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1

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