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カナダ仕切り直し戦闘機機種選定RFP発出 [亡国のF-35]

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カナダの分け前への配点を高く設定
F-35にもオファーでFA-18やタイフーンが辞退の可能性も
2025年導入開始で、落ち着いた頃のF-35が狙いか?

Trudeau4.jpg7月22日、カナダが老朽化が進んで維持が困難になりつつある138機のCF-18戦闘機の「やり直し」後継選定に関し、昨年から取りまとめを進めていた提案要求書RFPを決定して発出しました。

総額約1兆7000億円と推計されている後継機88機の選定は、まず第一弾の締め切りを2019年秋に設定し、その後2回目の締め切りである2020年春までは提案の修正や再提出を認める形で計画され、最終判断は2022年初めに行い、初号機の機体導入は2025年とのゆったりゆとりのスケジュールです。

「やり直し」機種選定に至る経緯を復習すると
●カナダはCF-18後継を想定して米国主導のF-35共同開発国に加わり、60機購入を計画して約1000億円を投資したが、2015年に誕生したトルドー政権はF-35計画への不信感をあらわにし、F-35購入を少なくとも5年は延期し、白紙的に検討すると発表
Sajjan Canada.jpg●一方で老朽CF-18の穴埋めとして、ボーイング製FA-18の購入を検討し始めたが、ボーイング社がカナダのボンバルディア社を旅客機のダンピングで訴えたことから米カナダ関係が悪化し、新臓器のFA-18購入中止を対抗措置として決定、埋め合わせとして中古の豪州空軍FA-18を18-25機購入すると2017年12月に発表。2018年9月、製造元米国も承認することを表明

5年間延期したCF-18後継機の選定準備を2018年からカナダ国防省が再開し、F-35、タイフーン、ラファール、グリペン、FA-18E/Fを対象として、2018年10月末に提案要求書の案を作成して関係企業からの意見聴取を行っていた
2018年11月、候補対象に挙がっていたラファールを製造するフランスのDassault Aviation社は、情報公開要求が厳しすぎるとしてて選定からの撤退を表明

23日付Defemnse-NewsはRFP発出について
●カナダの兵器調達責任者は23日、「カナダの安全保証を確かなものとする重要なステップを本日踏み出した。我々は適正な価格で、カナダに最も利益の上がる機体を選定できるようなプロセスを考えている」と説明した
●選定においては、技術的側面の評価が6割を占め、残りをコストと経済的利益が2割ずつを占める仕組みを採用するとカナダは明らかにしており、特にカナダが得る経済的利益(economic benefit)の重みが史上最大に高く設定されている

F-35canada.jpg●そして、この経済的利益の評価では、契約文書上でカナダ社会への経済的利益を保証した企業が、最も高い評価を得られるような仕組みを採用している。この点に関してカナダ政府は、今年5月にも「workshare」を保証した企業のポイントが高くなると発表している
●ただ、提案企業側にとっては難しい要求であり、特に部品供給先の選定を定期的な入札方式で柔軟に行おうとしているF-35にとっては、現状で受け入れがたい要求事項となっている

●実際、当時の米国防省F-35計画室長Mat Winter海軍中将は昨年12月、「F-35共同開発国の枠組みと相いれないオファーを受け入れることはできない」と表明し、カナダは既に共同開発国の一員として、約1700億円の部品供給契約を獲得しているとメリットを強調していた
現在の評価方式ではF-35に不利になるが、F-35製造のロッキードマーチンは提案する方向で、23日には「長期的な企業機会を提供しうる最も高性能な戦闘機を提供できるように、選定への参加を楽しみにしている」との声明を出している

FA-18EF2.jpg●一方で、FA-18を製造するボーイングや、ユーロファイターを製造するエアバス社は、この機種選定に参加するか不明確で、9日付ロイター報道では、両社がカナダ政府に対し書簡を送り、ロッキード社(F-35)を選定対象にすることへの不満を述べたと伝えられている
ボーイング社報道官は、「RFPを受領して確認中だが、FA-18を提案するかは未定だ」と述べており、エアバス社もRFPを注意深く確認中であるとメディアに述べるにとどまっている
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カナダが導入を考えている2025年頃になれば現在入手可能なF-35形態よりはるかに進化し、兵器搭載量も多く、無人機ウイングマンとの連携も視野に置いた「Block 4」が入手可能なります。予定通りであれば・・・

eurofighter.jpgトランプ政権誕生直後は、NAFTAを巡るゴタゴタや、ボーイングとボンバルディアの訴訟合戦など、米カナダ関係は緊迫していましたが、今はあまり聞こえてきません

カナダはうまく立ち回って、生煮えのF-35ではなく、手戻りの無い完成版のF-35をタイミングよく手に入れることになるのでしょうか? なかなか策士ですねぇ・・・

米国とカナダの航空戦争
「カナダ仕切り直し戦闘機選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03
「カナダに軍配:旅客機紛争」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「5月18日が開戦日!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23

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太平洋空軍司令官が中露空軍の連携を懸念 [米空軍]

7月23日の日本海連携飛行
ロシア爆撃機の台湾周回威嚇飛行
また民主主義体制への疑念も拡散

Brown4.jpg7月30日、ワシントンDCの米空軍協会ミッチェル研究所で講演したC.Q. Brown太平洋空軍司令官は昨年できたばかりの米国家防衛戦略NDSさえも十分に想定していない中国軍とロシア軍の連携協力が進んでいる状況に危機感を訴え、7月23日の中露爆撃機の日本海での連携飛行や露爆撃機の台湾周回飛行などを例にあげました

ロシア極東や中央アジアでの軍事演習に中国とロシア軍が共に参加することはあったものの、何となく生暖かい関係が続いていましたが、トランプ政権誕生後の西側結束の緩みに付け込み、「敵の敵は味方」論理で急速に中露が接近しています。

特に7月23日の中露爆撃機の連携飛行はインパクト大で、米国が日韓関係への仲介に乗り出したのも韓国によるGSOMIA破棄の脅しだけでなく、中露爆撃機の連携が衝撃的だったからではないかと邪推しております

7月30日付米空軍協会web記事によればBrown大将は
Brown.JPG●23日に中国軍のH-6爆撃機とロシア軍のTu-95爆撃機が共に飛行し、韓国の防空識別圏に入り、日本と韓国の戦闘機が多数緊急発進して対応した様は、まさに将来起こりえる事態のさきがけの様であった
昨年のヴォストーク演習でも、ロシア軍と中国軍の連携緊密化が目立ったが、両国の親密さは米国にとっての大きな懸念材料である。最近、ロシア軍爆撃機が台湾を一周する飛行を行ったが、事前にロシアが中国から外交的な了解を取り付けていたと言われている

●私は中露が協力して活動し始めたことを懸念している。この2国の連携は米国やその同盟国等をより厳しい環境に置き、インドアジア地域に騒動や混乱を巻き起こすことになろう
2018年発表の国家防衛戦略NDSは、中国やロシアとの対峙に主眼をシフトしたが、そのNDSでさえ2国が融合する姿を前提にはおいていない

H-6K Woody.jpg米国情報コミュニティがまとめた「2019 worldwide threat assessment」は、中露は1950年代以降で最も緊密で、特に両国の脅威認識が集約される方向にあるとし、米国が進める民主主義体制や人権擁護への疑念を流布することにも余念がないと分析している
●中露はまた、他国と連携して西側同盟に対峙しようとしており、2014年以降その勢力は拡大しつづけている、とも同アセスメントは分析している

●これら課題に対応するため、例えばF-35が太平洋地域には多く配備され、2025年までには220機になる見込みであるが、その内訳で米同盟国の保有機数が75%を占めるほど同盟国が重要になる。米国も来年アラスカにF-35を1個飛行隊配備する計画である
Tu-95-1.jpg●ただ我々は、中国との軍事的緊張が高まった場合に備え、これら戦力を分散させることを考え始める必要があり、その場合、現在の根拠基地より設備不十分な場所への分散退避を前提としなければならない

●同時に海軍との連携強化も重要で、「Long Range Anti-Ship Missile」が一つのカギで、またJASSMとその派生型ミサイルの共用も重要だ。更に米軍は当地域の精密誘導兵器の備蓄を増加させなければいけない
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先日ご紹介した飯塚恵子さん著の「ドキュメント誘導工作」は、ロシアによるメディアやサイバーを駆使した世論操作や選挙介入を詳しく描いていましたが、現時点では細部が不明ながら、中国の膨大なデータを基にしたメディアやサイバー空間での「誘導工作」の方がより強力になるだろうと警戒していたところです

Tu-95-2.jpgハード面での軍事連携だけでなく、このような非軍事ソフト面での中露連携は、考えただけで恐ろしそうです。しかしトランプや英国のジョンソン首相の動きをみていると、突っ込みどころいっぱいで、中露の連携に火に油を注いでいるように思います

まぁ・・・韓国文政権のデタラメぶりもそうなんですが・・・

太平洋軍関連の記事
「CSBAの海洋プレッシャー戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「太平洋軍の演習場が不十分」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29-1
「太平洋軍司令官が議会に要望」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29
「PACAFが緊急避難訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-27
「2019中国の軍事力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-06
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