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新海兵隊司令官が大きな人事制度改革の方向を語る [Joint・統合参謀本部]

柔軟な昇任制度や直属指揮官の判定権限強化
能力の把握要領見直しや20年ルールの廃止なども

Berger5.jpg7月24日付Military.comが新しい海兵隊司令官David Berger大将へのインタビュー記事を掲載し7月15日の週に米海兵隊が示した人事制度改革「planning guidance」について、同司令官の強い思いを紹介しています

新司令官がこだわりを持つ人事制度改革が、今後どのように進められるのか良くわかりませんし、「planning guidance」の位置づけも良くわかりませんが、議会の承認や法律改正が必要なものも含まれているようですので、今後部隊の意見を聞きながら、議会等の反応を見ながら、出来ることから取り組みたいとの意欲の表明だと推測します。

このように「所信表明」的な位置づけのインタビューとは思いますが、米軍全体が抱えている人事制度の課題を凝縮したような問題認識だと思いましたので、ご紹介します

24日付Military.com記事によれば
Berger4.jpg7月11日に就任したばかりのBerger司令官はインタビューで、優秀な兵士にはもっと報いたい、昇任判断を前線部隊指揮官レベルに権限委任したい、専門職域の移動を柔軟にしたい、(昇任可能性がない)20年勤務者を首にする現行規定を見直したいなど、人事制度のドラスティックな改革への思いを語った
●「現在のリーダー層が指揮官や上級軍曹として大部分を過ごしてきた時代とは、異なった人材が必要tになってきている」との認識を同司令官は語り、必要な能力を持った兵士を引き留められるよう、海兵隊の現状をよく知る現場指揮官がもっと人事制度改革に関与していかなければならないと述べた

●現場指揮官たちは現在、部下たちの評価に極めて重要な職務評価レポートや職種適応性レポートを書く責務を負っているが、最終的な昇任審査は海軍司令部等が行っており、誰が昇任しするかの判断に現場指揮官が更に何らかの形で関与できないか考えていると同司令官は述べ、評価対象者を身近で見て把握している人間を評価に関与させる方法が必要だとも表現した
●15日の週に米海兵隊が示した人事制度改革「planning guidance」の中では極めて率直に、「業績評価の仕組みに、正すべき大きな問題がある。その問題には大きな課題となりつつある海兵隊自身が兵士のスキルや業績や潜在能力を評価する能力に対する不信感がふくまれる」と述べられている

Berger3.jpg●更に同司令官は、「人事管理システムの根幹は、必要な人材を励まして組織に引き留め、求める基準を満たさない者を分離していく仕組みである」と明言し、「現在の仕組みには、このシンプルな要求事項を達成する権限や手段が欠けている」と厳しく指摘した
●そして、あまりに多くの海兵隊兵士が、経過時間や経験で評価されているが、本来は才能や業績や潜在能力で判断され昇任させられるべきで、また多くの兵士が若い時代に押し付けられた職種に閉じ込められ、それが嫌なら退役するしかない状況に置かれていると述べ、有能で仕事ができる士官でさえ、時間の経過とともに仕事の興味分野も変わると語った

現階級以上への昇任見込みがない人材は、勤務20年を迎えた段階で退役を迫られるのが現行制度であるが、この規定により有能な部隊の中核的人材を排除しているとも指摘し、20年積み上げた技量保持者を、最も働き盛りの時期に放り出すような制度で部隊の士気を下げていると訴えた
●また報奨制度の問題点も指摘し、学び・考え・革新を生む兵士に報いるインセンティブが更に必要なだけでなく、特定の職域や集合全体ではなく、より対象を絞った個人を讃える方向に向かわなければならず、その逆も必要だと述べ、「精密誘導兵器のように、真に讃えるべき個人に的を定めて資源を投入すべきである」と語った

Berger2.jpg●同司令官はまた、各個人のユニークな特技や特性を生かせる職への移動の機会を与えることの重要性も強調し、米海兵隊全体で訓練方式や装備の改革更新を強く求められている中、教官や特殊技能職、指揮官や幕僚に適切な人材を配置する必要性を訴えた
●これらの課題対処には、議会の承認を得る必要のものもあることから、同司令官はまず、現場指揮官や上級軍曹に部下の将来潜在能力評価に関与させる機会の付与、適性のある人材の教育訓練や必要な幕僚業務への配置、報奨制度の見直しなどから取り組みたいと語った
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陸海空ドメインに加え、サイバーや宇宙、更に忘れられていた電子戦、これらドメインを融合して戦うにあたって必要な人工知能やITやクラウドや指揮統制システムなどに明るい人材確保が喫緊の課題となっている西側諸国軍ですが、基本的に全ての人材を自給自足してきた従来の人事管理制度では対応が不可能になりつつあります

以前から伝統的に海兵隊司令官は率直に危機感を表明していますが、他の軍種も全く同じで、当然日本でも大きな問題となっているのでしょう。

そんな中でも、まず戦闘機パイロットは議論の対象から外して・・・と始めるから、世界の空軍では誰も真剣に考えなくなるんです。戦闘機とパイロット所要の見直しが、空軍改革の原点だと思います。話がそれましたが・・・

人事制度改革に関する記事
「空軍長官最後のインタビュー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18
「上級軍曹選抜から体力テスト除外」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-2
「米空軍が昇任管理を大幅変更」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04
「再雇用枠を大幅拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
「海兵隊司令官:生活を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
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