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極超音速兵器の迎撃兵器を日米共同開発で [安全保障全般]

「SM-3 block IIA」共同開発の実績踏まえ
まだ初期段階で分担可能性を協議中
2030年代初頭に初期型配備めざし

GPI MDA3.jpg3月15日、米ミサイル防衛庁MDAのJon Hill長官(海軍中将)が講演で、極超音速兵器の滑空段階での迎撃ミサイル(GPI:Glide Phase Interceptor)開発を目指し、日本との共同開発が可能かどうか日本側と協議を開始していると語り、弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」開発成功の経験を活かしたいと意欲を示しました

極超音速兵器は滑空段階で、音速の5倍以上のスピードでしかも機動することから、その迎撃は極めてハードルが高いと考えられていますが、GPI開発は「mission solution analysis phase」段階にあり、どのような技術が必要で、どのように協力体制や企業体制を組んで迎撃システムを構築すべきかを検討していると同長官は述べ、2024年度予算案に約270億円の予算要求をしていると記者団に説明しています

GPI MDA4.jpgまた、GPI開発の目標として「a deployment or getting to that first article out there in the early 30s」と表現し、2030年代初頭の初期配備を目指しての構想だと語っています

日本にMDAのGPIチームを派遣し、日本政府の技術、調達、兵站担当幹部を交えた検討会を既に開催し、次回は米国関係企業も含めたメンバーで日本を訪問して議論を深め、「どのような協力分担や体制が良いか煮詰めて行く段階だ」と現状を同長官は説明し、

SM-3 block IIA.jpgサクセスストーリーである弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」開発(日本が主に2段目と3段目の推進装置等を担当)の流れを踏襲すれば、日本側に今回も推進装置を担ってもらう形だが、今回日本側は弾頭を含む迎撃体部分を含む前方部分の担当にも関心をしているとも述べています

現状での課題として同長官は、GPI開発に競争環境を導入するため、2022年6月にMDAがレイセオンとN-グラマンの2社と同時に契約したことを上げ、今日本側が話を進めるとなれば、最終的には1社が脱落することが分かっていながら、設計思想が異なる2社と並行して業務を進める必要があることだと述べ、2社が1社に絞り込まれる時期等は現時点で未定で、技術成熟の状況を踏まえて判断・・・とのみ示されていると語っています

GPI MDA.jpgまた、米側企業としては、日本企業が下請け契約に回ってくれることを希望しているだろうが、今後の協議結果によって、「SM-3 block IIA」開発の際のように、当初は米企業が日本企業の下請けに回る可能性もある・・・ともHill長官は触れています

申し送れましたが、このGPIはイージス艦の垂直発射管から発射することを想定しており、その点でも「SM-3 block IIA」開発との親和性が高いとのことです
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Hill MDA.jpg日本政府と日本企業のやる気や本気度合いがどの程度かわかりませんが、極めて難しい挑戦ですし、開発費用がどの程度のなるのか気になるところです

ネット情報によると、弾道ミサイル防衛迎撃ミサイル「SM-3 block IIA」1発の価格が26~30億円とされており、極超音速兵器への対処は弾道ミサイルより遥かに難しいとなると、GPIは1発50億円超とかのレベルになるのでしょうか?

迎撃兵器システム開発関連
「迎撃兵器開発を2企業と契約」→https://holylandtokyo.com/2022/07/01/3405/

米軍の極超音速兵器開発
「バカ高い極超音速兵器:米議会が試算」→https://holylandtokyo.com/2023/02/08/4261/
「陸軍はあと2回試験」→https://holylandtokyo.com/2023/01/17/4107/
「高価な兵器は少数保有で」→https://holylandtokyo.com/2022/02/22/2742/
「空軍長官:重要性は中国と米国では異なる」→https://holylandtokyo.com/2022/01/25/2639/
「潜水艦へは2028年」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-19
「米艦艇搭載は2025年頃か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-24

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露による3月9日のミサイル飽和攻撃を概観 [安全保障全般]

兵器不足で飽和攻撃間隔が長くなる傾向
極超音速兵器から旧式ミサイルまで多様な兵器混合で81発
イラン製ドローンや地対空ミサイルで地上攻撃も

Zaluzhnyi.jpg3月10日付Military.com記事が、ウクライナ軍のValerii Zaluzhnyi参謀総長のインタビュー等を交え、昨年10月から定期的に露軍が実施している3月9日の各種ミサイル混合の大規模同時飽和攻撃の状況を紹介し、ロシアとウクライナの対応を取り上げています

ウクライナ国内のどの施設が、ロシアのどの兵器で攻撃されたか、またウクライナ側の被害がどの程度かについて等、多くの関連情報が軍事上の秘密事項となっているため、またウクライナ側は西側からの兵器支援を強く要請している点からも、出てくる情報や表現ぶりに偏りがある可能性もありますが、ウクライナVSロシアのミサイルを巡る戦いの数少ない情報ですのでご紹介することにしました

3月10日付Military.com記事によれば
Kinzhal.jpg●ロシアはウクライナ国民の抗戦意志を弱めるため、昨年10月から多様なミサイルや攻撃ドローン等を交えた飽和攻撃を定期的に繰り返しているが、英国防省は、その攻撃間隔は長くなる傾向にあり、飽和攻撃に必要なミサイル数確保が困難になっているためと分析している
●9日の大量のミサイル飽和攻撃には、極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射)や旧式の超音速兵器Kh-22(TU-22Mから発射)、最新のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイル、その他の短射程の航空機発射のミサイルやイラン製攻撃ドローンShahedが使用されたほか、本来防空用ミサイルであるS-300まで近距離地上目標攻撃に使用している

Kalibr.jpg●ロシアは9日の攻撃で、これまで1回の飽和攻撃で2発しか使用してこなかった極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射、音速の10倍速度、射程2000㎞)を6発も使用したが、増加の狙いは不明。ウクライナ軍参謀総長は、露は様々なミサイルの組み合わせを試してウクライナの弱点を探っており、露の攻撃は改善されつつ部分もある、と語っている
●ウクライナ空軍報道官は、極超音速兵器Kinzhalと旧式の超音速兵器Kh-22(飛翔速度音速の3倍も誘導装置が旧式で攻撃精度低い)に対する防御兵器が無いと、西側に支援を求めている。極超音速兵器Kinzhalは特に高価であることから、ロシア軍も当初から慎重に同兵器を使用しているが、6発を使用した効果や攻撃対象は不明

SHAHED-136.jpg●露はウクライナ国民の意志を弱体化するためにエネルギーインフラを攻撃しているが、ウクライナ側の施設普及体制も整備されつつあり、攻撃を受けた施設の復旧は早まっている
●9日の81発の飽和攻撃に対し、ウクライナ軍は34発の迎撃に成功したと発表しており、特に亜音速のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイルへの対処には成功しており、攻撃ドローン迎撃技量も向上して大部分を迎撃していると参謀総長は語っている
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Kh-101.jpg「ウクライナは、世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面しており、余談を許さない」との米空軍大佐と専門家チームの分析を過去記事でご紹介しましたが、弾薬不足はロシアだけでなく西側全体が直面する共通の問題であり、どこまで過去1年間の戦いを継続できるのか、ギリギリの段階にあると認識しておくべきです

どちらの弾薬庫が先に空っぽになるか・・・互いの探り合いが続いているのでしょう・・・

それから、日本も中国からのミサイル飽和攻撃の最前線に立たされていることをお忘れなく!

米空軍大佐の提言が話題
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

弾薬枯渇の危機に直面し
「英国もNATOも弾薬不足深刻化」→
「米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/

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台湾製のドローン探知レーダーに引き合い殺到 [安全保障全般]

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台湾上空で大量発見される中国偵察ドローン対処に需要急拡大
小型軽量・安価・都市環境でも優れた探知識別能力
ソフト&ハードキル防御システムとのセット販売も
中東やアジア諸国でも需要急増

Tron Future2.jpg2月24日付Defense-Newsが、ドバイで開催中の軍事見本市IDEXで話題の、台湾企業(創業4年前のTron Future)製の小型ドローン探知レーダー「T.Radar」を紹介し、台湾上空に多数確認されている中国偵察ドローン対処に台湾内で需要が急拡大し、中東やアジアからの引き合いも増えており、月産100台ペースで製造を続けているが、更なる増産のため2つ目の工場建設を予定していると報じています

台湾と中国間の緊張は急速に高まる中、最近では同探知レーダーが1週間で100機以上も台湾上空で中国偵察小型ドローンを探知するほど中国のドローン活動が活発化しており、当初は台湾陸軍が台湾海峡などの島に設置用に導入していた同レーダーへの需要が爆発的に拡大しているとのことです。されていたが、その、台湾全体で需要が急拡大しているようです

Tron Future3.jpgまたこのAESA(active electronically scanned array)レーダーは、重量15㎏の軽量小型で低価格ながら、最大5㎞の探知距離を誇り、海面からのレーダー反射ノイズ処理能力に優れ、「4D micro-doppler機能」で小型ドローンと鳥との分別能力も良く、また市街地で低空を飛行する小型ドローンの探知追尾能力も優れていることから、開催中のドバイ軍事見本市IDEXでも世界中の顧客から注目を集めていると記事は紹介しています

中国の軍事雑誌が2023年1月号で、台湾海峡で有事の際は、無人機が極めて重要な「精密誘導攻撃:targeted strikes」の役割を担うと強調したこともあり、この250ワットで30MHzの周波数帯を使用する「T.Radar」は、ソフトキルやハードキル装備や画像認証ソフトとも連接可能に設計されており、見本市でもドローン妨害装置や迎撃システムとのセット販売も行っており人気を集めていたようです

Tron Future4.jpgまたTron Future社CEOのYu-Jiu Wang氏は、台湾は中国との全面戦争の引き金を自ら引かないとの大原則のもと、対中国で最初にハードキル攻撃を実施することを避けたいと考えており、 「T.Radar」に連接可能な防御システムは、様々な状況に応じて弾頭を選択できるように、非破壊型やジャミング型など多様な選択肢を準備していると、複雑な台湾の立場にも配慮した装備だとアピールしています
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当然、他国でも同種の軽量小型レーダーや防御システムを開発していると思いますが、それらとTron Future製の小型ドローン探知レーダー「T.Radar」との能力差や特徴までご紹介する知識はありません。悪しからず。

Tron Future.jpgでも、写真でご覧いただけるように、構造的にもシンプルそうな小型アンテナですので、台湾のIT産業や半導体産業など知恵とアイディアで他国より優れたレーダーが完成している可能性は十分にあると思います。

それから、当然日本でも大量に必要な装備品だと思いますので、ご検討された方が良いと思います

無人機対処にレーザーや電磁波
「米軍拠点への無人機襲撃をCoyoteで撃墜」→https://holylandtokyo.com/2023/02/06/4201/
「対処用のエネルギー兵器動向」→https://holylandtokyo.com/2022/07/14/3432/
「JCOが小型無人機対処3機種吟味」→https://holylandtokyo.com/2022/05/17/3233/
「2回目:安価で携帯可能な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/10/08/2280/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holylandtokyo.com/2021/06/02/1708/
「1回目:副次的被害小な兵器試験」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14

急速に脚光を浴びる無人機
「世界の火薬庫バルカン半島にも無人機大量流入」→https://holylandtokyo.com/2022/11/29/3970/
「イラン製無人兵器がウで猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アゼルバイジャン大勝利」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/

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米国の対中国攻勢:Cobra Gold演習が最大規模で [安全保障全般]

タイ米国関係が微妙でも、コロナ前規模が復活
オブザーバ国含め30か国7400名規模の大演習
気球、半導体、コロナ中国起源説など米の対中国攻勢

Cobra Gold 23.jpg2月28日、タイ軍と米軍が共同開催する世界最大の軍事演習の一つで、コロナ前の規模に戻った30か国参加の「Cobra Gold」演習で開始式典が行われ、約2週間にわたる「実動演習」「指揮所演習」「人道支援演習」の主要3分野演習に計約7400名が参加する訓練がスタートしました

時あたかも、不動産バブル崩壊に端を発する中国経済低迷や共産党統治の「ほころび」が指摘され始め、米国がこの機に乗じて「気球」「半導体」「コロナ中国起源説」などの対中国攻勢を矢継ぎ早に持ち出し、中国への圧力を強めるタイミングであることから、(毎年定期開催の演習ながら)軍事面での包囲網示威活動として注目を浴びています

Cobra Gold 23 2.jpg演習開始式典を報じる一部の米軍事メディアには、米国が2014年のタイ軍事クーデターを厳しく非難してきたことで、タイ軍内に米軍に対する「怒り」や「恨み」が根強く残る中での微妙な開催だと指摘する論調も見られますが、米軍4000名とタイ軍3000名が中心となる7400名規模の大規模での同演習規模復活は、欧州からの参加国(英仏独スウェーデンギリシャ)も含めた対中姿勢を打ち出す役割を十分に果たしていると思います(中国も参加国との心の広い演習ですが・・・)

1982年にタイ米の海洋演習として始まった演習は、地上活動を主体とする統合演習に発展し、中国の関与が深い地域特性を反映して「軍事ゴリゴリ」演習ではなく、広く参加が得やすい人道支援や救難救助や「contingencies other than war」も大きな柱になっている演習ですが、確実に実績を上げてきた演習で、日本はフルスケール参加国5か国(他はSingapore, Indonesia, South Korea、Malaysia)として最近貢献しています

Cobra Gold 23 4.jpgまた今回の「Cobra Gold 23」演習では、初めて宇宙ドメイン指揮所演習が組み込まれ、「太陽嵐:solar storms」などの宇宙空間現象が、通信や衛星にインパクトを与え軍事活動に影響が出るシナリオを共有体験&対処する想定が含まれているようです

開始式典の挨拶や訓示では
●タイ駐在米国大使が「本演習は未来に焦点を当てている。どの国も単独では成し得ない複雑な問題を解決すべく、世界中から30か国もの国が集まった」、「このような協力を持ってのみ、我々はこのような課題に対処でき、それぞれの国民の安寧を維持できる」と挨拶し、
Aquilino7.jpg●John Aquilino太平洋軍司令官は「本演習を通じ、自由で開かれたインド太平洋地域を維持し、全ての国家が平和で安定的に反映できるような環境を、共に守っていくとの決意を示す」と抱負を述べています

28日付Military.com記事から演習概要ご紹介
●「実同演習:Field training」では、着上陸、戦略的空挺訓練、非戦闘員避難、実弾射撃を実施
●「人道支援演習」では、6か所での学校建設工事を含む活動実施
●「指揮所演習」では、宇宙現象対処、自然災害対処、救難救助、緊急事態対処、患者後方輸送、化学物質流出対処、火災対処を実施

参加30か国の内訳は・・・
●共同主催国2か国 :タイと米国
●フルスケール参加国5か国
Singapore, Japan, Indonesia, South Korea and Malaysia

●人道支援演習のみ3か国
中国、インド、豪州
●小規模緊急事態対処訓練のみ10か国
Bangladesh, Canada, France, Mongolia, Nepal, New Zealand, the Philippines, Fiji, the United Kingdom and Brunei

●オブザーバー参加10か国
Cambodia, Laos, Brazil, Pakistan, Vietnam, Germany, Sweden, Greece, Kuwait, and Sri Lanka

米国防省の特設Cobra Gold演習広報webページ
https://www.dvidshub.net/feature/CobraGold
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US China2.jfif米国は中国国内情勢の混乱を察知し、タイミングを合わせたように「気球」「半導体」「コロナ中国起源説」などを持ち出し、国際包囲網で中国締め付けに乗り出したような気がします。

中国報道官の米国やその同盟国への最近の厳しい発言も、なんとなく中国国内の困難振りを暗示しているような気もします。中国に進出中の日本企業は、早めに退却した方が良いと思います・・・

タイと米国関係の関連
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「タイが中国戦車追加購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-05
「タイが中国潜水艦購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-13

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CSISも今度は弾薬調達&提供問題レポート [安全保障全般]

台湾有事に緊要な兵器弾薬が1週間で枯渇の現状
それら緊要兵器の製造には2年以上必要で・・・
従来から指摘されていた問題を再提起

CSIS Empty Bins.jpg1月23日、CSISのSeth Jones国際安全保障部長で副理事長が「戦時に空っぽの弾薬庫:Empty Bins in a Wartime Environment」とのレポートを発表し、米軍や西側諸国軍の弾薬不足問題を軍需産業側面から指摘しています。

最近、各方面からの弾薬関連の課題指摘をご紹介していますが、特にロシアによるウクライナ侵略で、大国が間接的にでも対峙する戦いでは長期化が避けられず、その中で弾薬や兵器が想定以上のペースで消費されることが明らかになったことを契機として、以前から繰り返し指摘されていた(紛争時には表面化するが、戦後に忘却の繰り返し)問題や課題が、再びクローズアップされた形になっています

CSIS Empty Bins2.jpgCSISは予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さと長期計画の欠落、法的規制の存在などの視点から問題を指摘して改善を提言しています。これまでの提言と重なる部分も多いと思いますが、米国がこの状態なら、日本をはじめ西側諸国は更に悲惨な状況だと言えますので、繰り返しになってもご紹介しておきます

弾薬や兵器の現状
●例えば米軍は、ウクライナに160両の160両のM777 155mm榴弾砲を提供した結果、米陸軍の在庫は「Low」状態になったが、製造企業のBAE Systems社は、毎年150両の発注を数年継続してくれる約束が無ければ、製造ライン再立ち上げは採算に合わないと主張している
LRASM5.jpg●同じくウクライナに8000発提供(保有総数約15000発から提供)したJavelin携帯式対戦車ミサイルは、提供分を補充するのに現状の軍需産業能力だと12年必要である

●中国の強力な防空網下で戦うことが求められる台湾有事には、長射程の精密誘導ミサイルが極めて重要で、空対艦ミサイルLRASM、空対地ミサイルJASSM、艦対艦ミサイルSM-6、対艦トマホークミサイル等の確保が重要だが、これの保有量は僅か1週間で底をつく程度で、新規発注&製造には20か月以上が必要である。(最重要のLRASMは、必要数確保に最低10年は必要との見積もりあり)
●つまり戦いは始まってからでは補充弾薬を新規提供することは不可能であり、予算制度、官僚的鈍重な手続き、必要数見積もりの甘さ、法的規制の存在等々の多様な視点から改善を図って平時から備えておくことが必要である

Defense-News報道のCSIS提言概要
JASSM7.jpg●国防製造法(Defense Production Act)で、調達に時間を要する原材料(long-lead subcomponents)、例えば関連金属、推進剤、関連電子部品などを、国家戦略備蓄(strategic munitions reserve)として確保しておき、非常時の弾薬調達を1-2年短縮する。(完成弾での国家戦略備蓄も含まれていると推測)

●米議会の理解を得て、予算科目の枠を超え、柔軟に弾薬調達予算を確保できるような枠組みの確立
●米軍だけでなく、同盟国を含めた弾薬や兵器の必要数の再見積もりと、同見積もりを基礎とした長期的な弾薬調達計画作成と軍需産業との長期的な製造協議

Tomahawk Maritime.jpg●鈍重で非効率でリスク回避志向の強い現在のFMS(foreign military sales)制度の改革。一般商業ベース取引より2年も余分に時間が必要な現FMS制度の改革
●併せて、緊要な同盟国が相手であっても、重要技術情報が関係すると更に12-18ヵ月余分に輸出承認手続きが必要な現制度の改善
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CSIS関連webページ
https://www.csis.org/analysis/empty-bins-wartime-environment-challenge-us-defense-industrial-base

報告書現物44ページ
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/2023-01/230119_Jones_Empty_Bins.pdf?VersionId=mW3OOngwul8V2nR2EHKBYxkpiOzMiS88

筆者による報告書YouTube解説(4分弱)


44ページのレポートを確認しておらず、1月23日付Defense-News記事だけで同レポートをご紹介していますので、多分に誤解がある恐れがあります。ご容赦ください。ただ、断片的な紹介になっているCSISの提言にも、容易に実行可能なものは全くなく、繰り返す歴史の中で改善できなかった困難な課題が山積していると考えてよいでしょう。中国やロシアだって似たようなものだと推測されます

LRASM4.jpg過去記事でもご紹介した、最もニーズが高く、不足の危機感が共有されている空対艦ミサイルLRASMの例だと、800-1200発必要と想定される中で200発しか保有しておらず、現在年間35発の製造能力を2023年に88発まで増強する計画ですが、それでも必要数確保までには10年必要な計算になります

自衛隊の現状? 「たまに撃つ 弾が無いのが 玉に傷」との川柳があるくらいで、上記レポートの「1週間」程度よりも寂しく、この川柳でググってみると、「3日」以下とか、「3回」以下とか、「出撃2回」以下とか、様々に表現されている方がいらっしゃいます・・・

弾薬量の圧倒的不足問題
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/ 
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/

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英と伊国防相が日本を恫喝「逃げるなよ!」 [安全保障全般]

英伊国防相が2国協議後の共同記者会見で
3月の3か国戦闘機共同開発GCAP協議を前に釘差し
In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ
開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな・・・とも
F-1レースでは英伊日は完璧なチーム力発揮実績ありと

UK Italy3.jpg2月9日、ローマを訪問したBen Wallace英国防相がGuido Crosetto伊国防相と会談後に共同会見し、昨年12月に英伊日3か国で合意した次世代戦闘機共同開発(GCAP: Global Combat Air Programme)に関し3月に日本で予定の3か国協議を前に、途中で計画から逃げ出すことは破滅的結果をもたらすことになり許されないと強調し、日本に釘を刺しました

UK Italy2.jpg日本での3月の協議に臨む前に英国とイタリア国防相が事前に話し合い、その会見後に第3の相手(日本)に「In for a penny, in for a pound:一度決めた以上、やり通せ」「開始後におじけ付いて(get cold feet)逃げるな」「政治的にも、協力体制の重要性から、誰かが抜けることはできない」等々と、改めて本合意への決意を示せと迫るような恫喝的な言いぶりに、まんぐーすは「背筋の凍る」思いがいたしました

まぁ・・これまで米国製兵器一辺倒だった日本が、いろんな意味で大きな戦闘機プロジェクトを欧州諸国と組んで進めると言うのですから、英国やイタリアが不安を持つのも致し方ないと思います。以下では共同会見で率直に語った両国国防省の発言をご紹介いたします

Ben Wallace英国防相は・・・
UK Italy4.jpg●政治的にも、誰かが脱落することができない重要な共同開発だ。3か国は皆、10年後には新型戦闘機を必要としており、皆が誰も脱落しない「no dropping out」が求められる
●(脱落すれば、)我々は永久に我々自身で我々の将来の能力を否定することになる。途中で誰かがおじけづき、脱落するようなことになれば、外交政策的にも、戦略的にも、産業政策上も、極めて3か国にとって悪い状況に至る

●日本は車や鉄道車両を輸出してきたが、憲法や政治的な制約から国防装備品の輸出は無かった。伊と英はトーネードやタイフーン戦闘機を輸出してきたが、今後は財政的にも成り立つように大きなグループで取り組む必要がある。この点で日本とともに取り組めることに興奮している

UK Italy6.jpg●この3か国の協力は、F-1レースで既に最大の貢献をしている実績から驚くにはあたらない。最新技術分野で、我々3か国は新参者ではないのだ
●政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である。(3月に日本で3か国協議を行うことに関し、)最も重要なことは、この3者(政軍民)が共に次のステージに進むことであり、あらゆる機会をとらえて3者が一堂に会して協議することである。一堂に会して議論することこそが、今後立ちはだかる課題や官僚的問題を断ち切る唯一の方法である

Guido Crosetto伊国防相は・・・
UK Italy5.jpg●この3か国共同開発は、世界が変化していることを示すものである。日本が変われば、それは世界が変化しているということだ
●この共同開発を通じて日本と国防協力同盟を形成することは、イタリアにとって将来に備えた堅実な判断である。我々の脅威はロシアでなく中国であり、共通の脅威に対峙する国との関係を深化することはますます重要になってきている

●日本は新型戦闘機を最も緊急に欲している国である。初号機を2035年までに完成させる必要があるが、私はこの期限に間に合わせることが可能だと確信している
////////////////////////////////////////////////

UK Italy7.jpg読めば読むほど・・・この戦闘機プロジェクトが、ただならぬ意味合いを持っていることがわかります。日本の地理的な位置取りを考える時、戦闘機にこんなに資金や人材や労力をかける必要があるのか・・・と繰り返し言い続けてきましたが、改めて問いたいです。「本当に戦闘機がそんなに大切なの? 日本の有事に役立つの?」

Wallace英国防相は「政治家と、軍人と、軍需産業関係者が共に協力して取り組むことが不可欠である」と強調していますが、安倍総理亡き後、これが可能なんでしょうか?

UK Italy.jpgそれからもう一つ、欧州での戦闘機開発は、英スウェーデン伊グループと、独仏スペインの2グループが競っていますが、その行く末と英伊日の共同開発はどう絡んでいくのでしょうか? 英と伊だって大丈夫か?・・と聞いてみたいです

英国や伊の関連話題
「伊空軍トップ来日で協議」→https://holylandtokyo.com/2022/09/27/3699/
「2027年までにデモ機を作成発表」→https://holylandtokyo.com/2022/07/22/3480/
「英国がTyphoonレーダー換装推進」→https://holylandtokyo.com/2022/06/10/3303/
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「138機のF-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/

欧州の戦闘機開発バトル
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

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上院軍事委員長が「ウ支援」や中国気球を語る [安全保障全般]

民主党の重鎮で米国軍事政策のキーマンの一人
F-16など今後の軍事支援の考え方や気球への「?」
軍事予算10%カット(2022年規模への縮小)には否定的

Reed.jpg2月7日、民主党の重鎮で上院軍事委員会委員長であるJack Reed議員が軍事記者団とのオンライン懇談を行い、ウクライナ支援の今後の考え方や中国気球事案、更にウクライナ支援で急膨張する軍事費を抑制する声が高まっている件に関しかなり率直に語りました

ウクライナ支援に関しては、F-16戦闘機より、弾薬や長射程地上火砲や情報&ノウハウ&ソフト支援等が当面の重要項目だと述べ、併せてウクライナで浮き彫りになった弾薬不足と軍需産業基盤問題を最大の教訓だと表現し、中国気球に関しては誰が何のために何をしたかったのか等々の基本的な疑問から解決する必要があると語っています

Reed2.jpgオンライン懇談会の全体を把握しているわけではありませんが、7日付米空軍協会web記事が上記内容を報じていますので、様々な思惑や意見が交錯して情報が混乱している事象に関するキーマンの発言でもあり、頭の整理にご紹介しておきます

ウクライナ支援について
●ウクライナからの軍事支援要望への対応を考える際、米国は戦いの現状と何が違いを生み出すかに基づいて判断する必要がある。今の段階では、F-16戦闘機の要望は最も緊急性が高いものとは考えられず、既存兵器の弾薬や戦車を含む戦闘車両、HIMARSなど長射程ロケットシステムが、よりインパクトを与え、かつウクライナ軍が迅速に円滑に受け入れ可能な兵器だと考える
F-16 Ukraine.jpg●ロシア側の強固な防空体制を勘案すれば、ウクライナ軍はF-16戦闘機を有効に使用できる状態には無い。現状でウクライナ軍戦闘機等は、ロシア防空網の脅威でほとんど活動できていないし、飛行しても超低空を這うように侵攻し、目標直前で安全な範囲で高度を上げ爆弾等を投下する程度の極めて限定的な作戦しかできていないし、それでも操縦者を失っている

●ウクライナ空軍は胸に手を当ててよく考えるべきだ。F-16の提供を受けて何が変わるのか? 現状の強固な露防空網を前にしてF-16を生かすことができるのか? 長期的な視点でF-16の有効性を否定することはできないが、現時点では優先度は低い
ATACMS Ukraine.jpg●米議会では、すでに提供済のGMLRS(Guided Multiple Launch Rocket System)より射程の長い、ATACMS(Army Tactical Missile Systems)を推す声がある。既にGMLRS投入でロシアは前線指揮所を後退させざるを得なくなっており、ATACMS導入が更なる効果を生むとの期待からである。また米だけでなく、NATOや西側諸国からの様々な軍事的助言やインテル提供やソフト改修支援なども、極めて重要な役割を果たしている

●(ロシアが反撃準備を進めているとの一部の分析に関し、)ウクライナ軍は優秀で士気が高く、露の攻撃に耐え、西側提供の戦闘車両等々を巧みに使用&維持整備して反撃できると考えている。ウクライナ軍は電子戦にも優れた能力を発揮している
●(一方で、ロシアが大規模に後退を迫られるような事態になった場合、)特に、2014年にロシアが併合したクリミア半島にウクライナ軍が迫るようなことになれば、ロシアによる核兵器投入の危険性が高まるのではないかと懸念している

ウクライナの教訓と米国防費への影響
GMLRS Ukraien.jpg●ウクライナから得た最も大きな教訓は、弾薬の緊急調達や緊急製造に対応できない軍需産業の問題であり、議会として今後取り組まねばならない大きな課題である
●(ウクライナ支援を含め国防費が急膨張していることへの懸念から、)一部共和党議員からでている、国防予算を約10%カットして2022年予算レベルを上限に押さえる案については、8-10兆円の削減を意味するが、紛争が進行中であることや中国軍事行動が活発化している中では、多くの支持を得ることは難しいと思う

米本土に進入した中国の気球に関して
Chinese Balloon2.jpg●米国は大統領の指示に基づき、適切に対応して撃墜した。
●多くの米議員が疑問を持っているように、既に活動している中国の偵察衛星で、気球より多くの情報を得ているはずなのに、なぜ? 何の目的で? 何がきっかけで? あんな気球を送り込んだのか理解に苦しむ。習近平を含む中国指導部の政治的判断が絡まない、下層レベルの判断で行われた可能性も高いと思う

●いずれにしても、気球を回収して調査しており、中国にとって不都合な結果が出る可能性もある。米議会は来週(13日の週)に調査報告を受ける予定になっている
●いかなる結果になろうとも、米議会は中国に限らず、領空侵犯を許さないし、今回の事案で明らかになった領空監視能力等のギャップを見極め対処していく
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Chinese Balloon.jpgウクライナのF-16要求を、米国として受け入れがたい理由は、Jack Reed委員長の発言や戦いのエスカレーションを望まない米国の思惑、そして現実的な面からは先日ご紹介した米空軍大佐による軍事メディア寄稿に表現された「戦闘機では露にかなわない論」など、様々に表現されており、実現は難しいのでしょう

中国の気球に関しては、2月8日に米国防省報道官が記者会見を行い、数年前から世界中で同様の気球偵察活動を行っていると説明し、2月13日の週の米議会への国防省報告が注目されます

ロバート・ゲーツ語録75
→中国の文民と軍人の間にはすき間の兆候がある。2009年の音響測定艦インペカブルへの対応や2007年の衛星破壊実験を中国文民指導者は事前に知らなかったようだし、私が訪中間の2010年1月のステルス戦闘機J-20初飛行も→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14

弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/

ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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米国務省が露のNew START条約不履行を非難 [安全保障全般]

コロナで2020年3月から両国合意で現地査察中断も
2022年夏に査察再開要望も露が継続拒否
両国による条約協議委員会開催も露が拒否
2011年の同条約発効以降で初の不履行訴え

New START4.jpg1月31日、米国防省が米議会に戦略兵器削減条約(New START treaty:2011年発効、2021年1月に26年までの延長に期限ぎりぎり露が合意)の状況に関すレポートを提出し、同条約締結以来初めて、ロシア側が現地査察に応じず、かつ同条約に関する協議委員会(Bilateral Consultative Commission)開催を拒否し、同条約不履行状態にあると訴えました

現地査察に関しては、2020年3月にコロナ感染を受け、米露両国の合意に基づき当面中断することになっていましたが、米国が2022年夏に査察再開を提案してもロシア側がコロナを理由に引き続き拒否している状態で、米国務省はこれを露のウクライナ侵略に対する西側制裁への反発に過ぎないと非難しています

New START6.jpgまた、米側が査察問題をロシアと協議するため、条約が規定する「Bilateral Consultative Commission」の開催を露に要請したところ、2022年11月には一端同意する姿勢を示したものの、後に拒否して現在に至っており、更なる条約違反だと米国務省は訴えています

米国務省報道官は、「米国は完全に同条約を履行すべく、いつでも建設的にロシアと行動する用意がある」と述べ、ロシアが同条約維持のため、違反状態を解消するよう促しています

New START3.jpgこれを受け米議会では、政権与党の民主党議員である上院軍事委員長、上院会合委員長、上院インテル委員長が「我々はNew START条約の初度締結時からロシアとの軍備管理を支持し、同条約の延長にもトランプ&バイデン両政権下で賛同応援してきた。ただし今般の状況に鑑み、同条約の順守が、将来のロシアとの戦略兵器軍備管理を上院で考察するにあたり極めて重要な意味を持つことを、明確にしておきたい」と訴えています

また共和党の有力議員(下院軍事委員長、同委員会委員2名、下院戦略兵器小委員長)はより厳しい姿勢の声明を出し、「ロシアによる査察拒否は条約のより大きな履行違反につながる可能性が高く、米国は戦略核増強に備えるべきだ」、「バイデン政権は国防省に対し、ロシアが条約上限を大幅に超える核弾頭を展開することに備えるよう、準備指示を出すべきだ」と主張しています
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putin russia.jpgいつものロシアのやり方ですが、2026年の同条約有効期限まで、のらりくらりと米側の核兵器強化の動きを封じつつ、ロシアは時間を稼いでコッソリ核弾頭や核兵器の増強を図る道を探るのでしょう。

ウクライナ侵略に伴う西側の制裁で瀕死状態のロシア経済ですから、核弾頭や核兵器の増強どころか、核兵器の管理事体がしっかりできているのかが心配になりますが、米議会内で温度差は多少あるものの、超党派でロシアに厳しい目が向いていることに安堵しておきましょう

新START期限切れ寸前延長
「露が土壇場再延長合意」→https://holylandtokyo.com/2021/01/23/305/
「ドタキャン後に延長表明?」→https://holylandtokyo.com/2020/10/19/435/
「延長へ米露交渉始まる?」→https://holylandtokyo.com/2020/04/20/730/
「中国は核兵器管理条約を拒否」→https://holylandtokyo.com/2020/07/13/570/

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「2025年に中国と戦う」文書で話題の輸送コマンド司令官 [安全保障全般]

配下部隊に業務指針や指示事項を示す年頭文書
空中給油機の連続運用や少人数運用に挑戦する粘血指揮官
「出る杭は打たれる」で「後ろから撃たれた」か・・・

Minihan7.jpg米国時間の1月27日からSNS上やメディア報道で、米空軍大将が「2025年に中国と戦うことになろう」との見積もりを含む文書を配下部隊に配信する準備をしていた・・・と話題となっています。

文書は、本ブログでも3回取り上げている米空軍輸送コマンドの熱血司令官Mike Minihan大将が新年に当たり、配下部隊に自身の情勢認識や部隊運営方針及び当面(2月と3月)の指示事項を周知するためのもので、2月1日付で配信される予定だったもののようです

Minihan8.jpg「2025年に中国と戦うことになる」・・・との部分は、「2025年」を強調したいというよりも、戦いへの準備に十分な時間が無い可能性が高い事を部下に注意喚起するために、一つの見方を取り上げたものと見るべきで、それ以上のものではないと思いますが、話題になったのでご紹介しておきます

「2025年に中国と・・」は文書冒頭の情勢認識を述べた部分で、
●私が間違っていることを望むが、部下の分析によると、我々は中国と2025年に戦うことになる
●習近平は3期目の任期を確保し、2022年10月に戦争準備委員会(set his war council)を設置した

Minihan2.jpg●台湾は2024年に総統選挙を予定し、これが習近平によい条件(reason)を提供する。米国の大統領選挙も2024年にあり、習近平に混乱した米国をもたらすだろう
●このように全ての情勢が、習近平と戦争準備委員会に良い条件と機会を2025年に提供することになる

●2022年を使って我々は勝利をつかむための基礎設定を行った。前年の基礎を基に、2023年を我々は明確な作戦行動につなげるために活用する
●私が「明確な作戦行動」との言葉で意味するところを知りたければ、1月に「Total Force Team Charleston」が行ったことを確認してくれ

Minihan.jpg国防省報道官は直ちに、「Minihan空軍大将の見解は、米国防省の見解ではない」とコメントを出し、「国家防衛戦略は明確に、中国は国防省にとってのpacing challengeであり、我々の焦点は同盟国等と協調して平和で自由で開かれたインドアジア太平洋地域を維持することだ、と規定している」と述べています。

また中国に関しては常に、「pacing challenge」で、米軍はアジア太平洋に指向する必要があるとの姿勢を明示しながらも、喫緊の衝突が差し迫っているわけではないとのトーンで情勢を説明しています

Davidson3.jpg一方で過去にも軍人司令官は、例えば2021年に当時のPhil Davidson太平洋軍司令官が「中国は2027年までに台湾に対して軍事行動を起こす」と発言したり、米海軍トップのMichael M. Gilday大将が昨年10月に「米軍は2022年や23年に(中国と)戦う準備が無ければならない。私はそれを否定できない。それを言いまわって警告するつもりも、それを望むこともないが」と語ったりしています

今回の話題の発言の主であるMinihan大将は、前職が太平洋軍副司令官で対中国作戦の難しさを知り尽くした高級幹部で、KC-46が不具合を多数抱えたままの状態にもかかわらず、「不具合による運用制限の中でも、乗員や整備員に必要な訓練や各種手順の改善徹底を図ることで、リスクを抑えて実戦運用に提供可能だ。我々には今必要でなんだ。今の戦いに敗北すれば将来は無い」と運用開始を宣言したり

Minihan9.jpg中国作戦での空中給油機ニーズが膨大であることを踏まえた対策検討として、KC-46の最大能力発揮のため、様々な事前訓練やメディカル面での検証や配慮を行いつつ、36時間連続飛行の試みや「操縦者1名・給油操作員1名」での運用などに挑戦を続け、最前線の要求に対応しようと模索を続けている熱血指揮官です

2月1日付で正式通達予定の司令官名の文書が、1月27日時点でSNS上に流布する米軍の悩ましい現状ですが、熱血司令官の熱血ぶりについていけない部下の中に、「リークして司令官を苦しめてやろう」との意図を持った者がいたと解釈するのが自然でしょう・・・。難しい時代になったものです・・・

当該文書は以下の1月30日付米空軍協会web記事に掲載の写真でご確認ください
https://www.airandspaceforces.com/read-full-memo-from-amc-gen-mike-minihan/

Mike Minihan大将関連の記事
「KC-46A空中給油機が36時間連続飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/12/12/3974/
「KC-46を操縦者1人で試行運用」→https://holylandtokyo.com/2022/11/02/3881/
「不具合抱えたままKC-46運用開始宣言」→https://holylandtokyo.com/2022/09/21/3688/

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米イスラエルが8500名規模の巨大統合演習 [安全保障全般]

空母にHIMARSに航空機140機などなど
イランがウクライナ混乱に乗じて不穏な動きの中
安全保障担当米大統領補佐官も訪イスラエルして

Juniper Oak.jpg米イスラエル軍が8500名超(米6400名、イスラエル1200名)規模の大規模統合全ドメイン演習「Juniper Oak」を、1月23日から27日の間にイスラエル及び東地中海で実施しました。演習開始直前の18-20日には、サリバン安全保障担当米大統領補佐官がイスラエルを訪問して地域情勢等について協議を行ったと報じられるなど、緊張感が漂う中での演習開始です

両国から航空機約140機、空母を含む艦艇6隻が参加し、宇宙軍や特殊作戦軍も参加する広範な内容を含む演習で、ウクライナ紛争で欧米が足を取られる中、イランが核兵器開発をさらに進め、中東域全体でイランの支援を受けたイスラム過激派が無人機攻撃等を活発化させる情勢を背景に、陸海空宇宙サイバードメインに渡る巨大演習です

Juniper Oak4.jpg2020年9月の歴史的なアブラハム合意でイスラエルとUAE&バーレーンが国交を樹立し、その流れを受け2021年9月にはイスラエルが米欧州軍管轄から米中央軍管轄に移行し、イランに警戒感を持つアラブ諸国とイスラエルの関係が、単なる雪解けから連携フェーズに進展しつつある中での大規模演習に注目が集まっています

演習参加航空機は末尾に列挙しますが、両国軍からの発表によれば、演習科目は正にオールドメインで、米軍が推進するJADC2を中核に据えた指揮統制協力を意識し、航空侵攻から防空、海上航空阻止、SEAD、戦時救難、電子戦など広範な内容となっており、F-35やFA-18はもちろんのこと、B-52やAH-64アパッチヘリからRC-135特殊作戦機、EA-18G電子戦機、AC-130特殊攻撃機など航空機20機種以上や、低高度衛星、艦艇やウクライナで話題のHIMARSまで参加する戦力構成になっています

Juniper Oak2.jpg同演習についてMichael Kurilla米中央軍司令官は、「(米国とイスラエル以外で、)世界中のどの国も、この地域にこの規模の戦力を、このレベルの機敏さをもって集結することはできない」、「全ドメイン、陸海空宇宙サイバーで訓練を実施し、如何なる緊急事態にも対処しうる能力を強化する」と述べ、米軍事専門家も「(米中央軍司令官の発言はその通りで、)地域の潜在的敵対国や我が同盟国等に、その能力を改めて示した意義は極めて大きい」とコメントしています

米軍からの参加航空機
• Four B-52s
• Four F-35s、Four F-15Es、Four F-16s、45 F/A 18s、
• One AC-130、Two MQ-9s
• Six EA-18Gs、One RC-135
• Two HH-68s、15 MH-60s、Four AH-64s
• Five E-2Ds
• One HC-130
• Two KC-46s

イスラエル軍からの参加航空機
• Six F-35s、18 F-16s、Eight F-15s
• Two AH-64s
• Two unmanned aerial vehicles
• One UH-60、One CH-53
• One Gulfstream G550
• Two 707s
//////////////////////////////////////////////////////

Juniper Oak5.jpgウクライナ問題と台湾問題が世界中でホットな話題ですが、中東でもイランの核開発が以前の5か国合意の制限レベルを超えて進展しつつあるほか、イランから又はイランの支援を受けた過激派からと推測される無人機攻撃などが最近継続して発生しており、予断を許さない状況です

ちなみに「Juniper Oak」演習では、弾薬18万ポンドが使用されたそうです

アブラハム合意以降の動向関連記事
「B-52をサウジ戦闘機が護衛」→https://holylandtokyo.com/2022/11/17/3957/
「B-52が中東9か国と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/
「UAEへのF-35輸出協議中」→https://holylandtokyo.com/2021/11/24/2443/
「UAE司令官視察:イで史上最大の多国間空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2021/11/12/2408/
「米中央軍で対イランの動き2つ」→https://holylandtokyo.com/2021/09/15/2224/
「イが欧州軍から中央軍管轄に」→https://holylandtokyo.com/2021/01/19/301/

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世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面するウクライナ [安全保障全般]

最新戦車の次はF-16など戦闘機提供ではない
戦闘機での航空優勢狙いは非効率でロシアの思うつぼ
ロシアの航空優勢拒否戦略の継続が追求すべき道
防空弾薬の枯渇がロシアの狙いであり、それを防げ!

Ukraine Air defense3.jpg1月25日付Defense-Newsが、米空軍大佐とシンクタンク研究員の寄稿を掲載し、米国とドイツがウクライナに最新戦車提供に合意したことを受け、世間では次はウクライナに戦闘機を提供すべきとの意見があるがそれは完全な誤りであり、ロシアが戦術転換でミサイルや無人機攻撃によるウクライナ民間インフラ攻撃を激化させる中でも、ウクライナは犠牲を耐え忍んでも防空兵器枯渇を防止する選択的使用に舵を切り、防空兵器によりロシアの航空優勢確保を拒否し続けるべきだと主張しています

Bremer.jpg2名の寄稿者は、過去1年間の露によるウクライナ侵略の教訓は、現代の航空戦には、高価な戦闘機などよりも機動力を備えた地上配備の防空装備が適しているとの一つの現実であり、ウクライナにF-16などの戦闘機を提供して航空優勢を確保しようとする手法は、ロシア軍の航空アセット数量からしても完全な誤りだと指摘しています

しかし同時に筆者は、米軍をはじめ西側諸国が長年にわたり防空ミサイル等の防空システム投資を軽視してきた付けは大きく、ウクライナに提供できる防空ミサイル等の弾薬類は底をつきかけており、厳しい状況に直面しつつあると指摘し、例えば米軍はパトリオット防空ミサイル1個大隊程度しか支援できない状況だとしています

Grieco stimson.jpg弾薬不足に苦しむロシア側も、似た状況にある米軍や西側の状況に気付き始めて作戦を転換し、無人機や長射程ミサイルでウクライナの発電所など社内インフラを攻撃し、厳しい冬を迎えたウクライナ国民の交戦意志を削ぐ作戦を重視すると同時に、ウクライナ軍が貴重な防空兵器を消費せざるを得ない環境を作為して、弾薬枯渇状態による防空無効化で航空優勢を確保しようとしていると筆者は分析しています

従来の航空優勢確保は、敵の防空兵器を味方の戦闘爆撃機などで物理的に破壊するSEAD(suppressing enemy air defense)を通じてでしたが、ウクライナでロシア軍は史上初めて、無人機や長射程ミサイルを敵国民や社会インフラに向けて発射し、「敵の防空兵器を強制的に消耗させることによる航空優勢の獲得」を狙っているとも表現しています

Ukraine Air defense.jpg寄稿者の主張は厳しい選択をウクライナに迫っています。弾薬在庫が限られた西側各国からの防空兵器支援は今後あまり期待できない現状を踏まえ、ロシア軍によるウクライナ国民や重要社会インフラに対する攻撃にも、防雨兵器の使用は選択的に抑制し、少しでも長く防空兵器を温存してロシアの完全な航空優勢確保を拒否する「air-denial strategy」を継続すべきとの提案です

そして、極めて非効率な戦闘機による無人機や長射程ミサイルの要撃などに乗り出し、数量で勝るロシア航空アセットを戦場に駆り出したり、最前線のウクライナ地上部隊の防空能力を犠牲にしてはならないと寄稿者は訴えています
///////////////////////////////////////////////////

Ukraine Air defense2.jpg寄稿者は、輸送機パイロットのMaximilian Bremer米空軍大佐(空軍輸送コマンド特殊計画部長)と、スティムソンセンター上級研究員でジョージタウン大学教員のKelly Grieco客員教授の2名です。ウクライナでの戦況や戦闘機提供の狙いを十分把握していませんが、この寄稿の提言はオプションとして議論に値するものだと考えご紹介しました

なお1年前にも、ウクライナに関するご両名の寄稿「ウクライナで戦闘機による制空の時代は終わる」をご紹介しております

Ukraine Air defense4.jpg先日、ウクライナ空軍の戦闘機パイロットがロシアの無人機や巡航ミサイル要撃任務に従事し、厳しい緊張感に苦悩しているとの外国メディアの報道を見ましたが、実態としては、ウ空軍の戦闘機パイロットは戦いにほとんど貢献できず、高価なアセットとこれまでの訓練経費を生かせないまま、軍内で「肩身の狭い」思いをしているということでしょう・・・

これは、「ウクライナ」と言う環境での戦いだからでしょうか? まんぐーすは必ずしもそうだとは思いません。現代の、そして将来の航空戦の厳然とした現実だと思います。

同コンビによる別寄稿
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

CSISやCSBAの台湾への提言:非対称戦略へ
「CSISが台湾軍に非対称戦術を迫る」→https://holylandtokyo.com/2023/01/16/4160/
「CSBAは2014年に同要求」→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/

嘉手納基地からのF-15撤退関連
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/

ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

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今は不要も韓国への核再配備計画を事前決定しておけ [安全保障全般]

1991年に配備が撤去されて以来の再配備問題
ユン大統領が自開発か米に展開要請を迫られる可能性に言及
CSIS米有識者委員会が提言まとめる

CSIS Korea4.jpg1月19日、CSISが主催した14名の有識者による「朝鮮半島における抑止力強化」に関する検討委員会が報告書を発表し、ユン韓国大統領の発言を引き金に大きなトピックになりつつある「韓国への核兵器再配備」について、現時点では必要なく再配備はむしろ逆効果になりかねないが、

事態の推移によっては考慮せざるを得なくなることから、公には細部計画や手順等について曖昧なままにしつつも、配備や使用要件の他、運搬手段や保管場所や保管場所のセキュリティーなど兵站支援事項などは事前決定し、事前決定したことだけは明確にしておくべきで、そのための机上検討演習を行うべきと提言しました。

CSIS Korea6.jpgこの14名の検討委員には、Vincent K. Brooks元在韓米軍司令官、アーミテージ元国務副長官、Randall G. Schriverアジア太平洋担当国防次官補、Katrin F. Katz元NSC日韓担当補佐官などが含まれていますが、折しも1月11日に韓国大統領が「韓国はいずれ、米国に核兵器の再配備を要請するか、自国開発することを迫られるだろう」と発言し、北朝鮮の挑発行為がエスカレートする中、韓国世論が核兵器自国開発支持に大きく傾きつつある状況下でレポートが公開されました

同委員会は前提として、現時点では核兵器の再配備が必要な状況ではなく、核拡散抑止に重きを置くべきとBrooks元司令官が代表して説明しつつも、報告書では情勢に応じて必要なオプションとして再配備を残したとレポートについて語っています

CSIS Korea.jpgそして報告書は、「米韓両国は可能性がある核兵器再配備を具体的に検討する机上検討演習実施を考慮すべきで、再配備の兵器の種類や配備時程やロジ的なことを事前決定していると公に明確にしておく一方で、細部計画については曖昧さを維持しておく手法を取るべき」と提言しているようです

また再配備検討演習では、「具体的な運用法や保管セキュリティ―を考慮した具体的な保管場所や、運搬手段をF-16やその後継の可能性があるF-35にするのか等も含めて煮詰める必要がある」とまとめているようです。

CSIS Korea2.jpg更に検討委員会のKatz元NSC担当補佐官は、「具体的な兵站支援面などを煮詰めることなく、この問題を抽象的に議論するのは無責任だ」、「これらの議論を恐れる必要はなく、今が議論に適したタイミングだ」と主張しています

具体的な運搬手段としては、「継続的に半島周辺に展開する核搭載巡航ミサイル攻撃原潜や戦略爆撃機、また韓国南部に拠点を持つ核と通常兵器の両方が使用可能な航空機の配備準備も意味ある選択肢だ」と提案しています

CSIS Korea3.jpgまた同有識者委員会は、宇宙からの北朝鮮の動向把握が非常に重要なことから、最近日本と米国が宇宙分野における協力拡大に合意したように、韓国がミサイル警戒用の米国早期警戒赤外線監視衛星の情報に直接アクセスできるような体制整備のため、米韓両国も協力を強化すべきと提言しているようです
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CSISの同検討委員会関連webページ
https://www.csis.org/news/csis-commission-korean-peninsula-releases-landmark-report-enhancing-extended-deterrence-south

CSIS Korea7.jpg北朝鮮を対象にした「再配備」検討になっていますが、米韓両国に於かれましては、中国からの「嫌がらせ」にめげることなく、「細部手順の事前決定」に向けた諸検討と、「細部合意に関する曖昧さの維持」に協力して取り組んでいただきたいと思います

核アレルギーの強すぎる日本は、米韓の「再配備」検討の様々な紆余曲折を横目で見ながら、核へのアレルギーに邪魔されない純軍事的で、かつ視野の広い国家戦略を見据えた落ち着いた議論を踏まえつつ、政治的な決断に備える姿勢が望まれるのでしょう。

核兵器に関連する記事
「バイデンsole purpose断念」→https://holylandtokyo.com/2022/11/04/3888/
「ドイツの核シェアリングと戦闘機」→https://holylandtokyo.com/2022/01/19/2614/
「核兵器禁止条約でごたごた言うな」→https://holylandtokyo.com/2021/01/26/307/
「中国は核兵器管理条約を拒否」→https://holylandtokyo.com/2020/07/13/570/

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ロシアの大改良新型TU-160M2爆撃機開発前進!? [安全保障全般]

初飛行1981年TU-160の8割を更新の新造機M2型開発
2024-25年に運用開始し、27年までに10機体制
現有16機のTU-160も近代化改修してM2型へ
ほとんど実戦活躍が無かった同機の再生はあるのか?

TU-160M2.jpg1月10日付Defense-Newsは、プーチン大統領の強い押しで2015年から開発が始まった、TU-160の骨格をほぼそのまま活用しつつ、8割のシステムを新しくする新造機TU-160M2が、ツポレフ社傘下のMAC工場での2回目の試験飛行を終え、12月末にロシア国防省に引き渡され、今後更なる本格的な試験を経て2024-25年の運用開始と、2027年までの10機製造(当面の契約規模)に向けて前進していると報じました

ウクライナ侵略の当初計画が崩壊し、軍事面でも経済面でも苦境にあるロシアにおいて、今後の試験や部隊配備が順調に進むとは考えにくく、ロシア軍需産業とロシア国防計画が順調なことを示す「カラ元気」の可能性大ですが、隣国ロシアが極超音速兵器や核兵器を搭載する戦略爆撃機の動向ですので、ご紹介しておきます

TU-160M2 2.jpg初代TU-160はNATOで「ブラックジャック」と呼ばれ、米空軍B-1爆撃機を模倣したと言われる低空侵攻が可能な可変後退翼を持った超音速爆撃機ですが、B-1Bより一回り大きい機体と2倍弱のエンジン出力により、最大速度はB-1Bのマッハ1.25に対してマッハ2.05、航続距離はB-1Bを16%上回る14,000 km、最大搭載量はB-1Bの34tを17%上回る40tを誇った機体でした

試作機が1981年に初飛行し、1987年5月には2個飛行隊で運用開始しましたが、製造途中でソ連が崩壊し、試作機8機を含む35機しか生産されませんでした。特にウクライナは19機を保有していましたが、極めて複雑な構造から運用困難で放置され、後にロシアが8機買い戻した以外は使用されないまま廃棄される運命をたどっています

TU-160M2 3.jpgその後音沙汰がな途絶えていましたが、2005年頃からプーチン大統領が突然搭乗した映像が公開されたり、2007年に15年間中断されていた海外への遠距離偵察飛行に登場するなど、プレゼンスを再び示し始めました

それでも1987年の運用開始から実戦投入はありませんでしたが、2015年11月にシリアのアサド政権支援のため、他の戦略爆撃機とともに対ISの巡航ミサイル攻撃を行い実戦デビューを果たし、ロシア軍のウクライナ侵攻においても巡航ミサイル攻撃を行う様子が目撃されていたところです

TU-160M2 4.jpgTU-160の骨格を基にしたTU-160M2の開発は、2015年頃より表面化し、既存16機の近代化改修と合わせ50機程度の新造機Tu-160M2を開発製造する構想をロシア国防相が同年発表し、2018年1月に10機の新造TU-160M2製造契約をツポレフ社傘下のUACと締結していました。

開発UACで2022年1月と12月に試験飛行を行い、報道された露国防省への引き渡しとなっていますが、今後は企業が確認した基本性能を露空軍部隊で確認し、更に作戦運用を想定した北米や諸外国周辺空域への長距離飛行や低空での作戦行動試験、更には極超音速兵器などの兵器発射試験も行われる予定だそうです

M2型機は現有16機のTU-160の8割の搭載システムや装備を更新するほか、エンジンも新しいNK-32-02にして飛行試験で引き続き確認していくとのことです
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TU-160M2 5.jpg2024-25年には運用開始し、2027年までに10機を新造し、既存機16機のアップグレード改修機も含め50機体制を目指すとのことですが、ロシア経済大混乱の中、今後忘れた頃に報道されると予想されるTU-160M2運用開始の知らせを待つことといたしましょう。

プーチンが好みそうな威圧感ある機体ですが、長射程ミサイルを搭載するとは言え、BWB(blended wing body aircraft)形状に近い機体とは言え、ステルス性がB-1Bよりはるかに劣る大きな機体であり、今後の運用法にも注目したいところです

TU-160やM2型機に関するウィキペディア情報
https://ja.wikipedia.org/wiki/Tu-160_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F) 

TU-160登場の記事
「ロシアTU-160爆撃機が南アフリカ展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-22
2018年にも南米ベネズエラへ飛行

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CSISが台湾軍に非対称戦術を迫る [安全保障全般]

戦闘機VS戦闘機や艦艇VS艦艇の戦いはあきらめよ!
台湾海空軍は対称戦を捨てろ。小さな米軍を目指すな
非対称な戦い「ヤマアラシ戦略:porcupine strategy」を
高価で豪華だが脆弱な装備追及を止めろ!

taiwan defense4.jpg先日ご紹介したCSISによる台湾有事Wargameレポート(1月9日発表:中国による台湾侵攻)は、台湾が早期に降伏しないとの前提で、日米が協力して精力的に支援すれば、中国の侵略企図は破砕できるが、台湾経済は壊滅的な被害を受け、米軍は空母2隻と数十隻の艦艇や数百機の航空機を数千人の兵と共に喪失し、長期にわたり世界の指導的役割を果たせなくなるとの厳しい現実を突きつけ話題となりました。

本日は同レポートの中から、CSISが台湾軍に求めた軍装備体系の大改革に関する部分(123-125ページ)を取り上げ、陸軍を最優先せよ、弾薬や装備品は紛争開始前に台湾に備蓄しておけ(ウクライナ方式の侵略後提供は不可能)、そして台湾海軍や空軍は高価ながら有事に役に立ちそうもない艦艇や戦闘機調達を止め、移動式の対艦ミサイルや対戦車ミサイルや防空ミサイルや地雷などを最優先し、非対称な戦いで長期持久を図れるような装備体制変革を直ちに推進せよと訴えた部分をご紹介します

taiwan defense.jpgCSISは、以前から多数の研究が台湾に非対称戦体制への変革を迫っているにもかかわらず、台湾政府や台湾軍により変革がとん挫している現状を踏まえ、米国に対し「アメとムチ」を駆使して台湾軍改革を進めるよう強く迫っていますが、日本の自衛隊にも程度の差はあれ台湾軍と同方向の変革が必要なことは、2010年5月のCSBA「エアシーバトル」レポート当時から明確ですので、「喉元に刃を突きつける」気持ちでご紹介いたします

2010年5月のCSBA報告書の解説
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「2CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20
「3CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20-1
「4CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21
「5CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21-1
「6CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「最後CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30

元祖ASB:CSBAの報告書
「ASBの背景:対中国シナリオ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30

CSISの台湾軍への提言部分(123-125ページ)より

ウクライナ方式は通用しない
taiwan defense2.jpg●ウクライナでは、ロシアの侵略開始後に、西側からウクライナへの兵器や装備品提供が始まり、現在も継続して可能であるが、台湾ではこのウクライナ方式は通じない。ロシア軍と異なり、中国軍は台湾への補給物資輸送を阻止する能力があることから、侵略開始前に必要な装備や弾薬を台湾が保有している必要がある
●米国は、遅れている台湾へのFMS装備提供を加速前倒しし、台湾も自身で製造可能な多様な弾薬調達を急ぎ、中国による侵略開始前に必要量を確保しておく必要がある

台湾陸軍に対して
taiwan defense3.jpg●台湾陸軍が必要な質や能力を保有しているか不明確(怪しい)であるが、戦力差からして中国軍を台湾上陸前に撃破することは不可能であり、中国軍上陸部隊に台湾沿岸部で粘り強く抵抗することが不可欠であることから、これが可能なように、急いで台湾陸軍の効率性や残存性を高める必要がある。台湾軍は陸軍強化を最優先すべきである
●台湾は山脈や河川により地形が複雑であり、これを最大限に活用して戦いを長引かせ、中国軍に消耗戦を挑むべきである。台湾主要都市の防衛は大きな被害を生むが、都市を失うことは中国側の作戦を容易にしてしまう

台湾海軍や空軍に対して
taiwan defense5.jpg●歴史的に台湾軍は、米軍の小型版を目指すように多様な装備を導入し、大型水上艦艇や最新戦闘機、更には潜水艦や地上装備を現在も追求し、戦闘機470機、水上艦艇26隻、潜水艦4隻等を保有している。
●このような装備は、まだ中国軍が弱体であった当時には、台湾の能力を誇示して中国侵略を抑止するには意味があったかもしれないが、中国軍が急速にミサイル部隊や海空軍戦力を増強した今となっては、現在の対称戦を想定した戦力構成(symmetrical capabilities)は不適切である

●有事になれば、台湾海軍水上艦艇は中国艦艇部隊にほとんどダメージを与えることなく壊滅するであろうし、残存性の高い潜水艦もわずか4隻では継続的な海洋戦力とはならない
●台湾空軍も、中国軍のミサイル部隊を前に台湾海軍と同様に極めて脆弱であり、強固な地下シェルターに格納されて中国ミサイル攻撃を生き残る可能性のある僅かな戦力では、ほとんど戦い全般に貢献できないだろう

taiwan defense7.jpg●我々のWargame結果が有効性を示した非対称な戦いを追求する「ヤマアラシ戦略:porcupine strategy」では、台湾軍が「艦艇VS艦艇」や「戦闘機VS戦闘機」の戦いでは中国軍に対抗できない現実を踏まえ、台湾軍が高価で脆弱な通常兵器よりも、機動性や隠密性を備えたJavelin対戦車ミサイルやStinger携帯防空ミサイルなどへの重点投資を求めている
●このような結論は他の多くの台湾軍事戦略への研究提言と方向を同じくするもので、最新の軍事バランスに当てはめても一貫している。この非対称戦略では、台湾海軍に大型艦艇よりも安価な、沿岸防衛用の移動式対艦巡航ミサイル、機雷、小型対艦ミサイル搭載ボート、機雷敷設能力強化に投資するよう強く求めている。空軍には移動式防空ミサイルの充実など。

●特に、例えば台湾に提供予定で未到着の地上発射ハプーン対艦ミサイル400発などは、今回のWargameで死活的に重要であることが示されており、200発追加することで政治的リスクや兵站補給の課題などを局限しながら極めて大きな追加効果を上げることが示されている。MLR or MDTFシステム等と同様で高い効果を上げる。

taiwan defense8.jpg●ただし、このような非対称戦型への変革、つまり「ヤマアラシ戦略:porcupine strategy」追求は、当時のLee Hsi-Min台湾軍参謀総長により2017年にまとめられているが、その後の台湾軍幹部はこの構想導入に消極的なままである
●今日の脅威環境を踏まえれば、「アメとムチ」の組み合わせで台湾軍改革を推進させることに、強い決意をもって米国は望むことが不可欠である
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CSISレポートの台湾軍への提言部分(123-125ページ)は分かり易い英語で書かれており、116ページからの他の提言部分と合わせ、一度目を通してはいかがでしょうか。

taiwan defense6.jpg2014年12月にCSBAが発表した台湾軍戦略への提言レポートと共通する部分が多く、「古くて新しい」指摘です。繰り返しになりますが、2010年5月にCSBAが提案した「エアシーバトル構想」で示された日本への提言も、未だに「古いが新しい」提言であると認識すべきです。特に依然として戦闘機命派が牛耳る航空自衛隊にあっては・・・

CSISの同レポート紹介webページ
https://www.csis.org/analysis/first-battle-next-war-wargaming-chinese-invasion-taiwan
CSISレポートの現物(165ページ!)
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/230109_Cancian_FirstBattle_NextWar.pdf?WdEUwJYWIySMPIr3ivhFolxC_gZQuSOQ

インパクト強烈なCSISレポート・台湾有事で日本も・・・
空母2隻・数10隻の艦艇と数百機の航空機喪失、台湾経済大打撃・米軍の影響力当面喪失危機
「台湾有事のWargame結果を異例公開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/

旧態然とした台湾軍の問題は根深く、対中国に向けた政府主導の軍改革も、国防省や軍幹部や軍OBの抵抗で進まず、時間的余裕もない現状。日本にも通じる米国専門家指摘の問題点を確認
https://holylandtokyo.com/2023/01/04/4103/

CSBA提言の台湾新軍事戦略に学ぶ
まとめ→https://holylandtokyo.com/2020/11/08/381/
その1:総論→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
その2:各論:海軍と空軍へ→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27-1
その3:各論:陸軍と新分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27

2010年5月のCSBA報告書の解説
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「2CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20
「3CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-20-1
「4CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21
「5CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21-1
「6CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
「最後CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-30

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沖縄海兵隊の主力旅団が縮小改編MLRへ [安全保障全般]

2+2で合意:3200名規模から2000名規模へ
海兵旅団から軽快な「海兵沿岸旅団MLR」へ
宇宙分野での連携強化も合意し岸田首相訪米準備

MLR4.jpg1月11日、ワシントンDCで日米2+2が開催され、13日の岸田首相とバイデン大統領との会談を前に、宇宙分野での協力強化に加え、在沖縄海兵隊で3200名規模の「第12海兵旅団」を縮小しつつも対中国作戦により適合した「第12海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」に2025年までに改編することに等に合意したと発表されました

「海兵沿岸旅団:MLR:Marine littoral regiment」の創設は、対中国など本格紛争に対処可能な将来米海兵隊への変革方針を示した2020年3月米海兵隊発表の「Force Design 2030構想」で明らにされ、アジア太平洋地域に3個設けることとなっています。

MLR3.jpgMLRを生み出した同構想は、戦車部隊の廃止、歩兵部隊や回転翼部隊の削減、総兵数の削減、ロケット部隊や対艦部隊や無人システムの増加や電子戦の強化などを柱に、小規模だが軽快な部隊に再編し、海軍と連携し制海に力点を置く将来海兵隊の姿を描いたもので、他軍種にも大きなインパクトを与える大きな方向転換を明確にしたものでした

同構想発表時には、日本に最初のMLR設置とDavid Berger海兵隊司令官が述べていましたが、地元調整のむつかしさ等から(推測)、まずハワイに第3MLRが最初に創設され、2023年9月の態勢確立に向け訓練中です

MLR5.jpgMLRは、従来の海兵旅団が歩兵や戦車や火砲中心だったのに対し、中国などのミサイル射程内の厳しい環境下「contested maritime spaces」で自己防御を図りつつ、機敏に移動しつつ敵艦艇や敵上陸部隊を攻撃するより軽快な部隊編成を目指し、対艦ミサイル部隊や防空部隊やISR部隊や兵站支援部隊を中心に構成される模様で、ハワイの第3MLRが試行錯誤を行っています

またMLRに関する報道では、「戦闘が始まれば中国が海空で優勢になる可能性が高いが。戦力を追加で投入できるようになるまでの間、最前線の部隊がいかに相手の侵攻を食い止めるかがカギを握ることになり、MLRにはその中心的な役割が期待される」とか、「小規模なチームに分散して各離島へ展開し、敵からの攻撃をかわしながら相手の艦艇や航空機の進出を食い止め、制海権の確保を目指す」と紹介されています

MLR2.jpgただ各種報道はあまり触れていませんが、現在の3000名以上規模から2000名弱規模に縮小されることは事実で、「軽快さや分散行動や機動展開の容易さ」を追求するとは言え、中国のミサイル射程内の危険な地域に戦力を置いておけないとの軍事的合理性に基づく判断とも言えます。在沖縄海兵隊の総兵力は変わらないとの、思慮深い配慮に基づくよくわからない説明は日米両政府からなされていますが・・・

ハワイで準備中の先輩部隊第3MLRの状況
(2022年8月の記事より)
●同年2月に対空監視から味方部隊の航空管制までも担当する「対空大隊」を編成し、6月には攻撃能力を担う「第3沿岸戦闘チーム」や文字通りの「戦闘兵站大隊」が再編成され、RIMPACでも訓練に参加
MLR.jpg●2023年9月の態勢確立に向け、軽着上陸用艦艇の「stern landing vessel」や、長距離運航が可能な「unmanned surface vessel」導入がカギとなるが、無人艦艇導入チームが同年夏から検討を開始。
●同年秋には、打撃力強化の柱「Medium Missile部隊」が編成予定で、「stand-in force」の準備が進んでいる
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宇宙分野での協力強化については、米国の日本に対する防衛義務を定めた「日米安全保障条約第5条」が宇宙空間も適用対象になりうることを2+2で確認しています。これは露のウクライナ侵略が宇宙ドメインで始まっていた最近の事例を踏まえると重要な一歩だと思います

「反撃能力」「敵基地攻撃」に関しても協力強化へ・・・。どこを攻撃すればよいのか、日本のISR能力では特定できないでしょうから・・・

CSISの強烈インパクトのレポート発表が1月9日で、日米2+2が11日で、日米首脳会談が13日との美しい流れになっています

米海兵隊の主力海兵旅団の改革
「ハワイで創設のMLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「米海兵隊のstand-in force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「MLRを日本にも」→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/726/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25

CSISの強烈インパクトのレポート発表
「台湾有事のWargame結果を異例公開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/11/4135/

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