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露による3月9日のミサイル飽和攻撃を概観 [安全保障全般]

兵器不足で飽和攻撃間隔が長くなる傾向
極超音速兵器から旧式ミサイルまで多様な兵器混合で81発
イラン製ドローンや地対空ミサイルで地上攻撃も

Zaluzhnyi.jpg3月10日付Military.com記事が、ウクライナ軍のValerii Zaluzhnyi参謀総長のインタビュー等を交え、昨年10月から定期的に露軍が実施している3月9日の各種ミサイル混合の大規模同時飽和攻撃の状況を紹介し、ロシアとウクライナの対応を取り上げています

ウクライナ国内のどの施設が、ロシアのどの兵器で攻撃されたか、またウクライナ側の被害がどの程度かについて等、多くの関連情報が軍事上の秘密事項となっているため、またウクライナ側は西側からの兵器支援を強く要請している点からも、出てくる情報や表現ぶりに偏りがある可能性もありますが、ウクライナVSロシアのミサイルを巡る戦いの数少ない情報ですのでご紹介することにしました

3月10日付Military.com記事によれば
Kinzhal.jpg●ロシアはウクライナ国民の抗戦意志を弱めるため、昨年10月から多様なミサイルや攻撃ドローン等を交えた飽和攻撃を定期的に繰り返しているが、英国防省は、その攻撃間隔は長くなる傾向にあり、飽和攻撃に必要なミサイル数確保が困難になっているためと分析している
●9日の大量のミサイル飽和攻撃には、極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射)や旧式の超音速兵器Kh-22(TU-22Mから発射)、最新のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイル、その他の短射程の航空機発射のミサイルやイラン製攻撃ドローンShahedが使用されたほか、本来防空用ミサイルであるS-300まで近距離地上目標攻撃に使用している

Kalibr.jpg●ロシアは9日の攻撃で、これまで1回の飽和攻撃で2発しか使用してこなかった極超音速兵器Kinzhal(Mig-31から発射、音速の10倍速度、射程2000㎞)を6発も使用したが、増加の狙いは不明。ウクライナ軍参謀総長は、露は様々なミサイルの組み合わせを試してウクライナの弱点を探っており、露の攻撃は改善されつつ部分もある、と語っている
●ウクライナ空軍報道官は、極超音速兵器Kinzhalと旧式の超音速兵器Kh-22(飛翔速度音速の3倍も誘導装置が旧式で攻撃精度低い)に対する防御兵器が無いと、西側に支援を求めている。極超音速兵器Kinzhalは特に高価であることから、ロシア軍も当初から慎重に同兵器を使用しているが、6発を使用した効果や攻撃対象は不明

SHAHED-136.jpg●露はウクライナ国民の意志を弱体化するためにエネルギーインフラを攻撃しているが、ウクライナ側の施設普及体制も整備されつつあり、攻撃を受けた施設の復旧は早まっている
●9日の81発の飽和攻撃に対し、ウクライナ軍は34発の迎撃に成功したと発表しており、特に亜音速のKh-101巡航ミサイル(爆撃機から発射)や艦艇発射のKalibr巡航ミサイルへの対処には成功しており、攻撃ドローン迎撃技量も向上して大部分を迎撃していると参謀総長は語っている
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Kh-101.jpg「ウクライナは、世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦に直面しており、余談を許さない」との米空軍大佐と専門家チームの分析を過去記事でご紹介しましたが、弾薬不足はロシアだけでなく西側全体が直面する共通の問題であり、どこまで過去1年間の戦いを継続できるのか、ギリギリの段階にあると認識しておくべきです

どちらの弾薬庫が先に空っぽになるか・・・互いの探り合いが続いているのでしょう・・・

それから、日本も中国からのミサイル飽和攻撃の最前線に立たされていることをお忘れなく!

米空軍大佐の提言が話題
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

ウクライナでの戦い
「ウクライナでイラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/3787/
「衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/
「アジア太平洋への教訓は兵站」→https://holylandtokyo.com/2022/06/17/3358/
「SpaceXに学べ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/22/3173/

弾薬枯渇の危機に直面し
「英国もNATOも弾薬不足深刻化」→
「米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する」→https://holylandtokyo.com/2023/02/24/4304/
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/

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