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ビンラディンの息子Hazma30歳を警戒 [安全保障全般]

2011年5月のビンラディン殺害後、満を持して登場か
懸賞金1億円、国際刑事警察機構も国際手配
「父の後をたどることを運命づけられた・・・」

Hamza.jpg18日付Military.comが、30歳になると言われているオサマ・ビン・ラディンの息子Hamza bin Ladenの動静注目する記事を掲載しました

最近数週間で、突然懸賞金が1億円かけられたり、国連安保理が制裁対象に指定したり、国際刑事警察機構が要注意人物として世界手配したり、サウジアラビアがHamzaの市民権をはく奪したり、との動きが連続して明らかになっており、世界の対テロ関係者を恐れさせる動きがあるようです

一連の国際的な動きの背景は明らかになっていませんが、Hamzaはアルカイダのリーダーになってはいないものの、彼を主要な脅威として認識しなければならないような何かが起こっている模様です

ISISの動向に最近は注目が集まっていますが、ライバルであるアルカイダが復活を期して何か企んでいる可能性もありますので、とりあえず報道から、謎の多いHamzaのこれまでについてご紹介しておきます

18日付Military.com記事によれば
Hamza2.jpg●1989年誕生か?父ビンラディンが、ソ連と戦うアフガンのムジャヒディン支援で注目を集めた1980年代に、児童心理学者だった母とビンラディンの間に生まれる
●アフガン支援後、「基地」意味する「al-Qaida」を父が創設し、世界のジハード論者や組織を結ぶネットワークとして活動を活発化する中で育つ

1998年にケニアとタンザニアの米国大使館を爆破して224名を殺害した時にHamzaは8歳、911同時多発テロの際は12歳と推定される
911同時多発テロ後、追われる身となった父はパキスタンに逃れ、Hamzaや家族とは離れ離れになり、最後まで再会することはなかったとされる。別れの際に父はHazmaに「祈りのための数珠(じゅず)」を贈ったと言われている

Hamza5.jpg●父と別れたHamzaと母は、他のアルカイダメンバーとパキスタン経由でイランに移動した。
●米海兵隊が父ビンラディンを殺害した家から押収した資料によれば、イラン内でHamzaはアルカイダが用意した数か所の隠れ家で過ごした後、イランがHamzaらをイラン軍基地内や隠れ家に収監したと言われている

ブッシュとオバマ政権下でアルカイダ掃討が中東全域で進む中、母違いの兄弟はイラン脱出してパキスタンに移動したが、2009年に米軍の空爆で死亡している
2010年3月にHazmaと母はイランの収監を離れ、パキスタン北西部に移り、そこでHazmaは兵器の取り扱い訓練を受けたとされている。

Hamza4.jpg2011年5月2日に海兵隊SEALSによりビンラディンや腹違いの他の息子が殺害された際、ビンラディンの隠れ家に移動していた母は逮捕された。Hamzaはそのころから所在不明となった
2015年8月、ジハードを訴えるwebサイト「Ayman al-Zawahri」にビデオ映像で登場し、時のアルカイダ指導者から「アルカイダのライオン」と紹介された

その後は10回以上にわたり、様々なメッセージやスピーチを発する様子が紹介され、アルカイダが新たな広告塔としてHamzaを利用し始めたとの見方が広まっている
●しかし2018年3月にサウジ指導者を威嚇するメッセージを発してから姿を見せておらず、アルカイダ内部で何が起こっているのか、Hamzaがどのような状態にあるのかは定かでない

Hamza3.jpgHamzaがアルカイダの指導者になる方向にあるのか? 父の追及したジハードの道を進むのか? アルカイダの中でのHamzaの立場はどうなのか? 誰も知らないこれらの問いへの答えに、世界が注目している

●ちなみに、Hamzaはアルカイダ支援者であるエジプト人の娘と結婚し、既に子供が2人いるそうです
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米国が世界中から引こうとしている中、ISISが集中的にたたかれている中、アルカイダにすれば組織再編・再興のチャンスなのでしょう・・・

Hamza bin Ladenという人生からは、どんな景色が見えるのでしょうか? 中東の砂漠の民が語る「砂漠の清潔さ・高潔さ」を、彼も語るんでしょうか?

2年前のHamzaの記事
「負の連鎖ビンラディンの息子」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-07

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今度は国防省高官:軍需産業政策のためF-15Xと [米国防省高官]

国防副長官の関与に疑惑が及ぶ中
戦闘機メーカーを複数残すためとの証言が
F16でなくF-15になった背景を

F-15X.jpg22日付各種軍事メディアは、F-15X導入に関してボーイング幹部出身のShanahanr臨時国防長官の関与疑惑が国防監察官の調査対象になるとの衝撃報道の中F-15X購入決定に関与した匿名の国防省高官が、F-35製造のロッキード社製に戦闘機製造が一極化することを避けるため、同じ4世代機でもロッキード製のF-16ではなく、ボーイング製のF-15Xを選んだと記者団に語ったと報じています

もちろんこれまで空軍長官や空軍参謀総長、更には統合参謀本部議長の発言までご紹介してF-15X導入決定の背景をご紹介してきたように、維持経費高くて機体寿命が短いF-35だけでは「必要な戦闘機数」が確保できないとの、予算枠の理由があります

F-15 upgrades3.jpgまた強固に防御された空域に突入するためステルス性を必要とするF-35に搭載可能な兵器量が限定される中、第4世代機に長射程巡航ミサイルや多数のミサイルを搭載し、当面の間は5世代機と4世代機をミックスして活用しようとの構想において、多量の兵器搭載が可能なF-15Xが選ばれたとの説明も「そのまま」生きています

しかしそれらの理由に加えロッキードマーチン社だけに戦闘機を独占させて良いのか・・・との軍需産業政策を巡る議論が、マティス前国防長官などの国防省関係者の間で行われ、総合的に「米空軍の計画になかった」F-15X導入が決定されたと匿名の高官が語ったということです

更に当該高官は、Shanahan臨時国防長官はF-15X導入の決定に全く関与していないとも語ったようです。

20数年ぶりに、米空軍が旧型機の新造型を購入するということで、様々な関係者の思惑が入り交じり、様々な発言が乱れ飛ぶ戦闘機選びですが、そんなこの世界の様子を描写する一環として、生暖かく見守りたいと思います

22日付Military.com記事によれば
F-15EX.jpg●22日、国防省のCAPE「Cost Assessment and Program Evaluation」室の高官は、健全で強固な軍需産業基盤を維持するため、ロッキードマーチン製のF-16ではなく、ボーイング社が製造するF-15Xに決定したと語った
●そして「考慮要素の一つが、軍需産業企業の多様性を確保するためである」、「多様な国防軍需産業を維持することが、国防省の利害と一致する。より多くの多様性があれば、より競争が促進され、価格面で良い方向に向かう」と語った。

●また当該高官は、当時のマティス国防長官が突破型機とスタンドオフ型をミックスすることを指示し、F-35が突破した後、スタンドオフ型のF-15EXなどが後に続くイメージを選んだとも述べた
●ただし、マティス長官は具体的な機種には言及しなかったとも同高官は付け加えた

●この高官の発言は、F-15X選定にボーイング幹部出身であるShanahan臨時国防長官の関与疑惑を国防監察官が調査開始するとの報道の直後に行われ、当該高官は臨時国防長官はF-15X選定に関与していないと述べ、国防省のCAPEが本件を持ち出したと説明した

●同高官は「我々は単に、兵器を投射できるある程度の機数が必要なのだ。この任務は第4世代機でより費用対効果良く実施可能なのだ」、「第5世代機は高価で、規模の視点から各世代機をミックスして任務に対応しようと考えたのだ」と述べた
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F-15 upgrades4.jpg国防省関係者も、F-15Xの導入がこれだけ話題になろうとは考えなかったのではないでしょうか・・・

米空軍内部だけでなく、米空軍の戦闘機族OBをはじめとする外野からも、「誰が決めたんだ?」の犯人探しが始まり、「その場の空気」で決まったことが今になって掘り返されている状況でしょうか・・・

それでも日本にとっては、F-35の維持費が4世代機の2倍以上で、機体寿命が半分程度だと広く知られるようになったことで良かったのではないでしょうか・・・

関連の記事
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「空自MSIP機も能力向上改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
「ボーイングがF-15X宣伝中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1

「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

タグ:F-15X F-15EX
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米軍が施設への自然災害で予算枯渇 [Joint・統合参謀本部]

米空軍は2基地が壊滅的打撃
海兵隊も東海岸の基地に大きな浸水被害
メキシコ国境の壁に予算とられて大丈夫か?

Tyndall AFB.jpg21-22日にかけ、米海兵隊と米空軍が、自然災害により米本土基地の被害にあわせて1.5兆円規模の被害が出ており最近では恵まれていたはずの2019年度予算を食いつぶし、山のように既に積みあがっている老朽施設改修等を先送りし、かつ演習や訓練費を削減せざるを得ない状況だと訴えています

折しも、トランプ大統領がメキシコとの国境の壁建設予算案を巡り「非常事態宣言を発令」し、米国防省の施設維持建設費から「壁」予算を引き抜こうと企んでいる最中ですが、米軍史上例を見ない規模の大規模自然災害に苦しんでいる米軍からすると、反乱を起こしたいような気分にある模様です

米軍全体で冷戦末期に購入して長期間使い続けた装備品の老朽化が顕在化し、一斉に装備品更新のタイミングを迎えて苦悩する中、施設面でも同様の現象が起きており、米空軍だけで施設を安全なレベルに戻すだけで「3兆5千億円」が必要と見積もられており、加えて昨年からの災害被害で、苦境に追い込まれています

海兵隊司令官が国防省に追加予算を請願
Tyndall AFB2.jpg●Robert Neller海兵隊司令官は2月19日付の臨時国防長官あての書簡で、ハリケーン被害により米東岸の複数の海兵隊基地が大きな被害を受け、兵士住居、訓練施設、鉄道路線等々の復旧に3700億円の費用が必要であると訴えた
●そして、これら被害に加え、予算で計画していなかったメキシコ国境対応や豪州への兵力ローテーション増加 、住宅手当の増額などの支出が求められ、海兵隊内だけではとても資金を捻出できないと説明している

●更に同司令官は3月18日、今度は海軍長官あてにレターを出し、「当初2019年度予算は最近の中では恵まれたレベルであったが、その後に生起した予期せぬ自然災害や国境警備負担等数々の要因により、海兵隊の即応態勢は大きなリスクを迫られている」と訴えている
●結果として、海兵隊が複数の演習や訓練を中止に追い込まれ、装備品の維持費も削られる事態に追い込まれていると窮状を説明し、追加予算を要請している。そして影響を受ける演習として、インドネシア、スコットランド、モンゴル、豪州、韓国での中止や縮小が含まれると訴えている

米空軍も2基地の大きな被害に困窮
Tyndall AFB3.jpg●米空軍のJohn Henderson施設担当次官補は、米空軍の施設修理改修費の必要額が、対象施設を安全なレベルに戻すのに3.6兆円レベルに積みあがっているとし、その対処に2020年度予算案に約2200億円を計上していると説明した
●一方で、昨年10月にハリケーンの大きな被害を受け、配備されていたF-22戦闘機を他基地配備に変更せざるを得なくなったフロリダ州Tyndall空軍基地や、先週、基地の約半分が水没して被害の全貌把握も出来ていないOffutt空軍基地への対処経費が、tyndallだけで5500億円~1兆円程度になると見込まれ、追加予算が認められなければ、当初の3.6兆円施設リフレッシュ計画も見直しを迫られることになる

●米空軍は、IBMの「Watson deep-learning software」を使用して、収集する施設に関するビックデータを分析し、施設補修や改修の優先順位や規模を判断しようとの試みを開始するが、併せて現有全施設の5%を廃棄して維持費を削減する計画も進めている
しかし自然災害を受けた2基地の復旧経費は、年度の残りの施設経費を流用してもまかなえず、作戦運用や維持整備費から引きはがして投入しているが、流用部分の追加補正予算が認められなければ、 「好ましくない代償」を負うことになる
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Tyndall AFB5.jpg米本土の異常気象的な自然災害被害はすさまじくTyndall空軍基地内の住宅に住んでいた兵士やその家族が路頭に迷っている状態です

そんな中で、国境の壁建設のために国防省の施設整備費を流用しようとしているトランプ大統領は、兵士の士気を下げる点で天才とも言えましょう。

また、能天気な沖縄県知事が、辺野古移設の住民投票結果を米国へ訴えに行ったりしていますが、被災者のところに自作自演の騒ぎをアピールに行くような行為です。ほんとに醜い・・

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トランプ「ブラジルをNATOの仲間に」発言 [安全保障全般]

「熱帯のトランプ」にエール
ブラジルへの武器輸出で相思相愛?

Trump south A.jpg19日、南米進出するロシアに対抗するため米国との関係強化を目指すブラジル大統領に大喜びのトランプ大統領はブラジルが希望するOECD加盟への応援や、米国製武器を容易に購入できる同盟関係やNATOの仲間入りを追及すると語りました

トランプ大統領にブラジルサッカー代表のユニフォームを贈ったブラジルのBolsonaro大統領は、今年元日の就任日に、米軍基地をブラジルに誘致し、ベネズエラのマドゥーロ大統領を応援し、南米で勢力を拡大するロシアに対抗するとぶち上げた元陸軍大尉で、「極右指導者:far-right leader」とか、「熱帯のトランプ:Trump of the Tropics」とか呼ばれている人物です

一方で、肥大したブラジルの政府機関や国営企業の民営化を進めて国の負債を減らし、民間活力で国を立て直すためにOECD入りを目指す、南米では真っ当な考え方を持った人物でもあります

米国製武器の導入容易化願望はプラジル大統領から出たもので、トランプ大統領にとってはこれ以上ないお客様ですから、今やトランプ大統領が一番大好きな国家元首かもしれません

19日付Defense-News記事によれば
Bolsonaro2.jpg●19日、ホワイトハウスにブラジル大統領を迎えたトランプ大統領は、「彼は熱帯のトランプと呼ばれていて、素晴らしい仕事をしているんだ」と上機嫌でBolsonaro大統領を記者団に紹介した
●両首脳は、貿易の拡大、米国企業のブラジル投資の拡大、ベネズエラ問題など多様な話題で意見交換し、ベネズエラのマドゥーロ大統領に厳しく対応することで意見が一致した

●またトランプ大統領は、ブラジルが経済改革の柱として目指しているOECD加盟を応援すると述べ、またブラジルが求めている、米国からの武器輸入や種々の米国との関係強化が容易になるNATO加盟国が得ている特権を享受できるように強力に取り組むと語った
●更に米大統領は、両国関係はかつてないほど良い状態だと表現し、「米国の歴代大統領はブラジルと敵対していたかもしれないが、私は全く敵意を持っていない。我々はブラジルがNATOの仲間になるか、似たような同盟国の地位を得るよう、きわめて強力に取り組む」と語った

トランプ大統領は、ブラジルが「NATO ally」または「major non-NATO ally」になるために取り組むと記者団に語った

Bolsonaro.jpg●ブラジル大統領は今年元旦の就任日から米軍基地のブラジル誘致を訴え、ロシアへの対応措置の必要性を訴えたが、ブラジル国内では元軍人の閣僚をはじめ多くの反対にあっている
それでもBolsonaro大統領は、繰り返しトランプ大統領の姿勢を高く評価し、米国との関係強化の必要性を訴えている
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このブラジル大統領は、他候補に大差をつけて、14年間続いた汚職のデパートだった労働党政権に終止符を打った大統領です。

同性愛者や女性に対する差別的発言は当たり前の人物ですが、トランプ大統領は「おめでとう――アメリカはあなたとともにある!」と就任に際しツイートし、完全に馬が合う仲間関係です

ブラジル国民はそれでもこの大統領に期待を寄せ、「熱帯のトランプ」と呼ばれているとか・・・。ブラジル日系人社会のご意見を是非聞いて見たいものです

関連の過去記事はありません・・・

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米軍人トップ:グーグルから中国軍にAI技術が流出 [Joint・統合参謀本部]

退役を前に歯に衣着せぬ本音を連発
国防省に協力せず、中国にAI開発拠点を置く同社を酷評
グーグル幹部と面談し直接議論すると

Dunford.jpg21日、Dunford統合参謀本部議長がAtlantic Councilで講演し、前週の上院軍事委員会での証言に続き中国国内にAI開発センターを解説したグーグル社を「間接的に中国軍に米国の最新技術を提供するようなものだ」と酷評し、米国の国益を害する大きな問題だと表現し、直接グーグル幹部と面会してこの問題を取り上げると訴えました。

背景には、米国防省との共同プロジェクトに背を向けたグーグル社への思いもあるようですが中国国内に拠点を設けること自体が情報流出につながるり米国益に反する、とするとの極めて厳しい主張を、丁寧に説明しながら語るその様子から、夏に退役を控え「失うものは何もない」との思いもありそうですが、「米国の技術優位が保てない」との危機感が相当強いものと解釈しました

それにしても、中国への敵意は相当なものです講演の中ではロシアについても触れており、特に欧州正面での状況に相当の危機感を訴えてはいるものの、ここ1-2年のシリア周辺での兵力直接対峙の中で、現場レベルでの意思疎通を通じて危機を回避してきた「手ごたえ」や「話はできる」感覚があるようで、また「プーチンが把握している」との認識もあるようで、明らかに中国とは違うとのニュアンスで語っており、中国の異質感を際立たせています

以下では、同講演でDunford議長が中国を表現した部分をピックアップしてご紹介します。強烈ですよ。その通りだと思いますけど

21日付Defense-News記事によれば
Dunford8.jpg●私の認識では、中国軍を支援するような行為は、米国の国益に反する行為である。グーグルの行為は間接的に中国軍に便宜を図っている
●一般的に、中国国内でビジネスを行う企業には、その現地法人内部に中国共産党の組織を設けることが求められるが、この組織から知的財産が流れ出て中国軍の手に渡るのだ。中国共産党と中国政府、そして中国軍には区別はない。中国から技術を吸い取られることなしに、中国内でビジネスを行うことは出来ない。

中国国内でAI技術を開発しようとするベンチャー企業は、2つの行為を行っていることになる一つは中国国民を支配する専制的な中国政府を助ける事。中国政府は国民のためでなく、中国共産党のために存在することを忘れてはならない

二つめは、米国内で開発された最新技術を、中国軍に利用させる便宜を図ることである。米国では、例えばシリコンバレーでは、最新技術は人々や社会の発展のために開発されているのに・・・(中国では共産党のために利用されている)

Dunford9.jpg来週にもグーグル幹部と面談する予定である。この面談は、単に私とグーグルの間の面談ではない(米国社会とその技術を中国に横流しするグーグルとの対峙の場である)
●本件についてグーグルとディベートする必要がある。中国でビジネスを行うということは、単にビジネスを行うということではないのである。中国におけるsecond and third-order effects of our business ventures について考えなければならないのだ

●これが(米中が覇権を争う)AI技術に関することだから、中国にAI開発拠点を設けたグーグルのことだから公の場で取り上げているのだ中国に拠点を展開するベンチャーが間接的に中国軍に技術を提供して便宜を図り、米国技術優位を脅かすことになっているのだ
●(5G技術の問題についての質問に対し、)AI技術だけが問題になっている訳ではない。中国製の5Gネットワークは極めて重要な安全保障上の課題で、米国だけでなく同盟国と共に対応しなければならない問題だ

将来の5G関連技術は信頼できるものでなければならないが、信頼できない5G技術の方向に向かっているのではと懸念している。米国企業が5G技術を支配し、米国益に沿うものである必要がある
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Dunford7.jpg中国に進出している企業をすべて敵に回しそうな発言ですが、米軍人トップであるDunford統合参謀本部議長の言いぶりには全く躊躇やためらいはありません

いくら退役直前とはいえ、ここまでキッパリと個人的意見だけで訴えるとは思えず、米国防省や政府全体の「GAFA」への思いが飛び出したのかもしれません。

遠くない将来、米国内では働く中国人にも厳しい目が向けられるのでしょうか???

ロシアについて語った部分はこちらに
http://www.airforcemag.com/Features/Pages/2019/March%202019/Dunford-Talks-Russian-Chinese-Threats-During-Atlantic-Council-DIscussion.aspx

AI関連の記事
「AIの革新は昆虫に学べ!」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-1
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08

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統参議長がF-15EX購入背景を赤裸々に語る [米空軍]

F-15EXはF-35機体価格より少し安い程度
(F-15XはF-15EXが正式呼称らしいです)
しかし維持費は半分以下で、2倍以上の寿命がある

F-15EX.jpg14日、ダンフォード統合参謀本部議長が2020年度予算関連の審議の一環で上院軍事委員会で証言し戦闘機の量を確保するためマティス前長官の指示でF-15EX導入が決定されたこと、2020年度予算案に約1100億円で8機購入予算を盛り込んだこと、維持費と寿命でF-15EX導入を決めたこと等を説明しました

これまでもF-15EX導入の背景や理由をご紹介してきましたが、いずれも米空軍幹部からの説明で「歯切れが悪く」、空軍長官は「米空軍外の決定である」とそっけない言及でしたので、米空軍に冷徹な目を持つ統合参謀本部議長の説明で「すっきり」していただきましょう

また、将来的な購入規模に関しても紹介が記事にありましたので、ご紹介しておきます。いいんじゃないですかねぇ・・・これで

14日付米空軍協会web記事によれば
Dunford AFA.jpgダンフォード統合参謀本部議長が議会で、現在の米空軍戦闘機部隊の能力と規模不足を踏まえ、更にF-15EXのトータルな経費を勘案し、マティス前長官の決定によって2020年度予算に約1100億円のF-15EX予算が計上されたと述べた
●また決定は、戦術作戦機の将来ニーズ分析によって示された米空軍作戦機と弾薬不足を埋める必要性から行われたと説明した

●更に議長は、「現在使用しているF-15Cが2027-28頃に退役のタイミングを迎えることから、今後10-15年間のオプションを考えた場合、F-15EXがF-15Cの後継としてベストな選択だ」と説明した
●また「いずれは全機をF-35でまかなう方向に向かうが、今はコスト面と量確保の面から、近未来においては混合編成が正しい選択だと判断した」とも説明した

F-15 upgrades4.jpg●更に議長は「機体価格面でF-15EXはF-35より少し安価な程度だが、維持運用経費面ではF-15EXはF-35の半分以下である。更に機体寿命面でF-15EXはF-35の2倍以上である」と背景を説明した
●一方で「米空軍の将来の主力戦闘機はF-35であり、彼らはそこから離れることはない」とも申し添えている

米空軍は今後の5か年計画で80機のF-15EXを購入し、最終的には144機を調達する計画を作成している
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F-15C-Arctic.jpgダンフォード議長の最後の言葉、「米空軍の将来の主力戦闘機はF-35であり、彼らはそこから離れることはない:The primary aircraft of the future for the Air Force is the F-35, and they’re not walking back off that program」は、多少米空軍を突き放した言葉のような気がします。

統合のトップなら「我々はそこから離れることはない」と言ってもおかしくないのに、あえて「彼らは・・・」との言葉を使ったあたりに「突き放し感」を感じます

関連の記事
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「空自MSIP機も能力向上改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
「ボーイングがF-15X宣伝中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1

「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

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米空軍が軽攻撃機2機種をお試し購入へ [米空軍]

数機づつ購入し、同盟国や海兵隊を交え試験とか
まだまだ本格導入決定には時間が

light attack.jpg13日、Goldfein米空軍参謀総長が上院予算小委員会で、2機種の軽攻撃機候補(A-29 Super Tucano とAT-6 Wolverines)を数機づつ購入すると証言し、海兵隊や同盟国と共にニーズや性能を見極めると説明しました

軽攻撃機の購入検討は対テロ作戦など対空脅威の厳しくない環境では、F-16やF-35など運用経費がかさみ機体の維持整備が大変な機体より、安価なプロペラ機が向いているのでは・・・との発想から生まれたもので、過去にも何回も取り挙げられているようです

米空軍は昨年初め、数機の候補機種のデモンストレーション飛行の場を設け、そこで当該2機種に絞って更に検討を行うとして今日に至っています。見た目はプロペラ機ですが、データリンクを供え、精密誘導兵器を運用し、グラスコックピットで・・・等々のハイテクプロペラ機が想定されています

空軍参謀総長は「通常5-10年必要な検討プロセスで、まだ2年目だ」と結論を急がない方針の様ですが、議会などからは「優柔不断だ」「F-35に拘りすぎ」等の批判が出ているところです

13日付Defense-News記事によれば
Goldfein1-4.jpg●同参謀総長は議会で、両機種用の小さな運用部隊を戦術開発部隊があるネバダ州ネリス空軍基地と、空軍特殊作戦コマンドが所在するフロリダ州Hurlburt Field空軍基地に置く計画だと説明した
●米空軍報道官は「各機種2-3機程度購入する方向だ」としているが、参謀総長は「具体的機数は未定で、価格による」と議会では証言している

●また同大将は「既に米海兵隊からは購入評価に加わりたいとの意向を聞いており、他にも(軽攻撃機を共に運用する可能性の高い)同盟国等にも参加を呼びかけ、米空軍のできる範囲でインターオペラビリティー進化のための試験を進めたいと考えている」とも述べた
●機体購入予算は過去年度の余剰予算を中心に考えられており、2018年度余剰から70億円、2019年度余剰から110億円、2020年度予算からは40億円程度を拠出したい意向で議会の理解も得られている模様

light-attack.jpg●同大将は購入機種決定や要求性能決定時期を、2022年から24年ごろに設定していると説明している
●しかし議会内部には優柔不断な空軍の姿勢に批判もあり、共和党のJerry Moran上院議員は「米空軍は既に300機の軽攻撃機導入の必要性をまとめた報告を作成しており、結論先延ばしは空軍が精神分裂症に陥っている証拠である」と批判している

●これに対し空軍参謀総長は「通常の機種選定や要求性能検討には5-10年が必要であり、判断な種々のデータ収集に必要な期間だ。空軍はまだ2年しか使っていない」と述べた
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もちろん新たな機種を加えることは、維持整備要員の確保や部品のサプライチェーン確保など大きな負担を担うことになるのですが、これだけ慎重に進めているのはトランプ政権の海外関与姿勢の将来が見えにくいからでしょう・・・

中東からも朝鮮半島からも・・・、軽攻撃機を導入しても、使い道が亡くなっては無駄ですから・・・

関連の記事
「米空軍2019年の選択4つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-28
「アフガン軽攻撃機がPGM使用」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-2
「米空軍の軽攻撃機選定は?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-03-1

「軽攻撃機の第一弾確認終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-07
「米空軍が300機導入に賛成!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21
「米空軍が検討を開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-07

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米空軍がKC-46給油機の受け入れ再開も・・・ [米空軍]

「(安全の)企業文化が戻るまで確認を続ける」
ボーイング製民航機B-737MAXに連続事故の中で・・

KC-46A1.jpg14日、米空軍のWill Roper調達担当次官補が製造検査中や米空軍が受領済のKC-46A空中給油機の複数の機内から、安全上の問題となる複数の部品等が発見され、機体受領を中断していた件で、ボーイング社の改善取り組みが確認できたので機体受領を再開すると明らかにしました

本件は、様々な開発中のトラブルで2年も機体納入が遅れていた同機の受け入れが1月に始まった直後のトラブルで、製造過程で使用された工具や部品、果てはゴミなどが続々と複数の機体から発見される不始末で、ボーイングへの信頼感は「地に落ちた」と考えられます

KC-10とKC-135の老朽化で、米空軍は早急にKC-46を戦力化する必要に迫られており、これ以上待てないとの妥協の受け入れ再開でしょうが、1月に受け入れ開始した段階でも、解消まで4-5年必要な「重大不具合」に目をつぶっての納入でしたから、部隊の怒りはいかほどかと・・・

14日付Military.com記事によれば
KC-46 Boom4.jpg●14日、Roper調達担当次官補は下院軍事小委員会で、「FOD(foreign object debris)は安全に直結する問題であり、ゴミや工具や部品が機内に残置されている事は受け入れられなかった」と受領中断の理由を証言した。
●併せて同次官補は、11日にワシントン州のボーイング社工場を訪問し、米空軍が要求した5項目の要改善事項の履行を確認したと述べた。そして約3週間の受け入れ中断後、11日に米空軍はKC-46Aの受けれを再開した

一方で同次官補は当面の間、継続してボーイング社の行動を注視していくと述べ、「進歩がみられなければ問題を再び議論しなければならない」と釘を刺した
●13日にワシントンDCで講演した同次官補は、「KC-46機で発生したFOD問題を強く懸念しているとし、それが製造工程の問題だからだ」と述べ、「問題は設計図でも製造技術でもなく、ボーイング社が定めている製造工程での約束事が守られていない点にあり現場作業員レベルにまで至る企業文化に関わる根深い問題だ」と厳しく指摘した

KC-46-4.jpg●Roper氏はボーイングが改善に向かっていると信じていると語る一方で、懸念は残っており、当面の間はボーイング社の対応状況を確認していくとも語っている
●そして「ボーイングの企業文化が改善されるまで、完全な機体が継続して提供されることを確認するまで、米空軍はモニターを継続する」 と述べ、ボーイング社の経営層も本件に積極的に関与していくことを約束してくれていると表現している
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このKC-46A空中給油機問題が表面化している最中に、同じボーイング製の旅客機B-737 Max型機の墜落事故がまた発生し、全世界で同機の運航停止措置が広がっています

KC-46 Boom3.jpgRoper調達担当次官補が、「現場作業員レベルにまで至る企業文化に関わる根深い問題だ」とまで公言して本件を語る背景には、彼が見てきた様々なボーイングの体質や現場の状況があるのでしょう・・・。

ボーイング社は欧州のエアバス社に市場競争で押され気味です。既にエアバス社が6:4で優位との見方が一般的で、ボーイングの焦りが「安全軽視」の効率重視になっていないか気になります

関連の記事
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「7機種目の対象機を認定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08-3

「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

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航空自衛隊がF-35用長射程ミサイルJSM契約 [安全保障全般]

JASSMに加え、ノルウェー製JSMを購入へ
F-35内部兵装庫に2発格納可能なステルスミサイル
射程400㎞の国産巡航ミサイル開発報道の中で

JSM.jpg13日付Defense-Newsは、航空自衛隊とノルウェー企業(Kongsberg Defence & Aerospace)が、F-35搭載用の長射程対地&対艦巡航ミサイル(JSM:Joint Strike Missiles)購入契約を結んだと報じています。

日本とノルウェー両国は、契約の価格規模やミサイルの数について明らかにしていませんが新たな「防衛計画の大綱」に盛り込まれた「スタンドオフ防衛能力向上」の一角をなす装備です

防衛省は2019年度予算に「73億円」のJSM購入経費を初めて計上しており、今後予算規模を拡大して継続的に調達されるものと推定されます

航空自衛隊は2018年度予算から既に、ロッキード製のJASSM長射程ミサイルの購入経費を盛り込み始めておりこちらはF-15戦闘機の翼下に搭載するイメージでしょうが、今回のJSMはF-35A用に開発され同機のステルス性を犠牲にしない内部兵器庫格納サイズになっています

JSMの概要は・・・
JSM3.jpgJSMは全長3.7mで重量400㎏弾頭125㎏JASSMは全長4.3mで重量1000㎏弾頭450㎏
●F-35A内部兵器庫に2発搭載可能で射程は300nm程度(JASSMは射程延長型で射程1000nmと言われている)

●既に発射試験は2015年からF-16で始まっているが、初期作戦能力(IOC)の獲得は、F-35のソフト「ブロック4」がリリースされる2021年以降で、完全運用は2025年との見込み
JSMは赤外線シーカーを使用するが、豪州は補完のためパッシブ無線周波数シーカーの開発資金を出す契約を結んでいる

13日付Defense-News記事によれば
Kongsberg社の会長は「(F-35Aを約115機、B型を42機購入予定の)日本との契約締結は、JSMプロジェクトにとって記念碑的な出来事である。日本に選択いただいたことを大変誇りに思う」と語った
●なおJSMは、日本が42機購入するF-35Bには、翼下又は胴体に搭載することになる
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17日付読売新聞の一面トップに航空自衛隊が射程400㎞の対艦ミサイルを開発へ・・・との記事が出ました。全くJSMやLRASM(JASSMの対艦版)と重なる兵器開発で、その意味することろが不明ですが、ノルウェー企業に安心させないための施策でしょうか???

JSM2.jpgJSMがF-35の将来運用ソフト「ブロック4」での運用を前提とし、2021年以降、恐らく2025年頃でないと運用可能でない状況で、先行的に購入契約が成立したことは評価すべきでしょう
また、完成もしていない、どの国も使用していない新兵器の購入を決断した点でも意欲的な取り組みです

まぁしかし、射程1000㎞と言われるJASSMや射程500㎞のJSMを、航空自衛隊はどこで訓練するのでしょう。防衛計画の大綱の「スタンドオフ防衛能力」との言葉も日本的だと思いますが・・・

追記
JSMやJASSMは飛翔速度が遅く、敵防空網の餌食になる可能性が高いようなので国産開発ミサイルは超音速飛行を実現して残存性を高め、国産機に搭載する事を狙うようです!

関連の記事
「空自F-15に近代化改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
「JASSMまだまだ射程延伸」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-15
「更なる射程延伸開発契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

H31以降の防衛計画の大綱解説スライド(約10MB)
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/20190221.pdf 

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米空軍研究所が無人ステルス機初飛行 [米空軍]

豪軍とボーイングの共同開発機に負けじと
1機2~3億円で調達可能とか

XQ-58A.jpg7日、米空軍研究所AFRLとKratos Unmanned Aerial Systems社が協力して開発しているデモ機「XQ-58A Valkyrie」が初飛行に成功し、映像が公開されました。初飛行で76分間の連続飛行を行ったようです

安価に作成して戦闘での損失を恐れなくてよい程度を前提に、約40億円の契約で2年半で開発された機体だそうで、技術デモ機として計5回の飛行試験を実施し、システム安定性、空力特性、離発着技術などを確認するそうです

ご覧のようなステルス形状のジェット推進で、長距離航続で早い方の亜音速飛行が可能な無人機で、MQ-9のような機体では活動が困難と考えられる「強固な防空網」空域での活動を期待されてます

この技術デモ機の応用範囲は広く、有人機が行っているほとんどの任務を代替できる可能性を持ち、またF-35編隊長の無人僚機(ウイングマン)「loyal wingman」としての役割をも視野に置いていると考えられます

公開された試験飛行映像


他の報道によれば、デモ機「XQ-58A Valkyrie」と並行して、人工知能AIによる機体操作ソフト開発「TACE:Testing of Autonomy in Complex Environments system」も進められ、小型ドローンでの試験が行われているようです

先日は豪軍とボーイングが共同開発する無人機のコンセプト映像をご紹介しましたが、米空軍もいろいろ考えている様です。

8日付Airforcetimes記事によれば
XQ-58A 3.jpg米空軍研究所のXQ-58A開発責任者であるDoug Szczublewski氏は、「戦術作戦機の価格高騰曲線を打破する取り組み」、「ゲームの流れを根本的に変える能力を提供しつつ、低価格で運用コストも低い無人機の初事例だ」と表現した
●空軍と共同開発しているKratos社の2016年リーフレットをによれば、XQ-58Aの価格は、100機未満なら1機3億円程度、100機以上は1機2億円程度となっている

●米空軍協会ミッチェル研究所のレポートは、「米空軍は有人と無人作戦機のチーム編成で、限定数の多様な能力を積み込んだ高価な航空機と、安価な無人機の組み合わせを追及すべきである」と主張している
●また同研究所は、「現在の無人機が運用に際し依存しているGPS機能が妨害により機能低下する事態に備え、真に自立した機能発揮が可能なシステムを開発し、強固に防御された空域での作戦に備えるべきだ」とも主張している
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XQ-58A 2.jpg約40億円の開発費と、2年半の期間で、既存技術を生かしてこれだけのものが実現でき、しかも価格が1機2~3億円なら90億円以上のF-35調達ペースを落としても、XQ-58Aの改良発展に投資した方が良いと思うのですが・・・。素人の知恵でしょうか?

突然、相次いで豪州と米国で、この種の無人ジェット機が公開された理由が良くわかりませんが、3月中旬の2020年度予算案発表に向けた「景気づけ」かもしれません

今後の動向に注目いたしましょう・・・

関連の記事
「豪州とボーイングが共同で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-2
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3

「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12

「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

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豪軍も無人ウイングマン機を2020年初飛行へ開発中 [安全保障全般]

Airpower Teaming S.jpg1日、豪州で開催中のAvalon航空ショーで、豪軍用のウイングマン無人機を同軍と共同開発中のボーイング社幹部が2020年初飛行に向け準備を進めている「Airpower Teaming System」のコンセプト映像を公開しました

このウイングマン無人機計画は、米空軍が2016年に公開した「Air Superiority 2030 road map」構想の中で「Loyal Wingman計画」と呼んだ考え方と同じで、編隊長パイロット搭乗友人機の僚機(ウイングマン)として行動する無人機を開発しようとするものです

この無人ウイングマン機はAIで自律的に飛行し、編隊長機と共に行動して編隊任務を遂行し、場合によっては編隊長機に先行して敵情報を収集したりすることも想定されています

Airpower Teaming Sys2.jpgまた無人僚機には、空飛ぶ弾薬庫や高性能センサー機であったり、電子妨害に特化した役割を担ったりなど、任務に応じて様々な機能をモジュール化して機体に組み込んで多様な任務に応用するなどのイメージもあるようです

なんといっても豪州軍で、しかも2020年には初飛行とのスピード感にびっくりですので、細部は不明ながらとりあえずご紹介しておきます

1日付Military.com記事によれば
ボーイングが公開した情報によれば、同無人機は第5世代機だけでなく、第4世代有人機のウイングマン無人機として、人工知能で自律的に活動する新たなコンセプトの機体である
●同航空ショーでの展示では、全長約12mで2000nmの連続飛行が可能で、「AIにより自律的に飛行して編隊長機や有人機をサポートしつつ、多機とは安全な間隔を保ちつつ飛行する」と説明されている

ボーイング社公開のコンセプト映像40秒


ボーイング社CEOのDennis Muilenburg氏は今回の発表に併せ、このAirpower Teaming Systemは、米国以外の企業で設計・製造される初めての(恐らくボーイング関連の)無人機であるとツイートし
●また同無人機に関しロイターは、WW2以来、豪州が開発にかかわる初めての作戦機になると報じており、ボーイングが約30億円を投資しているとも紹介している
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Airpower Teaming Sys3.jpg米空軍の「Loyal Wingman」計画は、2016年の「Air Superiority 2030」発表以来、米空軍研究所が2018年3月に公開した想像映像程度で、どうなっているのかさっぱりわかません。

まさか豪軍に完全に先を越されているとも考えにくいですし、もしかしたら米豪で開発を分担しているのかもしれません。 続報に期待いたしましょう

「Air Superiority 2030」関連の記事
「空軍研究所が関連映像公開」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-31-3
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

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女性初の米空軍戦闘飛行隊長は上官にレイプされていた [米空軍]

故マケイン上院議員の議席についた元A-10操縦者
空軍退役後18年、上院軍事委員会で明らかにする

Martha7 .jpg6日、元A-10パイロットで女性として初めて戦闘任務飛行を行い、更に女性初の戦闘航空機飛行隊長を務めた経験を持ち、現在は上院議員を務めるMartha McSally議員が、上院軍事委員会で現役時代に上官(a superior officer)にレイプされたと発言しました。

当日の上院軍事委員会は、米軍内の性的襲撃やハラスメント事案を調査し処罰等を検討する審議会メンバーから、問題発生部隊の指揮官を外すべきだとする規程改正を審議するために開催され、McSally上院議員は「反対」、つまり部隊指揮官は処罰にも関与して責任を果たすべきとの意見を述べる中で、自身の体験を明かしました

McSally議員については、昨年8月に亡くなったマケイン上院議員の議席の空席を埋める議員に指名されたことを昨年12月にご紹介し、女性軍人の道を切り開き、退役後も政界で活躍する様子を「東京の郊外より・・・」でも取り上げてきましたので、なんとも重苦しい気分です・・・

6日付Military.com記事によれば
McSally.jpg●同議員は「加害者はその立場と権力を悪用する。一つの事例として、私は上官の餌食となりレイプされた」と同委員会での同議員のオープニング発言で述べた
●そして、正式に同時案を報告することはなかったと述べたが、一方で、性的襲撃事案が軍内で問題となり始める中で、他者に自身が襲われたことを相談したこともあったが、だれも真剣に対応してくれなかったと語った

●「多くの私のような犠牲者と同様に、このような軍のシステムにより何度も繰り返しレイプされたように感じた」とも同議員は述べた

●2018年春の米国防省報告書によれば、2017年に5277名の米軍人が性的襲撃を受けたと訴え、その数は前年から10%増となっている
●McSally上院議員は、過去30年間に性的襲撃の訴えに対する米軍の対応は大きく改善し、その背景には勇気をもって訴えた被害者の声が大きな変化を生んだと感謝した

McSally2.jpg上院軍事委員会の審議事項に関し同議員は、「部隊長にはその部隊の高潔性や優秀さの背景を与える職務」があり、部隊長は意思決定や調査プロセスに関与すべきだと主張した
●また、「我々は、指揮官が指揮官であることの原点であるモラルに対する責任と指揮官が一体であることを認めなければならない」とも表現した

●同議員の発言を受け米空軍の女性報道官は、同上院議員に対する犯罪は「米空軍兵士としての全ての側面に違反する」、「同上院議員の経験に驚き、残念に思う。我々は同議員と全ての性的襲撃犠牲者と共にある」とコメントした
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米軍の中で女性の道を切り開いてきた人物で、政界に飛び込んでからも、議員スタッフから選挙に出馬し落選、臥薪嘗胆後に下院議員を2期務め、上院議員に挑戦して落選。しかしその人柄や働きぶりからマケイン議員の議席を任されることになった女傑です。

その経歴は以下の過去記事通りです
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-19

重苦しい話ですが、避けて通れないとも思い、取り上げました。米軍の、そして米空軍の闇深し・・・ということです

米空軍のA-10全廃案関連
「2名の女性議員が大反対」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「米陸軍は全廃容認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29
「視界不良:A-10議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07
「F-35整備員問題は何処へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-18
「米空軍:A-10はあくまで全廃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15

関連の記事
「女性兵士の装具改善に時間必要」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-13
「今頃・・女性兵士にフィットした飛行服等に改良へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07
「女性初のF-35操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-08
「女性だけの編隊で攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04

軍での女性を考える記事
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

女性と徴兵制
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22

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5月末でWilson空軍長官が辞任 [米空軍]

テキサス大学の学長に就任へ
2017年5月に就任し、2年で退任へ

Wilson4.jpg8日、Heather Wilson空軍長官が5月末で辞任してテキサス大学学長に就任することをトランプ大統領に申し出、了承されたと発表しました

米空軍士官学校を1982年に女性第3期生として卒業し、1998年から2009年まで下院議員として活躍し、初の空軍士官学校卒の空軍長官として、また3人目の女性空軍長官として、2017年5月から任についていたところでした

Wilson空軍長官への評価は高く評判の良くないShanahan臨時国防長官に代わり、正式な次期国防長官の有力候補者として議会等から推す声が強かった人物です

wilson8.jpgまた米空軍内でもそのリーダーシップを評価する声が多く、Goldfein空軍参謀総長が「Wilson空軍長官を得たことは、米空軍にとって宝くじに当たったようなものだった」と表現するほどでした

一方でトランプ政権との関係は微妙で、昨年10月には、大統領が打ち出した「宇宙軍創設」に対しWilson空軍長官が消極的だとして、同長官「更迭」がホワイトハウス内で検討されているとのリーク記事がメディアを賑わす事もありました

マティス前国防長官も当初から2年勤務と決めていたようで(実際には1年9か月で更迭)、トランプ政権下で国防省の主要ポストについていることは、良識ある人にとってはとても耐えられないことなのでしょう・・・

8日付Military.com記事によれば
Wilson6.jpgロイターが8日最初にWilson空軍長官辞任を報じたが、その後同空軍長官はメディアに声明を発表し、「空軍兵士たちと共に過去2年間勤務できたことは光栄なことで、国防力の回復に携われたことを誇りに思う」と述べた
●更に「米空軍の即応体制を向上させ、調達スケジュールの期間を削減し、競争原理により装備品価格の低減に努め、過剰な規則の削減にも成果を上げた」とした

●8日にテキサスの地元紙webサイトは、テキサス大学の評議会が満場一致でHeather Wilson女史の学長就任を承認したと報じている
空軍長官就任直前には、Wilson長官は「South Dakota School of Mines and Technology」の学長を務めており、大学運営の経験を持っている

Wilson2.jpg●Wilson長官は上記の声明で述べられている取り組み以外に、女性やマイノリティーの米軍内での地位向上に努力し、「歴史的には米軍内で活躍が目立たなかったこれらの人たちのために、生きたモデルとなる人材、将来の可能性を感じられる人材の存在が重要だ」と、機会をとらえて語っていた
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マティス長官が去り、その後任の有力候補と期待された人物も去り・・・。米国防省はどんな人材が支えていくのでしょうか???

米軍の前線をさせる兵士や現場指揮官の苦労を考えると、胸が痛みます

Wilson空軍長官関連の記事
「F-15Xは空軍案には入っていなかった」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「S臨時国防長官の後任か?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-23
「Wilson長官のご経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24
「北極圏に関する寄稿」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-13
「戦力大増強と原点回帰訴え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19-1

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米空軍がKC-46A受け取り拒否:機内にFOD多数 [米空軍]

重大不具合を抱えたまま初号機受領したものの、早くも別の安全不具合発覚

KC-46-4.jpg1日、Will Roper米空軍調達担当次官補が記者団に対し、ボーイング社から受領したKC-46A空中給油機の機内に製造時に使用し残置されたと思われる工具や部品が複数の機体で見つかったことを受け、重大な安全上の懸念を生じたとして、同社からの同機体の受け入れを一時中断すると明らかにしました

F-35やB-21爆撃機と並び、米空軍のみならず米軍の最重要調達案件の一つであるKC-46ですが、これまでも繰り返しお伝えしてきたように開発過程でトラブルが頻発し、初号機の納入が2年遅れ、開発費も約4000億円超過していると言われています

種々のトラブルや経緯は末尾の過去記事でご確認いただくとしても、今回の問題は安全に直結することで、かつ製造現場の管理や躾に直結する問題であり、複数の機体で発生していることからすると、米空軍も「目をつぶる」訳にはいきません

日本も輸入する重要な機体ですので、とりあえずご紹介しておきます

1日付Defense-News記事によれば
KC-46A1.jpg●1日Roper次官補は、噂が流れていた米空軍によるKC-46受領中断の報について事実だと認め、米空軍として一連の事象について調査していると語り、受領再開までには「some time」が必要だと表現した
●同次官は「製造ライン上のKC-46上で発見され問題のとなっているFOD(Foreign object debris)に関する情報を入手することが出来た」、「製造ラインのどの部分に係ることなのか、どの程度広範に生産ラインが関係しているのかを精査している」と記者団に語った

●今回の事象の原因が「どのプロセスに関係しているのか、製造ラインの文化に根っこがあるのか、監督者やリーダーシップに問題があるのか等について分析している」、「機体受領に必要な基準を満たしているのか確認するため、当該ボーイング工場に赴く必要と考えている」とも述べた

2月28日の時点で同次官補は、問題となっている機体に残置されていた部品や工具への懸念から、同機を1週間程度飛行停止にすると述べた一方で、製造現場の米空軍チームからの報告内容はそれほど深刻ではなく、28日夕刻に2機の機体を受領する方向だと語っていた
機体の受領を当面中断するとした1日に同次官補は、今後の対応について、また米空軍輸送コマンドや国防契約管理庁などなどと協議していないと述べていたが、その方向を米空軍は望むだろうとしていた

少なくとも10件の機内残置FODレポートが
KC-46 Boom3.jpg●最初に本件を報道したSeattle Timesによれば、ボーイング社の製造作業員が機内に残置した工具等が発見された事案が工場内で8件、また米空軍に納入された機体で2件報告されている

●同次官補は上記以外の問題の存在に言及しなかったが、米空軍は根本原因追求とその程度や範囲を見極めるべく調査していると語った
●「過去のFOD事案を振り返ると、大小さまざまな案件がある。ただ本件に関しては根本原因が分かっていない。安全に関しては我々は保守的で慎重な姿勢をとるべきだと考えている。対応について言及できないが、機体受領を停止する十分な懸念が存在している」とも同次官は表現した

●一方で同次官補は、ボーイングに13項目の改善事項を提示し、対応計画を提出するよう求めたと明らかにした。なお、今回の対応に必要な費用はボーイングが負担し、既に納入済みの機体への点検をボーイングが行うことになっている

KC-46 Boom4.jpg●ボーイングは今年2月に約2年遅れで初号機を納入し、現在までに計6機をカンサス州のMcConnell空軍基地とオクラホマ州のAtlas空軍基地に納入している。
●「追加経費やコストの問題ではなく、遅れている要員養成の問題が米空軍には重いのだ」と同次官補は付け加えた
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Roper次官補が何回も記者団に、「根本原因: root causes」とか「如何に広範な問題か不明:not clear how extensive」との言葉を使っている事からも、問題の深刻さを感じさせます

ボーイングはKC-46を甘く見て、人材をB-21爆撃機やMQ-25空母艦載無人機の開発に投入してしまったのでしょうか? 

続報を待ちましょう・・・

米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「7機種目の対象機を認定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08-3
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

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太平洋と宇宙の空軍司令官が語る [米空軍]

Air Warfare Sympo.jpg2月28日に開幕した米空軍協会主催のAir Warfare Symposiumから、太平洋空軍司令官と空軍宇宙コマンド司令官の話をご紹介します

太平洋空軍司令官は同エリアでの燃料や弾薬の備蓄不足を、宇宙コマンド司令官は国際協力の重要性と取り組みを語っています

Air Warfare Sympo2.jpgPACAF司令官がこんなこと公の場で語って良いのですか?・・・と突っ込みたいところですが、厳しい予算とトランプ政権の予算編成に我慢ならない不満の爆発なのかもしれません。

宇宙コマンド司令官からは、同盟国が初参加する「Space Flag」演習の話が出ています

太平洋空軍司令官は弾薬燃料不足を
●2月28日、Charles Brown太平洋空軍司令官は欧州空軍司令官と共にパネル討議に登壇し、中国やロシアを念頭に「near-peer adversary」との大規模紛争の発生を想定した場合、弾薬や燃料等の必要資材や資源が不足しており、希望を100%満される可能性は無いとまで述べた

Brown.JPG●同大将は「現時点でアジア太平洋地域に十分な航空機燃料や弾薬備蓄はない」 、「欧州大陸とは異なり、太平洋軍担当エリアには、物資輸送や拠点間をつなぐための道路や鉄道がなく、必要資源の移動に時間が必要だ」と述べた
●また同司令官は、太平洋空軍と地域の同盟国は、必要資材等を事前集積の協議を進め、また地域の飛行場サーベイを行い、航空燃料を調達するアイディアを得るべく取り組んでいる説明した

米空軍宇宙コマンド司令官は国際協力について
●1日、米空軍のJay Raymond宇宙コマンド司令官は、宇宙での長期的な支配力を確保するため、同盟国等との協力が極めて重要だとの認識を示し、2019年の新たな取り組みについて語った
●今年8月に予定されている第6回目の宇宙演習「Space Flag」に、初めて同盟国等からの参加者を迎える計画である

Raymond-Space.jpg●空軍参謀総長も宇宙ドメインでの国際協力を推進するため、今年4月に同盟国等の空軍参謀総長たちに声をかけ、「Space Foundation’s annual Space Symposium」に招待する予定である
●更に同じ4月の「Space Flag」には、初めて米国防省の諜報機関である「National Reconnaissance Office」も参加する

●国際関係の強化は、宇宙に関するデータ共有を多方面で進める必要があるとの認識を受け、他軍種や他政府機関と並んで重視されている事項であり、同時に情報を共有することで宇宙活動コストを抑える狙いもある
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米空軍協会主催のシンポジウムは年に2~3回あり、空軍長官や参謀総長など主要幹部が集結し、軍需産業や専門家も集まるのですが、今回は米空軍首脳が皆「戦闘服」や「飛行服」で登壇しており、まんぐーすが知る限り初めてです

gatesMarine.jpg「前線兵士と心を一つに」とか、「常に実戦感覚を持って業務に取り組め」などのスローガンの下に、司令部やオフィス勤務者も「戦闘服」勤務にする指揮官が多いのですがかつてペンタゴンでの「戦闘服勤務」を止めさせた国防長官が居ました

ロバート・ゲーツ国防長官です。ゲーツ長官が「戦闘服を着ているだけで現場のことを考えているような振りをするな!」と一喝し、服装規則通りの各軍種制服を基本とした服装に戻したということです。正論だと思います

安全保障感覚の「体幹」を鍛えるために!
「ゲーツ元長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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RAND:米空軍のidentity crisisをレポート [Joint・統合参謀本部]

これは国防省の委託研究レポートです
膨大な関係者インタビューに基づく実態レポート
まんぐーすより辛辣です。米国は懐が深い・・・

RAND ID Crisis.jpg25日、国防省Net Assessment室が依頼した米軍(陸海空海兵隊と特殊作戦群)文化を描写したレポートMovement and Maneuver: Culture and the Competition for Influence Among the US Military Services」をRAND研究所が発表し、米空軍は「identity crisis」と悪戦苦闘していると分析している模様です

タイトルからは内容がピンときませんが、匿名の現役とOBの軍関係者多数へのインタビューを主な情報源とし、上記各軍種の考え方や組織文化や思考パターンを分析し、米空軍については、戦闘機パイロット中心の階層社会、航空優勢確保の重要性を訴え予算を確保、他軍種からの不満と戦い方の変化を前に「identity crisis」に直面などなどの側面から描いているようです

依頼元の国防省Net Assessment室(数年前まで国防省のヨーダ、Andrew Marchall氏が率いてきた戦略研究室)は、1986年のGoldwater-Nichols法により各軍種の資源争い行動パターンが変化してきたか、今後の特に対中・対北の緊急事態にどう対応してかを「問い」として提示したようで、その点からして興味深いのです

残念ながら、パターンの変化や緊急事態対応に部分まで細部をご紹介できませんが、同レポートを紹介するメディア記事やRANDの概要紹介分から、4軍の予算獲得文化の概要に触れた後、米空軍部分をご紹介します

まず、陸海空海兵隊と特殊作戦群を端的に表現すると
Milley.jpg米陸軍は自身をリーダーシップと指揮の達人だと位置づけ、予算等確保のため、資源削減は国家にとって受け入れがたいリスクだと主張する。通常地上戦力の中心との位置づけ確保を追求し、全ての事態への参加を追求する
米海軍は綿密に練られた戦略と、統合への執拗な抵抗を通じ、予算確保を狙っている。前方展開戦力や戦力投射能力を維持して他軍種との競争力を維持し、海軍独自の任務を国防省に受け入れさせる

米空軍は成績優秀者に早くから優先投資して昇任させ、また上級者の能力管理開発で優位性を確保しようとしている。技術開発やイノベーションに精力を注ぎ、航空優勢確保を米軍戦略の中で中心に据えることで、他軍腫支援やサイバーや宇宙任務に埋没しない事を目指している
Neller4.jpg海兵隊は議会や一般国民にアピールし、その選ばれしものとしてのブランド維持によって地位を確保しようとしている。

特殊作戦軍は作戦面での信頼性、戦闘コマンドと軍種のような位置づけの間を戦略的に浮遊、議会からの強い支援を基に資源確保に当たっている

米空軍に関しての分析では
米空軍の主目標は航空優勢獲得を米軍戦略の中核に据えることで、国防省首脳や議会に対し、空軍は他軍種のサポート役ではなく、それ以上の存在であることを認識させて予算等を確保することにあり、空軍にとっての義務である
Goldfein1-1.jpg●2002年以降の対テロ作戦においても、空軍が直接的な戦闘力であるように見られることが重要であった。しかし統合作戦立案において、空軍人の存在感が薄いことを現空軍参謀総長は問題視し、統合レベルで活躍する人材育成を重視している

●米空軍内では主要なポストを戦闘機パイロットが支配しており、戦闘機以外の職域やサイバー宇宙への資源配分や注目が疎かになる。そして戦闘機パイロットが一番で、爆撃機が2番、その他はその下・・・との階層を組織内に生み出している
その階層社会文化を変えたいとの希望はほとんどなく、ある退役将軍は「現職の空軍参謀総長が任期途中で更迭されない限り、他職種の将軍が参謀総長になる可能性は低いし、他職の将軍は参謀総長になりたがらない」と言い切っている

F-35 luke AFB2.jpgしかし全体として、米空軍指導層の間には劣等感があり、今後も継続して他軍種よりも予算を確保していくために必要な任務をアピールしていく難しさを感じている。またこれまでの予算獲得争いで、他軍種から怒りを買っているとも感じている
空軍外部の者は米空軍を、技術偏重で、予算獲得争いには強いが、組織内部の「identity crisis」に直面していると見ている
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6名の同レポート著者は結論部分で各軍種の特性は根強く生き残っており、1986年のGoldwater-Nichols法以降も各軍種は強い力を維持しているが、状況や情勢に応じ緩やかに変化しつつあり、国防長官室、メジャーコマンド、統合参謀本部が力を強め、また海兵隊や特殊作戦軍の活躍場面の増加に伴いに、予算獲得競争は複雑さを増していると記しています

F-22Hawaii3.jpg用意周到・動脈硬化、伝統墨守・唯我独尊、勇猛果敢・支離滅裂・・・等と自虐的に表現される自衛隊の描写と似ているとの第一印象ですが、何せ267ページの膨大なレポートですので、対中国や対北朝鮮有事対応への影響部分など、ご興味のある方は、是非ご覧ください


RANDの関連webサイト
→ https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR2270.html 

RANDのレポート記事
「中国空軍戦力に新たな視点でアプローチ」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-30
「朝鮮半島統一のためには」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03-1
「必要な米空軍戦力量は」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-02
「中国の核抑止の変化」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-19
「台湾よ戦闘機を減らせ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-07
「女性特殊部隊兵士の重要性」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「RAND:米中軍を10分野で比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18

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