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予算案の提出は1週間遅れ [パネッタ国防長官]

obamaFiscalPolicy.jpg大統領選挙戦で共和党の混戦がメディアの注目を集める中、オバマ政権側もアピールの機会を伺っているのでしょうか。
例年、2月の第一火曜日に政府から議会へ提出されることが恒例になっていた年度予算案が、今年は一週間遅れの2月13日提出になるようです。政府関係者が23日明らかにしました。

当該政府関係者は、「最終的な意志決定と事務技術的な細部作業のため」と一週間遅れの理由について説明していますが、全ての政府機関や報道関係者も2月6日を予期していただけに、憶測を呼びそうです。
政府予算案を取りまとめるOffice of Management and Budget (OMB)の室長が、年初にホワイトハウスのスタッフ長に指名され、副室長が業務を仕切ることになったようですが・・・。その影響でしょうか。

そんな中パネッタ長官は20日、部隊を訪問してF-35Bの経過観察を解除し、空母11隻体制維持を表明する一方で、各種軍需産業団体の主要役員など関係者約40名を集め、予算削減の中における軍需産業対策について意見交換した模様です。

参加した企業関係者によると・・
panettaSASC2.jpgパネッタ長官は予算削減による軍需産業への影響を強く懸念しており、企業保護のための複数の改革を視野に置いているようだ
●同長官は、年初に軍需産業3団体が個々にまとめた現状に関する報告書の内容について多くの時間を割き、意見交換を行った
●特に雇用への影響を長官は気にしており同盟国等への輸出増加や貿易管理システムの改革、また調達プロセス改革により予算縮減の中でも産業界を支えたいと希望しているようだ

26日の2013年度予算案説明では、軍需産業対策について細部に触れることはないようだが、金曜日のミーティングは非常に生産的だった。
今後も継続する国防省と軍需産業間の話し合いは、戦略的見直しに伴う移行期を乗り切る上で共通の理解を促進することを確実にしてくれるだろう
予算案に関する細部やそれを伺わせるシグナルは無かったが、予算発表後も対話を継続するとの話があった。
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徐々に「ガス抜き」を行っているのでしょうか・・・。
種々の削減案検討の過程で、企業側にも様々な見積もり依頼や問い合わせをしているはずで、うすうす双方が感じ取っている部分はあると思うのですが。
obama3.jpg
一般教書演説は日本時間の25日午前11時頃開始と思われますが、中流階級支援をどのように打ち出すのか、国防予算を巡るゴタゴタについてどのような言及があるのか注目ですね。

「武器輸出・共同開発の方針転換」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22  
「武器輸出管理の仕組改善とQDR」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-09  
「QDRの「(軍需)産業基盤の強化」」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-08

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空母11隻態勢維持を明言 [パネッタ国防長官]

panettaCV65-11.jpg21日、パネッタ国防長官は大西洋上で訓練中の空母エンタープライズを訪問して兵士を激励すると共に、「おみやげ」として、予算削減の中でも空母11隻態勢を維持するとのオバマ大統領決断を伝えました乗組員からは大歓声が上がったようです。
ただし、この空母エンタープライズは51年にわたる現役を終えて本年末には退役するため、建造中の空母Gerald Fordが完成するまで、3年間は10隻態勢でしのぐようですが・・・。

26日予定の2013年度予算案発表に向け、予算削減対象の「噂」で必ず議論に上っていた空母の建造・維持管理経費。空母以外で何を削るのでしょうか
なお、訓練後の本年3月に同空母は中東へ派遣される予定で、パネッタ長官からは「イランへ明確なメッセージを送り続ける」役割を担ってもらうとの発言がありました。最後まで緊張の任務が続くようです。

パネッタ長官は空母乗員に対し・・
panettaCV65.jpg空母は我が軍に於いて重要な役割を担っており、それは将来においても変わることはない。君たちは、我が軍の多様な能力、柔軟性、緊急展開能力を体現し、世界中で敵に対処できる力なのである。
●これが正に、大統領と米国防省全員が、空母11隻を維持することが重要であると判断した理由である。

●本艦は中東に派遣され、現在活動中の空母カービンソンやリンカーンと共に湾岸地域で活動し、ホルムズ海峡も通過することになろう。我々は世界のこの地域でも、如何なる事態にも対処出来る態勢を維持し続ける。
●国際社会と協力し、イランに対する制裁を継続する。我々はメッセージを明確に送り続ける。我々が準備を整え、強力であり、本地域にプレゼンスを維持し続けることが明確なメッセージを送るに最も重要である。
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24日に大統領の一般教書演説、26日に国防省の2013年度予算発表と今週は米国の話題が多くなりそうです
ただ、予算削減額に関しては依然として$487 billionのみを対象として2013年度予算も検討されているようで、それ以上の部分がどうなるのか民主・共和両党の間で全く話が進んでいないようです。
空母11隻態勢も、それ以上に削減されれば保証の限りではないのでしょう

ブルッキングスのMichael O’Hanlonは
O’Hanlon.jpg●今後10年で、国防費を8-10%(約$500億ドル)節約するのは、困難だが不可能ではない。陸軍は一つの戦争だけに備え、海軍は285隻から250隻に削減し、核戦力維持の経費を節約すればどうにかなる。何とか軍人の給料カットを回避し、東アジアとペルシャ湾間の両方に備えることが可能

しかし、15-20%のカット(約$ 1兆ドル)になると、単に軍事費を削減するだけでなく軍人の給料も下げねばならなくなる。また、ペルシャ湾と東アジア太平洋の二者択一になる。
●つまり、地上軍は不足が明確だった1990年代レベルにまで下がり、海軍は西太平洋とペルシャ湾の二者択一を迫られる。そして、軍需産業は衰退し、いざという場合に対応不能となる。

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「兵士の誇りに一点の染み」 [パネッタ国防長官]

(被害者に対し、)ベストな支援を物心両面で提供し、同様な事案が他に起こらないようあらゆる手段を講じる

panettaSA.jpg18日、パネッタ国防長官性的暴力(Sexual assault)」への対処策強化について会見を行いました。先日の記事で、空軍女性兵士の「5人に一人」が被害者であるとの衝撃の調査結果をご紹介しましたが、国防省全体も似たような状況にあるようです。

会見では、昨年の被害届は約3200件であるが、潜在的には約19000件の被害があるとの見積もりが語られており、在職女性の「5人に一人」との話が現実に重くのし掛かっているようです。今後数ヶ月で追加の対策や立法措置が必要な施策を推進し、兵士の配偶者や子女への支援も行うとしており、問題や被害の根深さを伺わせます。

パネッタ長官は問題の難しさを・
●性的暴力は、司法機関にとって一般社会においても対応が難しい犯罪である。この犯罪の被害者は、訴えることをためらう。同僚からの目を気にしたり、自身の人事管理への影響を恐れたりして被害届を出さないのだ
●国防省のリーダー達は、被害届が出しやすいように部隊や兵士の考え方を変えていかなければならない。そのためには指揮官達の本問題への意識を変えなければならない
●被害の訴えに基づき訴追件数が増えれば、組織の中に問題意識が高まるはずだ。捜査に当たるモノも積極的になって欲しい。そして被害者が適切に扱われるようにして欲しい。

パネッタ長官は4つの施策として
●1つ目、被害者がベストなケアを受けられるように、各部隊や機関の担当部署や担当者に適切な国家資格を取得させるようする。又は有資格者を配置する
●2つ目、被害者へのサポート態勢を、配偶者や子女にも新たに拡大。また海外勤務や戦闘地域の国防省シビリアン職員や契約業者職員にも緊急対応支援や相談窓口を提供する
●3つ目、事案の調査官や軍の法律関係者に所望の教育訓練を施す予算の計上。更に事案のデータベースを本年末までに整備
●4つ目、前線で防止策にあたる士官や上級下士官への教育プログラムを120日でまとめさせる

本件については昨年12月末に2つの基本対処指針が示されていたようです。
panettaSA2.jpg●1つ目。被害報告には2種類、通常被害報告と流通制限報告(restricted report)を設ける。
---通常報告を提出すると、被害者はオプションで部隊から移動し、加害者から離れる要望が出せる。直属上司は72時間以内に返答が求められる。直属上司が認めない場合、上級部隊等の窓口に訴えると、72時間以内に上級部隊も対応を決定しなければならない。
---流通制限報告の場合、医療的措置やカウンセリングを受けることが出来るが、上司等へは通知されない
写真の女性は、国防省担当室長のヘルツォーグ少将

●2つ目。通常報告は50年間保管され、被害者が退役後に必要な措置を退役軍人省を通じて執る際に活用できる。制限報告は5年間保管する。

最後にパネッタ長官は被害者に向け・
●私は、このような犯罪が米軍内にあることを深い悲しみを感じている。私はこのような犯罪を防止を引き続き最優先課題とし、全力で取り組む。
●私には皆さんに必要な物心両面の支援を提供する事を約束するとともに、皆さんに起こったことが他で起こらないよう、あらゆる施策を講ずる。
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年間に約19000件・・
被害者への対応と同時に、グレーなケース(同意が有りか無しかで意見の対立)への対応とその労力を考えると、部隊指揮官にとっては大変な仕事です。
以前の記事では、被害発生率は米一般社会と同レベルらしいので、日本でも同様の事象があるのかも知れません。「対岸の火事」であることを祈るばかりです

しかし、パネッタ長官が自らが登場しての記者会見。事の重大性と士気や兵士募集への影響を考慮すれば、「同性愛者の入隊」以上に大きな課題です。

「米空軍は5人に一人」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10

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欧州米陸軍は2個旅団削減 [パネッタ国防長官]

Panettatexas.jpg12日、パネッタ国防長官はテキサスへ向かう機中で同行記者団に対し、先週オバマ大統領臨席のもとで公表した今後10年を見据えた新国防戦略関連の具体的な動きとして、欧州に配備している陸軍の2個戦闘旅団(brigade combat teams)を削減し、他地域からの部隊が定期的に派遣展開(Rotating Units)する方式に変更すると語りました。

米国防省HP記事のタイトルと概要は・
「Army to Replace 2 Brigades in Europe With Rotating Units」

●先週の発表でオバマ大統領は「air-sea doctrine」を強調し、米国が1つ以上の脅威に同時対処できる態勢をより良く確保すると強調した、とパネッタ長官は再度述べた
●ただし依然として地上部隊は重要で、海兵隊も含めアフガンや朝鮮半島で、また他地域でも同盟国等との関係をつないでいる。
●我々は中東とアジアでプレゼンスを維持していく海軍と空軍を活用するが、如何なる紛争でも地上部隊の潜在ニーズはある。

panettaonboard.jpg●私は、特殊部隊や海兵隊部隊のような、陸軍部隊のローテーション展開方式に興奮している。展開して訓練を行い、南米やアフリカや他国にプレゼンスを示すと共に、他国との関係を強化できるからである。
オディエルノ陸軍参謀総長も同様の考えを持っている。特に、機動展開能力を強化できる点を非常に高く評価している。この方式は、地上部隊を将来にわたり意味あるモノにするだろう。
●欧州は結果的に、イラクやアフガンへの派遣で不在の状況が継続していた頃よりも、米軍を多く目にするだろう

国防省高官は・・
既に欧州の指導者には本計画を伝えてあり、米国とNATO双方にとって良いことであろうと了解を得ている。
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2月の2013年度予算案発表に向け、新国防戦略の具体的姿を、つまり、どこをどれだけ削減するかを徐々に明らかにすることで「ガス抜き」を図っているのでしょうか・・・。

「新味なき新戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06

ところで最近シュワルツ空軍参謀総長の言葉を聞きません。海軍トップが新態勢に向け論文や講演を行う中で、空軍の出遅れや煮え切らない態度が目立ってきたように思います。

「海軍トップが2025年の海軍を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19
「補足:海軍トップの論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-20

schwartz_315.jpgおそらく、組織内で力を持つ戦闘機パイロットをはじめとする操縦者が、自分の職を奪われる可能性のある動きに対し、組織防衛を図っているモノと思います。または軍需産業からの横やりが強力なのかも・・。
はたまた、将来配慮が必要なサイバーや宇宙関連の支出増の飲み込みに苦労しているのでしょうか? いずれにしても、一つの鍵、不安定なF-35と運命を共にすることに成らないことを祈るばかりです。

「空軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07

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新味なき戦略発表 [パネッタ国防長官]

●安物オペラより中身なし。実質7ページのペーパーは既知の内容がほとんど
●具体的数字等は来月予定の予算案公表まで待たねば

dodObama.jpg5日、オバマ大統領がわざわざペンタゴンで会見を行って公表した「Sustaining Global Leadership: Priorities for 21st Century Defense」との実質7ページの文書は、会見室を埋め尽くした記者達を大いに落胆させたようです。
各種軍事情報サイトは、例えば「they came away disappointed」との表現で会場の雰囲気を伝えています。

新聞報道が取り上げている「西太平洋重視」や「2正面作戦放棄」や「Air-Sea Battle」は織り込み済みで、「各軍種横並び一律カットではない、戦略に基づく投資」は既に耳にタコほど聞きました。

軍事記者達(まんぐーすも)が例えば待っていたのはF-35の調達をどれだけ削減・遅らせるか」、「地上兵力をどの程度削減するか」、「予算強制削減の影響をどのように反映するか」への回答でしたが、全ては一般教書演説後の来月に予定の予算案公表まで先送りされました。

新たな(?)ガイダンスが重点投資に挙げたのは
●接近拒否戦略への対抗手段:ステルス、長距離攻撃能力、無人システム
サイバー戦への備え
大量破壊兵器、特殊作戦、対テロへの備え
パートナーシップ強化計画

多少具体的な削減表現(雰囲気)があったのは・・
核戦力(部隊)の削減
欧州米軍の変化
アフリカや南米での支援計画の見直し

目新しい言葉としては「Reversibility(可逆性)」
●「Reversibility」とは、国防省が削減や遅延や縮小する全てに関してそれを「undo」する能力を維持する事を意味する。

発表について5日付「DODBuzz」は・・・
dodPanetta.jpg具体的予算案発表前の空騒ぎ前奏曲に過ぎず
マスコミや国民の目が、アイオワ州やニューハンプシャー州の共和党予備選挙に向く中、大統領が共和党から叩かれている「国防に冷淡」とのイメージと戦うため、わざわざペンタゴンで将軍達を引き連れて演説する機会を設けたような気がして成らない

●両党波の折り合いが付かず、昨年11月23日に決定した予算の強制的削減への対応には何も触れなかった。パネッタ長官がわずかに、そのようなことがないことを望む、とコメントしただけで何も前進しなかった
●ワシントンDCの全て、いや全世界が注目したオバマ大統領のペンタゴン訪問による発表とパネッタ長官の登場は、結局行き詰まりが継続することを確認して終わった

5日付「Defense Tech」は
●この文書は、今後の兵器購入や戦力構成決定を導くモノであり、さらっと読めばよい(so have a blast reading the tea leaves)。
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DOD2012.JPG年末年始の不摂生からくる気力不足のため、実質7ページ余りの文書を十分見ないで書いてしまいました

余りにも軍事サイトの評価が冷淡で、まんぐーすがパラパラ見ても具体的な内容が無いことは明らかなように思いましたから・・。

会見質疑も含め、何か気づくことがあれば補足いたします。

●戦略の背景にある米中衝突シナリオ
「1/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1
●既に進行中の本戦略
「補足米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-2

●既に語られた本戦略
「パネッタ長官初のアジアツアー」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「米国の姿勢シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2025年の海軍を語る」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19
「補足海軍トップが語る」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-20

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パネッタ長官:対イラン攻撃は・・ [パネッタ国防長官]

イランへの軍事力使用は核開発を1~2年遅らせるだけ。派生的影響の方を懸念

Israelsab.jpg2日、パネッタ国防長官がイスラエルの在米団体であるSaban Center主催のフォーラムで講演し、イスラエルが懸念を深めている核開発を含むイランへの対応について語りました。
Willard Intercontinental Hotelという、ホワイトハウスに近い由緒正しき超高級ホテルの最上級ボールルームにゆったりと席を配置し、イスラエルと米国の国旗を並べての演出は、まだまだユダヤロビーの威光衰えず・・・を感じさせます。

ただ、この講演後の4日に、米軍の無人ステルス偵察機がイランの手に渡ったとの情報が世界を駆けめぐっており、「一寸先は闇」の世界情勢を暗示するかのようです。

パネッタ長官はイスラエル関係者に・・・
●イラン大統領はイランの核開発は平和目的だと主張しているが、11月にIAEAは公表したレポートは、イランが核兵器開発に取り組んでいる証拠を提示している
●イランによるウラン濃縮や弾頭化への取り組みはIAEAレポートで明らかで、更にヒズボラ、ハマス、他のテロ組織支援も継続している

IsraelSaban.jpg●現時点でも、経済及び外交的な制裁措置が大きな影響を与えていることは間違いなく、イランは国際社会の中で孤立を強めている。特に在テヘラン英国大使館への襲撃事件の影響は大きい。
●11月オバマ大統領も、核兵器への願望を持ったイランと交渉する選択肢は全くない、と述べている。国際社会も共通の目標を持っている。それはイランに核兵器を開発させないことである。そしてそのために、イランに国際社会で圧力を掛け続けることである
●圧力を掛け続けることにより、何時か彼らは、破滅か国際社会への仲間入りかを選択しなければならなくなる

●イスラエルのネタニアフ首相は「イランへの軍事力使用は最後の手段である」と述べている。
●イランに対する軍事力使用は、せいぜい核開発を1~2年遅らせるだけである。むしろ懸念されるのは、攻撃によって生じる予期しない派生的影響である。弱体化しているイラン政権を強化するかも知れないような地域への反動を懸念している。
●また、イラン攻撃による派生的影響は、欧米経済を含む世界経済に影響を与え、更に地域に核開発競争を起こしかねない。それは中東全域を対立と紛争に巻き込むことになる。

●我々の取り組みは効果を上げており、経済と外交的制裁を継続しなければならない。軍事的制裁は最後の手段であらねばならない。
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Israel.jpg米国の対イラン政策では、「経済や外交的手段でまず対応。しかし如何なるオプションもテーブルの上にある」との表現がこれまでの定番だったようなに思いますが、そのラインから一歩後退し、軍事オプションに対しより慎重になったように感じます。

まさかですが・・・この講演のこれらの表現を聞いて、イランが強気に出たのかもしれませんね・・・・。

「前モサド長官イラン攻撃は馬鹿」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-12
「なぜアフガンにRQ-170が」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28-1
「ビンラディン作戦とRQ-170」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03

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パネッタ長官「リーダーは困難な選択を」 [パネッタ国防長官]

久々にパネッタ国防長官に登場いただきましょう
panettaStimson.jpg30日、某シンクタンクが選定した「実用主義と理想主義の両方の体現に優れた指導者」に選ばれたパネッタ長官が講演し、混乱する米議会や政治指導者の状況を非難し、困難な状況下のリーダーについて語りました。

シンクタンクStimson Centerが主催した毎年恒例の行事ですが、パネッタ長官を讃えるゲストとして、クリントン元大統領(パ長官がホワイトハウス参謀長として支えた)、クリント・イーストウッド(パ長官が議員時の地元市長)、ペリー元国防長官(クリントン政権で長官)が登場する大きな行事だったようです。

パネッタ長官は講演で・・
●我々の民主主義は、リーダーにも危機にも統治されうる。リーダーシップが不在だと、危機に政策が翻弄されることになる
米国民の政府機構に対する信頼を、いろいろな意味で失ってしまったのではないかと危惧している。なぜなら、我が民主主義に必要な献身、犠牲の精神、ハードワークを、国民が目にすることがないからである。
●我々は全てこの国の統治を助ける責務を負っている。3権分立は素晴らしい形式だが、同時に停滞・行き詰まりを招く意味でも完璧な仕組みである

stimson.jpg●この停滞や行き詰まりを打ち破るには、リーダーシップを発揮し、妥協点を見つけ、答えを導くために犠牲を受け入れる人の営みによるほかない。
これこそが我が民主主義の核心であり全てである。そしてこれこそが今欠けているモノである。共に協力して犠牲を分かち合い、妥協点を見つけ、リーダーシップには付きもののリスクを引き受ける必要があるのだ。
●本シンクタンクの創設者Henry Stimsonは言った、「最後の勝利に向けて善道を追求して止まない者は、つまづきや災難に遭遇しつつも決して敗北しない。その過程で最も卑しむべきはcynicism冷笑主義、皮肉な見方、無視する態度)である」

●今晩のこの時から、米国はこの危機を乗り越えられないとか、下降線をたどると言ったcynicismな見方と私は戦う決意である。同時に米国の指導者は、国のため最前線に自らの命を捧げて立つ者たちの精神に思いを致すべきである。
●国の選ばれたリーダー達は、国家の重要な問題を解決するために困難な選択を進んで行う者たちであることを、国のため前線に立つ者たちに確信させなければならない
アメリカンドリーム、つまり、我々の子供達に、より良い人生を与えたいとの夢のために
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panettaL.jpgこんな話を日本語で聞かなくなって久しいような気がしますが、まんぐーすは時々は取り上げたいと思います。
ゲーツ前長官の語り口とは別のアプローチで、貧しいイタリア移民の子供であるパネッタ長官の思いにも、味わい深いものがあります。

冒頭のジョークは、「クリント・イーストウッド監督には、僕の映画を作るとしたら、僕の役は・・・にやらせろ、と伝えてある」等々・・いろいろあります。ぜひトランスクリプトでご確認

「運命の傍観者たることを拒む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-1
「パネッタ長官が使命感と信条を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-07

「政治家よ目をそらすな議論を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「米国がやらねば他はやらぬ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1
「米国の将来を悲観するな」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09

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追加:予算削減の正直な影響を教えろ! [パネッタ国防長官]

panettapress.jpg11月10日、パネッタ国防長官はデンプシー統合参謀本部議長と共に記者会見に臨み、「予算削減の痛み」を当面今後5年間の削減計画を示すことで説明する方向であることを明らかにしました。

450 billionドル以上の削減目標の一部として、今後5年間に削減する260 billionドルのオプションについて今後数週間でとりまとめが出来るだろう。
●これは来年2月に提出する2013年度予算案の基礎になるモノで、大きな戦略にも基づき国防省、各軍種、戦闘地域コマンド司令官等との議論を経てまとめられているモノである。

トランスクリプトはこちら
なるほど・・・こういう対応手段がありましたか・・・。引き続きお手並み拝見と参りましょう

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Capital.jpg遂に来るモノが来た、との印象です
これまでご紹介してきたように、11月23日までに米国予算を$1.2 trillion以上削減する計画を議会の俗称「Super Committee」が取りまとめ出来なければ、国防費を既定の$450 billion削減(2023年までに)するだけでなく、更に$600 billion上積みして削減することになっています。これは8月に定められたBudget Control Act.で既に決定してる事項で、「自動的」強制措置です。

これまで米国防省は$450 billion削減ならば苦しいながら「空虚な軍:Hollow Force」を防げるし、国の機関として応分の責任を果たさなければならない、との姿勢でした。
そして$600 billion上積み削減の影響については、「破滅的な影響」を及ぼすと言及するか、削減全体で危機に立たされる可能性のある装備品や計画を、それぞれの担当幹部がバラバラに曖昧な表現でほのめかす等のはっきりしない態度でした。

更に、与えられた予算でどのような影響が出るかについては、来年2月の予算案提出まではっきり言えない、との姿勢でした。

しかしそんな態度に重鎮上院議員の怒り爆発です。
3日、共に共和党の上院軍事委員会メンバーであるJohn McCain議員とLindsey Graham議員が、連名でパネッタ長官宛の書簡をネット上で公開し、以下の要求をしています。

McCain.jpgGraham.jpg●「空虚な軍:Hollow Force」を避けたい、しかし「破滅的な影響」が、等の表現で予算削減の影響について話を聞いてきたが、欠けているモノがある
欠けているのは、国防費削減でどのような影響が出るのかに関する、率直で正直なアセスメントである。

●無論、個別具体的な影響について予測するのは難しい面もあろうが、特に国防省は$600 billion上積み削減の影響について、「a range of options」を示して欲しい
●国家安全保障のため、議会は仕事をしなければならず、影響に関する特定された実体のある情報を12月以降まで待つことは出来ない。議会だけでなく、国民も削減のリスクを承知しておくべきである。
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panettaLn.jpgパネッタ長官は、ホワイトハウスや議会での豊富な予算策定経験から、現在の「抽象的影響主張」戦術を採っている様ですが、そろそろこの戦術にも限界が来たのでしょうか。
しかし一端削減オプションを提示すれば、素人議論がまかり通る「草刈り場」になる恐れもあり、対応が難しいところです。

そういえばゲーツ前長官は、ホワイトハウスや国民に予算削減のリスクを明確に示し、その上で判断をしてもらうべきだ、と強く主張していましたが・・・。ここはパネッタ長官のお手並み拝見です

「政治家よ目をそらすな議論を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「4段階で経費削減に臨む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-20
「運命の傍観者たることを拒む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-1

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最終:パネッタ国防長官初のアジアツアー [パネッタ国防長官]

panettatravel.jpg日本では「rich agenda of issues」が議題となる

21日、パネッタ国防長官は就任後初めてのアジア諸国訪問ツアーのため、米国を出発しました。
21日付米国防省HP記事が、国防省関係筋の話としてその行動概要と話題を明らかにしていますのでご紹介します。

まずインドネシアへ
インドネシアのユドヨノ大統領やYusgiantoro国防相と会談。インドネシア軍の更なる改革変革について議論。
●更に、米インドネシア軍事協力関係の強化に関し、海上交通安全、平和維持活動、人道支援、災害対処等の分野を中心に話し合い

indonesia4.jpg●続いて、同タイミングで開催されるASEAN国防相会議に出席。この場は米国の東南アジアへの関与を強調する絶好のチャンスと認識

対インドネシア関係は、東チモールにおけるインドネシア軍(精鋭特殊部隊)の非人道的な活動により長年途絶えていましたが、昨年国防省が対中国をにらんで国務省等を説得し、交流を再開したばかり。
軍事交流は初期段階ながら、インドネシアの地政学的重要性から米国は慎重ながら積極的
   ↓   ↓   ↓
「インドネシアと関係強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23

次に日本へ
●野田総理や一川防衛大臣と会談。
日本との「協議内容は豊富」。米国の同盟関与、地域安全保障、武器輸出(F-35、レーザー兵器?)、輸出管理(武器輸出3原則?)、ミサイル防衛、米軍再編等が話題の予定
●在日米軍兵士の激励訪問
ここ最近の米国防長官の来日は全く盛り上がりませんが・・・
   ↓   ↓   ↓
「2+2は震災モラトリアム」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-22
「ゲーツ長官慶応大講演」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
「訪日記事たったこれだけ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-13-1

最後に韓国
●韓国大統領や国防大臣と会談
米韓同盟の強化、北朝鮮抑止とどのような紛争にも勝利しうる同盟の強化も含む。
   ↓   ↓   ↓
「米韓同盟は絶好調か」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-2
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パネッタ長官機中で語る
22日パネッタ長官はインドネシアへ向かう機内で同行記者団に語りました。国防省筋が既に説明した前述の部分との重複を避け、それ以外にパネッタ長官が言及した部分をご紹介します。     国防省HP記事トランスクリプト

●「アジア太平洋地域への明確なメッセージ」
asiapanetta.jpg米国は強力な太平洋の力であり続け、そして我々は21世紀においても太平洋で強力なプレゼンスを維持し続ける。
国防長官としての訪問は初めてだが、議員として、クリントン政権のスタッフリーダーとして、またCIA長官として既に何回も訪れている。それは当地域に経済、外交、安全保障上の議論が続く議題が多く存在しているからである。
米国は平和と繁栄のため、強力な軍を当地域に維持する

●中国に関する米国のスタンス
米国は中国と協力的な関係を構築したいと考えており、軍同士の関係を確立することが重要。なぜなら中国は当地域の主要パワーだからである。
私は、中国のリーダーが関係構築には透明性確保や国際ルールの認知を必要であることを理解していると信じている。全ての国が公海での航行の自由、そして当地域のおける安全を享受できることがより重要である。
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パネッタ長官の会見冒頭のコメントはイラクからの年内撤退とリビア作戦の終了に関してです。そして同行記者団の質問も、イラクとリビアがほとんど。北朝鮮と中国に関する短いモノがあっただけ・・・。
出だしとしては少しさみしい中身でした。
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注意!!!
アジア太平洋地域へのコミットメント維持は、現状維持を意味しません
例えば、今年6月4日、シャングリラ・ダイアローグでゲーツ前国防長官は・・
gatesShanSP.jpg    ↓    ↓    ↓
●我々は今後も米軍のプレゼンスを維持強化するために努力を続けるが、今後は展開兵力数(boots on the ground)のみをコミットメントの尺度とすべきではない。今後は艦隊訪問、海軍活動、多様な訓練を複数国参加で実施により、同盟国やパートナー国との関係を強化するだけでなく、相手国の能力強化を図っていく。
    ↓    ↓    ↓
●これらのプレゼンスや関与を維持するには資金が必要。米国の経済や財政が困難な状況にある中、、米国防費のあり方の議論は避けられない。この問題は広くこの会議や地域で話題にされることであろう。
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インドネシアでの予定
23日の午後:Yusgiantoro国防相との会談、パネッタ長官記者会見
23日の夕方:ASEAN国防相会議でのゲストスピーチ その後国防相主催の夕食会
24日の午前:ユドヨノ大統領への表敬訪問  その後日本へ
25日のいつか:日米国防相会談
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23日インドネシア国防相と会談後のパネッタ長官は・・・
indonesiaDM.jpg●既に両国間では、本年だけで150以上の諸活動、人的交流、相互訪問が実施されている。今回は、両国間の軍事協力をどのように深化させるかを協議した。特に3分野、災害対処と人道支援、海上安全保障と海洋へのアクセスの自由、そしてPKO活動について議論した。

●インドネシア側の当地域における安全保障上の貢献は賞賛に値する。インドネシア軍が取り組むの継続的な改革と能力の向上を強固に支援していく
●両国は、複雑さを深めるアジア太平洋地域に於いて、多国間協力と強固な地域枠組みが必要不可欠であるとの認識を共有した。

23日、パネッタ長官はASEAN国防相会議に出席後
●参加した全ての国は非常に率直に意見を述べあった。私は出来ることは何でも行い、将来の地域安全保障強化につながる関係強化に繋げたいと述べた。

同会議に出席の国防省高官は・・・
●私がかつて経験した中で、最もオープンかつ自由活発な議論だった。このような議論の場を設けることが出来たのは、他ならぬ開催国インドネシアのリーダーシップによるモノである。
●明確だったのは、ASEAN国防相全員が、国際法に基づいて南シナ海での航行と上空飛行の自由が保障されるべきであるとの立場を共有していたことである。
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中学校社会の復習ですが、ASEAN加盟国は10ヶ国
→Brunei Darussalam, Cambodia, Indonesia, Laos, Malaysia, Myanmar, the Philippines, Singapore, Thailand and Vietnamです。

ASEANpanetta.jpg中国の脅威を身近に感じるASEAN諸国が、世界最大のイスラム国であるインドネシアをはじめとして、それなりに結束を固め、米国への要求を明確に述べたモノと思われます。
「非常に率直に意見を」や「最もオープンかつ自由活発な議論」との表現は、かなり辛辣が言葉も飛び交った際に用いられるようにも思いますが・・・。米国への要望だけでなく、加盟国間の対立もあったんでしょうか。中国に比較的近い国とそうでもない国の考えの相違とか・・・。

ASEANなるとCSBA副理事長の証言を思い出します
「中国の南シナ海進出に如何対応」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-07
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日米兵士200人に語る
24日夕刻、インドネシアから横田基地に到着したばかりのパネッタ長官は、日米の大きな国旗が掲げられた格納庫に日米の兵士約200名を集め、日米同盟だけでなく、米軍の世界での活動について語り、また質問に答えました。

兵士激励スピーチの概要は・・・
yokotapane.jpg●米国は常に、アジア太平洋地域の国々との関係改善強化に努め、支援のあり方を改良し、そして当地域の全ての国の安全保障を強化することを確実にする。
●3月11日の大震災で見せた日本国民の強さ、品性、忍耐強さを世界の人々が目撃した。また自衛隊の迅速で組織だった災害対処でその力を示した。米軍が行った人道支援活動を誇りに思う。

●10年にわたるテロとの戦いは、米国内の情報機関と軍の連携能力の高さを示し、アルカイダやその支援者の隠れ家が世界中のどこにもないことを示した。
●イラクからの撤退を発表したが、イラクとの関係確立にのため今後も努力していく。同時に、イランなど考えを異にする国への対応に、40000人の兵力を維持する。
●ISAFのアレン司令官が段階的なアフガンからの米軍削減の計画を進めており、同時にアフガン軍や警察の育成を継続する。
●対リビア作戦が成功裏に終了し、リビア国民に新たな国作りの機会を提供できることを、皆と共に誇りとしたい

yokotapanetta.jpg●我々にはまだまだ仕事が残っている。そしてそれらはこの任務に取り組む人たちの犠牲によって成り立っている。10年に及ぶ戦いで約6200人が命を捧げ、46000名が負傷している。今回の訪問の主たる目的は、タフで重要な任務を果たしている君たちに礼を言うことである
●太平洋地域でのプレゼンスを強化する機会である。世界の安全保障は、多くの点に於いて、この地域の太平洋地域の安全保障に掛かっている

●君たちも承知しているように、米国は財政問題を抱えている。しかし私は、君たちとその家族が約束されたモノを守るため、全力を尽くすことを約束する。

質疑の概要は・・
●(予算削減の影響についての質問に、)私にとって重要な事の一つは、君たちを驚かすようなことに成らないようにすることである。君たちは常に行動するために必要なモノを与えられる
●(自衛隊員からの横田基地で日米共同の強化が図られる可能性についての質問に、)私は今回の訪問で、米国は50年以上にわたり機能し続ける同盟を強化する用意があることを日本の同僚達に明確に伝えに来た。先の震災で、この横田基地が日米協力のハブとなった。困難な中で我々は手を携えて活動することが出来た。
●(その他、リビア国民の今後や海外派遣期間の短縮に関する米兵の質問有り)
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yokotapanet.jpg「横田基地で日米共同の強化が進むか?」との質問が自衛隊員から出ていますが、中国のミサイル脅威に脆弱で一番の目標になりそうな横田基地を、米側は指揮統制の中心とは考えていないでしょう・・・
哀れですねぇ・・・横田へ作戦司令部を移動するらしい航空自衛隊は・・・

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25日は、野田総理、玄蕃外相、一川防衛相との会談です。とりあえず写真です

左上が「横田で日米共同が・・」の質問したの図 外務大臣 野田総理 防衛省慰霊碑献花
史上最高齢のパネッタ国防長官ですが、タフです。
panettayokota.jpgpanettagenba.jpg







panettanoda.jpgpanettadef.jpg








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3者と会談もこれだけ?
25日、パネッタ長官は野田総理、玄蕃外務大臣、一川防衛大臣と会談し、その後防衛大臣と共同記者会見に望みました。
しかし26日現在で、国防省HPに掲載された記事は短い1本だけ・・・。1月のゲーツ前長官の時と同様のあっさり感・・。

記事の概要は
ichikawapanetta.jpg●普天間について・・(他の報道をご覧下さい
●日米は共に、それぞれ韓国と豪国とのバイの安全保障協力を強化する。そしてより効率的に共有する眼前の課題に対応する

日米は共に中国に対し、地域安全保障に対して責任ある肯定的なパートナーとして、地域の繁栄と安定を構築し、世界的課題に協力して取り組むように働きかけ、またその際は国際慣行や法規を尊重するよう促す
●より拡大した演習や協同運用を通じて軍事協力を拡大する。またサイバー、宇宙、弾道ミサイル防衛に関する話題について協議した。

そのほかに武器輸出、共同開発についても議論があったと思われますが、短い記事には言及がありませんでした。今回もこんなモンでしょうか。
防衛省の会談説明は→http://www.mod.go.jp/j/press/youjin/2011/10/25_gaiyou.html
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25日会見質疑応答より(パネッタ長官の解答要旨)
Japanichikawa.jpg●(アジア太平洋地域への増強と表現したが装備や人員の増加があるのか?)当地域での演習や訓練増加を検討している。これにより同盟を強化したい。合わせて同盟国やパートナー国の能力向上を図り、彼らも当地域の安全保障環境向上に貢献できるようにする。
米国のポジションを強めるだけでなく、当地域の他国の能力を高めることで全体の安全保障能力向上を図る。

●(三菱重工などへのサイバー攻撃への対応?)米国は最近、豪州とサイバー分野での協力で合意した。この合意には、情報共有のほか本分野での協力を唱っている。日本側には、このような手法により双方のサイバー対処能力向上を目指さないかとの話をした。

日米双方の記者か3問づつ質問がありました。日本は3問とも普天間なので省略。米側の一つはリビア関連なので省略
パネッタ長官の育った町モントレーは、一川防衛大臣の郷里石川県七尾市地域と姉妹都市関係にあり、若者が相互訪問で交流を図っているらしく、「このタイミングで2人がカウンターパートになったのも縁を感じる」とのパネッタ長官発言がありました。一方、一川大臣からは普天間以外には発言はほとんど無く、さすがの素人っぽさがよく出ていました。
防衛省の会見説明は→http://www.mod.go.jp/j/press/youjin/2011/10/25_kaiken.html

しつこいですが、パネッタ長官の回答ラインは、本年6月ゲーツ前長官がシャングリラ・ダイアログで述べた路線そのものの繰り返しでした。
つまり、プレゼンスの強化は演習・訓練の増加を指し、相手国の能力向上を図ることで当地域の安保体制強化を図る、と言うモノです。もちろん必要な装備も同盟国に購入させ、必要経費も応分の負担をしてもらう、との考え型です。
   ↓    ↓    ↓
「米国の姿勢シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「フロノイのアジア政策授業」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-30
「マレン議長がアジア政策を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-27
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朝鮮日報に投稿「グローバルパートナーとして」
26日、韓国に到着した当日の韓国紙へパネッタ長官が寄稿しています。概要をかいつまんで簡単に・・・
Korea111026.jpg韓国は米国のグローバルパートナーであり、アジア太平洋地域の平和・安定・繁栄のためのパートナーシップである。60年前、米韓の兵士は世界戦争の恐れを背負いながら北朝鮮の侵入を阻止し、米国は引き続き韓国の安全保障に完全にコミットしている。

●北朝鮮にからの深刻な脅威に対応するため、情報面やミサイル防衛面で関係強化を進めている
●最近の北朝鮮の挑発的行為や核兵器や弾道ミサイル開発に対して、韓国への核の傘や前線兵力配備により、北が決して核攻撃に対する我々の意志や能力を見誤らないようにする

●同時に韓国国民の米軍プレゼンスに対する感情への韓国政府の配慮を踏まえYongsan米軍基地に所在の計17000人の米軍関係者を、2015年までに韓国政府の最終判断によりソウル南方のCamp Humphreysへ移動する。
●当初2012年に米国から韓国政府へ移管完了する予定であった戦時作戦統制権は、韓国政府の要請により2015年まで延期されている。

●韓国は、イラクやアフガンで、またアデン湾での海賊対処に米国と協力して当たっている。核拡散防止措置にも、またハイチやスーダン等々での国連主導の各種援助活動にも両国は協力して当たっている
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koreasoldier.jpg韓国には28日まで滞在し、韓国大統領、外務大臣と会談し、国防相を含む43回目の安全保障協議(43rd Security Consultative Meeting)を行う予定です。米軍兵士にも語ります(既に写真左)
一昨年ゲーツ国防長官から、アフガンへ人を出し「共に血を汗を流そう」と促され(恫喝?)、1週間後にアフガンへの再派遣を決定した韓国です。グローバルパートナーも決して楽ではありません。

「米国が韓国を恫喝アフガンへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-22-1
「涙。韓国、米国に屈す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-30-1

「在韓米軍は兵士に不人気?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02
「韓国の米軍再編は順調」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-27
「在韓米軍司令官の交代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-04
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韓国首脳との会談
koreapresident.jpg27日、パネッタ長官は韓国大統領、外相、国防相との会談後、同行記者等に語っています。朝鮮日報記事にない部分をピックアップしてご紹介します。
韓国駐留の米軍は、韓国の防衛に必要な限りそのレベルを削減しないで維持する
ジュネーブで開催された米国と北朝鮮の代表者の会同は、双方の相違を縮める事に貢献はしたが、事態を打開することは出来ず重要な課題は残ったまま

●時々、中国は北朝鮮に核兵器を放棄するよう働きかけている様だが、率直に言って、中国はもっと出来るだろうと思う。彼らは北朝鮮内での出来事に影響力を行使できる立場にある。引き続き北朝鮮への働きかけを期待する
●韓国首脳との会談では、韓国に核拡散防止と拡散阻止演習への参画強化を望む米国政府の立場を伝えた
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koreaceremony.jpg日本滞在中、海上自衛隊のヨシダさんからの「予算削減で横須賀の在日米海軍を削減することはあるのか?」との質問に、オバマ大統領とも一致しているのは「アジア太平洋地域が優先度1番だ」と言うことであると回答し、明確に答えなかったパネッタ長官ですが、在韓米軍について韓国では「unreduced」との言葉を用いたようです。

panettakorea22.jpgpanettakoreasyoukou.jpg








28日は、43回目のSecurity Consultative Meetingが開催されます。
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米韓国防相共同記者会見
28日、米韓両国の国防大臣が第43回のSecurity Consultative Meeting後に共同会見に望み共同コミュニケでは、以下のような施策を含む協力関係の強化がうたわれました
panettakpress.jpg●国防政策対話の発展的設置
共同軍事演習の増加
PKO、人道支援、災害対処等々への協力関係の強化
宇宙やサイバー空間での協力強化、緊要なインフラ抗たん性強化の取り組み
特に両首脳は、サイバー攻撃は将来の戦場であり、本ドメインにおける新たな脅威に効率的に対処できるよう協力拡大に向かうと付け加えた。

その後、パネッタ長官はハードなアジアツアーを終え、帰途につきました
panettakleave.jpg日本では米国からの一方的呼びかけだけで終わったサイバーや宇宙で明確な協力強化があり、対中国の一つの鍵「抗たん性」強化でも着実な成果があったようです・・・・。米軍再編でも日本よりは遙かに・・・・

長らくのおつき合い、感謝いたします

追伸、以下の米国防省webページの11月4日付に、パネッタ長官アジアツアーのまとめ「国防省職員への報告」が掲載されました。(新しい試みです)
http://www.defense.gov/home/features/2011/0711_message1/

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陸軍の将来に知恵を出せ [パネッタ国防長官]

「予算削減を理由に辺境な組織防衛や装備品擁護に走ることを許さない。私と共に全軍にとってベストな行動を期待する」

panettaarmy.jpg12日、パネッタ国防長官は陸軍協会の総会に出席し、その奮闘を「史上最強」と讃えると共に、特に戦場で鍛え上げられた若い世代に対し、将来のあるべき陸軍作りに柔軟で創造力に富んだ能力を貸して欲しいと訴えました。また、陸軍の削減や人件費の削減を視野に入れつつも、前線兵士とのfaithを守ると述べています。

パネッタ長官が各軍種の団体で講演するのは初めてで、今後も順次他の軍種で語るモノと思いますが、「アメリカンドリームを守れるような陸軍と米軍を確保するため戦おう」との締めのメッセージは、恐らく今後も全ての場で使われるモノと思います
A4で4枚の本格的なスピーチですので、いつものようにつまみ食いでご紹介します。

イタリア移民の息子である私だが、同じくイタリア移民の孫に当たるオディエルノ大将が陸軍参謀総長であることを嬉しく思っている。また、同じく10年間の戦いで鍛え上げられた陸軍出身のデンプシー大将が統合参謀本部議長として私を支えていてくれることを頼もしく感じている。

一時は15ヶ月にまで達した前線派遣期間が、9ヶ月にまで短縮できる様になってきた。これを生かし、家族との時間を増やし、将来の飛躍のために軍学校や一般著名大で学ぶ期間が増えるだろうと期待している。
●現在の予算削減議論が、軍隊の規模に影響を及ぼすことに疑問の余地はない。一部の能力や関与を犠牲にする必要があるが、これまでに培った緊要な能力を犠牲にすることは出来ない。

panettaarmy2.jpgまた同時に私は、予算削減を理由に辺境な組織防衛や装備品擁護に走ることを許さない。今後前進するに当たり各軍種のリーダーには、私と共に各軍種のための行動ではなく、全軍にとってベストな行動を執るよう期待する。
一部のためにではなく、全体のニーズのために、チームを組んで嵐に立ち向かう必要がある。他に手段はないのだ。危機は大きく、共に取り組まねば世界一の軍隊であり続ける道が開けない。

●10から30年後に何が起こるか誰にも分からない。しかし一つ確かなことは、我が国民や世界の人々は、米国のリーダシップを求め、米軍事力とのパートナー関係を期待している事である。
私は皆さんに助けを必要としている。将来どのような陸軍が必要とされているかを考える時、またいかなる敵に対しても、統合戦力が有効に役割を果たすために陸軍が以下にあるべきかを考えるために。

●私は過去これほどまで情報機関と陸軍が緊密に連携した例を知らない。米陸軍は最高のCOIN(対反乱行動対処)部隊であることを求められ、これに答えた。そして今はパトナー国の軍を訓練することを求められ取り組んでいる。
●同時にCOIN任務だけでなく、先進兵器を備えた敵との通常戦争を戦う力を維持して欲しいとも思う。しかしまた、湾岸戦争のような戦いが再び行われるとは考えにくい
●私は戦闘で鍛えられた皆さんに、より狡猾で非対称の有利さを追求する敵と如何に対峙するかを考えて欲しいと思う。特に過去10年間のCOIN戦闘を戦い抜いた若い士官に、このハイブリッドな脅威への洗練された対処を捻出して欲しい。

PanettaMOD.jpg6年連続で上昇を続ける自殺率は米国家の悲劇である。この改善に国家として取り組まなければならない。
●最後に、陸軍の規模を縮小しようとも、責任ある過程を踏む必要があると考えており、兵士とその家族へのケアをおろそかにしてはならないと考えている。我々は兵士とその家族との間にある信頼感を損なわないようにすべきだと考えている。
●私が出会う負傷兵や命を落とした兵士の家族は皆私に告げる。私の愛する者が命をかけたこの任務を最後まで諦めずにやり遂げて欲しいと。

皆さんが約束されたモノを与えることが私の戦いであり、私の義務である。皆さんの側面を支え、あなた方を保護し、あなた方が国を守るに必要な全てを準備することが私の戦いである
●皆さんの戦いは明らかである。そして我々は子孫により良い生活を与えるため、アメリカンドリームを守るため、人民の人民による人民のための政府を確保するために戦うのである。
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panettaSASC.jpgこのスピーチの最後のフレーズは、「But most of all fight to ensure that we have a government of, by, and for the people. Thank you very much.」でした。
機能不全に陥っている米議会と政府に対する怒りを最後にぶつけてきたのでしょうか・・・。

イタリアの貧しい村から移民としてやってきた父親から、「チャンスを与えてくれた米国に、何らかの形で恩返しをしなさい」と幼い頃から言われてきたパネッタ長官の最後の戦いに注目致しましょう。
ちなみにその際、緊張感高まる西太平洋地域の重要同盟国である日本には、より一層の国防努力と役割分担を要求することになるのでしょうが・・・。

パネッタ長官の発言
「運命の傍観者たることを拒む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-1
「パネッタ長官が使命感と信条を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-07
「議会承認のために、私は・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26

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運命の傍観者たることを拒否 [パネッタ国防長官]

「運命の傍観者であることを拒否する。私の仕事は、運命を受け入れることではなく、運命を切り開くことである」

WWilson.jpg「本格始動」などというと怒られるかも知れませんが、7月就任以来約3ヶ月がたち、先週の中東(イスラエルとエジプト)訪問からNATO国防相会議参加を経て、その動きが本格化してきたようにお見受けします
11日には、シンクタンクWoodrow Wilson International Centerで就任後初と言われる政策スピーチを行い、改めて厳しい安保環境と国防省の取り組みを訴え、議会に対し11月23日までにキチンと秩序だった予算縮減計画をまとめるように要求しました。A4版で5ページの本格的なスピーチですので、まんぐーすの好みでつまみ食いしてご紹介します。

11日Wilson Centerにて・・
国家安全保障と財政健全化の2者択一を迫られているとの見方は正しくないと思う。ただし、幾つかの困難な選択無しに、この2者択一を避けることは出来ない。国防省は、この機会を捉え、将来の安全保障環境と挑戦に対応しうる軍について長期視点で厳しく見定めなければならない
●(安保環境について、イラク、アフガン、パキスタン、核拡散NKとイランに触れた後、)核の危険と並ぶ新たな脅威として、サイバーが主要な懸念として我々の前に立ちはだかっている。サイバー攻撃により、国家機能が麻痺する可能性がリアルに成りつつある。(この後中国に触れ、)アジア太平洋地域に前方展開戦力を維持継続を意味するモノである。
●私は各軍種チーフと軍の将来を示すロードマップについて議論している。我々は、21世紀の軍がより小規模に成らざるを得ないことを承知している。しかし小規模でも多様な安全保障上の挑戦に対応可能である必要がある。

Wwilson2.jpg●特に西太平洋から東アジア、更にインド洋に至る地域のパートナー国には彼らの安保のためにより多くの負担を担うように働きかけるが、我々の同盟の再確認のための能力を維持する必要がある。
●米国の人口のわずか1%に満たない、志願して集まった若い兵士の肩に重い負担が集中している。過去10年の戦いで経験と技能を身につけた、歴史上最も鍛え上げられた兵士達であり、偉大な国家の資産である。我々はこの兵士とそれを支える家族のニーズに応え、必要な訓練と装備、更に支援を維持する必要がある。

過去4回の軍縮での失敗のように、戦略無き一律予算削減で、形だけで装備や訓練が不十分な「空虚な軍隊」を生み出してはならない。しかし政府としての予算削減の取り組みに、4段階で取り組んでいく
---第1に効率性の向上。昨年ゲーツ前長官が打ち出した各種業務の無駄を排除する試みで$150 billion削減に取り組んでいるが、更に$60 billion上積みして削減することに取り組む
---第2に人件費。2001年以来装備等費が5%氏か増加していない中で、補償や医療分野が8割も増加している。ただ、健全な志願兵制度を維持し、前線で厳しい犠牲を伴う任務に当たる兵士との信頼関係を保つため、彼らに全てを背負わせることは考えていない。
---第3に戦力構成。地上戦力については、イラクとアフガン後に、より小規模だが高能力の部隊とする方向にある。強靱な州兵と予備役は維持する。
---第4に兵器近代化と調達改革。空虚な軍を避け、健全な軍需産業基盤を維持し、軍の新たな能力を守るため、削減は慎重に分野を見極める。また調達においては、競争とコスト管理と開発期間管理に注視する

●10年にわたる戦いや累積債務、2大政党制の機能不全により我々の安全保障上の対処能力は危機にさらされている。そしてこれらを成し遂げるため、危険に満ちた政治的海域を公開して聞かねばならない。誤りが許される範囲は極めて狭い。議会は、必ずしも彼らが好まないこれらの国防戦略を推進する責任あるパートナーでなければならない。
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panettawilson.jpg内容的には、ゲーツ前長官の路線と「空虚な軍を避ける」とのパネッタ長官のこれまでの発言の繰り返しが多いですが、「アジアのパートナー国により多くの負担」の明言や「$60 billion上積み」や「強靱な州兵と予備役は維持」の部分は新しいかも知れません。なお、このスピーチはかなり熱の入ったモノだったようで、「Passionate」との表現で米国防省HPは伝えられています。

ところで冒頭のジョークですが・・・
●後にノーベル賞を受賞する高名な物理学者が、同じ講義を複数の街で繰り返し行っていた。ある時学者のおかかえ運転手が、「先生、私はもう何回も同じ講義を聴いたので、先生の代わりに授業できるぐらいに成りました」と言いました。
●学者先生は「それなら衣装を交換し、今日は君が講義をやってみないか? Fresnoの街じゃ僕の顔をみんな知らないだろう」といって大胆にも実行した。運転手は言葉通り、学者の言葉をそのまま再現し、1時間の講義をやり遂げてスタンディングオベーションを受けたほどだった。
●学者は腰を抜かすほど驚いたが、その後、会場から専門的な数式を含む長い質問を受けた。壇上の運転手はしばし沈黙し、そして言った。「私はそのような馬鹿げた質問を受けたのは初めてだ。どんなに馬鹿げた質問かを示すため、私の運転手に答えさせよう

このあとパネッタ長官は、物理学の世界では質問に答えられる専門家は少数だが、安全保障分野になると今日の会場に溢れるほどの「運転手」がおり、議論は大変なことになる。と講演を始めています・・・。

パネッタ長官関連
「パネッタ長官が使命感と信条を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-07
「議会承認のために、私は・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26

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予算削減検討の4原則 [パネッタ国防長官]

press0920-1.jpg20日、パネッタ国防長官はマレン統合参謀本部議長と共に記者会見に臨み、政府や議会で議論が続いている政府予算削減と国防省の対応と影響について語りました。
これまでも紹介してきた内容も含まれますが、米国防省HP記事より改めて整理してみます。

パネッタ長官は・・
●先の国家負債上限引き上げの際に示された、今後約10年間にわたって計$450 billion国防費を削減する件については、戦略的なアプローチを行い、国家安全保障や国益の観点から慎重に削減案検討を行っている。
●現時点では何も決定していないが、各軍種や地域コマンドからの提言を踏まえて最終的な取りまとめの準備を進めている。本検討に当たっては、以下の4原則を念頭に置いている。
---紛争を抑止し、戦力投射を行って戦いに勝利を収めうる、世界最高の軍を維持する。
---それが小さくなろうとも、空虚な軍は避け、即応可能で柔軟な展開可能な軍を保持する
---削減検討に当たってはバランスの取れた検討を行う。重複や官僚的無駄経費を削減すると共に、支出に際して競争や経費管理を改善し、人件費を圧縮してより小型で多様性があり柔軟な軍を目指す。
---強靱な志願制の軍を維持するため、兵士との信頼感維持を重視する

NDUTV2.jpg●我々はこの予算削減を今後10年間にわたり軍をより優れた体制に変革する機会ととらえて取り組んでいる。ただ$450 billionの削減でも、既に極めて厳しい取捨選択を迫られておりリスクを伴っている。このリスクを戦略的包括的な分析によって最低限にしようと取り組んでいる。

しかし、11月24日までに議会が予算削減計画をまとめられなければ、国防省には更に$500 billionの予算削減を迫られることになり、破滅的な影響が避けられない。「この規模の国防費削減は、国家が直面する多様な安全保障上の脅威に対応できなくなることを意味する」
●この規模の削減はまた、軍だけでなく軍需産業基盤にも大きなダメージを与え、最良の国防システムの維持が不可能になる。

マレン議長(今月末に退任)は・
press0920.jpg●我々は目を見開き、戦略に沿って現在の作戦や保有能力を再評価して削減や中止すべきものを選定している。計画から遅れ余分な予算を要しているプロジェクトも、非効率な人件費も精査の対象に入っている。戦略の中心から外れる訓練や演習も再評価の対象となる。
●以上のようなアプローチで、$450 billionの削減であれば何とか対応可能かも知れないしかしそれ以上の自動的削減は、我々の任務に関わるあらゆる安全保障上のリスクを伴うモノとなる。
もし更なる削減が避けられたならば、我々は優先順位を決めて厳しい選択を行い、将来に向けてより強靱な軍を目指す機会を迎えられるだろう。兵士との信頼関係を維持しながら。
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$450 billionに加え、11月24日までに合意できなければ時間切れで$500 billionの削減が加算される・・・
米国は何とも大胆で恐ろしい国だと思います。でもこれ位退路を断ってやらないと、民主主義国の債務削減は出来ないのかも知れません。

「予算削減案完成は来年2月」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-08-1
「陸軍は10個旅団削減案を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-02
「米国がやらねば他はやらぬ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24-1

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米豪が60周年同盟を強化 [パネッタ国防長官]

「議論の幅と深さからして、豪ほど米と緊密な国はない」
「今時の米豪協議の目的は、我々の協力関係を強化し、アジア太平洋地域の我々を脅かす者に対して、我々の決意が固いとのシグナルを明確に発することである」

ANZUS60.jpg15日、ANZUS同盟締結60周年のサンフランシスコで米豪2+2が開催され、両国間の同盟強化を明確にしたコミュニケとサイバー協力に関する文書が発表された模様です。
コミュニケとサイバー協力に関する文書を未確認なのですが米国防省HP記事から、会談後の共同記者会見の模様をご紹介し、冒頭紹介のパネッタ発言に現れた両国の緊密度をご覧頂きましょう。

パネッタ長官は・・
●ワーキンググループがこれまで議論を重ねてきた、両国軍の訓練と作戦運用面での連携強化、共同活動の促進、施設の共同使用に関するオプションについて話し合った。
●我々は、太平洋地域の現状を両国が共有した上で、同盟のプレゼンスと態勢を強化することに取り組んだ。なぜなら両国の発展繁栄は、太平洋地域の安定と安全に掛かっているからである。

●サイバー安全保障に関する文書は、両国がサイバー攻撃に協力して対応する強い意志を示したモノである。サイバー空間は将来の戦場である。我々が協力することが、この新たな大きい脅威に対抗するために極めて重要である。
●今後も我々の協議は継続される。

anzus60-4.jpgクリントン国務長官は・・
●今日公表するコミュニケには、我々の国益、価値感、ビジョンの全てを反映したものである。
●そこには、海上での協力から共同開発計画、更には太平洋地域で繁栄と民主主義を推進するためのインドとの関係強化等についても述べられている。、

ラッド豪外相は・
サイバー文書には、新しくて重要な両国の運用が表現され、両国政府や一般市民や企業をも含む連携強化を示している。サイバー分野は、非通常戦分野で敵も不明なまま戦わなければならない戦いである。
●それ故に、将来そのような攻撃を受けた際には、事前の取り決めに基づいた同盟行動が極めて重要になる。

スミス豪国防相は・・・
1年に渡るワーキンググループの成果を議論し、共同演習や訓練の増加、共同作戦の活発かを進める。より豪国流に平易に表現すれば、より多くの艦船や航空機や兵士が豪に出入りすることになる
●これらは我々が既に行っていることの延長線上にあるモノであるが、作戦運用の観点からすればもっとも大きな変化となりうるモノである。
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記者会見では、中国、韓国、日本との関係についての意見交換、北朝鮮問題の話し合い、インドとの協力、インドネシアとの協力、中東問題等々を議論したことも触れられています。
もちろんアフガニスタンにおける豪軍800人と文民60名の協力への感謝と今後の対応に関しても話し合われています。

anzus60-2.jpg「豪ほど米と緊密な国はない」、そして「協議の目的は、我々を脅かす者に対し、我々の決意が固いとのシグナルを」ですから、最近になく笑顔溢れる両国首脳です。
英国が一方的に国防費を大幅削減し、何となく「すきま風」が感じられる中、資源輸出が好調で経済好調の豪が、米国にとって頼りになる存在になってきました。もちろん中国から程良い距離を保てる地理的特性も大きな要素ですが。

日本のメディアは今回の米豪2+2をもう少しフォローすべきだと思うのですが・・・。在日米軍の空洞化を意味する出来事なのですが・・・。SMAPの中国公演なんかよりはこっちの方が遙かに・・・

「米豪関係強化で軍再編加速」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-06
「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「豪との関係強化へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09

「発表:サイバー作戦戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-15
「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

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陸軍参謀総長の交代式 [パネッタ国防長官]

7日、米陸軍参謀総長の交代式がワシントンDC郊外で行われ、37代デンプシー大将から38代オディエルノ大将(Raymond T. Odierno)への引き継ぎがおこなわれました。なお、デンプシー大将はマレン統合参謀本部議長の後任(9月末交代)として引き継ぎに専念します。

交代式でパネッタ国防長官は・・
odierno2.jpg●国防長官に就任以来、デンプシー大将と仕事をしているが、彼を次期議長に推薦した大統領の選択は真にinspiring choiceだとしみじみ思う。10年ぶりに陸軍人として議長の位置に付くことになるが、国防長官として彼と共に任務に当たることが出来ることを心から喜びとする。
彼は本当の意味で、「戦闘靴を泥まみれにした戦士」であり、実戦等で証明済みの指揮官でありる。そして陸軍兵の勤務ローテーションを9ヶ月派遣と18ヶ月本国のサイクルへ転換した男である。
●各軍種のトップと共に、我が軍が将来においても世界最高の軍であるために働いてくれると確信している。

オディエルノ大将とは移民としてのバックグラウンドも共有しているが、このような優秀で才能豊かな軍人を陸軍のチーフに迎えることを喜びとする。

マクヒュー陸軍長官は・・
odierno.jpgオディエルノ大将は、ベトナム戦以後わずか2人しか存在しない、同じ戦場(イラク)で師団長、軍団長そして方面軍司令官を務めた軍人であり、軍人として指揮官として、戦場での指導力と能力は完全に証明済みである。
●私は14回イラクを訪れたが、いつも彼があらゆるポストで迎えてくれた。

オディエルノ新参謀総長は・
odierno_lg.jpg●過去10年間、我が国が直面した最も困難な環境下に於いて、陸軍はその存在意義を証明し続けている。そして我が陸軍のあらゆるレベルのリーダー達は、その比類無き能力と柔軟性と適応力を示している。
●我が兵士はまた、その精神的、肉体的たくましさを示すだけでなく、何よりも戦火の下での勇気を示してくれている。今日の陸軍は、史上かつて無い最も多才で、急速展開が可能で、粘り強く、戦略的な部隊である。その一員であることを誇りに思う。謹んで名誉ある38代参謀長の職に奉ずることとする。
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Odierno2.jpgデンプシー大将の在職期間はわずか5ヶ月! よほどオバマ大統領の押しが強かったのでしょう。後任のオディエルノ大将は、前任者とはかなり対照的に、強烈な面持ちです!(写真左)
これで国防長官から始まった主要メンバーの交代がかなり進みました。残りは国防副長官(リン→カーター)、海軍作戦部長(ラヘッド→潜水艦乗りの副部長)。

しかし・・・依然「?」なのは次期空軍参謀総長です。戦闘機パイロットの復活なるか???

「陸軍参謀長に与える課題」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-13
「前:陸軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-1
「後:陸軍士官候補生へ最終講義」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07-2

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追加:米と豪が新協定で兵力再編加速へ [パネッタ国防長官]

米豪が60周年同盟を強化へ

LittleMOD.jpg12日、米国防省のGeorge Little報道官が発表したところによると、パネッタ国防長官とクリントン国務長官が、14---16日にかけてサンフランシスコで開催される豪国防省と豪外相との閣僚協議に参加します。「2+2」です。

●本年は、1951年に締結されたANZUS同盟60周年の節目に当たることから、9月15日にはANZUS同盟が署名されたPresidioと言う場所で60周年を祝うようです。
●なお報道官は本会談での話題を、「アジア太平洋地域での課題」、「同盟の改善深化方策」、「世界の安全保障問題」と語りました。

この場で、以下の記事で紹介した米軍のアクセス強化や作戦協力の強化が合意されるのでしょう
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いよいよ米国でも夏休みシーズンが終わり、仕事モードに入ったようです。
NDUTV.jpg6日付「DODBuzz」記事は、間もなく米国と豪が、豪国内軍事施設への米軍のアクセスをより容易にする協定に署名する予定であると報じています。パネッタ国防長官とクリントン国務長官が署名すると言われる協定は、物理的なアクセスだけでなく、情報共有や運用面の連携強化をも意味するようです。

最近米国はアジアでの米軍について、「地理的に分散し、運用面で打たれ強く、政治的に持続可能な体制」を目指すとしていますが、その目玉が豪基地の作戦基盤としての位置付け強化です。中国の弾道ミサイル脅威にさらされる日本、韓国、グアムから、より遠方で政治的にフレンドリーな場所を求めた自然な結果です。

記事が伝えるところは・・・
●豪の新聞が伝えるところ、豪は既に、米国防省が実施している戦略見直しの中で主要な鍵となる役割を果たしている。それは西太平洋地域の他の場所から撤退又は縮小し、米軍のプレゼンスを豪に加えることを意味している。
australia.jpg米軍の豪へのアクセスを増やすことは、中国軍事力の台頭や将来の脅威に備えるため、オバマ大統領が進める「世界的な兵力配備見直し」における大きな特徴である。

豪のスミス国防相は、豪軍戦力をどのように配置するかに関する米と同様の戦略見直し作業を豪国防省スタッフに命じており、米豪両国は緊密に連携しながら「見直し」作業に取り組んでいる。米国は戦力を世界にどのように再配備するか検討しており、豪は西太平洋における作業で米と密に協力している

●米は豪国内に新たな基地を設置することを考えていない政治的に全く問題のない既存の豪基地や基地でない場所へのアクセスが歓迎されているからである。米豪両国は、西太平洋地域での問題が差し迫っていない比較的平穏な今が協定締結のチャンスだと考えている。
●先日米国防省が議会に報告したレポート「中国の軍事力」の31ページがこの協定の背景を示している。中国の様々な射程の「接近拒否戦略」ミサイルが図示されており、韓国、日本、グアムが射程内にあるが、豪はまだその外にある。

「レポート「中国の軍事力」」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

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australiaMAP.jpgいよいよ動き出しました
米海軍は、南シナ海、マラッカ海峡やインド洋へのアクセスがよい、豪西海岸の海軍基地をメインに考えているようです。

8月2日発行の23年度防衛白書は、米と豪と日本の協力強化を語ろうと些細な事象を取り上げて努力していますが、米軍の日本から豪への「転進」(撤退とも言う)の流れは益々明確になりつつあります
海上自衛隊も第7艦隊と一緒に豪までついて行くのでしょうか??? 「平穏な今」しか検討の時間はないのに・・・

「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「豪との関係強化へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09
「防衛白書担当官僚の代弁」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1

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