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9年ぶり米で米中国防相会談 [パネッタ国防長官]

ChinaDM.jpg9年ぶりに中国国防相として訪米中の梁光烈(Gen. Liang Guanglie)国防相が、7日パネッタ国防長官とペンタゴンで会談し、記者会見に臨んでいます。←梁光烈将軍は余裕の入場です!

しかし・・・中国の国防相が「2人並んで」会見に応じたのを初めて見ました。中国も少しは柔軟にメディア対応する方向に変わってきたのでしょうか。又は新華社がタイムズスクウェアに立派なオフィスと広告を設けたのと同じで、堂々と自己主張を開始したのでしょうか・・・

なおこの記事は米国防省webサイト掲載記事の概要です。従って米国防省が伝えたい内容で構成されていると思います。
本件については、本記事アップ時点で既に多数報道されていることと思いますので、日本メディアの報道ぶりや他の視点からの報道と対比してご覧下さい。

会見でパネッタ長官は・・
●米国と中国は共に「Pacific powers」である。そして両国関係は世界で最も重要な関係の一つである。私は梁光烈将軍に、両国軍事関係が健全で安定し、信頼でき継続的であるよう私が関与していくとお話しした
●私は今後数ヶ月以内に中国を訪問する

GenLiangGuan.jpg●我々はアジア太平洋地域と更にその地域を越えて利害を共有している。両国は幾つかの領域、つまり人道支援、大量破壊兵器拡散防止、麻薬取り締まり、海賊対処等々でで共に協力してきており、今後も協力が拡大すると考えている。
●ご存じのように米国は最近、新国防戦略を発表し、アジア太平洋地域ほど両国の平和と繁栄にとって重要な地域はないとの認識を示した所である

中国は3年にわたり、アデン湾での海賊対処に貢献しており、紅海からインド洋にかけての通商ルートの安全に大きく寄与している。
●また梁光烈・国防相はASEANにおいて、人道支援と災害対処討議チームの共同議長として尽力いただいており感謝したい
北朝鮮問題や他の話題についても議論し、海洋安全、サイバー問題、ミサイル防衛、核拡散問題についても討議し、今後も協力と対話が必要だと確認した

米国と中国は、全ての分野において合意しているわけではないことも確認した。しかし我々は、両国の軍事対話が危機に繋がる誤解や誤認を避けるために重要であること信じている
肯定的で協力的で包括的な両国関係は、アジア太平洋地域の安全確保、更に安全な両国の将来のために必要不可欠である。

梁光烈・国防相は・・
GenLiangGuanglie4.jpg●今回の訪問の目的は、中国首席とオバマ大統領の間で合意された中米間の国対国、軍対軍の関係を発展させるとの約束を実行するためである
●両国は合意に基づき、「defense consultative talks」、「defense policy coordination talks」、「Military Maritime Consultative Agreement」、及び軍事ホットライン(北京DC間)を良く活用していく
両国関係は今、新たなスタートラインに立っており、公平で相互利益となる協力を基本に新たな軍事関係を構築していく

両国防相は共に・
●安全保障分野での両国の協力は互いの利益であり、本年、災害復旧及び海賊対処の共同訓練を実施する

サイバー戦する記者質問に対し・・
梁光烈将軍はサイバー攻撃疑惑に・・
●(熱心に積極的に質問に答え)我々は会談の中でサイバー問題も話し合った。私はこの問題に昨年のシャングリラ・ダイアログやASEAN国防相会議でも答えている。また本件は、本年の中米戦略安全保障対話でも議論している

「梁光烈シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

ChinaDM2.jpg●私は、米国を目標にしたサイバー攻撃が中国から行われているとの指摘にほとんど同意できない(通訳:can hardly agree)。パネッタ長官も会談で、米国へのサイバー攻撃全てが中国からのモノではないことに同意してくれた
●サイバー攻撃は全ての国にとって重要な問題である。従って、全ての国が本件を重要視することは正しいと信じる
細部までは話しておらず、専門家にゆだねることにしたが中国と米国が共同でサイバーセキュルティーを高める何かが出来るのではと話し合った

パネッタ長官は梁将軍の発言に
●梁将軍がサイバー問題について率直に話し合いに応じてくれたことを讃えたい
米中両国は共にサイバー分野で先進技術を確立している。また米中両国へのサイバー攻撃に第3国が関与し、他国にもハッカーがいることには同意する
●中国と米国が共同でサイバーセキュルティーを高めるアプローチを行う検討について、梁将軍が前向きであったことに感謝する。

今後、梁光烈・国防相は訪米中に
●マイアミの中南米担当の南部コマンドを訪問し、同コマンドの重要任務である災害対処、麻薬対処等の非伝統的な安全保障分野について意見交換する
●次にノースカロライナ州の海兵隊部隊を訪問、上級下士官達と交流を図る
●また陸軍のFort Benningキャンプや空軍のSeymour Johnson基地、陸軍士官学校では士官候補生と共に昼食をとる予定
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GenLiangGuanglie3.jpg中国側から「歴史上の新たなスタートライン」とか「新たな軍事関係」との表現が飛び出しました。本年実施予定と発表された、「災害復旧及び海賊対処の共同訓練」のことを指すのでしょうか?
それにしても対話の枠組みがありすぎです・・。区別が付かないので原文のまま列挙しました。あしからず。
それから・・・まんぐーすが待ちこがれた美人通訳は姿を見せず・・本日は・・

米国防省Web記事 と 会見トランスクリプト

「パネッタ長官のアジアツアー」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「マレン議長訪中と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
「中国軍トップ訪米と美人通訳」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-18
「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1

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3題話:南米と宇宙ゴミとHTV-2 [パネッタ国防長官]

本日はそれぞれに異なるテーマから3つの小ネタをご紹介します。私の基礎知識不足から「小ネタ」扱いになるだけで、それぞれに重要な分野ですが・・・
国防長官の南米3ヶ国訪問、宇宙ゴミ監視の新システム導入、最後はPGS関連のHTV-2試験分析結果です

まずはパネッタ長官の南米ツアー
(移動機内でのインタビュー)
SouthAmerica.jpg23日からパネッタ長官は、長官として初めて南米に向かい、コロンビア、ブラジル、チリを訪問する予定。議員やCIA長官やホワイトハウス勤務時に訪問経験はあるが。
南米は、アフリカや欧州と並んで「革新的なパートナー関係構築」を目指す地域。(注:つまり常駐米軍を削減して経費を削減、一方ローテーション部隊派遣でプレゼンス確保や関係国軍と演習を行い、双方の能力向上を図る。サイバーや対テロ、人道支援や災害対処も重視)

コロンビアでは、麻薬流通撲滅を中心として協力関係強化について議論の予定。コロンビア政府は、かつて2万人を擁したFARCコロンビア革命軍を8000人レベルにまで追い詰めて頑張っている
ブラジルとは、先月両国大統領間で合意した「国防協力対話」を正式に立ち上げたい。具体的には、装備品貿易、共同技術研究、兵站協力、サイバー協力分野に取り組みたい
チリではチリ国防軍の演習を見せてもらい、地域の安定に貢献している軍の様子を確かめたい。 上記3国との関係強化を通じ、(新国防戦略が提唱する)革新的パートナーシップを促進したい

「予算案会見5つの柱」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
「新味なき国防戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06

宇宙ゴミ監視に新システム(4月23日付)
schwartzTH.jpg19日開催の宇宙シンポジウムでシュワルツ空軍参謀総長は、統合宇宙作戦センター(JSpOC:Joint Space Operations Center)に設置されている1980年代半ばに導入の宇宙ゴミ監視システムの更新換装が年末までに終了すると述べた
●人間が軌道上に放置した衛星や推進装置の残骸である宇宙ゴミは現在約22000個。これらを監視している様々なセンサーの情報を集約し、軍だけでなく政府機関や民間にも、包括的でタイムリーな宇宙情報を提供できる新システムだと説明した
●宇宙ゴミの発見監視、追跡、警報発令は、多様な政府機関や世界中の企業活動に貢献するだろう。宇宙ゴミの監視やゴミ発生の防止は、宇宙活動における最大の問題だからである。

「警告677回:中国宇宙ゴミ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-14-1

HTV-2の失敗原因(4月23日付)
HTV:Hypersonic Technology Vehicle
HTV-2.jpg●HTVは大気圏内を音速の20倍超の高速で飛翔する技術の確立を目指す実験飛翔体で、2010年の4月と昨年8月にロケットの先端に取り付け発射・分離形式で試験を行いました。残念ながら2回とも、予定の試験途中で通信途絶していました
●目指すところは、地球上のあらゆる目標を1時間以内に非核兵器で攻撃可能なCPGS(Conventional Prompt Global Strike)構想の一手段です

●20日DARPAは、昨年8月の結果を分析した結果、音速の20倍で約3分間飛行後、機体表面の皮膜が予想以上に大きく剥がれ、機体バランスが崩れて回転を制御が出来なくなったのが原因だと発表しました
●データが収集できた9分間の試験で空力摩擦熱処理の課題が初めて明らかになり、今後のHTV研究推進の大きな糧となった。実試験ではじめてあきらかになる事実があり、実験が重要であるとDARPA担当者は力説した

「PGSに少し明るい話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「核抑止の代替?CSMについて」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25
「PGSのHTV-2試験失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-27
「X-51Aは初期実験段階」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23
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Brazilsaito.jpg2013年度予算案では、PGSは潜水艦発射型(トライデントⅢ改良)の研究開発費が盛り込まれていた記憶がありますが、その他のHTV-2やAHW(Advanced Hypersonic Weapon)やX-51Aがどうなっているのか承知していません。
これもビーム兵器と同様に、F-35の陰で消えていくのでしょうか・

南米は土地勘がありませんが、ブラジルとの協議内容は先進国同士の関係を思わせる項目が並んでいます。・・・と言えばブラジル空軍司令官はまだ日系2世のサイトウ・ジュンイチ中将(写真左)なんでしょうか??

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予算強制削減が陰を・・ [パネッタ国防長官]

press0416.jpg16日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が揃って記者会見を行い、予算の強制削減(sequestration)回避に向けた努力を再び議会に要望しています
特段新たな事実があるわけではありませんが、定点観測も重要ですのでご紹介します。

パネッタ長官は・・・
予算強制削減の陰がそこに迫りつつある。国防省は政府の予算管理室から、強制削減に関する準備について何ら業務指針を示されていないが、この脅威は既に国防省や関連軍事産業に影響を与え始めている

全ては議会に掛かっているのだ。数週間の内に、議会は国防予算関連法の検討に入るが、議会が慎重に新たな国防戦略とそれに基づく予算案を検討してくれるよう希望する
●国家予算には限りがあり、予算はゼロサムゲームである。予算を変更すればどこかが必ず影響を受ける。当然リスクをはらんでいる。適切に対応しないと、空虚でバランスの欠けた弱体な軍を生み出すことになる

Dempsey6.jpg●議会が理性的であることを願う。私が議論した全ての議員は、国防予算の強制削減が大被害をもたらすと考えている。「素晴らしい」と考えている議員はおらず、皆が悪い方向に向かっていると感じている
●私は、議員達が究極的には勇気とリーダーシップを発揮し、強制削減を食い止め、目の前にある他の課題に対応するため、直ちに取り組んでくれると希望している。
●率直に言って、この状態が続くほど、諸計画や予算検討プロセスが影響を受ける。我々は危険で不確定な世界に直面しており、議会が辺境主義や党利優先に陥っているのを受け入れる余裕はない。

デンプシー議長は・・・
●我々は昨年、国が直面している財政状況を直視して新国防戦略を策定し、新戦略に基づき2013年度予算案を作成した。新戦略発表から2月の予算案提出まで、我々は全精力を傾けて変化に対応する案をくみ上げた。
●しかし、もし少しでも強制削減が実行される可能性があるなら、この夏の中旬から下旬にかけて、強制削減が実施された場合に備えた検討を開始しなければならない
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「夏の中旬から下旬にかけて・・」とは夏休み終了後直ちに、と言ったイメージでしょうか。

強制削減の影響を、1月にMichael O’Hanlonは・
O`Hanlon-2.JPG今後10年で、国防費を8-10%(約$500億ドル)節約するのは、困難だが不可能ではない。陸軍は一つの戦争だけに備え、海軍は285隻から250隻に削減し、核戦力維持の経費を節約すればどうにかなる。何とか軍人の給料カットを回避し、東アジアとペルシャ湾間の両方に備えることが可能

しかし予算の強制削減が実施され15-20%のカット(約$ 1兆ドル)になると、単に軍事費を削減するだけでなく軍人の給料も下げねばならなくなる。また、ペルシャ湾と東アジア太平洋の二者択一になる。
●つまり、地上軍は不足が明確だった1990年代レベルにまで下がり、海軍は西太平洋とペルシャ湾の二者択一を迫られる。そして、軍需産業は衰退し、いざという場合に対応不能となる。

「兵士はリスクを負い議会は逃げる」→holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-02
「リーダーは困難な決断を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「政治家よ目をそらすな議論を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26

「強制削減検討は夏から」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
「2013年度予算案の概要会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27
「トランスクリプト予算案会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
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panettaNATO2.jpgそう言えば・・・この会見で記者から「長官は就任以来約9ヶ月間で、軍用機で20数回自宅のあるカリフォルニア州を往復しているが、無駄遣いでは?」との質問がありました。

長官は、常に通信を維持しなければならないためだが、この経費節減の折り今後は精査するとの回答。
デンプシー議長は、自宅への帰宅だけが目的ではなく、西海岸の部隊視察や各種行事枝の参加も含まれているとフォローしていました。

ちょっと多すぎる気がしますね・・・ワシントンが嫌になったか・・・。
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米シンガポール関係は難航!? [パネッタ国防長官]

LCS配備:実はローテーション派遣だった・・

Singapore2.jpg4日、訪米したシンガポール国防相(Ng Eng Hen氏)とパネッタ長官の会談が行われ、2005年に両国間で合意されている「戦略枠組合意」の具体化に向けた様々な議論が行われたようです。
中国の活動活発化、特に南シナ海での緊張が高まる中、米国はベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ブルネイ等との関係強化を積極的に進めていますが、その流れの一つでしょう。

しかし・・・会談の模様が国防省webサイトの短い記事で伝えられていますが、記事の「あっさり」した中身は、最近の「進展無き」日米防衛協議の様子を伝える記事と雰囲気がそっくりです。
2005年の枠組細部を今も延々と議論している当たりは、我が国の「ガイドライン」や「○○合意」協議と同じ臭いを発しているような・・・(邪推ですが)

5日付国防省webサイト記事は・
4日ペンタゴンで行われた国防相会談の後に発表された共同声明では米艦艇の展開や共同演習レベルの向上により、両国国防関係を深化させる旨が謳われている
●Ng Eng Hen国防省の初訪米であったが、広範な国防安全保障議論が行われ、長い歴史を持つ両国国防関係が強化された。

LCStwo.JPG●両国防相は、米海軍の新LCS(littoral combat ship)を最高4隻、シンガポールに配置するのではなく(not be based)、ローテーションで展開させる提案について協議した。この艦艇展開は、米国の当地域へのコミットメントと地域関係国との訓練を強化するモノである
米国防省の報道官は「シンガポールとの協力関係上、大変重要な動きである。前例のない本件に関する細部は、引き続き協議される」と述べている

●両国防相は2005年以降の関係進展を相互に確認し、地域全体の各国軍との演習や相互訪問等による交流進展の価値を共有・認識した。
●両国空軍が参加し、1990年から続いている航空作戦演習Commando Slingを更に高度化することに両国は合意した。同演習は両国空軍の空中戦能力を高め、米軍の海外拠点での活動能力を強化する。
●両国地上部隊はまた、シンガポール内のMurai都市戦闘訓練施設を使用し、実際の都市を模擬した訓練施設で市街地での戦闘訓練を強化することも話し合った

●シンガポール国防相は、米国内の施設を利用して訓練を実施しているシンガポール軍への支援に感謝の意を伝え、パネッタ長官はシンガポールによるアフガン安定化・再構築への貢献やアデン湾での海賊対処努力に謝意を表明した
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Singapore.jpgシンガポールは確か・・・国が小さいので航空機の訓練が十分出来ず、米仏等に飛行機を置いて空域を借りて訓練しています。また、台湾にも地上部隊を常駐させ、訓練基地にしているとの話も。

「明るく豊かな北朝鮮」と言われる超統制国家ですから、様々な勢力に配慮しLow-Profileで交渉が行われているのかも知れません。または中国に気を遣ってのLow-Profileかも。まさか架橋の強いシンガポールで、中国が巻き返しているのか・・・。
共同記者会見が無かったようですし、LCSの配備に関する覚書作成が難航しているとの「記者の突っ込み」を聞いたような気がします。

「米と比が軍事協力強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-29-1
「ブルネイでAS-Battle?」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14
「インドネシアと関係強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23
「マレーシアと関係強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-10
「ベトナムと歴史的接近」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-11

「シンガポール航空ショー好調」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-10
「米国の姿勢シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「米豪中の海軍訓練計画へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-24
「米豪が60周年同盟強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-17
「中国の南進を如何に防ぐ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-07

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兵士はリスクを取り議会は逃げる [パネッタ国防長官]

usspele2.jpg29日と30日、パネッタ国防長官は異なる2つの場で、兵士及び一般国民に向けて議会の機能不全を非難し、リスクを冒している兵士を見習って議員もリスクを取れ、と訴えています。

パネッタ長官の不満は、このまま放置すれば2013年1月に開始される追加予算強制削減(Sequestration)の阻止に、議会が全く動かないことに向けられています。
これまで国防省は新たな国防戦略を策定し、今後10年で約$480 billion削減する計画をまとめていますが、強制削減が実行されれば更に別枠で$500 billion削減が課されることになります。

29日アイゼンハワー賞授賞式で
公的分野での優れた指導力発揮を讃える民間団体の賞)
●アイゼンハワー大統領の言葉、「経済状況にかかわらず軍事力を蓄積しておくことで、他者の侵略を招く惨事から我が身を守るのだ」に私は賛同する。新国防戦略は、小ぶりでも機敏で技術的に先進の軍を育成し、いつ如何なる場所でも侵略に対峙するモノである。
●この戦略策定過程にあたって、我々は幾多の困難な取捨選択を迫られ、長期的な利益を近視眼的な政治的圧力より優先して決断してきた。

eisenhower.jpg●私の公的勤務の経験から、政治とは物事を進めるために人々をまとめることである。ただ議場に座って何もしないことではない
●国防長官として私が懸念しているのは、ワシントンDCの機能不全である。これにより我が安全保障が危機にさらされ、民主主義の能力が試されている。機能不全は政治的言い訳であって、米国精神とは相容れない。
議会が国防省と協議し、戦略を実行することを希望する第2次大戦世代の犠牲や貢献により、我々全ての生活が保たれているように、一世代の努力が全てを救うことがあるのだ。

30日強襲揚陸艦Peleliu艦内で
議会は馬鹿なことをやっている。彼らは、財政赤字削減プランを持って来い、さもなければ彼らや国家の頭を打ち抜くぞと言って銃口を向けている。
●もし強制削減が実行されれば、全ての分野が削減され、将来の国防体制を弱体化させると断言できる。

USS Peleliu.jpg●強制削減発動が如何に無責任なことであるか、私は如何なる手段を用いても議会に語りかける。私は議会に強制削減を阻止する力や勇気が残っているかを心配している。
●私はこのように議会に伝えている。前線の我が国兵士は、その命を危険にさらして国の安全を守っているのだ、議会のあなたたちも国のために問題を解決するべく、少しはリスクを取るべきである
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前線兵士の前で、議会の悪口をこれだけ言えれば大したものです。
それにしても、日増しにパネッタ長官のいらいらも積もっているようです。でも基本的に策士ですから、ある程度予定されたステップを踏んでいるのかも知れません。

しかし、強制削減はなかなか避けがたいようなので更なる米軍の弱体化を織り込み始めなければならないのかも知れません

「強制削減検討は夏から」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
「合意に至らず!強制自動削減へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22
「追加予算削減の致死的影響」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16
「リーダーは困難な決断を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26
「敵に財政負担を強いる」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03

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次の在日米軍司令官候補発表 [パネッタ国防長官]

angelella.jpg12日、パネッタ国防長官は国防省webサイトで、オバマ大統領が次期在日米軍司令官となる第5空軍司令官候補にSalvatore A. Angelella空軍少将を推薦したと発表しました。勿論、中将への昇任推薦と合わせてです。

Angelella少将は現在、統合の戦略計画副部長(vice director, Strategic Plans and Policy (J-5))で、その前は第5空軍副司令官、太平洋軍戦略計画副部長、三沢の第35航空団司令官、更に前には三沢F-16飛行隊長まで歴任の日本の専門家です。更に言えば第5空軍司令官の副官まで経験があります

F-16のパイロットとして複数の部隊を経験し、戦闘行動時間は182時間です。約1年間空軍司令部で宇宙関連部署の経験がありますが、日本6年間以外の海外勤務は独3年・ベルギー1年です
1981年に空軍士官学校を卒業し、空軍内の学校でエアパワーの修士号、2000年に国防大学を卒業しています。軍外の学校でのお勉強はないようです。

よくこれだけ日本や太平洋地域の勤務をやらせたモノだと思います。しかもF-16配備の韓国には全く勤務がないという徹底ぶり。
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field.jpgなお、2010年10月から第5空軍司令官を務めているBurton Field中将は、空軍司令部の作戦計画部長の要職にご栄転の推薦が成されています。

なぜか最近は、第5空軍から空軍司令部の部長職への流れがあるように思います。太平洋地域重視の表れでしょうか。(ライス司令官は教育訓練コマンド司令官にご栄転でしたが・・・)
統合参謀本部で、7ヶ月間はゲーツ前長官の薫陶を身近で受け、更に厳しさを増す予算状況を踏まえた日本通が、今度は日本に牙をむくのか・・・注目です。

「新戦略とOffshore Balancing」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27
「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「敵に財政負担を強いる」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03
「石破茂・元防衛大臣の怒り」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24

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対中国作戦の指揮官交代式 [パネッタ国防長官]

panettaPACOM.jpg9日、ハワイでパネッタ国防長官列席の元、太平洋軍司令官の交代式が行われました。
欧州米海軍司令官を務めているロックリア海軍大将(Samuel Locklear)が、09年10月から同ポストに就いているウィラード海軍大将(Robert F. Willard)の後任に就任しました。

太平洋軍はハワイから極東、アジア、豪州、インド洋までの広大な範囲を担当する部隊で、実戦の際、その司令官は大統領に直属して米軍戦力を指揮します。つまり対中国軍事作戦の指揮官になります

パネッタ長官は交代式で
●当地域は極めて重要な地域であり、米国の将来が種々の意味で、極めて緊要な当地域の平和と繁栄によるところ大であるという歴史的転換点(pivotal moment)に我々は立っている
●我々が世界で直面する課題や挑戦を思う時、今ほど真にベストな軍経験と指導力と助言力を備えた人材が求められたことはない

デンプシー議長は続いて
LocklearPacom.jpg●この交代式は普通の交代式ではない。世界のほぼ半分を担当する部隊の司令官交代式である。また最近公表された新国防戦略が明確にしたように、21世紀の我が国が深く関わっていく地域でもある
ロックリア大将(左写真)は、そのリーダーシップで、NATO諸国との協力により、リビアの人々に新たな歴史の一ページを開いて見せた人物である

●太平洋軍司令官には、当地域が焦点が移る今、新たな約束された時代が待っている。恐れおののいてしまいそうになるが、太平洋軍の兵士達は直面するいかなる挑戦にも準備が出来ている
ロックリア大将夫妻ほどの適任者を私は思いつかない。あなた達は私の完全な信頼と自信と支援を得ている

以下は、年初にロックリア大将をご紹介した際の記事です。
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Locklear.jpg昨年12月28日、パネッタ国防長官は、オバマ大統領が現在欧州米海軍司令官を務めているロックリア海軍大将(Samuel Locklear)を太平洋軍司令官(U.S. Pacific Command)候補者に指名した、と発表しました。

上院で承認されれば、09年10月から同ポストに就いているウィラード海軍大将(Robert F. Willard)の後任として、ハワイから極東、南シナ海、インド洋にまで及ぶ世界で最大の地域を担当する地域コマンド司令官に就任します。
ロックリア大将は、1977年海軍士官学校卒の水上艦艇乗りで、空母艦載機パイロットだったウイラード大将とはまた違った考え方の持ち主かもしれません。

ロックリア大将の経歴は・・・
Locklear2.jpg海軍士官としての勤務は水上艦艇で始まり
USS William V. Pratt (DDG 44), USS Carl Vinson (CVN 70), USS Callaghan (DDG 994) 、USS Truxtun (CG 35)で水上艦艇勤務を経験
艦長としてはUSS Leftwich (DD 984)を指揮
●その後は、第2駆逐隊司令、ニミッツ空母打撃群司令官、第3艦隊司令官などを歴任、2010年10月から欧州海軍司令官
●地上勤務では、海軍副作戦部長補佐官、海軍士官学校長、海軍司令部分析部長、同防衛計画部長を経験し、欧州海軍司令官直前は海軍司令部参謀長を経験

対リビア作戦で同大将は・・・
●NATOによる対リビア作戦(Unified Protector作戦)の米軍パートであるOdyssey Dawn作戦を指揮
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Locklear3.jpg主要な指揮官やスタッフとして、極東や日本での勤務経験がないのが気になりましたが、ゲーツ前国防長官時代に海軍司令部参謀長として「脅威の変化」や「戦い方の変化」をたたき込まれた方とお見受けいたしました。

米軍内で最大の地域統合軍である太平洋軍は、約31万の陸海空軍、海兵隊の兵士及び沿岸警備隊員と約2千機の航空機、6個の空母打撃軍を含む180隻の艦船が所属しており、対中国作戦の中核です。

ロックリア大将のBio
http://www.pacom.mil/web/site_pages/Staff%20Directory/J0/J00-Biography-locklear.shtml

「新戦略とOffshore Balancing」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-27
「パネッタ長官初のアジアツアー」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「マレン議長がアジア政策を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-27
「米国の姿勢シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

「1/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28
「2/2米中衝突シナリオを基礎に」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-28-1

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シリア情勢を上院で語る [パネッタ国防長官]

sylia2.jpg7日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が上院軍事委員会に出席しシリア情勢について証言しています。
以前にもご紹介した「リビアの様に単純ではない」の他に、「米国単独での軍事行動は意味を成さない(not make sense)」、また「今は米軍を展開させる時ではない」と明確に述べています。
またデンプシー大将がシリアの強固な防空網にも触れ、リビアと同じではない点を強調しています。

シリア情勢過去記事(美人大統領夫人の写真も)
「反政府にアルカイダも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-20
「シリアを巡る複雑な情勢」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09

パネッタ長官は・・・
アラブの春と呼ばれる中東の動きに対する米国の姿勢は3原則で表現される。
はじめに、体制側による国民への暴力や抑圧に反対する
次に発言や集会の自由と言った国際的な基本的人権擁護を支持する
3つ目に、地域の人々に共有されている政治及び経済改革への願望を支援する

シリア情勢に関し・・・
panettaHouse2013.jpg●シリアのアサド大統領は身を引き、直ちに民主的な権力移行が進められるべきである。米国は、政治的・外交的手段によってこの加速を支援すべきである
ハマスは既にアサド政権と距離を置き始めておりイランのみがアサド政権を支援している。シリアの混乱によりイランの地域での立場は弱体化傾向にあるが、アサド政権の崩壊により、地域の手先への支援ルートを失うイランは、最大の敗者となろう

●同時に、中東各国の事情は政治的、地理的、歴史的が背景を踏まえるとそれぞれに複雑であり、それぞれに独自の対応が求められる。複雑で混乱が生じやすい中東に、紋切り型の対応は適用できない。
国防長官として、兵士の前線派遣を進言する前に、何が任務であり、任務が達成可能なのか、犠牲はどれほどか、全体情勢を好転させるのか等々について確証を持たねばならないと考えている
米国単独での行動は意味を成さない。今は米軍を展開させる時ではない(not the time for U.S. military boots on the ground in Syria)。

デンプシー議長は
dempsy3.jpg現在、地域のパートナー国との情報共有は限定的であるが、米国益のために必要となればいつでも可能である。シリアと国境を接する全ての国との強固な関係を維持しており、軍は機敏で世界対応の態勢を維持している
シリアの混乱を利用しようとする過激派や諸勢力からは目を離せない化学・生物兵器の管理にも注意を要する

●軍は政府に軍事オプションを提示する準備が出来ているが、全てのオプションは適切性、実行可能性、受け入れ可能性の観点から判断されなければならない。また同時に我々は、オプションの他地域への関与に与える影響やリスクについても提示する責任がある。
●行動を起こすには、コアリションを形成する必要がある

●(対シリア航空作戦に関する質問に答え、)米国はシリアの防空網を突破する能力を保持している。そのためにはシリア防空網を制圧する必要がある
●参加者を限定したウォーゲームを実施し、シリア防空網の能力や密度等から制圧にどの程度掛かるかを推定した。かなりの期間と多数の航空機が必要との結果が得られている
●そのような攻撃は、少なくとも初動では、シリア防空網に対する米国のみ保有の電子戦攻撃でリードされるだろう
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sylia.jpg反政府側の見極めが難しいようです。100以上のグループがあるとも言われており、数十年にわたって内戦が続いたレバノンになぞらえる見方も出てきています
「アサド大統領は身を引き、直ちに民主的な権力移行が・・」は、決まり文句と言いつつも、余りにもナイーブな表現です。

アサド大統領が身を引いても、何が次に来るのか全く見えず、安定する可能性が低い中、他の表現ぶりがありそうなモノですが。

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イラン核施設の完全破壊は困難 [パネッタ国防長官]

Israelpanetta.jpgイランの核開発とその阻止に関しては種々の報道や分析が成されていますが、28日にイスラエルのバラク国防相がパネッタ長官及びデンプシー統合参謀本部議長と3人だけで会談したこと等が報じられ、メディア的には話題に事欠きません。
ただ、軍事的側面からは容易でないとの見方が一般的なようで、パネッタ長官も「軍事的手段を用いても1,2年遅らせることが出来るだけ」と述べているところです。

「パネッタ:対イラン攻撃は・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-05

1日付「Defense Tech」が、軍事的オプションについて独自の見方を披露していますのでご紹介します。最近の軍関係者の発言も含め・・・

昨夏まで統参副議長のカートライト氏は先週
●イランの核兵器開発を阻止することはほぼ不可能

シュワルツ空軍参謀総長は29日、
●イランの挑戦的な核兵器追求姿勢は、統合参謀本部や安全保障関係者の注目を集めている。
●我々は大統領にオプションを提示するのが役割だが、その役割は既に果たしている

Defense Techの予想攻撃様相は・・
GBU-57-MOP.JPG●攻撃はまず、無人機RQ-170による電子戦攻撃とサイバー攻撃により、イランの防空組織と指揮統制組織を攪乱又は機能停止させる
●その後、F-22に援護されたB-2爆撃機が、30層に及ぶ強化コンクリートも貫通可能な3万ポンド巨大貫通爆弾(MOP:GBU-57)を投下する。

●しかし最近、イランの施設が想定よりも強固で、MOPでも破壊できるか難しいかもとの分析がなされ、本年2月に議会がMOPの改修予算を承認したばかりである。
●そこで空軍はMOPによる貫通施設破壊だけでなく、地下施設に通じるトンネルや通路に被害を与えて施設を生き埋めにし、少なくとも相当期間施設の使用を不可能出来る
●攻撃がうまくいけば、核施設の入り口やトンネルへの攻撃で生じる爆風や高圧衝撃により、内部の核兵器開発施設や装備を破壊できるかも知れない。

GBU-28F-15E.jpg●上記の様な攻撃には、当初はB-2に搭載可能な貫通弾である巨大なMOP(GBU-57:3万ポンド)やバンカーバスター(GBU-28:5千ポンド)が使用され、その後爆風やエリア破壊のためにGBU-43(MOAB:巨大気化爆弾:2.3万ポンド)投下するオプションがある。
●ただしGBU-43:MOABはC-130からのみ投下可能で、イランのA2AD突破に課題が残る。
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バンカーバスターは、湾岸戦争開始直前に急遽開発され使用されたモノで、イラク戦争でも投入されている。2005年にはイスラエルに100発提供する合意が成立、また2005年には韓国に同爆弾を提供することが承認されている

巨大貫通弾MOP(GBU-57)は開発計画に遅れはあったが、2011年9月に米空軍はB-2搭載用の20発を受領している。ただし更なる貫通力強化・改修のため2月に追加予算を認められたばかり

GBU-43.jpgGBU-43:MOAB(Air Blast bomb)は貫通弾ではなく、それほど強固でない地表目標、特に谷間や洞窟内の広範囲な目標を想定したモノである。地表目標の破壊であれば、通常爆弾を大量に投下すれば同様の効果が得られるが、巨大な爆発による敵への心理的影響も期待されている。イラク戦争時に前線に配備されたが未使用

どうなることやら・・・

「対イラン?巨大貫通弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16-1
「F-35用貫通弾開発は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-22-1

「前モサド長官イラン攻撃は馬鹿」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-12
「なぜアフガンにRQ-170が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28-1
「ビンラディン作戦とRQ-170」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03

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強制削減対応は夏から検討 [パネッタ国防長官]

29日、下院の予算委員会に出席したパネッタ長官は、現削減額$487 billionに加え、更に$500 billionの削減を迫る「sequestration(予算強制削減)」への対応検討を、この夏から開始するつもりだと述べました。
また、サイバー攻撃の恐怖について強調しています

ただしパネッタ長官は・・
panettaHouse2013.jpg●2013年1月に発動する強制削減は法律によって定められた削減である。しかし議会がこれを許すことは余りにも無責任である
●(なぜ、まだ検討を始めていないのか?)肉を何も考えずに削ぎ落とすような一律削減は、私が成し得ない徒労の山である
正気の沙汰でないこの強制削減に対し、まず「super-committee」が昨年秋対応しようとした、そして今は議会が対応を求められているのだ。強制削減は実現が定められたモノではない

●(強制削減が起こらないと望んでるのか?)あなたが強制削減の発動を決して望んでいない事を、私は望んでいるのだ
●私が下院予算委員会に委員長や委員として属していた時は、激しい議論の末にお互いが妥協して同意にこぎ着けたのに・・・

「更なる予算削減への対応策を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09-1

サイバー懸念で眠れない・・・
houseBadget.jpg米国に備えが無く、最も私が恐れ睡眠を妨げている一つは、ある日突然、電力送電網やファイナンス機構が大規模サイバー攻撃を受けることである。そしてそういった場合、誰がやったか見極めることは難しい
●もちろん、テロ攻撃や大量破壊兵器、北朝鮮等々も私が懸念しているモノである。しかしあえて私が送電やファイナンスを心配するのは、私が手の出せない責任範囲外だからである

パネッタ長官の発言の背景には、28日政府機関(GAO)が指摘した電力送電網の脆弱性と、その脆弱性が「スマートグリッド」と呼ばれる効率性を追求した自動システムの導入により更に増しつつある現状があります。

どの政府機関も十分に手を付けないために、多くの脆弱点が放置されているのが実情のようです。結果として効率性追求の中で、業界共通の基準や被害状況の共有もなく、サイバー攻撃への対処が極めて不足しているようです。金融業界も似たり寄ったりらしく・・

1日夜、パネッタ長官は同様のサイバーに関する発言を、ルイスビル大学での講演で語ってます
http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=67396
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painting.jpgかつて下院予算委員長を務めたパネッタ長官自らの肖像画が掲げられている委員会室で、後輩委員長に肖像画を指さされながら・・・。

その心境はいかがなモノでしょう。

「議会へサイバー政策報告」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-21
「無人機管制システムにウイルス」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13
「米空軍サイバー攻撃規則」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-11-2
「発表:サイバー作戦戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-15
「米空軍が対リビアでサイバー攻撃」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-02-1

「前半:サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半:サイバーと宇宙演習の教訓」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

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国防省と空軍から話題3つ [パネッタ国防長官]

これまでお伝えした中身と重複する部分が多いですが、2月28日の国防省と空軍に関する小ネタ3つをご紹介します。
2013年度予算案関連、空軍F-35の話題、そして太平洋軍関連の話題です。

1.上院軍事委員会にて予算案を
28日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が上院軍事委員会に出席し、政府提出の国防予算について説明しました
panetta2013Bgt.jpg●「国防省が追うべき範囲の削減使命は十分果たす準備がある」、「ただし、政府の負債削減の責任を国防予算にのみ負担させるべきではない」、「政策予算だけでなく、固定経費や歳入面にまで踏み込んで、国全体で例外なく全分野を議論の対象にすべき」、「更なる国防予算削減は安全保障に破滅的な影響を与える」と訴えています
●2013年度予算は、新国防戦略に沿った今後10年の歳出削減計画を踏まえており、、現在の戦いを遂行しつつ将来の脅威に準備するモノ

●以下の3つを念頭に置いている。第1に世界最強の軍を維持し、第2に空虚な軍(hollow force)にしない、第3に10年以上度重なる派遣に答えている兵士やその家族との信頼関係を損なわない
●兵力規模が小さく細くなったとしても、機敏で柔軟性があり、技術面で先進の部隊を追求する

中東やアジア太平洋地域でのプレゼンスを重視し、南米、アフリカ、欧州では新たなパートナー関係構築を追求する
陸軍は旅団をローテーション派遣してプレゼンスや能力維持を図る。海軍はBMD改良していない艦艇7隻を廃棄するが、空母の態勢は維持する。空軍は7個戦闘飛行隊や輸送機を減ずるが、残り54個戦闘飛行隊や輸送機や爆撃機で航空優位を確保する
●また、宇宙、サイバー、長距離攻撃能力、特殊作戦部隊への投資に力を注ぐ

「2013年度予算案の概要会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27
「トランスクリプト予算案会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1

2.新たな基地は造らない(28日付記事)
ノース太平洋空軍司令官が空軍協会総会で、アジア太平洋地域基地施策について言及しました
northPACAF.jpg●国防省による戦力配備見直しの中で、太平洋地域が大きな注目を集めている。
●米国は、同盟国やパートナー国との協定や覚え書きを調整し、米軍の地域へのアクセスを確保を追求して地域のパワーたるべく取り組んでいる
●しかし、グアムや日本や韓国にあるような新たな基地建設は追求していない。同盟国等を有効活用(leverage partners and allies)しなければならない。
●最近豪州と結んだ米海兵隊のローテーション派遣に関する覚え書きが、機敏さと柔軟性を体現する「所在するが基地ではない(places, not bases)」鍵となる事例である。

3.フロリダで空軍F-35本格飛行へ
F-35A-baydoors.jpg28日空軍内の審査機関が、これまでエグリン基地で2名のテストパイロットにしか認めていなかった空軍F-35Aの飛行許可を、教官要員となる操縦者に拡大して良いとの許可を発出しました
●正確には「MFR:military flight release」が出されたと表現するようで、エグリン基地周辺での飛行手順や整備要領が適切であると認められた事を意味するようです。
●今後はF-35教育の拠点となるべく、今後数ヶ月掛けて、まず海・海兵隊・空軍選りすぐりの教官パイロット要員を集め、初期のF-35教官操縦者や整備員を養成することになりまます。
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原点に返って、米国防長官や米軍の動きについて話題を拾ってみました
同盟国の基地を利用することは、経費節減であり、政治的に持続可能な方向性と合致しているのでしょう。
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欧州米軍の削減計画 [パネッタ国防長官]

germanDM2.jpg16日、パネッタ国防長官はドメイゼール独国防相(Thomas de Maizière)をペンタゴンに迎え、米独国防相会談を行い、米軍の削減再編について理解を求めました
同日には国防省から欧州米軍の削減計画も公表され、大まかな全体像が明らかになりました。米独国防相会議の後の記者会見を米国防省HP記事より

独国防相は「独も同様の軍見直しを進めているところであり、米国の再編と近代化計画に異議はない」、「削減の影響は穏やかであり、今後も独に多くのhigh-valueな米軍が残り、米国の友人にとって独が戦略的価値を持つ事に変化はない」と述べています。
また「引き続き残る米軍人やその家族、関係職員は常に独国内で歓迎される」と

独を中心とした欧州米軍の再編は・・
欧州米軍全体では、現状の8万人を2017年には7万人にまで削減。独には2個旅団削減後も4万人の米軍が残る
独駐留の第170歩兵師団は2012年度に、第172歩兵旅団は2014年度に廃止される。両旅団は装備の近代化が成されていない部隊であり、第2ストライカー騎兵旅団など最新の部隊は残る。

独所在の陸軍第5軍団司令部を廃止し、同司令部施設をハイデルベルク所在の欧州米陸軍司令部が移転して使用する。
●独所在の米空軍第81戦闘飛行隊の廃止
●イタリア所在の603航空管制隊の廃止
●独所在の米陸軍第173空挺旅団を、在イタリアの米陸軍部隊と統合配備

germanDM.jpgパネッタ長官は、「独はアフガニスタンにおいて最大のISAF及びアフガン治安機関への支援国である」と賞賛し、「アフガンで無くなった50名の兵士に哀悼の意を捧げる」と述べ、NATO国防相会議の開催や議事でのリーダシップを発揮する独に感謝の意を表しています。

また、新国防戦略等で明らかにされたように、陸軍の旅団をローテーションで展開訓練させることにより、削減になる欧州等でのプレゼンスを維持し、同時に部隊の機動展開能力を高める「1石2鳥」施策を推進する旨を強調しています
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国際情勢と同盟関係を踏まえれば、駐留米軍が削減される時は、上記のようなやり取りや公式表現になると思うのですが・・・
沖縄や普天間絡みでは、○○恒久化阻止とか、負担軽減とか・・の言葉ばかりが先行し、安全保障議論がどこかに飛んでいます。もう少し「普通」の議論がしたいですねぇ・・・。

「ドイツも大軍縮へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30
「欧州米空軍の苦悩と挑戦1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-24
「欧州米空軍の苦悩と挑戦2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-24-1

「2013年度予算案の概要会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27
「トランスクリプト予算案会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1

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トランスクリプト予算案会見 [パネッタ国防長官]

Panettatexas.jpg1月26日に行われたパネッタ国防長官による2013年度予算案概要発表会見のトランスクリプト(質疑部分除く)が公開されました。
実質的な中身は、以前の記事で軍種別に削減メニュー中心でご紹介したのとほぼ同じですが、実際の会見では「戦略に沿って」5つのカテゴリーに分類して発表されていますので、その5つのカテゴリーに沿って、再び振り返りたいと思います。

「2013年度予算案の概要」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27

必ずしも5カテゴリーと中身が噛み合って居ない部分もありますが、そこは米国防省の「心中を察する材料」と考えましょう。
削減数や細かな中身は上記の記事や記事内で紹介した米国防省公開の資料でご確認下さい

第1→軍は小さく細く、しかし敏捷で柔軟で緊急展開可能で技術的に先端。
陸軍は朝鮮半島や中東で重いプレゼンスを維持、同時に特殊部隊に重点。一方でローテションによるプレゼンスを。海軍は前線プレゼンスを。空軍は航空宇宙を制し、展開能力を持つISRや無人機能力を提供。海兵隊は着上陸能力を持ち、州軍や予備役は有事に備える
陸軍と海兵隊の兵員削減。しかし、911事案以前よりは大きいまま空軍の空輸能力と戦闘機部隊削減。海軍はBMD能力が無く維持費のかかる巡洋艦や補給艦等を削減。

行政上の無駄経費を継続して削減。競争入札の導入、ITによる業務効率化、人員削減、在庫管理、外注業務の整理
●兵力や装備の削減に併せ、大統領は議会に基地閉鎖再編手続き(BRAC Process)の許可を求める

第2→世界での態勢見直しとアジア太平洋と中東重視
NDUTV2.jpg●空軍は次期爆撃機で突破力のある長距離攻撃能力を求め、現爆撃機を維持する。併せて新空中給油機計画を進める
重視地域における必要な海軍や海兵隊のプレゼンの実現。豪でのプレゼンス強化やフィリピンでの活動強化などを、相手国の意向を踏まえつつ協議しながら進める

シンガポールにLCSを、バーレーンにパトロール船を。空母11隻体制の維持。潜水艦への継続投資(バージニア級攻撃潜水艦への巡航ミサイル追加搭載の設計や潜水艦発射PGS開発
●海空ミサイルのセンサー開発、電子戦や通信能力への投資
陸軍はフルスペクトラムの訓練を再開。アクセス拒否エリアへの侵攻も含む。朝鮮半島と中東でのプレゼンス

第3→革新的パートナーシップと同盟強化
●欧州陸軍で2個旅団削減するが、全地域コマンドから1個旅団をローテーション用に充て、欧州で展開訓練させる
NATOとの共有能力強化に強く求められているISRやBMDに投資
●他地域では、911派遣が減少するのを受け、特殊部隊による支援や助言の機会を増やし、パートナーの能力向上に充てる

第4→多様な侵略にどこでも迅速に対応し撃破
●従来の脅威だけでなく、新たな技術的脅威に直面しており、対処のため技術的発展を追求
宇宙、サイバー、特殊作戦、長距離精密攻撃等々における進歩で多様な脅威に対処
核抑止の3本柱を維持するが、戦略原潜開発は2年遅らせる

第5→鍵となる分野の技術や能力への投資を維持優先
60minutes.jpg●維持又は増加させる分野:サイバー能力、拒否エリアへの投射能力、特殊作戦、本土ミサイル防衛、WMD対処、科学技術関連プログラム
F-35計画は、更なるテストを完結させるため、及び大量購入前に必要な変更を加えるため、調達を遅らせる

不確かな将来の変化に備えるため陸軍は中間クラスの士官や下士官をより厚く維持する。彼らは経験豊富で、必要時に戦力造成が必要な際に核となってくれる。また、予備役の維持に配慮する
●健全な軍需産業基盤の維持や無理なコスト負担を避けるため、種々の施策を講ずる

最後に→志願制維持のため。また2001年以来、9割も増加している人件費の問題。給与、医療費、退職者保障等の経費の問題
給与削減は無し(2回繰り返し)。しかし2015年以降、給与上昇率を抑制
●医療経費の伸びを抑制するため、退役者への医療費値上げや治療費増を行う。ただし退役者の負担増後でも、一般市民よりは割安なサービスを受けられる。現役兵士やその家族へは影響を与えない
退職制度検討のための特別外部機関設置の要望。
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panettaSASC2.jpg最後にパネッタ長官は議会に向け、削減を伴う痛みの部分については全ての州や地域に影響を及ぼすモノであると述べています。議員が地元の基地が閉鎖されるとか、地元の工場に影響があるとかで騒がないように要望しています
また、これ以上の削減は後世に渡り、安全保障上のダメージを与えると訴えています。

今後具体的施策が表面化すると、このトランスクリプトの5分類意味が徐々に染みてくると思います。フィリピンへの海兵隊や特殊部隊の話のように。

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NATO諸国よ、備えを怠るな [パネッタ国防長官]

panettaNATO.jpg4日、パネッタ国防長官とクリントン国務長官はミュンヘンで開催された安全保障会議に出席し、10名各国首脳や40人の国防や外務大臣を前に米国の予算削減の影響や欧州の国防上の取り組みについて訴えました

パネッタ長官は「欧州の多くの国がそうであるように、米国もまた財政的問題に直面している」と国防予算削減について語り始め、しかし小さくても能力が高く即応性を維持すると説明し、アジア太平洋と中東に焦点を置きつつも、サイバーや宇宙での新たな脅威にも対処し、世界でプレゼンスや対応能力を保つと述べています。
そして欧州諸国に国防費をこれ以上削減するな、と釘を刺しています。

パネッタ長官は具体的に・・・
欧州米陸軍は2個戦闘旅団を減らし、現在の4.7万人から3.7万人に削減するが、一方で1個旅団が年2回欧州で展開訓練を行う。欧州米軍全体は8万人規模となる
●一方で、米国は欧州のミサイル防衛のため、ルーマニアとポーランドにミサイルを配備し、スペインのロタ島に4隻のミサイル防衛艦艇を配備する。
●また5機のRQ-4グローバルホーク無人ISR機や地上の管制施設を配置し、同盟国地上監視システムに大いに貢献する

panettaNATO2.jpg私はNATO諸国が「smart defense」構想の下に国防費を削減することを警戒している。構想が狙いとする、国家統合での軍事資源維持を進めるなら、米国と同様に現在と将来の能力に投資を続けるべきである
●「smart defense」構想の下で、慎重に有効に投資を行う事が必要で、予算のこれ以上の削減の言い訳にするべきではない5月にシカゴで開催予定のNATO首脳会議に向け、2020年のNATO軍構想は訓練の行き届いた能力ある部隊でなければならない

●NATOはアフガニスタンにおいて、ISAFの活動をアフガンの長期的成功のために支えなければならず、短期間にISAF勢力を削減してはならない

ケネディー大統領は1962年にこの会議で、「米国はいつか再興なった欧州のパートナーとなるだろう。自由な国々の防衛と国家建設の課題に対し完全に平等な関係において」と訴えた。
●欧州NATOは、米国が世界の脅威に備えているように、準備を整え続けねばならない
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gatesNato11-3.jpg昨年6月、退任直前のゲーツ前国防長官が、対リビア作戦であまり役に立たなかった欧州NATO諸国を酷評し、「NATOの2極化」と呼んで厳しく批判しましたが、パネッタ長官はすこし穏やかな言い振です。

しかし、ユーロを巡る最近の状況を見るに、国防費を増やしてる場合ではないでしょうね・・・。
   ↓    ↓    ↓
「警告する、NATOの2極化を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12

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2013年度国防予算案の概要発表 [パネッタ国防長官]

2013panetta.jpg26日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が会見に臨み、2013年度予算案の概要説明を行いました。パネッタ長官は予算案を「a balanced, complete package」と呼んで、国防省の予算削減分担は果たした、これ以上の削減は国益を損ねると議会や国民に訴えています

13年度予算案は、今後10年間で$487 billionの削減を念頭に、前半の5年間で$259 billionを削減する初年度ですので、今後5年間の方向性を見据えた年度予算案になっています。
会見と共に公表された今後5年間の「Fact Sheet」を見ると、約9%の予算削減が続くことになっており、固定費部分が多い軍事組織としては限界ぎりぎりとの印象も持ちました。
装備品の将来に対する言及は勿論ですが、給与や医療費(特に退役軍人への給付)についても痛みを伴う施策を言葉を尽くして説明し、同時に退役者を含めた軍人社会との信頼感維持に配慮しています。

1ページの「Fact Sheet」
http://www.defense.gov/news/Fact_Sheet_Budget.pdf
16ページの説明冊子
http://www.defense.gov/news/Defense_Budget_Priorities.pdf

全16ページの冊子を読んでいませんが、国防省web記事「DODBuzz」記事から概要をご紹介します

全般
panetta2013.jpg中央軍担当エリアの予算を維持し、太平洋軍地域へのコミットメントを増強する。空母11隻態勢と空母飛行隊10個態勢を維持する。またアジア太平洋地域における陸軍と海兵隊の態勢を維持する。
特殊作戦部隊の増員が一つの鍵。現在前線出でている特殊部隊員を、今後国内等の教育訓練機関に移し、新たな要員育成にあたらせる
●(可逆性の鍵となる)予備役や州兵の削減は慎重に行う。陸軍予備役や州兵陸軍数は微減に止め、海兵隊予備役数は維持する。州兵空軍は現役や予備役空軍部隊の削減に応じた範囲でバランスを見て削減

地上部隊
●今後5年間で陸軍と海兵隊規模を縮小。陸軍56万人から49万人へ、海兵隊は20万人から18万人へ
●陸軍のJoint Land Attack Cruise Missileの縮小。Joint Air-Ground Munitionの大幅削減
●陸軍Ground Combat Vehicle調達を遅らせる。陸軍・海兵隊のHumvees装甲車能力向上の中止
●欧州で陸軍2個戦闘旅団を削減し、ローテーション配備方式に移行する。米国と欧州は「alliance ground surveillance program」等の経費分担について協議する

海軍
LCS(littoral combat ship)をシンガポールとバーレーンに配備する
●米海軍は、旧式の巡洋艦6隻と揚陸艦2隻を退役させる。オハイオ級戦略原潜の後継艦を2年遅らせる。
強襲揚陸艦1隻を一年先送り。バージニア級攻撃原潜1隻を後送り。LCS2隻と高速艇を8隻を計画から削

空軍
●米空軍は、60個戦闘飛行隊の中の6個戦闘飛行隊を削減する(A-10を5個飛行隊、F-16を1個。訓練用F-15アグレッサー部隊を1個削減)。新爆撃機と空中給油機計画は(現時点では)コアとして維持
F-35計画に引き続き関与する。更なるテストを完結させるため、及び大量購入前に必要な変更を加えるため、調達を遅らせる
空軍輸送機の削減:27機のC-5A全てを退役(残りは52機のC-5M)。旧式のC-130を65機退役(残りは318機)。C-27全て38機を削減し、整備員はC-130へ充当。
Global Hawk Block 30及び気象衛星の調達中止。
●空軍兵士を5年間で1万人削減

核とサイバー
●核抑止の3本柱を維持するが、2014年予算以降に数量削減の可能性有り。
●サイバー分野に投資して大幅な能力向上を図る

人件費や医療費や基地
panetta2013Dp.jpg●給与の上昇率を2015年から抑制する
●医療経費の伸びを抑制するため、退役者への医療費値上げや治療費増を行う。ただし退役者の負担増後でも、一般市民よりは割安なサービスを受けられる。現役兵士やその家族へは影響を与えない
退職制度検討のための特別外部機関設置の要望。ただし、大統領と国防省は、現役兵士が退職した場合の軍退職者優遇措置への急激な影響を避けるため、長期にわたる移行期間設定を約束

●更なる基地の閉鎖統合(一般報道では基地2カ所の閉鎖)

最後にパネッタ長官は・・
今後10年間で$487 billion削減に伴う犠牲と痛みを、関係者に理解いただきたい。この案により、議会が国防に後世に及ぶ甚大なダメージを与える更なる強制予算削減の回避の必要性を理解してくれるモノと確信する

「新味なき国防戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06
「統合の拒否戦略コンセプト」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-20
「欧州米陸軍は2個旅団削減」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-13
「空母11隻態勢を維持」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-23
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とりあえずの速報です。上記の意味するところや影の「切りしろ」については、後の展開を待ちましょう。誤解や誤訳はご容赦下さい。
F-35は今後の「切りしろ」かも・・・爆撃機と空中給油機ほど言葉に力が入っていませんでした・・・

ちなみに田中真紀子の旦那様は27日朝・・・
●パネッタ長官と電話で約20分会談し、国防費削減方針などの説明を受けた。
●パネッタ氏がアジア太平洋地域を最重視する新たな国防戦略について説明したのに対し、田中氏は歓迎する意向を伝えた。
●田中氏は同日の閣議後の記者会見で、F35の納期について「私の印象では変更はないと感じた」と述べた
あえて確認しないあたりは、真紀子夫人の下で学んだ奥ゆかしさでしょうか・・・)

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