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パネッタ長官の中国講演:なぜ米中軍事関係が重要 [パネッタ国防長官]

China12ACdemy.jpg19日、パネッタ長官が中国軍の工兵士官学校(Engineering Academy)で講演を行い、米中軍事関係の発展をなぜ望むのかを説明し、学生からの質問にも対応しています。

内容は従来ご紹介してきた米国の考え方ですのでポイントのみとし、最近米国内で台頭しているらしい「対中協議はほどほどに論」とゲーツ前長官の考え方を併せてご紹介し、「秋の夜長」に供したいと思います

パネッタ長官による講演の概要
●米中両国の協力が重要なのは、2大パワー、2大経済大国の協力関係が世界の安全保障や21世紀の繁栄にに必要不可欠だから
●数ヶ月前、私は米国の海軍士官学校卒業式でほぼ同様の内容を話した。それは、アジア太平洋地域の平和の鍵の一つは、米中の軍事関係の恒久的な基礎を築くことだという点である

「新海軍士官にア太平洋重視を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30

●安全保障関係者の間で最近しばしば両国関係に関し、協力と関与の代わりに懐疑と信頼感の欠如を耳にする。共通の利害関係や協力可能性のある国防分野ではなく、不同意の分野に光が当たる傾向がある
●アジア太平洋における米国防戦略は単純な現実に導かれている。21世紀の米国の安全保障と繁栄は、他地域よりもアジアの平和と繁栄に密接にリンクしているという現実である

China12ACdemy3.jpg明確な脅威がある。テロから天災、海洋安全保障から大量破壊兵器の拡散、海賊から麻薬取引等々である。そこで我々はアジアの他国との協力強化を図ろうとしている。
共同訓練や演習を増やし、新たな軍事関係を地域の国々と結ぼうとしている。また、新たな軍事プレゼンスの手法を編み出そうとし、能力や協力強化に効率的に投資し取り組もうとしている。

代表的な例がミサイル防衛である。なぜか? ここは明白にしておきたい。これは北朝鮮からの脅威だけを対象にしたモノである。米国が北朝鮮からの弾道ミサイルの脅威を懸念していることに何の秘密もない。我が同盟国、米本土、前方展開中の米軍兵士を守るためである

●我々の中国を含むアジア太平洋への関与は、基本的な原則に沿った強固なモノである。その原則とは、まず自由で開放的な商業行為、次に国家の権利や責任を重視して法の精神を重視する国際秩序維持、最後に紛争を武力や脅しではなく平和的に解決することである
●この関与のゴールは、健全で安定的で信頼感のある、継続的で透明性のある軍事関係を構築することである

質問:米中関係と軍事同盟たる米日関係の違いは?
China12ACdemy2.jpg●A 米国は世界の国と安全保障同盟を結んでいるNATO諸国とは同盟により義務を負い、イスラエルとの安保関係でも幾ばくかの義務を負っている。同様の事がアジア太平洋の国でもある。日本などがその例である
●A しかし同盟関係にあることは、同盟国の全ての行動を受け入れることを意味しないイスラエルとの関係が一例である。米国はイスラエルの安全保障に幾分かの義務を負っているが、イスラエルには明確にイランを攻撃する適切な時期ではないと伝えている。外交的努力でイランとの相違を解消する段階だと伝えている

●A 他国についても同様で、日本にもそうである日本の指導者にも明確に伝えてきた。我々は問題を平和的に解決する責務を負っていると。これが我々の立場である。領土問題に関し、どちらの立場も取らない。日本と中国が地域と両国にとってより良い安全保障環境を提供するため、相違を乗り越えるためともに協力することが重要である

13日付WSJ紙でAuslin米AEI日本部長は
Auskin-AEI2.jpg●米国は各レベルで米中対話を行って来たが、中国にとっては対話それ自体が目的で、内容の進展はないので、今後の政権は、重要な課題があり、その解決が必要な時だけ中国と対話すべきである。
●米国側は、首脳会談から年次戦略経済対話、軍人の相互訪問に至るまで各種対話を行って来た。しかし、双方の価値観も世界観も全く異なったままである。中国側は米国の言っていることを完全に理解しているが、それに同意する気は全く無い

無意味な対話を続けることは理想主義に過ぎない。中国にとって対話はそれ自体が目的であり、理解を深めるためのものではない。米国は対話による問題の解決ではなく、それを継続することだけに関心を集中させられている。   
次の米政権は、必要な時だけに中国と対話をすべきである 米国は単なるおしゃべりで誤魔化されないということを中国に分らせるべきである
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ゲーツ前長官は、長年CIAやNSCスタッフとして旧ソ連との交渉に当たっていた経験から、交渉が直接的な結果に繋がらなくても、対話や交渉の場を持つ事で相手の反応を確認出来たり、カウンターパート同士の関係から誤解や誤判断の防止に多少でも役立つ可能性がある、とその必要性を強調していました

gatesCGSC.jpg例えば、旧ソ連の対外交渉団が自国のICBM数や配備を良く承知しておらず、米国の資料でそれを知り話に乗ってきたこと、相手の反応が普通でないので背景となる事情に別ルートで探りを入れたこと等々の「副次的」な効用が無視できないと強調していました

民主主義国はそのような悠長な交渉を受け入れる度量が試されるわけですが、ゆったり構えることが出来れば、結果を期待せず偵察と思って対応できれば良いのですが・。米国にも日本にも、その余裕はないのでしょう・・。

「1月ゲーツ長官の中国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1
「米中軍事交流の今後」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-23
「米中軍事交流再開へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-10
「米中対決シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10
「シャングリラ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

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対中へ:米NZ関係30年ぶり改善へ [パネッタ国防長官]

米とニュージーランド関係は1984年から冷却していた・・・

NZ30press.jpg知りませんでした
21日、日本と中国に続きニュージーランド(NZ)を訪問したパネッタ国防長官はNZのコールマン国防相と会談し、米国が30年近く禁じていたNZ海軍艦艇による米海軍や沿岸警備隊施設使用を緩和すると発表し、各種軍事協力関係を推進すると述べました。

両国の「冷たい」関係は、1984年にNZ政府が核推進や核搭載艦艇のNZ領海や港湾利用を禁止したことに起因し、同年以来米国は米豪NZ間の安全保障条約が停止状態になっているようです。

米国防長官として30年ぶりにNZを訪問したパネッタ国防長官は、同盟停止(suspended)が微修正され個人としての訪問(individual visits)が許されたと語り、「重要で両国の利害に合致する」付け加えています

一方でNZ側は、依然として核艦艇の入港への姿勢を変えておらず、NZ国防相は記者団に「国の方針に変化は無く、将来もそのまま」と語っています。

今次のNZ訪問を米国防省web記事は・
NZ30PMDM.jpg●パネッタ長官は会見で、両国間の国防省関係者の協議を禁じていた障害を取り除くことにした。両国間の演習を制限する規定も解除した。この変更により、両国軍は安全保障問題を協議し、共通の課題について共に取り組むことを容易になる。(写真中央がNZ首相、左が国防相

●長官はまた、限定された分野における見解の相違はあるものの、両国はその相違がより大きな安全保障上の課題への対処への妨げにならないよう、新たな道を進むことになる。

●NZ国防省との会談の中で、先月アフガンでの活動で5名のNZ軍兵士を失ったNZの貢献を高く讃え、5名の英霊に敬意を表したところである。
●本年6月、両国防相が「ワシントン宣言」に署名し、南太平洋での協力強化、NZ軍の着上陸能力強化、地域諸国のPKO、人道支援、災害対処能力向上のために協力していくこと等について合意していた。

NZ30years.jpg●パネッタ長官は、30年ぶりにNZを訪問する機会を得たことを特別な誇りに感じるとともに、昨日も今日も明日も両国が親しい友人である、と語った。
コールマンNZ国防相(写真左端)は、パネッタ長官によるわが国訪問が極めて意義深いものであり、全てのレベルにおける両国関係が「暖かい状態(warm state)」にあることを裏付けるものである、と述べた。
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ANZUS同盟がそのような状態であったことを知りませんでした。豪ばかり見ていたので・・・。
しかし・・・両国防相は明確には語っていませんが、対中国のためにプライドを脇において協力関係強化を進める決定がなされたことは喜ぶべきことでしょう。小さなことからこつこつと・・。

NZはちょっと特異な国で、その周辺環境から、冷戦終了後の1998年に戦闘機を廃止する決定をし、2003年を最後に輸送機と海洋監視航空機のみを保有する軍となっています。朝鮮戦争やベトナム戦争に参加した経験はあるようですが・・・
陸軍は4.5千人、海軍はフリゲート艦2隻、空軍は輸送機やヘリ等5個飛行隊・・・

「豪が米豪中の海軍訓練計画へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-24
「米と豪が被害想定演習を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「米豪が60周年同盟強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-17

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パネッタ長官2度目の訪中 [パネッタ国防長官]

China12Liang.jpg18日午前中、在北京のパネッタ長官は梁光烈・国防相と会談を行い、その後両名揃って記者会見に臨みました。
以下は全て米国防省webサイトの記事からご紹介ですが、記事は「会見で両者は、両国軍事関係の進展と成長の余地があることを認識したと記者たちに語った」と表現しています

パネッタ長官は会見で・・・
●梁国防相に対し、2014年のRIMPAC海洋演習に中国艦艇を招待する旨を伝えた。PIMPAC演習は隔年で米太平洋海軍が行う世界最大の多国籍演習で、今年は24カ国が参加した。
17日、アデン湾周辺で米海軍艦艇と中国海軍艦艇が初めて2国間の海賊対処訓練を実施した。この前向きな勢いで中国がRIMPAC2014に参加してくれることを希望する
●両国が平和維持活動交流(peacekeeping exchanges)の立ち上げについて議論した。米国側はこの交流を通じ、中国のキプロスや西サハラでPKOを主導した経験を学びたい

China12Press.jpg●両国の協力が盛んになるにつれ、両国にとって同意できない部分があることを認識することが重要である。
●米国は尖閣諸島又はDiaoyu Islandsに関し日中間で衝突があること等、東アジアや南シナ海の海洋安全保障の課題を懸念している。関係国が対話のチャネルを維持し、平和的に問題を解決することを促した

●この状況がエスカレートすることが誰の利益にもならず、平和と安定を損なうことを今週継続的にメッセージとして伝えている
●梁国防相には、米国がサイバー空間の問題について中国と軍レベルの対話を行いたいと改めてお願いした

記事は梁光烈・国防相の発言を・・
●パネッタ長官の訪問を中国政府は重要視している(placed great value)。長官との会談は、率直で、実務的で、建設的な雰囲気の中で行われた。
●今日の会談では、2国間の軍事関係について、国際的視点と周辺情勢等から意見交換を行い、いくつかの分野で共通認識を得た

●両国は確固たる安定的な両国関係が、両国と両国民、更に全世界にとって極めて重要である点で一致した
●両国防相は、両国関係を大きな視点でとらえ、新たな軍事関係を対等、相互利益、win-win協力に基づいて発展させなけれなならない点で合意した

China12Meet.jpg●梁光烈・国防相は、台湾への武器売却問題、米国のアジア太平洋地域でのリバランス、中国周辺海域での領土紛争、サイバー、宇宙について、意思疎通により疑念を減らし信頼を構築することが出来ると述べた

●パネッタ長官は、徐才厚:中央軍事委員会副委員長、戴秉国:外交のトップと会談、陸軍の装甲施設学校を訪問して講演北方艦隊司令官との会談と部隊研修を行う。
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尖閣問題については、厳しいやり取りの状況が既に多数報道されているのでそちらをご覧下さい。
尖閣問題に引っ張られ、アデン湾での初の共同海賊対処訓練やRIMPACへの招待が霞んでしまったようです。平和維持活動交流については、話題にしただけで具体的な話には至ってない模様です。

全般には「停滞」だったのかもしれません。

「パネッタ長官シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「米中国防相会談」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-08
「パネッタ長官のアジアツアー」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22

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今週米調査チームが:第2のXバンドレーダー [パネッタ国防長官]

Japan12press.jpg17日、来日したパネッタ長官は森本防衛大臣とともに会見に臨み、北朝鮮の弾道ミサイル監視用現在青森県車力に設置されているAN-TPY-2レーダーを、更にもう1台設置すると発表しました。

設置場所については未確定で、今後日米間で協議するとのこと。

パネッタ長官は会見で・・・
●米日両国は追加の「Tippy-Two」レーダー配備に関する協議を開始した
●追加配備の目的は、日本防衛の能力強化、米軍前方展開部隊の支援、そして米本土を北朝鮮のミサイル防衛から防衛するためである
●継続的なBMD分野における緊密な協力は、両国の共同コミットメントに沿ったものである

Japan1stfloor.jpg●(質問:中国の反応をどう考えているか?)日本の次の訪問国が中国だが、中国に米国が北朝鮮の弾道ミサイルに懸念を持っていることを隠す必要はない

●中国には米国の懸念を明確に伝えるつもりだし、本事業の推進は非常に重要である。米国とその同盟国を守るための重要な一歩である。
●中国側にはこの点を継続して伝えていくつもりである

パネッタ長官に同行の国防高官は・・・
●米国からの調査チームが今週日本に到着し、日本側関係者とともに追加レーダーの配置場所を検討する
●地上配備レーダーを増やすことで、同タイプのレーダーを装備した艦艇の運用柔軟性を確保することが出来き、世界の他地域でも活用できるようになる
●追加レーダーは中国からの防衛を意図したものではなく、北朝鮮の弾道ミサイルから米本土、米国民、前方展開米軍、地域の同盟国等を守るものである

米ミサイル防衛庁(MDA)のAN/TPY-2資料は・
ANTPY-2.jpg●弾道ミサイルを探知、追尾、識別タイプ分析、軌道・着弾点予測するレーダーシステム。車両・鉄道・空海路で輸送可能
AN/TPY-2レーダーと高層から低層に至る(迎撃ミサイル)センサーを組み合わせることでミサイル追尾の確度を高め、要撃確率を高める

3台のAN/TPY-2レーダーが同盟国等に配備済み。7台が製造され、更に3台が製造中。最終的には11台保有の計画
●AN/TPY-2レーダーは、宇宙監視やデータ収集にも活用可能(もともと高層用のBMDミサイル用だから)
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17日のNHKニュースでは、沖縄以外の日本の南部と米国防省関係者が語ったと報道されています。
直進性の高い「Xバンド」ですから、遮蔽物の少ない日本海側の自衛隊基地なのでしょう。沖縄以外とすると・・

本レーダーを良く知らないので、「知恵蔵」等よりコピペ
AN-TPY-2.jpg●防空用レーダーや戦闘機搭載用レーダーの波長30〜100cmと比べ、高い分解能が得られ、目標を点としてではなく形として把握できる能力から、弾道ミサイル防衛システムの目標(ミサイルや弾頭)捕捉、弾頭とオトリとの識別、追尾、迎撃ミサイルの誘導に使用される。
●波長が短いために大気による減衰が大きく、遠方に到達させるには大出力が必要となる。

巨大なものには平均出力170kW級もある。4000kmの遠方で弾道ミサイルの弾頭の探知ができ、2000km以内なら実弾頭とオトリの識別が可能とされる一方、周辺環境への影響を懸念する声も
●AN/TPY-2レーダーはTHAAD終端迎撃システム用レーダーで出力150kw。移動用のため上記の170kw級や航空自衛隊のFPS-5ほどの出力はない。1平方m級の目標ならば2300kmで探知可能

なおパネッタ長官は・・
Ma Xiaotian.jpg日本での滞在を短縮し、日本で会見を行った17日夕方には北京に到着。予定を一日延ばして3日間の中国滞在計画に。
●19日には習近平、徐才厚(中央軍事委員会副委員長)、戴秉国(安全保障補佐官、外交のトップ)と会談。北海艦隊で艦艇や潜水艦視察も 
出迎えは軍事交流を取り仕切る馬暁天(副参謀総長)
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他の2台は、チェコとトルコだったでしょうか・・・
レーダーの性能を捜索可能範囲2300kmとすると、単純に考えた場合、中国の沿岸地域は十分にカバー出来ますが・・・

「米中国防相会談」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-08
「パネッタ長官シャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「パネッタ長官のアジアツアー」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22

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8月末、国防高官の動きより [パネッタ国防長官]

本日は(も)手抜きで、8月22日から23日にかけての国防省高官の動きを、小ネタと写真中心にご紹介します。

まずパネッタ長官は22日・・・
stennis2.jpg●急遽、予定を繰り上げて中東地域への出動を命ぜられた空母ステニスを訪れ、乗員を激励です。
●乗員を集めて激励し、新国防戦略に沿って派遣の重要性を説き、一般兵士たちと普通の昼食を取りながら現場の様子を確認

●その後、急遽派遣の理由を問いただす報道陣に対し・・・
---明らかにイランは脅威の一つである。イランの核開発やホルムズ海峡安全航行への脅威は懸念の一つである
---2つ目にはシリア国内での騒乱である。我々は詳細に状況をフォローしている。この他にも当地域には多くの課題が存在している
---シリア問題に関し、米国は3つに焦点を当てて対応している。ひとつはヨルダンとトルコ経由の人道的支援と働きかけ。次にシリア保有の生物化学兵器の保管状況監視。最後に反政府側への兵器供与でない支援(Offering nonlethal assistance
stennis3.jpgstennis.jpg









23日にはカーター副長官が中国軍No2と
(本件に関しては、24日時点で写真のみ公開です。しかし高解像度の写真を一挙8枚も特別ページを仕立てて紹介)

中国軍NO2とは、Cai Yingting人民解放軍副参謀総長(Chinese deputy chief of the General Staff of the People's Liberation Army)です。
同行の軍人8名を引き連れ、カーター次官側とテーブルを挟んで対当な関係をアピールしつつ協議する模様が公開されています。
PLAno2.jpgPLAno2-1.jpg








PLAno2-3.jpgPLAno2-2.jpg







23日、岩崎統合幕僚長がデンプシー統参議長と
記事には写真が一枚もなく、中身も過去記事を「コピペ」したような内容です
失礼しました。25日に写真がアップされました→http://www.defense.gov/photoessays/PhotoEssaySS.aspx?ID=3117

唯一、米側が若干でも成果として持ち上げたかったであろう部分はおそらく・・・・
DempIwasaki.jpgオスプレイは我々の次世代戦術空輸アセットであり、近代化努力にとって重要な役割を持っている。沖縄と日本の皆様には、安全運航をお約束したい。今両国間にある信頼関係のような信頼感を、本機にも持ってもらえるよう継続努力したい。
●一方、我々の協議は海兵隊関連に留まるものではない。両国の関係を更に拡大し、サイバー、ISR、地上での協力も発展させるための協議もをした。
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中国軍の副参謀総長が写真入りで副長官と濃密な紹介ぶりに対し、日本の参謀総長は申し訳程度の記事、それも本質でない枝葉末節なオスプレイがらみ。
iwasaki.jpg唯一の救いが戦闘機しか(実質)頭にない戦闘機パイロットの統合幕僚長に対し、デンプシー統合参謀本部会議議長がサイバーやISRや脅威の変化の重要性を刷り込んでくれたくれたことでしょう。

パネッタ長官言及のシリア反政府側への「Offering nonlethal assistance」とは??? 情報提供か? 食料等の後方支援か?

「勝手に在日米軍再編を決めるな」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-25
「テニアンは米軍代替基地」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-18
「敵に財政負担を強いる」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03
「不穏なアジア担当次官補人事」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-20
「日本に中距離弾道ミサイルを」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-07-1

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強制削減4つのシナリオ [パネッタ国防長官]

eisenhower.jpg小出しで申し訳ないのですが、少しづつ漏れ聞こえてくる予算の強制削減(sequestration)を巡る動きを、29日付「Defense News」記事から本日もご紹介します。

オバマ政権は、現時点で強制削減発動に至った場合の対処方針を示す意図はなく、議会が強制削減を避ける歳出削減と税収増加案を超党派で案出してくれることを見守っている状況です。
国防省は多様なオプションを予期して動き始めているようですが、その中には時間稼ぎのため、2013年度政府全体で$100 billion削減で妥協する「mini-sequester」案も含まれているようです

23日、そんな状況下、パネッタ国防長官は十数名の主要軍需産業トップと何回目かの秘密会談を行い、国防省が想定している4つの強制削減シナリオを説明しつつ対応等を協議した模様です。

その4つのシナリオとは・・・
●議会が何ら対策を打ち出せず、強制削減が発動される
●11月の大統領選挙後、「死に体」期間の議会が強制削減回避計画を作成する
大統領選挙前に、議会が強制削減を回避する歳出削減と税収増加案で合意する
●対応策案出の時間稼ぎのため、1年から2年の暫定「mini-sequester」で妥協し、継続審議

panettaSASC2.jpgパネッタ長官は軍需産業との会談で
●長期的赤字削減案が望ましいが、政治的に実行可能性のあるのは短期の合意で時間を稼ぐ手法であろう、と述べた模様(会談参加者からの情報)
●またこれまでの会談では、国防省と軍需産業界は一丸となって強制削減による雇用喪失の影響を訴え、議会に対し財政赤字削減案を案出して強制削減を回避するよう申し合わせている。

一方、軍需産業関係者は
閣僚の中で、唯一パネッタ長官だけが強制削減の破滅的影響を訴え、その回避に動いている。軍需産業界は100%パネッタ長官と同じ考えであり、議会に圧力をかけていく点で完全に一致している
●一方で国防省内では、議会が長期的財政赤字削減策で合意できると考えているものは殆どいない

国防省関係者は・・・
Panettatexas.jpgシュワルツ空軍参謀総長は、「仮定に話で申し上げることはない。我々は国防戦略に示された方針に沿って、また地域戦闘コマンド司令官の要望に沿って、優先順位に従って選択をして行くのみである」とコメントしている
●だが国防省関係者の不満は膨らんでおり、政府の予算管理室から強制削減対処の指針が示されるまで、削減対処には手を付けないと多くの国防省高官は強く主張している

パネッタ長官も、米軍の作戦がここ数ヶ月世界中で強化を命じられている状況下で、予算削減の検討を迫られることに大きな不満を感じていると関係者は語っている。
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大きな進展はありませんが、国防省を取り巻く「陰鬱」な雰囲気をお察しいただけたかと思います。
強制削減(sequestration)の基礎的事項は、以下の記事でご確認下さい

「基礎を復習:強制削減とは」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-28

その他強制削減過去記事
「強制削減の影響を企業に質問」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-10-1
「強制削減の影響を報告せよ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27
「強制削減回避へレビンが動く」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-14

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最初は日本へ:F-22の飛行制限解除へ [パネッタ国防長官]

F-22Hawaii2.jpg24日、国防省のリトル報道官が会見を行い、パネッタ国防長官がF-22に課していた飛行制限(高々度飛行の制限と基地から30分以内での飛行義務)の段階的解除を了解し、これを受けF-22部隊が嘉手納基地へ長時間洋上飛行を伴う部隊展開を行うと発表しました

パネッタ長官の飛行制限は、F-22操縦者がTV番組で「F-22の操縦が不安だ」と訴えたことが事実上の契機となったもので、5月15日に発せられていました。

リトル報道官によれば
●F-22操縦者に生じる低酸素症のような症状は、操縦者が高々度飛行時に着用するベストに装着された(酸素供給用の)欠陥品バルブとフィルターによって引き起こされたモノだと米空軍によって結論づけられた。問題のベストは交換され、フィルターは取り除かれる
嘉手納へのF-22の移動飛行は段階的な飛行制限解除の一つの段階である。嘉手納への移動間は比較的低高度を飛行し、ベストを着用する必要はない。また近傍に着陸可能な飛行場を確保できるルートを選定する。また空中給油機が助言を行える位置で飛行する

F-22hardturn.jpg6月26日と7月6日に発生したF-22の緊急事態は、共に別の問題によって引き起こされたモノである。共に原因が判明し、処置されている。また、5名の整備員が地上のコックピットで整備作業中に頭痛等の症状に襲われた件は、エンジン運転中に流入した排気ガスによるモノと考えられ、整備手順を変更した昨年12月後は問題は発生していない
昨年11月にアラスカでF-22が墜落して操縦者が死亡した件は、パイロットの操作ミスによるダイブ状態からの回復の遅れと報告されている

シュワルツ空軍参謀総長は
●昨年11月の死亡事故は、現在問題となっている酸素供給システムとは関係のない「悲劇的な出来事」であった。この悲劇は私たちの胸に残り続ける。
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SchwartzGen.jpg懸命な調査が行われていたのでしょうが、シュワルツ参謀総長が8月12日に退役交代する前に幕を引きたかったのだと思います。
F-22部隊や操縦者が騒ぎ出さないことを祈るばかりです・・・

オスプレイの騒ぎが収まらない間に、問題を抱えていたF-22が沖縄に飛来するのも辛いですねぇ・・・

「不沈F-35と低酸素F-22」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31

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強制削減Sequestrationを再整理 [パネッタ国防長官]

7月17日付「Defense News」は、予算の強制削減(sequestration)問題解決のため、強制削減の実施を「一時凍結」して協議の時間を作ろうとする共和党案に対し、根本的な解決を主張する民主党が妥協せず、交渉が暗礁に乗り上げていると報じています。

共和党のアヨッテ上院議員らは・
Ayotte2.jpg大統領選挙が終了するまでの間で、税制改正や支出削減に関する議会内の包括的合意を得ることは事実上困難である
●一方で、強制削減が破滅的な影響を国防産業のみ成らず米国経済に与えることは党派を問わず理解されており、現時点で来年1月2日からの強制削減発動を延期を決め、話し合いの時間を設けるべきである
●大統領選挙が終了するのを待っていては、それ以前に強制削減を見込んで企業が行う雇用や投資の縮小を避けられないまた、「死に体」政府が何の対処も取れない可能性が高い。

一方で民主党のシャヒーン上院議員は
ShaheenSen.jpg●強制削減発動が大きな問題を引き起こすことは理解しているが、荒っぽいバランスを欠く負債削減策を受け入れよと言うのなら、昨年秋の「supercommittee」で合意できていたはず。
●一時的な凍結も対処手段の一つとしてあり得るとは思うが、毎年毎年同じ問題が巡ってくるわけで、小手先だけの先延ばしでは問題は解決しない。長期的な対処を考えるべきである

米航空宇宙工業界の依頼で実施の調査レポートでは
●強制削減発動で失われる軍需産業関連雇用は約100万人
●国防産業以外の産業分野を含めた総失業者数予想は約214万人

上記のような予算の強制削減(sequestration)を巡る状況の理解を深めるため、もう一度基本に立ち返えるべく、これまでの経緯等を専門家から学びましょう
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obamaFiscalPolicy.jpg昨年4月13日、オバマ大統領が米国の財政再建に向けた決意表明スピーチを行い、国防費に対しても「ミッション、能力、役割の根本的見直し」を伴う削減を宣言しました。
それ以降、国家予算削減を巡る議論が「ねじれ米国議会」で混迷を深めつつ続いているわけですが、そんな中で飛び出したのがSequestration(以下では国防予算の「強制削減」)との言葉です。

これまでも度々、この強制削減を巡る動向を取り上げてきましたが、予算を巡る法律名や関係部署の名称を「いい加減に訳して」お伝えしてきた点を反省しております。

Tatsumi1.JPGそこで本日は、専門家の説明に謙虚に耳を傾けたいと思います。

本日引用するのは、ワシントンDCの政策シンクタンクで活動する日本人研究者による「強制削減」説明の概要です。日米同盟を研究対象にする唯一(多分)の日本人正規研究員である辰巳由紀さんの説明で勉強いたしましょう

「Wedge」のweb版(5月29日付)で辰巳さんは・・・

予算制限法(Budget Control Act)のゴタゴタ
昨年8月、オバマ政権と米議会、特に下院で多数党を占める共和党が、米国の財政再建策を巡り厳しく対立したことで、財政赤字総額の上限の引き上げが行われない状態が続き、米国政府が財政破綻する瀬戸際に立たされた。

suicide2.jpg最終的には予算制限法(Budget Control Act)という法律が成立し、財政破綻は免れたわけだが、同法では予算年度2012~2021年の10年間で米政府が総額2.1兆ドルの支出削減策を講じることを義務付けた
具体的には、9千億ドルは直ちに削減を目指すこととし、残りの1兆ドル超については今後10年間の中でどのように削減するか、上下両院から民主党、共和党夫々3名ずつ、計12人の「スーパー・コミッティー」が議論を行うこととされた。

スーパーコミッティー機能せず
●「スーパー・コミッティー」が2011年11月の感謝祭までに財政再建策を巡る合意に至らなかった場合、又は財政再建策が連邦議会本会議で否決された場合、2012年1月2日から連邦予算を一律10%カットする、という「トリガー条項」が設定された。これがsequestrationである
●ある程度予想はされていたが、昨年11月の期限までに「スーパー・コミッティ」が財政再建策を巡る合意に到達することが出来なかった。
●そして現状は、年末までに何らかの代替法案を議会が可決できない場合は、sequestrationが予算制限法の規定に基づき来年1月2日に発動されてしまう状況にある。

「合意に至らず!強制自動削減へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22

Sequestration:強制削減の中身
tatsumiYCanon.jpg強制削減が発動された場合、連邦予算全体が一律10%カット、ということで、当然、国防予算も来年1月からの予算削減の対象になる。予算制限法の下、国防総省は既に支出を3500億ドル(国防省は$486 billionと言及)削減することを義務付けられている。強制削減が発動された場合これに加え、今後10年間で更に5000億ドル($500 billion)の予算削減を迫られる

●1月5日発表の新国防戦略:DSGで国防省が示している米軍再編のプランは、予算制限法が義務付けている3500億ドルの支出削減を前提に作られた計画で、その枠内で10年間かけて徐々に米軍の態勢を変容させることを目指している。
●仮に強制削減発動で追加的に10年間で5000億ドルという大規模な予算削減をしなければならなくなった場合、当然、計画は一から見直しを迫られる。また、来年1月からすぐに支出が削られてしまうことで、10年間をかけて変えていくはずだった兵力規模・構成に直ちに変更を加えることを余儀なくされる

「強制削減検討は夏から」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
「4段階で経費削減に臨む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-20
「更なる予算削減に備えて」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-23

仮に強制削減回避でも・・・
●もちろん国防省はパネッタ長官を筆頭に強制削減回避に向けた働きかけに懸命だが、強制削減は回避できても、国防省はおそらく、現在想定している以上の予算の削減をすることになるだろうとする見方は、特に国防予算の分析を専門とするアナリストの間ではある程度定着しているようだ。

AdamsGordon.jpg●例えば、パネッタ国防長官がクリントン政権下で行政予算管理局(OMB)(日本で言うと財務省主計局が官邸の組織になったようなもの)長官として「コストカッター」と呼ばれた時代に、部下で国防省担当だったゴードン・アダムズ氏(写真左)は、国防予算は「削減ありき」の議論が当分は続く可能性が高く、その中で如何に米国に対するリスクを最低限に食い止めるような予算の使い方をするかが焦点になると語っている

「強制削減の影響を報告せよ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27
「強制削減回避へレビンが動く」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-14
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先日の記事「強制削減の影響をレポートせよ」で、元OMBの予算専門家としてコメントを紹介したのがパネッタ長官の元部下ゴードン・アダムズ氏です
アダムス氏は「一律カットの程度が今後の焦点」との趣旨の発言を最近行ったようですが・・・。

国防長官の訴え
「強制削減の陰が・・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-17
「兵士はリスクを負い議会は逃げる」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-02
「運命の傍観者たることを拒む」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-1
「政治家よ目をそらすな議論を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-26

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国防予算強制削減の影響をレポートせよ [パネッタ国防長官]

過去の主要記事リスト(1100記事記念)を作成しました
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
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先日、レビン上院議員が国防予算強制削減に回避に向けた動きを行っているとご紹介しましたが、まだまだ先は見えてないようです
色々な思惑を持って、様々な立場の人々が種々の動きを見せています。

日本も米国も、寝苦しい暑苦しい夏になりそうです・・・。

上院議員の動き・・・
Ayotte2.jpg26日、アヨッテ上院議員は技術企業団体の会議で講演し、国家予算及び国防予算の強制削減(sequestration:国防費分は今後10年間で$500 billion)が実施された場合の影響について、報告書を提出するようホワイトハウスと国防省に命ずる法案付帯条項が、今後の予算関連法案全てに盛り込まれるだろうと述べました。
●なお先週議決された法案には既に、国防省の提出期限を8月15日とする規定が含まれている

●この先週議決されたfarm billと呼ばれる法律には、政府の管理予算室(OMB)に法律成立後30日以内に、また大統領には60日以内に、全政府予算に関する強制削減影響報告書の提出を求めている
●アヨッテ上院議員は、強制削減の影響を早く明らかにして政治家や国民に警鐘を鳴らす意味があると語り、特に選挙の年に議員の選挙区に強制削減がどのような影響を与えるかを示して阻止に動かせる必要があるとも説明しています。

予算の専門家(元OMB幹部)
AdamsGordon.jpg●国防費の強制削減実施に関する不確定要素は減りつつあると思う。退役軍人予算は削減を免除されるだろうし、大統領は軍人給与も例外扱いするだろう
●不確定部分は、全経費一律カットをどの程度行うかである。過去の経費削減では、特定の事業や装備品調達の削減で対応してきたが、既に予算全体が低いレベルにあり、柔軟な対処の余地が限定されている。
●「どんな影響がでるか、またどのような対処が必要かは既に明らかである。(しかし)議員達は火が燃えさかるのをただ見つめ、何も学ぼうとしていない

パネッタ長官は軍需産業幹部と
パネッタ長官は今週、主要な軍需産業幹部との会合を行っており、強制削減の影響について聞き取りをしている(されている)模様。26日にも企業の診断(take the pulse)を行ったようである
●先週、OMB関係者がロッキードやノースロップ等の企業幹部から聞き取りを行っており(されており)、国防省報道官は強制削減との関係を否定しているが、パネッタ長官との会合も狙いはOMBと同じであろう

budgetSeq.jpgOMBは、大統領選挙が終了するまで強制削減の実施ガイダンスを示さないと述べており、OMBと企業関係者とのミーティングは航空宇宙工業界会長の要請によって行われた。
●軍需産業は、不明な点が多く強制削減の影響を語るのは困難と言い続けているが、最近になって、強制削減が発動される来年1月2日以降に雇用喪失は避けられないだろうとの声を大きくしている

●また軍事産業側は、国の規定により来年1月初頭からレイオフを行うとすると、その少なくとも60日前の大統領選挙直前に事前通告しなければならない点を強調している。
●なお先週ロッキードの社長は、強制削減が行われれば数十万人の軍需産業関連雇用が失われるだろうと述べている
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別件ですが・
BegichAlaska.jpg米議員による選挙区利益擁護型の動きは、米空軍の高級幹部人事を停滞させています。
アラスカ州選出の議員(Mark Begich)が、米空軍によるF-16の移転集約計画(アイルソン基地からエレメンドルフ基地へ)に難癖(移転しても節約にならないと主張)を付け、直接関係のない空軍人事の審議を拒否している模様です。
この影響は次期空軍参謀総長や在日米軍司令官の交代にも影響している模様です

他にも軍の基地整理統合の動きには各所で議員の妨害に直面しており、パネッタ長官や各軍首脳の悩みは尽きません・・・。

それにしても・・・「予算の一律カットは最も避けなければならない最悪の選択」と繰り返し訴えていたゲーツ前長官が聞いたら何というか・・・

「強制削減回避へレビンが動く」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-14
「敵に財政負担を強いる」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03
「強制削減検討は夏から」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01

「新国防戦略5つのポイント」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
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米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

上記論文のキーワード
「Networked, Integrated Attack-in-Depth 3D」や海空融合作戦例を解説
「抄訳海空軍トップのAS-Battle」http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

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国防省が自殺防止会議を [パネッタ国防長官]

過去の主要記事リスト(1100記事記念)を作成しました
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
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Suicide.jpg22日、パネッタ国防長官は国防省と退役軍人省共催の「自殺防止会議:Suicide Prevention Conference」の締めに登場し、「国防長官として直面する最もfrustratingな課題」である自殺防止対策を4つの視点から語っています。

パネッタ長官は「自殺防止分野に革新的な変革者が必要である」と述べ、同時に「我々はもっと出来るし、もっとやらねばならない。自殺防止に皆が更なる努力を」と組織全体に危機感を訴えています。

長官は「米軍自殺者の半分以上は、海外派遣の経験がない」と述べ、イラクやアフガンでの戦場経験が自殺の要因だと見なされがちな傾向に警鐘を発し、「広範な人間の問題、いじめや強い指導、経済問題、人間関係問題等々が自殺を引き起こすリスクを高めている」と語っています。

以下4つの視点も画期的なものではありませんが、日本も自殺の問題は大きな社会問題です。現代社会が抱える問題を見る視点として、米軍をケーススタディーに考えたいと思います

第1に現場士官や下士官へ
人をよく見て未然に防止することが必要。特に各兵士と直に接する機会が多い下士官や現場に近い階級の士官は、兵士のストレスを敏感に感じ取り、話を聞く必要がある。
suicideDOD.jpg●そして助けを必要としている者には、積極的に励ましを与えるべきである。Aggressiveであるべき。またそのような行為の見本を部下達に示すべきである
私の家内はメンタルケア担当の看護師だったが、しばしば諭されたモノだ。「人の目を見て、彼らの感情を良くくみ取りなさい」、「リーダーが目を開いて見るほど、より問題が見え、助けることが出来る」と。

第2にメンタルケア体制整備を
●利用可能なメンタルケア体制を増やすことである。過去3年間に、国防省は約35%人員を増強し、現在約9千人の心理療法士やメンタル用の看護師等を前線を含め配置している
●予備役や州兵、地方や家族によっては、まだメンタルケアへのアクセスが困難な場所もあろうが、電話やオンライン相談で必要な手助けを提供したいと考えている
PTS(トラウマ症候群)の判定や診断スクリーニング要領に懸念を持っており、決して問題を隠す事がないよう、そして適切な治療が提供されるよう制度を確実なモノにしたい

第3に軍の訓練プログラムに
●デンプシー統合参謀本部議長に、軍がこれまで注目してきた身体面でのフィットネスと同様のレベルで、メンタルヘルスも重視するように命じ、全軍を上げて取り組むよう命じたところである。
●メンタルフィットネス強化には、ストレスを減らす又はストレスに対応する能力を身につけさせる訓練や施設を設けることが含まれる
●同時に、オバマ大統領夫妻が先頭に立って進められている退役軍人個雇用促進や軍人配偶者の雇用支援も併せ、「経済的なストレス」削減策も推進したい

第4に官民を挙げてデータ調査を
NationalPolicy.jpg●自殺防止のため、自殺や関連するメンタル問題に関する官民が協力した調査やデータの蓄積を推進したい。そしてこれらを専門家の分析に委ね、分析結果を自殺傾向の理解や対策に繋げる努力をしたい。
●更に、国防省とIFHF財団が先ほど発表したように、メンタルや脳障害への最新治療を可能にする専門センターを軍内の大病院9カ所に設置し、治療の拠点とする
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パネッタ長官は「我々を守ってくれる兵士とその家族を守る責務を我々は担っている」と結んでいますが、正にその通りです
具体的に軍人の自殺率が一般社会より高いのか・・・その当たりのデータはありませんが、

独断と偏見に満ちた個人的意見ですが、TVゲームやネットゲームを生み出して膨大な利益を得ている企業、公共の電波に低俗な番組を流し続けるTV局等も、自主的にメンタルケア部門に利益を還元し、事業の見直しや廃業を検討されては如何でしょうか。
科学的因果関係は不明ながら多くの賛同が得られると思う、ゲームやTVとメンタルトラブルの関係だと思うのですが・・・。

「ゲーツ前長官も自殺に苦労」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-27
「軍と社会の遊離を憂う」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
「米軍内のレイプ問題」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19
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米海空軍トップが連名でAir-Sea Battleやるぞ宣言!
「概要海空軍トップのASB論文」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

上記論文のキーワード
「Networked, Integrated Attack-in-Depth 3D」や海空融合作戦例を解
「抄訳海空軍トップのAS-Battle」http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-06-19

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国防予算の強制削減回避へレビンが動く [パネッタ国防長官]

LevinOkinawa.jpg12日、上院軍事委員会の重鎮レビン議員(D-Mich.)がNational Press Clubで講演を行い、国防予算の強制削減(sequestration)回避に向けた超党派の動きがあり、現在今後10年で$500 billion削減を$100 billionにまで減額する案で協議を始めていると語りました。
しかしこの削減額の減額には、赤字財政解消策への共和党と民主党の妥協が前提とされており、かつレビン議員が共和党大統領候補のロムニー氏に要求を突きつけるなど、まだまだ波乱含みです。

重鎮レビン議員は講演で・・・
LevinBudget.jpg仮に財政赤字削減協議がまとまれば、国防予算には現計画の今後10年間で$487 billion削減に加え、(強制削減既定の$500 billionではなく)$100 billionの削減が加算されることになる。
●国家財政健全化への取り組みであり、国防予算も例外とはせずに貢献してもらう。しかし強制削減既定の$500 billion削減には殆ど賛成者はおらず、私も国防に大きな影響を与えることから年間$10 billion以上の削減は行いたくない

●先週、強制削減を回避するための超党派の政策センターが、議会に強制削減回避を促したが、そこでも国防省がある程度の更なる貢献を行う必要性が示されている
●上院内でも多くの同僚が先行的な同意を求めて動き、合理的で皆が妥協する方策のシグナルを発している
もし共和党が強制削減を回避したいのなら、税制問題で妥協姿勢を見せなければならないだろう。共和党は追加歳入のための一線を譲らないが、税収を増やすこと無しに財政削減を成し遂げた大統領はいない

Romney.jpg●共和党のロムニー候補が国防予算を増額したらしいが、彼には答えるべき多くの質問が残されている。少なくとも彼が拒否し続けている2つに答えねばならない
まず同候補は会見を開き、次に国防予算の増額をどこからひねり出すかを明らかにしなければならない。どこ方の分野を削減するのか、政府支出の効率化を進めてひねり出すのか等々の方向性である。
●この夏の間に共和党サイドが、ロムニー候補を含め、税制に関する柔軟性を見せるかどうかを注視することになる

強制削減問題以前に2013年予算が・・・
13日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が上院の予算関連軍事小委員会に出席し、強制削減(sequestration)は大問題だが、その前に2013年度予算案を「いじらないで欲しい」と切ない訴えを行っています。
なにせ、国防省が削減目標全体を見て削減したいと主張している部分を、議員の地元絡みで「削減するな」と修正しようとしているのですから・・・

パネッタ長官は3点を訴えています
budgetpanetta.jpgbudgetdempsey.jpgまず、老朽航空機や艦艇の削減計画を妨げないで欲しい。老朽装備を残せば維持費がかさむ
陸軍や海兵隊の兵員削減も妨げないで欲しい。兵士を維持したまま予算を削れば、訓練や装備不十分な「空虚な軍」になってしまう
医療費や退役軍人経費の見直しも認めて欲しい。兵士との信頼感を維持し、予算削減に対処するにはこの方法しかない。

デンプシー議長も「予算には、訓練費、維持費、近代化費用しかない。どれかを残せば他を削らざるを得なくなる。マジックはない」と悲痛な訴えです。
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これまでも有志議員による強制削減回避の動きがちらほら報じられてきましたが、具体的な削減額妥協案($100 billion)が示されたのは初めてですのでご紹介しました。
どこの国も似たような・・・。暑い夏にしていただきましょう。ワシントンと永田町や霞ヶ関だけ・・・。

なお、同講演では海兵隊グアム移転予算を認めないとの発言も・・・。レビン議員は在日米軍再編の現計画に反対です
「勝手に在日米軍再編を決めるな」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-25

国防予算と強制削減問題
「強制削減検討は夏から」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
「2013年度予算案の概要会見」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27
「トランスクリプト予算案会見」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
「合意に至らず!強制自動削減へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22
「追加予算削減の致死的影響」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16

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追加:講演と会見:パネッタ長官のインド訪問 [パネッタ国防長官]

「インドとの関係強化の真の課題は、インド側に米側の意図が何かを納得してもらうこと」

6日、アジアツアー締めくくりの会見をパネッタ長官がニューデリーで行いました。米国防省web記事より
IndiaDM.jpg●(海兵隊が豪州北部で、LCSがシンガポールでそれぞれローテーション配備と同様に、)フィリピンでの米軍のローテーション配備を、フィリピン政府関係者と協議中
中国を孤立化させるための「囲い込み」政策ではないかと恐れる人がいるが、米国は「outreach(手を伸ばす、関係を結ぶ)」を行っているのだ。同盟国だけではなく、ロシアや中国とも関係を強化しようと考えている
同盟国等の能力強化のため協力しようとしており、「我々は提供することが出来ることを示さなければならない」

ベトナムでは、先方は米国技術の獲得や米艦艇のベトナム施設使用に興味を示してくれた。そして米国の支援を受け、ベトナム軍の能力向上を図ることに関心を示してくれた
インドとの関係強化は過去10年間で順調に拡大してきた。しかし「真の挑戦は、インド側に米側の意図が何かを納得してもらうことだと思う。そして今時の訪問はこの課題に関し、好ましい前進を成し遂げたと思う」

6日、長官はインドで最も伝統あるシンクタンクIDSAで講演し、主要なオピニオンリーダーに米国の新国防戦略の意義と米印関係の重要性について語りました
興味ある点を米国防省web記事より
IndiaThinkTank.jpgオバマ大統領が表現したように「インドとの関係は、21世紀を決定づけるパートナー関係の一つである」
インドとは価値観を多く共有し、また共に国際規範やルールを尊重する国家同士である。同時にインドは、130万人の現役兵と100万人の予備役を有する地域で有数の軍事力を持つ国である
●両国は対テロや海賊対処等で協力してきたが、私はこの協力関係をサイバーや宇宙空間での共通利益を守る秩序作りにも発展させたい。
●当地域では、米軍は成長を続けるインド海軍の支援を受け、平和なインド洋を保ちたいと考えている。米国は豪州に海兵隊を、シンガポールにLCSを、そして他にもローテーション配備を考えている

パキスタンは忘れてはならない地域のプレーヤーである。米印両国は共にパキスタンに関わっていかなければならない。南アジアの繁栄のため、時に極めて深いパキスタンとの見解の相違を乗り越えなければならない
米印両国は全ての面で合意が出来るわけではなく、また両国は共に国内政治において課題に直面しており、戦略的な目標への前進が困難な事もあろう。しかし多くの価値観を共有する両国は、継続して更に緊密に連携できると信じている

6日付「Defense News」は軍需取引について
6日、パネッタ長官はIDSAでの講演で、「米国は輸出管理法を改正し、武器輸出に関する様々な障害や官僚機構を是正しようと取り組んでいる。・・・インドとの軍需品取引をよりシンプルに迅速にするため、障害を取り除くような取り組みをカーター副長官に監督するよう命じた」、また「両国間の兵器製造関係を、単純な売り手買い手関係から、実質的な共同生産やハイテク分野の共同研究・開発に発展させていきたい」と述べている

一方のインド・アントニー国防相は「単純な売り手買い手関係から、技術移転を伴う関係への移行を希望し、自国産業の能力アップに繋がる関係にしたい」と述べ、食い違いを見せている
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IndiaCerem.jpgインドも大国です。国力もあり自信もあるのでしょう。米国に対しキチンと発言が出来るその覚悟は羨ましいです。「真の課題は、インド側に米側の意図が何かを納得してもらうこと」・・・核心を突くご発言でした

「両国は共に国内政治において課題に直面しており、戦略的な目標への前進が困難な事もあろう」・・とは、インドでも「ねじれ議会」なんでしょうか。AKB総選挙やオウム指名手配ニュースも結構ですが、米印関係は抑えるべきニュースだと思います。

「米印関係の状況」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-27
「パネッタ長官シャングリラ12」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
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IndiaSingh.jpg5日、パネッタ長官はインドに到着し、シン首相、メノン国家安全保障補佐官、及びアンソニー国防相と会談しています。

インドは、米国が1月発表した新国防戦略(DSG)で唯一具体的に国名を表記して関係強化の重要性を明示し、またパネッタ長官が一番訪問を希望していた国です。会談後、詳細な中身は明らかにされていませんが、関係者が協議の方向性を語っています

同行の国防省関係者は米印関係を、「話題に出来ない事項がないフルレンジの関係である」と表現し、アフガン支援から海上交通路の安全確保から兵器取引まで、「民主主義国としての価値観を共有できる」国同士の話し合いが出来る関係だと語っています。

そして米印軍事関係について「インドが、より広範なアジア地域で活動を活発化させるにつれ、米国とのパートナー関係が進展するのは極めて自然なこと」と大きな期待を寄せいています。

米国防省web記事は3つのテーマを重視と・・
第1に、シャングリラやベトナムでのメッセージと同じく、新国防戦略とそこに示されたアジア太平洋地域での「rebalancing」を説明
またその大前提として、価値観を共有する国として、法治主義、国際規範の遵守、航海の自由、経済的利益追求の自由権、紛争の平和的解決等々の原則を共有する事を確認

IndiaNSadviser.jpg第2に、インドが東と西アジアを繋ぐ地理的位置にあることから、インドとの関係強化が東アジアの繁栄と安全に価値があるだけでなく、アフガンや南アジアの平和と安全に広く意義があるとの位置づけで関係推進。

アフガン支援に関し、インドがここ10年で政治的経済的にそのアフガンでの役割を拡大しつつあることを歓迎。本件がインド・パキスタン関係を悪化させる危険はあるが、両国はアフガンの安定から利益を得る共通点を持っており、衝突に至るとは限らない

第3に、過去10年間で継続着実に強化されてきた米印のバイ軍事関係の更なる進展について。2011年に両国軍は50以上の活動を共に実施した。演習や訓練が更に大規模でより高いレベルに成るよう、また人材の交流が更に進展するよう協議する
●その他。米国製軍需品の大口購入者であるインドとの更なる関係強化。過去11年間で$8.5 billion相当の装備品をインドが米国から購入しており、将来もインドで軍装備近代化が進むことを念頭に協議を深化

5日付「Defense-News」は・・
過去10年、多様な理由によりインドはアフガンで活発な活動は行わなかった。徐々に経済投資は増加してきているがそれでも小規模で、アフガン軍の教育訓練分野では小さな規模の関与しかなかった
●米国防省は、アフガン軍や警察の教育訓練面でインドの関与拡大を期待している。
技術開発協力面では、既にスタートしているC-130輸送機部品の共同生産のような協力関係の拡大など、ハイテク分野での協力拡大を米側は期待している
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INdiaAPT.jpgインドとの関係強化で中国を抑えるのは当たり前で、米国は更にアフガンまでお願いするのでしょうか・・・。
パキスタンはインドがアフガンと関係を持つことを大変警戒しており、米国がインドにこのようなアプローチをすることで、米パ関係が益々難しくなるように思いますが・・・。米国は、パキスタンとの関係修復をもう諦めたのでしょうか

インドのシンクタンクIDSAで「新国防戦略の中でインドに期待するもの」を講演すると言われています。何か注目点があれば、この記事に追記します

「米印関係の状況」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-27
「パネッタ長官シャングリラ12」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「カムラン湾歴史的訪問」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-04
「議長:アジアにもNATOを」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-01

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カムラン湾とスービック湾に再び!? [パネッタ国防長官]

VietnamShip.jpg3日、パネッタ長官はベトナムのカムラン湾への歴史的訪問を行い、これまたベトナム戦後初の米艦艇訪問を行っている海軍の輸送艦でスピーチを行っています。

また、今回のアジアツアーへの移動途中で、フィリピンへの米部隊のローテーション派遣を示唆しており、米特殊部隊のフィリピンジャングルでの隠密対ゲリラ作戦指導に加え、20年間さび付いてきた同盟が活性化されそうです。

カムラン湾上の米艦艇Richard Byrd甲板上で・
●本年はベトナム戦50周年の年に当たり、先日の戦没者追悼記念日にオバマ大統領と共に記念式典に参加してきた。多くのベトナム戦経験者にとって、このカムラン湾を取り囲む壁のような山々は、この立派な港と周辺にある当時の米軍の飛行場や補給諸施設と共に忘れられない光景であろう
●私は本日ここに、米ベトナム国交正常化17周年を記念すべく立っている。60年代から70年代初頭にかけ、ベトナムは血塗られた国となった。米兵士5万8千人が死亡し、更に多くが負傷した。ベトナム兵士やベトナム国民が被った戦争の代償は余りに大きかった

VietnInterview.JPG●同時に私は今日、米国とベトナムが築きつつある協力関係を確認しつつある。国交正常化後、両国は軍事協力関係を段階的に進め、昨年更なる緊密化のための覚え書きを結んだところである。
●長い道のりだった。我々は複雑な関係を持っているが、歴史によって分かたれることはない。両国が関係を発展させられる道を探っていきたい
●米国は例えば、高官の相互訪問、海洋安全保障、救難救助活動、人道支援や災害対処、更に平和維持活動分野で関係発展を追求したい

カムラン湾の港湾施設や補給修理施設へのアクセスは米艦艇にとって非常に重要であり、同時に政治的に意味するところも大きい。これを契機に、米国のアジア太平洋政策の目的達成が進展し、ベトナムとの関係が一段階進展するだろうと考えている。
●この機会を捉え、我々の戦争行方不明者(MIA)捜索へのベトナム政府の協力に感謝する。

4日の国防相会談で上記5項目の他に
lettlefromVietnam.jpg●私(パネッタ長官)から、当地域との協力強化と米国の永続的関与を示すシグナルとして「Office of Defense Cooperation(国防協力室)」設置した事の重要性を説明し、重要なベトナムとの軍事関係の将来に資するとお話しした。
(注:この国防協力室がどこに、そして地域全体をカバーするのか、ベトナム専従なのかは不明です)

この他目玉行事として、ベトナム戦争時の混乱の中で、両軍兵士が持ち帰って保管していた敵側兵士の個人的な手紙や日記の交換が行われています。(お金がない分、知恵とアイディアで協力を演出です!)


フィリピンとの関係について
●米国防省はアジア太平洋地域におけるプレゼンスの強化を検討しており、特にそれは豪州で進めつつある海兵隊のローテーション派遣のような形である
●同様な形をフィリピンや他の場所でも検討中である。
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philippenesessex.jpg両国とも、中国との経済的な関係は深く、表だって米国との関係強化をぶち上げられない辛い立場ですが、少なくとも二股を視野には入れているようです。
それにしても・・カムラン湾とは懐かしさ懐かしさ一杯です。冷戦期に、確かソ連の大型爆撃機がプレゼンスを見せていた記憶が・・

シャングリラでは厳しい質問を浴びたパネッタ長官ですが、ベトナムとインドで少しは元気になっていただきたいモノです。
アオザイに惹かれ、フィリピンパブよりアオザイパブの方が日本で人気を得るのでは・・・などと不謹慎な事をつい考えいるまんぐーすと同等の皆様も、今週はインドとベトナムに注目です

「米と比が軍事協力強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-29-1
「ASEAN+にベトナムで参加」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-11
「頑張れベトナム」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-18

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パネッタ長官シャングリラダイアログ:第11回アジア安全保障会議参加へ [パネッタ国防長官]

この記事は、第11回シャングリラ・ダイアログ(アジア安全保障会議)でのパネッタ国防長官を継続フォローして追記しています

ShangriLa_2011.JPG


「今週初め、海軍士官学校の卒業式に出席した。・・・私は卒業生に対し、当地域での課題に対応し、チャンスを掴む能力を君たち世代に与えると約束した」

「我々は、当地域の良き将来のために戦い、命を落とした全ての人達に対し、当地域の緊要な利益を守る責務を負っている。・・米国は長くそして深く当地域に関与してきた。戦時も平時も、民主でも共和党でも、首都に憎しみの時も礼節の時も、豊かな時も逆の時も、過去も今も将来も、ここに我々は存在する」

IISS-2.jpgパネッタ長官のスピーチは、質疑応答も合わせ、読み返すとなぜか何とも切ない悲壮感のような心持ちになります

質疑応答で「強制削減でも大丈夫なのか?」と問われれば、「大丈夫だと信じている」と答えざるを得ない。でも言葉はそういっていても、目を見れば判る・・
私は自国の士官候補生の卒業式で誓ってきたのだ、と。命をかけたご先祖のためにも、ともに力を尽くそう、と。 この辺りのフレーズが切なさを倍増させているような気が・・。

更に、「米国は19世紀に西方拡大を始めた時から太平洋国家である。私は加州モントレーで育ったが、幼き時、第2次大戦に米兵が向かうのを目に焼き付けている。朝鮮戦争でも、アジアと米国間の距離にもかかわらず、米国の運命が当地域と切り離せない運命にあることを常に理解してきた」・・・この辺りが太平洋を臨む米国人の悲壮感を強調する結果になったのでは・・・
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速報第2弾、2日の公演後の質疑応答(約26分)です。全て米中関係がらみです
講演内容細部は過去記事の内容とほとんどダブるので省略し、質問の方を重点的に取り上げます。パネッタ長官は淡々と対応していますが・・・
冒頭の中国人(政府系研究機関の模様)の質問は非常に丁寧な質問です。昨年の中国軍人によるゲーツ前長官への質問はほとんど「けんか腰」でしたから・・。成長したというか、狡猾になったというか・・・。

質問打ち切り後、IISSの商売人チップマン理事長は中国から高官の参加がなかったことについて、「中国を訪問し国防部や軍高官と良い議論が出来た。彼らの多国籍地域フォーラムを重視する姿勢に変化は全くないが、本年は国内事情でどうしても高官の参加が困難との返答であった。来年は参加があると確信している」と「よいしょ」しています。さすが「商売人」チップマンです。(2日18時更新)


質問1(中国人):対中国の軍事関係を具体的にどのように進めるつもりか
パネッタ長官:多様な手法で前向きに進んでいる。高官の相互訪問や軍人同士の訪問、また両国の検討チームによるサイバーや宇宙関連の情報交換や問題についての話し合いが行われている。信頼感を培うには、双方の意見が異なる分野でも取り組んでいくことが大切だと考えている

質問2(加藤洋一:朝日新聞←スポンサー企業優遇たぶん):中国高官は別の場所で、米国防政策を中国を敵視したモノだと批判している。本当に協力関係が進んでいるのか
パネッタ長官:当地域の安定は両国の共通の利益である。その不安定は共通の不利益である。そのことを両国は理解しており、意見の食い違う部分はあっても、双方の利益のため、両国は取り組むと信じている

質問3(FT紙)中国との関係改善と言うが、南シナ海での中国と周辺国との対立は激化しているのでは。米国は無力ではないのか
パネッタ長官:ASEANが中国が行動規範を議論し、周辺国全体が共通の規範で駆動することが最も効果的で唯一の解決法だと考えている。米国はその方向性をしっかり支えていく

IISS-Q.jpg質問4(仏人記者?)予算強制削減の陰が迫り、更に米国経済の見通しは暗い。ホントに新国防戦略を実行する自身があるのか
パネッタ長官:まず第1に、現在の予算であれば新国防戦略で全く問題なく実現可能である。第2に、強制削減については人工的なモノであり、議会や政府の誰も望んでいない。従って両党や議会関係者が歩み寄って解決すると私は信じている第3に、私は長きに渡って議員として予算に携わってきた。その経験から困難は乗り越えられると思う

質問5(カンボジア)中国を取り囲む国との関係強化が順調に見えるが、ミャンマーと米国の軍協力はどうか
パネッタ長官:ミャンマー政府の姿勢の変化を受け、国務省を窓口に種々の関係強化を考えている。しかし強調しておきたいのは、米国は中国を封じ込めようとしているのではない点である

質問6(若造)中国は代表団のレベルを下げ、本会合を軽視する姿勢を見せている。また本会合直前の中国報道や関係者の米国への発言も非常に厳しいモノがある。どう考えるか
パネッタ長官:どんな国家間にも対立や意見の違いはある。しかし双方に何らかの利益がある限り関係は続くのである。冷戦最盛期の米ソ関係でもそうだった。繰り返すが当地域の安定は両国の利益なのである。
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速報! 2日、パネッタ長官が約39分の講演を行いました。サプライズはありませんが、幾つか具体的な内容に触れています(2日午後9時更新

●「国連海洋法条約」に今年中に批准する事が必要だし、希望している。(注:160カ国が加盟する本条約に、米国はこれまで「拘束されるのはいや」と批准を拒否。このため、南シナ海でのもめ事に口を出す資格はないと批判を受けてきました
●今後5年間で海軍の老朽艦を廃棄し、40隻以上のより高性能な艦艇を導入する
●今後数年で、同地域での演習を増やして高度化する
●米艦艇の当地域訪問を増やす。特にインド洋沿岸地域
2020年までに海軍勢力の配分を、現在の太平洋5:太平洋5から、6:4に変更する。これには空母6隻や主要艦艇、LCS、潜水艦等々を含む

まんぐーすは思います。「2020年までに海軍勢力の配分を、現在の太平洋5:大西洋5から、6:4に変更する」は、大西洋方面の戦力が純減し、太平洋の相対比率が上昇するだけでは??



ちなみに日米同盟に関しては・・・
(韓国よりも先に、一番に言及し)
●米日同盟は継続して21世紀の地域の繁栄と安全保障のcornerstonesの一つで有り続ける。このために両国は、ともに訓練し作戦する能力を高め、緊密に海洋安全やISR分野で協力していく
●また、次世代ミサイル防衛弾頭等のハイテク技術開発での協力、宇宙やサイバー等の新たな協力分野の開拓にともに取り組む。

その他おまけで、「先日の海軍士官学校卒業式で、初めて外国人留学生が首席卒業した。シンガポール留学生であった。アジアとの結束を感じる」でした・・・
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米中関係の記事
「9年ぶり米で米中国防相会談」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-08
「中国を名指し出来ない中で」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-16
「対中を太平洋軍司令官が」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-18
「中国の軍事力発表会見」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19

米とアジア諸国関係の記事
「星国防相が米関係を」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-10
「米海軍は日本から豪へ移動」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2
「豪との関係強化へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-09
「米と比が軍事協力強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-29-1

「インドネシアと関係強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23
「マレーシアと関係強化」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-10
「がんばれベトナム」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-18
「ASEAN Plusに参加」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-11
「元ベトナム難民故郷に錦」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-18-1

IISS-dinner.jpg写真は1日夜の夕食会。左から、パネッタ長官、インドネシア大統領、シンガポール首相

奥の別のテーブルに、日本の統合幕僚長らしき姿も・・・


2012Shang.jpgシャングリラ会合の公式予定(時間とスピーカーと演題)がIISSwebサイト:シャングリラ会合2012にアップされましたが、パネッタ長官の演題が事前発表の「緊縮財政下の米国防政策」から「アジア太平洋への米国リバランス」に変更になっています。

種々の事前報道でも「米国はリスニングモード」との論調が主流で、何もない会合を予想しています。昨年は豪州への海兵隊派遣やシンガポールへのLCS派遣の発表があったのに・・・

中国は国防部長が欠席。代表団は非常に小粒だそうです。ASEAN主催のカンボジアでの会議で周辺諸国に睨みを利かすようです・・・。
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31日(ハワイ時間)、パネッタ長官はシンガポールへの経由地であるハワイの太平洋軍司令部で、太平洋地域の重要性について語っています

パネッタ長官は司令部勤務員を前に
PACOM.jpg1月発表の新国防戦略の鍵は、アジア太平洋地域である。我々は脅威あるところに焦点を当てなければならない。将来の問題が潜在するがゆえに、太平洋と中東地域に継続的に焦点を当てなければならないのだ
しかし米国は他の地域にも関与しており、軍はその旗を他地域にも掲げなければならない。この実行のため、創造的に編み出したローテーション派遣により国々と協力して能力を伸ばしていく

●米国は複数の脅威と同時に対峙して撃退しなければならない。仮に中東と韓国で同時に戦わなければならないなら、我々は可能だし、そうしなければならない
●新国防戦略は削減のための戦略ではなく、投資のための戦略である。我々は、サイバー空間、宇宙、我を機敏で展開力ある軍への投資を行わなければならない

(まんぐーすコメント)
なぜハワイで他の地域のことに言及しなければならないのか??? 恐らく出発直前の海軍士官学校の卒業式でアジア太平洋を強調しすぎ、色んな方面からつっこみが入ったのだと思います。  ↓   ↓   ↓
「海軍士官学校卒業式で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30
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ToShangri-la.jpg30日、パネッタ長官のハワイ経由での第11回シャングリラダイアログ(アジア安全保障会議)参加及びベトナムとインド訪問について、国防省関係者がバックグランドブルーフィングを行っています。

シンガポールでのバイ会談予定
バイ会談の最終予定はまだ確定していないが、充実した内容となるだろう
●シンガポール、フィリピン、マレーシア、ブルネイやその他の国ともスケジュールを組んでいる
中国のカウンターパートとの会談も歓迎するが、実現するかは現時点で不確定

ベトナム訪問では・・
●ここ数年、ベトナムとの関係の軌跡は良い方向にある。昨年署名したベトナムとの軍事協力に関する覚え書きに沿って、更に関係を進展させる良い機会である
●どのように両軍関係を強化していくかを話し合う良い機会となろう。またベトナム戦時の行方不明者(MIA)捜索に関するベトナムの協力に謝意を述べる良い機会

「がんばれベトナム」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-18
「ベトナムでASEAN Plus」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-11

インド訪問について
Panettatexas.jpgパネッタ長官は就任以来、インド訪問を熱望しており、念願叶っての訪問となる
全ての面から、米印軍事関係は極めて重要であり、戦略的に我々はインドを、多くの利害を共有し、多くの分野で協力可能なパートナーと考えている

●またパネッタ長官はインド指導者達と、国防装備品貿易、米国の新戦略が米印軍事関係に対し示唆するモノ、NATOサミットでの議論の状況、更に南アジアや世界情勢に関する長期的展望について議論する予定。
●我々はインドと、広範で戦略的で継続的な関係を構築しようとしている。そしてこのような関係が普通の状態になり、全ての分野での関係にしようとしている

「米印関係の状況」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-27
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インドが核実験を行って核兵器を保有し、米印関係が「凍結」していたのがつい昨日のことのようです。そして、米印が関係改善を図った際、核兵器保有に関する米国のダブルスタンダードだと主張する国やその筋の方が騒いだのもつい最近の事でした。

世界は変わりました。しみじみ。年を取ったか・・。
米国防省の記事は第10回シャングリラ・・と報じていますが、IISSの公式サイトでは第11回ですので・・
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22日、リトル報道官が定例会見を行い、パネッタ国防長官のIISSシャングリラ・ダイアログ参加と、その後のベトナム及びインド訪問を発表しました。

ShangriLa_2011.JPG


パネッタ長官の行動概要は・・
30日に米国発。ハワイでロックリアー太平洋軍司令官と合流し、ハワイの米軍部隊を視察激励。その後シンガポールへ移動

シャングリラでは、6月2日朝9時からの第一セッションで「緊縮財政下の米国防政策」とのテーマで講演し、質疑応答を行う予定。その後、会場内で各国国防相とバイ会談を予定。会談予定国はシンガポール、日本、韓国、豪州、その他

eisenhower.jpg●日程細部不明ながら、シンガポール後にベトナムを2日間訪問。「米国はベトナムとの強い軍協力関係を長年保っており、これを継続発展させる機会となろう」
ベトナム後にインドを2日間訪問。「米印関係を更に発展させることは米国政府の優先事項である。両国関係は21世紀の米国に大きな影響を与えるdefining partnershipsの一つである」

Shangri-La Dialogue(6月1日夜~3日)ですが・
公表されている予定には、先ほどの「緊縮財政下の米国防政策」セッションの他に・
PROTECTING MARITIME FREEDOMS
DETERRENCE AND REGIONAL STABILITY

CONTAINING THE SOUTH CHINA SEA DISPUTES
THE ARMED FORCES AND DOMESTIC EMERGENCIES
NORTHEAST ASIAN DANGERS AND OPPORTUNITIES
SUBMARINES AND REGIONAL SECURITY
SOUTH ASIA’S GROWING SECURITY THREATS

NEW FORMS OF WARFARE: CYBER, UAVs AND EMERGING THREATS
EMERGING RISKS TO GLOBAL AND ASIA-PACIFIC SECURITY
各セッションが予定されています
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●パネッタ長官は恐らく本年1月に発表した新国防戦略を説明し、アジア太平洋重視を協調するのでしょうが、「緊縮財政:austerity」との絡みにどう言及するのか注目されます。更に、強制削減(Sequestration)の見通しや対応について突っ込まれること必至ですのでやり取りに注目です。

IISS2011.jpg中国からの参加者については不明です。毎年セキュリティーの関係から、各国からの参加者についてはほとんど事前に明らかになることはありません。米国防長官の予定をここまで詳細に事前発表したのも珍しいと思います。中国とはバイ会談をやったばかりなのでシンガポールでは無いのでしょう、

●毎年、アジア太平洋地域のみならず、ロシアや英国からも国防大臣が参加しているので、本年も同様の規模になるでしょう。
●日本の安全保障に関心がある議員さんも参加するのでしょう。昨年は川口順子元外相や小池百合子元防衛相等が参加してましたから
●ちなみに、朝日新聞と三菱商事がスポンサー企業に名を連ねています。

2011年シャングリラ
「ゲーツ氏最後のシャングリラ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

2010年シャングリラ
「シャングリラ長官演説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「質疑シャングリラ演説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-10
「前座シャングリラ演説」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-03

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新海軍士官にアジア太平洋重視を [パネッタ国防長官]

「君たちの任務は、21世紀におけるアジア太平洋地域の平和と繁栄を確かなモノとする手助けである」

Annapolis2012.jpg29日、パネッタ国防長官は海軍士官学校の卒業式に出席し、新国防戦略(DSG)に沿ってアジア太平洋を重視する事を特に強調し、その任務にしっかり当たるよう呼びかけました。

最近、各軍種の士官学校卒業式が続いており、23日の空軍士官学校にはオバマ大統領が、25日の陸軍士官学校にはバイデン副大統領が出席し、卒業生を激励しつつ、予算修験の中でも軍の重要性に理解を示す姿勢を示しているところですが、パネッタ長官のスピーチはこのような場には珍しく、政策に突っ込んだものでした。

長官はアジア太平洋の重要性を
●(イラクやアフガンでの活躍、ビンラディン作戦や対リビア作戦の成功を讃えた後、)我々は依然として多くの課題に直面している。暴力的過激派、改良破壊兵器の拡散、イランや北朝鮮の不安定化行為、アジア太平洋地域での軍隊近代化、中東での騒動や海賊やサイバー攻撃などである
●国家は君たちに注目している。我が艦隊が地球上で最強であり続けることは君たちの双肩に掛かっている

annapolis2012-2.jpg新国防戦略(DSG)は我々に、機敏で、柔軟で、機動力があり、技術面で先端な軍であることを求め、中東と並んでアジア太平洋に重点を置いている。
●そして新戦略は、鍵となる同盟国やパートナー関係の強化を求め、サイバー、無人システム、宇宙、特殊作戦能力等の新たな能力への投資を守ってくれている
●更に新戦略は、いつ何時にどこででも、敵対者を撃破し、侵略と対峙することを米軍に求めている

●米海軍と海兵隊は本戦略実現の重要な原動力である。新たに士官となる君たち世代は、広大なアジア太平洋海域の全域で米国力を維持増強する事を求められている
●米国の将来の安全と繁栄は、西太平洋と東アジアから、インド洋から南アジア地域の平和と安全を推進する我々の能力に掛かっている君たちの任務は、21世紀におけるアジア太平洋地域の平和と繁栄を確かなモノとする支援である

●我々は、君たちが歴史的な同盟関係を強化し、健全な新たな協力関係を構築することで、米国パワーを投射してくれることを期待している。
●また同時に、中国との軍事関係を強化することを君達に望む。中国軍事力は拡大と近代化を進めており、注意深く観察していなければならない。我々は強く、どのような挑戦にも備えておかなければならない。
しかし、同地域における平和の鍵は、米中両国が軍事協力における新時代の切り開くことである。そしてそれは、両国が安全保障上の負担を共有し、アジア太平洋から世界の平和推進することに繋がる。

同性愛者受け入れに関連し・
annapolis2012-3.jpg●君たちは同性愛者に関する「聞かない、言わない」方針撤廃後の初めての卒業生である。君たちの中には、全米各地の他、海外12ヶ国から様々な多様性に富んだ仲間がいる。富めるモノもそうでないモノ、宗教も様々、人種も様々、そしてゲイも普通の人(straight)も含まれている。   ●この多様性を讃え、そして先週亡くなった初の黒人海軍士官学校卒業生ブラウン中佐(85歳)に、この多様性のすばらしさを捧げる。
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パネッタ長官はこのスピーチの翌日、ハワイ経由でシンガポールへ向かっています。シンガポールでのシャングリラ・ダイアログ(第11回アジア安全保障会議)参加を控えているため、意識的にアジア太平洋を前面に押し出したのかも知れません。

「パネッタ長官シャングリラへ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25

主張の点は、米国の政策からすれば当然のことでしょうが、何もこの場で特出ししなくても・・・
君たちの新鮮で斬新なアイディアで、この厳しい荒波の時代を乗り切る、新たな航海術を生み出してくれ・・・てなメッセージでもよろしかったかも。

「新国防戦略5つの柱」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
「新味なき国防戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06
「2013年度予算案の概要会見」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27

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