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シリア情勢を上院で語る [パネッタ国防長官]

sylia2.jpg7日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が上院軍事委員会に出席しシリア情勢について証言しています。
以前にもご紹介した「リビアの様に単純ではない」の他に、「米国単独での軍事行動は意味を成さない(not make sense)」、また「今は米軍を展開させる時ではない」と明確に述べています。
またデンプシー大将がシリアの強固な防空網にも触れ、リビアと同じではない点を強調しています。

シリア情勢過去記事(美人大統領夫人の写真も)
「反政府にアルカイダも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-20
「シリアを巡る複雑な情勢」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09

パネッタ長官は・・・
アラブの春と呼ばれる中東の動きに対する米国の姿勢は3原則で表現される。
はじめに、体制側による国民への暴力や抑圧に反対する
次に発言や集会の自由と言った国際的な基本的人権擁護を支持する
3つ目に、地域の人々に共有されている政治及び経済改革への願望を支援する

シリア情勢に関し・・・
panettaHouse2013.jpg●シリアのアサド大統領は身を引き、直ちに民主的な権力移行が進められるべきである。米国は、政治的・外交的手段によってこの加速を支援すべきである
ハマスは既にアサド政権と距離を置き始めておりイランのみがアサド政権を支援している。シリアの混乱によりイランの地域での立場は弱体化傾向にあるが、アサド政権の崩壊により、地域の手先への支援ルートを失うイランは、最大の敗者となろう

●同時に、中東各国の事情は政治的、地理的、歴史的が背景を踏まえるとそれぞれに複雑であり、それぞれに独自の対応が求められる。複雑で混乱が生じやすい中東に、紋切り型の対応は適用できない。
国防長官として、兵士の前線派遣を進言する前に、何が任務であり、任務が達成可能なのか、犠牲はどれほどか、全体情勢を好転させるのか等々について確証を持たねばならないと考えている
米国単独での行動は意味を成さない。今は米軍を展開させる時ではない(not the time for U.S. military boots on the ground in Syria)。

デンプシー議長は
dempsy3.jpg現在、地域のパートナー国との情報共有は限定的であるが、米国益のために必要となればいつでも可能である。シリアと国境を接する全ての国との強固な関係を維持しており、軍は機敏で世界対応の態勢を維持している
シリアの混乱を利用しようとする過激派や諸勢力からは目を離せない化学・生物兵器の管理にも注意を要する

●軍は政府に軍事オプションを提示する準備が出来ているが、全てのオプションは適切性、実行可能性、受け入れ可能性の観点から判断されなければならない。また同時に我々は、オプションの他地域への関与に与える影響やリスクについても提示する責任がある。
●行動を起こすには、コアリションを形成する必要がある

●(対シリア航空作戦に関する質問に答え、)米国はシリアの防空網を突破する能力を保持している。そのためにはシリア防空網を制圧する必要がある
●参加者を限定したウォーゲームを実施し、シリア防空網の能力や密度等から制圧にどの程度掛かるかを推定した。かなりの期間と多数の航空機が必要との結果が得られている
●そのような攻撃は、少なくとも初動では、シリア防空網に対する米国のみ保有の電子戦攻撃でリードされるだろう
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sylia.jpg反政府側の見極めが難しいようです。100以上のグループがあるとも言われており、数十年にわたって内戦が続いたレバノンになぞらえる見方も出てきています
「アサド大統領は身を引き、直ちに民主的な権力移行が・・」は、決まり文句と言いつつも、余りにもナイーブな表現です。

アサド大統領が身を引いても、何が次に来るのか全く見えず、安定する可能性が低い中、他の表現ぶりがありそうなモノですが。

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