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2013年度国防予算案の概要発表 [パネッタ国防長官]

2013panetta.jpg26日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が会見に臨み、2013年度予算案の概要説明を行いました。パネッタ長官は予算案を「a balanced, complete package」と呼んで、国防省の予算削減分担は果たした、これ以上の削減は国益を損ねると議会や国民に訴えています

13年度予算案は、今後10年間で$487 billionの削減を念頭に、前半の5年間で$259 billionを削減する初年度ですので、今後5年間の方向性を見据えた年度予算案になっています。
会見と共に公表された今後5年間の「Fact Sheet」を見ると、約9%の予算削減が続くことになっており、固定費部分が多い軍事組織としては限界ぎりぎりとの印象も持ちました。
装備品の将来に対する言及は勿論ですが、給与や医療費(特に退役軍人への給付)についても痛みを伴う施策を言葉を尽くして説明し、同時に退役者を含めた軍人社会との信頼感維持に配慮しています。

1ページの「Fact Sheet」
http://www.defense.gov/news/Fact_Sheet_Budget.pdf
16ページの説明冊子
http://www.defense.gov/news/Defense_Budget_Priorities.pdf

全16ページの冊子を読んでいませんが、国防省web記事「DODBuzz」記事から概要をご紹介します

全般
panetta2013.jpg中央軍担当エリアの予算を維持し、太平洋軍地域へのコミットメントを増強する。空母11隻態勢と空母飛行隊10個態勢を維持する。またアジア太平洋地域における陸軍と海兵隊の態勢を維持する。
特殊作戦部隊の増員が一つの鍵。現在前線出でている特殊部隊員を、今後国内等の教育訓練機関に移し、新たな要員育成にあたらせる
●(可逆性の鍵となる)予備役や州兵の削減は慎重に行う。陸軍予備役や州兵陸軍数は微減に止め、海兵隊予備役数は維持する。州兵空軍は現役や予備役空軍部隊の削減に応じた範囲でバランスを見て削減

地上部隊
●今後5年間で陸軍と海兵隊規模を縮小。陸軍56万人から49万人へ、海兵隊は20万人から18万人へ
●陸軍のJoint Land Attack Cruise Missileの縮小。Joint Air-Ground Munitionの大幅削減
●陸軍Ground Combat Vehicle調達を遅らせる。陸軍・海兵隊のHumvees装甲車能力向上の中止
●欧州で陸軍2個戦闘旅団を削減し、ローテーション配備方式に移行する。米国と欧州は「alliance ground surveillance program」等の経費分担について協議する

海軍
LCS(littoral combat ship)をシンガポールとバーレーンに配備する
●米海軍は、旧式の巡洋艦6隻と揚陸艦2隻を退役させる。オハイオ級戦略原潜の後継艦を2年遅らせる。
強襲揚陸艦1隻を一年先送り。バージニア級攻撃原潜1隻を後送り。LCS2隻と高速艇を8隻を計画から削

空軍
●米空軍は、60個戦闘飛行隊の中の6個戦闘飛行隊を削減する(A-10を5個飛行隊、F-16を1個。訓練用F-15アグレッサー部隊を1個削減)。新爆撃機と空中給油機計画は(現時点では)コアとして維持
F-35計画に引き続き関与する。更なるテストを完結させるため、及び大量購入前に必要な変更を加えるため、調達を遅らせる
空軍輸送機の削減:27機のC-5A全てを退役(残りは52機のC-5M)。旧式のC-130を65機退役(残りは318機)。C-27全て38機を削減し、整備員はC-130へ充当。
Global Hawk Block 30及び気象衛星の調達中止。
●空軍兵士を5年間で1万人削減

核とサイバー
●核抑止の3本柱を維持するが、2014年予算以降に数量削減の可能性有り。
●サイバー分野に投資して大幅な能力向上を図る

人件費や医療費や基地
panetta2013Dp.jpg●給与の上昇率を2015年から抑制する
●医療経費の伸びを抑制するため、退役者への医療費値上げや治療費増を行う。ただし退役者の負担増後でも、一般市民よりは割安なサービスを受けられる。現役兵士やその家族へは影響を与えない
退職制度検討のための特別外部機関設置の要望。ただし、大統領と国防省は、現役兵士が退職した場合の軍退職者優遇措置への急激な影響を避けるため、長期にわたる移行期間設定を約束

●更なる基地の閉鎖統合(一般報道では基地2カ所の閉鎖)

最後にパネッタ長官は・・
今後10年間で$487 billion削減に伴う犠牲と痛みを、関係者に理解いただきたい。この案により、議会が国防に後世に及ぶ甚大なダメージを与える更なる強制予算削減の回避の必要性を理解してくれるモノと確信する

「新味なき国防戦略」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06
「統合の拒否戦略コンセプト」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-20
「欧州米陸軍は2個旅団削減」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-13
「空母11隻態勢を維持」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-23
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とりあえずの速報です。上記の意味するところや影の「切りしろ」については、後の展開を待ちましょう。誤解や誤訳はご容赦下さい。
F-35は今後の「切りしろ」かも・・・爆撃機と空中給油機ほど言葉に力が入っていませんでした・・・

ちなみに田中真紀子の旦那様は27日朝・・・
●パネッタ長官と電話で約20分会談し、国防費削減方針などの説明を受けた。
●パネッタ氏がアジア太平洋地域を最重視する新たな国防戦略について説明したのに対し、田中氏は歓迎する意向を伝えた。
●田中氏は同日の閣議後の記者会見で、F35の納期について「私の印象では変更はないと感じた」と述べた
あえて確認しないあたりは、真紀子夫人の下で学んだ奥ゆかしさでしょうか・・・)

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