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米海軍F-35CがIOCに向け最終段階 [Joint・統合参謀本部]

年末年始のため、12月29日から1月6日の間の更新は、「忘れたころ(不定期)」になります。
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2019年2月にIOC、空母配備は2021年カールビンソン予定

F-35C Landing2.jpg12日、米海軍で最初に空母艦載用F-35C飛行隊としてIOC(初期運用態勢確立)を来年宣言する予定の第147攻撃戦闘飛行隊(VFA-147)がIOCに向けた最後の資格「SFFOC:safe-for-flight operations certification」を獲得したと米海軍が発表しました

このVFA-147は、2019年2月にIOCを宣言することを目指して準備や訓練を続けており、その後実際に空母に配備され作戦投入可能になるのは空母カールビンソンに2021年を計画されているようです。元々は2018年8月にIOC予定が、遅れて来年2月になったものですが・・・

Winter3.jpgF-35の型式別のIOCは海兵隊用B型が2015年7月で最も早く、次いで空軍用のA型が2016年8月、そして最後が海軍及び海兵隊用C型で2019年2月の予定となっています。

元々米海軍は、成熟度の高い「ソフト3F」を待ってIOCに向かうという方針で一貫しており、中東作戦でのFA-16酷使による稼働率低下でも決して急ごうとはしませんでしたむしろFA-18を追加購入する決断で「F-35リスク回避」の動きまで見せています

米海軍が約260機、海兵隊が約65機調達予定のC型ですが、着艦誘導装置の制度が素晴らしく、着陸失敗率が激減していることで搭載燃料に余裕ができ、作戦行動の余裕、緊急給油用FA-18の削減など、空母艦載機の運用改善に大きなインパクトを与える可能性を秘めています

13日付Military.com記事によれば
Winter2.jpgSFFOCの最低要求事項には、飛行隊保有機の少なくとも30%を保管している(physical custody)のほか、ネットワーク設備の完備や自動兵たん情報システムALISなどの情報システムの完備が求められる
更にSFFOCには、飛行隊所属兵士が高いレベルで兵器や安全管理チェックを自ら行って維持することが求められる

●米海軍の発表によれば、SFFOCはIOCに向けた最後のステップであり、当該飛行隊が飛行隊の運用を支える必要な資格を持った人員により、整備作業と安全プログラムを遂行する体制が出来たことが認められたことを意味する
●同飛行隊長は「我が飛行隊はSFFOCを達成して2018年を終えることが出来たが、今後も休むことなく求められる任務体制確立に突き進んでいく」、「この資格獲得をもって、我が飛行隊が正しい技能と訓練、そして任務を遂行できる人材を備えた部隊であることを内外に発表したい」とコメントを寄せている

F-35C部隊に関する最近の話題は、米空軍エグリン基地に所在して運用開始の準備を進めていた米海軍F-35部隊が同空軍基地を引き払い、VFA-147飛行隊が所属するNaval Air Station Lemoore(カリフォルニア州)に移転し、西海岸に運用を集中することである
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F-35-Face.jpg米海軍はF-35Cの調達機数を予定の260機よりも抑え、FA-18の次には、現在要求性能を固めつつある次期艦載機を中心に据えたいのでは・・・と言われています

調達機数を理屈をこねて押さえなくても、予算削減で調達が進まない、又は長期にわたることは十分に予想されます。その間をFA-18の追加購入でつないでいるうちに・・・FA-Xが搭登場し・・・

F-35Cの着艦精度向上による空母運用の変化にも注目です

F-35C関連の記事
「米海軍F-35のIOCは最低半年遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-01-2
「道遠しNIFC-CAの状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26
「F-35CとFA-18性能比較指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-29
「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「FA-18とEA-18Gにも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-09
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ロシアが超々音速兵器の発射試験成功・来年配備へ [安全保障全般]

年末年始のため、12月29日から1月6日の間の更新は、「忘れたころ(不定期)」になります。
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核抑止戦略の見直し必至か?
プーチンが3月に公言した新兵器が現実に!

putin hyper4.jpg12月26日、ロシアが超々音速兵器「アバンガルド」の発射試験に成功したと明らかにし、実験をモスクワの指揮所で視察したプーチン大統領は試験成功後、新型の核弾頭の開発を成功裏に終了し、「仮想敵が、現在あるいは将来、保有するミサイル防衛網でも攻略できない。大成功であり偉大なる勝利だ」と述べたうえで、2019年にはアヴァンガールトが戦略ロケット軍に実戦配備されるとも語りました

この「アバンガルド」は、ロシアが15年前に本格的に開発を始めた新型の核弾頭で、長さは5メートルほどで、翼を持ち、弾道ミサイルで打ち上げられ、上空で切り離されたあと水平に飛行し、敵のレーダーをよけながら攻撃する能力があるとされています。その速度は音速の20倍、マッハ20にも達することから「極超音速兵器」とも呼ばれ、アメリカのミサイル防衛網に対抗するためのロシア軍の切り札の一つとみられてきました。

実験で同兵器は、ロシア南西部にあるドムバロフスキー基地の地下サイロから発射されて約6200km先の極東カムチャッカ半島にあるクラ射爆場に着弾したとされています。

12月26日の発射映像


軍事ブロガーJSFさんの解説によれば
(3月16日と12月27日のヤフーニュースでの解説より)
putin hyper.jpg●「アバンガルド」3月1日にプーチン大統領が一般教書演説で言及した長射程戦略兵器で、米ミサイル防衛網を突破できる画期的な能力を持つとされています。公開されている情報から極超音速ブーストグライド兵器と推定され、実戦配備されれば史上初となる全くの新型兵器です。
●これは弾道でも巡航ミサイルでもない「滑空ミサイル」という新カテゴリーの兵器です。ロケットで打ち上げて加速し、グライダーとして大気が薄く空気抵抗が低い高高度を飛行して、弾道ミサイルに近い高速性と長射程を持ちながら巡航ミサイルに近い機動が可能で、飛行経路の予想が困難で迎撃も困難という特徴を持ちます。

判明している事は以下の通りです
・最大速度マッハ20(大陸間弾道ミサイルと同等)
・飛行中の機体表面温度は1600~2000℃
・射程は少なくとも5500km以上、最大で1万km超
発射・加速にはロケット(弾道ミサイル)を用いる
・弾道飛行は行わず、滑空飛行を行う

putin hyper2.jpg●最大速度マッハ20はスクラムジェットの理論限界マッハ15を超えている為、アバンガルドには搭載していないと考えられます。これでアヴァンガールトは巡航ミサイルではなく滑空ミサイルであると推定できますが、速度が落ちてからエンジンを始動する可能性もあるので、現時点ではまだ議論があります。
●アヴァンガールトの滑空体には4つの方向舵が存在し、おそらくこれとスラスター噴射を組み合わせて機動を可能とします。ただしこのイメージ映像は機密保持のため実機とは異なる可能性が高く、実際にこのような装備なのかは現時点では確定した事は分かりません。

●アヴァンガールトは新技術の塊のような存在なので実機の写真や映像はごく一部に制限されており、今回公開された映像からは製造中の滑空体胴体部分の部品らしきものが映っているのみで、構造が類推できる箇所はありませんでした。(12月26日の発射映像でも不明

米軍のアバンガルド対策
putin hyper3.jpg●極超音速滑空体は弾道飛行をせず大気の希薄な高高度を飛行するので、大気圏外を想定したGBIやSM-3では対処困難です。THAADならば当該高度を得意としますが、THAADは中距離BM対処を想定兵器なので、ICBM並みの速度のアバンガルド相手だと速度不足です。そこで米軍は2段式の改良型THAAD、「THAAD-ER」を提案しています。
●しかし高度問題に対応できても、弾道ミサイルと異なり飛翔中に経路変更可能なアバンガルドの迂回機動には対処不能です。また、遠距離迎撃は困難なままで、ある程度接近で迎撃する事になるので、米本土防衛には膨大な数のTHAAD-ERが必要になります。

別の視点で、従来、米本土防衛用MDは北朝鮮やイランの弾道ミサイル対処を想定し、ロシアや中国の弾道ミサイルには対抗せず、核抑止で対応するとの基本的考え方があります
●背景には、現状の大国間での核抑止バランスをなるべく崩したくないとの考え方があります。米が今後もこの方針を維持するなら、露のアバンガルド対策は後回しになるでしょう。しかし方針を転換し、この新兵器への対策を始めた場合、従来の核抑止力のバランスは変わり始め、核軍縮とは逆の方向に突き進む可能性があります
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最近断片的にご紹介してきたように、米国は超々音速兵器への対応に動き始め、国防省高官の発言にも地上配備の新型レーダーや宇宙配備センサーの話がしばしば登場し、従来BMDR(弾道ミサイル防衛見直し)と呼ばれてきた政策文書が、弾道ミサイルとの限定を外し、MDR(ミサイル防衛見直し)に名称変更になったのは、この超超音速兵器を意識したものです

putin hyper5.jpgトランプ政権が誕生して2年が経過するのに、未だMDR発表が延び延びになっているのは、超超音速兵器への対応や資源配分をどうするかの議論取りまとめに難航ともいわれていましたが、間もなくとの話もちらほら・・・。国防費も5%カットの流れ次第のような気もしますが・・・

それにしても、米軍内で3軍がバラバラに取り組み、予算不足で尻すぼみ状態の超超音速兵器をロシアが配備とは・・・中国も近い将来追随するでしょうから・・・時代の変化を感じます

超超音速兵器の関連
「日本に探知追尾レーダー配備?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-24
「LRDRレーダー開発が順調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-10
「グリフィン局長の発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1
「米空軍が1千億円で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-1
「同兵器は防御不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1

「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「戦略国防次官にMD伝道者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12

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中国が相次ぎ新型SLBMやSAMを試験し成功!? [中国要人・軍事]

ヒッソリと、したたかに・・・
ロシアは派手に超超音速兵器「アヴァンガールト」発射試験成功を報じるも

parade.jpg日本がクリスマス連休と連休明けの株価暴落で「あんぐり」している間に中国軍が新型SLBMやSAMを試験し成功したとの大きなニュースが2つヒッソリ報じられていますので、年末年始休暇に入る前に気を引き締める意味でご紹介しておきます

特に米本土全てを射程に収める能力を持つと言われるSLBM「巨浪JL-3」の試験成功が真実であれば、南シナ海の人工島建設とと軍備強化による「聖域化」とあいまって世界の核抑止観に大きな影響を与える事象ですので、尖閣諸島まで射程に入りそうな長射程SAM(S-400)の話題と共に、断片的ですがご紹介しておきます

対中国の関税で米中関係が微妙な時には「おとなしい気配」を見せおき、トランプ大統領が内政で足を取られていると見るや否や「したたかに前進」を図るその姿勢に感服するほかありませんが、S-400もトランプ大統領が報復制裁を繰り出したほどインパクトがある兵器ですので、今後の両国関係にも注目です

中国が露製長射程SAMS-400試射に成功
25日付読売新聞
S-400-launch.jpg●タス通信は軍事外交筋の話として、中国軍が12月上旬、ロシア製の最新防空ミサイルシステムS-400の試射を実施し成功したと報じた。中国紙・環球時報も25日、露メディアを引用しながら中国国内の発射場で試射が行われたと伝えた。
●タス通信によると、試射では、約250㎞離れた地点から毎秒約3kmで飛行する弾道ミサイルを撃ち落としたという。環球時報はロシアの専門家の話として、S-400が将来の台湾海峡での武力衝突発生時に「重要な役割を果たす」と伝えた。

S-400は、巡航ミサイルなど同時に36個標的を狙うことが可能とされ、最大射程約400㎞だが、今回の試射では、射程が短いタイプとされる「48N6E」が使われた。
中国本土から400㎞圏には台湾や、沖縄県・尖閣諸島周辺が含まれる。環球時報は露メディアを引用し、射程約400㎞の「40N6」は露軍が配備を終えたばかりで、中国軍が露側から調達したかは不明と報じている。

●なお、中国のS-400調達に絡み、トランプ米政権は今年9月、対ロシア制裁強化法に基づき、調達を担当した中国軍の「装備発展部」とそのトップに経済制裁を発動し、中国が猛反発していた。

中国が米全土が射程の新型SLBM(JL-3)試験に成功!?
22日付毎日新聞
DF-41.jpg中国が新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪3:JL-3」の発射実験を11月下旬に渤海で実施し、成功した模様だ。軍事筋の情報として香港や米のメディアが報じた。
●報道によると、JL-3は核弾頭10個を搭載可能。射程は現配備済のJL-2の7000㎞から大幅に延びて9000-14000㎞前後と推定されている。中国近海から発射しても米本土のほぼ全域を射程に収めるため、米国の脅威になりそうだ。

JL-3は最新鋭の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41:DF-41」を基に開発されたとみられている。2020年代の実戦配備を目指しているとされる。中国は「核先制不使用」を主張しているが、米国内の一部には主張が「あいまい」との懸念がある。
習近平.jpg●中国はSLBMの開発と並行して潜水艦の整備も進めている。今年8月に公表された米国防総省の年次報告によると、中国は2020年初めに24基のJL-3を搭載できる新型原潜096型の建造を始める見通しだ。

中国は発射実験成功を公式に認めていないが海事当局が同時期に遼寧省大連沖に軍事演習の目的で飛行禁止区域を設定していたほか、中国のネット上で関連記事が削除されていないことからも信頼性は高いとみられる。
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しみじみと世界の激動を感じます。

中国軍事カテゴリー記事190本
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801487-1 

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マケイン議員の議席に元A-10女性飛行隊長が [ふと考えること]

暫定で2020年の選挙までだそうですが
これでA-10延命の声がますます大きくなるのか?

McSally2.jpg18日アリゾナ州知事が、8月に脳腫瘍でなくなったマケイン上院議員の議席に、米空軍で最初の女性戦闘タイプ航空機操縦者(A-10)で、大佐で退役して政界に転身したMartha McSally下院議員を指名すると発表しました。

米国の選挙区議員選出制度が日本と異なるので混乱しますが、マケイン議員死亡後の「マケイン議席」には、同じく知事の指名を受けたJon Kyl議員がついていましたが、 Kyl議員が2018年末で引退を申し出たため、後任者を再びアリゾナ州知事が指名したということです

ただ指名されたMartha McSally下院議員の任期は、マケイン議員の任期後半を努める議員の選挙が行われる2020年までで、2年間の暫定登板です

McSally2.jpgなおMcSally下院議員は、先の中間選挙で同州の別の上院議員枠を狙って出馬し、民主党議員に敗れており、本来ならば2015年1月から2期務めた下院議員職を失い、2019年1月から「ただの人」になる予定でした。

米空軍大佐であった42歳で早期退職し、シンクタンク勤務とKyl議員の安全保障補佐官を務めていた際に政治家を目指す決意を固め、2年後の2012年の下院議員選挙に出馬も僅差で敗れ、更に2年後の2014年10月の選挙で当選を果たした経緯があり、彼女を見込んだKyl議員が引いた道筋だったのかもしれません

女性初の戦闘飛行隊長でイラクやアフガンで活躍のMcSally議員
(各種報道からご紹介)
McSally.jpg米空軍士官学校卒でA-10操縦者として初の攻撃任務をイラクで遂行し、飛行隊長として率いた部隊がアフガン作戦で優秀部隊として空軍協会から表彰されたこともある。優秀な士官のみが入学を許されるAir War College卒でもある
●下院議員として下院軍事委員会に所属し、米空軍がF-35整備員確保等のためA-10の早期退役を持ち出した際には反対キャンペーンを打ち、早期退役案を取り上げさせた剛腕ぶりを発揮している

●また、McSally下院議員の選挙区は、2016年の大統領選挙でクリントン候補優位な結果が出た選挙区で、その中で共和党の議席を守った力や、今年の上院議員選挙で2%の僅差で敗れたものの、民主党に風が吹く中で検討したとの評価を陣営は出している
●一方、今年の上院議員選挙で民主党議員に敗れた戦いぶりや、故マケイン議員への言及表現がマケイン議員家族から非難を受ける事もあり、今回の上院議員指名には反対のアリゾナ州共和党員も少なくない
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McSally.jpg政治家の皆さんには様々な話題が付きまとうもので、Martha McSally下院議員の人物についてあれこれ述べる知識もありませんが、A-10攻撃機という戦闘機とは異なる現場密着のリスクの高い作戦機を乗りこなし、気性の粗そうなパイロットを飛行隊長として束ねて優れた成果を上げた人物であることに間違いありません

おとなしいまんぐーすなど、腰が引けてご挨拶だけでも大緊張しそうな女傑ですが、実際お会いしてみるとそうでもないのかもしれませんね・・・

A-10全廃大反対の際は、夫が元A-10パイロットだというAyotte上院議員とともに、「露骨すぎるやろ!」を思ったものですが、今後のご活躍にとりあえず期待いたしましょう

米空軍のA-10全廃案関連
「2名の女性議員が大反対」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「米陸軍は全廃容認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29
「視界不良:A-10議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07
「F-35整備員問題は何処へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-18
「米空軍:A-10はあくまで全廃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15

関連の記事
「女性兵士の装具改善に時間必要」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-13
「今頃・・女性兵士にフィットした飛行服等に改良へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07
「女性初のF-35操縦者」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-08
「女性だけの編隊で攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04

軍での女性を考える記事
「自衛隊は女性登用に耐えられるか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
「女性特殊部隊兵士の重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-28
「Red Flag演習に女性指揮官」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19

「米国防省:全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「ある女性特殊部隊員の死」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
「珍獣栗田2佐の思い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17
「2012年の記事:栗田2佐」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-11

「性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1

女性と徴兵制
「前線にも:イスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27
「究極の平等:ノルウェー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「社会福祉選択肢もオーストリア」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22
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日本に超超音速兵器探知レーダー!? [米国防省高官]

欧米軍事メディがお休みの中、日本の報道で
マティス長官が元旦でクビになるとの悲報の中ですが

Hypersonic4.jpg23日から24日にかけての時事通信が、相次いで中国やロシアの超超音速兵器に危機感を持つ米国防省の動きを報じ弾道ミサイルと異なり低空を飛翔する同兵器を探知追尾への対応の必要性を背景に示唆し、日本にも新型レーダー配備を検討していると伝えています

中国やロシアの超々音速兵器(Hypersonic Weapon)開発に米軍や国防省関係者の危機感が高まっていることを何回かご紹介してきましたが、大気圏外の高高度を飛翔して探知追尾が容易な弾道ミサイルとは異なり、大気圏内の比較的低高度を飛翔することから探知追尾が難しいことが関係者の悩みの種です

LRDR.jpg「関係者」と他人事のように言いましたが、中国が超超音速兵器で狙うのは、西太平洋地域に展開する米軍基地であり、つまり在日米軍基地やそこに配備される最新兵器であり、その同盟国である自衛隊の基地や装備も当然重要目標となるでしょうから、米国防省関係者よりも我々は危機感を持つ必要があるはずです

ミサイル防衛関係の大型レーダー開発については、アラスカに配備予定のロッキード製LRDR開発が順調との報道をご紹介し、同じ原理で縮小版のレーダーがイージスアショア用のレーダーとなることや、同類のハワイ配備のレーダーをロッキードが12月中旬に受注したことをお伝えしたところです

マティス国防長官が2月末まで引き継ぎ等のため頑張るというのに、2018年末でクビだと怒りに任せてツイートしたトランプ大統領の存在に、心中穏やかな年の瀬ではなくなりましたが、重要な新型レーダー配備の報道ですのでフォローしておきます。

23日と24日付時事通信報道によれば
Griffin2.jpg米国防総省が新型のミサイル防衛用「国土防衛レーダー」の日本への配備を検討していることが23日、複数の同省関係者への取材で分かった。米軍は今後数年間でアジア太平洋地域に国土防衛レーダー2基を新たに展開する一方、宇宙空間にもミサイル防衛用センサーを配備する方針だ。
●具体的に米軍は今後数年間でアラスカ州に長距離識別レーダー(LRDR)、日本とハワイに国土防衛レーダーを配備したい考えだ。また、宇宙空間にもセンサーを配備し、対策を進める方針だ。

●「おとぎ話ではない」。国防省ミサイル防衛局のグリーブス局長は、中国とロシアによる極超音速兵器が遠くない将来に運用可能になると警告した。極超音速兵器は最高速度がマッハ5を超えるミサイル弾道ミサイルとは異なり、レーダーに探知されにくい低空を飛行する上、飛行中に方向転換するなど機動性が高いとされる。
●グリフィン国防次官(研究・工学担当)は、中国は極超音速兵器の実験を何度も実施し、ロシアも開発を加速させていると指摘。「米軍には現在、地球上のあらゆる場所を常時監視できる設備がない」と述べ、「中国の極超音速兵器が米国に向けて発射されれば、手遅れになるまで気付くことができない」と懸念を示す。

Hyten7.jpgハイテン戦略軍司令官も「脅威を探知・識別できなければ、どんなに優れた迎撃ミサイルを持っていても無意味だ」とレーダーの重要性を強調する。
日本政府とも既に協議している2024年度予算(米会計年度23年10月~24年9月)中の配備を計画しているが、日本国内のどこに設置するかは未定。青森県と京都府に配備された早期警戒レーダー「TPY2」より強力なレーダーになる見通し

●米国防省は近く公表する「ミサイル防衛見直し(MDR)」で、北朝鮮の弾道ミサイルに加え、中国やロシアが開発する新型の極超音速兵器に対応する必要性を明確に打ち出す。そして地上や宇宙のレーダー・センサーを拡充する方針を示す見通しだ
●宇宙配備型センサーや新たなミサイル防衛用レーダーを日本とハワイに設置することで、太平洋地域の「レーダー網の穴」を埋める計画だ。

●関係者によると、日本配備が検討されている国土防衛レーダーは「長距離弾道ミサイルの精密な追跡に加え、おとり弾頭の識別や迎撃の成否を分析する」。レーダーが収集した情報はアラスカ、カリフォルニア両州に配備された地上発射型迎撃ミサイル(GBI)などによる迎撃に活用される上、日本とも共有される。
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LRDR2.jpg技術的なことに疎いため、日本配備のレーダーが米本土の防衛にも関係しているのか、GBIの運用にも関係しているのか、超超音速兵器と関係しているのかさえも説明ができませんが、そのうち日本のメディアも騒ぎ始めるでしょう

時事通信の報道が「住民の反対等が予期される」と報じたことに対し、ネット上の記事コメント欄には、「歓迎すべきとこではないのか?」、「何でも反対で日本が守れるのか?」といった、極めて常識的な書き込みがあふれ、左翼メディアと国民感覚のずれを感じますが、正しい知識把握と分別ある議論を日本人に期待したいと思います

ところで・・・中国大陸に目を向けるとすると、どこに配備するのでしょうか? 南西諸島でしょうか? それとも九州でしょうか? いやいや・・・米本土を念頭に北海道でしょうか?

関連の記事
「LRDRレーダー開発が順調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-10
「グリフィン局長の発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1
「米空軍が1千億円で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-1
「同兵器は防御不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1

「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「戦略国防次官にMD伝道者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12

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今年も米空軍が本気でサンタを大追跡!24日午後4時から [ちょっとお得な話]

米政府が閉鎖(Shutdown)になっても、サンタ大追跡は敢行!

米空軍とボランティアと企業群が今年もサンタを大追跡!
http://www.noradsanta.org/

日本時間の24日午後4時頃からサンタが北極で活動開始!


(72億8143万9471個のプレゼント配達終了です!)


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SantaVillage.jpg既に50年以上の歴史を持つ行事ですが、ユーモアを解する世界の人々に8カ国語(日本、中国、オランダ、スペイン、伊、英米、仏、ポルトガル)で提供されており、厳しい予算の中でも頑張ってくれています。

皆さん!お子さんのいらっしゃる方はもちろん、意中の方とご一緒の方も、はたまた西洋のしきたりを無視する方も、遊び心で一度サイト(記事の冒頭にアドレス記載)を覗いてみては如何ですか。

昨年2017年のハイライトをご紹介
まず、サンタ村を出発した際の映像です!


ロンドンの時計台と大観覧車上空も通過!


エジプトのピラミッド上空も!



サンタ追跡の歴史と最新技術(?)映像で!

サンタ大追跡の歴史と最新技術?・・


なぜ米空軍NORADがサンタを追跡するのか?
NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)とその前身である CONAD(中央防衛航空軍基地)は、50 年以上にわたりサンタの飛行を追跡してきました。

NORADsanta.jpgNORADshaup.jpgこの恒例行事は、1955 年にコロラド州に拠点を置くシアーズ ローバック社が、子供向けに「サンタへの直通電話」を開設した際に、なんと誤って CONAD司令長官への直通電話番号を掲載したポスターを全国に掲示した事に始まりました。

子供たちからの間違い電話を受けた当時の司令官シャウプ大佐(写真)が、ユーモアでサンタの行動を部下に米空軍のレーダーで確認させる振りをして、電話を掛けてきた子供たちにサンタの現在地の最新情報を随時伝えたことに始まりました。

1958 年、カナダと米国の両政府は「NORAD」として知られる両国が共同運営する北米防空組織を創設しましたが、NORADもサンタの追跡という伝統も引き継いだというわけです。

それ以来、NORAD の職員とその家族や友人の献身的なボランティアによって、世界中の子供たちからの電話やメールへの対応が続けられています。また、現在ではサンタの追跡にインターネットも利用しています。サンタの現在地を調べようと「NORAD Tracks Santa」ウェブサイトアクセスする人の数は、何百万人にものぼります。

そして今では、世界中のメディアもサンタの飛行経路に関する信頼できる情報源として、NORAD の情報を採用しているそうです。
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どのようにサンタを追跡?
NORAD・Santaサイト情報。ジョークにご注意を。)

●NORAD は、レーダー、人工衛星、サンタ カメラ、ジェット戦闘機の 4 つの最新鋭システムでサンタを追跡します。

santa.jpgまず使用するのは、「北米警戒システム」と呼ばれる NORAD のレーダー システムです。この強力なレーダー システムは、北米の北部国境に張り巡らされた 47 の施設で構成されています。NORAD はクリスマス イブにこのレーダーを絶えず監視して、サンタクロースが北極を出発する瞬間をキャッチします。

●サンタが飛び立ったのをレーダーで確認したら、次の検知システムの出番です。地球の上空約 36,000 km の静止軌道上には、赤外線センサーが搭載され熱を感知することのできる人工衛星が複数配置されています。なんと、赤鼻のトナカイ「ルドルフ」の鼻からは赤外線信号が放出されているため、NORAD の人工衛星はルドルフとサンタの位置を検知できるのです。

3 番目の追跡システムは「サンタ カメラ」ネットワークです。「サンタ追跡プログラム」をインターネット上で展開し始めた 1998 年から使用しています。サンタ カメラは超クールなハイテクの高速デジタル カメラで、世界中にあらかじめ設置されています。NORAD では、これらのカメラをクリスマス イブの 1 日だけ使用します。これで世界中を飛び回るサンタとトナカイの画像と動画を捉えます。

santa-coat.jpg●追跡システムの 4 番手はジェット戦闘機です。CF-18 戦闘機を操縦するカナダ NORAD のパイロットがサンタに接近し、北米へと迎え入れます。米国内では、F-15 や F-16 戦闘機を操縦する米国 NORAD のパイロットが、サンタとその有名なトナカイたち(ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクゼン、コメット、キューピッド、ドナー、ブリッチェン、そしてもちろん、ルドルフ)とのスリル満点の共同飛行を実現します。
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サンタに関する米空軍の公式解説

サンタ行動の科学的分析
●サンタは良い子にしていた子供達の長いリストを持っています。毎年子供たちのリストは増え続けています。結果としてサンタは、1 軒あたり 0.0002~0.0003 秒の速さで各家庭を回らなければいけないということになります!
サンタクロースが1600 歳以上だという事実を考えても、また、サンタは子供たちにプレゼントを届ける大切な仕事を慌ててしようとは思わない点からしても、彼が私達の知る「時空間」で作業しているわけではないことが想像できます。
●そう考えると、私達とは異なる時空間で活動しているらしいと考えるのが唯一合理的な結論となります。

サンタの存在と移動手段について
santa-book.jpg多くの歴史的データと 50 年以上に渡る NORAD の追跡資料から導き出される結論は、サンタクロースが世界中の子供達に心の中に実在し心から愛されているということです
●ライト兄弟による最初の飛行機より以前から、サンタは猛スピードで家から家へと飛び回る方法を見つけなければなりませんでした。サンタ・カメラの画像からサンタは素早く移動するために空飛ぶトナカイの群れを選択したことが分かっています。

●このトナカイたちの詳細はまだまだ不明ですが、分かっていることは、サンタが世界中にプレゼントを届けるという任務の手伝いをトナカイ達に要請したということです。その他の詳細は、素敵な謎のベールに包まれています。

イブの24日午後4時頃からサンタが北極で活動開始!
本年も気楽に楽しみましょう!

NORADのサンタ大追跡webサイト
http://www.noradsanta.org/

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男の辞表を日本語訳で(マティス国防長官に学ぶ) [マティス長官]

来るべきものがついに来てしまったか・・・
世界各地で様々な問題が顕在化しそうな気がします
2018年12月20日が世界の負の転換点として記憶されないことを願います

Trump Mattis.jpg以下では、マティス長官がトランプ大統領に提出したと言われる辞表の全文をご紹介します

でもやっぱり英文で読んでくださいね実直な「狂犬」の思いが滲んでいるような気がします

原文PDF
https://partner-mco-archive.s3.amazonaws.com/client_files/1545345409.pdf?fbclid=IwAR3EOSVbkSvUPwgTDZTqAnDFLmxnfgo6pMHf7SY-un-1IQ5pGfAEGtJIdio

日本語(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39229940R21C18A2000000/

2018年12月20日

親愛なる大統領閣下

私は第26代の国防長官として国防総省の職員らとともに米国の国民や理念を守る職務を担当してきました。

Mattis13.jpg2年間で国家防衛戦略に盛り込んだいくつかの重要な目標に向けた進展があったことを誇りに思います。たとえば、国防総省の財政基盤を整えたり、軍の機動力や攻撃力を高めたり、高いパフォーマンスを実現するために省の働き方を変えたりしたことがあります。米軍は紛争で勝利し、世界での強い影響力を維持する能力を提供しています。

国家としての強みは同盟やパートナーシップという唯一無二で包括的な概念と緊密に結びついていると私は固く信じています米国は自由な世界において不可欠な国でありますが、同盟国との強い同盟を維持し敬意を示さなければ、国益を守ったり、国益を追求したりすることはできません

あなたと同じように私も米軍は世界の警察ではないと言ってきました。その代わりに同盟国に効果的な指導力を示すことを含めて(同盟国の)共同防衛に向けて、米国が持つ全ての手段を提供する必要があります。民主主義を重視する北大西洋条約機構(NATO)29カ国は2001年9月の米同時多発テロ後に我々に寄りそって戦うと約束してくれて(同盟の)強みを証明しました。(過激派組織の)イスラム国の壊滅に向けた連合軍ももう一つの同盟の証しです。

NDS3.jpg同様に戦略的利益が我々の利益と衝突することが増えた国に対しては、我々のアプローチを断固かつ明確なものとしておく必要があります。中国やロシアが自国の利益を追求するために経済・外交・安全保障に関する他国の決断を否定し、権威主義的な政治モデルと整合的な世界をつくりだしたいと望んでいるのは明らかです。だからこそ、我々は共同防衛に向けて、あらゆる手段を尽くさなければならないのです。

同盟国に敬意を払い、悪意に満ちた者や戦略的な競争相手に注意を払うべきだという私の考えは、こうした問題に取り組んだ私の40年以上(の経験)に基づき、培われたものです我々の安全保障や繁栄、価値観に最も資する国際秩序を推進するためにできることは全てやるべきです。我々は同盟という結束によって強くなるのです

あなたは、これらの点について、あなたの考えにより近い人物を国防長官に据える権利があります。だから私は身を引く時だと考えています

North Korea2.jpg私の任期の最終日は2019年2月28日とします。この日付にしたのは、次期議会の公聴会や2月のNATO国防相会合で、国防総省の利益を適切に説明し守っていくだけでなく、後任が指名され承認されるために十分な時間を確保するためです。さらに来年9月の米統合参謀本部議長の交代に先立って新しい国防長官に移行し、省内の安定を確かなものにするためでもあります。

私は215万人の軍人や73万2079人の国防総省の文民が職務に集中し、米国民を守るための不眠不休のミッションを遂行できるよう円滑な移行に最善をつくすことを誓います

この国や軍人たちに仕えることができて大変感謝しています。
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マティス国防長官が辞表の中で触れていた、同盟国関係重視の姿勢をしみじみ感じる過去記事特集 本当に残念でなりません・・・

「マティス長官がトルコF-35を擁護」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24
「ロシア製武器購入を許してあげて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28-1
「断行されたカタールと2+2」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-01
「苦悩:パキスタン援助を切られて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-08
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5世代機のためRed Flag演習エリア拡大を検討 [米空軍]

アラスカ版でなく、Nellis版の話です
味方にも5世代機の能力は秘匿したい模様

Pleus2.jpg7日付米空軍協会webサイトは、米空軍戦闘コマンドACCの計画部長Scott Pleus少将が米空軍作戦機演習の最高峰であるネリス空軍基地を拠点とした「Red Flag演習」の演習エリアが小さすぎて第5世代機などの訓練環境に不十分なので、今後の焦点となる本格紛争に備え、種々の変更が必要になると述べたと紹介しています

もちろんScott Pleus計画部長が中国沿岸部の防空システムについて言及した訳ではありませんが中国沿岸のS-400高性能地対空ミサイルの射程は数百キロであり、またこれに対抗する米空軍のE-3やF-22やF-35がデータリンクを最大限に活用して射程1000㎞のJASSM-ERのスタンドオフ攻撃を訓練しようとすれば、相当広範囲で訓練エリアを確保することが必要となります

Pleus.jpg1000㎞というのは中国大陸と第一列島線の距離感覚で、これではネリス空軍基地周辺の広大な「うらやましい」訓練空域(地上も含む)も、「too small and too limited」となってしまいます

具体的にどのように演習エリアを確保するのか細部には言及していませんが、ネリス基地を敵味方役部隊両方が利用する現状から、複数の基地に分かれて発進したり、シミュレータを大量に導入することにも言及しており、ライブとシムを融合した形なのかもしれません

でも本来Red Flag演習は、ベトナム戦争等の教訓から、実戦を数回経験すると操縦者の被撃墜や事故率が低下するとのデータから訓練で可能な限り実戦に近い環境を作為しようとの目的で開始されたものなので、シミュレーションがどれだけこの「心理的プレッシャー」を再現できるのか疑問ではあります

7日付米空軍協会web記事によれば
F-22Hawaii3.jpg●7日 Pleus少将は、現状のRed Flag演習の状況設定や空域設定があまりにも小さく制限を受けていると評価し、オーバーホールの必要があると語った
●現在の空域も「15,000 square miles」規模の国宝級エリアだが、今日の対空脅威や兵器能力を考えると「too small and too limited」だと述べた

●将来の同演習には、現在のネリス基地を中心とした程度ではなく、ネバダ州全体レベルの規模が必要だ。
敵味方役の全ての航空機が、脅威であるはずのS-400の射程内にあるネリス空軍基地から、仲良く離陸する形は実戦ではありえない

将来のRed Flagはネリス基地だけに留まらない。例えばE-3は敵の脅威圏から離れた空域で運用することから、ユタ州やノースダコタ州から離陸することが考えられる
F-35 fix.jpg●また敵の防空システムのレーダーなど電波発射源の配置は、より現実に即して、ネバダ州でなく加州の「China Lake」あたりにしてF-22やF-35に現実的な脅威環境を提示する必要がある

●これら要変更事項は実際に飛行する少数機への対応を上げたもので、更に新たな航空機が加われば、より多くのシミュレータを導入する必要がある
第5世代機のことを考えれば、戦闘空域で戦闘状態に至るまで、戦闘空域内を飛行させたくない。他の演習参加者にその機体の能力を知らせたくない(I don’t want to fly in open air” until they have to be flown in open air in combat) 同少将は具体的な機種については言及しなかった
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最後の5世代機に関する部分の訳に自信がありませんが、第5世代機の能力というものは、それほどなのでしょう・・・基地基盤が確保でき、空域に到達できれば・・・

Pleus3.jpgそれと、関連過去記事で取り上げているように、5世代機同士や4世代機とのリアルタイム情報共有には依然として課題ありと認識しているのですが、この点はどうなっているのでしょうか

それにしても、加州の「China Lake」との具体的地名を引用する必要性があったのか・・・ジョークでしょうか?

なお、Pleus計画部長が語っているのは、ネバダ州のネリス空軍基地を中心に行われるレッドフラッグ演習で、航空自衛隊が参加しているアラスカで実施のRed Flag-Alaskaとは異なります

Red Flag演習の関連記事
「RF演習に5世代機3種が登場」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02
「仮設敵機も民間委託」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「米空軍が初のNCCT活用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-25
「F-35A参加の成果」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1

「指揮官が初の宇宙幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「Red-Flagの限界とVR演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1
「最近のRed Flagと予算不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07
「米軍被害対処部隊を追い出す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1

世代間や機種間リンクの記事
「Nグラマンもリンクに名乗り」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24
「Red-FlagでF-22リンク問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02
「世代間リンクに対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10
「世代間リンクが鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1

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イージスアショア用レーダーの原型開発順調 [安全保障全般]

日本のAEGIS Ashoreレーダーの原型とか

LRDR3.jpg7日、ロッキード社の新型弾道ミサイル探知用レーダー(LRDR)計画部長であるChandra Marshall氏がNew Jersey州の開発拠点で記者団に対し2020年にアラスカに配備予定の同レーダーの開発は順調で、維持整備のためにレーダー全体を運用中断する必要のないレーダーになると語りました

またこの大型LRDRレーダーの基本原理は、日本に配備予定のイージスアショアのレーダーや、ハワイに配備予定のレーダーの原型となるものだと明らかにしました

目標探知追尾用電波を送受信するレーダー表面を多数のブロックに分割し、全てのブロックを同時に停止しなくても部品の交換や整備が可能になるとのことでした。

そんなに目新しい気もしませんが、日本配備のイージスアショアの原型とのことで取り上げておきます。つくづく、この分野は日本のメーカの方が2~3歩進んでいるような気がしますが・・・

9日付Defense-News記事によれば
LRDR2.jpg●7日ロッキードは、巨大な弾道ミサイル対処用LRDR(Long-Range Discrimination Radar)の開発が、2020年のアラスカ配備に向け順調だと明らかにした
同年アラスカ州Clear空軍施設に配備される予定のLRDRは、 New Jersey州Moorestownのミサイル防衛庁施設で開発試験中で、アラスカの施設では9月から受け入れ準備工事が始まっている

●開発中のLRDRは、10月に宇宙空間の衛星を探知追尾する試験に成功して技術面での大きなヤマを一つ越え、今後はICBM迎撃用のGBI(ground-based interceptors)との連接等にも取り組んでいく
ロッキードは同社にとって新たな分野であるBMDレーダーでNorthrop GrummanやRaytheonと競っており、間もなく12月中に選定結果が明らかになるハワイ配備のHRD-H(homeland defense radar in Hawaii)の受注に成功すれば、更に追加で総額4500億円の2か所の受注可能性が出てくる(17日、ハワイのレーダーもロッキードが受注に成功

LRDR.jpg●LRDRの技術は小型化することが可能で、例えばイージスアショア用に日本に配備されるレーダーや、前出のハワイ配備のHRD-Hも、LRDRの小型版である
ロッキードのレーダー開発は、ソフトとハードを同時に進めるのでスピードアップが可能だとMarshall部長はアピールした

LRDRはイージス艦用弾道ミサイル対処レーダー(AN/SPY-1)の25倍のアンテナ部分面積を持つが、空中線部分を全て取り外すことなく維持整備作業が可能である
●Marshall部長は「今日運用されているレーダーとは異なり、LRDRは運用しながら維持整備が可能だ」と述べ、空中線部が多数のブロックに分かれており、ブロック内の送受信素子を交換する場合でも、当該ブロックのみを取り外せばよく、レーダー全てを停止させる必要がないと説明した
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LRDR4.jpgレーダーの空中線部分の維持整備がモジュール毎可能でも、空中線部分からのデータを伝えるケーブルやデータを処理する部分、更にレーダー全体の電源部分など「共通部分」の維持整備のため、どうしても定期的に運用を停止する必要が出てくると思うのですが、どうなんでしょうか・・・

日本では、「共通部分」の維持整備があるから運用中断を伴う維持整備は「ゼロ」にならないとの話をよく聞きますが、安全係数を膨らませて確保し、維持整備担当部署がリスク回避に走りすぎている部分はないでしょうか???

イージスアショアのレーダーをぜひ確認したいものです・・

関連の記事
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12
「米国務省が兵器輸出促進策発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-10-2
「今年前半で昨年の兵器輸出額越え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06

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KC-46から給油を受けられる7機種目を承認 [米空軍]

KC-46A2.jpg遅れに遅れている初号機納入が、10月末までの期限も再び守れないと明らかになったのが10月17日で、その後は「年内には」との希望的観測をボーイング社担当副社長が述べたのみで音沙汰の無い米空軍の最優先事業の一つKC-46A空中給油機ですが、同機から給油を受けられる機体の承認試験も遅れているようです

初号機の納入が遅れている大きな原因とされる5つの重大不具合(FAAからのsupplemental type certificateが遅れているとの説明もある)が解決されたとの知らせがない中で、なぜ受け側航空機の承認が出来るのか不思議ですが、まず5大不具合を簡単に復習しておきます

KC-46 Boom3.jpg●ブーム操作等が給油時に使用する初導入のカメラとモニターシステム使用時、ある条件下では照明の受け側航空機がよく見えない等の不具合があり、ソフト改良対策を実施中
●映像装置の不具合で受けて航空機にひっかき傷を生じさせる事象が頻発している。上記映像装置の改良で対応予定
ドローグの機械的ロックシステムの不具合。給油中に外れることがある。これに対してもボーイングはソフト対策で対応予定

●給油のため相手と接続中に、給油装置操作員が意図せず誤って給油ブームに負荷をかけ、相手機を押さえつけることになっても、警告が出ない問題
●もう一つは、受け側機が給油機に接近する段階で、給油ブームがあまりにも固着している(too stiff)という問題

以上の最重大レベル「category-1不具合」の解決が見えない中ですが、受け側航空機承認の第2弾「 Phase II」の最後の航空機であるF-15Eが承認試験を終了したようなのでご紹介しておきます

4日付米空軍協会web記事によれば
KC-46-2.jpg●3日、ボーイング社は Phase II最後の航空機として、F-15Eが受け側航空機の承認飛行試験を終了したと発表した
●このF-15Eを含め、にこれまで同承認を受けたのは、A-10, B-52, C-17, F-16, F/A-18, とKC-135の7機種である

●ボーイングの担当副社長は、「これにより、来年実施予定の Initial Operational Test and Evaluation試験」の準備が整ったと語り、これまでに3700飛行時間で400万ポンドの給油が行われたと成果を強調した
●一方で、2019年に開始される予定の機体承認の第3段階「Phase III」の11機種に、どの機種が含まれるのかは明らかにされなかった

●また、KC-46Aが対象にする航空機の中で最も機数が多くなる予定のF-35については、恐らく2020年になるであろう「Phase IV」まで含まれない点は確認された
●F-35が第3段階「Phase III」の11機種に含まれない理由について同社は、KC-46もF-35も開発段階が終了していないため、2つの機種のマッチングについては双方が良い状態になるまで承認試験実施を決定しないと述べた
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F-15E.jpgF-15Eは承認しましたが、日本が使用しているF-15Jに近い米空軍のF-15Cが何時承認試験に入るのか気になるところです

それにしても、KC-46は優等生だと思っていたのですが・・・・残念です

成熟技術だと考えていた給油ブームあたりにトラブルが集中していることからすると、成熟部分だからと最新技術で置き換えようとしたらマッチしなかった・・・という最新技術の過信があったのかもしれません

米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15

「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

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来年1月電子戦検討の結果報告を [米空軍]

ここ数年でやっと気づいたEWでの劣勢
シリアが地上で最も激烈な電子戦場

Electronic Warfare.jpg10日、米空軍副参謀総長のStephen Wilson大将がインタビューに答え、米空軍が国防省への提言を目的に1年間かけて検討してきた電子戦(EW: electronics warfare)体制整備構想を、来年1月の兵器戦術会議(WEPTAC)で披露する予定だと明らかにしました

この検討を行っているのは、米空軍全体の将来構想を検討するECCT(Enterprise Capability Collaboration Team)の電子戦チームの様ですので、国防省から委託を受けているわけではないようですが、将来を見据えて米空軍単独では戦えないことから、国防省レベルでなすべきことの案出を目的としているのでしょう

何回かご紹介したように、米軍は対テロ作戦に没頭している間に電子戦分野が疎かになり、今やロシアや中国はその米軍の弱点を突く強力な電子戦体制を構築していると強烈な危機感を抱いています

その一つの契機は、ロシアの浸潤を受けたウクライナ支援に米軍が乗り出した2014年ころにさかのぼります。

EC-130H3.jpgロシアが繰り出す無人機操縦信号妨害や通信妨害などハイブリッドな電子戦能力に「米軍は露軍の1/10も出来ない」と圧倒され、それに対峙するウクライナ軍の基本が徹底された対応ぶりにも驚嘆し、ウクライナ軍に教えるどころか学ぶ出来点が多いと衝撃を受けた報告がペンタゴンに届きます

それに輪をかけたのがシリアでの戦いです
現地の電子戦状況を語った米軍大将が今年4月、「今現在、米軍はシリアで、地球上で最も攻撃的な敵からの電子戦環境に置かれている。敵は日々、我々を試すように米軍の通信を中断させ、AC-130を無効化している」と例を挙げてその激しさと危機感を訴えているところです

そんな危機感から始まった米空軍ECCT電子戦チームの検討について、事柄の性格上、具体的な内容は少ないですが、ご紹介しておきます。

10日付Military.com記事によれば
Wilson.jpg●副参謀総長はMilitary.comのインタビューに答え、どこでどのように電子戦攻撃が電磁スペクトラム上で表面化するか、そのような敵を如何に拒否するかを明らかにするのが検討の目的であると述べた
●また、「スペクトラムのどの部分が狙われ、その攻撃がいつどこであろうとそのデータを確保することが必要だ」と訴えた

●そしてECCT電子戦検討チームは国防省に対し、電子戦に関するロードマップ提示することを狙っており、具体的には、誰が何を担当するか、どのような計画で行うか、その計画の時程や進め方はどうなるかの3つの視点でまとめられる
●Wilson大将は本検討開始の背景にも触れ、「米国防省は電子戦の重要性から目を背けてきたのだ。そしてここ2-3年でやっとその重要性を明確に再認識することになったのだ」と振り返った

EA-18G-pod.jpg●同大将は電子戦を担当する高官が新たに配置されるかを明確に述べなかったが、「全ての軍腫が電子戦の重要性に気づいた今、誰が担当し、どのようなスケジュールで進めるかがそのうち明らかになるだろう」と表現した
●検討に当たっては、シンクタンク研究者、関連企業、統合参謀本部関係者、ベンチャー関係者等から広く意見や情報を得ることに努めたと副参謀総長は付け加えた

●そして電子スペクトラム保全の重要性に改めて触れ、サイバーも宇宙も、全てのドメインがネットワークやGPSや衛星等に依存しており、全てが電磁スペクトラムに依存しているのだと述べ、スペクトラムを支配するものが勝利を収めると強調した
●更に、ドクトリンも、教育訓練も、作戦運用も、全てが電磁スペクトラムの支配を念頭に置いて組み立てられなければならないとも表現した
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EW2.jpgロシア軍は、できるだけ多くの兵士に実戦を経験させ、保有するあらゆる兵器を試すため、部隊をローテーションしてシリアに派遣しているようで、電子戦分野においてもシリアを「実験場」としているのでしょう。

そこでの経験が米軍に生かされることを願いますが、一方でロシア軍も米軍の反応から次なる手を考える材料を得ているのでしょう・・・・

そんな水面下の戦いが平時の戦いですが、如何に個々の兵士の体に染みつけるかがカギのような気がします・・・

いつの間にか大差のEW
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

被害状況下への備えを訴える
「妨害に強い衛星通信「波形」探求」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-12
「海兵隊司令官:被害に備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

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次期制空機PCA価格はF-35の3倍!? [米空軍]

議会側からの「良く考えろ!」との先制パンチか、最後通牒か?
航空機投資の半分を戦闘機が占めて良いのか?
今の戦闘機の姿とPCAは異なるようですが・・・

PCA 2030.jpg米議会予算室(CBO:Congressional Budget Office)が、公的な機関としては初めて、2020年代後半には登場が予期されている次世代制空機PCA(Penetrating Counter Air)の価格予想を見積もり、F-35価格の3倍以上となる1機330億円との数字を明らかにしました

PCAについては2016年に米空軍が「Air Superiority 2030 flight plan」で考え方を打ち出し、その後空軍幹部が概念的に語った「戦闘機との呼び方は相応しくない」、「6世代機との名称も適さない」「1機種の後継機ではなくfamily of systemsで対応」、「ネットワークで戦う」「最新センサー融合」「サイバーや宇宙やEWを重視」「航続距離や搭載量アップを重視」「爆撃機開発のような」「革新的推進力システムや自立化追及」「ステルスコーティングは全体には求めないかも」(末尾の関連過去記事を参考に)・・・と伝えられていますが、細部は不明です

PCA要求性能固めの山は2017年~2018年とも言われ、2019年度予算が550億円、今後も2020年度は1600億円、2022年には3300億円の開発予算が予定されているプロジェクトですが、米空軍幹部の発言も2017年夏を最後に最近ほとんどなく、2018年春にACC司令官が「秋には戦闘機ロードマップ」を公表予定と発言したものの、冬になっても音沙汰無しの状況です

PCA 20302.jpg中国やロシアへの情報流出を恐れ、新兵器開発に関する発言は最近抑制されているようですが、同時に、遅延と経費超過で悪名の高いF-35計画への酷評や、国防予算の厳しい現状(トランプ大統領の曖昧な態度も)から、余程各方面に納得される構想を出さないと耐えられない現実から、性能とコストのトレードオフ検討も含め、米空軍も慎重に進めているのだと推察いたします

また状況を複雑にする要因として、ほとんど同時に進み2019年には要求性能を固めようとしているらしい米海軍のFA-18後継機検討があります。こちらも次期SSBNや空母の価格高騰から「無い袖は振れない状態」ながら、FA-18酷使による稼働率低下や維持費高騰問題は待ったなし状態です。

加えて議会などから、なるべ空軍PCA共通化できる部分は共有してコスト削減をとか、情報を共有して開発コストとリスクの低減をとか当然言われ、多次元パズルの様相を呈し、基本的に海空軍は形だけ協力でお茶を濁すつもりの様ですが、海軍次期艦載戦闘機も音沙汰無し状態が2年ほど続いています

そんな中、初のPCA価格見積もりを出した議会予算室CBOのお話を伺いましょう

14日付Defense-News記事によれば
●CBOの見積もりは、米空軍がPCAをF-15C/DやF-22の後継として414機製造するとの前提で、2030年代に部隊配備されるとの空軍計画もとに行われた

PCA-X.jpgPCAは中露等の濃密で高性能な対空防御網を相手に想定し、F-22クラスより大きな航続距離と兵器搭載量、更に優れたステルス性とセンサー能力を目指しており、その要求レベルの高さからコストを抑えることは極めて難しいとCBOは指摘している
●これは、B-2爆撃機やF-22戦闘機が高価になりすぎ、当初計画通りの機数を製造できなかった過去の歴史や、F-35開発の遅れや価格高騰からも言えることであるとCBOは説明している

●仮にPCA計画を進めれば、仮に国防省が何らかの経費平準化施策を打ったとしても、米空軍の航空機への投資は現在レベルより多くなり、2020年代で15 billion、30年代で23 billion(ピークは2033年の26)、40年代で15 billionと高いレベルで推移する。そしてこれら航空機投資の半分を占めるのが戦闘機やPCAとなる
●米空軍はB-21爆撃機やKC-46空中給油機計画を同時に進め、核兵器の近代化も差し迫った課題である。更に、次期練習機T-Xや超超音速兵器や強靭なC2システム構築 や電子戦能力のてこ入れもあと送りが限界である

CBOは経費抑制策にも言及しているが、 どれも完全なものはなく課題を秘めており、飛行隊数を現在の312個から386個へ増強することなど到底困難に思える。
●経費抑制策の一つとしてCBOは、PCAやF-35納入ペースや時期を遅らせ、F-16やF-15を延命することを検討しているが、部品枯渇や部品調達価格高騰は避けられず、維持できる機数は削減せざるを得ない

PCA 20304.jpg●逆に第4世代機を早期に引退させ、維持経費を削減して新型機導入を促進する考え方もあるが、これでは新型機購入経費が膨らんで経費的に耐えがたい。折衷案のPCAやF-35計画を遅らせ、第4世代機の一部を早期退役させる策もありうる
●また米空軍が検討している軽攻撃機導入で、高価で維持費もかさむ本格戦闘機関連の負担を軽減する方法もあるが、トータルの戦闘力低下につながる。どの選択肢も問題を抱えている
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PCA価格330億円の根拠は明確ではありませんが、現在の戦闘機より大型になることが想定されることから、それ相応の見積もり計算があるのでしょう

それにしても米空軍の戦闘機命派もしぶといですねぇ・・・・。こんな事だから、宇宙分野を空軍から切り離して予算の優先度を上げろなどと議会や大統領から言われるんです・・・・

それにしても、秋に発表になるはずの戦闘機ロードマップはどうなったんでしょうか??? 

それから日本の国産戦闘機とか言っているものとの発想の違いは、どこから来るんでしょうか?

米空軍の次世代制空機検討PCA
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

独と仏で共同開発へ
「仏独中心に次世代戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

既に発表された爆撃機計画
「Bomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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米空軍もグレーゾーンとChaos対処の重要性を語る [米空軍]

Kelly.jpg5日、米空軍作戦部長のMark Kelly中将が米空軍協会ミッチェル研究所で講演し中露の「short of war」や「グレーゾーン」段階での巧みな振る舞いに対応し、米国もアプローチの見直しが必要だと語りました。

また一方でグレーゾーンから明確な紛争状態に至った場合、今後の紛争は経験したことのない混迷の中で行われることが予期されることから、意思決定にするレベルの情報入手と意思決定伝達のC2能力が極めて重要になると語りました

中国の南シナ海での振る舞いやロシアのクリミア半島での動きを指して、「グレーゾーン対処」の重要性を指摘するのは9月5日の米海軍トップリチャードソン大将と同じアプローチで、(今頃になって)米軍内にもその重要性が浸透してきたようです

今後の戦いの厳しさや混沌(chaos)については、統合参謀本部のCIOも前日4日に、ABMS導入の重要性を訴える立場から説明していますので、若干視点は異なりますが併せてご紹介しておきます

5日付米空軍協会web記事によれば
Kelly3.jpg同等レベルに「近い」相手との競争から、「同等レベル」の相手との争いに備える必要性が生じており、米空軍は訓練、機動展開、戦闘のすべてで対応を再考しなければならなくなっている
●そしてその際、C2能力の維持と、厳しい情報収集環境にあっても意思決定に資する状況把握ができる能力が極めて重要になる

●近年、情報分野は他に比して最大の拡大分野にあり、特に電磁スペクトラムは以上最高に混雑し競争が激しくなるだろう。我々はその中で、級数的な混迷と質の高い情報収集に努めなければならない
●またこのような中露との競争への対応要領を、相手が「short of war」や「グレーゾーン」で増々アグレッシブになる中で、米国は再考しなければならない

●このような脅威に対処するため、米国はより迅速に準備期間無しに対応できなければならず、また本格紛争に発展した際は、現在の単一ドメインC2モデルから、相手が追随できないようなドメイン間を埋めるC2に発展できなければならない
空軍の作戦センターは海軍や陸軍の作戦センターと結ばれていなくてはならず、縦割り体制は排除しなければならない

●また全てのC2ノードが敵の脅威にさらされると認識のもと強靭で無ければならず、被害発生時は相互に補完できなければならない。相手は米軍がどれほどC2に依存しているか把握しているのだから

4日付記事:脆弱なJSTARSがなくてもネットワークで
Shwedo.jpg4日、米統合参謀本部のCIO(chief information officer)であるBradford Shwedo空軍中将が、AFCEA(軍用通信電子協会)で講演し、1991年の湾岸戦争で活躍したJSTARSのような脆弱なアセットは将来の脅威下では期待できないため、複数の情報ソースをネットワークで結んで運用するABMS(Advanced Battlefield Management System)で残存性を高めると語りました

●同中将は、「米空軍の情報組織である第25空軍のように、NSAなど他の情報機関と継続的にevil chat roomsでコミュニケーションを取るアプローチを想定している」と説明し、また「子供たちがネットを通じて世界中の相手とゲームを楽しんでいるように」リアルタイムのネットワークで目標情報を識別追尾したいと表現した

●そして、「例えば悪者が無人機カメラによる光学偵察を恐れて偽装網で覆った隠れ家に逃げ込むかもしれないが、全てのドメインの偵察から逃げられるとは限らない。電磁波信号や他の手法からのデータを融合していれば、悪者の発見率や致死率はより高くなるだろう」と説明した
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Schriever Wargame4.jpg「short of war」や「グレーゾーン」の重要性を語る部分と、被害状況下の混迷環境を乗り切るC2や状況把握能力の必要性を訴える部分の関係がよくわからないのですが、従来から危機感のある中露との本格紛争に向けた備えの必要性に、グレーゾーンへの備えの必要性が新たに積みあがったと解釈しておきましょう

そして2つの異なったレベルの争いに対し、シームレスで対応できなければならないとの主張と理解しておきましょう

「米海軍トップ:グレーゾーンに備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11

被害状況下への備えを訴える
「妨害に強い衛星通信」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-12
「海兵隊司令官:被害に備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23
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Space-Xロケット再利用で3回目打ち上げ成功 [ちょっとお得な話]

Falcon 9.jpg3日、SpaceX社の「Falcon 9」ロケットが再利用により3回目の打ち上げに初めて成功し、また同時に64個の小型衛星を搭載し、一度の打ち上げ衛星数で少なくとも米国記録を更新したようです。

最近、電気自動車テスラモーター社の件で大変厳しい状況に置かれているElon Musk氏ですが、打ち上げロケット分野では、安全保障分野のペイロード打ち上げなど着実に成果を残しつつあります

また今回取り上げる「Falcon 9」ロケット1段目の再利用は、ロケット打ち上げコスト削減の一つの目玉であり、3回目の再利用打ち上げはまだまだ「序の口」で、10回以上の再利用を狙って今後も実績積み上げを進めるようです

再利用による具体的なコスト削減程度や、打ち上げに「再利用ロケット」を使用する事による打ち上げ保険料など、気になること数字をご紹介したいところですが調査不足でご勘弁を・・・

4日付Military.com記事によれば
space-X ship.jpg●4日、加州バーデンバーグ空軍基地から太平洋に向け、64個の小型衛星を搭載したSpaceX社の「Falcon 9」ロケットが打ち上げられ、数分後に任務を終了して切り離された1段目ロケットは、予定通り太平洋上の無人着陸船上に逆噴射しながら無事着陸し、3回目の任務を成功裏に終了した

今回使用された1段目ロケットは、今年5月と8月に打ち上げに使用されたロケットの再利用で、設計上10回以上の再利用を目指して設計されているものである

更に今回の打ち上げでは打ち上げ搭載物をカバーする先端のシールド部分の回収にも挑戦し、宇宙で衛星を放出する際に二つに分離したカバーを大気圏内でパラシュート降下させ、海上で待機する高速艇が広げた巨大ネットで捕獲する作戦にも挑戦している

Space-X faring.jpg2つのカバーに搭載のパラシュートには、位置制御用の小型噴射装置等が搭載され、海上に落下させることなく高速艇のネットで受け止めるという大胆な発想だが、残念ながら今回はネット捕獲に失敗し、海上に落ちたカバーを回収したもよう

●それでもCEOのElon Musk氏は、「少し海水で泳がせたが問題ない。乾かして再利用する」と余裕のコメントで、このカバーの再利用に向けた意気込みも衰えていない

●搭載された64個の小型衛星は、「Spaceflight社のSSO-A SmallSat Express」プランで集められた17か国34団体から依頼されたもので、約6時間かけて低高度軌道に投入されたようである
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Elon Musk氏には頑張っていただきたいです!!!

SpaceX.jpgテスラモーターズの件では苦悩の日々を過ごされているようで、同社の先行きには不安材料ばかりのようですが、Space-X社では踏ん張っていただきたいです

1段目ロケット回収の様子や、先端カバーの回収を目指す高速艇の写真を見ていると、子供の発想が現実化されているようでワクワクします!!!

「SpaceX:失敗場面を集めた映像を明るく発信」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-18 

Space-X社関連の記事
「Facon Heavy試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27
「偵察衛星打上げと1段目回収」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-02
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

「混迷の米衛星打ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「軍事衛星打上げにSpaceX参入承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27

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複数情報筋:トランプが一転国防費増へ? [安全保障全般]

今度は700じゃなくて$750 billionとか・・・
今週にも発表とか・・・

Trump Coast-G3.jpg10日付Defense-Newsは、複数の情報筋からの話として、先日お伝えした4日ホワイトハウスで開催の来年度国防予算をめぐるの「大統領VS両院軍事委員長とマティス国防長官」の激突会談で、3者からの説得を受け入れたトランプ大統領が、$700 billionに削減するはずだった枠を撤廃し、「少なくと$750 billionにする」と約束し、今週中に発表する方向だと報じました

振り返ると今年度国防予算(2019年度予算)は$716 billionで、来年度(2020年度)は $733 billionを国防省は予定して計画を立てていました。
しかし10月16日に中間選挙の「風を読んだ」と大統領が突然来年度予算は各省5%カットで、国防費は「$700 billionだ」と指示し、共和党議員や国防長官等は危機感を訴えてきました

3者は11月末からマスメディアや講演で、「オバマ政権時の国防費カットで傷ついた軍の立て直しに着手したばかりなのに、来年度予算をカットしては、トランプ政権が定めた国家防衛戦略NDSが定めた、中国やロシアを念頭に置いた米軍の体制整備が中断し、米国を危険にさらす」とのキャンペーンやロビー活動を推進していたところでした

詳しくは
「国防費巡り4者激突」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-05

Ford-Class-Carrier.jpg4日の4者会談後上院軍事委員長は「国家安全保障目標に関する率直で建設的な意見交換ができた。我々は国家防衛戦略NDSを遂行するため、オバマ時代のダメージを修復し、米軍を再構築する必要があるとの目標を共有した」、「会談を通じて大統領は、我が国を強くし米軍に適切に投資し続ける決意をしたと確信している」とのコメントを出しましたが、細部は不明のままでした

仮に報道が正しくトランプ大統領が「あっさり説得された」としたら喜ぶべきなのかもしれませんが、来年1月からの米議会「ねじれ状態」を考えると、また予算の強制削減法もいまだ有効な中、国防費だけ増が簡単に通るとも思えず、クリスマス休暇前に一波乱ありそうな予感です

10日付Defense-News記事によれば
●Politicoが9日報じたところによると、4日の4者協議でトランプ大統領が「少なくとも$750 billion」にコミットした模様で、この方を受け議会のタカ派や国防省関係者は興奮に包まれたらしい
F-35 Paris.jpg●一方で、既に国防費は肥大しすぎ、他の必要な国家予算を圧迫していると主張している民主党関係者は、来年1月から下院で多数派となることから、我々の了解なしに物事は決まらないと抗戦の構えを見せている

問題は来年度予算案だけでなく、2011年制定の強制削減法対応の合意形成が必要な点である。今年度の国防費はこの強制削減法を回避する合意が議会でなされているが、国務省や国土安全保障省予算は未だ全体が定まっておらず、来週にも業務停止の可能性も残している
●国防費に関しては来年度「$700 billion」で民主党も納得の雰囲気だttが、これが「$750 billion」となれば、他省庁からのやっかみも入って議会や政界は議論紛糾が必至だとの意見も多い

ちなみに強制削減法が発動されれば、国防費は「$600 billion」に上限が抑えられることになり、国防関係者が「破滅的」と呼ぶ水準になる
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trump tariff3.jpg普通であれば12月末にはまとまっている(遅くても1月初めには)次年度予算が、今頃になって乱高下するとは、クリスマス休暇を控えた米国防省関係者にとっては、士気低下効果抜群のプレゼントです

米軍の最高指揮官である大統領が、いかに国防のことを「いい加減に」考えているかを示すこれ以上の証拠があるでしょうか???

国防省や米軍の皆様に、せめてもの「Seasons Greetings」をお送りいたします

来年度国防予算をめぐる記事
「国防費巡り4者激突」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-05
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「前線部隊を激励訪問しない大統領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-23

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戦闘機稼働率8割への課題 [米空軍]

部品が足りない・・・半分しか・・
整備員の長時間勤務は当分・・・
別件:PGM不足は解消された

Kelly3.jpg5日、米空軍作戦部長のMark Kelly中将が米空軍協会ミッチェル研究所で講演し、今年9月17日付のメモでマティス国防長官が指示した「2019年9月末(2019年度末)までに、F-16,F-22、F-35及びFA-18の稼働率を8割以上に」への取り組み状況について語りました

この指示が出た際、一部の専門家からは、稼働率は使用可能機数と保有機数の比率だから、故障の多い老朽化機体を破棄して計算上の稼働率を上げるぐらいしか手段はない・・・との「裏技・奥の手」案も出ていましたが、Kelly中将からは「裏技」に関する話はなかったようです

ちなみに対象4機種の2017年稼働率は・・・
・ F-16C 786機 70%
・ FA-18 546機 約半分
・ F-22  187機 49%
・ F-35A 119機 54%

Kelly作戦部長の話は結局のところ、「米空軍としては、資源配分も行い一生懸命、全力で取り組んでいる」、「整備員は滅私奉公の精神で、1日12時間勤務もいとわずに頑張っている」と言いつつ、部品が不足し、ステルス機は手間がかかり、整備員の熟練には時間が必要・・・との内容で、見通しは明るくないとの印象です。

6日付米空軍協会web記事によれば
Kelly.jpg●マティス国防長官からの指示である2019年9月までの期限に向け、米空軍は必要な資源投入を行っている。既に整備員の不足解消には目途が立っている。
●一方で機体を運用可能にするための部品確保が難しい状態で、現状では必要数の半分の部品確保しかできていない。また、ステルス機のステルスコーティングの取り扱いに時間を要し、整備が長時間に及んでいる

●「懸念事項は部品供給体制だ」、「部品供給体制に投資しているが、必要な部品の半分程度しか確保できないのが現状である」と説明した
●また、ステルス機のF-22やF-35は、整備で機体内部の作業を行う際、機体表面のステルスコーティングを「切り貼り」する必要があり、整備時間が長くなって稼働率を悪化させている。「通常6-7時間を機体表面の処理のために要している」と語り、稼働率アップの難しさを強調した

F-16に関しては、既に相当改善できており、目標の81%に近いレベルにきている。しかしステルス機については多くの整備所用を抱えていると認めた
maintainers2.jpg整備員不足については、数の面では対応ができつつあるが、新しい整備員の技量向上には時間が必要であり、現時点では整備員数の増加が整備時間短縮に直接結びついておらず時間が必要

逆に、新しい整備員の現場での教育や監督にマンアワーととられ、短期的には負担となっている。1日12時間勤務のような状態がまだ続いている
私の過去32年間の空軍勤務では長時間勤務が当たり前だったが、この状態が来年には改善されるとは言えない状態だ。整備員たちの滅私奉公(service before self)精神に依存しているのが現状だと認識している

中東作戦での精密誘導兵器不足
GBU-28.jpg対ISIS作戦の活発化や関連同盟国等の弾薬不足に対応し、2015年頃から精密誘導兵器PGMの不足が深刻な状況で、地域戦闘コマンド司令官にはPGMの使用を抑制してもらっていたが、何とか改善ができてきた
●2017年から、関連軍需産業の協力を得てPGM生産量増強に取り組んできたが、前線への供給増や備蓄増に結び付くようになってきた

パイロット不足について
●パイロットの流出防止のため、付加業務の軽減や海外派遣期間の調整、更には勤務延長ボーナス額の増により勤務延長を申し出るパイロットの比率が5年ぶりに回復傾向になった
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F-35 sunset.jpg主要戦闘機の稼働率8割以上の目標は、国防費5%カットの中で、優先度がどのようになるのか興味深いところです。将来への投資を取るか、今の態勢維持に注力するか・・・難しい永遠の課題です

Kelly作戦部長は触れませんでしたが、来年5月発行のAirForce Magazine恒例の米空軍主要装備品一覧表で、ひっそりとF-22やF-35初期型の稼働率が低い機体の機数分が削減されているかもしれませんね・・・

稼働率関連の記事
「戦闘機の稼働率を1年で8割に戻せ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の3F機の稼働状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-22
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1

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