南シナ海で中国機反応沈静化:PACAF司令官 [米空軍]
米中ディールに向けた環境をアピールか?
それとも中国が機を見ているのか?
11月26日、7月に太平洋空軍司令官に着任したCharles Brown大将がワシントンDCで記者会見に臨み、米軍と中国軍が接する最前線である南シナ海上空での最近の様子について語り、付近を飛行する米軍機に対する中国機の反応が依然と比較して減少し、おとなしくなっていると語りました
17日には上司であるDavidson太平洋軍司令官が、南シナ海人工島への中国軍地対空ミサイルSAMの急速な増強配備に危機感を訴えたところでしたが、「脅威=能力+意図」の式で南シナ海の中国軍を捉えるならば、能力は引き続き急増だが、意図の点では沈静化ともとれる見方をBrown大将は披露しています
折しも、激しい報復合戦が続く米中貿易摩擦を巡り、落としどころを探るような気配を感じるとの論評を見聞きすることが多くなってきた昨今ですので、一番敏感な最前線に立つともいえる太平洋空軍司令官のBrown大将が、邪推すればシグナルを発しているような気もしますのでご紹介しておきます
26日付Military.com記事によれば
●ペンタゴンで記者団に情勢ブリーフィングを行ったBrown司令官は、南シナ海上空での緊張感は依然高いが、南シナ海上空を飛行する米軍機に対する中国軍機によるリアクション回数や危険な行動は最近減っていると語った
●また、米軍の偵察機や哨戒機に対する反応はあるが、B-52爆撃機の様な爆撃機に対する要撃行動はほとんどないし、あっても過剰に危険を感じさせる飛行を最近中国軍機は行っていないと付け加えた
●更に、要撃行動は「今は散発的で、我々が飛行すれば、必ず要撃行動を受けるといった以前とのようなことはない」とも付け加えた
●17日にDavidson太平洋軍司令官が講演で、「南シナ海の人工島は、3年前までは砂の万里の長城だったが、今ではSAMによる万里の長城だ」と表現し、人工島に急速に配備が進む中国軍SAMの急増ぶりに警戒感を示したところだが、
●このSAM急増についてBrown司令官も触れたが、併せてSAMによる「挑発的な行動やロックオン行動は最近確認されていない」と明確に述べた
●併せて前職の中央軍空軍司令官の経験を踏まえ、米空軍操縦者はSAMに狙われた際の対処に精通しているとも語りつつ、「シリアにロシア軍が展開している高性能SAMから、多国籍軍航空機に対し使用される意図が感じられないが、南シナ海に配備された中国軍SAMも同じである」とも表現した
●ただしBrown司令官は、「仮に緊張感が急に高まれば、我々は自己防御する権利を有している」とも付け加えた
///////////////////////////////////////////////////////
相手の軍の行動をここまで細かく記者団に語る必要性は軍事的には無いと思うので、中国の姿勢を米国も感じてるよのシグナルかなぁ・・・と感じた次第です。
考えすぎの可能性もたっぷりありますが、東シナ海の状況も航空自衛隊からでも伺いたいものです。
Charles Brown大将が太平洋空軍司令官に推挙された際は、アジア太平洋経験がほとんどないとか、中東べったりの経歴で大丈夫かとか、大変失礼なご紹介をしてしまいましたが、中東と比較しての状況説明とか大変ありがたいので、どんどんお願いしたいです
Brown司令官関連の記事
「Brown司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19
太平洋軍関連の記事
「ハリス大将の後任は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-1
「現太平洋空軍司令官の危機感」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「史上初の空軍幹部か!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21-1
それとも中国が機を見ているのか?
11月26日、7月に太平洋空軍司令官に着任したCharles Brown大将がワシントンDCで記者会見に臨み、米軍と中国軍が接する最前線である南シナ海上空での最近の様子について語り、付近を飛行する米軍機に対する中国機の反応が依然と比較して減少し、おとなしくなっていると語りました
17日には上司であるDavidson太平洋軍司令官が、南シナ海人工島への中国軍地対空ミサイルSAMの急速な増強配備に危機感を訴えたところでしたが、「脅威=能力+意図」の式で南シナ海の中国軍を捉えるならば、能力は引き続き急増だが、意図の点では沈静化ともとれる見方をBrown大将は披露しています
折しも、激しい報復合戦が続く米中貿易摩擦を巡り、落としどころを探るような気配を感じるとの論評を見聞きすることが多くなってきた昨今ですので、一番敏感な最前線に立つともいえる太平洋空軍司令官のBrown大将が、邪推すればシグナルを発しているような気もしますのでご紹介しておきます
26日付Military.com記事によれば
●ペンタゴンで記者団に情勢ブリーフィングを行ったBrown司令官は、南シナ海上空での緊張感は依然高いが、南シナ海上空を飛行する米軍機に対する中国軍機によるリアクション回数や危険な行動は最近減っていると語った
●また、米軍の偵察機や哨戒機に対する反応はあるが、B-52爆撃機の様な爆撃機に対する要撃行動はほとんどないし、あっても過剰に危険を感じさせる飛行を最近中国軍機は行っていないと付け加えた
●更に、要撃行動は「今は散発的で、我々が飛行すれば、必ず要撃行動を受けるといった以前とのようなことはない」とも付け加えた
●17日にDavidson太平洋軍司令官が講演で、「南シナ海の人工島は、3年前までは砂の万里の長城だったが、今ではSAMによる万里の長城だ」と表現し、人工島に急速に配備が進む中国軍SAMの急増ぶりに警戒感を示したところだが、
●このSAM急増についてBrown司令官も触れたが、併せてSAMによる「挑発的な行動やロックオン行動は最近確認されていない」と明確に述べた
●併せて前職の中央軍空軍司令官の経験を踏まえ、米空軍操縦者はSAMに狙われた際の対処に精通しているとも語りつつ、「シリアにロシア軍が展開している高性能SAMから、多国籍軍航空機に対し使用される意図が感じられないが、南シナ海に配備された中国軍SAMも同じである」とも表現した
●ただしBrown司令官は、「仮に緊張感が急に高まれば、我々は自己防御する権利を有している」とも付け加えた
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相手の軍の行動をここまで細かく記者団に語る必要性は軍事的には無いと思うので、中国の姿勢を米国も感じてるよのシグナルかなぁ・・・と感じた次第です。
考えすぎの可能性もたっぷりありますが、東シナ海の状況も航空自衛隊からでも伺いたいものです。
Charles Brown大将が太平洋空軍司令官に推挙された際は、アジア太平洋経験がほとんどないとか、中東べったりの経歴で大丈夫かとか、大変失礼なご紹介をしてしまいましたが、中東と比較しての状況説明とか大変ありがたいので、どんどんお願いしたいです
Brown司令官関連の記事
「Brown司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19
太平洋軍関連の記事
「ハリス大将の後任は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-1
「現太平洋空軍司令官の危機感」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「史上初の空軍幹部か!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21-1
F-35初の多数機出撃訓練(Elephant walk) [亡国のF-35]
海自護衛艦「いずも」にF-35B搭載して空母運用とか
空自が旧式F-15後継にF-35を100機追加購入とか
めまいのしそうなニュースが飛び交っていますが、
時流に流され、今日だけは「F-35祭り」です
でもその前に、こんな記事で振り返ってください
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1
「再びGAOが警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
「イタリアがペースダウン」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-10
F-35が「亡国のF-35」であるポイント
●日本の環境、中国の脅威を考えると、高価な戦闘機がそんなに重要か?
●米軍の予算削減、欧州の厳しい財政から、調達機数削減必至・値上がり必至!
●維持費がベリー高く、米空軍トップも1/3にする必要訴えも、見通し暗し
●開発と生産が同時並行で、手戻り修理費が多額発生
F-35増強を喜んでいる自衛官がいるのでしょうか?
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
そんな中ですが、今日だけはF-35祭りです!
ユタ州ヒル空軍基地で35機が・・・
19日、米空軍ヒル空軍基地(HILL AFB)に所在する第388航空団と第419航空団が、F-35の多数機発進訓練を実施し、35機が滑走路上で写真のような威容を披露し、離陸後の上空でも5機編隊を同時に7つも編成してF-35をアピールしました
同基地には、2019年末までにF-35の飛行隊3つ計78機が配備される予定で、第388航空団が正規兵部隊、第419航空団が予備役部隊との位置づけで構成されるようです。
ヒル空軍基地(HILL AFB)は、2016年8月に米空軍F-35部隊として初めて初期運用態勢確立IOC(たった12機ですが)を宣言した部隊が所在する部隊で、その後も初の他基地への大規模移動訓練とか、米空軍F-35運用の最前線部隊です。(一方で、テキサス州Luke空軍基地は、F-35操縦者養成のメッカとして、6個飛行隊150機近くが配備されるらしいです)
20日付米空軍webサイト記事によれば
●19日、ヒル空軍基地の両航空団は、35機のF-35A型機を短時間のうちに発進させる「combat power exercise」を実施し、発進前にはこの種の訓練では恒例の「elephant walk」(多数機が同時に滑走路上を整然と行進して威容を示す)を行ってその写真を公開した
●同基地では既に、日常的に日々平均30-60ソーティーの飛行訓練を行っているが、この日の訓練では、ほぼ同様のソーティー数を20-40秒間隔で離陸させる方式で成功させた
●同演習の計画責任者である少佐は、「我々は命ぜられれば今晩にでも戦う態勢にあり、複数の飛行隊が同時に任務に向かって行動できる状態にあることを示すことができた」とコメントを発表している
●30機を超える機数を複数の飛行部隊が同時に準備するには、整備部隊を含めた円滑な連携が不可欠であり、操縦者たちとの連携を図る指揮統制系統も含めた日ごろの訓練の成果である
//////////////////////////////////////////////////////
お写真から拝見すると、天候にも恵まれ、写真撮影には最適のコンディションだったことが伺えます。
これまでの部隊のご苦労を考えれば、またこのイベントの準備に当たられた皆様の努力と汗に思いをいたす時、素直にご苦労様でしたと声をかけさせていただきた気持ちです・・・
後は、ソフト開発や、量産を判断する最終試験や、自動兵站情報システムALISが正常に稼働することや、維持費が1/3になることや、米空軍全体の操縦者不足が回復することや、トランプ大統領による少なくとも今後5年間は予算5%カットでフラット予算や、米空軍や他軍種間の他老朽化システムとの予算分捕り争い等々を乗り越えれば何の心配もありません。
米軍F-35の現状
「量産判断試験は大丈夫か?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21
「海兵隊F-35が初実戦投入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28-1
「海軍型IOCは19年2月に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-01-2
Hill空軍基地の関連
「米空軍F-35部隊がIOC宣言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-28
「初の大規模展開演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
空自が旧式F-15後継にF-35を100機追加購入とか
めまいのしそうなニュースが飛び交っていますが、
時流に流され、今日だけは「F-35祭り」です
でもその前に、こんな記事で振り返ってください
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1
「再びGAOが警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
「イタリアがペースダウン」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-10
F-35が「亡国のF-35」であるポイント
●日本の環境、中国の脅威を考えると、高価な戦闘機がそんなに重要か?
●米軍の予算削減、欧州の厳しい財政から、調達機数削減必至・値上がり必至!
●維持費がベリー高く、米空軍トップも1/3にする必要訴えも、見通し暗し
●開発と生産が同時並行で、手戻り修理費が多額発生
F-35増強を喜んでいる自衛官がいるのでしょうか?
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そんな中ですが、今日だけはF-35祭りです!
ユタ州ヒル空軍基地で35機が・・・
19日、米空軍ヒル空軍基地(HILL AFB)に所在する第388航空団と第419航空団が、F-35の多数機発進訓練を実施し、35機が滑走路上で写真のような威容を披露し、離陸後の上空でも5機編隊を同時に7つも編成してF-35をアピールしました
同基地には、2019年末までにF-35の飛行隊3つ計78機が配備される予定で、第388航空団が正規兵部隊、第419航空団が予備役部隊との位置づけで構成されるようです。
ヒル空軍基地(HILL AFB)は、2016年8月に米空軍F-35部隊として初めて初期運用態勢確立IOC(たった12機ですが)を宣言した部隊が所在する部隊で、その後も初の他基地への大規模移動訓練とか、米空軍F-35運用の最前線部隊です。(一方で、テキサス州Luke空軍基地は、F-35操縦者養成のメッカとして、6個飛行隊150機近くが配備されるらしいです)
20日付米空軍webサイト記事によれば
●19日、ヒル空軍基地の両航空団は、35機のF-35A型機を短時間のうちに発進させる「combat power exercise」を実施し、発進前にはこの種の訓練では恒例の「elephant walk」(多数機が同時に滑走路上を整然と行進して威容を示す)を行ってその写真を公開した
●同基地では既に、日常的に日々平均30-60ソーティーの飛行訓練を行っているが、この日の訓練では、ほぼ同様のソーティー数を20-40秒間隔で離陸させる方式で成功させた
●同演習の計画責任者である少佐は、「我々は命ぜられれば今晩にでも戦う態勢にあり、複数の飛行隊が同時に任務に向かって行動できる状態にあることを示すことができた」とコメントを発表している
●30機を超える機数を複数の飛行部隊が同時に準備するには、整備部隊を含めた円滑な連携が不可欠であり、操縦者たちとの連携を図る指揮統制系統も含めた日ごろの訓練の成果である
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お写真から拝見すると、天候にも恵まれ、写真撮影には最適のコンディションだったことが伺えます。
これまでの部隊のご苦労を考えれば、またこのイベントの準備に当たられた皆様の努力と汗に思いをいたす時、素直にご苦労様でしたと声をかけさせていただきた気持ちです・・・
後は、ソフト開発や、量産を判断する最終試験や、自動兵站情報システムALISが正常に稼働することや、維持費が1/3になることや、米空軍全体の操縦者不足が回復することや、トランプ大統領による少なくとも今後5年間は予算5%カットでフラット予算や、米空軍や他軍種間の他老朽化システムとの予算分捕り争い等々を乗り越えれば何の心配もありません。
米軍F-35の現状
「量産判断試験は大丈夫か?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21
「海兵隊F-35が初実戦投入」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-28-1
「海軍型IOCは19年2月に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-01-2
Hill空軍基地の関連
「米空軍F-35部隊がIOC宣言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-28
「初の大規模展開演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
韓国が世界最高の潜水艦リチウムイオン電池開発と [安全保障全般]
10月4日進水の海自潜水艦そうりゅうに対抗心?
韓国国防調達庁(DAPA)が、潜水艦用の優れたリチウムイオン電池をサムソン社が開発したと発表し、従来の「lead-acidバッテリー」の2倍の潜水艦活動時間を実現可能とアピールしたようです
リチウムイオン電池は信頼性や安全性に課題があるとして潜水艦搭載用にはなかなか採用されませんでしたが、この10月4日に海上自衛隊の新型潜水艦そうりゅうが、GS-Yuasa製のリチウムイオンバッテリーを搭載して進水し、世界の注目を集めたところでした
そうりゅう型潜水艦にAIPシステムに代わってリチウムイオン電池を搭載することは、2014年9月に決定されましたが、当時B-787旅客機で火を噴いたと同じGS-Yuasa製リチウムイオン電池を搭載と発表されたため、様々に話題を集めました
当時の記事「世界が注目、潜水艦にリチイオ電池」抜粋
●既に6隻建造されたそうりゅう型だが、今後の4隻に、AIPエンジンに代わってリチウムイオン電池を搭載すると海上自衛隊が(2014年9月に)発表した
●同潜水艦はディーゼルエンジンとAIPエンジンと鉛蓄電池を搭載しているが、今後はディーゼルエンジンとリチウムイオン電池での運行を目指す
●リチウムイオン電池を搭載することで、ディーゼルエンジン推進で無い場合(連続潜行状態やシュノーケルを出して敵に発見されたく無い場合や消音行動の場合)でも、従来よりより大きなパワーを得ることが出来る
●またリチウムイオン電池は従来の鉛蓄電池に比し、格段に維持整備コストが安く済む。
そんな潜水艦用のリチウムイオン電池に、韓国サムスンが挑戦したようで、サムスンは世界1のリチウムイオン電池メーカーだと自信たっぷりに発表しています
16日付Defense-News記事によれば
●韓国のDAPAによれば、30か月の開発期間を経て、潜水艦搭載用のリチウムイオン電池が「technology readiness assessment」をパスし、潜水艦搭載に大きく前進した
●開発が順調に進めば、2020年代半ばに進水するKSS-III潜水艦の2番艦に搭載される
●DAPAの同潜水艦プロジェクト開発責任者である少将は、「世界の潜水艦市場において、潜水艦用リチウムイオンバッテリーの開発は大きな達成である。またこの開発は韓国の潜水艦製造の名声を高め、商用市場にも大きなインパクトを与える」とコメントしている
● 世界最大のリチウムイオンバッテリー製造企業であるサムソンSDIが同バッテリーを開発し、 Hanwha Land Systemsが潜水艦への搭載と融合を担うことになる
●KSS-III潜水艦は全長83.5mで、浮上時で3358トン、潜水時で3705トンである。またspeed of 20 knots with a cruising range of 10,000 nautical metersで、6機の垂直発射管を備え、韓国産の巡航ミサイルを搭載する
●DAPAは今後の同バッテリー開発に関し、今後の試験結果によっては、電池としての性能を下げても安全性や信頼性を最優先するとし、潜水艦用には不安定で高価だと考えられてきたリチウムイオン電池開発を慎重に進める意向である
●匿名の関係者は「韓国企業が世界最高のリチウムイオン電池メーカーであることに疑いはないが、一度事故を起こしてしまえばすべてが失われる。従って安全性と信頼性を最優先にし、性能を下げることを受け入れるつもりだ」と語った
●そしてさらに「韓国のリチウムイオン電池は他の競争相手のよりも優れている」と述べ、日本のそうりゅう型潜水艦に言及した
●10月4日に推進したリチウムイオン電池搭載のそうりゅうは、2020年に運用態勢に入る予定で、その全長は84mである
//////////////////////////////////////////////////////
そんなに日本製そうりゅう型潜水艦を意識するなんて「子供みたい!」と言いたいところですが、サムスンは世界1位のリチウムイオン企業だそうですから、プライドもあるのでしょう。。。
そうりゅうに搭載のリチウムイオン電池との差を韓国側には訴えてほしかったのですが、さすがに非公開な重要情報でしょうから、韓国側も知ってるとは言いにくいのでしょう・・・
日本はすでに進水していますし、お手並み拝見・・・と行きましょう!!!
関連の過去記事
「世界が注目、潜水艦にリチイオ電池」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-03
「豪州がそうりゅう潜水艦購入か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-03
(↑これはなくなりました。仏製にやられました)
韓国国防調達庁(DAPA)が、潜水艦用の優れたリチウムイオン電池をサムソン社が開発したと発表し、従来の「lead-acidバッテリー」の2倍の潜水艦活動時間を実現可能とアピールしたようです
リチウムイオン電池は信頼性や安全性に課題があるとして潜水艦搭載用にはなかなか採用されませんでしたが、この10月4日に海上自衛隊の新型潜水艦そうりゅうが、GS-Yuasa製のリチウムイオンバッテリーを搭載して進水し、世界の注目を集めたところでした
そうりゅう型潜水艦にAIPシステムに代わってリチウムイオン電池を搭載することは、2014年9月に決定されましたが、当時B-787旅客機で火を噴いたと同じGS-Yuasa製リチウムイオン電池を搭載と発表されたため、様々に話題を集めました
当時の記事「世界が注目、潜水艦にリチイオ電池」抜粋
●既に6隻建造されたそうりゅう型だが、今後の4隻に、AIPエンジンに代わってリチウムイオン電池を搭載すると海上自衛隊が(2014年9月に)発表した
●同潜水艦はディーゼルエンジンとAIPエンジンと鉛蓄電池を搭載しているが、今後はディーゼルエンジンとリチウムイオン電池での運行を目指す
●リチウムイオン電池を搭載することで、ディーゼルエンジン推進で無い場合(連続潜行状態やシュノーケルを出して敵に発見されたく無い場合や消音行動の場合)でも、従来よりより大きなパワーを得ることが出来る
●またリチウムイオン電池は従来の鉛蓄電池に比し、格段に維持整備コストが安く済む。
そんな潜水艦用のリチウムイオン電池に、韓国サムスンが挑戦したようで、サムスンは世界1のリチウムイオン電池メーカーだと自信たっぷりに発表しています
16日付Defense-News記事によれば
●韓国のDAPAによれば、30か月の開発期間を経て、潜水艦搭載用のリチウムイオン電池が「technology readiness assessment」をパスし、潜水艦搭載に大きく前進した
●開発が順調に進めば、2020年代半ばに進水するKSS-III潜水艦の2番艦に搭載される
●DAPAの同潜水艦プロジェクト開発責任者である少将は、「世界の潜水艦市場において、潜水艦用リチウムイオンバッテリーの開発は大きな達成である。またこの開発は韓国の潜水艦製造の名声を高め、商用市場にも大きなインパクトを与える」とコメントしている
● 世界最大のリチウムイオンバッテリー製造企業であるサムソンSDIが同バッテリーを開発し、 Hanwha Land Systemsが潜水艦への搭載と融合を担うことになる
●KSS-III潜水艦は全長83.5mで、浮上時で3358トン、潜水時で3705トンである。またspeed of 20 knots with a cruising range of 10,000 nautical metersで、6機の垂直発射管を備え、韓国産の巡航ミサイルを搭載する
●DAPAは今後の同バッテリー開発に関し、今後の試験結果によっては、電池としての性能を下げても安全性や信頼性を最優先するとし、潜水艦用には不安定で高価だと考えられてきたリチウムイオン電池開発を慎重に進める意向である
●匿名の関係者は「韓国企業が世界最高のリチウムイオン電池メーカーであることに疑いはないが、一度事故を起こしてしまえばすべてが失われる。従って安全性と信頼性を最優先にし、性能を下げることを受け入れるつもりだ」と語った
●そしてさらに「韓国のリチウムイオン電池は他の競争相手のよりも優れている」と述べ、日本のそうりゅう型潜水艦に言及した
●10月4日に推進したリチウムイオン電池搭載のそうりゅうは、2020年に運用態勢に入る予定で、その全長は84mである
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そんなに日本製そうりゅう型潜水艦を意識するなんて「子供みたい!」と言いたいところですが、サムスンは世界1位のリチウムイオン企業だそうですから、プライドもあるのでしょう。。。
そうりゅうに搭載のリチウムイオン電池との差を韓国側には訴えてほしかったのですが、さすがに非公開な重要情報でしょうから、韓国側も知ってるとは言いにくいのでしょう・・・
日本はすでに進水していますし、お手並み拝見・・・と行きましょう!!!
関連の過去記事
「世界が注目、潜水艦にリチイオ電池」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-03
「豪州がそうりゅう潜水艦購入か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-03
(↑これはなくなりました。仏製にやられました)
戦地の兵士激励訪問をしないトランプ大統領 [安全保障全般]
そういわれればそうですねぇ・・・
就任して2年経過も戦地兵士を訪問しない最高指揮官
21日付Military.comは、最近のどの大統領よりも米軍人や退役軍人ための施策を実現していると繰り返し語っているトランプ大統領を、最近のどの大統領も行っている軍最高指揮官としての戦地兵士激励訪問をいつまでたっても行わない大統領だと報じています
退役軍人記念日にアーリントン墓地を訪れなかったことで非難を受け、「行くべきだったが多忙で行けなかった」と言い訳したものの、後で特別な予定が無かったと事が明らかになったり、軍事補佐官からの海外派遣米軍に関する報告に全く関心を示さないとリークされたりとか、軍隊に冷たい姿が隠せないトランプ氏です
ワシントンDCでの軍事パレードを計画せよと指示したものの、計画段階で想定以上に経費が必要で中止したりなど、パフォーマンス狙いの思い付きで大きな組織を動かそうとすることに、現場の人間に対する愛情や温かさを感じないのは、米国ビジネスマンのステレオタイプかもしれません。
一方で中米諸国から数千人の移民希望者が米メキシコ国境に向かっている状況に、法的に難しい米軍派遣を巡って国防省と一悶着しつつ、移民の群れに致死性兵器の使用を許可(11月22日)するなど、パフォーマンスなのか、現場主義なのかよくわからない人物です
さすがに大統領のスタッフも、戦地訪問激励を実現しないとまずいと考え、準備を始めたようなので、「初の戦地訪問」が実現する前に、軍事に目を向けたくないトランプ大統領の姿をご紹介しておきます
21日付Military.com記事によれば
●感謝祭の休暇を過ごすためフロリダの別荘に向かうトランプ大統領に記者団から、全米が休暇ムードの中で前線で任務に就いている米軍兵士への姿勢を問われ、「戦地に赴く予定だ」と答えたが、何時、どこへなど細部については言及しなかった
●ホワイトハウス関係者も最近、訪問計画のための出張から戻ったようだ
●戦地への激励訪問がないことは、大統領としての慣例の多くをおざなりにしてきた同大統領と米軍とのますます不良な関係を裏付けるものとなっている。
●一時的にせよ過去2年間軍事予算を増やした同大統領だが、米軍を政治的に利用しているとの批判も多く、予算面でも今後の削減とプラット化を指示している
●19日の週にも、ビンラディンを殺害した2011年の作戦の立役者である伝説の退役米軍将軍に対し、「もっと早くやるべきだった。そんなに褒められたもんじゃない」と冷たくコメントし、的外れな前線部隊非難だと軍事関係者から辛辣な非難を浴びたりもしている
●就任直後に発生したイエメンでの米軍兵士死亡事案に関しても、前政権が計画したことであると事務的なコメントを述べるだけで、軍からの説明を言い訳だと突き放した態度でコメントしていた
●米軍の海外派遣や活動を縮小する方向で当選した同大統領だが、これまでの大統領もそうであったように、アフガンやイラクやシリアやアフリカ大陸に派遣される米軍兵士は増加しており、消極的にでもそう判断せざるを得ない状況に直面している
●大統領の側近からは、大統領は自身が支持できない海外の作戦地域を訪れることに躊躇しているとのコメントも聞かれる
●実際トランプ大統領は18日のTV番組で、「私はイラク戦争に強く反対した。大きな間違いだった。2度と繰り返してはならない」と述べており、イラク戦争開戦直後の2003年3月にもそのような立場を表明している
●なぜ戦地を訪問しないのかとの質問に同大統領は最近、「計画中だ。実現するだろう」と述べる一方で、「戦地の兵士訪問激励がそれほど必要だとは思わない」、「今発生している様々な事象に対応するのに多忙なのだ」と本音をのぞかせ、「予算面でも、政策面でも、どの大統領よりも米軍のために取り組んできた。退役軍人に対してもだ」といつものセリフで主張している
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不自由な前線で活動する兵士にとって、お偉いさんの訪問やご視察は余計な負担で、「戦地の兵士訪問激励がそれほど必要だとは思わない」との発言自体が悪いとは思いません。
しかし、軍事補佐官等からの派遣部隊に関する情勢報告に関心を示さないのは、最高指揮官として困ります。
心から関心が持てなくても、優秀なマティス国防長官がいるのですから、しっかり任せて資源配分をきちんとしてやってもらえば十分なのですが・・・
トランプに困惑の現場
「相手の核を削減させるのが上策」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-16
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
就任して2年経過も戦地兵士を訪問しない最高指揮官
21日付Military.comは、最近のどの大統領よりも米軍人や退役軍人ための施策を実現していると繰り返し語っているトランプ大統領を、最近のどの大統領も行っている軍最高指揮官としての戦地兵士激励訪問をいつまでたっても行わない大統領だと報じています
退役軍人記念日にアーリントン墓地を訪れなかったことで非難を受け、「行くべきだったが多忙で行けなかった」と言い訳したものの、後で特別な予定が無かったと事が明らかになったり、軍事補佐官からの海外派遣米軍に関する報告に全く関心を示さないとリークされたりとか、軍隊に冷たい姿が隠せないトランプ氏です
ワシントンDCでの軍事パレードを計画せよと指示したものの、計画段階で想定以上に経費が必要で中止したりなど、パフォーマンス狙いの思い付きで大きな組織を動かそうとすることに、現場の人間に対する愛情や温かさを感じないのは、米国ビジネスマンのステレオタイプかもしれません。
一方で中米諸国から数千人の移民希望者が米メキシコ国境に向かっている状況に、法的に難しい米軍派遣を巡って国防省と一悶着しつつ、移民の群れに致死性兵器の使用を許可(11月22日)するなど、パフォーマンスなのか、現場主義なのかよくわからない人物です
さすがに大統領のスタッフも、戦地訪問激励を実現しないとまずいと考え、準備を始めたようなので、「初の戦地訪問」が実現する前に、軍事に目を向けたくないトランプ大統領の姿をご紹介しておきます
21日付Military.com記事によれば
●感謝祭の休暇を過ごすためフロリダの別荘に向かうトランプ大統領に記者団から、全米が休暇ムードの中で前線で任務に就いている米軍兵士への姿勢を問われ、「戦地に赴く予定だ」と答えたが、何時、どこへなど細部については言及しなかった
●ホワイトハウス関係者も最近、訪問計画のための出張から戻ったようだ
●戦地への激励訪問がないことは、大統領としての慣例の多くをおざなりにしてきた同大統領と米軍とのますます不良な関係を裏付けるものとなっている。
●一時的にせよ過去2年間軍事予算を増やした同大統領だが、米軍を政治的に利用しているとの批判も多く、予算面でも今後の削減とプラット化を指示している
●19日の週にも、ビンラディンを殺害した2011年の作戦の立役者である伝説の退役米軍将軍に対し、「もっと早くやるべきだった。そんなに褒められたもんじゃない」と冷たくコメントし、的外れな前線部隊非難だと軍事関係者から辛辣な非難を浴びたりもしている
●就任直後に発生したイエメンでの米軍兵士死亡事案に関しても、前政権が計画したことであると事務的なコメントを述べるだけで、軍からの説明を言い訳だと突き放した態度でコメントしていた
●米軍の海外派遣や活動を縮小する方向で当選した同大統領だが、これまでの大統領もそうであったように、アフガンやイラクやシリアやアフリカ大陸に派遣される米軍兵士は増加しており、消極的にでもそう判断せざるを得ない状況に直面している
●大統領の側近からは、大統領は自身が支持できない海外の作戦地域を訪れることに躊躇しているとのコメントも聞かれる
●実際トランプ大統領は18日のTV番組で、「私はイラク戦争に強く反対した。大きな間違いだった。2度と繰り返してはならない」と述べており、イラク戦争開戦直後の2003年3月にもそのような立場を表明している
●なぜ戦地を訪問しないのかとの質問に同大統領は最近、「計画中だ。実現するだろう」と述べる一方で、「戦地の兵士訪問激励がそれほど必要だとは思わない」、「今発生している様々な事象に対応するのに多忙なのだ」と本音をのぞかせ、「予算面でも、政策面でも、どの大統領よりも米軍のために取り組んできた。退役軍人に対してもだ」といつものセリフで主張している
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不自由な前線で活動する兵士にとって、お偉いさんの訪問やご視察は余計な負担で、「戦地の兵士訪問激励がそれほど必要だとは思わない」との発言自体が悪いとは思いません。
しかし、軍事補佐官等からの派遣部隊に関する情勢報告に関心を示さないのは、最高指揮官として困ります。
心から関心が持てなくても、優秀なマティス国防長官がいるのですから、しっかり任せて資源配分をきちんとしてやってもらえば十分なのですが・・・
トランプに困惑の現場
「相手の核を削減させるのが上策」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-16
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
日本初の宇宙演習Schriever Wargame参加 [サイバーと宇宙]
12回目の演習に日本が初めて参加
FVEYに加え、独仏と日本が・・・
11月25日付朝日新聞デジタル版が、10月9-19日にアラバマ州の空軍基地で開催されたサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」に、日本が初めて参加し、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして課題に取り組んだと報じています
このサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」は、ICBM開発や宇宙活用に貢献したシュリーバー退役空軍大将の名を冠し、官民一体となって宇宙空間での戦いを想定した状況対処に挑むもので、米軍の宇宙関連の部隊や米政府機関からの約350人のほか、日本を含む7か国(米英加豪NZ仏独)が参加しました
本演習が官民一体型で多国間協力を重視するのは、宇宙ドメインのプレーヤーが多岐にわたり、各プレーヤーのアセットや能力を総動員しないと、何が起こっているかの状況把握さえも難しく、更に級の周り全周の宇宙状況を把握するには、地球の裏側の国と協力せざるを得ないからです
また宇宙アセットへの敵の攻撃や我の行動は、衛星通信等を通じて金融やメディア等々の活動への影響も大きく、軍や官だけで作戦判断を下すことが難しいからです。
まぁ演習の性格上、その細部は不明なのですが、日本ではめったに見られなく極めて珍しい複数の政府機関が参加した祈念すべき第1回の参加ですので、ここに至るまでの関係者の努力に敬意を表し、朝日新聞の記事をご紹介いたします(有料記事でさわりだけですが・・・)
11月25日付朝日新聞デジタル版記事によれば
●米アラバマ州マックスウェル空軍基地内の一室。米国、英国など国ごとに仕切られたブースの一つで、日本の防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの職員が机上のパソコン画面を見つめていた
●今年で12回目。NATO加盟国の一部が加わった年もあったが、多くは軍事情報収集の世界で「Five Eyes」と呼ばれる米、英、豪州、カナダ、ニュージーランドの5カ国を中心に続けられてきた。そんな「極めて秘匿性が高いインナーサークル」(自衛隊幹部)の演習に日本が招待を受け、今年、初めて参加したのだ。
●演習の内容は「機密」扱いだが、複数の政府関係者によれば、想定はこんなシナリオだったという。
●想定シナリオ→→2028年。太平洋からインド洋の東側までを担当する米インド太平洋軍の管内で、米国の偵察衛星や通信衛星が「ある競合国」から攻撃や電波妨害を受け、軍事作戦に欠かせないGPSシステムもダウンした・・・
●演習では、シミュレーションが繰り返されたという。衛星が使えなくなった米軍が作戦を続けるために、欧州の測位衛星システム「ガリレオ」や「日本版GPS」と呼ばれる準天頂衛星「みちびき」では、どんな支援ができるのか。
●米軍が他国の暗号コードを使うための技術的な課題やそれぞれの国の国内法上の制約は何か。各国で対応を検討し、米国と調整を重ねた。もはや日本も無縁でなくなっている。
●背景にあるのは、現代戦における「宇宙」の比重の大きさだ。新たな防衛大綱の策定に関わる政府関係者はこう話す。
●「弾道ミサイル発射の兆候も含めて情報収集や警戒監視、通信、測位、気象観測……。陸海空の作戦と装備は、宇宙に深く依存している。相手の宇宙インフラを使えなくすれば、死傷者を出さずに陸海空の戦いで圧倒的に有利になる。だから、現代の戦争は宇宙とサイバーから始まる。宇宙を制する者は現代戦を制すだ」
●宇宙政策に詳しい鈴木一人・北海道大学大学院教授は「南シナ海で米中の軍事的衝突の恐れが高まった時、最初に狙われるのは宇宙システム。米国の衛星が攻撃を受けたときに、同盟国と連携して被害を最小限にとどめ、リスクを分散し、機能を維持していけるのかを探るのが演習の狙い」と解説する
●宇宙を舞台に「米VS.中国・ロシア」という対決の構図が鮮明になりつつある。一方、人工衛星やロケット開発で生じた大量の宇宙ゴミは、各国共通のリスクだ。防衛省・自衛隊は、後者の解決への協力を窓口に、宇宙への関わりを深めようとしている
ご参考
米軍のアジア太平洋エリアでの宇宙作戦の問題点
●中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が不十分。
●アジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性関連で、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がない
●更にそのような厳しい環境下で任務遂行するための最先端の訓練が不十分で、また部隊体制も整っていない
///////////////////////////////////////////////////////////
いつまでたっても日本はこの重要な演習に関われないで情けない・・・と、このブログでボヤいていたら、ツイッター上で読者の方から、「まだ公にはなりませんが、着実に前進しています」といった趣旨のアドバイスを頂いたことがあります
「外圧」もあるのかもしれませんが、あまり仲がよさそうとも思えない、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共に参加したということですから、素晴らしい1歩とお伝えしておきましょう・・・
防衛省はどんなメンバー編成で参加したのでしょうか? 航空総隊に宇宙空間担当部隊を新編するとの予算要求のニュースも耳にしましたが・・・
宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
Schriever Wargame関連の記事
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
FVEYに加え、独仏と日本が・・・
11月25日付朝日新聞デジタル版が、10月9-19日にアラバマ州の空軍基地で開催されたサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」に、日本が初めて参加し、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして課題に取り組んだと報じています
このサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」は、ICBM開発や宇宙活用に貢献したシュリーバー退役空軍大将の名を冠し、官民一体となって宇宙空間での戦いを想定した状況対処に挑むもので、米軍の宇宙関連の部隊や米政府機関からの約350人のほか、日本を含む7か国(米英加豪NZ仏独)が参加しました
本演習が官民一体型で多国間協力を重視するのは、宇宙ドメインのプレーヤーが多岐にわたり、各プレーヤーのアセットや能力を総動員しないと、何が起こっているかの状況把握さえも難しく、更に級の周り全周の宇宙状況を把握するには、地球の裏側の国と協力せざるを得ないからです
また宇宙アセットへの敵の攻撃や我の行動は、衛星通信等を通じて金融やメディア等々の活動への影響も大きく、軍や官だけで作戦判断を下すことが難しいからです。
まぁ演習の性格上、その細部は不明なのですが、日本ではめったに見られなく極めて珍しい複数の政府機関が参加した祈念すべき第1回の参加ですので、ここに至るまでの関係者の努力に敬意を表し、朝日新聞の記事をご紹介いたします(有料記事でさわりだけですが・・・)
11月25日付朝日新聞デジタル版記事によれば
●米アラバマ州マックスウェル空軍基地内の一室。米国、英国など国ごとに仕切られたブースの一つで、日本の防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの職員が机上のパソコン画面を見つめていた
●今年で12回目。NATO加盟国の一部が加わった年もあったが、多くは軍事情報収集の世界で「Five Eyes」と呼ばれる米、英、豪州、カナダ、ニュージーランドの5カ国を中心に続けられてきた。そんな「極めて秘匿性が高いインナーサークル」(自衛隊幹部)の演習に日本が招待を受け、今年、初めて参加したのだ。
●演習の内容は「機密」扱いだが、複数の政府関係者によれば、想定はこんなシナリオだったという。
●想定シナリオ→→2028年。太平洋からインド洋の東側までを担当する米インド太平洋軍の管内で、米国の偵察衛星や通信衛星が「ある競合国」から攻撃や電波妨害を受け、軍事作戦に欠かせないGPSシステムもダウンした・・・
●演習では、シミュレーションが繰り返されたという。衛星が使えなくなった米軍が作戦を続けるために、欧州の測位衛星システム「ガリレオ」や「日本版GPS」と呼ばれる準天頂衛星「みちびき」では、どんな支援ができるのか。
●米軍が他国の暗号コードを使うための技術的な課題やそれぞれの国の国内法上の制約は何か。各国で対応を検討し、米国と調整を重ねた。もはや日本も無縁でなくなっている。
●背景にあるのは、現代戦における「宇宙」の比重の大きさだ。新たな防衛大綱の策定に関わる政府関係者はこう話す。
●「弾道ミサイル発射の兆候も含めて情報収集や警戒監視、通信、測位、気象観測……。陸海空の作戦と装備は、宇宙に深く依存している。相手の宇宙インフラを使えなくすれば、死傷者を出さずに陸海空の戦いで圧倒的に有利になる。だから、現代の戦争は宇宙とサイバーから始まる。宇宙を制する者は現代戦を制すだ」
●宇宙政策に詳しい鈴木一人・北海道大学大学院教授は「南シナ海で米中の軍事的衝突の恐れが高まった時、最初に狙われるのは宇宙システム。米国の衛星が攻撃を受けたときに、同盟国と連携して被害を最小限にとどめ、リスクを分散し、機能を維持していけるのかを探るのが演習の狙い」と解説する
●宇宙を舞台に「米VS.中国・ロシア」という対決の構図が鮮明になりつつある。一方、人工衛星やロケット開発で生じた大量の宇宙ゴミは、各国共通のリスクだ。防衛省・自衛隊は、後者の解決への協力を窓口に、宇宙への関わりを深めようとしている
ご参考
米軍のアジア太平洋エリアでの宇宙作戦の問題点
●中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が不十分。
●アジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性関連で、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がない
●更にそのような厳しい環境下で任務遂行するための最先端の訓練が不十分で、また部隊体制も整っていない
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いつまでたっても日本はこの重要な演習に関われないで情けない・・・と、このブログでボヤいていたら、ツイッター上で読者の方から、「まだ公にはなりませんが、着実に前進しています」といった趣旨のアドバイスを頂いたことがあります
「外圧」もあるのかもしれませんが、あまり仲がよさそうとも思えない、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共に参加したということですから、素晴らしい1歩とお伝えしておきましょう・・・
防衛省はどんなメンバー編成で参加したのでしょうか? 航空総隊に宇宙空間担当部隊を新編するとの予算要求のニュースも耳にしましたが・・・
宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
Schriever Wargame関連の記事
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
米空軍三沢F-16の整備部隊がでたらめで墜落事故 [米空軍]
2018年2月の墜落事故原因はでたらめ整備
無秩序、整備基準や品質管理不徹底、組織活動の欠如・・・
20日付米空軍協会web記事は、2018年2月に発生した米空軍三沢基地所属F-16のエンジン火災と燃料タンクの小川湖投下事故に関する調査報告(19日公表)を取り上げ、6年ほど前から当該F-16整備部隊が「無秩序、整備基準の不徹底、部品の不十分な品質管理、組織的活動の欠如、狂気の手順」などの言葉で表現できる状態だったことが原因だと報じています
そして記事は、2012年7月に北太平洋で発生した同部隊F-16墜落事故に関しても、機体の残骸がほとんど回収できていたいことから断定することは避けつつも、不適切な環境で保管されていた機体部品が原因だったのではないかと強く示唆しています
今年2月の事故に関する調査に対し、2015年に着任した上級軍曹がその際の状況を証言し、「部隊は混乱し、組織の体をなしていなかった」と述べたとも報じられており、今現在の状況がとっても気になります。
嘉手納の米空軍F-15部隊の整備員が、米本土の整備部隊と比較して技術未熟な若手比率が高く、嘉手納での連続勤務期間が短いとの実態をご紹介したこともありましたが、なんだか心配になってきました。
20日付米空軍協会web記事によれば
●2018年2月20日、通常訓練のため三沢基地を飛び立ったF-16は、離陸直後にエンジン火災に見舞われ、基地近傍の小川湖に燃料満載の外部燃料タンクを投下して機体を軽くしたのち、すぐさま三沢基地に緊急着陸した・(ちなみに、燃料タンクの回収や湖の油回収は全て自衛隊がやらされた)
●事故調査調査官は、同機の操縦者の判断について「正確で適切なものであり、短時間に集中して実施されている」と評価したが、「整備部隊の状況は操縦者の様ではなかった」と語った。
●19日公開の事故調査報告書は、事故機のエンジンには、2012年に実施された機体延命措置改修以降は使用されなくなった旧式の部品が誤って搭載されており、当該部品が飛行中に破損してエンジン火災を引き起こしたと結論付けた
●また定期的なエンジン整備や点検が行われていたはずであるが、この誤った部品の使用を発見することが出来なかったとも報告書は記している
●事故調査官が当該部隊の整備員から聞き取り調査を行ったところ、整備基準や手順の徹底がいい加減で、部品管理手続きも不適切、整備現場部隊は組織的活動が出来ておらず、他航空機との部品共食い手順も守られていない等々の事実が次々に明らかになった
●2015年に着任した上級軍曹がその際の状況を証言し、「部隊は無秩序で、組織の体をなしていなかった」と語ったとの記録も見られる
●更に報告書は「整備現場部隊は基準を無視した手順をつなぎ合わせて業務を行っており、彼ら自身の狂気の手法を編み出していた」、「2012年の改修後の整備手順基準を十分徹底しなかったために、旧式の誤った部品を発注してエンジンに装着したことで火災を発生させた」と記している
●ちなみに、このような同整備部隊の混乱(disarray)を改善するため、同部隊には約5000万円の予算が投入された
2012年2月の墜落事故にも・・・
●三沢基地所属F-16は、2012年7月に三沢から750nm離れた太平洋上で墜落(パイロットは救出された)したが、その原因は燃料供給バルブが指示していないのに閉じたことが原因だと報告されている
●同墜落機体のほとんどが海没したままで、細部の原因は不明なままだが、当該バルブ部品を管理していた三沢部隊が規則で定められている腐食防止施設を保有せず、当該部品を不適切な状態で2年間以上も保管していたことが、バルブの意図せぬ閉鎖を防げなかった可能性があるとみられている
●更に当該機を担当していたロッキード社の技術者も、技量不十分だと判明している
////////////////////////////////////////////////
米空軍の整備員不足、軍需産業基盤の弱体化など、様々な側面から米軍の足元が揺らいでいることを取り上げてきましたが、これだけ身近に問題を突き付けられるとちょっと怖いですねぇ・・・
米軍全体で航空機の事故が激増している現実もありますし・・・。そんな中で予算がカットされると・・・・
整備員不足や軍需産業基盤への懸念
「表面上は今年中に解消整備員不足」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-24
「米国防省:軍需産業課題レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
「嘉手納整備員は若手ばかり」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02
来年度予算カット宣言
「トランプが次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「国防副長官も認める」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
無秩序、整備基準や品質管理不徹底、組織活動の欠如・・・
20日付米空軍協会web記事は、2018年2月に発生した米空軍三沢基地所属F-16のエンジン火災と燃料タンクの小川湖投下事故に関する調査報告(19日公表)を取り上げ、6年ほど前から当該F-16整備部隊が「無秩序、整備基準の不徹底、部品の不十分な品質管理、組織的活動の欠如、狂気の手順」などの言葉で表現できる状態だったことが原因だと報じています
そして記事は、2012年7月に北太平洋で発生した同部隊F-16墜落事故に関しても、機体の残骸がほとんど回収できていたいことから断定することは避けつつも、不適切な環境で保管されていた機体部品が原因だったのではないかと強く示唆しています
今年2月の事故に関する調査に対し、2015年に着任した上級軍曹がその際の状況を証言し、「部隊は混乱し、組織の体をなしていなかった」と述べたとも報じられており、今現在の状況がとっても気になります。
嘉手納の米空軍F-15部隊の整備員が、米本土の整備部隊と比較して技術未熟な若手比率が高く、嘉手納での連続勤務期間が短いとの実態をご紹介したこともありましたが、なんだか心配になってきました。
20日付米空軍協会web記事によれば
●2018年2月20日、通常訓練のため三沢基地を飛び立ったF-16は、離陸直後にエンジン火災に見舞われ、基地近傍の小川湖に燃料満載の外部燃料タンクを投下して機体を軽くしたのち、すぐさま三沢基地に緊急着陸した・(ちなみに、燃料タンクの回収や湖の油回収は全て自衛隊がやらされた)
●事故調査調査官は、同機の操縦者の判断について「正確で適切なものであり、短時間に集中して実施されている」と評価したが、「整備部隊の状況は操縦者の様ではなかった」と語った。
●19日公開の事故調査報告書は、事故機のエンジンには、2012年に実施された機体延命措置改修以降は使用されなくなった旧式の部品が誤って搭載されており、当該部品が飛行中に破損してエンジン火災を引き起こしたと結論付けた
●また定期的なエンジン整備や点検が行われていたはずであるが、この誤った部品の使用を発見することが出来なかったとも報告書は記している
●事故調査官が当該部隊の整備員から聞き取り調査を行ったところ、整備基準や手順の徹底がいい加減で、部品管理手続きも不適切、整備現場部隊は組織的活動が出来ておらず、他航空機との部品共食い手順も守られていない等々の事実が次々に明らかになった
●2015年に着任した上級軍曹がその際の状況を証言し、「部隊は無秩序で、組織の体をなしていなかった」と語ったとの記録も見られる
●更に報告書は「整備現場部隊は基準を無視した手順をつなぎ合わせて業務を行っており、彼ら自身の狂気の手法を編み出していた」、「2012年の改修後の整備手順基準を十分徹底しなかったために、旧式の誤った部品を発注してエンジンに装着したことで火災を発生させた」と記している
●ちなみに、このような同整備部隊の混乱(disarray)を改善するため、同部隊には約5000万円の予算が投入された
2012年2月の墜落事故にも・・・
●三沢基地所属F-16は、2012年7月に三沢から750nm離れた太平洋上で墜落(パイロットは救出された)したが、その原因は燃料供給バルブが指示していないのに閉じたことが原因だと報告されている
●同墜落機体のほとんどが海没したままで、細部の原因は不明なままだが、当該バルブ部品を管理していた三沢部隊が規則で定められている腐食防止施設を保有せず、当該部品を不適切な状態で2年間以上も保管していたことが、バルブの意図せぬ閉鎖を防げなかった可能性があるとみられている
●更に当該機を担当していたロッキード社の技術者も、技量不十分だと判明している
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米空軍の整備員不足、軍需産業基盤の弱体化など、様々な側面から米軍の足元が揺らいでいることを取り上げてきましたが、これだけ身近に問題を突き付けられるとちょっと怖いですねぇ・・・
米軍全体で航空機の事故が激増している現実もありますし・・・。そんな中で予算がカットされると・・・・
整備員不足や軍需産業基盤への懸念
「表面上は今年中に解消整備員不足」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-24
「米国防省:軍需産業課題レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
「嘉手納整備員は若手ばかり」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02
来年度予算カット宣言
「トランプが次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「国防副長官も認める」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
戦略コマンド司令官がトランプと民主党にジャブ [Joint・統合参謀本部]
さすがに聡明で著名なHyten司令官
策の無いトランプと下院を制した民主党にチクリと
14日、ハーバード大学での「核抑止は死んだ」と題するイベントで講演した米戦略コマンド司令官John Hyten空軍大将は、恐らくトランプ大統領による予算カットを皮肉りつつ、敵に核弾頭を削減させるよう誘導することが予算削減の上策だと語り、更に下院を制した民主党による軍事委員会や核兵器近代化に反対する議員をけん制しました
軍人としての両分をわきまえつつ、大軍拡や核兵器増強を訴えておきながら、舌の根も乾かぬうちに軍事予算を含む国家予算のカットに踏み出したトランプ大統領の支離滅裂で日和見な姿勢を精一杯に限度ギリギリで批判し、残った時間で下院を制した民主党の核兵器近代化に批判的な姿勢をけん制する絶妙なセンスを感じさせる聡明なHyten司令官のお姿です
この時代に米軍人として生きることは、苦々しく苦渋に満ちたものでしょうが、そんなことを感じさせない淡々とした中に、さらりとぐっさり訴えるその様子に軍人の意地を感じましたので取り上げます。考えすぎでしょうか・・・
15日付Military.com記事によれば
●Hyen戦略コマンド司令官はケネディースクールで開催された「Nuclear Deterrence is Dead, Long Live Nuclear Deterrence」とのイベントで講演し、米軍核兵器の近代化を、経費を削減しコストカットも見据えながら進めるには、相手が核兵器削減するように仕向けることだ表現した
●そして「どうしたら我の経費削減が可能か? ロシアと交渉のテーブルに着き、今の1550発上限ではだめで、1400発に削減しようと協議することだ」、「米国の外交官が交渉を行う気があれば、国防省から分析データを提供することが可能だ」と語った
●また「米国が経費を削減したいのなら、敵の脅威を変えるしかない。我が国のセキュリティーを下げてはだめで、相手からの脅威を変化させるよう仕向けることだ」と表現した
●そして脅威を緩和するもう一つの道は、2011年締結で2021年まで有効な、核弾頭を1550発上限に制限するSTART条約を維持することであるとも語った
●しかしトランプ政権は、INF制限条約廃止を打ち出し、START条約までもどうなるか不透明な状況にある。
●それでもHyten司令官は、「私は核兵器を制限している条約が好きだ」と述べ、「核兵器保有国と交渉するなら、全てが議論の対象になるべきである。我々が保有するものすべてが議論のテーブル上にあるべきだ」と訴えた
●また同司令官は、条約を米露双方が順守しているかを堅守するため、両国の代表者が相手基地を訪問して条約履行状況を査察する様子を見てきたと述べ、
●私は我の能力を相手に見られても気にしない。相手が我が国の様子を見て何を感じようとも気にしない。また相手の能力を把握する我の能力に変化が無くても気にしない。奇襲やサプライズを防いでくれるなら、軍備管理は良いことなのだ、とその意義を訴えた
下院で過半数を確保した民主党に関し
●核兵器が全廃されるべきだと言うつもりはない。他国を抑止するために、米国は核兵器を自身で保有しなければならない、と語った
●そして新しい下院軍事委員長に民主党のスミス議員が就任したら、1年前に彼に話したことを繰り返し語るだろう。それは、現在世界にあるいかなる脅威にも対応するため、我々は戦力を保持する必要があると述べた
●そのためには核兵器の3本柱が必要で、核ミサイルを地上と空中と潜水艦から発射できる必要がある。さもなければ米国の対応能力を保証できない。そのために必要な投資を求めていると訴えた
●更に、核兵器の近代化の必要性を最初に認めたのは、民主党のオバマ大統領だと強調し、米国生存のために必要な措置だと表現した
/////////////////////////////////////////////////////////
ロシアと対立しているだけでなく交渉の場も重要だ、INFやSTART条約を疎かにするのは愚策だ、予算を削減すると策なく強要するのは具策だと、トランプ大統領の政策に異を唱える軍人として精一杯の勇気ある発言でした。もしかしたら、もう退役時期が決まっているのかも・・・とふと思いました
残念ながら下院では、核態勢見直しNPRやそこで提起された低出力核兵器などの政策を「悪い核兵器政策」を批判が始まっているようです。
前出のスミス下院軍事委員会委員長や複数の有力民主党下院議員が、潜水艦発射型の「W76-2」核弾頭などに厳しい視線を向け、新たな軍備拡大競争に向かっていると批判しています
また「先制不使用法」や大統領の核兵器発射権限の法案導入を準備している議員もいるようで、「全力で戦う」と鼻息を荒くしているとも伝えられています。ねじれ議会は難しそうですね・・・
そして軍人には我慢の時代が訪れるわけです・・・
米国核兵器を巡る動向
「ついにINF条約破棄へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「サイバー時代の核管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「リーク版:核態勢見直しNPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1
策の無いトランプと下院を制した民主党にチクリと
14日、ハーバード大学での「核抑止は死んだ」と題するイベントで講演した米戦略コマンド司令官John Hyten空軍大将は、恐らくトランプ大統領による予算カットを皮肉りつつ、敵に核弾頭を削減させるよう誘導することが予算削減の上策だと語り、更に下院を制した民主党による軍事委員会や核兵器近代化に反対する議員をけん制しました
軍人としての両分をわきまえつつ、大軍拡や核兵器増強を訴えておきながら、舌の根も乾かぬうちに軍事予算を含む国家予算のカットに踏み出したトランプ大統領の支離滅裂で日和見な姿勢を精一杯に限度ギリギリで批判し、残った時間で下院を制した民主党の核兵器近代化に批判的な姿勢をけん制する絶妙なセンスを感じさせる聡明なHyten司令官のお姿です
この時代に米軍人として生きることは、苦々しく苦渋に満ちたものでしょうが、そんなことを感じさせない淡々とした中に、さらりとぐっさり訴えるその様子に軍人の意地を感じましたので取り上げます。考えすぎでしょうか・・・
15日付Military.com記事によれば
●Hyen戦略コマンド司令官はケネディースクールで開催された「Nuclear Deterrence is Dead, Long Live Nuclear Deterrence」とのイベントで講演し、米軍核兵器の近代化を、経費を削減しコストカットも見据えながら進めるには、相手が核兵器削減するように仕向けることだ表現した
●そして「どうしたら我の経費削減が可能か? ロシアと交渉のテーブルに着き、今の1550発上限ではだめで、1400発に削減しようと協議することだ」、「米国の外交官が交渉を行う気があれば、国防省から分析データを提供することが可能だ」と語った
●また「米国が経費を削減したいのなら、敵の脅威を変えるしかない。我が国のセキュリティーを下げてはだめで、相手からの脅威を変化させるよう仕向けることだ」と表現した
●そして脅威を緩和するもう一つの道は、2011年締結で2021年まで有効な、核弾頭を1550発上限に制限するSTART条約を維持することであるとも語った
●しかしトランプ政権は、INF制限条約廃止を打ち出し、START条約までもどうなるか不透明な状況にある。
●それでもHyten司令官は、「私は核兵器を制限している条約が好きだ」と述べ、「核兵器保有国と交渉するなら、全てが議論の対象になるべきである。我々が保有するものすべてが議論のテーブル上にあるべきだ」と訴えた
●また同司令官は、条約を米露双方が順守しているかを堅守するため、両国の代表者が相手基地を訪問して条約履行状況を査察する様子を見てきたと述べ、
●私は我の能力を相手に見られても気にしない。相手が我が国の様子を見て何を感じようとも気にしない。また相手の能力を把握する我の能力に変化が無くても気にしない。奇襲やサプライズを防いでくれるなら、軍備管理は良いことなのだ、とその意義を訴えた
下院で過半数を確保した民主党に関し
●核兵器が全廃されるべきだと言うつもりはない。他国を抑止するために、米国は核兵器を自身で保有しなければならない、と語った
●そして新しい下院軍事委員長に民主党のスミス議員が就任したら、1年前に彼に話したことを繰り返し語るだろう。それは、現在世界にあるいかなる脅威にも対応するため、我々は戦力を保持する必要があると述べた
●そのためには核兵器の3本柱が必要で、核ミサイルを地上と空中と潜水艦から発射できる必要がある。さもなければ米国の対応能力を保証できない。そのために必要な投資を求めていると訴えた
●更に、核兵器の近代化の必要性を最初に認めたのは、民主党のオバマ大統領だと強調し、米国生存のために必要な措置だと表現した
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ロシアと対立しているだけでなく交渉の場も重要だ、INFやSTART条約を疎かにするのは愚策だ、予算を削減すると策なく強要するのは具策だと、トランプ大統領の政策に異を唱える軍人として精一杯の勇気ある発言でした。もしかしたら、もう退役時期が決まっているのかも・・・とふと思いました
残念ながら下院では、核態勢見直しNPRやそこで提起された低出力核兵器などの政策を「悪い核兵器政策」を批判が始まっているようです。
前出のスミス下院軍事委員会委員長や複数の有力民主党下院議員が、潜水艦発射型の「W76-2」核弾頭などに厳しい視線を向け、新たな軍備拡大競争に向かっていると批判しています
また「先制不使用法」や大統領の核兵器発射権限の法案導入を準備している議員もいるようで、「全力で戦う」と鼻息を荒くしているとも伝えられています。ねじれ議会は難しそうですね・・・
そして軍人には我慢の時代が訪れるわけです・・・
米国核兵器を巡る動向
「ついにINF条約破棄へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「サイバー時代の核管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「リーク版:核態勢見直しNPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1
新型パッシブレーダーが大注目で独軍が試験へ [安全保障全般]
是非F-22やF-35で試したみたいです・・・
13日付C4isrnet.comが、電子機器メーカ「Hensoldt」が開発して4月のベルリン航空ショーで初公開したステルス機も探知可能と噂されるパッシブ対空レーダーを取り上げ、ドイツ空軍が11月から国内4か所に展開してその性能を確認すると紹介しています
レーダー自らが電波を発せず、民間のラジオやTV電波が航空機に当たった反射波を利用して位置特定を行う仕組みで、軍事用で考えれば敵から探知されることがない利点があり、受信だけなので電波干渉の心配がないことから都市部にも展開可能等の利点があります
写真で見ると「安っぽい」「シンプル」な構造の簡単に車両で移動できそうなレーダーで、本当にカタログ通りの性能が出るか気になりますが、4月のベルリン航空ショーでは、2機の米空軍F-35が急きょデモ飛行を取りやめたとの噂もあり、世界の注目が集まっているところです
4月のベルリン航空ショーでの説明では
●半径250㎞以内を飛行する200機までの航空機を3次元で表示可能。2-3年前には考えられなかった新技術で、探知距離と精度を実現
●500フィートを飛行する小型セスナから、45000フィートを飛行する旅客機も探知可能
●このレーダーでも、対象航空機でもない第3者が発する21個までの周波数をパッシブで受信し、位置を特定する。反対に、ある程度の強度があるラジオやTV電波がない地域では使用できない
●21個周波数の内訳は、FMアナログラジオ発信局16個までと、DAB等のデジタルラジオとDVB-T等のデジタルテレビ局5個まで。
●周波数不足の時代に費用対効果の高く、発信がないので特別な申請がなくても使用可能で、特に都市部で有効。また山間部で有効な点が大きな特徴
●防空や大規模イベントの警備、更には航空交通管制にも全く新たな手段を提供
●レシーバーをネットワーク化する事で、軍用により広範なエリアをカバー可能
●4月時点で、2セットの同レーダーが欧州の潜在的顧客にデモ提供されている
13日付C4isrnet.com記事によれば
●ドイツ軍が数年前から「Hensoldt」と協力して開発してきた「TwInvis passive radar system」は、対象航空機もレーダ自体も電波を発射しないことから、"TwInvis" との名称がつけられている。"twin" + "invisible"の造語である
● ドイツ空軍は11月から、4台の同レーダーを南ドイツのミュンヘン周辺に3台と70㎞郊外に1台分散して配置し、連接して広範囲を監視する試験を行う。この配置により結果的に、北はフランフルトから、南はイタリア、オーストリア、チェコの一部を含む空域を同レーダーがカバーして試験が行われる
●「Hensoldt」社は同レーダーの更なる進歩で防空ミサイルを誘導可能な精度を獲得したと述べて自信を示している。4月の初公開以降、世界中からの問い合わせが殺到して複数のデモを実施している模様である
●ドイツ軍は同レーダーを、低高度のカバーや通常のレーダー電波を封止したい作戦時に活用するほか、「Hensoldt」とは同レーダー情報を航空機に提供することや、独海軍艦艇に活用することも検討している
●南米では、麻薬密輸組織が運用する航空機を探知する手段として注視されており、通常の監視レーダーを麻痺させて突破する能力を持つ密輸組織の航空機対策として期待されている
///////////////////////////////////////////////////////
これだけ広く一般に宣伝されているということは、ステルス機を探知するような技術ではない気もします(探知可能なら米国が黙っちゃいないと・・・)。
でもデータ処理技術がポイントだとすると、将来その原理を利用して・・・なんてことになるかもしれません。すべて素人の推測ですのでご勘弁を。
ラジオやTV電波が十分な強度で多数飛んでいることが条件ですから、日本海や東シナ海で使用するのは簡単ではないでしょうが・・・
対ステルス関連の記事
「中国の対ステルスレーダー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-24
「中国にステルス対処の受動レーダー出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルスVS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「バイスタティック無人機で対処」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-26
13日付C4isrnet.comが、電子機器メーカ「Hensoldt」が開発して4月のベルリン航空ショーで初公開したステルス機も探知可能と噂されるパッシブ対空レーダーを取り上げ、ドイツ空軍が11月から国内4か所に展開してその性能を確認すると紹介しています
レーダー自らが電波を発せず、民間のラジオやTV電波が航空機に当たった反射波を利用して位置特定を行う仕組みで、軍事用で考えれば敵から探知されることがない利点があり、受信だけなので電波干渉の心配がないことから都市部にも展開可能等の利点があります
写真で見ると「安っぽい」「シンプル」な構造の簡単に車両で移動できそうなレーダーで、本当にカタログ通りの性能が出るか気になりますが、4月のベルリン航空ショーでは、2機の米空軍F-35が急きょデモ飛行を取りやめたとの噂もあり、世界の注目が集まっているところです
4月のベルリン航空ショーでの説明では
●半径250㎞以内を飛行する200機までの航空機を3次元で表示可能。2-3年前には考えられなかった新技術で、探知距離と精度を実現
●500フィートを飛行する小型セスナから、45000フィートを飛行する旅客機も探知可能
●このレーダーでも、対象航空機でもない第3者が発する21個までの周波数をパッシブで受信し、位置を特定する。反対に、ある程度の強度があるラジオやTV電波がない地域では使用できない
●21個周波数の内訳は、FMアナログラジオ発信局16個までと、DAB等のデジタルラジオとDVB-T等のデジタルテレビ局5個まで。
●周波数不足の時代に費用対効果の高く、発信がないので特別な申請がなくても使用可能で、特に都市部で有効。また山間部で有効な点が大きな特徴
●防空や大規模イベントの警備、更には航空交通管制にも全く新たな手段を提供
●レシーバーをネットワーク化する事で、軍用により広範なエリアをカバー可能
●4月時点で、2セットの同レーダーが欧州の潜在的顧客にデモ提供されている
13日付C4isrnet.com記事によれば
●ドイツ軍が数年前から「Hensoldt」と協力して開発してきた「TwInvis passive radar system」は、対象航空機もレーダ自体も電波を発射しないことから、"TwInvis" との名称がつけられている。"twin" + "invisible"の造語である
● ドイツ空軍は11月から、4台の同レーダーを南ドイツのミュンヘン周辺に3台と70㎞郊外に1台分散して配置し、連接して広範囲を監視する試験を行う。この配置により結果的に、北はフランフルトから、南はイタリア、オーストリア、チェコの一部を含む空域を同レーダーがカバーして試験が行われる
●「Hensoldt」社は同レーダーの更なる進歩で防空ミサイルを誘導可能な精度を獲得したと述べて自信を示している。4月の初公開以降、世界中からの問い合わせが殺到して複数のデモを実施している模様である
●ドイツ軍は同レーダーを、低高度のカバーや通常のレーダー電波を封止したい作戦時に活用するほか、「Hensoldt」とは同レーダー情報を航空機に提供することや、独海軍艦艇に活用することも検討している
●南米では、麻薬密輸組織が運用する航空機を探知する手段として注視されており、通常の監視レーダーを麻痺させて突破する能力を持つ密輸組織の航空機対策として期待されている
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これだけ広く一般に宣伝されているということは、ステルス機を探知するような技術ではない気もします(探知可能なら米国が黙っちゃいないと・・・)。
でもデータ処理技術がポイントだとすると、将来その原理を利用して・・・なんてことになるかもしれません。すべて素人の推測ですのでご勘弁を。
ラジオやTV電波が十分な強度で多数飛んでいることが条件ですから、日本海や東シナ海で使用するのは簡単ではないでしょうが・・・
対ステルス関連の記事
「中国の対ステルスレーダー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-24
「中国にステルス対処の受動レーダー出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルスVS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「バイスタティック無人機で対処」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-26
米国防省が史上初の会計監査:当然不合格 [米国防省高官]
ちょっと信じられませんが、史上初らしいです
国防副長官「誰も合格するとは思っていなかったし、国防省が監査をやるとさえも思われていなかった」
15日、昨年12月から開始されていた米国防省始まって以来の会計監査の結果が公表され、21個の会計単位のうち、5個が優秀「fully passing」、2個が「OK」で、残り14個は不合格「failed」で、全体で不合格と明らかになりました
それでも国防省や議会関係者は、結果の中身よりも実施されたことが素晴らしいとの評価の様で、大らかなのか、いい加減なのかよくわからない世界です。
例えば国防副長官は「誰も合格するとは思っていなかったし、国防省が監査をやるとさえも本当に信じている人はいなかった」と自画自賛ムードで、国防省の監理監察官も「これは長期的に極めて重要な取り組みであり、これを支援していきたい」とコメントしています
また長らく監査を求めてきた議会の下院軍事委員長(今はまだ共和党議員)は、「予想した通り、監査は多くの問題点を洗い出した。しかし、この結果を見て予算を削減しようと考えてはいけない。ここ数年取り組んできた必要量や質とのギャップを埋め続けなくてはならない」と述べているところです
1150人の監査官(外部監査会社から1000名を派遣)が600以上の国防省・米軍施設を訪問し、4万文書と9万個の部品等をチェックした監査自体に450億円、判明した不備是正に600億円など、約1000億円が既に費やされ、良い点は、汚職や不正が見つからなかった、主要装備品の消失・不明がなかった、給料がきちんと支払われていたの3点だったという、やっぱり信じられないレベルの史上初の米国防省会計監査のさわりをご紹介します
15日付Defense-News記事によれば
●米国防省のDavid Norquist首席検査官は、在庫管理の面で多くの問題が発覚したが、より大きな問題はITシステムに関わることだと述べ、ITシステムのセキュリティ措置がなされていない事象が多く指摘されたと述べ、予想していたことだとも説明した
●またこれらの点は、契約業者にも広く見られ、問題の発見数は国防省内機関より契約業者に見つかった確率が高いと明らかにした
●ITシステムに関して言えば、業務が組織変更で分割されて放置、担当者が転出して放置、注意を要するユーザーの放置など、特別な権限を持つ人が、やるべき仕事をやっていない事象が多数見つかっている
●在庫管理に関して言えば、使用可能なものが使用不可とデータベース上で入力されていたり、使用不能な建物が使用可能と登録されていたケースが多かった。米空軍のヒル基地では、総額70億円のミサイルモーター71個が、新品にもかかわらず使用不能と登録されていたケースも見つかっている
●過去に監査をやってこなかったことから、多くの問題が現在その場所で働いている人に起因するものではなく、過去に起因するものであることが対応上のモチベーションの観点から悩ましい現実である
●現在現場で勤務する人たちには、監査結果を尊重し、改善の機会ととらえてやっていこうと訴えている。それが過去に起因するものであっても、改善が君たちの仕事なんだと・・・。
●Norquist首席検査官は、問題点が明らかになったということであり、次の年の監査ではこれらをフォローしていくことになると語り、約1000億円かけて実施した史上初の監査は、今後の改善で生まれる効率化や損失防止で穴埋めされるだろうと説明した
//////////////////////////////////////////////////////
何回も読み返して誤解していないか確認したのですが、史上初の会計検査らしいです。「The Pentagon’s first-ever audit discovered major flaws」との書き出しで記事が始まっていますから・・・
本当にこんなに大らかで、「結果は予期していた・・・」と堂々としていてよいのでしょうか?
在庫管理に予想通り多くの問題が見つかったが、「but the bigger issues are with IT security measures simply not being taken」なんてこのサイバー戦時代に言ってて大丈夫なんでしょうか???
まだまだ奥深い国です・・・アメリカは・・・
こちらは国の会計検査院関連
「GAOがF-22活用法を批判」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-2
「再びGAOがF-35に警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
「不透明な操縦者養成を批判」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-14
国防副長官「誰も合格するとは思っていなかったし、国防省が監査をやるとさえも思われていなかった」
15日、昨年12月から開始されていた米国防省始まって以来の会計監査の結果が公表され、21個の会計単位のうち、5個が優秀「fully passing」、2個が「OK」で、残り14個は不合格「failed」で、全体で不合格と明らかになりました
それでも国防省や議会関係者は、結果の中身よりも実施されたことが素晴らしいとの評価の様で、大らかなのか、いい加減なのかよくわからない世界です。
例えば国防副長官は「誰も合格するとは思っていなかったし、国防省が監査をやるとさえも本当に信じている人はいなかった」と自画自賛ムードで、国防省の監理監察官も「これは長期的に極めて重要な取り組みであり、これを支援していきたい」とコメントしています
また長らく監査を求めてきた議会の下院軍事委員長(今はまだ共和党議員)は、「予想した通り、監査は多くの問題点を洗い出した。しかし、この結果を見て予算を削減しようと考えてはいけない。ここ数年取り組んできた必要量や質とのギャップを埋め続けなくてはならない」と述べているところです
1150人の監査官(外部監査会社から1000名を派遣)が600以上の国防省・米軍施設を訪問し、4万文書と9万個の部品等をチェックした監査自体に450億円、判明した不備是正に600億円など、約1000億円が既に費やされ、良い点は、汚職や不正が見つからなかった、主要装備品の消失・不明がなかった、給料がきちんと支払われていたの3点だったという、やっぱり信じられないレベルの史上初の米国防省会計監査のさわりをご紹介します
15日付Defense-News記事によれば
●米国防省のDavid Norquist首席検査官は、在庫管理の面で多くの問題が発覚したが、より大きな問題はITシステムに関わることだと述べ、ITシステムのセキュリティ措置がなされていない事象が多く指摘されたと述べ、予想していたことだとも説明した
●またこれらの点は、契約業者にも広く見られ、問題の発見数は国防省内機関より契約業者に見つかった確率が高いと明らかにした
●ITシステムに関して言えば、業務が組織変更で分割されて放置、担当者が転出して放置、注意を要するユーザーの放置など、特別な権限を持つ人が、やるべき仕事をやっていない事象が多数見つかっている
●在庫管理に関して言えば、使用可能なものが使用不可とデータベース上で入力されていたり、使用不能な建物が使用可能と登録されていたケースが多かった。米空軍のヒル基地では、総額70億円のミサイルモーター71個が、新品にもかかわらず使用不能と登録されていたケースも見つかっている
●過去に監査をやってこなかったことから、多くの問題が現在その場所で働いている人に起因するものではなく、過去に起因するものであることが対応上のモチベーションの観点から悩ましい現実である
●現在現場で勤務する人たちには、監査結果を尊重し、改善の機会ととらえてやっていこうと訴えている。それが過去に起因するものであっても、改善が君たちの仕事なんだと・・・。
●Norquist首席検査官は、問題点が明らかになったということであり、次の年の監査ではこれらをフォローしていくことになると語り、約1000億円かけて実施した史上初の監査は、今後の改善で生まれる効率化や損失防止で穴埋めされるだろうと説明した
//////////////////////////////////////////////////////
何回も読み返して誤解していないか確認したのですが、史上初の会計検査らしいです。「The Pentagon’s first-ever audit discovered major flaws」との書き出しで記事が始まっていますから・・・
本当にこんなに大らかで、「結果は予期していた・・・」と堂々としていてよいのでしょうか?
在庫管理に予想通り多くの問題が見つかったが、「but the bigger issues are with IT security measures simply not being taken」なんてこのサイバー戦時代に言ってて大丈夫なんでしょうか???
まだまだ奥深い国です・・・アメリカは・・・
こちらは国の会計検査院関連
「GAOがF-22活用法を批判」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-2
「再びGAOがF-35に警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
「不透明な操縦者養成を批判」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-14
米空軍が早くも386個飛行隊への大増強諦め [米空軍]
この時期に米軍幹部であることにお悔やみ申し上げます・・
14日、米空軍副参謀総長のStephen Wilson大将が、米空軍協会主催の朝食会で講演し、空軍長官が9月中旬にぶち上げたばかりの総飛行隊数を25%増やす(386個飛行隊にする)目標をトーンダウンさせ、「必ずしも綿密な分析によるものではない」、「変更がありうる数字だ」、「議会からどのくらい戦力が必要か問われたから」と言い訳しつつ、386個飛行隊との数字を「確固としたものではない」と語りました
Wilson大将を責めるつもりは毛頭ありませんが、空軍長官が9月中旬にぶち上げた後、10月9日にはマティス国防長官が「2019年9月末までに、F-16とF-22とF-35の稼働率を8割にせよ」と指示し、稼働率の低い古い機体を捨てる案が語られるに至り、空軍長官の提案は宙に浮きました
更に10月16日、今度はトランプ大統領が次年度予算を予定より5%カットする(追加で今後5年間はカットしたレベルで維持だとも判明)と命じ、米政府内の意思疎通や事前調整が全くないことが白日の下にさらされ、更に言えば国家安全保障戦略NSSや国家防衛戦略NDSで中露の脅威への対応をぶち上げたはずなのに、早くも大きな国家戦略を放棄したような様相を呈しています
懸命に弁明する空軍副参謀総長は
●空軍長官が9月中旬に表明した「The Force We Need」との386個飛行隊体制を求める報告は、議会からも求められてNDSを満たすための必要戦力をはじき出したものであり、必ずしも詳細な分析に基づくものではない
●また、「The Force We Need」が新たな作戦コンセプトを語るものではない。現状の戦力と国家戦略が想定する事態に必要な戦力差をざっくり見積もったものである
●米空軍は新たな作戦コンセプト作りに取り組んでおり、この結果次第では386個にも影響を与える。(記事内の解説→戦闘機飛行隊数だけを取り上げても、現状55飛行隊が、少し前は70個目標であったが、9月には62個に引き下げられており、1年余りの間に大きな揺れが見られる)
●我々は常に継続的にすべてのプラットフォームと兵器に関する見直しを行うのだ。386個は現状ではベストな数字だが、これは5年以内に実現するようなものではない。絶えず見直しを行う性格のものである
●マティス国防長官から求められている2019年度末(2019年9月末)までに、F-16とF-22とF-35の稼働率を8割にする指示に関しては、整備員不足を埋める努力を行い、予算配分も検討している。資源のシフトを検討しているのだ
●米空軍は議会によって許されることになった調達の柔軟性を十分に活用し、調達の迅速化に取り組み、鈍重で官僚的で問題の多い規則に縛られたリスク回避の現状改善に挑んでいる
//////////////////////////////////////////////////
世の中では「ペンス副大統領演説」が新冷戦の幕開けだ・・・と言われていますが、なんの予算的裏付けもない空虚な演説となる気がしていますし、間もなく米中間で「ディール」が行われるような雰囲気が漂っています
苦しい弁明を迫られている米空軍副参謀総長Stephen Wilson大将の立場に思いを致し、混乱を極めている米国防政策と米軍予算の状況のご紹介を試みました
ドタバタ国防政策の典型例
「空軍長官386個飛行隊ぶち上げ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19-1
「国防長官主要戦闘機に8割稼働率指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「国防副長官がカットは今後5年と」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
14日、米空軍副参謀総長のStephen Wilson大将が、米空軍協会主催の朝食会で講演し、空軍長官が9月中旬にぶち上げたばかりの総飛行隊数を25%増やす(386個飛行隊にする)目標をトーンダウンさせ、「必ずしも綿密な分析によるものではない」、「変更がありうる数字だ」、「議会からどのくらい戦力が必要か問われたから」と言い訳しつつ、386個飛行隊との数字を「確固としたものではない」と語りました
Wilson大将を責めるつもりは毛頭ありませんが、空軍長官が9月中旬にぶち上げた後、10月9日にはマティス国防長官が「2019年9月末までに、F-16とF-22とF-35の稼働率を8割にせよ」と指示し、稼働率の低い古い機体を捨てる案が語られるに至り、空軍長官の提案は宙に浮きました
更に10月16日、今度はトランプ大統領が次年度予算を予定より5%カットする(追加で今後5年間はカットしたレベルで維持だとも判明)と命じ、米政府内の意思疎通や事前調整が全くないことが白日の下にさらされ、更に言えば国家安全保障戦略NSSや国家防衛戦略NDSで中露の脅威への対応をぶち上げたはずなのに、早くも大きな国家戦略を放棄したような様相を呈しています
懸命に弁明する空軍副参謀総長は
●空軍長官が9月中旬に表明した「The Force We Need」との386個飛行隊体制を求める報告は、議会からも求められてNDSを満たすための必要戦力をはじき出したものであり、必ずしも詳細な分析に基づくものではない
●また、「The Force We Need」が新たな作戦コンセプトを語るものではない。現状の戦力と国家戦略が想定する事態に必要な戦力差をざっくり見積もったものである
●米空軍は新たな作戦コンセプト作りに取り組んでおり、この結果次第では386個にも影響を与える。(記事内の解説→戦闘機飛行隊数だけを取り上げても、現状55飛行隊が、少し前は70個目標であったが、9月には62個に引き下げられており、1年余りの間に大きな揺れが見られる)
●我々は常に継続的にすべてのプラットフォームと兵器に関する見直しを行うのだ。386個は現状ではベストな数字だが、これは5年以内に実現するようなものではない。絶えず見直しを行う性格のものである
●マティス国防長官から求められている2019年度末(2019年9月末)までに、F-16とF-22とF-35の稼働率を8割にする指示に関しては、整備員不足を埋める努力を行い、予算配分も検討している。資源のシフトを検討しているのだ
●米空軍は議会によって許されることになった調達の柔軟性を十分に活用し、調達の迅速化に取り組み、鈍重で官僚的で問題の多い規則に縛られたリスク回避の現状改善に挑んでいる
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世の中では「ペンス副大統領演説」が新冷戦の幕開けだ・・・と言われていますが、なんの予算的裏付けもない空虚な演説となる気がしていますし、間もなく米中間で「ディール」が行われるような雰囲気が漂っています
苦しい弁明を迫られている米空軍副参謀総長Stephen Wilson大将の立場に思いを致し、混乱を極めている米国防政策と米軍予算の状況のご紹介を試みました
ドタバタ国防政策の典型例
「空軍長官386個飛行隊ぶち上げ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19-1
「国防長官主要戦闘機に8割稼働率指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「国防副長官がカットは今後5年と」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
米空軍3回目のハッカーによる脆弱性探査 [米空軍]
2016年4月に当時のカーター国防長官の肝いりで始まったホワイトハッカーを活用したITシステムの脆弱性探しイベントですが、これが各軍種にも広がり、7日から始まった米空軍による3回目の「Hack the Air Force 3.0」は、191か国から参加者を募るこれまで最大の規模になるようです
これまでのイベントを振り返ると
●国防省の「Hack the Pentagon」
---2016年4月 約1か月間 250名が参加し130のバグ発見(費用1700万円)
---2017年2月 約1か月間 精鋭80名が参加 3年契約で4.3億円
初めは公開ネットワークが対象だったが、少しづつ国防省内ネットワークにも対象拡大
●米空軍の「Hack the Air Force」
---2017年8月 米英加豪NZのみから募集
---2017年12月 米英加豪NZに加え、NATO諸国とスウェーデン
---2018年11月 191か国に募集拡大
7日付米空軍協会web記事によれば
●7日に始まった「Hack the Air Force 3.0」は11日まで実施され、191か国から参加者を募る国防省史上で最大規模の取り組みとなる
●今回のハッキングの対象となるのは、国防省から米空軍に提供されたソフト(vulnerabilities with Defense Department applications that have been recently migrated to a USAF-owned cloud)で、発見された「バグ」の重大性に応じて報奨金がハッカーに支払われる
●昨年行われた同イベントでは、合計約1100万円の報奨金が支払われ、報奨金1件当たりの最高額は約140万円であった。この額は国防省内で行われたすべての同種イベントの中で最高額である
●米空軍のCIOで同イベントを監督するWanda Jones-Heath女史は、「このイベントは、米空軍ネットワークに内在する重大な脆弱性を改善しようとする意志を示すものである」と表現している
●米空軍は、国防省レベルの「Hack the Pentagon」を運営する「HackerOne」との企業と連携している
///////////////////////////////////////////////////////
参加者の募集や選定、ホワイトハッカーによる悪意あるハッキングの防止、ハッキング対象システムの選定など、イベントの運営には技術的にややこしいコツやノウハウが必要な気がしますが、もう一つ重要なのは、発見された脆弱性を直ちに修復することだそうです
そのために米空軍は特別修復チームを待機させ、イベント終了までにすべての脆弱性への対処を終了していることをめざしとの事。サイバーの世界はスピード勝負らしいです
日本でもなんとかならないでしょうか・・・これ。
民間ハッカーにチェックを依頼
「第2回米空軍をハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「発展版Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「第1弾Hack the ・・成果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1
「米サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「サイバー軍司令官が課題を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー人材の苦悩:米海兵隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
これまでのイベントを振り返ると
●国防省の「Hack the Pentagon」
---2016年4月 約1か月間 250名が参加し130のバグ発見(費用1700万円)
---2017年2月 約1か月間 精鋭80名が参加 3年契約で4.3億円
初めは公開ネットワークが対象だったが、少しづつ国防省内ネットワークにも対象拡大
●米空軍の「Hack the Air Force」
---2017年8月 米英加豪NZのみから募集
---2017年12月 米英加豪NZに加え、NATO諸国とスウェーデン
---2018年11月 191か国に募集拡大
7日付米空軍協会web記事によれば
●7日に始まった「Hack the Air Force 3.0」は11日まで実施され、191か国から参加者を募る国防省史上で最大規模の取り組みとなる
●今回のハッキングの対象となるのは、国防省から米空軍に提供されたソフト(vulnerabilities with Defense Department applications that have been recently migrated to a USAF-owned cloud)で、発見された「バグ」の重大性に応じて報奨金がハッカーに支払われる
●昨年行われた同イベントでは、合計約1100万円の報奨金が支払われ、報奨金1件当たりの最高額は約140万円であった。この額は国防省内で行われたすべての同種イベントの中で最高額である
●米空軍のCIOで同イベントを監督するWanda Jones-Heath女史は、「このイベントは、米空軍ネットワークに内在する重大な脆弱性を改善しようとする意志を示すものである」と表現している
●米空軍は、国防省レベルの「Hack the Pentagon」を運営する「HackerOne」との企業と連携している
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参加者の募集や選定、ホワイトハッカーによる悪意あるハッキングの防止、ハッキング対象システムの選定など、イベントの運営には技術的にややこしいコツやノウハウが必要な気がしますが、もう一つ重要なのは、発見された脆弱性を直ちに修復することだそうです
そのために米空軍は特別修復チームを待機させ、イベント終了までにすべての脆弱性への対処を終了していることをめざしとの事。サイバーの世界はスピード勝負らしいです
日本でもなんとかならないでしょうか・・・これ。
民間ハッカーにチェックを依頼
「第2回米空軍をハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「発展版Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「第1弾Hack the ・・成果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1
「米サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「サイバー軍司令官が課題を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー人材の苦悩:米海兵隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
輸送コマンドの優先事項に核戦力空輸が [米空軍]
空輸任務部隊の2番目の優先事項とは
5日頃、就任して間もない米空軍輸送コマンドの女性司令官Maryanne Miller大将が、空輸給油機協会のシンポジウムで講演し、司令官として重視する6つの優先事項(six priorities)を示しました。
即応態勢維持や中露との戦いを想定した「contested environments」への対応など、司令官として当然と考えられる事項が並ぶ中、まんぐーすが注目したのが「Sustaining an effective nuclear response」 とのタイトルの項目で、更にこの項目が6つの中の2番目に位置づけられたことにも驚かされました。
これまで、長々とダラダラと「東京の郊外より・・・」を続け、米空軍輸送コマンドについても何度も取り上げ、核戦力維持や運用部隊の問題についても触れてきたつもりですが、空輸部隊と核戦力の関係について考えたこともありませんでした
核兵器だってモノですから、爆撃機やミサイルに搭載され移動するだけでなく、空輸部隊が運搬することも当然あるはずですが、核を持たざる国で生まれ育ち、核戦力を保有して運用やその維持を考えた事もない人間の哀しさで、まんぐーすはそんな当然のことも考えたこともありませんでした。
Maryanne Miller司令官は当然のことながら、「Sustaining an effective nuclear response」を詳しく説明したわけではなく、持たざる国の傍観者にはその中身を知る由もないのですが、とりあえず6つの優先事項をご紹介し、想像をたくましくしていただきましょう
7日付米空軍協会web記事によれば
●5日、米空軍輸送コマンドは、Maryanne Miller司令官が空輸給油機協会のシンポジウムで講演して明らかにした、司令官として重視する6つの優先事項(six priorities)を整理して公表した
●「米空軍と戦闘コマンドのパワープロジェクションを支援し、輸送力を担う組織をRapid Global Mobility能力の進展にむけ刷新する」との指針の元、以下の6つを優先事項として掲げている
●1. Readiness
---大国間の競争時代に入った今、この争いで競い、抑止し、勝利することに備えるため、組織活動全般の即応体制維持を第一優先とする。
●2. "Sustaining an effective nuclear response"
---想定される対峙国を抑止し、同盟国等に抑止力を確信させるためには、米空軍輸送コマンドの「aerial refueling and nuclear airlift」任務を着実に遂行し、有効な核対応力を維持する必要がある。
●3. Mobility operations in contested environments
---将来の戦いにおける基準となるのが「厳しい環境下における輸送任務遂行」である。輸送コマンドの生存性向上が不可欠。宇宙やサイバー空間をはじめとする競争激化により、特に指揮統制の近代化が急務である
●4. Force development
---所属する兵士が最大の資源であり、その才能を最大化して組織力に生かす手法を編み出さねばならない
●5. "Modernization and recapitalization efforts"
---統合戦力の破壊力と優越を維持するため、能力のアップグレードを適時進める。KC-46空中給油機導入が好例で、老朽化が進む給油機部隊をよみがえらせる
●6. Innovation
---バージングループ創設者のRichard Branson氏を迎え、イノベーショのアイディアを競う「Phoenix Spark Tank competition」 を行い、コマンド内の革新的提案活動を活性化させたい。最終選考に残った提案については必ず実行に移すことを約束する
///////////////////////////////////////////////////////////
なぜ、2番目と5番目だけに「” ”」が付いているのかは不明です
核兵器が米ソ間で開発保有され始めた時代、当時フランス大統領であったドゴールが言いました。「核兵器の時代を迎えた今、もしこれを保有しなければ、我々は軍事に関し無知になる」と喝破し、核武装の道へ迷いなく進み始めました。
日本は核兵器を保有しない道を選択しているのですから、「軍事の無知」にならないようにしっかり核兵器を勉強しなければならないのですが、それが容易ではない単純な事実を改めて思い知らされたということをご報告させて頂きます。
9月4日に就任されたばかりのMiller司令官のご経歴などについては、関連記事の一番上の記事をご覧ください
米軍輸送関連の記事
「輸送コマンドに女性司令官誕生」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-12
「宇宙に物資の事前集積案」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-05
「禁じ手:幕僚無し操縦者募集へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28-1
「民間輸送力依存に危機感」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-03
「給油機後継プラン見直し」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「今後20年の操縦者不足は深刻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
5日頃、就任して間もない米空軍輸送コマンドの女性司令官Maryanne Miller大将が、空輸給油機協会のシンポジウムで講演し、司令官として重視する6つの優先事項(six priorities)を示しました。
即応態勢維持や中露との戦いを想定した「contested environments」への対応など、司令官として当然と考えられる事項が並ぶ中、まんぐーすが注目したのが「Sustaining an effective nuclear response」 とのタイトルの項目で、更にこの項目が6つの中の2番目に位置づけられたことにも驚かされました。
これまで、長々とダラダラと「東京の郊外より・・・」を続け、米空軍輸送コマンドについても何度も取り上げ、核戦力維持や運用部隊の問題についても触れてきたつもりですが、空輸部隊と核戦力の関係について考えたこともありませんでした
核兵器だってモノですから、爆撃機やミサイルに搭載され移動するだけでなく、空輸部隊が運搬することも当然あるはずですが、核を持たざる国で生まれ育ち、核戦力を保有して運用やその維持を考えた事もない人間の哀しさで、まんぐーすはそんな当然のことも考えたこともありませんでした。
Maryanne Miller司令官は当然のことながら、「Sustaining an effective nuclear response」を詳しく説明したわけではなく、持たざる国の傍観者にはその中身を知る由もないのですが、とりあえず6つの優先事項をご紹介し、想像をたくましくしていただきましょう
7日付米空軍協会web記事によれば
●5日、米空軍輸送コマンドは、Maryanne Miller司令官が空輸給油機協会のシンポジウムで講演して明らかにした、司令官として重視する6つの優先事項(six priorities)を整理して公表した
●「米空軍と戦闘コマンドのパワープロジェクションを支援し、輸送力を担う組織をRapid Global Mobility能力の進展にむけ刷新する」との指針の元、以下の6つを優先事項として掲げている
●1. Readiness
---大国間の競争時代に入った今、この争いで競い、抑止し、勝利することに備えるため、組織活動全般の即応体制維持を第一優先とする。
●2. "Sustaining an effective nuclear response"
---想定される対峙国を抑止し、同盟国等に抑止力を確信させるためには、米空軍輸送コマンドの「aerial refueling and nuclear airlift」任務を着実に遂行し、有効な核対応力を維持する必要がある。
●3. Mobility operations in contested environments
---将来の戦いにおける基準となるのが「厳しい環境下における輸送任務遂行」である。輸送コマンドの生存性向上が不可欠。宇宙やサイバー空間をはじめとする競争激化により、特に指揮統制の近代化が急務である
●4. Force development
---所属する兵士が最大の資源であり、その才能を最大化して組織力に生かす手法を編み出さねばならない
●5. "Modernization and recapitalization efforts"
---統合戦力の破壊力と優越を維持するため、能力のアップグレードを適時進める。KC-46空中給油機導入が好例で、老朽化が進む給油機部隊をよみがえらせる
●6. Innovation
---バージングループ創設者のRichard Branson氏を迎え、イノベーショのアイディアを競う「Phoenix Spark Tank competition」 を行い、コマンド内の革新的提案活動を活性化させたい。最終選考に残った提案については必ず実行に移すことを約束する
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なぜ、2番目と5番目だけに「” ”」が付いているのかは不明です
核兵器が米ソ間で開発保有され始めた時代、当時フランス大統領であったドゴールが言いました。「核兵器の時代を迎えた今、もしこれを保有しなければ、我々は軍事に関し無知になる」と喝破し、核武装の道へ迷いなく進み始めました。
日本は核兵器を保有しない道を選択しているのですから、「軍事の無知」にならないようにしっかり核兵器を勉強しなければならないのですが、それが容易ではない単純な事実を改めて思い知らされたということをご報告させて頂きます。
9月4日に就任されたばかりのMiller司令官のご経歴などについては、関連記事の一番上の記事をご覧ください
米軍輸送関連の記事
「輸送コマンドに女性司令官誕生」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-12
「宇宙に物資の事前集積案」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-05
「禁じ手:幕僚無し操縦者募集へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28-1
「民間輸送力依存に危機感」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-03
「給油機後継プラン見直し」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「今後20年の操縦者不足は深刻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
イタリア新政権がF-35調達ペースダウンへ [亡国のF-35]
ペナルティーや便宜供与削減が怖くて機数削減できず
選挙前は導入中止まで訴えていたが・・・
今年3月の総選挙で政権交代が起き、F-35が大嫌いな大衆迎合型で国内産業保護重視の2政党による連立政権が6月に誕生したイタリアで、新政権がF-35導入ペースをダウンする方向を明らかにしました。
イタリアは、通常型F-35Aを60機、垂直離着陸型のF-35Bを30機の計90機を購入する計画の元、今後5年間は毎年10機ペースで導入する予定でしたが、イタリア連立政権はこれを年5-6機ペースに今後5年間はペースダウンすることで米側と調整を開始したようです
イタリアでは、導入を決定した前政権の時からF-35への疑問が広まり、総選挙前にイタリア工業会の会長が、F-35部品の製造割り当てがイタリア企業に少ない決着となったことを取り上げ、「米国とロッキードに騙された」と声明を出すなど、正直な感情が噴出状態にありました
9日付Defense-News記事によれば
●イタリアの連立政権を組む2党「Five Star Movement」と「League party」は、課税削減と社会福祉予算を確保するため、今後5年間について、F-35調達ペースをダウンすると明らかにした
●しかし、調達早期数を削減した場合に課せられる罰金や便宜供与削減を避けるためか、トータルの調達機数削減については言及せず、5年後以降に判断を先延ばしする姿勢を示した
●イタリアのElisabetta Trenta国防相は、Defense-Newsに対し「イタリアには欧州諸国と約束した他の支出項目があり、負担を軽くするためにF-35調達ペースを削減することにした。罰則がある機数削減ではなく、細く長くするのだ」と語った
●イタリアは現時点で、10機のF-35Aと1機のF-35Bを受領済で、 各2機と1機の機体は米国内の基地に配備して操縦者養成用に使用されている
●イタリアの新しい連立政権はF-35以外でも、米海軍が中心となって推進している全世界をカバーする音声&データ通信網MUOS(Mobile User Objective System)の基地局を、シシリア島に建設する計画にも住民からの健康影響を懸念する声を受けて難色を示している
////////////////////////////////////////////////////////
予定調達数を削減せず、調達ペースを遅らせる手法は、導入決定を遅らせて時間を稼ごうとしているカナダと似たところがあり、大いに参考にしたいところではありますが、ごり押しトランプ商法の前に、財政危機のイタリアがどれだけ耐えられるか「お手並み拝見」したいところです
「since we have other spending commitments in Europe」との言い訳は、ロシアの脅威に対峙する欧州諸国の対米言い訳の常とう手段として使用可能なのか不明ですが、なかなか考えたセリフかもしれません。
イタリアの以前の国防相には、美魔女風の方もいらっしゃいましたが、Elisabetta Trenta大臣はなかなかタフな印象ですねぇ・・・
イタリア関連の記事
「イタリアに反F-35政権誕生」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「イタリア工業会は米に騙された」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-11
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
カナダ首相がF-35と戦う
「やり直し機種選定開始」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
選挙前は導入中止まで訴えていたが・・・
今年3月の総選挙で政権交代が起き、F-35が大嫌いな大衆迎合型で国内産業保護重視の2政党による連立政権が6月に誕生したイタリアで、新政権がF-35導入ペースをダウンする方向を明らかにしました。
イタリアは、通常型F-35Aを60機、垂直離着陸型のF-35Bを30機の計90機を購入する計画の元、今後5年間は毎年10機ペースで導入する予定でしたが、イタリア連立政権はこれを年5-6機ペースに今後5年間はペースダウンすることで米側と調整を開始したようです
イタリアでは、導入を決定した前政権の時からF-35への疑問が広まり、総選挙前にイタリア工業会の会長が、F-35部品の製造割り当てがイタリア企業に少ない決着となったことを取り上げ、「米国とロッキードに騙された」と声明を出すなど、正直な感情が噴出状態にありました
9日付Defense-News記事によれば
●イタリアの連立政権を組む2党「Five Star Movement」と「League party」は、課税削減と社会福祉予算を確保するため、今後5年間について、F-35調達ペースをダウンすると明らかにした
●しかし、調達早期数を削減した場合に課せられる罰金や便宜供与削減を避けるためか、トータルの調達機数削減については言及せず、5年後以降に判断を先延ばしする姿勢を示した
●イタリアのElisabetta Trenta国防相は、Defense-Newsに対し「イタリアには欧州諸国と約束した他の支出項目があり、負担を軽くするためにF-35調達ペースを削減することにした。罰則がある機数削減ではなく、細く長くするのだ」と語った
●イタリアは現時点で、10機のF-35Aと1機のF-35Bを受領済で、 各2機と1機の機体は米国内の基地に配備して操縦者養成用に使用されている
●イタリアの新しい連立政権はF-35以外でも、米海軍が中心となって推進している全世界をカバーする音声&データ通信網MUOS(Mobile User Objective System)の基地局を、シシリア島に建設する計画にも住民からの健康影響を懸念する声を受けて難色を示している
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予定調達数を削減せず、調達ペースを遅らせる手法は、導入決定を遅らせて時間を稼ごうとしているカナダと似たところがあり、大いに参考にしたいところではありますが、ごり押しトランプ商法の前に、財政危機のイタリアがどれだけ耐えられるか「お手並み拝見」したいところです
「since we have other spending commitments in Europe」との言い訳は、ロシアの脅威に対峙する欧州諸国の対米言い訳の常とう手段として使用可能なのか不明ですが、なかなか考えたセリフかもしれません。
イタリアの以前の国防相には、美魔女風の方もいらっしゃいましたが、Elisabetta Trenta大臣はなかなかタフな印象ですねぇ・・・
イタリア関連の記事
「イタリアに反F-35政権誕生」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「イタリア工業会は米に騙された」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-11
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
カナダ首相がF-35と戦う
「やり直し機種選定開始」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
折も折、米国が新たな武器輸出促進策発表 [安全保障全般]
来年度予算5%カットで軍需産業からブーイングの中
ならば外国へ売り込めと、輸出促進策を続々と
8日、米国務省が7月に方向性を明らかにしていた新たな通常兵器輸出政策の具体策の概要を公表し、輸出制限リスト対象品の削減、担当職員の増員や輸出促進ファイナンス策の創設などが盛り込まれた模様です
武器輸出の促進はトランプ政権誕生以前からの流れですが、トランプ大統領就任後さらに加速し、更に先日の大統領からの「2020年度予算案は今年度予算から5%カットで持ってこい」、「国防省は733ビリオンのつもりだったろうが、700ビリオンで持ってこい」指示で、軍需産業から反発や悲鳴の声が巻き上がっている中での輸出促進策であることに注目です
そんなちまちました政策だけでなく、強烈な「米国製の武器を買え」(例えば日本には、オスプレイやグローバルホークやイージスアショアだけじゃ済まないぞ!)外圧が本丸の輸出促進策だと思うのですが、事実は事実として、ご紹介しておきます
8日付Defense-News記事によれば
●トランプ政権の指示を受け、7月に米国務省が方向性を明らかにしていた「CAT: new Conventional Arms Transfer policy」の具体策について、8日、国務省が概要ペーパーを明らかにした
●7月の段階では、具体性に欠けると軍需産業界などから批判を浴びたこともあり、国務省関係者は「かねてから一般国民や軍需産業界の皆さんに具体案を示し、ご意見をいただきたいと考えていた」と国務省高官はコメントしている
●国務省高官は新たなCATの主要ポイントについて以下のように説明した。
●まず最初に、国際武器輸出に関する国内規定であるITAR(International Traffic in Arms Regulations)に規程されている輸出管理が厳しい品目リストを削減し、商務省が管轄する迅速な手続き可能な品目リストを増やすことである
●また国務省は、鈍重さが軍需産業や輸出先からたびたび指摘されてきた輸出手続き処理にあたる人員の増員を実施する。国務省の「Bureau of Political-Military Affairs」部署に20数名の増員を行う計画を、5か月前から段階的に実施している
●更に国務省は武器輸出を促進するため、「creativeな financing options」を検討する。(これが軍需産業に対して宣伝費等を提供することを意味するのか、諸外国の米国製兵器購入経費を融資することなのかは不明)
●これらとは別に、国務省では、国家安全保障戦略NSSに基づき、より特定の能力を、より特定の国に選択して輸出を促進する方向も検討されている。このために国務省と国防省が連携を密にし、特に焦点を当てるべき国を選定し、特別な手続きの流れ等で、優先的に必要な能力を提供することも考えられている
//////////////////////////////////////////////
国務省や国防省が協力して見極める特別な配慮が必要な国や地域とは、もちろんロシア脅威におびえる東欧諸国や、イランの脅威が迫る中東同盟国もありましょうが、中国正面の日本がリストから漏れることは無いでしょう
そして特別な手法とは、単純な外圧ではないでしょうか?
オスプレイやグローバルホークの「二の舞」にならないことを、心から祈念する次第です。
武器輸出関連の記事
「今年前半で昨年の兵器輸出額越え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
来年度予算カット宣言
「トランプが次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「国防副長官も認める」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
ならば外国へ売り込めと、輸出促進策を続々と
8日、米国務省が7月に方向性を明らかにしていた新たな通常兵器輸出政策の具体策の概要を公表し、輸出制限リスト対象品の削減、担当職員の増員や輸出促進ファイナンス策の創設などが盛り込まれた模様です
武器輸出の促進はトランプ政権誕生以前からの流れですが、トランプ大統領就任後さらに加速し、更に先日の大統領からの「2020年度予算案は今年度予算から5%カットで持ってこい」、「国防省は733ビリオンのつもりだったろうが、700ビリオンで持ってこい」指示で、軍需産業から反発や悲鳴の声が巻き上がっている中での輸出促進策であることに注目です
そんなちまちました政策だけでなく、強烈な「米国製の武器を買え」(例えば日本には、オスプレイやグローバルホークやイージスアショアだけじゃ済まないぞ!)外圧が本丸の輸出促進策だと思うのですが、事実は事実として、ご紹介しておきます
8日付Defense-News記事によれば
●トランプ政権の指示を受け、7月に米国務省が方向性を明らかにしていた「CAT: new Conventional Arms Transfer policy」の具体策について、8日、国務省が概要ペーパーを明らかにした
●7月の段階では、具体性に欠けると軍需産業界などから批判を浴びたこともあり、国務省関係者は「かねてから一般国民や軍需産業界の皆さんに具体案を示し、ご意見をいただきたいと考えていた」と国務省高官はコメントしている
●国務省高官は新たなCATの主要ポイントについて以下のように説明した。
●まず最初に、国際武器輸出に関する国内規定であるITAR(International Traffic in Arms Regulations)に規程されている輸出管理が厳しい品目リストを削減し、商務省が管轄する迅速な手続き可能な品目リストを増やすことである
●また国務省は、鈍重さが軍需産業や輸出先からたびたび指摘されてきた輸出手続き処理にあたる人員の増員を実施する。国務省の「Bureau of Political-Military Affairs」部署に20数名の増員を行う計画を、5か月前から段階的に実施している
●更に国務省は武器輸出を促進するため、「creativeな financing options」を検討する。(これが軍需産業に対して宣伝費等を提供することを意味するのか、諸外国の米国製兵器購入経費を融資することなのかは不明)
●これらとは別に、国務省では、国家安全保障戦略NSSに基づき、より特定の能力を、より特定の国に選択して輸出を促進する方向も検討されている。このために国務省と国防省が連携を密にし、特に焦点を当てるべき国を選定し、特別な手続きの流れ等で、優先的に必要な能力を提供することも考えられている
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国務省や国防省が協力して見極める特別な配慮が必要な国や地域とは、もちろんロシア脅威におびえる東欧諸国や、イランの脅威が迫る中東同盟国もありましょうが、中国正面の日本がリストから漏れることは無いでしょう
そして特別な手法とは、単純な外圧ではないでしょうか?
オスプレイやグローバルホークの「二の舞」にならないことを、心から祈念する次第です。
武器輸出関連の記事
「今年前半で昨年の兵器輸出額越え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
来年度予算カット宣言
「トランプが次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「国防副長官も認める」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
中国航空ショーでのJ-20を評価する [中国要人・軍事]
6日から開催された「Zhuhai air show:第13回中国国際航空宇宙博覧会」で、中国空軍の戦闘機が相次いてデモ飛行を行い、その様子をスラストベクター付きの中国国産エンジンや機体のステルス処理と絡めて7日付Defense-Newsが取り上げていますので、マニアの皆様向けには情報不足ですがご紹介いたします。
記事が取り上げているのは、中国初のステルス戦闘機?と言われる「J-20」と、イスラエルのラビ戦闘機の技術者を招いて中国国産機として開発したといわれる「J-10」戦闘機が、スラストベクター付き国産エンジンWS-10B3を初めてのテスト搭載した飛行で、J-20にこの国産エンジンが搭載される可能性を記事が探っています。
読者の皆さんであれば既にお感じでしょうが、米国の次世代制空機PCA検討では、制空機の脅威であるAAMやSAM能力が飛躍的に高まり、多少制空機側の機動性や旋回性能が高まっても脅威から逃れられない・・・との見積もりもあるようですから、何のための「スラストベクターか?」との根本的な疑問がありますが、中国軍需産業の状況を見る機会ですので取り上げます
7日付Defense-News記事によれば
●6日から11日まで広東省珠海で開催された同航空宇宙ショーで、J-10Bがスラストベクター付きの国産エンジンWS-10B3を搭載してデモ飛行を行い、その優れた機動性や低速での着陸を披露した
●特別なエンジンを搭載したこの機体が確認されたのは、今年初めにCAC工場で目撃されて以来である
●英国の専門家は、同エンジンを搭載したJ-10Bの機動性は、明らかに空力特性から得られるもの以上を示していた、と所見を述べている
●一方で同専門家は、大部分の西側空軍は既に、最新の格闘戦用のミサイルの機動性進歩を見据え、エンジンにスラストベクター機能を付加することによる重量増、機構の複雑化(整備性低下)、コストアップ等を総合的に勘案し、スラストベクター開発を終了していると付け加えた
●しかしながら中国では、J-20前方にあるカナード翼を補うため、スラストベクター付きエンジンを搭載するオプションがあるともいわれている。またカナード翼がJ-20にとって重要な前方からのステルス性を阻害するため、カナード翼を取り除くためにスラストベクターエンジンが必要だとの見方もある
●また同専門家は、現在のJ-20のエンジン(ロシア製AL-31)より、WS-10B3の方がステルス性が高そうだ、とも分析している
●J-20開発のチーフエンジニアは、(J-20への同エンジン搭載に関する)中国メディアからの質問に対し、はぐらかすように「まだ試してみてもないことが分かるはずがない」と述べるにとどまった
●しかし実際には、同エンジン搭載のJ-20が既に飛行を行い、スラストベクター型の同エンジンでも試験を行っているとのうわさが広まっている
●エンジン以外でJ-20が注目を集めたのは(高解像度写真で)、中国空軍が既に運用している低ペース生産モデルで、「急速な質の改善」が確認できたことである。例えば、以前と比較して、機体表面のステルス処理や機体全体の端末処理(mold-line)が進歩していることである
●ただ英国の専門家はこれに関しても、F-22やF-35レベルの電波反射率低減を確保するまでには、まだかなりの道のりがあると指摘している
●例えば、引き続き、機体に多くの外装アタッチメントが確認でき、また光学ターゲティングシステムやエンジンノズルもステルス性に配慮が見られないと評価している
●なお、J-20は今回も地上での機体展示はなく、4機が近傍の空軍基地から飛来して飛行姿を見せたのみであった
///////////////////////////////////////////////////////
中国製の兵器のすべてがそうではないでしょうが、J-20への評価は厳しいようです。
でも、しっかりと飛行でき、それなりのステルス性を持ち、対地攻撃用の長射程ミサイルを搭載できれば、十二分に脅威です。
2代前の航空自衛隊のトップ(戦闘機パイロット)が、数年前に、「次の戦闘機に求める性能等は?」と問われ、「スラストベクターなど・・」と答えて笑いものになったのは記憶に新しいところですが、そのころ西側諸国には既に、同機能を重要だと考えている人はいなかったということです。そんなレベルなんです・・・
これまでのJ-20経緯を簡単に整理すると
---2011年に初飛行
---2016年11月、Zhuhai航空ショーで初公開
---2017年7月、人民解放軍90周年記念日に軍事パレード初参加
---2017年11月、中国空軍演習「Red Sword 2017」で重要な任務を果たす
---2018年2月、中国空軍報道官が「戦闘任務に入った」発言
J-20関連の記事
「報道官が戦闘能力発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-1
「中国国防省が運用開始と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-30-1
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
米空軍の次世代制空機検討PCA
「秋には戦闘機ロードマップ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28
記事が取り上げているのは、中国初のステルス戦闘機?と言われる「J-20」と、イスラエルのラビ戦闘機の技術者を招いて中国国産機として開発したといわれる「J-10」戦闘機が、スラストベクター付き国産エンジンWS-10B3を初めてのテスト搭載した飛行で、J-20にこの国産エンジンが搭載される可能性を記事が探っています。
読者の皆さんであれば既にお感じでしょうが、米国の次世代制空機PCA検討では、制空機の脅威であるAAMやSAM能力が飛躍的に高まり、多少制空機側の機動性や旋回性能が高まっても脅威から逃れられない・・・との見積もりもあるようですから、何のための「スラストベクターか?」との根本的な疑問がありますが、中国軍需産業の状況を見る機会ですので取り上げます
7日付Defense-News記事によれば
●6日から11日まで広東省珠海で開催された同航空宇宙ショーで、J-10Bがスラストベクター付きの国産エンジンWS-10B3を搭載してデモ飛行を行い、その優れた機動性や低速での着陸を披露した
●特別なエンジンを搭載したこの機体が確認されたのは、今年初めにCAC工場で目撃されて以来である
●英国の専門家は、同エンジンを搭載したJ-10Bの機動性は、明らかに空力特性から得られるもの以上を示していた、と所見を述べている
●一方で同専門家は、大部分の西側空軍は既に、最新の格闘戦用のミサイルの機動性進歩を見据え、エンジンにスラストベクター機能を付加することによる重量増、機構の複雑化(整備性低下)、コストアップ等を総合的に勘案し、スラストベクター開発を終了していると付け加えた
●しかしながら中国では、J-20前方にあるカナード翼を補うため、スラストベクター付きエンジンを搭載するオプションがあるともいわれている。またカナード翼がJ-20にとって重要な前方からのステルス性を阻害するため、カナード翼を取り除くためにスラストベクターエンジンが必要だとの見方もある
●また同専門家は、現在のJ-20のエンジン(ロシア製AL-31)より、WS-10B3の方がステルス性が高そうだ、とも分析している
●J-20開発のチーフエンジニアは、(J-20への同エンジン搭載に関する)中国メディアからの質問に対し、はぐらかすように「まだ試してみてもないことが分かるはずがない」と述べるにとどまった
●しかし実際には、同エンジン搭載のJ-20が既に飛行を行い、スラストベクター型の同エンジンでも試験を行っているとのうわさが広まっている
●エンジン以外でJ-20が注目を集めたのは(高解像度写真で)、中国空軍が既に運用している低ペース生産モデルで、「急速な質の改善」が確認できたことである。例えば、以前と比較して、機体表面のステルス処理や機体全体の端末処理(mold-line)が進歩していることである
●ただ英国の専門家はこれに関しても、F-22やF-35レベルの電波反射率低減を確保するまでには、まだかなりの道のりがあると指摘している
●例えば、引き続き、機体に多くの外装アタッチメントが確認でき、また光学ターゲティングシステムやエンジンノズルもステルス性に配慮が見られないと評価している
●なお、J-20は今回も地上での機体展示はなく、4機が近傍の空軍基地から飛来して飛行姿を見せたのみであった
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中国製の兵器のすべてがそうではないでしょうが、J-20への評価は厳しいようです。
でも、しっかりと飛行でき、それなりのステルス性を持ち、対地攻撃用の長射程ミサイルを搭載できれば、十二分に脅威です。
2代前の航空自衛隊のトップ(戦闘機パイロット)が、数年前に、「次の戦闘機に求める性能等は?」と問われ、「スラストベクターなど・・」と答えて笑いものになったのは記憶に新しいところですが、そのころ西側諸国には既に、同機能を重要だと考えている人はいなかったということです。そんなレベルなんです・・・
これまでのJ-20経緯を簡単に整理すると
---2011年に初飛行
---2016年11月、Zhuhai航空ショーで初公開
---2017年7月、人民解放軍90周年記念日に軍事パレード初参加
---2017年11月、中国空軍演習「Red Sword 2017」で重要な任務を果たす
---2018年2月、中国空軍報道官が「戦闘任務に入った」発言
J-20関連の記事
「報道官が戦闘能力発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-1
「中国国防省が運用開始と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-30-1
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
米空軍の次世代制空機検討PCA
「秋には戦闘機ロードマップ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28
米サイバー戦略がもたらすもの [サイバーと宇宙]
米国内での調整が不十分だと不安視する見方がある中
1日付.fifthdomainが、9月末に出た米国のサイバー戦略に関し、サイバー関連情報サイト主催のイベントで有識者たちが語った内容を取り上げつつ、同戦略が攻撃的なサイバー作戦を重視していることから注目されるサイバー攻撃犯特定と必要とされる新たな手法や、議会の動きについて報じています
犯人特定といっても決して簡単なことではなく、膨大な労力が必要なことや、一方で攻撃的な活動を試行する中で必要なチェック機能整備が進んでいないことなど、勇猛果敢だが支離滅裂(どこかで聞いたことがあるフレーズ)な感があるトランプ政権のサイバー戦略発表後の動きを、断片的ながら色々な側面からとらえようとしています
1日付.fifthdomain記事によれば
●ホワイトハウスとペンタゴンからサイバー戦略を発表したことによる「突風」は、一連のサイバー関連の道具や戦術を必要とすると、CyberCon conferenceに参加した政府関係者や専門家は語った
●政権のサイバー戦略はより攻撃的なサイバー作戦を約束するものだったが、そのためには米国は、犯人特定能力を上げ、更にそのために情報収集能力を強化しなければならないと専門家たちは口をそろえた
●NSAのサイバー対処作戦リーダーは、同戦略がもたらした最も大きな変化は、犯人特定を重視していることだと語った。
●またシンクタンクのサイバー専門家は、諸外国のハッカー摘発は、他国からのサイバー攻撃を抑止することにつながるとその効用を説明した
●そして犯人摘発が犯人逮捕につなげることは容易ではないが、無秩序なサイバー空間に一定の規範を生み出すことの意義は小さくないと語った
●別の専門家は一方で、犯人特定は一般に考えられているよりはるかに複雑なプロセスで、これを追求していくには、官民一体となって新たな手法や道具を生み出す必要があると訴え、
●「高い精度で犯人特定を行うために必要な情報や基礎資料の量を考えると、それはうんざりするほどのものになる」と現状を表現した
●また同戦略は、犯人特定より更に一歩進んで「defending forward」、つまり敵がサイバー攻撃作戦を仕掛ける前にその動きを察知することを追求している。そしてこのためにも、何らかの新たな手法や道具が必要になると専門家は語った
●この戦略に対する米議会の動きであるが、米議会の議員は四半期に一度、国防省から攻撃的なサイバー作戦について報告を受けている
●しかし、議会にはトランプ大統領のサイバー作戦に関する権限を制限しようとの動きはほとんどない。むしろ複数の議員たちは、より拡大したサイバー作戦を支持し、サイバー作戦の監視や制限についてはそれほど熱心ではない
●このように同戦略が新たなサイバー作戦の時代を開いたように見え、新たな手法や道具を求めているように思えるが、一方で複数の専門家が、結局はデジタル時代の作戦を支えるのは人間の力だと強調し
●「技術は重要である。しかし、以前の戦略であれ、今回の戦略であれ、さらに将来の戦略であれ、最も重要なのはそれを支える人なのだ」と強調した
/////////////////////////////////////////////////////
米国のサイバー戦略が公表された際にスルーしていたので、断片的ながら関連記事で、間接的に取り上げさせていただきました
サイバードメインで、攻撃を重視し、そのために犯人特定を重んじ、そのための情報収集や技術開発に取り組むとの方向性の様です
この方向性は結構リスクを伴うと考えられますが、議会の雰囲気は行政の動きを制約する方向にはなく、「もっとやれ」的な方向にあるようです。あまりにも断片的な記事のご紹介で注意が必要ですが、この話題をフォローする視点としてご活用ください
現物:National Cyber Strategy
→https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/09/National-Cyber-Strategy.pdf#search=%27National+Cyber+Strategy%27
米国防省のサイバー戦略 →https://media.defense.gov/2018/Sep/18/2002041658/-1/-1/1/CYBER_STRATEGY_SUMMARY_FINAL.PDF
サイバーと兵器管理
「サイバー懸念で市販UAV使用禁止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02
1日付.fifthdomainが、9月末に出た米国のサイバー戦略に関し、サイバー関連情報サイト主催のイベントで有識者たちが語った内容を取り上げつつ、同戦略が攻撃的なサイバー作戦を重視していることから注目されるサイバー攻撃犯特定と必要とされる新たな手法や、議会の動きについて報じています
犯人特定といっても決して簡単なことではなく、膨大な労力が必要なことや、一方で攻撃的な活動を試行する中で必要なチェック機能整備が進んでいないことなど、勇猛果敢だが支離滅裂(どこかで聞いたことがあるフレーズ)な感があるトランプ政権のサイバー戦略発表後の動きを、断片的ながら色々な側面からとらえようとしています
1日付.fifthdomain記事によれば
●ホワイトハウスとペンタゴンからサイバー戦略を発表したことによる「突風」は、一連のサイバー関連の道具や戦術を必要とすると、CyberCon conferenceに参加した政府関係者や専門家は語った
●政権のサイバー戦略はより攻撃的なサイバー作戦を約束するものだったが、そのためには米国は、犯人特定能力を上げ、更にそのために情報収集能力を強化しなければならないと専門家たちは口をそろえた
●NSAのサイバー対処作戦リーダーは、同戦略がもたらした最も大きな変化は、犯人特定を重視していることだと語った。
●またシンクタンクのサイバー専門家は、諸外国のハッカー摘発は、他国からのサイバー攻撃を抑止することにつながるとその効用を説明した
●そして犯人摘発が犯人逮捕につなげることは容易ではないが、無秩序なサイバー空間に一定の規範を生み出すことの意義は小さくないと語った
●別の専門家は一方で、犯人特定は一般に考えられているよりはるかに複雑なプロセスで、これを追求していくには、官民一体となって新たな手法や道具を生み出す必要があると訴え、
●「高い精度で犯人特定を行うために必要な情報や基礎資料の量を考えると、それはうんざりするほどのものになる」と現状を表現した
●また同戦略は、犯人特定より更に一歩進んで「defending forward」、つまり敵がサイバー攻撃作戦を仕掛ける前にその動きを察知することを追求している。そしてこのためにも、何らかの新たな手法や道具が必要になると専門家は語った
●この戦略に対する米議会の動きであるが、米議会の議員は四半期に一度、国防省から攻撃的なサイバー作戦について報告を受けている
●しかし、議会にはトランプ大統領のサイバー作戦に関する権限を制限しようとの動きはほとんどない。むしろ複数の議員たちは、より拡大したサイバー作戦を支持し、サイバー作戦の監視や制限についてはそれほど熱心ではない
●このように同戦略が新たなサイバー作戦の時代を開いたように見え、新たな手法や道具を求めているように思えるが、一方で複数の専門家が、結局はデジタル時代の作戦を支えるのは人間の力だと強調し
●「技術は重要である。しかし、以前の戦略であれ、今回の戦略であれ、さらに将来の戦略であれ、最も重要なのはそれを支える人なのだ」と強調した
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米国のサイバー戦略が公表された際にスルーしていたので、断片的ながら関連記事で、間接的に取り上げさせていただきました
サイバードメインで、攻撃を重視し、そのために犯人特定を重んじ、そのための情報収集や技術開発に取り組むとの方向性の様です
この方向性は結構リスクを伴うと考えられますが、議会の雰囲気は行政の動きを制約する方向にはなく、「もっとやれ」的な方向にあるようです。あまりにも断片的な記事のご紹介で注意が必要ですが、この話題をフォローする視点としてご活用ください
現物:National Cyber Strategy
→https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/09/National-Cyber-Strategy.pdf#search=%27National+Cyber+Strategy%27
米国防省のサイバー戦略 →https://media.defense.gov/2018/Sep/18/2002041658/-1/-1/1/CYBER_STRATEGY_SUMMARY_FINAL.PDF
サイバーと兵器管理
「サイバー懸念で市販UAV使用禁止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02