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国防省No2ポスト承認とNo3ポスト推薦 [米国防省高官]

Lord3.jpg6月28日、上院軍事委員会が次の国防副長官候補であるボーイング社副社長Patrick Shanahan氏を、トゲのある質疑やコメントの後に承認し、上院の本会議に送りました。
現在は、Work副長官がオバマ政権時代から引き続き「つなぎ役」として努めている国防省No2ポストですが、後任者がやっと実質承認されたと見て良いでしょう。

またホワイトハウスは、米国防省のNo3ポストとも呼ばれる「調達兵站技術開発担当」の国防次官候補に、軍需産業「Textron」の前社長CEOであるEllen Lord女史を推薦すると明らかにしました。

なお、政策担当国防次官と並び、No3ポストと言われることが多い「調達兵站技術開発担当」次官ですが、実は2018年2月までに「調達兵站:acquisition and sustainment」と「研究開発:research and engineering」に分割することが法律で求められており、分割後の両ポストの役割分担や組織編制を定めるよう国防省は求められているところです

ご意見番:マケイン上院議員の御主張と併せ、今後も一波乱二波乱ありそうな、異例に進捗が遅い国防省「政治任用ポスト」アサインの様子をご紹介します

トゲトゲしい副長官候補への質疑
Shanahan4.jpg●候補者であるPatrick Shanaha氏との厳しいやりとりは、同氏が軍事委員会に先立って書面で提出した、ウクライナへの致死性防御兵器の提供に関する姿勢に対して行われた
●Shanaha氏が「仮に国防副長官に承認されたなら、既に強固なウクライナ安全保障への支援のオプションの一つとして、状況を精査して判断する」と記して文書を提出した。そして判断には、副長官に就任して初めてアクセスが可能になる、種々の情報が必要だと説明した

●この回答にマケイン委員長は不満を示し、不十分であり承認を拒絶する可能性を示唆し、「良くないで出しだ。この様なことを繰り返すようだと、上院軍事委員会での承認採決に進めない」と語っていた
McCain-NDAA.jpg●これに対しShanaha氏は書面を修正し、「私はウクライナへの致死性防御兵器の提供を支持する。米国は、ロシアの攻撃的な行為に対抗し、ウクライナ国民を支援するため、より多くを行う必要がある」との表現にして再提出した

●Shanahan氏を迎えた28日の上院軍事委員会でも、時にヒートアップするやりとりが見られた。またマケイン議員は、軍需産業の重役経験者が国防省の主要幹部に就任することを好まないとも発言した
●同議員は具体的に、「率直に言うと、あなた(Shanahan氏)が国防省取引の9割を占める軍需産業トップ5社出身である事をあまり喜べない」、「米国を建国した先達も、その様なことを期待しているとは思わない」とまで表現していた


調達兵站担当次官の候補者
Lord.jpg●2018年2月までに「調達兵站」と「研究開発」に分割することになっている「調達兵站技術開発担当」だが、ホワイトハウスの推薦発表によれば、「Textron Systems」前CEOのEllen Lord女史は、「調達兵站:acquisition and sustainment」担当次官の任務に推挙されている

Textron社CEOとして、Lord女史は「無人システム、精密誘導兵器、海洋装置、装甲車両、シミュレーション訓練、電子戦、情報ソフト等々を、米軍や諸外国と取引する業務を統括していた」とホワイトハウスの声明は明らかにしている
●この様な業務歴から、Ellen Lord女史が承認されたとしても、特定の意志決定には関与できなくなる(have to recuse herself from certain decisions in her new role)
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マケイン上院議員はShanaha氏の名前が最初に挙がった際、否定的な反応はなく、直接面識はないが種々の情報から好印象だとの反応だったので、途中で色々あったのかも知れません。
または、面識がないので最初に「強めのジャブ」を繰り出したのかも知れません

Lord2.jpg「Textron Systems」は世界の軍需産業で第18位にランクされる企業で、「知る人ぞ知る」有力軍需産業だそうです。
しかし軍需産業CEOの経歴が原因で、国防省の「調達兵站」における「特定の意志決定には関与できなくなる」ことを許容するのでしょうか? ふところ深すぎ・・・と言うか、仕事が出来なくなるのでは・・とまで勝手に心配してしまいます。

それにしても、マケイン委員長の「米国を建国した先達も、その様なことを期待しているとは思わない:That’s not what our founding fathers had in mind.」発言は強烈です。
でもEllen Lord女史は、大変「押し」が強そうな印象の方ですので、頑張って頂きましょう!

次の国防副長官の話題
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「次期副長官は膨大な業務大丈夫?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18
「過去の副長官の分類」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15

前調達担当次官の記事
「将来航空機投資の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-25
「レーザー兵器に冷や水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「国防予算問題の鍵はF-35」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08

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インド首相の米国訪問で軍事協議はおだやか!? [安全保障全般]

外国首脳と初のホワイトハウス夕食会
痛いところにあまり突っ込まず友好を軽く演出
パキスタンや環境パリ協定に触れず、記者質問も受けず

trump Modi3.jpg25日から26日にかけインドのモディ首相がワシントンを訪問し、25日には外国首脳として初のホワイトハウス夕食会、26日はトランプ大統領と会談しました。オバマ政権時代に3回訪米したインド首相ですが、トランプ政権後は初の訪米です

全般に米メディアによれば、まだアジア太平洋での立ち位置が定まっていない米国政権も、内外に諸問題を抱えるインドも、以前の3回のインド首相訪米と比較し「low-key」だったとの評価ですが、双方に良い関係を模索しつつ、主張を今後持ち出したいとの思惑もみえる会談だったようです

米国側はインド首相到着の数時間前に、国務省がパキスタンのテロ組織「Hizbul Mujahideen」のリーダー「Syed Salahuddin」への制裁措置を発表し、会談前にC-17輸送機の輸出許可や、総額2000億円以上の無人海洋偵察機「Guardian」22機の取引推進を明らかにし、首脳会談の環境作りに配慮しています

首脳会談の主要ポイント
trump-Modi2.jpg会談後ホワイトハウスの庭に登場した両首脳は、2回もハグしてより緊密になりつつある関係をアピールした。2日間の滞在だったが、両首脳が対話する時間は十分に確保された

●対テロに関しては、トランプ大統領はパキスタンとの言葉は使用せず、「両国ともテロの被害を受けており、テロと過激思想の撲滅の決意を固めている。我々は過激なイスラムテロを撲滅する」と表現した
●一方で1.8億人のイスラム教徒を国内に抱え、パキスタンを根拠とする過激派を警戒するモディ首相も直接パキスタンには言及せず、更に「イスラム」との言葉も使用せず、テロリストの聖域や安住の地を根絶する重要性を語り、米国との情報共有を強化すると表現した

中国に関して両国は懸念を示しており、過去10年間の米印の関係改善はこの要因が大きいが、現時点でトランプ政権は中国を北朝鮮対策の重要な関係国としてしか具体的な動きを示しておらず、米印鑑の具体的な協議内容は不明
インドが2001年以降に総額3000億円を超えるアフガニスタン支援を行っていることも取り上げられ、両国がアフガンに共通の利害を持っていることも確認された

trump Modi.jpg●「America First」と米国内雇用確保を掲げるトランプ大統領と、「Make in India」を推進するインド首相は、経済関係面で難しい関係にある。特に米側は約3兆円もの対インド貿易赤字を抱え、またインド人技術者への米国ビザ発行も問題も検討課題に挙げている
●米大統領は会談後インド首相の前で、「インド市場への米国製品の輸出障壁を取り除くことが重要だ。そのことで対インド貿易赤字を削減する」と明確に述べている

一方で米大統領はインド首相の経済運営を讃え、モディ首相もトランプ大統領やその家族のビジネスマンとしての業績をたたえ、米大統領の指導力が両国関係の「積極的で未来志向の」発展に寄与すると表現し、米大統領をインドに招待すると語っている
●しかし、インドが厳しく非難している米国のパリ協定脱退については、両国首脳とも言及を避けた

軍事協力はまだまだ初期段階か
2016年後半にインド側が米側に要望していた海洋監視無人機「Guardian」は、オバマ政権が次期政権に判断を委ねることにした案件である。
●この他にもインドは米国製無人機を希望しており、その中には無人攻撃機も含まれている。しかし攻撃型無人機の売却は、有志連合を組むレベルの同盟国だけに認めており、これをインドに許可することは「大きな政策変更」を伴うモノと専門家は指摘している。

trump Modi2.jpgインド国防省関係者は匿名で、今回の首脳会談でトランプ大統領は、戦略的な問題に関する重い課題の議論を避け、経済問題を重視していたと語っており、この様な米国の姿勢を受け、インドはイスラエル製の攻撃型無人機の検討も進めるとも明らかにした
●米印間の国防関係は、米がインドに兵器を売却する関係(これまでの総額約1.7兆円)だが、インド側はこれを共同開発レベルにしたいと考えている。この枠組みがオバマ政権時代に結ばれたDTTI(Defence Technology and Trade Initiative)であるが、具体的な共同開発計画に至っていない

オバマ政権時代は、カーター長官が盛んに訪印してDTTI関連協議が行われたが、今回の首脳会談ではDTTI関連議論はなかった
モディ首相は会談後に「トランプ大統領と2国間の国防技術協力強化について議論した」と発言したが、第4世代機であるF-16のインド国内製造レベルに議論が限定され、全ての高価値部品が米国製で占められることから、インド側の技術獲得希望からは大きく離れている
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trump7.jpg米国側は、依然として国防省や国務省の政治任用ポストに「大量の空席」があり、新たな政策や方針を打ち出せる段階にはありません。とりあえず首脳会談を行い、時間を稼いでいる感じでしょうか・・・

トランプ大統領は「America First」を主張する姿勢を、モディ首相も「Make in India」で受けて立ち姿勢をメディアの前でアピールし、「イスラムやパキスタン」への表現に配慮しつつ対テロ協力を打ち出し、相違が大きいパリ協定については触れずの姿勢で、国内の支持率が気になる両首脳の外交得点稼ぎに貢献した会談と理解しておきます

対中国の部分が気になるので、他に関連報道が出たら追記します。たぶん・・・

米印関係の関連記事
「インド首相のオバマ訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-08
「4月カーター長官の訪印」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-15
「DCでJエンジンやカタパルト議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-12
「印検査院がロシア製戦闘機を酷評」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11-1

「やっと3カ国 Malabar」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-14
「カーター長官インド訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-04
「米印の国防協力合意」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-26-1
「インド首相の米国訪問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-30

「ヘーゲル長官の訪印」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
「米印関係ランクアップ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-01-1

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海兵隊が無人の援護&攻撃&電子戦機MUX導入へ [Joint・統合参謀本部]

TERN program.jpg23日、米海兵隊の航空部隊副司令官のJon Davis中将が、パリ航空ショーの会場で軍事メディアの取材を受け、オスプレイを援護でして戦闘機や攻撃機の役割も果たし、電子戦能力にも優れた垂直離着陸型の無人プロペラ機を、2026年までに強襲揚陸艦に搭載する計画だと語りました

同中将は、盛りだくさんな要求に驚く女性記者に、ひと昔からの海兵隊の構想が技術進歩で夢でなくなったと表現し、今年2017年第4四半期には複数の企業がデモンストレーション飛行を行う予定のほか、合計4つの企業が機種選定に応募の見込みだと語っています

まんぐーすはノーマークでしたが、既にDARPAがNorthrop Grummanと協力してこの種の大型無人機の技術開発を手がけており、ボーイングやベルヘリコプター社も具体的な形を仕上げてきており、なかなか面白そうです。

23日付DODBuzz記事によれば
Tern NG2.jpg●米海兵隊は、強襲揚陸艦から離発着できる大型の無人機を求めているが、その要求性能リストに記者は驚いた
オスプレイと同様の行動半径を持ってエスコート可能で、F-35B戦闘爆撃機と同じ兵器を搭載でき、航空攻撃や電子戦や指揮統制や早期警戒任務まで要求する内容だったからだ

●Davis中将はインタビューで全く問題ないと言い切り、「MUX」と呼ばれる海兵隊にとって初タイプのアセットだが、海兵隊関係者は要求リストから引き下がるつもりはないと自信を持って語った
●そして「オスプレイも、F-35も最初は疑問の声があったが大丈夫だった。全く問題ないし、十分実現可能だ。基盤となる必要技術は抑えてあり、十分可能な要求だ」と語った

●同中将は、「Group 5 drone」と言われるもっとも大型タイプの無人機であるMUXを、強襲揚陸艦から垂直離着陸させるほか、戦い攻撃し、オスプレイを援護して、電子戦も担えるものにしたいと語った
V-280 Valor2.jpg●また「オープンアーキテクチャーの航空機で(システムの能力向上が容易で)、自動で離着陸できる能力を備えるよう要望している」、一方で「兵器やセンサーの操作は人間が行う仕組みを希望している」と説明した

●同副司令官によれば、海兵隊が当初MUX構想を持ち出したときは技術的壁が立ちはだかったが、強襲揚陸艦用の高速航空機の要求性能を検討している数年の間に技術的進歩・成熟があり、今では複数の関係企業が名乗りを上げるほど実現可能性が高まっている

●具体的には4つの企業が具体的な案を煮詰めており
Boeingは尾部から着陸する方式(tail-launched)
Northrop Grummanも「Tern」という尾部着陸方式
Bell Helicopterはティルローター方式
Karem Aircraftもティルローター方式を用意している

●Davis中将は、この「全ての能力を備えた:do-it-all」無人機を2026年までに部隊配備したいと述べ、今年末にも初のデモ飛行を計画していると説明し、Northrop Grummanが「Tern」を第4四半期に、ベル社が革新的なティルロータ方式の「V-280 Valor」を披露する計画だと述べた
●そして「不可能と言われていたものが、今年第4四半期には現実のものになる」と語った
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V-280 Valor.jpgDavis中将は7月には退役する予定ですから、「卒業旅行」で明るいニュースを明らかにするチャンスを与えられたのかもしれません。

多少楽観的な表現があったかもしれませんが、艦艇へのプロペラ機の自動垂直離着陸はかなりの精度で自動化が可能なレベルにあるのでしょう
そしてその技術的背景には、民間分野でのドローンへの資金及び人的集中投資が生んだ成果も貢献しているのでしょう

日本も「F-35B型(垂直離着陸型)も欲しい」などと言ってないで、足元を見つめ、こんな装備にも注目してはいかがでしょうか???

いろいろな無人機の話題
「Ternの開発契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-30
「初の空母艦載無人機は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-15
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27 

「米軍士官学校が無人機群れ対決」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-26
「国防省:空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「無人機の群れ:艦艇攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

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下院が提案:米空軍から宇宙部門「実質」独立プラン [サイバーと宇宙]

米空軍から「宇宙軍」独立が正式提案に
6月28日の下院軍事委員会で、2018年度国家授権法NDAAの下院案に「宇宙軍」独立を盛り込むことが決定
http://www.airforcemag.com/Features/Pages/2017/June%202017/Space-Corps-Survives-Amendment-Challenge-at-NDAA-Markup.aspx
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Schriever Wargame5.jpg米議会下院が20日に公表した2018年度予算関連法案の中で、下院戦略戦力小委員会が米空軍から「実質的に」宇宙部門を切り離す組織改革案を提示しているようで、21日に行われた下院軍事委員会の前後で、空軍長官や空軍参謀総長が激しく反対表明しています

これまでもご紹介してきましたが、米議会が空軍から宇宙部門を切り離したいと考えている理由は、端的に言えば、米空軍は戦闘機パイロットが支配しているので、航空機への投資や意志決定が優先されがちで、重要性がうなぎ登りの宇宙分野への投資の規模や迅速性に問題があると見なされているからです

これに対する空軍の反論は、今はリスクを伴う大きな改革を行うタイミングでは無く、また分割でなく融合・統合が重要で、実績のある空軍が進めてい業務効率化や迅速化に関する取り組みを議会も応援して欲しい・・・です。

まぁ・・・マケイン委員長率いる上院軍事委員会にもお考えが御座いましょうし、今後紆余曲折が予期されるテーマですので、とりあえず下院案を見ておきましょう・・

22日付米空軍協会web記事によれば
Space Corps.jpg20日に下院戦略戦力小委員会が提示した2018年度国防授権法(NCAA)案は、米空軍が2019年までに「米空軍内部」に「宇宙軍:Space Corps」を設け、大将である「宇宙軍参謀総長:Chief of Staff of the Space Corps」に指揮を執らせるよう求めている

宇宙軍参謀総長は「6年任期:six-year term」で、統合参謀本部会議のメンバーであり、空軍参謀総長と同格(co-equal of the Chief of Staff of the Air Force)に扱われる
●また下院の案では、宇宙関連調達の主要決定権(MDA:milestone decision authority)を、空軍参謀総長から空軍長官に移管する事になっている。

21日、米空軍のリーダー達は下院軍事委員会に出席後、再び下院の案に反対する姿勢を表明した。Wilson空軍長官はこの案はより業務を複雑にする。組織の中に更に組織を書き加える案で、よりコストもかかる」、「空軍内に追加の参謀総長や6名もの司令部部長など必要ない」と下院案を批判した
Goldfein参謀総長は、「今は区切ったり分割したりしている時ではない。より融合や統合を進める時なはずだ」と不満を露わにした

Schriever Wargame4.jpg●下院案は更に、2019年までに統合軍である大将が率いる「宇宙コマンド」創設して現在の戦略コマンド隷下に入れる形を提案し、同宇宙コマンドが米軍の宇宙活動や任務を統合して指揮する事としている
●また下院の案は、宇宙コマンドが毎年「Space Flag演習」を実施し、ドクトリンや作戦コンセプトや戦術や手順や技術の開発や検証に活かす事を求めている。なお同演習は、今年米空軍により始まった演習である

同小委員会は22日に同案の修正協議を行い、下院軍事委員会で国防授権法(NCAA)案の審議が行われる28日までに修正案を取りまとめる予定である
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米空軍は、空軍司令部内に新たに宇宙担当部長「A-11」を設けることで、議会からの圧力を弱めたい考えのようですが、下院の案は中途半端に大胆です。

Space Corps2.jpg空軍長官の立場からすれば、二人の同格の参謀総長が存在するという厄介この上ない組織形態です。でも、こんな案が真剣に持ち出されると言う事は、米空軍を支配する戦闘機操縦者に対する嫌悪感が議会に渦巻いているとも考えられましょう。

何と言っても、長く統合参謀本部議長が空軍から出ず、最初から候補にも入らない事態が過去3代の統合参謀本部議長選考でしたから。

それにしても宇宙軍参謀総長の任期が「6年」とは長期間です。それぐらい続けて勤務させないと、一貫性のある戦力育成が困難だとの考え方でしょう

最近の米空軍宇宙関連
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

米空軍が宇宙活動アピール
「商用データも活用へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24

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米下院がINF全廃条約破棄を要求へ [安全保障全般]

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SSC-X-8 2.jpg20日に米下院軍事委員会の戦略戦力小委員会が打ち出した2018年国家授権法(NDAA)案にロシアが2月に配備したと報じられている巡航ミサイルをINF全廃条約違反だと認定し、大統領に同条約からの離脱を勧告する文言が盛り込まれ、更に地上移動発射式の巡航ミサイルを導入するよう求める内容となっている事が明らかになりました

28日に下院軍事委員会で詰めの審議が行われる下院2018年国家授権法(NDAA)案ですが、後日「米空軍から宇宙部門を実質切り離し案」が同案に含まれることもご紹介しますが、「INF全廃条約からの脱退」案も含まれるかなりドラスティックなモノとなっています

INFGorvy.jpgロシアのINF条約違反の巡航ミサイル配備に関しては、その報道の直後から米軍幹部から警鐘を鳴らす発言が続いており、3月にはハリス太平洋軍司令官が「同条約に縛られない中国の様な国に身ぐるみはがれたようなモノだ」、「米国は宗教戒律を守るようにINF全廃条約を遵守しており、このカテゴリーのミサイルを一切保有していない」と皮肉たっぷりに表現するなど、問題意識が高まっていたところです

INF条約に関する種々の経緯は末尾の過去記事でご確認頂くとして、「米空軍から宇宙部門を実質切り離し案」と同様に、すんなりと成立するような案件ではないでしょうが、時代の変化を象徴する動きですのでフォローしておきます

22日付米空軍協会web記事によれば
congress.jpg●米下院軍事委員会の戦略戦力小委員会が打ち出した2018年国家授権法(NDAA)案には、「ロシアはINF条約に違反している」との表現が盛り込まれている
●また同案には、議会から大統領への勧告として、これ以上同条約に縛られないと米国として宣言することを認め、ロシアが配備したと同程度の新型ミサイルを開発することを要求することが盛り込まれている

●同案は「射程が500km~5500kmの地上発射型の巡航ミサイルで、地上移動可能なタイプを開発するよう要求する」と表現し、米露が1987年に調印した、いわゆる戦術核兵器の使用を防ぐためのINF全廃条約の第6条を無視するよう明確に求めている

Harris CSIS3.jpg今年2月にロシアによるINF条約違反の巡航ミサイル配備が報じられた後、米軍幹部から懸念の発言が相次ぎ、3月にはSelva統合参謀副議長がロシアの行為は明確なINF条約違反だと下院軍事委員会で証言し、ロシアは戦術的な「核兵器の使用意欲を示した」と批判している
●また4月にはハリス太平洋軍司令官が、中国が保有しているミサイル戦力の9割は、INF条約で縛られた米国が保有できないタイプの兵器でアリ、「身ぐるみはがれたような状態だ」と議会で自虐的にコメントしたところである

ちなみに4月のハリス大将証言の他の部分は
●INF全廃条約は米国とソ連のみが力を持つ2極世界であった1987年に締結されたものだが、我々は今、多くの国が射程500~5500kmの兵器を保有又は開発する世界にいるのだ
イランも、この種のミサイルの発射試験を1月にも行うなど、盛んに増強している

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今年2月にロシアが配備したのは、仮称「SSC-8:9M729」との長射程巡航ミサイルで、全欧州を射程に収めるロシア西部に配備したと米国政府や軍高官が訴えています。

Hyten7.jpg上記以外にも、4月4日には米戦略コマンド司令官が「米国は防御手段を持たない」と危機感を表現してるところです

「米空軍から宇宙部門を実質切り離し案」と同様に、6月28日に下院軍事委員会で議論されるようで、今後の成り行きがに注目ですが、確実にINF条約破棄の気運は盛り上がりつつあると言えましょう

INF条約関連の記事
「ハリス司令官:INF条約は宗教戒律か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「NYT紙が露のINF破り配備報道」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

「米とカナダが巡航ミサイル対処に協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-01
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14 

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映像:F-35がパリ航空ショウで派手なデモ飛行 [亡国のF-35]

休日企画:F-35の派手なデモ飛行@パリ航空ショー

F-35 Paris.jpg19日、パリ航空ショウでF-35が初めて約6分間の高機動デモンストレーション飛行を行い、今後も同エアショー開催中は毎日同じ飛行を披露することになっていますが、ロッキードや米国防省は「必死」に、米メディアは「冷静」に報じています。

報道によれば、同航空ショウは当初F-35を招待していなかった(下調整で米軍が断っていた可能性もアリ)ようですが、開催の1ヶ月前になって参加が急遽決定し、今回のど派手デモ飛行が実現したようです。

このドタンバ参加決定時期は、今もルーク飛行場でF-35が飛行停止となっている問題の「低酸素症」事案発生時期と重なり、相当に国防省や米軍や企業を巻き込んだ悩み深い決断だったと推察します

なおパリ航空ショーには、アリゾナ州ヒル空軍基地から2機のF-35が米空軍パイロットの操縦により飛来していますが、デモ飛行は「2年以上前から準備」してきたロッキード社のテストパイロットが行っています。

F-35 Paris2.jpgまぁ・・・対地支援や戦闘爆撃機的な活動が期待されるF-35にとって、今回のデモ飛行のような飛行は部隊訓練で必要な課目とは考えにくく一時期流布された「空中戦でF-16に惨敗」報道の打ち消しと、ニュースバリューを高める狙いがあったものと思われます

演技内容は、離陸からいきなりエンジン推力をアピールする「ゆっくり垂直上昇」、機動性と操作性を誇示する「a square loop」、低速度飛行可能を示す「時速115マイル飛行」、木の葉のようになりながらも機体を制御する「high-altitude pedal turn」(他にF-22だけが可能)、ソフト3Iで限度の7G旋回「a 360-degree minimum radius turn」などで構成されています

19日のF-35演技映像(冒頭に15秒のCM映像)


「戦闘形態でこの機動が可能なんだ!」
●デモ飛行を行ったロッキード社のテストパイロットAlan Norman氏は、似たような高機動デモ飛行を行う他の第4世代機との違いを、以下の様に力説した
●「ロシア製のSU-35なんかは、機動性をアピールするため全ての外層品を外して演技するが、何の兵器もパイロン搭載物も無い状態では戦闘機としての能力は確認できない。その点、今回のF-35デモ飛行は戦闘任務飛行と同じ形態で実施しており、より実戦的な能力をご披露しているのだ」
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F-35 Paris3.jpg現在使用可能で米空軍F-35が搭載している「ソフト3I」では、最大7G旋回が限界なんだそうです。そして大幅に開発が遅れている「ソフト3F」が完成すると、最大9G旋回が可能になるそうです。

今年が検討の一つの「山」されている次期制空機PCAでは、速度や機動性の優先順位は、航続距離や兵器搭載量の後塵を拝する方向にあります。

それでも売り込みのためにこのような「デモ飛行」・・・F-35は誰が誰のために創っているのでしょうか? 一握りの戦闘機パイロットの自己満足や「優越感満たし」のオモチャになっているのでは・・・と懸念致します

米空軍の次期制空機PCA検討
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

F-35宣伝映像2本
「概要とALIS解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-05-2

映像で5つの視点から学ぶ
「米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25
「核兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-05
「米海軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27
「米海軍潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07

「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

映像で見るシリーズ
「12㎏の兵器搭載地上ロボット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-09
「防空&ミサイル防衛の融合IAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27-2
「威力強烈:AC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
「CASの歴史を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-19

「イメージ中国軍の島嶼侵攻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「泣ける:帰還兵士と犬との再会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
「レーザー兵器試験@ペルシャ湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

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宇宙ドメイン死守へ米空軍が宇宙部長A-11新設へ [サイバーと宇宙]

Wilson2.jpg16日、Wilson空軍長官が米空軍司令部内に「宇宙」を担当する新たな部長ポスト(deputy chief of staff)を設け、8月を目途に「A-11」として活動を開始すると発表しました。
まだ具体的な人名は公表されていませんが、中将ポストで、今後約2か月間で「A-11」に配属するスタッフを含めて検討するようです

一般に空軍司令部組織では、A-1が総務、A-2が情報、A-3が作戦運用、A-4が兵站、A-5が長期計画などなどを担当していますが、米空軍司令部はこのほかにも指揮通信、IT、サイバー等々、様々な「A-●」を設けており、宇宙担当は「A-11」だそうです
今年4月に米空軍は、宇宙関連業務を統括する何らかの新ポストを設けると明らかにしていた様ですが、それが「A-11」の新設だったわけです。

背景は明らかです。
Space Fence1.jpgもちろん、宇宙ドメインがサイバーと並んでその重要性を増していることは論を待ちませんが、米議会内部に重要な宇宙ドメインを空軍に任せておいては、重要施策や資源配分の意思決定が鈍重で適切に行われないとの問題認識があり、「宇宙を空軍から切り離せ」論が強まっているからです

そんなこともあり、今年に入り、空軍参謀総長が「2017年を米空軍の宇宙活動大宣伝の年にする」とぶち上げたり、宇宙分野の主要幹部がプレゼンを盛んに行ったりしているところです

まぁ、今でも複雑に肥大化している司令部機構に、更にポストを増設して業務が円滑化するのか疑問視する声もあるようですが、「お手並み拝見」ということで、とりあえず米空軍首脳の発言等をご紹介しておきます

16日付DODBuzz記事によれば
16日、Wilson空軍長官は宇宙作戦に関する新たな空軍司令部部長職の設置を承認したと発表した。まだ具体的人選は明らかにしていない。
●同長官は「この決定は、米空軍の宇宙作戦を更に格上げし、我々の努力を融合して円滑化する新たなステップである」、「米軍は宇宙に依存しており、敵はそのことを熟知している」、「我々は宇宙にまで拡大するであろう将来の戦いを制することができるよう、適切に組織を整え備えなければならない」と説明している

Goldfein1-4.jpg●同日、Goldfein空軍参謀総長は、「新たな中将たる宇宙部長は、意思決定スピードを高め、宇宙アセットが敵攻撃を回避して作戦の自由度確保を促進するだろう」、「米空軍の文化は空の支配から始まっているが、今後は宇宙活動をリードして情報化時代を進み、戦士が勝利のために必要な宇宙優勢を達成する」とコメントした
●また米空軍宇宙コマンド司令官Jay Raymond大将は、「新たなリーダーは毎日このドメインに集中し、宇宙の課題に対処するため、組織、訓練、装備調達を確実なものとしてくれるだろう」と語っていた

米空軍は引き続き国防長官の宇宙補佐官
●またWilson空軍長官は、Work副長官による決定事項として、来年2018年も米空軍長官が宇宙ドメインに関する国防長官の首席補佐官と務めると発表した
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Raymond&Buck.jpg元空軍幹部で宇宙関連技術アドバイザーであるBrian Weeden氏は、「宇宙施策をリードするポスト新設の意図は正しい方向だ。しかし新ポストが、既存の部署や幹部、また米国の宇宙関連機関などと円滑にやっていけるかは別の問題だ」とコメントしています

ありがちな安易な対策のような気がしますし、本当に複雑な官僚組織で「任務分担」がうまくなされ、機能するのかよくわかりませんが、生暖かく見守りたいと思います

しかし議会も動きました! 20日、下院軍事委員会が空軍からの「実質的」宇宙分野独立を2018年国防授権法に含める案を公表・・・これについては後日ご紹介します!

米空軍と宇宙ドメイン
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「商用データも宇宙防衛センターへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

「謎のX-37Bの謎が少し解けた」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-11
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

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被害状況下に備え海兵隊が訓練改革 [Joint・統合参謀本部]

Neller3.jpg14日付Defense-Techが、Neller海兵隊司令官の強いリーダーシップの下、米海兵隊部隊がサーバー攻撃等で被害を受けた状況を想定した訓練に取り組む様子を伝えています。

昨年8月のCSIS講演で同司令官が力説していたように、現在の米軍はITデバイスに依存しすぎ、敵からサイバーや電子戦攻撃を受けた場合、自身や友軍の位置特定や通信までも不能になる可能性があると危惧されています

そこで同司令官は戦いの原点に帰ることを部隊に要求しており、CSIS講演でも「自分が背負って持ち運べる装備や食料で生き延びよ、穴を掘れ、カモフラージュして身を隠せ、全ての電子デバイスの電源を切れ、屋外に身を隠しそこで寝られるように訓練せよ」「音を立てるな、何も外部に発するな。さもないと敵に発見され攻撃されるぞ」と米海兵隊部隊に教育していると力説していました

本日はそんな米海兵隊の中で、昨年秋にアフリカに派遣された部隊(Special Purpose Marine Air-Ground Task Force-Crisis Response-Africa)が、派遣前に行った準備訓練の一端を記者団に説明したようですのでご紹介します

14日付Defense-Tech記事によれば
Marine-okinawa.jpg●特別編成部隊の指揮官だったDan Greenwood大佐は、「何度もアナログ時代に戻って訓練した」と語り、「サイバー攻撃を模擬して通信ネットワークを遮断し、コンピューターをオフにして、無線一つだけを通信手段として対応することを強要した」と訓練を説明した
●また同大佐は、紙の地図やコンパスなど、原始的とも言える道具を使った作戦遂行を海兵隊歩兵部隊に要求したと説明し、「我々が若い頃に学んで育った手法だ。その様な基本技術を思い出させる訓練を行った」と語った

●一方で同大佐は、展開先によってはオフラインでの戦いが大きな課題となる地域もあると表現し、米本土の2倍の大きさがあるアフリカ大陸の広大さを指摘した
●そして「アフリカのような広大な大陸では欧州での作戦と異なり、大陸のどの地域にいるかによって衛星通信の異なる周波数を使用する必要がある」、「アフリカ大陸内の3000km離れた2地点で意思疎通が必要な場合、それはワシントンDCとカリフォルニア間で通信するようなものであり、衛星通信なしで代替手段を考えることが難しい」と指摘している
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昨年8月のCSIS講演で海兵隊司令官は自虐的に
Neller4.jpg●最近のある海兵隊演習で、展開先で司令部施設を設置する訓練を行い、仮設の指揮所施設に大きなカモフラージュ用ネットが被せられた。敵の航空攻撃を想定する必要が無かった最近の実戦では、あまりやらなかった訓練である。
●ネットの偽装効果を確認するため上空からの映像で検証すると、仮設指揮所の周りに張り巡らされた様々な通信ケーブルやワイヤーが太陽光を反射し、重要な施設が中心に隠されていることが手に取るように明らかだった。敵なら容易に発見できる状態だった。そしてその欠陥に部隊の誰も気付いていないのだ

●これまでの対テロ戦の敵とは異なる相手と対峙しなければならない現実を直視し、自分自身の姿を見直せ。考え方を変えなければダメだと教育している
●イラクやアフガンでは、聖域的な位置づけの整った拠点から出動し、拠点から機動展開することもなく、ダイニングホールで食事し、挽き立てのコーヒーを飲むことが出来た環境だった
ハイテク技術の活用とその利用が不可能になった場合への備えのバランスが重要で、戦いに於いては全てが不透明で不確実だ

また今年2月には部隊に指示を出し
Marine-okinawa.jpg過度の飲酒や喫煙、更に食生活の乱れは敵を利することになる自己虐待」だ、「スマホなど電子デバイスを脇に置き、安楽椅子から離れ」、食事のバランスを考えて体重管理を行い、健康管理を再確認せよ
海兵隊員の多くが所属する部署や大隊程度の範囲にしか視野が向いておらず、ストローの穴から世界を見るような狭い世界で暮らしているように危惧している。海兵隊員皆に、より大きな組織に属し、全員でその任務を遂行しているのだと言う事に思いを致して欲しい

建設的な意味でもっと楽しめ:Have more fun。兵舎で過ごすばかりでなく、サーフィンを始めるも良し、新しい語学を学ぶも良し、仲間や社会とのつながりを持ったり、地域の自然に親しんだりして余暇を過ごして欲しい
●海兵隊の訓練の厳しさから逃げるのではなく、仲間とぶつぶつ文句を言いながらも、笑い飛ばして取り組め。共に乗り越えた苦難は団結を強固にする。退役する時になって、一番思い出すのがこんな時の事なんだ
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Neller2.jpg今後この様な基本に返る訓練が、陸海空軍でも増えることでしょうし、Neller海兵隊司令官のような訓示が増えるのでしょう

でもアフリカならずとも、米本土から前線の作戦を指示することや、無人機を操縦することも難しくなりますよねぇ・・・。課題山積み・・・ですね

Neller海兵隊司令官の関連
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08 

被害状況下への備えを訴える
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

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日本もこっそりF-35まとめ買いに参加へ!? [亡国のF-35]

F-35 block.jpg18日付NYT紙は、12日の週にボルチモアで実施されたF-35購入11ヶ国の代表者会議で、2018年から2020年の間に、440機のF-35をまとめ買い(block buy)する件が協議され、複数年に渡る多数機同時契約で、1機当たりの価格が「88~80 millionドル」(97~88億円)程度のまで低下すると報じています

現在交渉は継続中で、協議参加者は内容について対外的に語ることが出来ないらしく、NYT紙に交渉の様子を語ったのも匿名の「事情に詳しい2名」です。正式な発表は米国政府関係者が行う約束になっているようですが、18日時点ではコメントも得られなかった模様です

同紙によれば、2018年発注で2020年納入機が135機、2019年と2020年発注がそれぞれ150機以上になる計画で、合計が440機程度になるようです

F-35 block 2.jpgちなみに、今年2月の米軍契約価格は「$95 million:105億円」で、その前は「$102 million:112億円」でしたから、まとめ買いで部品等を大量に同時発注することによるメリットは相当大きいと言えます。

なお、協議に参加した11ヶ国は、「Australia, Denmark, Israel, Italy, Japan, Netherlands, Norway, Turkey, South Korea, Britain and USA」で、個々の国の発注数を同紙は伝えていません。

日本も「まとめ買い」による単価削減メリットを享受可能な「長期契約法」を制定し、平成27年度にP-1哨戒機を、28年度にはSH-60哨戒ヘリ、EC-225LP輸送ヘリ、TH135練習ヘリの契約に適応して経費削減に取り組んでおり、これをF-35にも適用するモノと思われます(平成28年版防衛白書360ページ参照


でも騙されるな!F-35価格は上昇する!
(国防省F-35計画室長(当時)が5月末に激白)
Bogdan 9.jpgF-35の価格は過去5年間下がり続けており、今後3年間で1機90億円以下になるだろう。しかしその2~3年後には再び上昇に向かうだろう
●あくまでも今後3年間期待される90億円以下との価格は、機体とソフトとセンサーからなるあくまで基礎価格(baseline)である。2020年時点までに製造された機体は不十分な機体で、それらには今後開発され検証される追加機能を付加するため、2022-2028年の間に能力向上改修を行う必要があり、追加経費が必要だ

●また今後、製造機数が落ち込む(caveat)事があれば、最適な製造効率を保てずに価格に影響が出るという但し書き付(there’s a caveat)である。製造機数が減れば、最適価格になるのが遅れる(delay the most efficient rate)
●「ソフト3F投入」に続く「Block IV近代化」は現在検討中だが、全ての側面でF-35の能力を向上させる。多くの現有兵器と使用可能にし、将来の兵器にも対応させる。試験を通じてF-35のセンサーが素晴らしいことが判明しており、これを兵器と結びつける必要がある(つまりこの改修も価格上昇に貢献

F-35 block 3.jpgF135エンジンの能力向上も保障したい新たな部品を投入するか完全交換かは、米空軍研究所AFRLが取り組む研究成果次第だが、将来決定することになる
●F-35搭載の幾つかのセンサーについても、交換や改良が将来行われる。その中で確実なのが電子戦関連で、上空で予期しない新たな環境に対応できるような「see new threats and react」を目指す装備である

F-35は膨大な「mission data files」に支えられているが、作戦対象地域の潜在的脅威を常にアップデートしておく必要がある。
自動兵站支援システムALISの更新にも終わりは無い。ALISに関しては構成全体の変更を追求しており、いつか「クラウド」を活用し、中央集約型で飛行隊レベルの操作員のALIS維持やソフト更新業務を軽減・解放するような方向を目指している
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18日付NYT紙が報じた価格は、全て米軍用の価格です。共同開発国では無い日本用の価格は、当然この価格より高くなります。

F-35 Sun-Set.jpgBogdan前F-35計画室長の発言では、特に後半部分で価格との関係が不明確ですが、ソフト改修も、エンジンも、MDFもセンサーもALISも、開発経費を負担していない日本には大きくふっかけてくること間違い無しです。

まとめ買い(block buy)で喜んではいけませんし、軽々しくトランプ大統領に対して「100億円値引きしてくれて有難う」等と言って喜んではいけません

関連の記事
「安倍首相がトランプにF-35でお礼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「FMSグローバーホークの悲劇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-22
「F-35エンジンの改修話」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01-2

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米空軍宇宙コマンドの太平洋域での課題など [サイバーと宇宙]

JICSPOC.jpg9日、米空軍宇宙コマンドの各種指揮官を務める3名の大佐が、米空軍協会ミッチェル研究所でパネル討議に臨み、同コマンドの課題や取り組みを語り、中東重視体制からアジア太平洋に目を向ける際の課題などについて語っています

技術的な細部には当然言及しておらず、まんぐーすも背景知識が不足していますので十分な紹介ができませんが、訓練体制の強化や同コマンドのサイバーへの取り組みについても語っていますのでご紹介します

12日付米空軍協会web記事からご紹介します。最近、同webサイトのレイアウトが変わり、情報量が増えたようで何よりです。読者として感謝いたします!

中東だけでなく太平洋域でも活動する課題
JICSpOC2.jpg●9日に開催されたイベントで3名の米空軍宇宙コマンド「Space Wing」指揮官(全員大佐)は、これまで中東戦域での活動に焦点を当ててきたが、準備が十分でないアジア太平洋地域での作戦に備える必要があると語った
主に無人機操作用の宇宙通信を監視する宇宙管制装置(defensive space control unit)を、中東地域に3台配置しており、カタールとヨルダンとシリア北方にそれぞれ置かれている。なおシリア北方は、我々が経験した最も辺鄙な配備場所である

●我々は中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が十分できていないのも確かである。
●ただ、アジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性だと第50宇宙航空団のDeanna Burt大佐は説明した

●そして同大佐は、中東とは異なり太平洋域で戦うために戦力を投入した場合、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がないと語った
更にそのような厳しい環境下で任務遂行するための最先端の訓練が不十分で、また部隊体制も整っていないと第460宇宙航空団のDavid Miller大佐は語った


新たな演習開始や兵力不足への対応
JSPOC.jpg●そして同大佐は、宇宙コマンドにも操縦者用の「レッドフラッグ」タイプの演習が必要で、単にレッドフラッグに参加して航空機を支援している現状では訓練が不十分だと主張した
●そこで新たな取り組みとして、これまで無かったような訓練環境を与えるため、4月に初の「Space Flag演習」を実施し、8月か9月に2回目の実施を計画中だと説明した。

●更なる訓練の課題として、第210宇宙航空団のDouglas Schiess大佐は人員不足を上げ、中東を中心とした派遣期間が長引き、最低限の休暇期間を与えると訓練時間が捻出できないと、元来小規模な宇宙コマンドへの負担の現状を訴えた
対策の一環として同大佐は、州兵部隊をカリフォルニア州、フロリダ州、コロラド州に派遣して正規兵の負担軽減に努めていると説明し、仮にアジア太平洋での作戦を求められれば、このような施策が欠かせないものとなると設営した

●別の人員不足対策としてBurt大佐は人工知能などによる自動化を唱え、米軍のアキレス腱と言われるサイバー防衛への導入に取り組んでいると説明した
●現在同コマンドは、人間がそれぞれの機材を「man-to-man defense」でサイバー監視しているような状態だが、このような人海戦術でなく、「big data技術」や「中央集権型サイバー防衛」で人員効率的な形が望ましいと述べ、時間はかかるが取り組んでいると説明した
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Cyber-new2.jpg相変わらず基礎知識不足で中身が深まりませんが、アジア太平洋戦域で「周波数ホッピング」が必要なのは、中国や北朝鮮やらに衛星管制用の電波等が妨害されたり傍受されたりする恐れがあるからだと理解しています

また宇宙管制装置(defensive space control unit)がどのようなものか承知していませんが、ぜひ日本にも設置し、有事の備えにしていただきたいものですし、RQ-4グローバルホークの運用にも活用させてほしいものです

米空軍が戦闘機や爆撃機や空中給油機など航空アセット優先で投資することに我慢ならず、宇宙分野を空軍から切り離せと議会が要求していますが、確かに、今日ご紹介した3名の大佐のご苦労を考えると、そんなオプションのあるのかな・・・と思います

米空軍が宇宙活動アピール
「商用データも活用へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24

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18年ぶりに空中戦で敵機を撃墜:FA-18対SU-22 [Joint・統合参謀本部]

戦闘機命派が固執する空中戦で18年ぶりの撃墜
でも、、、まだ空中戦訓練に固執するの?

SU-22.jpg18日、対ISIS作戦に参加している米海軍FA-18が、爆弾投下後のシリア軍SU-22戦闘爆撃機を、空対空戦闘により撃墜しました。
シリア軍のSU-22は米軍が支援するシリア民主軍SDFの活動地域を爆撃しており、米軍は多国籍軍の交戦既定と集団的自衛権に基づき、味方であるSDFを攻撃したSU-22をFA-18により直ちに撃墜した模様です

6月8日には、関係国が非戦闘地域(deconfliction zone)に指定している地域で、対ISIS対処部隊の訓練キャンプをシリア軍保有と推定される「無人機MQ-1に似た」無人機が攻撃し、米空軍F-15Eが撃墜する事案が発生したところでした

SU-22 2.jpgこの様にシリアやイラクでの対ISIS戦は、ISISの劣勢が伝えられる中、これまで比較的遵守されてきた米国ロシア間の「非戦闘地域(deconfliction zone)指定」を無視する「仁義なき戦い」の域に入り始めており、アサド政権&イラン&ロシア連合と 米国主導の多国籍軍の戦いの推移が注目されます

でも今日の注目点は、18年ぶりの空中戦撃墜です。
これを機会に、戦闘機命派が何時までも固執する「空中戦」が激減し、「空中戦技能」の重要性が急降下している現実を再確認し、他に考えるべき事があるだろう!、と叫ばせて頂きます。

18日付Military.com記事によれば
18日米中央軍は、米国が支援するSDFを攻撃したシリア軍SU-22戦闘爆撃機を、米海軍FA-18が空対空戦闘で撃墜したと発表した
SU-22 3.jpg●なおシリア軍SU-22は、今年4月にシリア反政府側の支配地域を化学兵器で攻撃した航空機と考えられており、SU-17やSU-20の派生型の戦闘爆撃機である。なお多国籍軍側は、この化学兵器攻撃を契機として、米海軍駆逐艦2隻から50発以上の巡航ミサイルをSU-22根拠基地に発射し攻撃した

シリア軍によるSDF支配地域への進軍は初めてで、多国籍側はロシアに緊張緩和の申し入れを行ったものの変化が見られなかった状況であった
同SU-22はSDF兵士近傍に爆弾を投下したモノで、米中央軍は「多国籍軍の交戦既定と集団的自衛権に基づき、直ちに米海軍FA-18によって撃墜した」と発表している

●この様な空対空戦闘での敵戦闘機撃墜は、1999年コソボ紛争時の米空軍F-16によるセルビア軍Mig-29戦闘機撃墜以来である
●またFA-18による空対空戦闘による撃墜は、1991年湾岸戦争時に、2機の米海軍FA-18が2機のイラク軍Mig-21戦闘機を撃墜して以来である


日本の戦闘機命派はどう反応するのか?
F-35 Japan OUT.jpg●日本の戦闘機命派が、次の中期防衛力整備計画(平成31年度~)で戦闘機飛行部隊の増強を企て始めているとの噂を耳にし、とんでもないとあきれ果てる一方で、陸自が現在の中期防作成時に増員を持ち出し、結局現状維持ぐらいを勝ち取った歴史を思い出し、同じ作戦かとため息がでる思いである
米国防省の報告書「中国の軍事力」がここ数年一貫して、中国軍の軍事力増強や組織改革の目的が、「地域の紛争において高列度の戦いで短期間に勝利を収める」事にあると結論づけ、弾道・巡航ミサイルやサイバー・宇宙・電子戦能力強化に中国が邁進していると明記する中、航空自衛隊はこれへの対処を無視し続け、脆弱な戦闘機投資だけに固執中

「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15

鉄砲が戦いを制する時代に剣術に固執した戦国大名の悲劇そのままに、未だに「操縦者綱領(香料、荒涼)」や「ファイターパイロット魂」なる時代錯誤の呪文を唱えるだけで無く、「ただ飛んで飛行手当を確保したい」「支配者意識とポストを確実に享受していたい」との思いを包み隠し、真に抑止力強化や粘り強い戦いに必要な施策、つまりクロスドメイン装備や強靭性強化等々に資源配分を行わず、サイバー宇宙電子戦への投資や人材育成もかけ声だけ、後回し&「すすめの涙」で誤魔化している
F-35 Luke3.jpg●脅威が変化している中、根拠の希薄な戦闘機飛行隊とパイロット数維持に固執(増強との暴挙も含め)する事により、操縦者以外の重要性が高まる構成員の士気を削ぎ、加えて「飛行訓練」以外の教育訓練投資もサラミスライス削減し、中国軍が真に力を入れている「高列度・短期戦」への備えを無視し、平時からグレーゾーンの領空保全任務だけをアピールし、スクランブル回数だけで操縦者の存在感(自己満足感)を売り出している

「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

F-35 luke AFB.jpg●そんな日本の戦闘機命派には、空中戦能力を2の次にし、搭載量や航続性能をより重視する米空軍の次期制空機(PCA)検討は目にしたくない情報だろう。ましてや、ステルス性に依存しようとしていた中で、米空軍がエスコート型電子戦をPCAより優先する「あせっている」様子を見せられ、状況が全く理解できない脳死状態かも知れない
●米空軍PCA検討の背景には、脆弱な航空基地など精密誘導兵器やサイバー戦等で当初から利用不可となる可能性が高く、遠方から数少ないアセットで対処するしかないとの極めて自然な脅威認識がある。また、地対空ミサイルの機動性や射程が急速に発展し、制空機の速度や機動性をいくら高めても脅威を回避できないと単純に予測できるからである

「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2

「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

●空対空戦闘での撃墜が18年間発生しなかったのは、大国同士の戦いが無かったからだけではない。通常戦力における圧倒的な米軍との差を認識している潜在的敵国が、戦闘機VS戦闘機や、艦艇VS艦艇の戦いを避け、非対称の戦いを場に選んだからである。
●この様な変化を独占支配者である戦闘機命派は肝に銘じ、次期中期防では「戦闘機」や「戦闘機操縦者の訓練」の質を根本的に見直すことから開始し、平時からグレーゾーンの領空保全任務アセットや訓練への投資を削減方向で見直し、真に抑止力強化や粘り強い戦いに必要な施策に資源を振り向けるべきである

「脅威の変化を東アジア戦略概観で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 

F-15 JASDF.jpg●この際、平時からグレーゾーンの領空保全任務の遂行が抑止力につながると見なされた過去と決別し、戦闘機操縦者の手当とポスト確保の既得権益に結びついてると見なされつつある事を忘れてはならない
また、「操縦者綱領(香料、荒涼)」や「ファイターパイロット魂」を正面に掲げることが、脅威の変化や戦略・戦術環境の変化を理解出来ない点に於いて、書籍「失敗の本質」が描いた太平洋戦争当時の日本軍高級士官そのままの姿である事にも気付くべきであろう

書籍「失敗の本質」に学ぶ
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31
/////////////////////////////////////////////////////////

SU-22とFA-18の性能差や搭載兵器からすれば、「空中戦」というよりも、「狙い撃ち」だったと思いますが、空対空戦闘の範囲をそこまで拡大しても、それでも空対空戦闘は18年ぶりなわけです

F-15 upgrades.jpgそれでも操縦者の命は重いから、しかり空中戦訓練をさせ、空中戦用の戦闘機を装備せよというのなら、地上の飛行場や指揮所で勤務する兵士の命はもっと危機にさらされるでしょう。
戦闘機を個々に撃破するよりも、地上の作戦基盤を直接狙ったほうが、敵からすれば費用対効果が高いでしょう

グレーゾーンの領空保全を重視するなら、ハードに投資するよりも、法制や交戦規程をまず改正し、ソフト面から抑止力をまず高めるべきでしょう

報道機関の皆様には、航空幕僚長の記者会見や沖縄の那覇基地で、是非、質問して頂きたい
18年ぶりの空中戦で米軍機が敵戦闘爆撃機を撃墜しましたが、受け止めをお聞かせ下さい」とか、
米空軍のPCA検討をどう思われますか」とか、

空自の次の戦闘機議論では、どのような点がポイントですか」とか、
前の齋藤空幕長は退任直前、スラストベクターに言及(東京の郊外にまで世界中から嘲笑が聞こえてきた問題発言)されていましたが、杉山空幕長は如何ですか」とか・・・

米空軍の次期制空機PCA検討
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

制空戦闘機より電子戦機を優先
「ACC司令官も電子戦機を早期に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

くたばれ日本の戦闘機命派
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「脅威の変化を東アジア戦略概観で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08

「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

空自OBに戦闘機を巡る対立
「織田邦男の戦闘機命論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「広中雅之は対領空侵効果に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1
「小野田治も戦闘機に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-05 

ロバート・ゲーツ語録2
→海軍は空母が支配し、戦闘機と爆撃機が空軍を支配し、戦車が陸軍を、そして着上陸用車両が海兵隊を支配しているのが実態である。
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09
ロバート・ゲーツ語録3
→皆に気づいて欲しい。空軍の歴史の大部分は空中戦と爆撃機の能力で彩られているが、ベトナム戦争以来、空軍パイロットは空中戦で撃墜されていない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09

ロバート・ゲーツ語録10
→米軍には20世紀の世界観が根強く残っており、変化を妨げている。米軍は戦闘で40年間航空機を失っておらず、朝鮮戦争以来、敵の攻撃を受けていない。しかし、21世紀の制空権は米軍の従来の想定とは全く異なるであろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録11
→米空軍は、空対空戦闘と戦略爆撃に捕らわれすぎており、他の重要な任務や能力を無視しがちである。ある意味で空軍は、その成功の犠牲者とも言える→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07

ロバート・ゲーツ語録12
→私がCIA長官の時、イスラエルが無人機を有効使用することを知った。そこで米空軍と共同出資で無人機の導入を働きかけたが1992年に米空軍は拒否した。私は3年前、今度は無人機導入のため牙をむいて4軍と立ち向かった→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-07
ロバート・ゲーツ語録33
→全ての潜在的敵対者、つまりテログループ、ならず者国家、ライジングパワー、これら全てが共通に学び得たものは、米国と通常戦の手法で正面から対峙するのは賢明ではないとの認識である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27

ロバート・ゲーツ語録37
→彼らのサイバー戦、対衛星・対空・対艦兵器、弾道ミサイルへの投資は、米軍の主要なプロジェクション能力と同盟国の支援能力を脅かす。特に前線海外基地と空母機動部隊に対して顕著である。またそれらへの投資は、足の短い戦闘機の有効性を殺ぎ、どのような形であれ遠方攻撃能力の重要性を増す→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
ロバート・ゲーツ語録79(2011年1月の発言)
→北朝鮮は米国に対する喫緊な脅威ではない。一方で、今後5年間に関してはと言うことである。正確に言うならば、その程度の時間で、北朝鮮はICBMを開発するだろう→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1

ロバート・ゲーツ語録100選
http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19

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空母艦載無人空中給油機MQ-25Aのスケジュール感 [Joint・統合参謀本部]

MQ-25A.jpg12日付米海軍協会web記事は、米海軍航空システムコマンドへの取材等をまとめ、初の空母艦載無人機となるMQ-25A空中給油機今後のスケジュールと搭載予定空母について紹介しています。

同コマンド報道官は、「MQ-25A Stingray」の作戦投入について語るのは時期尚早だと言いながらも、2020年には運用開始したいとの意向を米海軍首脳が示すなど、結構なスピード感で進んでいる様子が伺えます

4社が機種選定に挑む予定だとか、技術的な問題はX-47Bの試験を通じかなり固まっている雰囲気だとか、そんなに開発リスクが無いような印象を受けました。

12日付米海軍協会web記事によれば
MQ-25A-2.jpg●要求する姿が激しく揺れ動き、重装備の突破型攻撃機から軽武装の偵察機兼務に議論が広がり、最終的には空中給油任務を主とする現在のMQ-25Aだが、最初に2つの空母、George H.W. Bush (CVN-77)とDwight D. Eisenhower (CVN-69)に搭載することになり、まず空母ブッシュに無人機管制装置やデータリンク装置を約30億円で搭載することになったと同報道官は語った
●なお空母ブッシュは、2013年に艦載無人機技術デモ機のX-47Bが、初めて着艦に成功した空母でもある

●具体的に、同空母に何時上記装備を搭載するか不明確だが、米海軍トップのJohn Richardson大将は、同機の開発を急ぎ、2019年には搭載し、2020年には戦力化したい意向を他幹部と共に示している
●米海軍は現在、2017年末には提案要求書を発出する方向で準備を進めているが、4企業(General Atomics, Lockheed Martin, Boeing and Northrop Grumman)が対象となる見込みである

MQ-25A-3.jpg●なお、2018年度予算には約250億円のMQ-25A開発研究費が計上されているが、空母ブッシュに必要装備を搭載する経費は、燃料交換と大規模修理(RCOH)に入る空母G.ワシントンの運用経費から振り替える予定である
●MQ-25A開発研究では機体にどうしても注目が集まるが、予算の2/3は無人機管制装置やデータリンク装置の開発等に充当されており、米海軍航空コマンドに託されている

●同報道官はMQ-25A導入後の運用について語るのは時期尚早としているが、米海軍が同機の導入を急ぐのは、FA-18の飛行の約3割が空中給油任務に裂かれており、対ISIS作戦等の激化と共に機体への負担が急増しているからである
●なお米海軍は、空中給油機だけでなく、次のステップとして攻撃や偵察任務を担う艦載無人機に向かうはずだが、MQ-25Aと同様に様々な要求性能や任務に関する意見が飛び交い、米海軍として議論が煮詰まらない状況にある
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MQ-25A-4.jpg突破型攻撃機のUCASから、ちょっとソフトなUCLASSと呼ばれた時期には興味があったのですが、ドロドロの水面下議論を経て空中給油機となった「MQ-25A」には全く興味が湧かなかったのですが、2020年の作戦投入を目指すとの「意気込み」に興味が少し復活しました

なにせ、FA-18操縦者の要求度が高い装備ですから、米海軍内での推進力も期待できましょう。円満に機種選定が進み、開発や試験が順調である事を祈りつつ、ご紹介と致します

空母艦載無人機の経緯と現状
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27
「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02

「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

「関連企業とRFP最終調整へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19
「会計検査院が危惧」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-10
「X-47B空中受油に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-05
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1

「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21

「米海軍のNIFC-CAとは?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「脅威の変化を考えよう」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

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米会計検査院が不明瞭な操縦者養成&訓練を非難 [米空軍]

GAO-report.jpg13日、米会計検査院(GAO)が米国防省の課題と対処状況を評価した84ページの報告書Actions Needed to Address Five Key Mission Challenges」を発表し、2006年以来、会計検査院が指摘してきた3000個の要改善事項への取り組みを評価しています。

GAOが指摘した「5つの主要課題」は、「即応態勢」「サイバー脅威対処」「高騰する兵器価格と医療費」「人的資源の管理」「業務効率性の改善」の5つで、これら課題に過去約10年間で約3000個の指摘をしたが、約1000個の指摘が放置されており、中でも優先度の高い78個の指摘放置を問題視しています。

指摘事項の放置について報告書は、「継続的な指揮官の関与が欠如」や「役に立たない(inefficient)戦略計画」など4つの原因を挙げ、特に「役に立たない戦略計画」では米空軍がその批判の対象になっているようです

本日はこのGAO報告書を米空軍応援団の立場で紹介している、14日付米空軍協会web記事を取り上げ、GAOによる米空軍関連の主要な2つの指摘と米空軍協会の弁明(米空軍の代理で反論)をご紹介したいと思います

パイロットに必要な飛行時間の件など、防衛省や航空自衛隊内部では誰も恐くて口に出来ない重要課題が、しっかりGAOが取り上げている点に注目したいと思います

14日付米空軍協会web記事によれば
F-15 upgrades.jpg●人材管理に関しGAOは米空軍に対し、戦闘任務に就く搭乗員に必要な年間飛行訓練量を見積もる前提について、包括的な見直しを2012年以来行っていないと指摘している。
●そして必要な飛行訓練量見積もりの前提は、必要な年間飛行時間(航空機の維持整備費や燃料費や減価償却費に直結する数値)、搭乗員の技量判定の基準、訓練における実飛行とシミュレータ訓練の割合などなどに直結することから、GAOは重大な関心を寄せている

●またGAOは報告書で、米空軍はA-10早期退役の影響を減ずるいくつもの対策を行っていると主張するが、A-10が果たしている任務に必要な要素を明らかにしないので、A-10が退役する事によって生じる能力不足を完全に把握できていないと厳しく指摘している
A-10 4.jpg●そして過去にGAOが何度も、A-10早期退役により生じる能力ギャップに関する正確な情報を、A-10退役決定までに提供せよと勧告しているが、(やっと)2018年度予算案で勧告に沿った動きが見え始めていると報告書は表現している

●またGAOは、米空軍は陸軍と共に、無人機操縦者の必要数把握に失敗しており、また無人機操縦者を文民で確保する検討を怠っていると指摘している

●全体としてGAO報告書に新たな指摘事項は無い。報告書は、国防省は重要な主要課題についての取り組みを行い、かなりの成果を収めているが、重要な課題がまだ残されており、国内外共に不確実性を増す時代に於いて、更なる取り組みが欠かせないとまとめている

米空軍協会による反論説明
RQ-4 pilot2.jpg●GAO報告書に対し、先日まで空軍長官代理を務めていたLisa Disbrow女史は、多くの指摘事項や問い掛けについては、現在まとめている国防戦略見直し(defense strategy review)で答えることになろうと述べている
無人機操縦者に関しては米空軍が2015年12月に大規模な態勢見直しを発表し、下士官をRQ-4操縦者に導入することや、無人機操縦者や整備員のキャリア管理や人事管理見直し、更に予備役や州軍兵士の支援を得ること等の施策に取り組んでいる

操縦者不足については米空軍指導部が複数回に亘り民間航空会社幹部と会談して対処策を検討しており、勤務時間を区切って空軍と民間会社の両方で勤務する可能性まで議論の対象としているところだ
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日本の会計検査院も、是非GAOが着目している「必要な飛行訓練量見積もりの前提(the assumptions underlying the annual training requirements for its combat aircrews)」を、精査対象にして頂きたいものです

会計検査院.jpgGAOの説明通り、この前提により必要な年間飛行時間が決まり、飛行時間のかけ算で膨大な経費が発生しますから、突っ込みどころです。
作戦運用の細部に関わる部分ですから、文民の皆さんには突っ込みにくいところですが、パイロット以外には不満が渦巻いていますから、側面からのアプローチが有効かも知れません。

少なくとも米国防省の年次レポート「中国の軍事力」は、中国軍が「短期間の高列度紛争で地域紛争を制する」ための準備(弾道・巡航ミサイル、サイバー・宇宙・電子戦に注力)を進めていると明言しており、空中戦など生起する可能性は大きく低下しているはずです。
どう考えているの? と質問するくらいの国民目線を日本の検査院にも共有して頂きたいものです

また、米軍にも世界の空軍にも無く、航空自衛隊だけが採用している「年間飛行」なる奇妙な制度も突っ込みどころでしょう。
有事になっても実戦で航空機を操縦する事がない(極めて可能性が低い)老齢操縦者に、年間数十時間の飛行訓練を義務づけている制度です。

GAO報告書の現物(1.7MB)
http://www.gao.gov/assets/690/685227.pdf 

会計検査院関連の記事
「再び:GAO対国防省F-35室」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-27
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01
「核戦力維持には10年36兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「空軍の無人機操縦者処遇を非難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-16

7日発表:米国防省「中国の軍事力」レポート
https://www.defense.gov/Portals/1/Documents/pubs/2017_China_Military_Power_Report.PDF

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こっそり米海軍がFA-18の80機以上増強を計画 [Joint・統合参謀本部]

2018年度予算の14機取得が最後のはずだったのに

F-35 Navy.jpg13日付米海軍協会web記事は、米海軍が2019年度予算案説明のため13日付で上院軍事委員会に提出した証言書類に、今後5年間で80機以上のFA-18を購入する計画が盛り込まれていると紹介しています。理由は何時ものように、対ISIS等の作戦で予想以上に酷使され、必要な機数維持が出来ない・・・です

米海軍は2017年度予算でFA-18を2機、そして2018年度予算の14機取得でFA-18調達を終了する予定でした。それがいきなり「最低80機を調達する」との計画を持ち出し、今後5年間の各年度に最低何機づつ購入するかの計画も明らかにしています

カナダがF-35購入に慎重で「とりあえずつなぎに」18機購入方向で、クウェートが最低28機の購入を決定して生産ラインが更なる増産可能な態勢を維持する中、米海軍だけの構想段階ですが気になる増強案打ち上げです

何と言っても米海軍がF-35計画から逃げ出したがっているとの絶えない噂と、トランプ大統領の誕生前後から、「高価で開発遅延のF-35の代わりに、改良型FA-18の購入を検討」との大統領ツイートでFA-18が脚光を浴びている所でもあり、とりあえずご紹介致します

13日付米海軍協会web記事によれば
FA-18EF.jpg●13日に米海軍が上院軍事委員会の海洋戦力小委員会に提出した資料に、「2018年度予算で米海軍は14機のFA-18を購入するが、議会のご協力を得て、現有機の近代化と併せて、(今後5年間の装備導入計画である)FYDP間に最低80機を追加導入したい」、「この追加購入計画は、既存航空機の延命や能力向上と併せて実施し、米海軍戦闘攻撃機の機数低下の影響を軽減するものである」と説明している
●昨年までは2019年度以降にFA-18を要求する計画は皆無だったが、13日の証言書類には、2018年の14機に加え、2019年に23機、2020年度に14機、2021年に14機、2022年に15機をそれぞれ要求し、計82機を今後5年間のFYDP(Future Years Defense Program)で要求する計画になっている

●ただし国防省は、2019年度予算案発表時に、来年度以降の計画案は昨年時点の前政権計画を形式上記載しているだけで何ら意味はなく、現在実施中の「国防戦略見直し:defense strategy review」で明らかにすると説明している
●実際、2019年度予算案を説明した国防省高官も、「マティス長官は2019年度案の後のことは何も報告を受けておらず、何も決まっていないので、FYDPについて比較や議論をしても意味が無い」と述べていた

FA-18EF2.jpg●従って米海軍も2019年度予算案説明資料に「80機以上増強計画」は含めておらず、その後の補足資料で初めて明らかにし、今回上院への説明資料に含めた段階である。
●ただしこの80機以上増強案は、トランプ大統領がマティス国防長官にF-35と改良型FA-18の比較を命じたこともアリ、米海軍がF-35計画から離脱するサインでは無いかとの憶測を呼んでいる。

●もっとも、同日上院軍事委員会で証言した米海軍航空作戦部長であるDeWolfe Miller少将は、F-35とFA-18を比較する質問を多数受けるが、両機が相互に補完する事で、将来の米海軍や空母群の作戦は計画されており、両機とも必要だ」と説明している
また米海兵隊航空部隊副司令官のJon Davis中将や海軍システムコマンド司令官Paul Grosklags中将は同委員会で、海兵隊のF-35B型も海軍のF-35C型も順調に部隊展開や開発が進んでいると証言した。

●海軍のGrosklags中将は具体的に、ソフトのリセット頻度が、従来は5時間毎だったが、現在は40時間毎と受け入れ可能なレベルになっていると証言した
●また海兵隊Davis中将は、F-35B型の維持運用コストが予定より低く抑えられ、現在も更なる運用コスト削減に向けた検討に、部隊と企業が協力して取り組んでいると語った
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FA-18EF3.jpgF-35やFA-18の事をよく知らないトランプ大統領の発言は「話半分」で聞いておくとして、米海軍がF-35調達機数を見直す流れにあるのは間違いないと「勝手に」思います。

F-35とFA-18が相互補完関係にあるのはその通りでしょうが、Bogdan前F-35計画室長が退任直前に明言したようにF-35の価格高騰が明確な今、両機の購入比率を変えようと考えるのは当然の動きでしょう。

ソフトのリセット頻度が「40時間毎になった」と本心で喜んでいるとは到底思えず、言わされている感が漂っています。

Bogdanが最後になって正直に
「F-35価格は上昇する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-23

FA-18を巡る米国の動き
「トランプ言及のFA-18改良型?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-07
「再びトランプがFA-18大量購入を示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-18
「2/3が飛行不能の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07

「政治ショー?F-35価格削減公表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-25
「F-35の代替にF-18改良型を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13

「カナダがF-18人質に米国と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20
「国防副長官候補にB社幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

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マティス長官が核態勢見直しNPRの状況を語る [マティス長官]

mattis senate.jpg14日、マティス国防長官が上院予算委員会国防パネルに出席し、4月から開始されて年末に大統領への提出を求められている「核態勢見直し:nuclear posture review」について、取り組む姿勢などの視点から証言しています

もちろん、まだ具体的な方向性が固まっているわけではありませんが、今後話題になりそうな論点や視点が幾つか議員から質問され、またマティス長官の説明振りから姿勢も感じられますので取り上げます

老朽化著しい核兵器や関連施設の更新や近代化には、ざっくり「130兆円」が必要と言われているようです。

でも、全く性格の異なるサイバー空間での戦いが出現し、「究極の抑止兵器」であった核兵器の存在にも、様々な問いが投げかけられる時代です。「130兆円:$1.2trillion」に一言言いたくなる気持ちはよく分かります!

15日付米空軍協会web記事によれば
mattis senate2.jpg●マティス国防長官は議会で、核態勢見直しを通じ、将来の核兵器の役割や、それら兵器が決して使用されることが無いように強いる抑止のあり方について検討している最中だと表現した
●そして、最も効率的でコスト意識の高い形で核抑止を成立させるような、核兵器3本柱のあり方を再検討していると証言した

●マティス長官は今週、米空軍のICBMは破棄すべきと主張するWilliam Perry元国防長官や、国務省で軍備管理担当次官も務めていたRose Gottemoeller元NATO副事務総長と、「軍の核兵器部隊を学ぶ事から始めるため」会談している
●民主党のDianne Feinstein議員は国防長官に、米空軍が提案しているLRSO(long-range standoff weapon:空中発射巡航ミサイルAGM-86Bの後継)の必要性を問いただしつつ、総額で130兆円とも言われる核兵器や関連設備の更新&近代化経費に関し、何を優先するかや、ロシアとの薄氷の合意であるINF全廃条約へのLRSOの影響について質問した

mattis dunford.jpg●国防長官はLRSOについて、「LRSOはロシアとの関係を不安定化し、軍拡競争を招く恐れがあるとハッキリ述べておく」と証言し、一方で国防省としては爆撃機の残存性を保つ必要性とスタンドオフ兵器の必要性を吟味する必要があると語った
●また長官は、ロシアによるINF条約違反の可能性と、ロシアがオープンスカイ条約からの離脱を決定した場合の影響についても、核態勢見直しの中で検討していると説明した
/////////////////////////////////////////////////////

経費枠の問題、3本柱の維持是非と優先度の問題(ICBMと戦略原潜の後継検討、加えてLRSO是非)、INF全廃条約やLRSO導入是非、ロシアとの関係全般等まで幅広い論点がアリ、これに加えて、サイバーや宇宙ドメインでの新たな戦いを踏まえた新しい抑止議論も前提となる今回のNPRです

Trump Mattis.jpg別の観点として、議論の最中にトランプ大統領の仰天ツイートや発言が飛び出す可能性もアリ、混戦&乱戦&場外乱闘何でもありの展開が予期されます。

北朝鮮問題との関連では、三浦瑠璃さんが「米軍による日本への核兵器持ち込みを容認すべき」との立場を表明されていますが、日本としてはこの議論を持ち出すのであれば今がそのタイミングでしょう!

21世紀の抑止概念を目指す
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

NPR(核態勢見直し)関連
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19

米新政権の国防予算を考える
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

ロシアのINF条約破り
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

戦術核兵器とF-35記事など
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

「RAND:中国の核兵器戦略に変化の兆し」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-19

三浦瑠璃女史の北朝鮮と核持ち込み
http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2017/04/24/000359

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「北極海ブームは幻想」との見方 [安全保障全般]

北極海航路1.jpg雑誌「軍事研究」2017年5月号が、文谷数重氏による「幻想に過ぎぬ北極海ブーム」との論考を掲載し、北極海の「氷」減少による北極航路の活性化やそれに伴う北極資源開発は、日本にとって(中国にとっても)積極的に関与する意味がほとんど無いとの意見を紹介しています

もちろん、北極海沿岸国にとっては航路の活性化はそれなりの意味があり、将来軍事的な側面に影響を与える可能性は依然あるのですが、それ以外の国にはメリットは少ないと筆者は主張し、何となく雰囲気が醸成されつつある「北極海ブーム」を煽る経済誌やマスコミ、またそれに載せられて前のめりな日本政府の姿勢も戒めています。

具体的には、北極航路の「スケールメリットの欠落」、「厳しい気象条件」、「輸送需要との乖離」を理由に挙げ、沿岸国以外にとって有効活用が難しいと説明し、徐々に問題点への理解が進みつつアリ、「北極航路は期待はずれに終わる」と断言しています

まんぐーすも「北極海ブーム」を冷静に見るため、基礎的なことをお勉強しておきたいと思います

北極航路は「スケールメリットが欠落」
北極海航路2.jpg北極航路は浅瀬があるため大型船の運航が出来ず、スケールメリットが享受できず運送コストが高くなる。具体的には水深13mのサルニコフ海峡がネックになる
●海運の比較基準単位(TEU:20フィートコンテナが何個積載可能か)で言うと、南回りでは2万TEU以上の輸送船が出現する中、北極海航路では4千TEUが限界

●船舶の搭載量を2倍にしても、船の価格、燃料費、乗員人件費等を総合しても経費は1.58倍に程度で収まることから、輸送距離の短さを勘案しても、スケールメリットを生かせない北極海航路は南回りに太刀打ちできない
横浜からハンブルクまでの海運経費をコンテナ1個あたりで比較(2万TEUと4千TEU使用で換算)しても、北極海航路の経費は、スエズ運河経由(運河使用量含む)や喜望峰周りに太刀打ちできず、パナマ運河経由よりも高くなる

厳しい気象条件
北極海航路5.jpg北極海航路の気象条件は不安定で厳しく、安定運行できない。また冬季は使用できないのも大きい
夏の間も安定しない。年による氷や天候の変動が大きく、北極海航路の使用可能期間の予測が難しい。また夏季でも高緯度帯にある北極海航路は、不安定で厳しい気象条件に陥りやすく、濃霧の影響も懸念される

●この様に定期運行と相性が悪いことは致命的海運は決まった曜日の決まった時間に出航し、決まった曜日に目的地や寄港地に到達しなければ港湾施設利用上の問題が生じるし、信頼関係が築けない
使用できるときだけ北極海航路を柔軟に使用するとの考え方では、海運業界のなかでは成功が見込めない

世界の輸送需要と航路の乖離
北極海航路3.jpg東西海運の世界需要の柱は、中国沿岸部から欧州のロッテルダムやアントワープ港への輸送が圧倒的だが、この2地点の距離は北極海航路は1.6万kmで、スエズ経由は1.8万kmであり、距離短縮のメリットも北極航路にほとんど無い
加えて北極航路は砕氷船や流氷を避けての航行で速度が落ち、到達時間は同じか余計に必要な可能性も高い。北極海航路最大のメリットである日数短縮も怪しいのが現実だ

●また南回りでは、シンガポール等の海運のハブに寄港して荷物を入れ替えたり加えたりする事で、船舶の輸送容量を最大限効率的に活用可能であるが、北極海航路にはその様なオプションは無い
●更に速度を追求して北極海航路を最大限生かすにしても、ユーラシア大陸の鉄道輸送もライバルとなる。鉄道では途中で積み替えもあるが、それでも北極海航路より早く、毎日のように出荷も可能となる
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以上の様な海運上の北極航路と他の南回り航路との比較だけで無く、「北極海ブーム」のよりどころである「未開の資源開発」にも筆者は厳しい目を向けています。

北極海航路4.jpg具体的には、資源開発の困難性や資源国際価格の低迷等から、「月に核融合用のエネルギー源が豊富にある」との辛辣な表現で、埋蔵は確認できても、コスト的に採算の合う採取・輸送・利用する方法が無いと言い切っています

そしてこの様な現実的な視点が現場や専門家ではかなり共有されているのに、国土交通省以上の政府で認識が不十分だと訴えています。

以上のお話しは、日本や中国の海運業からの視点でアリ、安全保障上の視点からは別の見方もありましょうが、「知らなかった・・」お話しなどで取り上げました

あわれ米国の砕氷艦
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

北極圏:米国防省と米軍の動き
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

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