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被害状況下に備え海兵隊が訓練改革 [Joint・統合参謀本部]

Neller3.jpg14日付Defense-Techが、Neller海兵隊司令官の強いリーダーシップの下、米海兵隊部隊がサーバー攻撃等で被害を受けた状況を想定した訓練に取り組む様子を伝えています。

昨年8月のCSIS講演で同司令官が力説していたように、現在の米軍はITデバイスに依存しすぎ、敵からサイバーや電子戦攻撃を受けた場合、自身や友軍の位置特定や通信までも不能になる可能性があると危惧されています

そこで同司令官は戦いの原点に帰ることを部隊に要求しており、CSIS講演でも「自分が背負って持ち運べる装備や食料で生き延びよ、穴を掘れ、カモフラージュして身を隠せ、全ての電子デバイスの電源を切れ、屋外に身を隠しそこで寝られるように訓練せよ」「音を立てるな、何も外部に発するな。さもないと敵に発見され攻撃されるぞ」と米海兵隊部隊に教育していると力説していました

本日はそんな米海兵隊の中で、昨年秋にアフリカに派遣された部隊(Special Purpose Marine Air-Ground Task Force-Crisis Response-Africa)が、派遣前に行った準備訓練の一端を記者団に説明したようですのでご紹介します

14日付Defense-Tech記事によれば
Marine-okinawa.jpg●特別編成部隊の指揮官だったDan Greenwood大佐は、「何度もアナログ時代に戻って訓練した」と語り、「サイバー攻撃を模擬して通信ネットワークを遮断し、コンピューターをオフにして、無線一つだけを通信手段として対応することを強要した」と訓練を説明した
●また同大佐は、紙の地図やコンパスなど、原始的とも言える道具を使った作戦遂行を海兵隊歩兵部隊に要求したと説明し、「我々が若い頃に学んで育った手法だ。その様な基本技術を思い出させる訓練を行った」と語った

●一方で同大佐は、展開先によってはオフラインでの戦いが大きな課題となる地域もあると表現し、米本土の2倍の大きさがあるアフリカ大陸の広大さを指摘した
●そして「アフリカのような広大な大陸では欧州での作戦と異なり、大陸のどの地域にいるかによって衛星通信の異なる周波数を使用する必要がある」、「アフリカ大陸内の3000km離れた2地点で意思疎通が必要な場合、それはワシントンDCとカリフォルニア間で通信するようなものであり、衛星通信なしで代替手段を考えることが難しい」と指摘している
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昨年8月のCSIS講演で海兵隊司令官は自虐的に
Neller4.jpg●最近のある海兵隊演習で、展開先で司令部施設を設置する訓練を行い、仮設の指揮所施設に大きなカモフラージュ用ネットが被せられた。敵の航空攻撃を想定する必要が無かった最近の実戦では、あまりやらなかった訓練である。
●ネットの偽装効果を確認するため上空からの映像で検証すると、仮設指揮所の周りに張り巡らされた様々な通信ケーブルやワイヤーが太陽光を反射し、重要な施設が中心に隠されていることが手に取るように明らかだった。敵なら容易に発見できる状態だった。そしてその欠陥に部隊の誰も気付いていないのだ

●これまでの対テロ戦の敵とは異なる相手と対峙しなければならない現実を直視し、自分自身の姿を見直せ。考え方を変えなければダメだと教育している
●イラクやアフガンでは、聖域的な位置づけの整った拠点から出動し、拠点から機動展開することもなく、ダイニングホールで食事し、挽き立てのコーヒーを飲むことが出来た環境だった
ハイテク技術の活用とその利用が不可能になった場合への備えのバランスが重要で、戦いに於いては全てが不透明で不確実だ

また今年2月には部隊に指示を出し
Marine-okinawa.jpg過度の飲酒や喫煙、更に食生活の乱れは敵を利することになる自己虐待」だ、「スマホなど電子デバイスを脇に置き、安楽椅子から離れ」、食事のバランスを考えて体重管理を行い、健康管理を再確認せよ
海兵隊員の多くが所属する部署や大隊程度の範囲にしか視野が向いておらず、ストローの穴から世界を見るような狭い世界で暮らしているように危惧している。海兵隊員皆に、より大きな組織に属し、全員でその任務を遂行しているのだと言う事に思いを致して欲しい

建設的な意味でもっと楽しめ:Have more fun。兵舎で過ごすばかりでなく、サーフィンを始めるも良し、新しい語学を学ぶも良し、仲間や社会とのつながりを持ったり、地域の自然に親しんだりして余暇を過ごして欲しい
●海兵隊の訓練の厳しさから逃げるのではなく、仲間とぶつぶつ文句を言いながらも、笑い飛ばして取り組め。共に乗り越えた苦難は団結を強固にする。退役する時になって、一番思い出すのがこんな時の事なんだ
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Neller2.jpg今後この様な基本に返る訓練が、陸海空軍でも増えることでしょうし、Neller海兵隊司令官のような訓示が増えるのでしょう

でもアフリカならずとも、米本土から前線の作戦を指示することや、無人機を操縦することも難しくなりますよねぇ・・・。課題山積み・・・ですね

Neller海兵隊司令官の関連
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08 

被害状況下への備えを訴える
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

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