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日本導入グローバルホークの悲劇 [ふと考えること]

Handa.jpg20日付現代ビジネス電子版に、東京新聞の半田滋氏が「アメリカのぼったくり兵器の押し売りに、ノーと言えない防衛省」とのタイトルで寄稿しています。

半田氏に反感を持つ防衛省職員や自衛隊員は多いでしょうし、この寄稿にも恣意的に誇張した推測や憶測や表現が入っているのでしょうが、米国製兵器の売り込みに関しては、以下の様なやるせない」ストーリーが過去から現在に至るまで存在していることも確かでしょう

特に、トランプ大統領が「America First」で自国産業や雇用を最優先し、東アジアや西太平洋地域の安全保障の優先順位が必ずしも高くない現実からすれば、この傾向が続くと考えるべきでしょう

また、日米関係全体で貿易問題を「ディール」した場合、国民に見えにくく(国民を騙しやすく)国内を押さえやすい(制服組を中心とした防衛省さえ押さえれば事足る)防衛装備品で米国に妥協する恐れ(可能性)は極めて高いと言わざるを得ません

そんな時期の日米関係ですので、紹介するのも気が引ける「やるせない」半田寄稿ですが、目を背けてばかりでは変化も起こせないので「つまみ食い紹介」致します

20日付現代ビジネス電子版半田寄稿の概要
RQ-4 1.jpg●情報機能強化の切り札?として、防衛省が調達を決めた無人機偵察機「グローバルホーク」。3機購入を決めているが、米政府は調達から廃棄までのライフサイクルコストについて、機種選定の際に示していた金額の2倍近い3000億円以上を吹っ掛けてきた
●「えっ、また言ってきたのか」・・・4月中旬、米国防省を通じ、グローバルホーク製造企業が機体価格を合計100億円値上げすると防衛省に通知してきた。慌てた防衛省は5月半ば、急きょ担当幹部を米国へ派遣、国防省や同社と協議を開始した。

機体価格は1機158億円で3機計474億円。これを合計600億円程度まで値上げするという。値上げは初めてではない。防衛省は2014年、無人偵察機の機種選定を行ったが、ライフサイクルコストは約1700億円だと説明していた米政府が、機種選定終了後に3269億円に上方修正した。
●「安値で釣り、高値で売る」という催眠商法のような米国流の武器商売だ。防衛省は機体価格だけでなく、地上装置や整備用器材などの導入に初期費用を約1000億円負担する。更に維持管理のための費用が毎年約100億円もかかる。

米国のいいなり:悲しきFMS購入
RQ-4 Misawa.jpg●この一方的な価格高騰などには、日本が米政府から直接購入するFMS(対外有償軍事援助)という米国独特の売買方式が関係している。購入する側に著しく不利な内容だが、高性能の武器が欲しい国は甘んじてFMSを受け入れ、米国は160カ国以上とFMS契約を結んでおり、日本も例外ではない。
●FMSは米国の武器輸出管理法に基づき、①契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されない、②代金は前払い、③米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる、という不公平な条件を受け入れる国にのみ武器を提供する。

●それでも日本防衛に不可欠なら、我慢も出来るだろう。しかし、日本に提供されるのは期待した最新型ではなく、古い「ブロック30」というタイプ。FMSのため米政府の判断に従うほかない
●グローバルホークは陸上偵察用に開発され、洋上偵察には不向きで、尖閣諸島を含む東シナ海の上空からの洋上偵察にはミスマッチだ。(まんぐーす注:米海軍はグローバルホークを改良し、低空洋上偵察飛行に適したMQ-4を開発)防衛省幹部は「高価格なのに性能はいまいち、といったところ」と不満を漏らす

誰が希望した装備なのか不明?
RQ-4 block 302.jpgさらに奇妙なのは、グローバルホークは陸海空いずれの自衛隊も導入を求めていない。制服組の陸海空の幕僚監部ではなく、背広組の内部部局にある防衛計画課に割り振られている。背広組が武器導入の受け皿になるのは極めて異例だ。
購入後の扱いも、省内で押しつけあった結果、「飛行機だから」との理由で機体は航空自衛隊が管理し、「情報収集だから」との理由で情報本部が収集したデータを扱うことにやっと落ち着いたぐらいだ

●前出の幹部は「今では導入の切っ掛けがだれか不明で、自民党国防族にあたったが、だれも知らない」と困惑しており、近い性能で価格が数分の1のイスラエル製無人機の導入や共同開発も防衛装備庁が検討したが、稲田防衛大臣は記者会見でイスラエルとの共同開発について問われ、「現時点では計画はない」とあっさり答えた
●このまま行けばグローバルホークは2019年度末以降に配備されるが、費用対効果に見合うかどうか、米国によるさらなる日本支配の道具に使われないかなど論点が多いにもかかわらず、国会でまともに議論されたことは一度もない。
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半田氏は「36時間と滞空時間こそ優るが、精密な画像は上空から送れず、地上に戻って取り出す必要がある」とも記載していますが、あの田母神俊雄氏などは「一度先に米国へ送信され、その後日本に情報が回ってくる。重要な情報が米国に抜かれる可能性もある」と主張しています

osprey-marine.jpg圧倒的な軍事力と軍事技術力を持つ同盟国との関係ですから、多少のことは致し方なく、現下の憲法や防衛法制下で進めにくい運用研究や技術開発がある事も確かでしょうが、「脅威の変化」を踏まえ、防衛省や自衛隊がより先行的に、組織のしがらみを離れ、どんな装備がどれだけ必要かを議論していれば、米国や日本の政治圧力にも少しは抗することが出来るのでは・・・と思う次第です。

脅威の変化を考える
「東アジア戦略概観 2017で考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「F-3開発の悲劇と日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「ゲーツ長官語録100選」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
「脅威の変化を体に刻む」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08

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U-2偵察機は引退せず:RQ-4と共存へ [米空軍]

U-2 Dragon.jpg23日、米国政府の2018年度予算案が公開された事を受け、米空軍省の予算担当次官補代理James Martin少将が行った説明会見で、2015年に一度退役の方向が決定され、RQ-4グローバルホークを後継機とする事が決まっていた有人高高度偵察機U-2を、引き続き運用すると明らかにしました

U-2偵察機はキューバ危機当時から活躍している超ベテラン偵察機ですが、RQ-4導入後も、多様な高性能センサーを複数同時搭載でき、柔軟に搭乗員が任務を遂行できること等から、前線部隊からはU-2存続の要求が根強くありました

在韓米軍司令官や中東派遣指揮官からの要求が強く2014年当時のACC司令官も「政治が介入し、U-2はだめでGlobal Hawkを買えと言う。そして追加の予算もない」、「U-2を犠牲にする選択肢しか残されていなかった」と怒りをあらわにしていました

U-2 Dragon4.jpgその後2019年から引退開始の方向になったU-2偵察機の後継RQ-4に対し、能力向上とU-2から取り外した光学カメラや多用途センサーをRQ-4に移設搭載する計画が立てられ、Northrop Grumman社が能力向上センサーの開発に取り組んでいました

また、RQ-4の維持費がU-2よりも高額である事も問題となりましたが、一応、RQ-4の維持費も改善が見られ、長期的には老朽化したU-2より安価だとの解釈になっています。

しかし部隊には「U-2愛」が強くあり、また第3者のLockheed Martin社が、RQ-4だけではU-2の穴埋めは不可能だと「TR-X」計画を進め、U-2のエンジンや各種センサーを再活用するステルス無人偵察機を提案までする混戦模様にありました

23日付DODBuzz記事によれば
U-2 Dragon2.jpg●23日、2018年度米空軍予算案の説明会見でMartin少将は、2019年度からU-2を退役開始させる計画を取り下げると述べた。退役計画は2017年度予算にも含まれていたが、2018年度案には含まれなかった
●同少将は「U-2退役時期に言及することは無く、U-2を今後も維持する事にした」「U-2の能力も必要だし、代替機だけではカバーできない任務量がある」と説明した

予算の不透明性からU-2退役を検討したが、「2014年8月以来、世界は変わった」と述べ、対ISIS作戦が始まった時期に言及しつつ判断変更の理由を説明した。
●最終的な2017年度予算額の増額等を考慮し、「より多くの資源投資が可能になったことを受け、(RQ-4とU-2の)両方を活用する事にした」と語った。ちなみに2016年時点で米空軍は、U-2退役により約2500億円の経費節減効果を見積もっていた

RQ-4を製造するNorthrop Grumman社は、RQ-4のセンサー能力をU-2レベルに向上させるための技術開発や試験を進めてきており、例えば今年2月、新しい「MS-177 multi-spectral sensor」の試験を成功裏に行い、U-2が搭載している「SYERS-2」以上の能力を狙う取り組みをしていた
●その様な中であるが、米空軍は断固としてU-2偵察機を維持する事にした
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U-2 Dragon3.jpgU-2偵察機を維持する事で、Northrop Grumman社が準備していたRQ-4センサー能力向上がどのような扱いになるのか不明です。

今回のU-2とRQ-4共存の判断が、前線部隊には歓迎されるのでしょうが、両機種維持は経費負担を重くすることになります。
また、RQ-4の増産にもマイナスでしょうから、RQ-4の海外売り込み圧力が更に高まり、日本などが被害を被るのでは・・と懸念します。既にブロック30を買わされた日本は被害者かも知れませんが。

いずれにしても、U-2偵察機の機体寿命はまだ40年近く残っているらしいく、搭載センサーも改修を重ねて高度なレベルにあるようなので、しっかり頑張って頂きましょう!!!

大人気U-2偵察機の記事
「空軍偵察アセットの現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-21
「最新機よりU-2がいい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23
「在韓米軍トップ:U-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26

「OMS装備で通信中継機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-25
「U-2はあと40年活躍?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-16
「映像高度7万フィートのU-2飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-07
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F-35計画の新リーダーと米空軍F-35調達の将来 [亡国のF-35]

Winter Bodgan.jpg25日、国防省F-35計画室長にMathias W. Winter海軍中将が就任し、約5年間にわたり同室長を務めてきたBogdan空軍中将が6月の退役に向け退任しました。

本日はWinter海軍中将の就任あいさつをご紹介しつつ、併せて3月に米空軍戦闘コマンドを最後に退役したカーライル氏が、退役直前の2月に行っていたインタビューでの米空軍F-35計画へのコメントを紹介します

Winter新室長は、決して前任者のように「ロッキード社との関係は、私の知る限り史上最悪」などと問題発言はせず、淡々と今後の仕事を概観する内容ですのでご安心を。
一方でカーライル司令官(インタビュー当時)は、米空軍が一貫して固執しているF-35調達機数1763機がいかにグラグラなもので、自縄自縛になっているかを強く示唆しています。

Winter新室長の就任あいさつとご経歴
Winter.jpg●F-35計画は単なる装備品計画ではなく、前線兵士を支える共通の目的に向かって集った、広範な利害関係者によって構成された真に世界規模の取り組みである。
●前線の兵士、利害関係者、我が計画室のメンバーは、継続的にタイムリーな意思疎通を図り、健全で透明性のある意思決定を行い、歯切れよく経費面で適切な事業遂行を通じて役割を果たしていく役割を担っている

●この大きな役割を果たすため、私は、成長していくF-35戦力を支えるため、今後進んでいく開発フェーズやフル生産体制整備、更に世界的な維持整備体制を拡大して整えていくことに焦点を当てて勤務する所存である

WinterF-35室長はどんな人?
1984年ノートルダム大学卒業で海軍に入り、空母艦載攻撃機A-6E Intruderの爆撃手・航法員として空母サラトガ、アメリカ、アイゼンハワー、ワシントンで乗艦勤務
Winter3.jpg●装備品開発や調達業務経験は、「Joint Standoff Weapon System」計画責任者補佐、F-35計画上級補佐官、F-35飛行推進主任エンジニア、トマホーク全面改修計画責任者補佐、戦術航空機計画担当幹部のスタッフチーフ、「Precision Strike Weapons」計画責任者などを経験

●将軍になってからは、「Naval Air Warfare Center」の兵器部門司令官、「Naval Air Systems Command」試験評価司令官補佐、「無人航空攻撃機」計画責任者、等を経て、2016年12月に副室長に就任するまでは米海軍の開発部門のトップであるCNR(chief of Naval Research)

一方で柱となる米空軍の見通しは不透明
(カーライル大将の発言:退任直前の2月)
Carlisle-FB.jpg●ここ数年、議会からは繰り返し、これだけ遅延して取得ペースが上がらないF-35の取得計画を見直すべきと指摘されている。確かに、米海軍や海兵隊が調達機数を削減する中、米空軍は一貫して1763機に固執している
●現計画では、F-35計画がスタートして半世紀が過ぎる2040年代まで、米空軍はF-35を調達し続けることになる。現在の調達ペースで、1763機にこだわる意味があるかと問われれても、わからない。しかし敵の脅威が想定以上に急速に伸びていることを考えれば、調達ペースを上げなければならない

●敵の急速な能力向上は、F-22やF-35の後継であるPCA(Penetrating Counterair)の需要を高める。F-35を1000機や1500機調達した時点で、資源をPCAに投入すべきかとと言われれば、恐らくそうだろうし、F-35の能力向上型に投資するのかもしれない
●来年にはソフト3Fが提供され、更なる改良である「Block 4」等に、すでに米軍や共同開発国が取り組み始めており、より多くの兵器や連接性や高度な電子戦能力の追加が期待されているからである

Carlisle-FB3.jpg●これらに加え、新たな技術の取り込みも米空軍は追及している。例えば、より小型で射程や破壊力の大きなAIM-120後継ミサイルを開発することで、第5世代機内部により多くの兵器を搭載することに取り組んでいる。
●また敵防空システムが強力になる中で、JDAMのステルス性や機動性を向上させた後継兵器も追及していかなければならない。更に、戦闘機を敵防空域深くまでエスコートする新たな電子戦プラットフォームPEA(Penentrating Electronic Attack)も必要

●遠方から迅速に攻撃できる兵器である超超音速兵器(Hypersonics)は、大きな可能性を秘めており、我々は引き続き取り組んでいる。しかし米空軍戦闘コマンドは現時点でそれほど期待していない
この兵器の大きな課題は、兵器先端に発生する大気との摩擦熱で、搭載センサーの働きに大きな障害をもたらすことである。
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カーライル退役大将は、若き頃、ロシア製(ソ連製)のMIgシリーズやSUシリーズに搭乗して弱点を把握し、米空軍パイロットに伝授する仕事をやっていたくらいの戦闘機乗りですから、戦闘機であるF-35への思い入れ大きいでしょうが、その彼をしてF-35調達数には全く自信がないようです

X51A3.jpgWinter新室長は「健全で透明性のある意思決定を行い、歯切れよく経費面で適切な事業遂行」を誓っていますが、それなら関係国との「継続的でタイムリーな意思疎通」で、早く追加経費や米軍の調達計画を透明性高く知らせていただきたいものです。

全く別の話題である超超音速兵器ですが、先端の高温化とセンサーの搭載が課題であることをTake noteしておきましょう

Winter新F-35計画室長の紹介
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29-1

Winter次期F-35室長の公式経歴 http://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=578  

PCAとPEA関連
「PCAよりPEAを先に導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

超超音速技術やPGC関連の記事
「艦艇配備の超超音速兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04
「超超音速ミサイルの脅威が大きな話題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

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あっぱれZuckerberg氏のハーバード卒業式講演 [ちょっとお得な話]

Zuckerberg.jpg25日、Facebook創立者のMark Zuckerberg氏が母校(中退)の卒業式で約30分の講演を行い、その全文を 倉本圭造さん(経営コンサルタント・経済思想家)が日本語訳されて26日付ブログに掲載されました。

素晴らしいです・・・。若造のIT長者くらいに見ていましたが、大学在中から始めたFacebookをこれまでにした経緯やその過程で学んだことを基礎とし、年齢が10歳ほどしか変わらない卒業生を同世代として語り掛け、同世代の「目的」や使命を訴えかけています。

そして彼らの世代の「目的」として、「自分の人生の目標を見つけるだけでは不十分」で、世代の課題は「誰もが目的感を人生の中で持てる世界を創り出すこと」、「すべての人たちが、人生に意義を感じられる目的感を持てる世界を作ること」だと、世界の情勢や様々な経験を交えて語っています。

訳された倉本さんは、聞く人の立場によっては「偽善」に見えるかもしれないが、「超弩級に徹底した揺るぎない偽善」は、それ自体を多くの人が「善なるもの」として必要としているメカニズムというのもあるだろうというぐらいの迫力だ・・・と表現していますが、ぜひご自身で倉本さんの全訳をご覧いただきたいと思います

倉本さんのブログ「「覚悟」とは「犠牲の心」ではない」より
https://keizokuramoto.blogspot.jp/2017/05/blog-post_74.html

IT関連起業家の卒業式講演では、Appleのスティーブ・ジョブズ氏によるスタンフォード大学講演がよく知られ、「東京の郊外より」でも取り上げ(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-19)、キーワードであった「Stay hungry, stay foolish」の由来を推測してご紹介したことがあります

Zuckerberg4.jpgドットをつなぐと、振り返るとき道ができているものだ・・・と語り、ひたむきな努力の大切さを説いた死期迫るジョブズの講演もディープインパクトでしたが、優秀な頭脳とあり余るほどの資金を有する若手起業家が、世界と社会を真正面から見据え、正確な分析と的確な表現でビジョンを語る様子に、圧倒される思いで

以下では、倉本さんの全訳から、いくつかの部分を抜き書きで紹介しようと思うのですが、スピーチ全体で主張を生み出しており、一部を切り取り紹介することが不適切だと、つくづく感じながらの作業でした。

それでも、以下の「一部切り取り」を見て興味を持っていただき、ぜひ約30分間の講演の全文を映像と合わせてご覧いただきたいと思いから、「つまみ食い」をいたします。改めて倉本さんに感謝です

ハーバード大学提供の講演映像


Zuckerberg卒業式講演より「つまみ食い」
●ケネディ大統領がNASAを訪れた時のエピソード。ホウキを持ってる門番にケネディが何をしてるのかと訪ねたら彼はこう答えた。「大統領、私は人類を月に送る手伝いをしているのです」  「目的」というのは、僕ら一人ひとりが、小さな自分以上の何かの一部だと感じられる感覚のことです自分が必要とされ、そしてより良い未来のために日々頑張っていると感じられる感覚のことなのです。「目的」こそが本当の幸福感をつくるものなのです

Zuckerberg2.jpg●今は、テクノロジーと自動化技術が沢山の仕事を消し去っていっています。コミュニティへの所属感も消えてきている。多くの人が取り残され、抑圧されていると感じ、その空白感をなんとか埋めたいとあがいている。この社会を前に進めること、それが僕ら世代の課題です。新しい仕事を作るだけじゃなくて、あたらしい「目的感」をも作り出さなくちゃいけない

●Facebook創業から数年たって、ある大きな会社が僕らを買いたいと言ってきた。僕は売りたくなかった。僕はもっと多くの人を繋げたいということだけを考えていた。「より大きな目的感」がないなら、会社を売り抜けることはスタートアップの夢そのものだからです。このことで会社は分裂してしまいました。何年もたって、私は、それは「より大きな目的意識」がない時に起きる自然なことなんだということがわかりました。そういう「目的感」を作れるかどうかは自分たち次第なんです

●僕は世界に「目的感」を持ってもらうための3つの方法についてお話します。
その1・一緒に大きくて意味のあるプロジェクトについて語ること
その2・”平等性”を再定義して誰もがその目的に参加する自由を持てるようにすること
その3・世界規模のコミュニティを創り出すこと

すべての世代が、「平等」という言葉の定義を押し広げてきました。上の世代は、投票権と公民権について戦った。それらはニューディール政策とグレイトソサエティ政策に結実しました。今、僕らの世代が僕らの世代の新しい社会契約を結ぶべき時なのです。これからは、GDPのような経済的指標だけでなく、どれだけ多くの人間が、意味のあると感じられる人生を送れているか・・といった指標で社会の進歩を測っていくべきです

Zuckerberg5.jpg●そして、そう、あらゆる人にその目的を追う自由を与えることはタダではできません。僕のような人間がそのコストを支払わなくてはならない。そしてあなたがたの多くも、そうすべきだし、実際にすることになるでしょう。
●しかし問題はお金のことだけではないのです。時間のこともある。週に1時間か2時間あれば、誰かに手を差し伸べることはできます。その人がその人の潜在的可能性に到達できる手助けができるのです。

人類の歴史は、小さい集団からより大きな集団へ、部族から都市へ、そして国へ・・・と多くの人間が寄り集まり、協力しあうことで今までできなかったことを可能にしてきた物語であることを、僕たちは知っています。
●しかし、僕らは不安定な時代に生きています。世界中にグローバリズムに取り残されたと感じている人たちがいる。もし自分が暮らしているホームグラウンドで自分たちがちゃんと良く生きられていると感じていない時、世界のどこか他の場所の人たちのことまで考えるのは難しいです。そういう時には内向き志向の圧力が高まります

これは僕らの時代の課題です。自由と開かれたグローバルコミュニティと、権威主義や孤立主義、そして国家主義との争い。知と交易、移住する人の流れを促進していく力と、それをスローダウンさせようとする力とのぶつかりあい。これは国同士の争いではなく、考え方同士の争いなのです
国連で解決できるような問題ではありません。もっとローカルなレベルの問題ですもし人間が自分自身の人生に目的と安定を感じて生きていられれば、その時人類は「他の地域の人たちの問題」についてケアしあうことも可能になるのです。だからこそ最善の対処法は、今ここで、ローカルなコミュニティを立て直すことなのです

Zuckerberg3.jpg変化はローカルに始まります。グローバルな変化も最初は小さく始まる。僕らのような、僕らの世代において、もっと多くの人を繋ぐことができるかどうか、僕らの最大の課題が実現できるかどうかは、全てこのことにかかっているんです・・・あなたがコミュニティを創り出し、そしてありとあらゆる人が、自分の人生に目的感を感じられる世界を創り出すことができるかどうかにね。
2017年卒業生の皆さん、あなたがたは、「目的」を必要としている世界へと飛び込んでいきます。それを創り出せるかどうかはあなた方次第なんです。
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やはり、このスピーチは「つまみ食い」が難しいです
現代の社会や世界を描写する表現や、様々な彼の経験や取り組みも紹介しないと全体のイメージがつかめないのですが、そうするには全文をご紹介する必要が出てきます。

やはり、倉本さんの紹介文と全訳をぜひご覧ください
https://keizokuramoto.blogspot.jp/2017/05/blog-post_74.html

ジョブズ氏の「Stay hungry, stay foolish」の由来は!?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-19

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トランプ政権初の航行の自由作戦 [Joint・統合参謀本部]

アジア安全保障会議に向けたアジアへのアピールか?
今後の同作戦の推移にご注目!

USS Dewey.jpg25日、昨年10月を最後に中断していた南シナ海における「航行の自由作戦」がトランプ政権下で初めて行われ中国側もトランプ政権を試すかのようなコメントを行っていますのでご紹介しておきます。

それにしても、米軍事メディアにおける今回の「航行の自由作戦」の扱いは低調で、北朝鮮の核や弾道ミサイル問題にばかり注目が集まる中、間隙を縫ってヌケヌケと南シナ海で好き放題やっている中国の術中に、まんまとはめられている印象です

日本のメディアは流石に関心があり、26日付読売新聞は、トランプ政権が北朝鮮問題を優先課題とし、中国の協力を取り付けるため、米太平洋軍が2月以降に複数回の同作戦実施を上申したにも関わらず、国防省が認めなかったと紹介しています

Mischief Reef.jpgまた同報道では、トランプ大統領が中国主席とフロリダで会談後、2回に亘って直接中国主席に北朝鮮への働きかけを促し、催促する電話をしたが、期待する中国の動きが見られず、ついに中国を牽制する「航行の自由作戦」に出たとの見方を紹介しています

まんぐーす的には、恐らくマティス長官が参加する、6月2日からのアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)で、米国の立場を悪くしない配慮も少しはあったかも・・です
今後の展開を含めた視点が必要ですが、とりあえず半年以上振りの「航行の自由作戦」と中国側の反応をご紹介します

追記:24日朝、海南島の東方上空哨戒飛行中の米海軍機に、2機の中国軍機が異常接近したようです。いよいよ中国とトランプ政権の「探り合い」が「ジャブの応酬」になりかけています・・

25日付Military.com記事によれば
USS Dewey2.jpg25日、米海軍のミサイル巡洋艦「USS Dewey」が南シナ海で「航行の自由作戦」を行ったことを受け、中国国防省報道官は記者団に、米国当局に説明を求めるとコメントしている
●そして国防省報道官は、米艦艇が「中国が議論の余地が無い揺るぎなき主権を行使している」島々の近くを通過したと事象を表現しつつ、「中国は米国に誤りを正し、より前向きな軍事関係構築にエネルギーを振り向けるよう促す」と語った

●更に国防省報道官は付け加え、この様な行為は、海上における偶発的な事案のリスクを高め、「中国軍の軍事力強化を駆り立てるだけである」と述べた
●中国外務省の報道官は、「米国に過ちを正すように促し、当地域の平和と安全や、2国間の長期的な協力関係を害するこの様な行動を止めるよう求める」とコメントした

Mischief Reef2.jpg5月始めに超党派の議員団が、昨年10月から中断している「航行の自由作戦」の再開をトランプ大統領に求めていた
●米国防省の報道官は、アジア太平洋地域の米軍部隊は引き続き同作戦を継続し、「海空使用の権利と自由を全ての国に保障するため、過剰な海洋権益主張に対抗する」と語った


米海軍P-3Cに中国軍機が異常接近
26日に米国防省高官が米空軍協会に明らかにしたところによれば、24日朝0740頃、海南島の南東150マイルの公海上空を哨戒飛行中の米海軍P-3Cに対し、中国空軍のJ-10戦闘機2機が異常接近した
J-10.jpg●中国戦闘機は約20分間にわたり、米軍機を両側から挟んだり、進路前方を横切るなどして約200m以内にまで接近し、米側搭乗員は「不安全行為」だと認識した

●似たような事象では、2016年5月に同じく海南島周辺で米海軍EP-3E電子偵察機に対し、中国J-11戦闘機2機が異常接近した事例や、同地域で2014年にP-8A哨戒機に対しJ-11が異常接近した事例がある。
2001年のケースでは、E-P3に対し中国J-8が空中接触し、J-8操縦者が死亡、E-P3が海南島に緊急着陸する事態も発生している
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中国軍機による異常接近事例が発生頻度を増しており、「偶発的な事象」に発展することが懸念されます。

「航行の自由作戦」は、6月最初の週末に開催されるシャングリラ・ダイアログ(アジア安全保障会議)に向けた米国の一時的なアピールなのか、間隔を空けず、それなりに繰り返し実施されるのかに注目したいと思います

関連の記事
「同作戦中断への議員団抗議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-14
「比は航行の自由作戦の米軍機利用を認めない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11

過去のアジア安全保障会議の記事は・・
「2016年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30
「2015年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「2011年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2010年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

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米国防省予算案:相殺戦略の技術革新予算は確保か [マティス長官]

2018 budget.jpg23日、米国政府の2018年度予算案がメディアに公表され、様々な形で報道され始めています。全般には、国務省の海外援助予算が1000億円以上削減されている事が目立つ以外は、国防省予算に関してはオバマ政権時の方針のほぼ延長と捉えられています。

これは予算策定過程が1年以上前から開始されており急な変更が難しいこと、また種々の戦略文書見直しが現在実施中である事から来ています。

また政府予算案に関しては、議会の重鎮:マケイン上院議員(上院軍事委員長)が、議会に提出された以降に大幅な修正を行うと予告し、政府案を「我々の課題への対処に不適切で、現行法制からして違法な部分もアリ、議会に到着次第却下される部分もある」と明言しており、様々な分野で山あり谷ありが予想されています

特に、2011年の予算管理法(BCA:強制削減を規定した法律)が定めた基準額を「$54 billion」も国防省予算案がオーバーし、かつ非国防分野の海外援助予算が大きく削減されている原案は修正必至と言われ、国防費削減と非国防費増額の程度が議会での注目だと専門家は指摘しています

Mattis44.jpg国防予算に関するトピックとしては、帳尻あわせの穴埋めになりがちな弾薬購入予算に関し、対ISIS重視の視点からマティス長官が増額を強く主張して盛り込まれているとメディアが紹介しています。その他、引き続き国防省として基地の再編閉鎖(BLAC)を要求しています。

本日は様々な視点がある中、Work副長官らが前政権時から対中・対露のため精力的に取り組んできた、「第3の相殺戦略」や国防省SCO(戦略能力緊急造成室)関連予算など、研究開発方面の予算の状況を中心にメディア報道からご紹介します。

メディア的には、将来の戦いへの投資より目の前の戦いを優先したとの表現になりますが、暫定的に留任しているWork副長官の努力で、研究開発や民間技術取り込みもそれなりの扱いを受けているようでちょっと安心しました

23日付Defense-News記事によれば
2018 budget2.jpg●2017年度予算と比較し、2.3%の増の「$13.2 billion:約1.5兆円」を、国防省の「RDT&E Science and Technology」に要求している。これには「$2.2 billion」の基礎研究費と、「$3.1 billion」のDARPA予算が含まれている。
技術開発分野では、「semi-autonomous:半自律化」計画が(第3の相殺戦略など)国防省の技術革新を牽引する予算として大勝利を収めている

●Will Roper室長が率いる国防省SCO(戦略能力緊急造成室)の働きを昨年12月にWork副長官が高く評価し、関連予算増を予告していたように、昨年度から約300億円増の「$1.2 billion:1300億円」が要求されている
●国防省によれば、SCOは3つの分野を重視することとなっており、それは「ドメインをまたいで機能発揮するシステム開発」、「有人と無人システムのチーム編制」、「商用の一般技術や設計の迅速取り込み」の3分野である

●シリコンバレーやボストンに設置されている最新技術取り込み出張所(DIUx:Defense Innovation Unit-Experimental)予算も約50億円要求され、来年度はプロトタイプ製造から本格製造にシフトする装備にも着手する

米海軍予算案では
2018 budget3.jpg米海軍トップが訴えていた艦艇数増強(355隻体制)を体現するような予算案とはなっておらず、前政権時代の計画通り年間8隻の建造計画(空母1、攻撃原潜2、イージス艦2、沿岸戦闘艦1、補給艦とサルベージ艦各1)予算案である
●航空機予算は、F-35C型が2機減の4機、海兵隊型B型は計画通り20機、FA-18は14機維持、E-2D早期警戒機は5機。P-8哨戒機は1機増の7機

オスプレイMV-22は6機維持、大型無人海洋哨戒偵察機MQ-4は3機。ただし無人輸送ヘリMQ-8Cは3機の予定からゼロとなり、調達終了となる。海軍用のトマホーク巡航ミサイルは100発、SM-6は125発。
艦艇等運用経費と維持整備修理予算はほぼ横ばい。航空機整備予算は若干のアップ

米空軍予算関連では
2018 budget4.jpg米空軍全体では、本年度の「$171 billion」から「$183 billion」に上昇している。装備品調達経費も、部隊運用と維持整備経費も少し増額されているが、研究開発&試験評価予算が「$20.2 billion」から「$25.4 billion」に大幅増加していることが最も際立っている
●個別事業では次期制空機(PCA:Penetrating Counter Air)検討が、伸びが最も大きな事業で、検討が深化するにつれて「$21 million」から「$295 million」増加している

F-35は昨年計画時より2機増の46機を要求、ICBM迎撃ミサイルのGBSDへの予算も100億円増額B-21次期爆撃機の予算も1.3から$2 billionに増加トランプ大統領が難色を示している大統領専用機「Air Force One」についても昨年から80億円増加の「$434 million」が積まれている
●無人攻撃機MQ-9も16機、空中給油機のKC-46Aは15機、次期練習機T-Xも計画通り。しかし全般に装備品調達は停滞しており、前政権時代からの流れに変化は無い。特に輸送機のC-130Jはゼロである。

●一方でA-10やU-2の全廃案は含まれておらず、同じく早期退役が噂されているF-15Cも引き続きレーダーや電子戦装備の能力向上、更に機体の構造部材の延命措置予算も計上されている
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米陸軍予算案も全体として約8000億円アップの「$166 billion」案となっています。

2018 budget5.jpg冒頭説明の繰り返しになりますが、マケイン議員の「ちゃぶ台返し予告」あり、CSBAのハリソン研究員の「国防費削減と非国防費増額で妥協点を見いだす交渉となる」予想もあり、予算管理法による強制削減枠の話もあり、政府予算案レベルの右肩上がりは当てになりません

トランプ大統領の国防予算6兆円増宣言も、どこへいったのかしら状態です。まだまだこれから様々な分析がメディアや専門家から為されると思いますが、その参考の一つに供します

関連の記事
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「新政権と相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-04
「SCOの頑張り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10
「ボストンにもDIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27-1

Third Offset Strategy関連の記事
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26

「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
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送別:国防省F-35計画室長の最終インタビュー [亡国のF-35]

詐欺まがい:数年後価格上昇で付加的経費も発生へ
お疲れ様で・・・見送りたかったのに・・・

Bogdan 9.jpg25日に国防省F-35計画室長を離任し、6月に退役することになっているChristopher Bogdan空軍中将が、米空軍協会機関誌との離任インタビューに臨んでいます。
2012年12月に就任以来、強烈なリーダーシップと企業等との交渉で、何とかボロボロだったF-35計画をここまで支えてきた米国防省の大功労者でアリ、彼が去った後のF-35計画が心配なくらいです

だからF-35嫌いなまんぐーすも、Bogdan空軍中将の「人柄に惹かれて」、今日までチマチマと史上最大で最悪の兵器システム開発をフォローしてきたので、最後ぐらいは同室長の苦労話を暖かく紹介して終わりたかったのですが最後になって飛び出した本音ベースの価格上昇話には寂しい気分になりました。やっぱり色々包み隠して発言してきたのね・・・と。

F-35 3-type.jpg率直に正直で、正面突破のBogdan室長ならではの「正直発言」なのかも知れませんが、あまりに正直すぎて、過去の経緯も吹き飛ばしそうな内容に「口をあんぐり」です
後半部分の、クビを覚悟の仕事への取り組みや、国防省高官の強いサポート部分だけにしておけば、美しい退任会見になったのに・・・としみじみ思います。

皆さんこれからF-35価格はどんどん上昇し、追加改修や部品枯渇対策経費もうなぎ登りですよ・・・戦闘機命派の皆様はお覚悟を!(最初から知ってたのかも知れませんが・・・)

23日付米空軍協会web記事:発言要旨
Bogdan 8.jpgF-35の価格は過去5年間下がり続けており、今後3年間で1機90億円以下になるだろう。しかしその2~3年後には再び上昇に向かうだろう。なお、90億円以下との価格は、機体とソフトとセンサーからなるあくまで基礎価格(baseline)である
●また今後、製造機数が落ち込む(caveat)事があれば、最適な製造効率を保てずに価格に影響が出るという但し書き付(there’s a caveat)である。製造機数が減れば、最適価格になるのが遅れる(delay the most efficient rate)

2020年時点までに製造された機体は不十分な機体で、それらには2022-2028年の間に能力向上改修を行う必要があり、追加経費が必要
●「ソフト3F投入」に続く「Block IV近代化」は、現在検討中だが、全ての側面でF-35の能力を向上させる。多くの現有兵器と使用可能にし、将来の兵器にも対応させる。試験を通じてF-35のセンサーが素晴らしいことが判明しており、これを兵器と結びつける必要がある

F-35 F135engine.jpgF135エンジンの能力向上も保障したい。新たな部品を投入するか完全交換かは、米空軍研究所AFRLが取り組む研究成果次第だが、将来決定することになる
●F-35搭載の幾つかのセンサーについても、交換や改良が将来行われる。その中で確実なのが電子戦関連で、上空で予期しない新たな環境に対応できるような「see new threats and react」を目指す装備である

●F-35は膨大な「mission data files」に支えられているが、作戦対象地域の潜在的脅威を常にアップデートしておく必要がある。
●自動兵站支援システムALISの更新にも終わりは無い。ALISに関しては構成全体の変更を追求しており、いつか「クラウド」を活用し、中央集約型で飛行隊レベルの操作員のALIS維持やソフト更新業務を軽減・解放するような方向を目指している


約4年半の勤務を振り返り
F-35 luke AFB.jpg●2012年12月に現職に就任したが、就任が決まっていたその年の9月、F-35計画に関わる全ての関係者、軍、議会、共同開発国、企業等に対し、新たな保安官が着任すると注意喚起するため、「ロッキード社と政府との関係は、私が知る限りで最悪だ」とあえて発言した
●国防省F-35計画室は、根本的にロッキード社との仕事のやり方を変えるべきだと主張し、また改善は見られるがその変化速度が不十分だと指摘した。そして約5年が経過した今でも、依然として同社との間に信頼関係に関する問題が存在する

●2012年9月の発言は事実に基づいた発言であったが、あまりに乱暴が言葉使いでもあり、事前に上司に相談すれば発言を止められると考えて許可は得なかった
●何処で話をしても正しいことを話したが、言い過ぎだったこともあったかも知れないし、クビになる可能性もあっただろう。しかしそれで良かった。本計画を改善させるにはその様な姿勢が必要だと確信していたからだ
●F-35計画の根本的問題の一つは、業務に取り組む文化や態度であって、その変革が必要だったからだ。だから関係者全員に向け、修正すべき事の一つだと明示した

Bogdan 10.jpg私のやり方を許してくれた多くの上司に感謝している。米空軍省の調達幹部、米海軍のF-35準備室長、カーター前長官、Work副長官、ケンドール調達開発担当次官などなど、みんなが私を支えてくれた。
何回も危険を冒し、クビを洗って議論を巻き起こした。グラスをたたきつけるようなことを何度もしたし、上司が私をクビすることも容易だったろう。しかし彼らはそうしなかったし、そのことに感謝している

ロット5の15ヶ月間に及ぶロッキードとの交渉に苛立ち、「ロッキードは、国防省が同社から購入する最後の航空機であるかのように、再度の1ドルまで搾り取ろうとしている」と発言した際も、上層部から厳しい扱いを受ける可能性があったと思う
18ヶ月間の交渉をしたロット9の協議でも、国防省首脳は完全に私を支持してくれた。オフレコにしないと話せない様な協議の末でも、何とか協議をまとめられたのは上司の援護を受けられたからだ

●過去5年間でロッキードと政府の関係は良くなったと言えるが、まだ十分ではない。意思疎通が明確で透明性が増したが、時には苦痛を伴い、懐疑的にならざるを得ない
政府側は企業が前線兵士のことを最優先に考えていないと懐疑的だし、企業側も政府を信頼せず、長期的に政府が仕事を企業から引き上げるのではないかと懸念している。

F-35-night-burner.jpg装備品調達の自然な流れで考えれば、例えば米空軍は自身の組織で航空機の維持整備や部品調達を実施できる基盤を持つべきで、それによりプライム企業に常にお願いするので無く、能力向上や改修が内部で完結できる
●決して企業を罰しようとしているのではない。しかし自身で出来ないと能力向上や改修費用を捻出できない事があるのだ。企業でさえも能力向上や改修が出来ない事も時にはある

軍内組織で(能力向上や改修を)出来るようにするのが自然な流れだと思う。F-35計画でも、その流れを皆で共有して取り組めればより良いと考えるが、その様な関係には十分なっていない
●(信頼を高める処方箋は?との質問に、)信頼というモノは、双方の行動や行為を通じて、時間をかけて醸成されるモノであり、話し合って直ぐ変わるモノでは無い

Bogdan中将が語る思いで話はこちら・・
印象的なトラブル対処や結節(空軍機火災、HMD問題、着艦フック問題、ソフト3I開発、B型とA型のIOC、IOC後の世間の見方の変化)
http://www.airforcemag.com/Features/Pages/2017/May%202017/Turning-Points-Convinced-Bogdan-F-35-Would-Succeed.aspx
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Bogdan 7.jpg「しかしその2~3年後には再び価格が上昇に向かう」は分かりにくい部分ですが、製造機数減少や標準装備が完成して基礎価格が上昇等が原因だろうと読み取りました。
まだ最低限のソフトしか使用できず、最低限の機能発揮分の装備しか搭載していないから今は安価なのでしょう。

米軍でも追随できないような「能力向上や改修」や、もっと基礎的な「航空機の維持整備や部品調達」を、日本や諸外国はどうするのでしょうか?
前半部分でBogdan中将が次から次へと語った、手戻り改修や積み残し能力追加分を、いくら払って日本は行う必要があるのか、把握しているのでしょうか?

エンジンの改修や交換、センサー、「mission data files」からALISまで、何から何まで集金システムとして確立されているように思えてなりません。
後日、FMS契約の悲劇として防衛省が導入する「グローバルホーク」を取り上げますが、F-35はその10倍規模で「亡国」要素を持っているような悲しい確信を、改めて得つつあります

Bogdan中将の最初と最後
交代発表時→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29-1
就任時→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-05
発表時→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-09-1

Winter次期F-35室長の公式経歴
http://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=578

F-35の主要課題
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
F-3開発の悲劇と日本への提言
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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商用宇宙データも国家宇宙防衛センターNSDCへ [サイバーと宇宙]

Raymond&Buck2.jpg19日、米空軍宇宙コマンドJay Raymond司令官と米戦略コマンド宇宙作戦司令官であるDavid Buck空軍中将が、下院軍事戦略軍小委員会で証言し、この夏にも一般宇宙関連企業の保有する商用宇宙関連データも国家宇宙防衛センターNSDCで利用可能になると語りました

この国家宇宙防衛センター(NSDC:National Space Defense Center)は、今年の春まで「JICSPOC:Joint Interagency Combined Space Operations Center」と呼ばれていたものを、「誰もが、何のための組織か理解できるようにするため」に改称された宇宙作戦の拠点です。

JICSPOC.jpgNSDCは米国防省幹部も高く評価する大宣伝売り出し中の宇宙アセットで、状況の掌握が極めて難しい宇宙ドメインに、米軍だけでなく、関連政府機関や諸外国の協力も得て取り組むコンセプトを具現した指揮所です

NSDCはコロラド州のSchriever空軍基地に所在し、米戦略コマンドがリードし、国家偵察室(NRO)、空軍宇宙コマンド、米空軍研究所ARRL、情報コミュニティー、宇宙関連情報提供企業が協力し、更に同盟国からの連絡要員も加わって運用する形態で、2015年10月に正式運用を開始した宇宙作戦センターです

商用宇宙データ導入を米空軍協会web記事は
JICSpOC2.jpg●Buck中将は議会で、この夏我々は「non-traditional data pre-processor」と呼ばれる機能を導入すると明らかにし、「我々の宇宙監視ネットワークに、商用宇宙データを取り込むことが可能になる」と説明した
●また米空軍宇宙コマンド司令官であるJay Raymond大将は、この一般宇宙関連企業のデータを取り組みを、次世代の宇宙を含む指揮統制C2要求を満たすために、一般企業も仲間に入った「consortium」で行う大戦略に関連していると説明した

●そしてRaymond大将は、「我々はすべてのデータを必要としており、それは一般宇宙関連企業のデータから、高度なインテリジェンス情報までの全てである」と語った
Raymond-Space.jpg●更に同大将は、一般企業までを取り込んだ「consortium」を解説するため「iPhone」を取り上げ、オープンソースな環境を提供して多様な企業がアプリを提供し、多様な利便性を実現したコンセプトを讃えた

●「オープンな基準を設定し、すべてのプレイヤーに参画してもらいたい」と同大将は語り、NSDCで早急に実現するため、米空軍のRCO(緊急能力造成室)の支援をお願いしていると語った
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上記の記事で「商用宇宙データ:commercial data」の訳でご紹介したデータが、具体的にどのようなものか不明です
商用衛星の位置情報や運用状況諸元のことを指すのか、商用宇宙アセットのセンサーから入手した各種データも含むのか、太陽風や電離層の状況データなのか、宇宙デブリの情報なのか・・・。

Raymond&Buck.jpgいずれにしても、「JICSPOC」から改称した「NSDC」は、今後も様々な形で、軍事を語るうえで、宇宙ドメインを語るうえで登場するでしょうから、ちまちまフォローしたいと思います
それにしてもこのお二人、各地にペアーで登場されている模様です・・・

宇宙作戦センター関連
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24
「副長官がJICSPOCを高評価」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
「宇宙と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

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米カナダ貿易戦争:カナダがF-18を人質に [安全保障全般]

18日は米カナダ貿易戦争の開戦日か!?

Bombardier-C2.jpg18日、ボーイング社が米商務省に対し、カナダの航空機メーカーによる旅客機の米国売り込みが不当ダンピングだと訴えたことに対し、カナダ外相がボーイング製FA-18購入計画(18機)の見直しを示唆して激しく抗議しました

同日は、米国政府が議会に対し、正式に北米貿易協定NAFTAの再交渉開始を通知した日でもあり、トランプ政権誕生以来、諸外国の間で懸念が広まっている貿易摩擦が、カナダと米国の間で本格化した開戦記念日として記憶されるかもしれません

日本も当然例外ではなく、既に自動車や鉄鋼分野でジャブの応酬が始まっていますが、決して「対岸の火事」ではなく、「他山の石」のすべき点があるのでは・・との思いも秘めつつ、とりあえず現状をご紹介します

19日付Defense-News記事によれば
Bombardier-C.jpgカナダの航空機メーカーBombardier社は、新型中型旅客機「C Series」の米国輸出に取り組んでいたが、カナダ政府は同社の株式を取得することで約1100億円を投資しており、最近も追加で約270億円の融資を行っている。
●そんなカナダ政府の支援もあり、同社は2016年にデルタ航空から「C Series」75機の受注を獲得した。

●このようなBombardier社の売り込みに反発したボーイング社は、18日米商務省と米貿易評議会のヒアリングの場で、カナダ政府からBombardier社への補助金人について調査し、援助を受け国際市場で有利な立場を得ている「C Series」に対し、課徴関税を課すよう訴えた
ボーイングは、種々の支援を合わせると約3300億円の支援金がカナダ政府からBombardier社に提供され、「C Series」が「他社から顧客を奪い取る価格:predatory pricing」設定になっていると主張し、米商務省はダンピング及び課徴関税調査の開始を決定した

Freeland2.jpg●このようなボーイング社の訴えを受け、カナダのChrystia Freeland 外相は18日、カナダ政府が米国やボーイング社とFA-18戦闘機18機を当面購入し、さらに追加で購入する計画について協議を開始するとした昨年の発表見直しに言及し、「カナダはボーイング関連の軍事調達の見直しを行っている」と警告した
●同外相は、ボーイングの主張は明らかにBombardier旅客機の米国市場進出を狙い撃ちしたものと語り、米商務省のダンピング認定に向けた調査決定を強く非難した

●なお18日は、米国政府が議会に対し、正式に北米貿易協定NAFTAの再交渉開始を通知した日でもあり、米カナダ間の高まる貿易摩擦を象徴する日となった
●また、Bombardier社のライバルとなる「Embraer社」を持つブラジルも、WTOに対し、カナダ政府からBombardier社への補助金問題を問題提起している
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カナダ政府からBombardier社への補助金がかなり「グレー」が感じですが、このケースの細部事情はともかく、本件ではカナダ側がしっかり国として対処している姿勢を学びたいと思います。

F-18.jpg翻って日本が「他山の石」として「強引に」学ぶとすれば、トランプ政権にねつ造される新たな「日米貿易摩擦」の落としどころとして、国防装備品を米国から無理やり買う(買わされる)ことを、なんとしても回避すべきということです。

中国や北朝鮮の軍事的脅威は明らかですが、それを理由に、誤ったシビリアンコントロールにより、自衛隊の前線部隊が望まない高価な装備品を押し付けられ、反動で必要な装備や施策を断念させられては本末転倒です。

オスプレイしかり、グローバルホークしかり・・・F-35の追加も臭うし、BMD装備も必要ですが、THAADやイージスアショアもねぇ・・・。必要と言われれば必要ですが・・・ため息が出ますねぇ・

F-35押し売り懸念:米空軍F-15強制退役か
「ACC司令官:F-15退役やむなし!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

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トランプ大統領:空母を値切って砕氷艦増強!? [Joint・統合参謀本部]

Trump Coast-G2.jpg17日、トランプ大統領が沿岸警備隊士官学校の卒業式に出席し、これまで削減方針を示していた沿岸警備隊予算の関連で、現在稼働する砕氷船が1隻しか存在しない現状に鑑み、40年ぶりに砕氷艦を新規建造し、その後も隻数を増やすと語りました

またこれに併せ、再びF-35を「値切った」話を自慢たっぷりに語り、更にフォード級空母についても価格を下げて前倒しで建造させるような話までしており、空母「値切り」が初耳の軍事メディアに驚きが広がっています

そもそも、米軍と沿岸警備隊は現場では密接に連携するものの、国防省と国土安全保障省とで所属が異なる事から、F-35や空母を「値切る」話を沿岸警備隊士官卒業式で語る「品性」に疑問の声が上がっているほか、そもそも沿岸警備隊が海軍に属していると誤解しているのではとの「疑い」まで飛び出し、SNS上を賑わしています

一般メディアでは、この卒業式発言の中で、「私は特にメディアに不当に扱われている。歴史上、私以上に不公平にされている政治家はいない」「たぶん、私が(大統領選で)勝ったからだ」「敵は自身を強くする」や、「アドバイスをしよう。物事は常に公平ではない。だが、闘い続けよ。絶対に諦めてはいけない」の部分が注目されていますが、ここでは、空母と40年ぶり砕氷艦建造に関する部分を中心にご紹介します

17日付DODBuzz記事はこの演説を紹介しつつ
Trump Coast-G3.jpg●大統領は17日の卒業式で、「F-35戦闘機を皆さんのためにどれだけ値切ったかを話さないし、話題にもしない。またフォード級新型空母で、どれだけ皆さんのために値切るかについても、同様に言うつもりはない」と切り出した
●そして「私が大統領になる前、これらの装備は予算オーバーと開発遅延の問題を少しばかり抱えていたことは知っているよね。そんな状態を引き継いだんだ。でも私が大統領になって解決したんだ。それだけでなく、かなりのお金を節約できるんだ」と語った

●更に、「良く覚えておいてくれ。今後新しい空母を作るときは、従来の計画金額以下で予定より早く完成させる。これにより、より多く(の空母)を建造できるんだ」と語り、4月に海軍に1番艦が引き渡され、試験を開始したばかりのフォード級空母に言及した

トランプ大統領は自分がロッキードと交渉してF-35の価格を値切ったように吹聴し、1月に90機購入費を約700億円値切ったとツイートしているが、軍事メディアや専門家からすれば、その値下げ幅は昨年12月段階で既に明らかにされており、生産規模の拡大によって自然ともたらされたモノに過ぎない。
Trump Coast-G.jpg●(政治的なショーの演出を上手に利用した)ロッキードCEOのMarillyn Hewson女史は3月、大統領は手続きが加速する役割を果たし、タイミングと成果に「絶対的な」違いを生み出したと語ったが、極めて抽象的である

フォード級空母についてはまだよく分からない。8日のTime誌とのインタビューで大統領は、フォード級に搭載される新型の電磁カタパルト(EMALS)にパワーやコスト面でダメ出し(I said no)し、従来の蒸気式カタパルトを指示したと語っている(しかし、国防省や米海軍はこの件に関し何も言及していない

●大統領が唯一、沿岸警備隊だけに関係する装備計画で言及したのは、砕氷艦建造に関してである。北極海の重要性が増す中、現在稼働する砕氷船が1隻しか存在しない沿岸警備隊が、強く増強を求めていた装備である。ちなみに沿岸警備隊は3隻の新造を望んでいる
●大統領は本件に関し、「沿岸警備隊だけが、厚さ6mもの海氷を砕いて進む能力を持っている。君たちだけだ」、「私の政権下で、40年ぶりに新たな大型砕氷艦を建造する。そしてその後も更に建造するつもりだ
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Trump Coast-G4.jpg3月上旬時点では、メキシコとの「国境の壁」構築費3000億円を捻出するため、自然災害対策を取り仕切るFEMA予算を11%削減、海難救助や洋上密輸や密入国対策を担当の沿岸警備隊予算も14%削減、更に交通機関の安全管理を行うTSAも11%削減する計画だとの報道が流れ、「?」の5乗ぐらい驚いたのですが、振り回される米海軍や沿岸警備隊は本当にご愁傷様です

フォード級空母と電磁カタパルトの運命については、国防省や米海軍関係者からの反応を待ちましょう・・・

それにしても、トランプ大統領の発言をフォローして意味があるのかどうか・・・だんだん力が入らなくなってきました・・・。

EMALSとフォード級空母
「米海軍真っ青?トランプ「EMALSはだめ」」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍の基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09

あわれ米国の砕氷艦
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

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通信妨害EC-130Hの後継EC-Xは民航機ベースで [米空軍]

EC-130H2.jpg4日付Defense-Newsが、米空軍が15機保有する通信妨害を主任務とする電子戦機EC-130Hを取り上げ、50歳以上の老朽C-130輸送機をベースにした同機の様子や、後継機検討状況を紹介しています。

4日、特殊作戦コマンドのThomas司令官が上院軍事委員会で、「特定の部隊は、海外派遣と母基地の滞在期間の比率が1対1と最悪の状態になっており、このままでは耐えられない」と、6か月派遣と6ヵ月母基地を繰り返す「一部」の部隊の多忙さを訴えていますが、EC-130Hも「一部」に当てはまると考えられ、対ISIS作戦にあわただしく活躍している様子が伺えます。

ec-130h.jpg一般にEC-130Hは、敵の指揮通信を妨害かく乱したり、偽情報を流す手法で「電子戦」を担いますが、監視追尾レーダーへの妨害機能付加も検討されているようです。

同機の搭乗員13名のうち、4名が操縦や航法を担当し、1名が機体整備員、他の8名で電子戦を担当し、基準では5名が語学専門員の資格を有した搭乗員で構成されます。敵の指揮通信を傍受しながら、作戦を行う様子が想像できます

同機の開発は1983年に開始され、当時輸送機として大量生産されたC-130輸送機の中で、古い機体を改良してを15機のEC-130Hが生まれています

4日付Defense-News記事によれば
EC-130H3.jpg●EC-130Hが導入以降、米軍が関与した緊急事態にはほとんど投入され、コソボ、ハイチ、パナマ、リビア、イラク、セルビア、アフガニスタンで活躍してきた
米中央軍担当エリアには2004年から継続して派遣されており、今はほとんど毎日イラク軍を支援する形で、ISISの通信妨害に当たっている

●現在この任務に派遣されている第43派遣電子戦飛行隊は、1964年と1973年に飛行を開始した年齢50歳のC-130輸送機を改造して使用しており、中東の厳しい自然の中で維持していくのは厳しい仕事だ
●また、最新の電子戦機材を老朽輸送機に組み込んで維持運用するのも骨の折れる仕事

EC-Xを2020年には導入開始したい
●最近米空軍は、この15機のEC-130Hを、2029年までに10機の後継機EC-Xに交代させる決断をした。その計画によれば、2020年末までにEC-Xの1番機が完成することになっている
EC-130H4.jpg米空軍は種々の検討を経て、現存の商用機に電子戦機材を搭載してEC-Xを製造することを決定している。EC-130Hの電子戦機材は「L3 Communications社」が開発製造したものだが、同社の電子戦機材が適応するよう、同社に機体の選定が任せられる

米空軍は2020年から約10年かけてEC-X部隊を編成する計画だが、機体と関連部品や整備機材で約2200億円の経費を見積もっている。
●老朽化した現在のEC-130Hを30年維持する維持経費と新型機導入経費を比較すれば、はるかにEC-X導入が効率的だと米空軍は主張している
●しかし、2011年の予算管理法が規定した予算強制削減の恐れがある中、暫定予算が今後も続けば、少なくとも2017年度時点では、EC-X導入を12か月はあと送りせざるを得ない状況にある
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米空軍では、F-105GやF-4Gがエスコート電子戦機として運用されましたが、EF-111を最後に、米空軍はステルス機の出現により後継のエスコート型電子戦機を設けず、現在はこの「スタンドオフ電子戦機」であるEC-130H 「Compass Call」がメインの電子戦アセットです

EA-18G Clark3.jpg米空軍は2016年度予算要求で、空軍全体の近代化予算を捻出するため、15機保有しているEC-130のうち、7機を退役させる案を提出したが、議会はこの案を却下しました。EC-130は911同時多発テロ以降、中東地域の13カ所に継続的に展開を行っており、作戦投入率が極めて高い部隊となっているからです

米空軍は米海軍のEA-18Gの支援も受けてきましたが、現在ではステルス機の絶対性も失われつつあり、次期制空機PCAを母機としたエスコート型電子戦機導入の方向に向かいつつあります

「米軍の電子戦を荒野から連れ戻す」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-17-1

PCA型電子戦機PEA関連
「PCAよりPEAを先に導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

その他の関連記事
「ステルス機VS電子戦攻撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

「EA-18Gで空軍の電子戦を担う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08
「空軍用に海軍電子戦機が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
「緊縮耐乏の電子戦部隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-29-1

「MALDが作戦可能体制に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-29-1
「電波情報収集RC-135」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09
「心理戦用EC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-15

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まだ改修未完なのにF-35体重制限解除宣言 [亡国のF-35]

米空軍発表「recently removed the restriction」
でも改修方針が正式承認されただけ
座席改修はこれから、改修ヘルメットも初期生産段階

Pleus.jpg15日、米空軍F-35準備室長Scott Pleus准将(間もなくACCへご栄転予定)が、体重61.7kg以下(136 pounds)の操縦者F-35への搭乗を禁じる制限を解除すると発表しました。要求性能である体重約47~111kg(103~245 pounds)の操縦者全てが搭乗可能となる方策が正式に承認されたようです。

2月中旬に同准将が、様々な電磁波が飛び交う環境下で座席が不時射出しないかを確認する最後の「電磁環境試験」を3月に行い、4月には「搭乗禁止令」解除の方向にあると予告していましたが、その解除令が5月中旬になったのでしょう。

ただし賢明な皆さんに置かれましては、「報道の見出し」に騙されない注意が必要です。
同体重以下の操縦者への制約が、どれくらいF-35操縦者養成に影響があるのか不明で、それほど影響が無いような気もします(少なくとも女性操縦者1名が該当)が、あくまで3つの対策方針が正式承認されたと言うことでアリ、座席やヘルメットの改修が完了したわけではありません

F-35 ejection 3.jpg2015年に発覚したF-35射出座席の問題は、低速飛行状態で射出脱出した際、軽量操縦者が首を負傷する恐れがあるというモノで、対策として「3つ」、つまり座席に体重に応じた切り替えスイッチを付加して射出後のパラシュート開傘タイミングを調整する事、射出時に頭を支えるパネルを座席頭部に付加すること、更に操縦時に着用するヘルメットHMDの重量を約250g削減する3施策で対処することになっています。

Pleus准将も、それなりに対策が継続中である事を言葉で表現していますが、あくまで以下でご説明するように、少なくとも来年1月までは座席改修は完了しませんし、ヘルメットも部隊に行き渡るまでにどれくらい必要なのか極めて不明確です

典型的なF-35諸問題への対応であり、輸出に影響を与えないようになるべく問題は穏便にコソコソ対応し、小さな成果を大きく発表するスタイルが徹底されている事例としてご紹介します

15日付Defense-Tech記事によれば
F-35 ejection seat.jpg●Pleus準備室長は、「制限解除には2つの要件がアリ、座席改修と重量削減済みのヘルメットHMD装着である」、「この2つの対策で、低速時も高速時も軽量操縦者のリスクを軽減できる」と語った
●米空軍は現在107機のF-35を保有しており、1ヶ月間に14機の座席回収が可能なことから、来年1月までに座席改修が完了すると同准将は説明した。また座席とヘルメットの改修経費は、共に製造企業が負担することも改めて明らかにした

HMDヘルメットについては、外付けのバイザーを取り除くことで軽量化を図り、内蔵の透明バイザ-とダークバイザーの切り替えで操縦者は対応することになり、またHMD内部のストラップを一部無くして軽量化を図ると同准将は解説した
●また、新しく軽量化されたヘルメットは、現在本格生産前の段階でアリ、今年秋からフル生産に入る予定でと説明した

F-35HMD3.jpg●改修した座席とHMDヘルメットによるF-35操縦者養成課程は、今年末には開始し、同コースの飛行は2018年初めに開始することになる予定だと、同准将は説明した
●同准将はまた、米海軍や海兵隊用のF-35も同じ射出座席を使用しているが、各軍種は運用方式が異なるためそれぞれが異なった基準でF-35を審査しており、この問題は米空軍だけの話であると解説した

●なお、問題となっている英国Martin-Baker製の射出座席「US16E」に不満を持つ米空軍関係者は多く、昨年夏には空軍省の調達担当次官補佐のArnold Bunch空軍中将が国防省に対し、代替座席として米国United Technologies製の「ACES 5」を導入した場合のコストやスケジュールを検討するよう求める書簡を出している
●10日、Bunch空軍中将は同書簡を無効にすると明らかにした。
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F-35 ejection 2.jpgScott Pleus准将は、近く米空軍戦闘コマンドACC隷下の要職にご栄転のようなので、この発表で米空軍F-35準備室長としてのお仕事に区切りを付けられるのでしょう。
そしてこの話題も、世間を賑わすことはもう無いのかも知れません・・・。

それにしても、国防省F-35計画室長のBogdan中将も退役間近で、米空軍F-35準備室長もご栄転です。
こうやってF-35は、淡々と「亡国」の道を進んでいくのでしょうねぇ・・・

F-35射出座席の問題
「17年3月に確認試験終了か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1
「射出座席問題に部分的対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-09
「米空軍に国防省と企業が反論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06-1
「米空軍が代替座席の検討依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-25

「座席対策は2018年までか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09-1
「責任譲り合い:F-35射出座席」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-17
「F-35軽量操縦者が飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02

F-35の主要課題
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
F-3開発の悲劇と日本への提言
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

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米海軍トップが文書「将来の海軍」を発表 [Joint・統合参謀本部]

Future Navy.jpg17日、米海軍トップのJohn Richardson大将(CNO)が「The Future Navy」との9ページの文書を発表し、2020年代半ばに向けた米海軍の「ビジョン」を明らかにしました。
情勢認識や今後の海軍アセット作戦運用を前半で説明し、米海軍の国際情勢認識や運用の基本的考え方にも触れており、頭の整理に役立ちます。

中心となる内容は艦艇体制や増強の話で、海軍航空戦力の話は正面に出てきません。355隻体制への増強(現有装備の延命も含む)、艦艇建造能力の維持強化、艦艇設計コンセプトの変革などに言及しており、本ペーパーのビジョンを皆で共有することで前に進もうとの主旨です

ビジョンと言う事は「ビジョン」で、艦艇数を現在目標311隻から355隻にするとの数値目標以外は、何となく具体性に欠けるモノで、それほど新しい画期的な方向性が打ち出されたわけではありませんが、今後様々な形でこの文書の表現や考え方が具体化されるのでしょうから、事前の会見と併せ文書の概要を学びたいと思います

17日付Defense-News記事によれば
(記事内に「The Future Navy」全文も掲載:図表除く)
Richardson.jpg●17日、シンガポールで開催されたIMDEX2017で講演したRichardson大将は、「The Future Navy」との文書を発表し、2020年代半ばに向け、米海軍はより多くの艦艇を急速に整備する必要があると訴えた
●また同大将は、海軍の戦いは根本的変革の時代を迎えており、その変化は「帆船から蒸気船への変化」、「木造船から鉄製への変化」、または「原子力推進線の登場」にも匹敵する海軍の変化に当たると表現した

●更に、中国やロシア海軍が急速に改善されている現状を踏まえ、単に右肩上がりで迅速な米海軍増強を行うのではなく、級数的な成長が必要とされていると語った
●そして艦艇数に関し、現在は310隻体制を目指しているが、その目標値を355隻体制にまで引き上げる必要があるとし、建造数の増加だけで無く、現有艦艇の延命など、考え得ること全てに取り組んで艦艇体制を増強すべきと述べた

Aegis3.jpg●艦艇体制増強の基礎となる軍需産業体制についても繰り返し触れ、短期的施策としてパートナーとしての造船業界を重視すると同大将は語り、更に「造船業界はより多くが可能でアリ、そのレベルに到達するよう米海軍も全力で取り組む」と宣言した

●また具体的な言及を避けたが、米海軍戦力の破壊力増強のため、艦艇や航空戦力を結ぶリンクの強化増強の必要性も強調し、「個々のプラットフォームだけではなく、より広範なアセットの組み合わせを可能とする、新たな次元のネットワーク力」を重視すると訴えた

●更に艦艇の設計について、より「モジュラー化:modularity」を追求し、艦艇が年齢を重ねても、より安価に近代化改修が可能なモノにしたいと語り、現状の設計から運用まで10年必要とする現状を戒めた
●そして「艦艇建造に長期間を要する現実に挑戦し、建造する艦艇には最新の技術導入を可能にし、完成後もより迅速に容易に最新技術を取り込める設計を目指したい。そのためモジュラー化や多用途な装備導入を考えたい」、「皆さんには長く使える船の建造と、成長し近代化する船の製造に協力して欲しい」と語った

Richardson11.jpg●(とりあえず短期的に何を行うのかとの質問に対し、明確には答えず、)(本文書の重要性を訴え、)まずなし得るビジョンを打ち出す事だ。我々に出来るビジョンがこれだ、と答え、
喫緊の取り組みは、艦艇購入予算を強く継続して要求していく事だと述べ、更に、一つ明確なことは、米国の艦艇建造ラインは稼働しており、仮に必要な資源が投入できればより多くの建造が可能だと言う事だと述べた
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図表を含め「The Future Navy」を見たい方は
https://news.usni.org/2017/05/17/document-chief-of-naval-operations-white-paper-the-future-navy

CV  Carl Vinson.jpg「The Future Navy」の冒頭には、最近実施した米海軍等の研究・分析結果から導かれた3大結論
第1に、国家はより強力な350隻レベルの無人及び有人システムを含む海軍を必要としている
第2に、数だけでは不十分で、海軍は新たな技術と作戦コンセプトを導入しなければならない
第3に、そしてそれを直ちに開始し、迅速に変革しなければならない・・・と記されています

上記のように概要にすると味気ないですが、最初の「情勢認識:Faster and More Complex. And Faster」部分では、海洋交通の重要性やその将来、中露NK等の軍事力強化、海軍から見た中東の不安定要素などが記載され、特に沿岸部の巨大都市が31から40に増加するとの、米陸軍と似たような将来変化を前提として重視していることが伺え、面白いです

次の「Response: Naval Forces」部分では海軍の伝統的役割から新たな任務を分析し、次項「Shape of the Future Navy」での必要な戦力構成や規模、更には新たな兵器技術やその必要性の議論につなげ、最後の「Getting and Staying There」部分で、以上の新たな体制を極めて迅速に達成するために必要な産業政策から調達改革、先ほど触れた設計思想の変革に至る実務的な改革ビジョンを語る構成です

Richardson22.jpg変わり者と言われる米海軍トップのRichardson大将ですが、細かく分割された組織に一本の横串を通し、ゴールや目標を共有して効率的効果的に前進しようとする姿勢は指揮官のあるべき姿でしょう。
少なくとも海軍関係の皆様は、しっかり読むべきでしょう
頭の整理に一度は・・

併せて見て頂きたい過去記事
「更に後退:空母艦載無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27
「米陸軍:巨大都市戦に備え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-22
「米海軍:用語A2AD使用禁止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-04
「再び陸軍に南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16

Richardson海軍大将の関連
「初海外は日本」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25
「海軍内では信頼薄い!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「ノミネート会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16-1

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第5世代機欧州展開一番の教訓:ステルス維持 [米空軍]

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結構、展開してみないと判らないんだ・・
stealth coating.jpg13日付Military.com記事が、米空軍F-35準備室長やF-22飛行隊員を取材し、F-22を中心に第5世代機の海外展開に伴う1番の課題であるステルス性(コーティング)維持について紹介しています。

と言っても、事柄の性質上、細部が明らかになっているわけではありませんが、結構大変そうな雰囲気が伝わってきますので、極めてふっわっとした話ですがご紹介しておきます

13日付Military.com記事によれば
4月15日からの英国を拠点としたF-35の欧州展開と、2015年から海外展開を行っているF-22の経験とを併せ、米空軍はステルス戦闘機の海外派遣に関する維持整備の諸問題への理解を深めた
●これらの経験を元に米空軍幹部は、第5世代機の海外派遣における基地準備の多くは、機体のステルス性を維持するための準備だと認識するに至っている

stealth coating2.jpg米空軍F-35準備室長のScott Pleus准将は、「ステルスコーティング技術に於いて、F-22はF-35より古い技術を使用しているので、その維持により手間がかかる」、「F-35には、空軍用、空母艦載用、垂直離着陸用と、多様な環境を想定したより耐久性の高いステルス技術が求められた」と語っている

●米空軍は、特に2年前のF-22の大西洋横断飛行や海外作戦で多くの教訓を得た。ロシアのクリミア半島併合を受け、2015年にF-22がERI(European Reassurance Initiative)の一環で欧州に初展開したとき、及び2016年に10数機のF-22を欧州での一連の演習のため約1ヶ月間派遣した際の教訓である
●3月にMilitary.com取材チームがティンダル基地のF-22飛行隊を訪問し、匿名ながら多くの操縦者に上記海外展開の話を聞いた。彼らがファーストネームしか明かさないのは、対ISIS作戦に従事している事から安全上の懸念があるからだ

欧州展開の教訓と対策
F-35 3-type.jpg●展開した飛行隊所属の中佐は、「2015年にドイツのSpangdahlem基地に展開した際、全てが不足している現実に直面した。そして6ヶ月後に提出した派遣報告書を元に、F-22やF-35をより良く受け入れるために、魔法のような大金が同基地に投入された」と振り返っている

●同中佐はまた、4月にF-35が初めて展開した英空軍Lakenheath基地でも、展開直前になってステルス維持整備のちょっとした問題が発覚し、受け入れ直前まで対策に追われていたと語った
●整備部隊指揮官のSamは、Lakenheath基地がF-35のステルス性を維持するため、必要な装備を備える必要があったと振り返り、「そこへ展開できない訳ではないし、ステルス性も無くならない。しかしより効率的に効果的に活動するには環境管理が必要なんだ」と語っている

●オバマ政権が開始したERIの枠組みで、今年は約22億円が、欧州の戦闘機受け入れ基地での第5世代機受け入れ施設整備のために準備されており、ドイツのSpangdahlem基地にステルス性修理施設を設ける資金も含まれている
F22gearup.jpg●上記整備部隊のSam隊長は、「米本土のティンダル基地やラングレー基地のような設備が理想だが、その方向に向けた取り組みを行っている」と説明してくれた

●F-22は対ISIS作戦のため中東に展開しているが、米国内ではアラスカとハワイでステルスコーティングの「Upgrades」が行われている。
●ロッキード社のF-22副責任者John Cottam氏は、「ステルス性に大きく影響するのが、つなぎ目やエッジなど機体パネルの接点であり、エンジン空気取り入れ口のコーティングも重要な仕事だ」と述べている

●(F-35よりF-22がステルス維持に手間がかかると述べていた)米空軍F-35準備室長のScott Pleus准将だが、一方で、F-22にだけ極端に手間がかかるわけでは無く、「逆にF-35の維持が簡単かと言われると、そうでは無い」と語った
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抽象的な表現が多い記事で恐縮でしたが、F-22が米国以外で本格運用を開始し始めたのは2015年からで、まだまだ手探りな部分があると言う事でしょう。F-35にも生かせる教訓が得られたような記事になっていますが、そうである事を願います

そう言えば、ステルス機を海外に売却し、同盟国等に運用させるのも初めてですねぇ・・・。いろんな米国流の縛りや規則がありそうですが、諸外国の運用習慣や整備員の気質に合うのかも気になります。
いろんな情報の管理も米国は気になるでしょうねぇ・・・。

kadena-mitinoeki.jpgkadena-mitinoeki2.jpgそう言えば、嘉手納基地にF-22が展開中に「道の駅 かでな」の屋上展望台から同機を観察したとき、機体から薄皮がはがれたように垂れ下がった膜の様なものが数カ所に確認でき、「何じゃこりゃ?」と思ったことがありました。あれが特殊コーティングの一部なんでしょうか???

F-35やF-22の海外展開関連
「展開先はやっぱり英国」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-21
「F-35海外展開訓練発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15

「真剣にF-22迅速展開を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08
「米空軍の欧州派遣予算大幅増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08-1
「豪州に12機のF-22展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-14

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米ICBM基地で初めてのオーバーホール修理 [米空軍]

50年間放置してきた「付け」に今から対処中

Minuteman III 4.jpg15日付米空軍協会web記事が、1960年代から使用されている米空軍ICBM基地の施設に対し、使用開始から50年を経て初めてオーバーホール修理が開始され、今後8年間かけて全てのICBM発射施設が点検修理されると報じています

修理対象はICBMミサイル自体では無く、発射施設、弾頭保管施設などが対象で、サイロ内のICBMを取り除いてからしっかりと保守整備を行うようです。
また8年かけて一通り修理した後も、8年サイクルで全施設に継続してオーバーホール(PDM:programmed depot maintenance)を行う事にしたそうです

これまでどうしていたのかが気になりますが、どうやら故障箇所が判明すれば修理する方式だったようで、計画的な施設等の維持計画も無く、壊れるまで使う方式だったようです。
一朝有事の際に即応態勢が求められる装備なはずですが、組織全体の関心の低さから、また厳しい予算の中で全てを後回しにされ、放置プレーされていたわけです

ICBM PDM2.jpg8年前にこのブログを開始する直前に、「核爆弾と知らないうちに爆撃機に搭載して米本土を横断しちゃった事件」や「核兵器部品を誤って輸出しちゃった事件」等が連続発生し、米空軍長官と空軍参謀総長が同時更迭される事態となり、核兵器運用部隊への各種てこ入れが始まりました

米空軍の核兵器運用部隊(ICBMと爆撃機部隊)を一つにまとめて管理監督するため、「GSC:Global Strike Command」を編制したり、ICBMや核兵器運用幹部の人事管理やキャリアパスを見直したり、頻繁に国防省首脳が訪問したりしましたが、「長年誰も顧みず、見捨てられてきた部隊や兵士」で「関連施設は老朽化が激しく、勤務員が士気を保つのが困難なレベル」と空軍首脳が認めるほどの部隊の惨状は、一朝一夕に改善するのが困難なレベルに達していました

部隊監査時の士官による集団カンニング」や「定期的な技量確認試験時の問題漏洩」などの不祥事がその後も続き、ICBM部隊指揮官が空軍長官に対し面と向かって「ここ数年で多くの高官が部隊を訪れ、この部隊が重要だと言って帰ったが、予算面で何の変化も無い」と痛烈に非難するなど、核兵器運用部隊の荒廃振りは、無人機操縦者コミュニティーの惨状や性的襲撃事案の継続続発と並び、米空軍から統合参謀本部議長が生まれない理由の一つと言われています

ICBM PDM4.jpgそんな中でも米空軍は最近、ICBM発射基地の警備警戒用ヘリ「Huey」の後継機選定作業を開始し、提案要求書をまとめる最終段階にあり、70年代から使用しているICBM「Minuteman III」の後継検討にも最近着手しています

また5月に入って空軍参謀総長とGSC司令官は、今後10年間に亘り、全国防予算の5%を核抑止分野に投資すると明らかにし、核兵器運用部隊を忘れない姿勢を示しています

前置きが長くなりましたが、遅ればせながら50年の空白の後に開始されたICBM施設のオーバーホール修理PDMの様子をご紹介します

15日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍Materiel CommandのPawlikowski司令官(女性大将)は、8日の週に3箇所のICBM発射基地を全て訪れ、10日には60年代に運用開始後初めてのオーバーホール修理PDMが終了間近の「Malmstrom空軍基地」を訪問して勤務員を激励した
●同基地の他のICBM発射施設や、ワイオミング州の「F.E. Warren空軍基地」やノースダコタ州の「Minot空軍基地」のICBM発射施設は、今後8年間かけてオーバーホール修理PDMを受ける

ICBM PDM3.jpg●同司令官は、従来は故障発生まで使用するスタイルだったが、米空軍の航空機に使用されているのと同様のオーバーホール修理PDMモデルを、ICBM発射施設にも適用すると説明した。
●一方で現状について、使用開始から40年手つかずの部品も存在し、交換用部品が製造中止で存在しない事態も発生しており、PDM要員が発射施設を訪れて修理するだけで無く、対処要領を検討する必要があると厳しい現状を同司令官は明らかにした

●PDMでは、部隊全体の即応態勢が維持できるように順番に修理対象ICBMサイロを割り当て、ICBMを発射サイロから取り出し、発射施設内部の各部品やケーブルを分解して取り外し、摩耗や腐食を確認しつつ交換する作業が行われる。
最初のPDM対象サイロでは多くの困難に直面しているが、以降のサイロPDMに向けたノウハウの蓄積や要準備事項のリスト化に役立っており、8年サイクルのPDM全体計画にもフィードバックする事項が明らかになっている
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ICBM James.jpg「今後10年間に亘り、全国防予算の5%を核抑止分野に投資する」とは、両空軍大将が連名で投稿した5月12日付「Politico」で明らかにした事項のようです。
http://www.politico.com/magazine/story/2017/05/12/why-the-us-is-right-to-invest-in-nuclear-weapons-215132

「5%」が多いのか少ないのか判別不能ですが、以下の関連過去記事で縷々ご紹介してきたように、核兵器の維持管理更新はとってもお金がかかる事業です。
勢いで核武装だ!!!叫ぶ前に、色々考え、お勉強した方が良いと思います。国際社会での負のコストも含め・・・

米軍「核の傘」で内部崩壊
「屋根崩壊:核兵器関連施設の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-23
「核戦力維持に10兆円?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-09
「国防長官が現場視察」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
「特別チームで核部隊調査へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27

「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1
「米核運用部隊の暗部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-29

NPR(核態勢見直し:Nuclear Posture Review)
「トランプ政権NPRの課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-09
「2010年NPR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-07
「NPR発表3回目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02
「バイデンが大幅核削減を公言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19

米新政権の国防予算を考える
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

戦術核兵器とF-35記事など
「戦術核改修に1兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-20
「F-35戦術核不要論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16
「欧州はF-35核搭載型を強く要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-22
「F-35核搭載は2020年代半ば」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-23-1
「F-35は戦術核を搭載するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06

ICBM後継に関する記事
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

オハイオ級SSBNの後継艦計画関連
「次期SSBNの要求固まる」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-2
「オハイオ級SSBNの後継構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-25-1
「SLBMは延命の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

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航行の自由作戦中断とサイバー大統領令に抗議 [安全保障全般]

Trump tel.jpgFBI長官解任で急速に旗色が悪くなりつつあるトランプ大統領ですが、国防関連の施策2つに関し、有力上院議員から相次いで抗議を受けていますのでご紹介します

一つは、昨年10月以来、南シナ海での中国の埋め立て基地建設に対処する「航行の自由作戦」を中断していることに関する抗議で、もう一つは、サイバー政策を検討する基礎となる種々の報告を政府機関に求める等の「サイバー関連の大統領令」への「何をいまさら。行動すべき時だ」抗議です

国防関連で重要なテーマである、対中国と対サイバー戦に関する問題を凝縮したような2つの抗議ですので、米国の現状を考える契機として取り上げます

昨年10月から中断の「航行の自由作戦」を再開せよ
10日、超党派の7名の上院議員がトランプ大統領に対し、2016年10月以来「航行の自由作戦」が中断している現状に懸念を表明する書簡を出した。
●同書簡の起案はBob Corker (R-Tenn.)とBen Cardin (D-Md.)上院議員で、この趣旨に同意する4名の民主党上院議員と3名の共和党上院議員が署名する形で発出されている

Harris CSIS4.jpg●同書簡はハリス太平洋軍司令官の議会証言を引用し、現状認識として、
---中国による南シナ海の軍事基地化は現実の問題となっている
---南シナ海は米国戦略上きわめて重要で、全世界の海洋交通の約3割が通過し、140兆円相当の米国向け海運物資が含まれている

●米国は南シナ海における主権問題に特定の立場をとらない姿勢であるが、中国による一連の攻勢的行動は、「航行の自由作戦」がアジア太平洋地域での航海と飛行の自由を守る米国の広範な戦略の重要要素であることを際立たせている
●トランプ大統領は、定期的に航行の自由作戦行うための必要な措置を行うべき

調査は十分。サイバー政策、戦略、資源投入が必要
McCain-NDAA.jpg11日にトランプ大統領はサイバーに関する大統領令に署名し、国防省を含む政府機関に種々の見積もりや現状把握のための報告を求め、国防省には7つの新レポートを求めた
●大きなものでは、大統領は国防省等に、政府機関が統合したネットワークに移行し、共通のメール、クラウド、セキュリティーサービスを利用する可能性に関する見解を求めている

●また国防省に対しては、国防インフラや軍需産業へのサイバー攻撃状況、サイバー抑止やサイバー施策の優先、米国のサイバー優位のための施策提言を求めている
●この大統領令にをマケイン上院議員は直ちに非難し、「米国が直面しているサイバー関連の課題や問題は、すでに種々の文書にまとめられている」「これ以上の分析やレビューや見積もりは不要だ」との声明を発した

●そして上院軍事委員長である同議員は、「米国に必要なのは、サイバーに関する政策、戦略、そしてそれらを実行する資源投資である」、「このような報告書など早期に仕上げ、国防省リーダーが我が国へのサイバー攻撃に対処し、防御し、抑止し、戦略を練る喫緊の業務に向かわせるべきだ」と訴えた
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Carl Vinson.jpgハリス司令官が「航行の自由作戦」を上申しても、ホワイトハウスが却下していると報道されたり、中国がハリス司令官の解任を要求していると報道が出たりしてますが、昨年10月から同作戦が中断している現状からすれば、そうなのかなぁ・・・と寂しい気分になります。

サイバー対処は単純でない難しい課題ですが、マケイン議員のご指摘はその通りでしょう。課題や問題の把握は十分。必要なのは行動だ・・・ということでしょう。

ところで・・・ここ最近は北朝鮮の話題一色ですが、中国はその隙にしっかりと南シナ海と尖閣諸島で「既成事実」を積み上げており、尖閣周辺での「施政権」は着実に侵されています

関連の記事
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25
「北朝鮮対処で中国に配慮し、航行の自由作戦却下との5日CNN報道あり」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
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