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18年間継続の米軍爆撃機の中東駐留終わりか [米空軍]

F-22に続き、B-1爆撃機が帰還
単にIS作戦落ち着きだけでなく、中東への関与変化?

B-1B.jpg3月29日付米空軍協会web記事は、反IS勢力による対IS勝利宣言の約2週間前の3月11日にカタールのアルウデイド基地に展開していた米空軍B-1爆撃機部隊がテキサス州の母基地に帰還し、18年間にわたりほぼ途絶えることがなかった大型爆撃機の中東派遣が終了したかもしれない・・・と報じています

中東における米空軍大型爆撃機の派遣駐留は、2001年の911同時多発テロ後の対アフガン作戦「OEF : Operation Enduring Freedom」の一環として始まり、現在は対IS作戦の「OIR:Operation Inherent Resolve」の枠組みで実施されていたようです。

今回のB-1派遣は、機数は不明、兵士約350名と共にの派遣で、390ソーティーの作戦飛行で4471時間飛行し、920個の目標攻撃を行ったと母基地であるDyess空軍基地が発表しています

9th Bomb SQ3.jpg2001年から現在までの期間でも、2016年から2年間は、B-1の近代化改修のためB-52に中東派遣任務を任せていたようですが、一般的には、2016年8月に空軍参謀総長が明確にしたように「B-1とB-52のローテーションで」派遣されていたようす。

特にB-1爆撃機は低空の高速飛行が得意なことから、爆撃任務以外にも、低空高速飛行による爆音や衝撃波による威嚇で、イスラム過激派の士気をそぐ作戦にも用いられたと言われています

同様の爆撃機ローテーション派遣は、アジア太平洋地域のグアム島派遣としても2010年頃から行われており、「CBP=Continuous Bomber Presence」と呼ばれています


本題である中東派遣の米空軍航空戦力ですがF-22の派遣も今年2月には終了し、代わりにF-15Cが派遣され、航空優勢確保任務だけを引き継いでいるようです

B-1-UK2.jpg米中央軍は大型爆撃機派遣が公式に終了したとは言わず、「我が作戦担当地域には、任務上の必要性に応じ、必要な戦力が交代で派遣される。中央軍の戦力と地域同盟国等へのコミットメントは変わらない」と声明でコメントしていますが、本当に「任務上の必要性」が無くなったものと信じたいです

IS勢力もそうですが、アフガニスタンの時代逆戻り感も相当なものの様ですので・・・

爆撃機ロードマップ
「B-1とB-2の早期引退に変化なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-19
「2018年春のBomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

B-52関連の記事
「パイロンに大型兵器を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-14-2
「エンジン換装大集会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-24
「エンジン内部破損で落下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-08
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13

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日本製C-2輸送機が海外で人気? [安全保障全般]

問い合わせがあるのと実際の購入とは違いますが・・

c-2 2.jpg少し古いですが2月末のDefense-Newsが、川崎重工が開発製造している航空自衛隊の次期輸送機C-2を、川崎重工がニュージーランドに売り込むとの同社関係者の話を取り上げ、他にも複数の国から問い合わせがあると紹介しています

2月末に豪州で開催されていたAvalon航空ショーでの取材情報を基にDefense-Newsが取り上げていますが、同エアショーにも1機が展示され、2017年11月には既に同機がニュージーランドを訪問しているそうで、武器輸出三原則から防衛装備移転三原則への移行に伴い、C-2の海外への売り込みが行われています。

このため川崎重工は、2016年にC-2の輸出を目指す「大型機輸出プロジェクトチーム」を立ち上げ、営業や設計に精通するエンジニアら約20人で構成する専門組織により、諸外国の需要調査を進めているようです

c-2 4.jpgもし海外への輸出が成功せず、航空自衛隊だけの購入となれば、C-1輸送機の後継機として、わずか20-30機しか製造されないことになり、1機当たりのコストが高止まりしてしまいます

C-2の価格については昨年6月2019年度予算価格が、2011年度の調達開始時の1機166億円より70億円(約4割)も上昇して236億円になっていることが明らかになり、財務省財政制度等審議会の分科会が、「費用対効果に優れている機種への代替も検討するべきではないか」と防衛省に異例の「注文」を付けるに至っています。

価格高騰の理由について、防衛省の担当者は「メーカーが米国から購入しているC-2輸送機からエンジン価格が高騰しているうえ、為替レートが円安傾向のため」と説明しているようです。

米国からの「いじめにあっている」ような気がしますし、高価格以外にも、不整地での着陸ができないハンディーも背負っているようですが、貨物室スペースの高さが高いことなどに関心を持つ国もあるようなので、ご紹介しておきます

2月28日付Defense-News記事によれば
c-2 3.jpg●川崎重工は、NZが同国のC-130H輸送機やB-757-200C輸送機の後継機を検討するFAMC( Future Air Mobility Capability)計画に、C-2輸送機を提案する予定である
●NZはC-130とB-757の後継機として、2機種を選定するか、1機種で賄うかも含め検討中である

Avalon航空ショーで川崎重工関係者は、NZとは要求性能について数年にわたって協議していると述べていた
●一方で同関係者は、「C-2のマーケティングは最近始めたばかりである。今後少なくとも10年間は、C-2の生産を継続する」とも述べている

航空自衛隊の第3輸送航空隊(美保)から飛来したC-2輸送機が、同航空ショーで展示されているが、同機は2017年11月にNZをすでに訪問している
C-2輸送機は、航空自衛隊のC-1輸送機(20数機)の後継として国産開発され、既に2機のプロトタイプと7機の完成機が納入されており、最終的には20-30機が購入される見込み

●川崎重工関係者は、「(NZ以外に)several other countries」とC-2売却協議を行っていると述べたが、具体的な国名や地域について言及を避けた
●また同社は、防衛省と経済産業省と輸出許可を巡り協議しているところである
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c-2 5.jpg川崎重工関係者の言葉を信じ、価格のことは考えず、良い知らせを待ちたいと思います。
中東ではUAEの名前が昔から上がっています

武器輸出三原則から防衛装備移転三原則への移行に伴い、輸出に成功した日本製国防装備があったか記憶にありませんが、そうりゅう型潜水艦はダメでしたし、P-1に英国が関心を・・なんて話もありましたが・・・。今後も難しいでしょうねぇ・・・

関連の記事
「P-1に英国が興味」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-18
「そうりゅう型に豪州が興味」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-05

C-2輸送機のwikipedeia
https://ja.wikipedia.org/wiki/C-2_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%E3%83%BB%E6%97%A5%E6%9C%AC)

防衛白書の「防衛装備移転3原則」解説
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2014/html/n4133000.html

タグ:KHI 川崎重工 C-2
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米陸軍は2020年に南シナ海大規模機動展開演習 [Joint・統合参謀本部]

東シナ海シナリオにも応用可能な形で
かつてない規模で統合・多国籍の様々な訓練を

Brown Army.jpg3月26日、太平洋陸軍司令官のRobert Brown大将が軍事メディアのインタビューで2020年に南シナ海シナリオで史上初の大規模な米本土からの機動展開演習「Defender Pacific」を計画しており、タイやフィリピンなどに展開することを検討していると語りました

アジア太平洋地域に約8.5万人を展開している米陸軍は、既に演習「Pacific Pathways」で地域諸国との共同演習を行っており、この演習については「より対象を絞って深く長く」の方向で充実させるとの方向性も同時に明らかにしています。

同司令官が明らかにした演習計画は「南シナ海」を対象としていますが、海空軍の輸送能力や指揮統制支援を受ける演習「Defender Pacific」は、東シナ海シナリオにも応用できるものであることを、はっきり忘れずにインタビューで語っていることにも力づけられます

3月27日付Defense-News記事によれば
Brown Army2.jpg米陸軍協会のシンポジウムが開催されているアラバマ州でBrown司令官は、2020年に米陸軍はアジアと欧州で大規模演習を計画しており、アジアでは「南シナ海シナリオ」に基づく史上最大規模の米本土からの機動展開演習「Defender Pacific」を計画していると語った。そしてこの機動展開演習シナリオは東シナ海シナリオにも応用できると付け加えた
●また同大将は、対テロよりも中国やロシア対処を重視した国家防衛戦略NDSに基づいて、米本土からの緊急展開を他軍種の支援を受けつつ30-45日間の演習で訓練すると説明し、多国籍の複雑な演習になると語っている

●「Defender Pacific」では、1個師団用の司令部と数個の旅団を緊急展開させる構想で、既にアジア地域に駐留する米陸軍部隊と協力して円滑な展開と早期戦力化を目指すとしている
●また同司令官は、「韓国にはいかない」、「このような大規模で行ったことのない複数の取り組みを行い、展開先は主にフィリピンとタイを予定し、ブルネイ、インドネシア、マレーシアとの訓練や協力も考えている」と説明した

一方で従来の「Pacific Pathways」演習は
過去5年間、年間を通じて太平洋陸軍がアジア地域で行ってきた「Pacific Pathways」演習については、実施国は多少減るが、その代わりに期間を従来の数週間から数か月から半年に延長し、より深く同盟国等との関係を構築し、地域環境への習熟度を高める方向に転換すると同司令官は説明した
●つい最近終了したタイとフィリピンでの同演習も、既にそれぞれ3か月と4か月に従来より期間を延ばして実施された

Stryker.jpgタイ軍は米国製「Stryker戦闘車両」の導入を予定しており、同車両を運用している米陸軍から種々の教訓を学びたいと希望しており、米陸軍側は東南アジア特有の地形や環境での運用経験を深めるための絶好の機会ととらえている
フィリピンはISIS勢力に支配されたマラウィ市の奪還作戦に費やした苦闘の5か月間を教訓に、迅速に機動展開できる「brigade combat teams」の編成に取り組んでおり、この点でも先行経験や対IS経験のある米軍から学びたいと考え、南シナ海を取り巻くフィリピンとの関係強化を狙う米国とのニーズと合致している

同司令官は、例え演習対象国が減少したとしても、小規模な米陸軍部隊が同時に近隣の国に展開する訓練方式を考えており、フィジーやパラオ島ではこの方式で連携強化を図ると説明している
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Balikatan 2018-3.jpg昨今メディアを賑わす話題先行の朝鮮半島騒ぎに隠れ、中国が埋め立て工事や軍事施設を程完成してしまった「南シナ海」を忘れずにいてくれることに感謝ですが、中国のA2AD能力充実の中、どれだけの訓練が計画されるのかに今後注目です

射程数百キロの大砲や地対地・地対艦ミサイル部隊を多数南シナ海沿岸に展開し、中国が国際規範を無視して埋め立てた軍事基地島ににらみを利かせるような力を示すことができれば、それなりの効果があるような気がしますが・・・

また予算不足で、それほど長射程の火力はなかったですかねぇ・・・

中国の脅威を考える
「対中国で米軍配備再検討」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-16-1
「空母キラーDF-26の発射映像」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31
「射程1800㎞の砲を米陸軍に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「DIAが中国軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-17
「H-20初飛行間近?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-13
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30

地上部隊にA2AD網を期待
「RIMPACで日米陸軍が訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21
「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
「ハリス大将も南シナ海で期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

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なんと米海軍は今後FA-18を110機購入予定とか [Joint・統合参謀本部]

2013年度予算が最後で、2014年でEA-18Gも最後のはずが
議会による修正で、細々とライン維持購入が続いていたが

FA-18 CV.jpg20日、ボーイングが約4500億円で78機のFA-18(Super Hornet)を購入する3年間の複数年契約を結んだと発表しました。通常は年度毎に行う契約を、3年まとめて行うことで材料調達価格等の低減を図ることにより、約440億円の価格低減が可能になったとアピールしています

なお米海軍は正式に発表はしていないようですが、今後の5か年計画で米海軍は計110機を購入する計画だとボーイング関係者は言っているようです

ほんの4-5年前までは、ボーイング社はFA-18生産ラインの閉鎖を検討していましたが、対ISI作戦の激化による旧型FA-18の酷使で引退時期が早まり、最新型FA-18 Super Hornetへの負担が激増し稼働率が低下、更にF-35C開発の遅れ等があり、FA-18 Super Hornetの追加調達が始まっていました

折も折、中東のクウェートが40機程度のFA-18追加購入を決定して生産ライン維持が可能となったこと等もあり、米海軍もグダグダのF-35を待つことなく、FA-18追加購入にどんどん傾いているようです

2016年度予算議論で要求枠から漏れたFA-18が、議会による修正で復活したあたりまでしかフォローしていませんでしたが、100機以上の追加納入になるとは・・・。米海軍は否定していますが、F-35Cが嫌いなんでしょうねぇ・・・

21日付米海軍協会web記事によれば
FA-18EF3.jpg●ボーイングの担当副社長であるDan Gillian氏は、「3年間の複数年契約により、FA-18関連チームとサプライヤーに、長期を見通しての対応を可能にしてくれる」との声明を出している
4年前には、ボーイング首脳はFA-18生産ラインの閉鎖を検討していた。米海軍の2016年度予算案には、FA-18が含まれていなかったからである

しかし米議会は、米海軍がFA-18を予算復活候補に入れていたことを取り上げてこれを予算化し、以後、米海軍はFA-18購入を少しづつ積み増してきた
ボーイング社は米海軍が今後の5か年計画で計110機のFA-18を購入する計画だと言っているが、米海軍報道官から本件に関する問いかけに対する回答はない

既に議会は2019年国家授権法において、米海軍の複数年契約を承認している
●ボーイングが今回契約を結んだ78機のFA-18のうち、61機が単座のE型で、17機が複座のF型である

2015年3月の記事「なぜ追加でFA-18が必要?」より
FA-18EF.jpg●米海軍のFA-18調達は2013年度予算が最後で、EA-18Gも2014年で最後のはずだった。最終的に2015年度も議会審議の過程でFA-18が復活したが、それも最後との計画だった
しかし最近になって、海軍トップのグリーナート大将等が「FA-18の追加調達(2~3個飛行隊:24~36機)」の必要性に言及し始めている。理由の概要は以下の通りである

F-35の開発遅延により、F-35C型の運用開始は2018年にまで遅れており、本格生産の時期も考慮すると、早くとも2020年以降でないと戦力として期待できない
●現在約600機保有する旧型FA-18Cは、340機のF-35Cが後継となる予定で、機体の引退も始まる。同機はアフガンやイラクでの酷使で損耗が激しく、整備予算の削減もあって65~100機が定期整備待ちの状況

旧FA-18の定期整備は、旧FA-18の延命改修と並行して行われているが、機体損耗の激しさから定期整備期間が伸びていることもあり、修理補給所の能力限界を超えている
FA-18.jpg●対IS作戦所用により、アフガン作戦減少で余裕が出ると想定していたFA-18への任務量が減らず、最新型FA-18(E及びF型)への負担増と整備増が生じている。

旧FA-18の延命改修(飛行時間6千時間増)が行われていたが、150機に対しては1万時間増の改修が実施中も、任務増と整備工場の容量の関係で機体維持が限界
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数年前、当時の海軍トップは、2~3個飛行隊:24~36機)」の必要性に言及していたようですが、それが110機ともなればF-35Cの調達機数に影響が出ないはずがありません・・・

米海軍はどう説明するのでしょうか???

FA-18関連の記事
「2016年予算FA-18追加もめ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-23
「機体疲労深刻:FA-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-07
「なぜ追加でF-18が必要?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15

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空母トルーマンを25年も早期退役させる案で紛糾 [Joint・統合参謀本部]

Truman.jpg3月14日、今年になって国防省が打ち出している空母トルーマンを耐用年数より25年以上も早く2020年代中旬で早期退役させ、その代わりにFord級空母2隻分の将来建造費をひねり出すとの案について、Shanahan臨時国防長官が上院軍事委員会で質疑に対応しました

端的に言うと、この国防省提案に賛成の議員はいません。大反対か極めて懐疑的な議員が多数で、あまりにも前例のない案なので唖然としているのが残りの議員といった感じでしょうか?

まんぐーすも細かな国防省の皮算用が理解できていないのですが、 同空母の維持費と運用期間中間時点に迎える大規模修理と燃料交換作業経費を考え、更にひっ迫している海軍艦艇用の造船所の労働者の有効活用を考えれば、「future systems」であるFord級建造推進する方が良いとの説明の様です

しかし14日の臨時国防長官の証言を契機に国防省主張の検証が開始され、つじつまが合わない点や、統合参謀本部や米海軍内の必要戦力見積もりがまだ検討途中であることなどが次々明らかになり、ますます国防長官の立場が悪化しているようです

もちろんShanahan臨時長官の個人的な思い入れで打ち出した案ではないでしょうが、「臨時でない本物の国防長官が存在しない期間」の最長記録(過去最高は2か月も、今回4か月を超え記録更新中)となる中、評判の芳しくない臨時長官のいばらの道はまだまだ続きそうです

14日付米海軍協会web記事によれば
Truman2.jpg●臨時国防長官は、この決断は旧来兵器と将来システムへの投資のトレードオフを行うものだと説明し、空母トルーマンを早期引退させる代わりに、新型であるFord級空母2隻の購入費を将来ねん出するものだと述べた
そしてその理由として同長官はまず、空母トルーマンの燃料交換を伴う大修理を行わずに経費を浮かし、新型空母を2隻確保して戦闘能力を増強することを挙げた

●更に長官は、この新旧戦力のトレードオフにより、2020年代半ばまで空母11隻体制を維持し、なお海軍用造船所での雇用を維持または増やすことが出来ると説明した
●そして3つ目の理由として、空母トルーマンの早期退役により今後5年間で約3800億円が削減でき、新型空母建造費用が約4400億円削減可能になるとも説明した

●そして臨時長官は、複雑で多様な業務のスケジューリングが必要な燃料交換オーバーホールをキャンセルすることで、限られた造船所の従業員を柔軟に新型空母建造や潜水艦建造に割りえてることが出来ると利点を主張した

●これに対してヒロノ上院議員は、「当該造船所の関係者と話をしたが、国防省の説明と食い違いがある」とと述べたが、具体的にどこの誰から聞いた意見かについては言及しなかった
●同議員から「同空母に燃料補給すべきではないか」と意見を求められたDunford統合参謀本部議長は、「軍事的な視点だけから見れば燃料補給が望ましいとは思うが、国防長官や大統領の立場からすれば、より広い視野からの判断がある」と答えている

●また3月13日に米海軍トップのリチャードソン大将、「Ford級空母の調達価格低減と空母トルーマンの早期退役は別の話であり、関連付けて語るべきではない」、「空母トルーマンの早期退役は、今我々が議論検討している逃したくない最新技術関連の新装備調達と関連している」と表現している
●別の視点で、空母を一隻早期退役しようと計画している中、搭載する艦載機飛行隊数の削減等については何も議論されておらず、この辺りも議会は関心を持って確認する方向である

Truman3.jpg同委員会後の各議員の意見は厳しかった米海軍OBである議員は「50年使用する予定で投資してきた空母を、25年で退役させること自体が大きな損失であり、燃料補給修理費がセーブできるとの理屈は破たんしている」と訴え、
●更に別の議員は、「空母トルーマンの燃料交換修理を実施しなかったら、次に同修理を行う空母ステニスやレーガンまでの期間で必要な技術や人材が喪失する」と述べ、臨時国防長官の主張を否定した
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もう少し国防省側の主張や空母戦力の維持計画をよく確認する必要がありますが紛糾間違いなしの案件です。

新しいフォード級空母がニミッツ級の2倍近い価格である点が背景にありますが、それよりも気になるのが、臨時国防長官と、軍人である統合参謀本部議長や海軍作戦部長の発言ぶりの差です。

特にダンフォード議長の「国防長官や大統領は、より広い視野で判断している」との発言は、軍人としては納得できないと言っているのと同じです。リチャードソン海軍大将の発言も、臨時長官の説明ぶりを支える気が全くないように感じられます。

このまとまりのなさ・・・本当に心配です

米海軍空母関連
「スミソニアン空母映像4つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-20
「空母群が温故知新訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-25
「べ戦争後初:米空母ベトナム訪問へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-24
「空母艦載給油機のRFP発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-13
「映像で学ぶ:米海軍空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19

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「艦載機燃料タンクの振動問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-29
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「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

「中国が空母キラーDF-26試験」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31
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