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米空軍次期制空機NGAD は「数か月間保留」 [米空軍]

Kendall 空軍長官「正しい方向にあるか確認する」
また「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」
「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」とも

Kendall AF.jpg7月30日、Kendall 空軍長官が米空軍開発部門主催の企業交流イベント(Life Cycle Industry Days)で次期制空機NGAD 発に関し、「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」と述べつつも、「担当企業を選定し、単一設計と単一サプライヤーでの前進を決定する前に、適切なブロセスと運用コンセプトを持っているかなど、数か月間、厳しく検討するつもりだ」と述べました

また、「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」と述べつつも、B-21次期爆撃機の基本構想時と同じように「NGADはオプションで有人機にすることもできる:optionally crewed」と表現するなど、NGADの今後の方向性について非常に振れ幅の大きい表現で語っています

NGAD 4.jpg更に同長官は、米空軍は中国軍の急速な技術進歩と、米空軍基地に雨のように降り注ぐ弾道ミサイルに対応しなければならないと指摘し、米空軍が長い滑走路が必要な基地からのみ作戦行動を強いられるならば「我々にとり間題だ」とも語り、戦闘機の限界を示唆するような表現も用いて語った模様です

以上が7月30日付米空軍協会 web 記事が紹介している空軍長官発言ですが、以下では同記事が空軍長官発言にコメントしている内容をご紹介します

Kendall AF3.jpg●空軍長官は昨年、NGAD 契約締結は 2024年になるだろうと語ったが、7月30日の発言はもはやそうではない可能性を示唆している

●同空軍長官と Allvin 空軍参謀総長は最近、NGAD の膨大な推定コストを削減できるかどうか、厳しく検討していると発言している。更にAllvin大将は、戦闘機が優先的に予算を確保できる時代ではなく、多くの選択肢の中の一つに過ぎなく、それは戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別を意味する(NGAD is one of “many choices” on the budget landscape, a departure from the rock-solid support the fighter has had from the service until now) と明確に語っている

NGAD 1.jpeg●NGAD は無人機ウイングマン機CCAの技術進歩に追い越された感があり、誰の目から見ても大きな進歩を遂げている低コストの同種無人システムと調和させなければならない。

●空軍長官はNGAD を頻繁にアップグレードすることが目標だと述べているが、米空軍の上級幹部は、技術変化の速度が加速している現状から、この手法に疑問を持つものが多い。短期間でのアップグレードを目指す CCAは3年毎のアップグレードを想定しており、CCAを操るNGADもこのペースに追随することが望ましいが、その可否に意見が分かれている
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NGAD 2.jpg「米空軍創設以来、戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別・・・」との米空軍トップの発言を、日本の戦闘機命派や航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットはどう受け止めているのでしょうか?

米国に対抗して、日英伊で乗り出してしまった必要性に大きな疑問符が付く次世代戦闘機開発を、どのように納めるつもりでしょうか? いつまで過去の遺産である戦闘機への優先投資を続けるのでしょう?

米空軍は次世代制空機 NGADあきらめムード
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/

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イランの攻撃に備え米軍がイスラエル防衛部隊増強へ [安全保障全般]

8月1日の米イ首脳電話会談受け2日国防長官指示
細部は検討中も、派道元も派遣先も派遣情報公開に慎重
空母を維持し、4月と同様に戦闘機とミサイル防衛装備増派へ

israel iran2.jpg8月2日付各種メディアは、7月30日のベイルートでのヒズボラ幹部フアード・シュクルの暗殺や、同31日のテヘランでのハマス指導者イスマイル・ハニヤの暗殺への対応として、イランがイスラエルへの報復を明らかにしたことを受け、1日の米イスラエル首脳電話会談での合意を踏まえ、2日に米国防長官がイスラエル防衛のための戦闘機や艦艇の追加増強を発表したと伝えています

具体的には、4月の150発以上の弾道&巡航ミサイルや、130機以上の無人機によるイランによるイスラエル攻撃時にも緊急追加派遣した、弾道ミサイル迎撃能力がある巡洋艦・駆逐艦や地上配備迎撃ミサイル部隊の周辺地域追加派遣や、戦闘機部隊の派遣など、防空能力強化のための幅広い選択肢を検討中と国防省報道官が説明しています。

israel iran3.jpg匿名の米国当局者は、現在中東にいる米海軍の駆逐艦2隻が紅海を北上し地中海に向かう予定で、必要なら、少なくとも 1隻は地中海に留まる可能性があると語った模様ですが、受け入れ国が米軍の増派に非常に敏感で動きを公表したくないと要望しているらしく、どこまで派遣部隊の詳細が明らかになるかは不透明です

ただ、太平洋から中東に再展開して過去 2か月間この地域を担当していた空母「セオドア・ルーズベルト」打撃群に代わり、空母「エイブラハム・リンカーン」打撃群を派遣することは同報道官が明らかにしています
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israel iran4.jpg4月13日のイランによるイスラエル攻撃時は、防衛研究所・西野主任研究官によれば・・・・

●イランは攻撃による事態エスカレーションを望まず、イランのイスラエルに対する強い姿勢を自国民に見せるため、攻撃を大規模に見せかけつつ、攻撃による大きな被害を出さないよう対策した。
●イスラエル側の被害発生を防ぐため、イランは攻撃の実施時期や概要を、事前にトルコ、サウジアラビア、UAE など中東諸国に事前通告することで、情報を間接的に米国やイスラエルへ届けて、イスラエル側が十分な防衛体制を準備できるようにした。
israel iran5.jpg●イスラエル軍は米英軍などと連携・協力し、情報を生かしてイラン攻撃に対処した。

・・・らしいですが、今回は果たして・・・・。   五輪開催中ではありますが、緊張感高まる 中東情勢です。

4月のイラン攻撃とイスラエル対応
「西野主任研究官によれば」→https://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦概要」→https://holylandtokyo.com/2024/04/16/5812

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NATO首脳会議で露の汚い戦い対処を議論 [安全保障全般]

汚い戦いとは「ハイブリッド攻撃」のことです

hybrid.jpg7月9日から11日に米ワシントンCDで開催されたNATO首脳会議で、ロシアが欧州のウクライナ支援国を相手にコソコソ陰湿に進めている、一般的な軍事力ではない手段で相手国に混乱などを引き起こそうとする汚い行為、つまり2014年の露によるウクライナ侵略以降「ハイブリッド攻撃」と呼ばれる行動が激化して脅威となっている点が議論され、NATO加盟国が連携対処することが確認されました。

hybrid6.JPG具体的にこのケースでの「ハイブリッド攻撃」とは、破壊工作、暴力行為、不自然な移民や難民の増加、サイバー攻撃などなどを指し、「西側の社会を分裂させ、国家や国家機関、さらにはNATOやEUに対する国民の信頼を失墜させ、ウクライナ支援を弱体化させること」を狙いとしたものと解釈されており、NATO加盟国の認識をそろえて対応を強化することが首脳宣言として採択された模様です

以下では7月14日付のNHK報道記事から、露による欧州諸国への「ハイブリッド攻撃」の事例や最近の新たな展開について概観し、仮に日本が「ハイブリッド攻撃」対象になったら・・・を考えるベースとしてご提供したいと思います

最近の様々な「ハイブリッド攻撃」事例
【難民や移民の武器化】→約3年前、ロシアの同盟国ベラルーシのポーランド国境付近に突如、多数の中東やアフリカの移民らが集まり、ポーランド側へ越境しようとしてポーランド国境管理や治安部隊に混乱を生じさせた

hybrid2.jpg【放火など破壊工作1】→欧州諸国では最近数か月、商業施設や公共施設などで不審な火災が相次いでいる。5月にはリトアニアの首都のショッピングセンターで火事が起き、その直後には、ポーランドの首都ワルシャワで 1400以上の店が入る大規模なショッピングセンターが全焼。ポーランド治安当局が、露の指示を受け破壊工作を行ったとして9名を拘束(リトアニア事案の容疑者でもあると推定)

【放火など破壊工作2】→ウクライナ支援に積極的なチェコでは、6月のヨーロッパ議会選挙の直前、首都プラハの路線バスの車庫で何者かがバスに放火未遂する事件が発生。 警察がコロンビア国籍の 26歳の男を拘束。チェコ公安情報局は「ロシアのつながり示す明らかな証拠がある」とし、チェコ首相はロシアによる「ハイブリッド攻撃」だと主張。放火が成功していれば、「ウクライナを支援しているからチェコが狙われるんだ」との主張が拡散されていたであろうと警鐘鳴らす

チェコ事例とチェコ公安情報局の分析
hybrid4.jpg→地元警察は、男のスマホ等を捜査し、男はテロ組織や犯罪集団とのつながりはなく、約50万円の報酬目当ての犯行だったと説明。チェコ公安情報局のトップは「露との関連を示す非常に明らかな証拠があり、ロシアの情報機関が今回の攻撃の背後にいる重大な疑いを持っている。ロシアはウクライナへの支援に積極的な国を狙っている」と取材に述べている

→ただし、犯人はSNSで日常的に多数がやりとりをするグループの中から選ばれ、多くの人物を介して間接的に露情報機関から指示を受けており、犯人本人には露から指示を受けた認識はない模様
hybrid3.jpg→同チェコ公安トップはまた、イスラム過激派組織 IS等が、テロ実行犯となる人物をネット上で勧誘し、「ローン・ウルフ:一匹オオカミ」として欧州に送り込んだ手法に似ているとして、露の新たな「ハイブリッド攻撃」手段との認識を示し、「攻撃実行者の事前特定が困難で、阻止は極めて難しい。露はプロを使っていないが、一般市民の恐怖心をあおる狙いのハイブリッド攻撃では、十分役割を果たせる」として危機感をあらわにしている
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中国は、海外在住の中国人も対象に含める2つの法律、つまり、有事に軍事動員する「国防動員法」と、有事・平時を問わず中国政府の情報工作活動への協力を義務づける「国家情報法」を制定しており、在日中国人は中国本国からの指示が出れば、すぐさま日本に対する「ハイブリッド攻撃」実行者になり得る状態にあります。

hybrid7.jpg日本のマスゴミやいくつかの政党は、今でも既に中国など海外勢力の出先機関のような動きを見せていますが、「国防動員法」や「国家情報法」を根拠に、中国政府が在日中国人に行動指示を出したなら、それはそれは恐ろしい脅威になります。頭に置いておきましょう

後日、東欧や北欧諸国を飛行する民間航空機や民間飛行場への影響が最近ひどく成っているロシアによるGPS妨害を、「ハイブリッド攻撃」と扱うことが可能かに関する論考をご紹介する予定です。ジュネーブ条約の枠組みでは、現実世界の動きに対処することが難しくなっている事例としてご覧いただければ幸いです

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イタリアはKC-46給油機から A330 MRTTへ変更か [安全保障全般]

2011年から使用のB767 ベース給油機後継めぐり
2022年に6機のKC 46導入を決定していたが・・
2024年6月に突然KC-46 導入中止(halt)発表
関係者は数か月以内に再選定示唆

A330 MRTT5.jpg7月12日付 Defense-News は、イタリア空軍が2022年に決定したボーイングKC-46空中給油機6機の導入計画を中止し、現在使用するB767 ベースのポーイング製給油機4機の増強と後継機選定をやり直す模様で、世界のベストセラー給油機エアバス A330 MRTT 空中給油機が有力候補だと報じています

イタリア空軍は2011年にB767 ベースの給油機4機を導入し、その戦力増強と後継給油機として、2021年に現有B767 ベース給油機のアップグレード改修と追加で2機購入方針を決定しましたが、翌 2022年には同じくボーイング製のKC-46給油機6機導入に変更していたところでした

A330 Pitch Black2.jpgそれが2024年6月になって伊国防省が突然、約 1900億円相当のKC-46給油機6機の購入を「変化した予期しないニーズにより:due to changed and unforeseen needs」中止すると具体的な理由説明なく発表し、軍事メディアはコストと納入時期をめぐる問題に関連している可能性を報じていたところです

KC-46 RVS.jpgちなみに米空軍は今年3月、未だに開発時の要求性能を満たさないKC-46 給油ブーム遠隔操作システム RVSの改修バージョンRVS2.0の納入が、更に2026年まで延期されると発表していました

イタリア国防省のKC-46購入中止(Halt)発表に関し匿名の国防関係者は、「数か月以内に再度の機種選定が行われるであろう」と Defense-News に語った模様です
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KC-46 Flight2.jpgB767 ベースの空中給油機からKC-46 に機種更新中の航空自衛隊とは、別の道を進むことを決断しそうなイタリア空軍のお話でした

軍用機分野だけでなく、民航機分野でも「ボロボロ」状態のポーイング社や、同社の悪評を象徴するようなKC-46給油機について繰り返し言及することは避けますが、エアバス A330 MRTT 給油機とKC-46 給油機の比較を以下でご紹介しておきます

結論として A330MRTT は、日米イスラエルだけが使用するKC-46より遥かに多くの国で使用されており、自動給油システムなども成熟しているということです

●A330MRTT導入国はKC-46よりはるかに多い
A330 Pitch Black3.jpg- A330 MRTTは、豪州空軍が初導入後、英、サウジ、UAE、仏、シンガポール、韓国、スペインなど2022年時点で13か国 49機が運用中。
- 更に、米国製航空機にも広く空中給油認可済で、2022年時点で戦闘機ではF-35、F-22、F-16、F-15、A-10、爆撃機ではB-1、輸送機・哨戒機では C-17、E-3、P-3及びP-8A対潜哨 戒機、そのほかE-7にも給油可能
-ベースとなるA330は世界で1600機以上使用され、部品調達など機体維持上の問題もない

A330 MRTT4.jpg●使用可能飛行場が3割増
-翼がKC-46 より大きく揚力が大きいため、アジア太平洋地域で利用できる飛行場が3割増

●3か国が導入決定の自動給油装置アリ
-「fly-by-wire boom system」で全自動装置を試験中(既に330 回給油試験済で今年中に昼間運用認証予定、夜間認証は 2023年) 高解像度高精彩3Dの画像システムを使用し、処理速度や反応速度が速い

A330MRTT 給油機関連の記事
「豪州 L A330MRTT 給油機と空自F-2適合試験完ア」 →https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/
「A330MRTT & LMXT」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-20

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「欧州空の盾構想」への中立国参加を巡る考察 [安全保障全般]

ESSI : European Sky Shield Initiatve 構想を巡り
中立国スイスも参加意思表明済
改めて中立性との関連議論を確認

ESSI5.jpg7月11日付 Derense-News が、ロシアの脅威に対抗する防空&ミサイル防衛システムの共同迅速購入等を目的とし、ドイツが中心となって 2022年 10 月に開始された「欧州空の盾構想:ESSI: European Sky Shield Initiative」に、中立国スイスが参加意思表明していることに関する、スイス国防省や専門家の見解を紹介しています

ESSIは、既存のNATO 防空システムを強化する基本方向で、防空&ミサイル防衛システムを加盟国が相互運用性を備えた形で導入することを狙った構想で、市場にある装備品を有効に迅速に効率的に導入することを目指しており、調達においては NATO の「Modular Ground-Based Air Defence High Visibility Project」枠組みを活用して、加盟国の負担軽減につなげるものです

ESSI7.jpgESSI立ち上げ当初の加盟15か国は全てNATO加盟国 (Belgium, Bulgaria, the Czech Republic, Estonia, Finland, Germany, Hungary, Latvia, Lithuania, the Netherlands, Norway, Slovakia, Slovenia, Romania, the United Kingdom)で、2023年2月にDenmark and Sweden 加盟で17か国となり、2024年2月に Greece and Turkey も加盟意思を示しています。

2023年7月に中立国スイスとオーストリアも参加意思を示しましたが、スイスの加盟についとは「中立性」との整理について、2024年夏に他加盟国間で議論されるとのことです。仮にスイスが加盟すれば ESSIは21か国参加となります

このような状態にある ESSIですが、スイス国防省やチューリッヒエ科大学の Marcel Berni 講師は、「中立国」スイスの加盟に問題はないと以下のように説明しています

ESSI66.jpg●スイスは現時点で、弾道ミサイル攻撃を受けた場合に防衛する手段を保有しておらず、ESSI 加盟は自国防衛のための手段である
●スイスはESSIへの参加範囲や程度を自ら決定できる。スイスの主な加盟の狙いは調達調整と訓練および兵站面協力である。防空ネットワークへの統合は想定されていない
●ESSI 枠組み合意には「国家間の武力紛争への参加や関与を排除する条項」が含まれている
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スイス以外の ESSI 加盟国が、どのような理由でスイス加盟を慎重に議論するのか説明できませんが、日本で左系の方が時節持ち出してくる平和の象徴のような「中立国」も、きちんと脅威の変化に応じ適切に柔軟に対処し、国防努力を怠っていないことをご紹介しておきます

ESSI3.jpgただ、欧州諸国でESSIに反対する国もあります。ESSI内で共同で効率的調達を検討する具体的装備として、イスラエル製の「AITOW 3」や米国製の「パトリオット」と言った装備名が上がっていることから、仏伊共同開発の「SAMP-T system」が不当に排除されているとして、仏伊スペインがESSIに反対し、2023年6月に仏が代替構想討を提案して欧州一丸になっていない現実もあります

ESSI 関連の記事
「欧州空の盾計画に中立国スイス参加意思表明」→ https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/

ウクライナに学ぶ防空の重要性
「ウクライナで露が制空権で優位に!?」→https://holylandtokyo.com/2023/06/28/4795/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「イラン製無人機が猛威」→https://holylandtokyo.com/2022/10/20/37871
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/

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海外F-35パイロット養成基地を米本土に新設 [亡国のF-35]

海外17か国で2400機以上を運用する操縦者養成
アリゾナ州Luke基地は満杯状態
新たに州空軍基地をF-35訓練専従基地に

F-35 Ebbing5.jfif6月20日付Defense-Newsは、現在はMQ-9無人偵察攻撃機のみを運用しているアーカンソー州のEbbing州空軍基地が、7月2日に海外F-35運用国のパイロット養成専用部隊(第188航空団隷下に第86戦闘飛行群と第57戦闘飛行隊)を「新設」し、9月からポーランド空軍操縦者を皮切りに訓練生を受け入れ開始予定で、その後はフィンランド、ドイツ、スイス、シンガポール(米空軍には無いF-35Bの訓練)操縦者を訓練し、2025年に4名、その後は2030年頃まで毎年35名程度の卒業生を送り出す計画だと紹介しています

F-35 Ebbing7.jfif現在も維持費が高止まりし、米空軍での稼働率も低迷し続け、最新ソフト搭載の完成度に米空軍が満足せず機体受領を拒否している問題てんこ盛りの「亡国のF-35」が、現時点で世界18か国で3500機導入予定で、そのうち海外に2400機以上が提供され「将来の破局」や「西側空軍による集団自殺」をほう助する異常事態を生み出しているにもかかわらず・・・と最近はコメントする気力さえ消え失せてしまったのですが、

経験や技量レベルが異なり、言葉も十分に通じない様々な世界中のパイロットを、米国に受け入れて最新戦闘機の操縦を教育する米空軍現場の「懐の深さ」や「関係各位の努力」は、到底他国では代替できない取り組みで、国際安全保障の基礎であり根幹を支えていることは間違いのない事実ですので、その概要をご紹介します。

20日付Defense-News記事によれば
F-35 Ebbing3.jfif●現在のEbbing州空軍基地には約1000名の兵士が所属し、無人偵察攻撃MQ-9運用とISR分析処理、更に宇宙軍関連の目標分析任務(Targetting)を担っているが、戦闘機配備は「ゼロ」の基地である。ただかつては、F-4、F-16、A-10が所属していたこともある
●現在、海外F-35パイロット養成はアリゾナ州Luke空軍基地が担っており、イタリア、ノルウェー、デンマーク、オランダ操縦者が既に教育を受けており、ベルギーからも間もなくLuke基地に到着予定。しかし同基地の受け入れ能力はすでに限界で、追加の訓練基地として2023年3月にEbbing州空軍基地が選定された(政治家も巻き込むミシガン州Selfridge州空軍基地からの猛烈な誘致運動もあったが・・・)

F-35 Ebbing.jfif●米空軍は2028年までに計約1300億円を投入し、Ebbing基地のF-35受け入れ各種施設やシミュレーターや訓練空域の整備(空域拡大用の施設準備や模擬SAMなど訓練機材設置等々)を行う予定。特殊な所では、シンガポール空軍が米空軍が保有しないF-35B型訓練を行うことから、垂直着陸に耐えるエプロンの整備や教官確保も行う予定
●Ebbing基地には、24機のF-35と12機のF-16が配備される予定。F-16は現在Luke基地に置かれているシンガポール空軍の米国分遣隊F-16が移動してくるもの。

F-35 Ebbing8.jpg●Ebbing基地にF-35シミュレータ設置が完了するまでの間は、計7か月間のF-35操縦基礎教育課程の内の当初3か月の訓練はフロリダ州Eglin空軍基地で行い、F-35に関する座学や、シミュレータによる離着陸訓練から基礎的F-35戦術訓練(1対1空中戦など)までをEglin担当とする。Ebbing基地では実機F-35による飛行訓練で、離着陸から基本戦技、対地攻撃CASやSEADや対航空やエスコートやパッケージ行動の基礎を訓練する
●7か月間のF-35操縦基礎教育課程終了後、一部の海外操縦者は再びEglin基地に戻って「教官操縦者」教育課程を受講して母国空軍での教官パイロットとなり、その他の操縦者は母国F-35飛行部隊に戻る。Ebbing基地では、2025年に4名の卒業生を送り出し、その後20230年頃までは毎年35名程度の教育を行う予定
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F-35 Ebbing6.jfif日本の名前が出てきませんが、航空自衛隊は2016年12月にLuke基地で航空自衛隊用1番機を受領し、2017年から同基地で航空自衛隊パイロットの養成(教官要員を含め)を開始しており、推定ですが、コロナ前の段階で、F-35操縦者や整備員の養成は、既に日本国内で航空自衛隊自ら行える体制を確立していたと思われます

これまで操縦者教育を担ってきたアリゾナ州Luke基地は、F-35飛行隊を6個に機体140機以上を有する「F-35要員教育のメッカ」ですが、Ebbing州空軍基地の地元の皆様は、様々な外国人パイロットをどのように受け入れていくのでしょうか・・・。無人機MQ-9の穏やかなプロペラ音から、最新戦闘機F-35の爆音がとどろく環境への変化を受け入れてくれる社会の存在にも感謝すべきでしょう

航空自衛隊訓練生の米国での墜落死亡事故に学ぶ
「海外訓練生と語学の壁・米空軍の努力」→https://holylandtokyo.com/2023/04/19/4533/
「当該事故調査報告」→https://holylandtokyo.com/2021/10/12/2328/

航空自衛隊操縦者の米国教育は既に終了か
「空自F-35の一番機受領@Luke基地」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-03

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タグ:Lule Ebbing eglin F-35
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新任米空軍ACC司令官が兵士8万名に服装容儀検査 [米空軍]

「服装容儀の明らかな悪化が見られる」と
服装容儀の乱れは部隊能力の低下を示すバロメータ
「ひげ」が重要論点で「ひげそり教育」実施も

AF Beard2.jpg6月10日、2月に太平洋空軍司令官から米空軍戦闘コマンド(ACC:Air Combat Command)司令官に栄転したばかりのKenneth S. Wilsbach大将が、「兵士の大半は服装容儀基準を満たしているが、基準への取り組みには明確な低下が見られる」として、配下の兵士全員8万名に対する「服装容儀点検:Inspections on the Air Force standards for dress and personal appearance」を命じ、7月17日までに各部隊による検査を完了するよう指示しました

なお米空軍戦闘コマンドは、米空軍の戦闘機を始め1000機の航空機等々を軍人文民計15万名で運用する米空軍最大のコマンドで、35個の航空団Wing所属部隊等を全世界263か所で活動させている米空軍の中核組織であり、ACC司令官は米空軍を実質支配する「戦闘機パイロット族のボス」と呼ばれています

AF Beard.jpegACC報道官はこの命令に関し、2月に更新された「服装容儀基準」の履行状況を確認するためのものであり、「自然な流れだ」とも説明しているようですが、同時に米空軍全体として「大国間の本格的紛争に備えた即応性を重視」する方針が示され、組織改編などに着手している中、ACCとして「即応態勢は服装容儀基準の高レベル順守から始まる」と「基準の履行は秩序と規律維持にとどまらず、基本的な任務の必須事項である」との認識も示しています

検査は、日本人がイメージする単なる見た目の「服装容儀」だけでなく、兵士各個人の健康状態や信仰宗教に配慮した「服装容儀基準の免除」が、現時点での兵士の状況に即して更新されているかも重視する内容となっており、特に「ひげ」に関する「基準免除」の再確認も重視項目に含まれているとのことです。

AF Beard5.jpg「ひげ」に関しては、各個人の健康状態と宗教的側面の2側面から「ひげそり免除規定」があり、身体特性や健康面では、「皮膚の特性」から毎日ひげそりすると偽毛包炎(PFB)などの病気を発生させ皮膚に跡が残る兵士には「ひげそり免除」が認められようですが、空軍医官が「ひげそり教育コース」を開設して、安全にひげそりが行える方法を教え、不要に「ひげそり免除」が増えることを防止するようです。

宗教的側面からの「ひげそり免除者」へのアプローチは難しそうですが、免除付与が適切か7月17日までに再確認させるとのことです

AF Beard3.jpg「ひげそり免除」の取得は近年容易になってきたらしいですが、ひげ容認推進派からは「ひげをめぐる文化的偏見がまだ残っており、空軍兵士のキャリアを妨げている」との主張が展開されており、一方で下院軍事委員会の議員らが、ひげが安全性、規律、士気、包括性に与える影響を調査する法案を提出して審議がなされているということです
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米空軍の最上級曹長が「歴史は、部隊の服装容儀の乱れは、その部隊の軍事能力と即応性低下のバロメータであることを示している」と危機感を示し、新司令官が「(基準の順守状況に」明確な低下が見られる」と感じたならば、それは明らかな問題であり、米国社会全体の劣化を映し出したものなのかもしれません。

AF Beard4.jpg別の側面ですが、イスラム教信者が米軍内にも増えて「ひげそり免除者」が増え、部隊内で浮き上がった存在になっていたり、イスラエルVSハマス戦争の激化長期化を受け、イスラム教信仰兵士の存在を危惧する声も部隊内には根強く存在するようで、下院軍事委員会の調査法案は、その辺りをオブラートに包みつつ探ろうとしているのかもしれません

ひげ服装容儀関連の記事
「2021年12月の服装容儀基準変更」→https://holylandtokyo.com/2021/12/16/2519/
「イスラム教信仰兵士にあごひげ許可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-21

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異なる通信システムの多国籍軍を繋ぐE-11の活躍 [米空軍]

愛称ベーコンのBACN機は現6機で9機体制へ
現在はガザ物資投下からフーチ派対処等々中東で
第18空中指揮統制飛行隊の中東派遣隊取材

E-11A BACN2.jpg6月21日付米空軍協会web記事が、ビジネスジェットに通信中継装置を搭載したBACN機(愛称ベーコン:Battlefield Airborne Communications Node)であるE-11Aの、中東派遣部隊パイロットへのインタビュー記事を掲載しました。

米国ジョージア州Robins空軍基地が母基地の第18空中指揮統制飛行隊所属機が、中東へ第430電子通信派遣飛行隊として展開している形で、その展開地や展開機数も非公開(派遣操縦者は約20名)で秘密が多い部隊や機体ですが、多国籍の部隊や装備が連携して戦うニーズが高まる中、不可欠な役割を果たしている部隊ですのでご紹介いたします

E-11A BACN.jpg通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000(最新型はBD-700)にNG社製のBACN機器を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始し、現時点で推定6機を米空軍が保有し、今後毎年1機を調達して2027会計年度内に9機体制確立を目指しているそうです。

(なお米空軍は、無人機RQ-4にBACN機器を搭載したEQ-4も2018年頃から運用して4機保有していましたが、米空軍RQ-4の退役開始に合わせEQ-4Bも引退させようとしています)

E-11A BACN3.jpgE-11A型機は導入当初から、直進する性質を持つ電波の覆域補完や遠方「通信中継」機として紹介され、またその役割から広く「空飛ぶwifi :wifi in the sky」として前線兵士から期待され、「近接航空支援CAS、空輸物資投下、兵士救出、人道支援時の通信中継」、「データシステムが全く異なるF-22とF-35間のデータ中継」等に、2022年3月時点で既に20万時間以上の任務実績を積み重ねており、

山岳地帯が多く電波が届きにくいアフガン作戦での活躍が断片的に報じられてきましたが、アフガンからの撤退で、地上攻撃や兵士投入&撤収作戦の空地連携支援などの任務が減少し、ガザ地区への人道物資空中投下、フーチ派対処(攻撃と防御両面)、イラクやシリア内での対IS作戦や展開米軍防御作戦へ中央軍の作戦がシフトする中で、E-11A派遣飛行隊の役割が少し異なってきているようですので、記事から概要をご紹介いたします

21日付記事によれば最近E-11は・・・
E-11A BACN4.jpg●飛行隊長の中佐は、単に通信中継で通信可能距離を延伸するだけではなく、異なる電子形態やフォーマットの電子機器間の通信を繋いで中継し、様々なプラットフォーム間の相互通信性やデータの互換性を確保することが重要な任務だと語っている
●例えば、既に30回以上の支援実績があるガザ地区への人道支援物資空中投下では、この作戦を発案し開始したヨルダン空軍とヨルダン国内に設置された多国籍計画調整指揮所を、数か国の異なる通信アセットを搭載したC-130やエアバスA400輸送機や米空軍C-17とを結ぶ「空中通信中継」の役割を果たした

E-11A BACN5.jpg●同飛行隊長は「我々はガザ物資投下に限定されず、統合航空作戦センターから出されるATO(航空任務命令)に従い、様々な通信形態を繋いで多くの作戦参加者を連携させている」とまでしか発言を許されていないが、イラクとシリアでの米軍を航空脅威から防御し、イランと同盟関係にある民兵組織を空爆したり、フーシ派の商船攻撃阻止を支援したり、対IS作戦「Operation Inherent Resolve」支援のため、24時間体制で地上待機している
●E-11Aは最新型の場合航続距離が6000マイル(1万㎞以上)あり、操縦者2名のみで1回の飛行で複数の任務を時間分割で遂行可能な特長を生かし、海上でも陸上でも、多国籍な部隊が持つ様々な通信方式のの意思疎通ツールを繋ぐ「接着剤」の役割を果たし、現代の軍事作戦だけでなく、国際社会のニーズに応えている
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E-11A BACN6.jfif単なる「通信中継」イメージを超え、現代社会が求める「多国間協力」を支えるE-11部隊をご紹介いたしました。なお米空軍は既に、次世代BACN機器開発をNG社と契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4と 5世代機のデータ共有能力向上、高脅威下で機能するGPS、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです

ご紹介していて思ったのですが、なぜ有人機であるビジネスジェット改良型を使用することになったのでしょうか? 次世代BACN機器開発開始だそうですが、本格紛争への備えなら、無人機型が必要では? RQ-4の維持が困難になり、搭載量の大きな長期在空無人機の代替が無かったから? 将来は衛星にE-11の役割を引き継がせる構想だから? いろいろ考えてしまいますが、調べる気力がないので、とりあえず今日はここまでとさせていただきます

E-11A関連の記事
「Bジェット改良の通信中継機増強中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/21/3920/

通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/

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80時間連続飛行の無人偵察機が中東アフリカで活動中 [米空軍]

偶然中東での画像が流布しその存在が明らかに
Too MuchなMQ-9より安価で損耗を苦にしない
まず4機を導入し、将来はアジア太平洋でも

ULTRA DZYNE2.jfif7月2日付DefenseOneが、米中央軍がUAE基地に展開中の画像を「うっかり」流布させたことからその存在が明らかになった、DZYNE社製造の連続80時間飛行可能な無人偵察機ULTRA(Ultra Long-Endurance Tactical Reconnaissance Aircraft)について取り上げ、その航続性能からアジア太平洋戦域での活用も視野に置く同社CEOの話などを紹介していますので取り上げます

今年5月にどのような形でULTRAがUEAのAl Dhafra空軍基地で撮影され、その画像が流通したのか把握していませんが、同機は米空軍研究所AFRLと協力して約8年前から研究開発が始まっていたようですが、米国防省主導の「small business innovation research program (SBIR)」との枠組みで、2025年度予算で4機を約53億円で調達(地上管制や整備関連機材や部品を含む価格と推測)することになっているようです

ULTRA DZYNE.jfif機体は写真でご紹介しているような形状で、コストを抑えるため一般販売されているスポーツ用有人グライダー機体を改良したものだそうですが、偵察器材など約180㎏の最大ペイロードで、空中給油等無しで80時間連続飛行が可能な性能を持ち、例えば東京駅から離陸すると、約2000nm(3600㎞)離れた南シナ海ど真ん中付近で「丸一日」哨戒偵察飛行が可能な能力を持つそうです

現在は写真を撮られた米中央軍担当エリアやアフリカ大陸で活動しているようですが、アフリカでの根拠飛行場確保が難しくなる中、イタリア国内から離陸してサハラ砂漠一体のアフリカ北部全体を偵察範囲としてカバー可能な能力を持つことから、大いに重宝されているようです

ULTRA DZYNE3.jfifULTRAが開発された背景には、元々無人攻撃機として開発された1機45億円のMQ-9では運用コストや撃墜された際の損失が任務に比して「Too Much」で、現実にはMQ-9の「飛行時間の僅か数%しか」攻撃任務に使用されていない「無駄の垂れ流し状態」を解消するため、より調達や維持運用コストが安価なアセットへの要求が前線部隊で非常に大きくなっていることがあるようです。

今回DefenseOneの取材を受けたDZYNE社CEOのMatt McCue氏は、作戦運用根拠基地が少ないアジア太平洋地域では活用可能な航空偵察アセットが限定されるが、中東やアフリカ戦域での運用経験を踏まえ、アジア太平洋のような環境でこそ我が社のULTRAが真価を発揮するとして、米軍や国防省にアピールしたいと語っています
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ULTRA DZYNE4.jfif画像から「スポーツ用グライダー」改良品であることがご理解いただけると思いますが、商用部品の使用で機体価格や維持運用コストは相当に抑制できるでしょうが、機体にステルス性があるわけではなく、相当の損耗率も覚悟する必要がありそうです。

1機45億円のMQ-9と比較すれば・・・ですが、ULTRAだって1機5~10億円くらいするんじゃないでしょうか

MQ-9関連の記事
「台湾MQ-9Bを追加」→https://holylandtokyo.com/2024/04/18/5755/
「海自9B東シナ海試験」→https://holylandtokyo.com/2024/03/04/5603/
「米空軍が鹿屋に:今嘉手納」→https://holylandtokyo.com/2022/10/27/3811/
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「9B豪州へ輸出許可」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争対応に機体改修」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-22

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米海軍がイラン支援のフーシ派とWW2以来の長期激戦に [Joint・統合参謀本部]

中露との本格紛争に備えるはずが
フーシ派の無尽蔵無人機や巡航&弾道ミサイル対処に忙殺
フーシ派に対する地上攻撃は制約下に?
紅海やスエズ運河交通量は激減で終わり見えず

houthi rebels5.jfif6月14日付 Military.com 記事が、イスラエルとハマス戦争やウクライナ戦争の陰に隠れて注目度が低下気味だが、紅海周辺で米軍主導で実施している対フーシ派作戦は、米海軍が直面しているWW2以降で最も激しい海戦になっている、との米海軍幹部や専門家の意見を紹介しています

2023年11月から始まった、フーシ派が「パレスチナ人支援が目的」だと主張する、紅海を航行する西側艦艇や船舶に対するドローンや巡航&弾道ミサイル攻撃への西側対処作戦は、イランから支援を受け、無尽蔵ともいえる上記兵器を保有するフーシ派との戦いとなっており、米海軍艦艇は休みない対応を迫られています

Houthi Rebels.jpgラマダン期間の攻撃低下期間を除き、フーシ派はほぼ毎日、紅海・アデン湾や近傍の水路でミサイルやドローン(水中・水上を含む)攻撃等を仕掛けており、例えば1月9日の1回の攻撃への対処は、米イージス艦や空母艦載FA-18で、フーシ派発射のドローン18機、対艦巡航ミサイル2発、弾道ミサイル1発を撃墜する激しい戦闘として記録されています

Hudson 上級研究員(元海軍士官)Brian Clerk 氏は危機感を
●疑いの余地なく、米海軍がWW2以降で経験した最も長期にわたる激しい戦闘である
●フーシ派は、イラン提供兵器を使用した実戦経験を積み重ねて能力を高めており、米軍が阻止できないレベルになる寸前だ。フーシ派は有能で、豊富な経験を能力向上につなげている

米海軍空母戦闘群を率いるミゲス海軍少将は
houthi rebels7.jfif●イランが資金援助だけでなくインテリジェンス支援も行ってることに、相当な確信をもっている。少なくともフーシ派が、海上輸送船や米軍艦を標的にする訓練も受けていることは事実だ
●(イランがフーシ派攻撃の標的を選定しているのかとの質問に対し、)イラン政府とフーシ派は協力関係にある。国連決議でワーシ派への武器供与が禁止されているにもかかわらず、イランはフーシ派に武器供給し続けている

●5月30日の米英によるフーシ派一斉攻撃は、350発以上の爆弾とミサイル50発以上を投入したものだったが、米海軍幹部は「フーシ派の地対空戦闘能力を大幅に低下させたが、彼らはまだ存在している」、「我々は常にフーシ派からの攻撃に備えている」とコメントしている
●フーシ派への攻撃をなぜもっと強めないのか、との不満の声が米海軍乗組員の間で上がっていることを海軍幹部も認めている

houthi rebels2.jfif●ただ、国際情勢は単純ではなく、欧米海軍が周辺海域で防御態勢をとっている一方で、サウジはフーシ派との和平協定を模索し、ほぼ沈黙を守っている。報道では一部の中東諸国は米国に、自国領土からフーシ派攻撃を行わないよう要請しており、米空母の存在に依存している
●また、米国政府もフーシ派の行動を、イスラエルVSハマス戦争と同レベルで議論しておらず、イランがイスラエルに大規模なドローンとミサイル攻撃を行っても、間接的にイランとの緊張を緩和しようと努めているように見える

米海軍部隊の負担とエジプト等への影響
houthi rebels3.jfif●現地で踏ん張る空母アイゼンハワー戦闘群は、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の 1週間後の展開以来、たった1回寄港しただけで作戦を継続しており、イージス艦は7日の内6日間は緊張を強いられる即時体制を継続している
●フーン派の攻撃で、この地域の船舶輸送は停滞しており、エジプトの低迷する経済にとって重要な外貸獲得源であるスエス連河収入は、攻撃開始以来半減している
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houthi rebels6.jfifボディーブローのように、米海軍を中心とした米軍の能力を奪っている・・・と考えてよいと思います

定性的な記事内容の紹介しかできませんが、イスラエルとハマス戦争から派生する世界の動きは、皆の感覚がマヒしていく中で、大きなうねりとなっているような気がします

最近の中東やフーシ派関連の記事
「イスラエルVS イランを防研が速攻解説」→htps://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「フーチ派対処で防御態勢迅速改修改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦」→https://halylandtokyo.com/2024/04/16/581

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