南シナ海で米海軍監視下、比が中国海警包囲を突破 [安全保障全般]
比沿岸警備艦に招待されたプレスが状況を世界に発信
海警艦艇の包囲網を突破し、環礁の比拠点人員&物資輸送
8月22日、中国と沿岸国との領有権争いが続く南シナ海で、フィリピン側が海洋監視拠点(座礁した貨物船利用)に補給物資を補給船で届けようとしたところ、「中国海警(位置付け沿岸警備隊)」艦艇や偽装漁船に進路妨害や危険な接近を約5時間にわたり繰り返されましたが、
米海軍がISR機を3時間にわたり上空に派遣する等の措置もあり、中国艦船等の妨害を突破したフィリピンの木造補給船2隻による補給物資の比監視拠点への輸送作戦は成功し、これらの様子が比沿岸警備艇に招待され乗船していたAP通信をはじめとする西側メディアによって世界に配信されています(日本のメディアは全く報じませんが・・・)
フィリピンの木造小型補給船2隻はフィリピン沿岸警備隊の2隻の警備艦(BRP CabraとSindangan)に護衛され、西側メディアはBRP Cabraに招待され乗船していましたが、8月21日夜から中国海警の艦艇4隻と偽装漁船4隻に追跡されはじめ、
フィリピン側が補給輸送の目的地としていた「Second Thomas Shoal」に設置した海洋監視拠点(座礁した貨物船利用)の手前約7㎞付近から、中国側艦艇による妨害行為が本格化したと、8月23日付Military.com記事は伝えています
中国海警の艦艇は、フィリピン側沿岸警備艇の前方わずか46mを横切ったり、進路前方を塞ぐなどの行動を約5時間にわたって続け、この間拡声器で中国側が「双方による誤解や誤認識を避けるため、この場を離れ立ち去れ! さもないとこの事態から生じる全ての結果の責任をそちら側が負うことになる」、「もしこのような侵害と挑発を続けるならば、我々は対抗措置を取る」等と威嚇を続けた模様です
そんな状況下でしたが、フィリピン側の木造補給船(全長10m程度以下の船)2隻は、巧みに中国の妨害を振り切り、「Second Thomas Shoal」の浅瀬に入り込んで中国側の追随を許さず、無事に海洋監視拠点(座礁した貨物船利用)への交代要員や補給物資の輸送に成功したということです
8月5日には、中国側が比の補給船に放水銃を使用する事象が発生し、米国が「比との同盟に基づき、比軍や航空機や艦艇が攻撃を受けるようなことがあれば、防衛義務を遂行する」との声明を出して中国側に警鐘を発していたところでした
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今年に入って米比関係は、ホワイトハウスKirby戦略報道官が5月1日に「驚愕の進歩を見せている」と公式会見で表現したほどの進展を見せており、米海軍がISR機を上記のような事態に急遽派遣するほどの緊密な関係を構築するに至っています
フィリピン側も、このような中国側との対立場面を予期して、西側メディアを事前招待して沿岸警備艦に乗船させておくほどの「周到さ」と「中国への強硬な堂々とした対応姿勢」を対外的にアピールする姿勢を明確にしており、「中国国力の衰弱」に付け込む様子に逞しさを感じます。
日本政府も是非このようなフィリピンの姿勢に学んでいただきたいですし、日本の「マスゴミ」の皆様には、中国を「早々に見限る」ことをお勧めしておきます
米フィリピン関連の記事
「首脳会談と33年ぶり空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/08/4597/
「米比2+2とBalikatan演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「5世代機初展開F-22」→https://holylandtokyo.com/2023/03/24/4442/
「第3MLRの編成」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
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海警艦艇の包囲網を突破し、環礁の比拠点人員&物資輸送

米海軍がISR機を3時間にわたり上空に派遣する等の措置もあり、中国艦船等の妨害を突破したフィリピンの木造補給船2隻による補給物資の比監視拠点への輸送作戦は成功し、これらの様子が比沿岸警備艇に招待され乗船していたAP通信をはじめとする西側メディアによって世界に配信されています(日本のメディアは全く報じませんが・・・)

フィリピン側が補給輸送の目的地としていた「Second Thomas Shoal」に設置した海洋監視拠点(座礁した貨物船利用)の手前約7㎞付近から、中国側艦艇による妨害行為が本格化したと、8月23日付Military.com記事は伝えています

そんな状況下でしたが、フィリピン側の木造補給船(全長10m程度以下の船)2隻は、巧みに中国の妨害を振り切り、「Second Thomas Shoal」の浅瀬に入り込んで中国側の追随を許さず、無事に海洋監視拠点(座礁した貨物船利用)への交代要員や補給物資の輸送に成功したということです

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今年に入って米比関係は、ホワイトハウスKirby戦略報道官が5月1日に「驚愕の進歩を見せている」と公式会見で表現したほどの進展を見せており、米海軍がISR機を上記のような事態に急遽派遣するほどの緊密な関係を構築するに至っています

日本政府も是非このようなフィリピンの姿勢に学んでいただきたいですし、日本の「マスゴミ」の皆様には、中国を「早々に見限る」ことをお勧めしておきます
米フィリピン関連の記事
「首脳会談と33年ぶり空軍演習」→https://holylandtokyo.com/2023/05/08/4597/
「米比2+2とBalikatan演習」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
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米陸軍戦闘車両への電子戦装備TLS搭載 [Joint・統合参謀本部]
旅団レベル用TLS-BCTと師団以上用TLS-EAB
ウクライナ教訓受け陸軍が全力で推進中
「Stryker」と「AMPV」へ搭載へ
8月7日、米陸軍のDoug Bush技術開発調達担当次官補が記者団に対し、ウクライナでの教訓等々を受け、米陸軍が過去20年間の「テロとの戦い」で生じた電子戦空白時代を穴埋めするために、新たな電子戦装備の迅速導入に取り組んでいるとアピールしました
具体的には、陸軍部隊の重要装備である戦闘車両に、「cyber, electronic warfare and signals intelligence」の全てを総合的にカバーする電子戦装備を搭載する取り組みで、GD社製の「Stryker戦闘車両」とBAEシステム社製の「AMPV多用途車両:Armored Multi-Purpose Vehicle」がその対象となっており、ロッキード社が競争を勝ち抜いて2023年4月から本事業を担当しているようです
搭載システムは、旅団規模以下で使用する小規模部隊用の「TLS-BCT:Terrestrial Layer System-Brigade Combat Team」システムと、師団や軍団レベル以上で使用する「TLS-EAB:Terrestrial Layer System-Echelons Above Brigade」で、ロッキードは約160億円規模の契約でまず「Stryker戦闘車両」の「TLS-BCT」から取り掛かっており、6月には「TLS-EAB」部門での企業選定にも勝利して具体的検討を深化させているようです
Bush担当次官補はこれら一連の電子戦事業について、「米陸軍は、過去20年間にわたり放置されてきた戦術的電子戦分野の、根本的な再構築のために再投資を行っている」と説明し、「ウクライナに提供できたのは限定的な数量の関連装備だが、露側のドローン攻撃対処等に極めて有効であることが実証されており、我々はこの戦訓から学ぶべきと考えている」とこの投資の重要性を強調しています
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「テロとの戦い」から対中国念頭の「本格紛争」準備へと切り替える中で浮上した「電子戦の空白」問題ですが、ウクライナ戦争を目の当たりにして米軍の危機感は、「ドローン対処」「地上戦闘」「情報収集」「指揮統制」等々の多様な分野で急速に高まったものと考えられます
日本もこの危機感を共有しているのでしょうか? 戦闘機を始めとした、航空機ばかりに投資し続けている航空自衛隊を見るにつけ、非パイロットである坂梨防衛部長でも「急には方向性を変えられない」日本の悪しき硬直性をしみじみと感じます
米陸軍の電子戦改革(道遠し)
「2027年までに前線電子戦部隊整備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-04
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02
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ウクライナ教訓受け陸軍が全力で推進中
「Stryker」と「AMPV」へ搭載へ

具体的には、陸軍部隊の重要装備である戦闘車両に、「cyber, electronic warfare and signals intelligence」の全てを総合的にカバーする電子戦装備を搭載する取り組みで、GD社製の「Stryker戦闘車両」とBAEシステム社製の「AMPV多用途車両:Armored Multi-Purpose Vehicle」がその対象となっており、ロッキード社が競争を勝ち抜いて2023年4月から本事業を担当しているようです


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「テロとの戦い」から対中国念頭の「本格紛争」準備へと切り替える中で浮上した「電子戦の空白」問題ですが、ウクライナ戦争を目の当たりにして米軍の危機感は、「ドローン対処」「地上戦闘」「情報収集」「指揮統制」等々の多様な分野で急速に高まったものと考えられます

米陸軍の電子戦改革(道遠し)
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「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
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米宇宙軍に初の「Targeting Squadron」誕生 [サイバーと宇宙]
敵の宇宙関連アセット無効化手法の分析専門部隊
中佐指揮官の「第75 ISR Squadron」編制
8月11日、米宇宙軍のコロラド州Peterson宇宙軍基地の「Space Delta 7」部隊内に、仮想敵の宇宙アセットの状況を常日頃から様々なソースの情報を基に分析し、米統合軍にその無効化手法オプションを提供する初めての専門部隊「75th ISRS:第75 ISR Squadron」が編制されました
2019年12月に米宇宙軍が創設された当時から同部隊編成構想が検討され、4年越しの部隊立ち上げとのことでしすが、米空軍内に宇宙部門があった当初から同様のアイディアが検討されてきており、長年の関係者の努力がやっと実ったことになります
米空軍協会ミッチェル研究所の宇宙研究員のCharles Galbreath退役大佐は、「75th ISRSは、仮想敵の宇宙アセットを構成する3要素(衛星と地上の管制装置とその2つを結ぶ信号)の視点から対象アセットを普段から分析整理し、必要時にそれら敵アセットを如何に効率的に無効化するかの最善策を統合部隊に提言する任務を担い」、
「例えば、米軍の通信妨害システムから妨害電波を出し、敵の地上管制センターと敵衛星の通信を妨害したり、時には米軍爆撃機から敵地上管制センターにJDAMを投下する等の選択肢を助言する」と同部隊の役割を説明しています
中国が相手のケースを想定すると、中国大陸内部の衛星管制施設を爆撃やミサイル攻撃で物理的破壊することが難しい場合は、サイバー攻撃もオプションになるでしょうし、それが困難であれば衛星との通信を妨害したり、衛星に直接作用する手段を最適オプションに推薦することも考えられます
同部隊編成を報じる8月17日付米空軍協会web記事によれば、米空軍時代には宇宙担当の情報幹部がそのような役割を持っていたとも言えなくはないが、仮想敵の脅威レベルの高まりや技術レベルの発達を背景に、より専門的な要員養成や組織的対処が必要となり、「75th ISRS」編制に繋がった模様です
Galbreath研究員は脅威に関し、「中国は、既に地上には物理的衛星破壊兵器やレーザー兵器、サイバー能力、電子戦兵器を配備し、今はさらに宇宙空間に電子妨害機能やレーザー兵器のほか、ロボットアームを備えた衛星を配備する準備を進めている」と危機感を強調しています
そして同研究員は、このような宇宙脅威の中で、米国はもちろん「宇宙における国際行動規範確立」、「敵の攻撃に対処可能な強靭な宇宙システムの開発」、「宇宙状況把握能力の向上」にも取り組む必要があるが、現状で限定された能力しかない米国にとって、「強力なCounterspace能力確保」も欠くことができない重要要素だと主張し、
米国が冷戦後にCounterspace能力開発を「避けてきた」現実を振り返りつつも、4月に米宇宙軍のSaltzman参謀総長(正確には作戦部長ですが・・)が細部不明ながら、「2026年までに、Substantial On-orbit Capabilityの完全運用態勢を構築する」と米議会に約束したことに期待しつつ、宇宙兵器分野で米国が多様なオプションを保持すべきと強調しています
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17日付米空軍協会web記事は、図で「Counterspace能力」を6種類紹介し、「衛星への物体衝突」「通信電波妨害」「レーザー光線」「化学物質吹き付け」「高出力マイクロ波照射」「ロボットアームでの破壊」の6つを図示しています
中佐が指揮官の「75th ISRS」は、50-100名前後の規模と推定されますが、任務の重要性や特殊性からして、様々な関係部隊との連携が重要な部隊と拝察いたします。日本も特定地域や国の分析の一端を担うことで、関連技量を高め、米軍との関係強化にもつなげたいところです
自衛隊と米宇宙軍の関係強化
「本格協議SETスタート」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
米宇宙軍の兵器
「米宇宙軍初の攻撃兵器CCS」→https://holylandtokyo.com/2020/04/14/725/
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中佐指揮官の「第75 ISR Squadron」編制

2019年12月に米宇宙軍が創設された当時から同部隊編成構想が検討され、4年越しの部隊立ち上げとのことでしすが、米空軍内に宇宙部門があった当初から同様のアイディアが検討されてきており、長年の関係者の努力がやっと実ったことになります

「例えば、米軍の通信妨害システムから妨害電波を出し、敵の地上管制センターと敵衛星の通信を妨害したり、時には米軍爆撃機から敵地上管制センターにJDAMを投下する等の選択肢を助言する」と同部隊の役割を説明しています

同部隊編成を報じる8月17日付米空軍協会web記事によれば、米空軍時代には宇宙担当の情報幹部がそのような役割を持っていたとも言えなくはないが、仮想敵の脅威レベルの高まりや技術レベルの発達を背景に、より専門的な要員養成や組織的対処が必要となり、「75th ISRS」編制に繋がった模様です

そして同研究員は、このような宇宙脅威の中で、米国はもちろん「宇宙における国際行動規範確立」、「敵の攻撃に対処可能な強靭な宇宙システムの開発」、「宇宙状況把握能力の向上」にも取り組む必要があるが、現状で限定された能力しかない米国にとって、「強力なCounterspace能力確保」も欠くことができない重要要素だと主張し、

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17日付米空軍協会web記事は、図で「Counterspace能力」を6種類紹介し、「衛星への物体衝突」「通信電波妨害」「レーザー光線」「化学物質吹き付け」「高出力マイクロ波照射」「ロボットアームでの破壊」の6つを図示しています

自衛隊と米宇宙軍の関係強化
「本格協議SETスタート」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/
米宇宙軍の兵器
「米宇宙軍初の攻撃兵器CCS」→https://holylandtokyo.com/2020/04/14/725/
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グアム島のMDシステム本格試験を2024年開始 [米国防省高官]
今年後半から各パート試験がスタートし
MDA長官が空席のままなようですが・・・
8月9日、米陸軍主催の「Space and Missile Defense Symposium」でミサイル防衛庁長官代理のDoug Williams海軍少将(本来長官出席予定が上院の承認遅れで・・・)が講演し、ミサイル防衛庁最優先事業である対中国作戦の一大根拠基地グアム島のミサイル防衛体制構築に向けた各種試験を、今年後半から各パーツ毎に開始し、一連の第1弾防御兵器群が配備される2024年には、イージスシステムとSM-3 Block IIA対象の初の飛翔体対象試験も開始すると説明しました
2022年5月に当時のHill長官は、グアム島の防衛は、極超音速兵器から弾道ミサイル及び巡航ミサイル等の多様な脅威を想定した重層的なものが計画されているとし、以下のような方向性を示していました
●ルーマニアやポーランド配備のAegis Ashoreのような固定システムだけではなく、移動式ランチャー活用や移動可能型指揮統制センターが実現できないか検討している
●米海軍のSM-3やSM-6、陸軍のPAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備導入も検討
●指揮統制システムとして米陸軍「Integrated Battle Command System」での連接を柱に、「イージスシステムの火器管制能力」も活用。まず弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んみ、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる
●2013年から配備&運用しているTHAADに加え、PAC-3 MSEを地上配備を完了することで、グアム島周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる
8月9日のWilliams長官代理講演では、昨年5月のHill長官発言の内容が2024年度予算に組み込まれ、米海軍は約1140億円、陸軍は900億円の予算で強力にグアム島ミサイル防衛を推進する方向が再確認され、特に米海軍に比して遅れ気味だった米陸軍は、低層用の「Lower Tier Air and Missile Defense Sensors」やPAC-3 MSEミサイル3セットのグアム島へ導入を進める模様です
イージスシステムの地上配備では、アラスカに設置されている宇宙監視センサー「Long Range Discrimination Radar」技術を導入した、新型の機動センサー「AN/TPY-6 radars」を4セット導入してシステムの脆弱性を削減しつつ能力強化を進めており、8月16日には大陸間弾道弾ICBM探知追尾試験が計画されている模様です
更に12月には、ミッドコースでのミサイル防衛能力「Ground-based Midcourse Defense system」を強化する新型迎撃体(two-stage selectableが特徴)の試験も計画され、その後続々と、SM-3 Block IIA、THAAD、PAC-3 MSEの試験が実施される計画だと同長官代理は説明しました
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グアム島のミサイル防衛の難しさは、もともと島の地籍が限られる中、火山活動で出来た凹凸の激しい地形によりミサイル防衛装備展開可能エリアが限定され、地元先住民が先祖から受け継ぐ「神聖な場所」への配慮も欠かせないパズルを解くような点にあり、Williams長官代理がこの面でどのように現状を語ったのかが気になります
また、米海軍イージスシステムと陸軍の防空システム群の、センサー情報や指揮統制融合も大きな課題であったはずですが、この方面に関しても特段の報道はなく、順調なのかどうか「?」な状況です
ここ1か月余りで、中国経済崩壊が怒涛の勢いで進み、台風5号による河北省や北京の洪水など習近平体制の基礎がぐらつく事案が続いていますが、米軍の皆様には粛々と対中国体制構築を続けて頂きたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
「グアムMDを再び語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/
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MDA長官が空席のままなようですが・・・

2022年5月に当時のHill長官は、グアム島の防衛は、極超音速兵器から弾道ミサイル及び巡航ミサイル等の多様な脅威を想定した重層的なものが計画されているとし、以下のような方向性を示していました

●米海軍のSM-3やSM-6、陸軍のPAC-3、そして現有のTHAADの組み合わせを基本とするが、米陸軍が2023年に配備予定の「Mid-Range Capability missile」などの将来装備導入も検討
●指揮統制システムとして米陸軍「Integrated Battle Command System」での連接を柱に、「イージスシステムの火器管制能力」も活用。まず弾道ミサイルと極超音速兵器対処に取り組んみ、その後にPAC-3の持つ優れた巡航ミサイル対処能力を米陸軍C2システムを通して融合させる
●2013年から配備&運用しているTHAADに加え、PAC-3 MSEを地上配備を完了することで、グアム島周辺海域でローテーション待機するイージス艦を3-4隻を開放することができる

イージスシステムの地上配備では、アラスカに設置されている宇宙監視センサー「Long Range Discrimination Radar」技術を導入した、新型の機動センサー「AN/TPY-6 radars」を4セット導入してシステムの脆弱性を削減しつつ能力強化を進めており、8月16日には大陸間弾道弾ICBM探知追尾試験が計画されている模様です

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グアム島のミサイル防衛の難しさは、もともと島の地籍が限られる中、火山活動で出来た凹凸の激しい地形によりミサイル防衛装備展開可能エリアが限定され、地元先住民が先祖から受け継ぐ「神聖な場所」への配慮も欠かせないパズルを解くような点にあり、Williams長官代理がこの面でどのように現状を語ったのかが気になります

ここ1か月余りで、中国経済崩壊が怒涛の勢いで進み、台風5号による河北省や北京の洪水など習近平体制の基礎がぐらつく事案が続いていますが、米軍の皆様には粛々と対中国体制構築を続けて頂きたいと思います
グアムのミサイル防衛関連
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「整備の状況と困難」→https://holylandtokyo.com/2022/04/05/3082/
「分散&機動展開可能型へ」→https://holylandtokyo.com/2021/08/23/2146/
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米空軍がベンチャー企業にBWBデモ機を [米空軍]
「JetZero社のZ-5」が2027年までに飛行試験
官民両用で燃料効率・輸送効率大幅向上目指す
8月16日、米空軍はBWB(blended wing body)形状機体のプロトタイプ機作成と2027年までのデモ飛行実施を、ベンチャー企業「JetZero」社に委託すると発表し、発表の場でKendall空軍長官が「BWB機は燃料消費を大幅に削減するとともに、航空作戦に変革をもたらし、我々の勝利に必要な戦略的優位をもたらしてくれるだろう」とアピールしました
Kendall長官はBWB機に関し、大幅に検討開始を前倒し(当初2030年代に検討開始予定を、2022年末から検討開始に)している「KC-Z」こと将来空中給油機NGAS(Next-Generation Air-Refueling System)への適用を念頭にこれまで語ることが多かったのですが、今回米空軍はNGAS用だとは説明せず、「燃料消費減で気候変動対処」、「民航機との技術共有でWin-Win」とのBWB機の側面を積極的に打ち出しており、
米空軍の本件発表声明は「BWB技術成熟を目指すデモ機作成は、国防省と民間航空業界の両方に、将来航空プラットフォームの選択肢を提供することを狙いとしている」、「BWB形状は従来機体から空気抵抗を30%削減して飛行効率を向上させ、航続距離、在空時間、搭載輸送の効率の向上と、兵站輸送のリスク低減に大きく貢献する」とアピールしています
米空軍のBWB機体開発には歴史があり、1940年代後半のNG社「YB-35」や2007-13年にボーイングとNASAがデモ開発した「X-48」で培った技術が、B-2やB-21で実用化され実戦配備に結び付いているところです
このBWB技術を更に旅客機や輸送機や給油機に展開を試みる背景には、「最近の機体構造設計技術、材料技術、製造技術などなどの進歩によって、機体の大量生産に目途が立ちつつある」点があると米空軍声明は説明しています
今回選ばれた「JetZero」社は、既に「Z-5」とのBWB機のイメージ図を2023年春に発表しており、従来型機に比較して燃料消費量を5割削減できる可能性があるとしており、NGAS候補にも挑戦したいと明らかにしている企業です
一般的にBWB機は、エンジンが機体上部に搭載されることから地上への騒音が軽減できると考えられており、現状の民航機と同様のルートを飛行可能と想定され、エンジンへの異物混入リスクも低減できると見られています
このプロジェクトには米空軍の他、NASA、国防省のDIUとOffice of Strategic Capitalも関与していますが、民航機への技術転用が想定されることから民間資本の導入も期待されています
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もちろん米空軍として、燃料消費量の6割を占める輸送機と空中給油機の燃料消費効率を高めることは、2022年10月発表の気候変動対処計画「Climate Action Plan」に完全に沿ったものであり、今回の発表姿勢に違和感はありませんが、
「KC-Z」である「NGASへの搭載」を明確に打ち出さなかった背景には、空中給油機「KC-Y」もそうですが、多くの候補企業が名乗りを上げていることがあり、機種選定段階でのゴタゴタにつながらないよう、慎重に技術開発を進めたいとの思惑があるようにまんぐーすは考えています
BWB機開発関連の記事
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-Yと-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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官民両用で燃料効率・輸送効率大幅向上目指す

Kendall長官はBWB機に関し、大幅に検討開始を前倒し(当初2030年代に検討開始予定を、2022年末から検討開始に)している「KC-Z」こと将来空中給油機NGAS(Next-Generation Air-Refueling System)への適用を念頭にこれまで語ることが多かったのですが、今回米空軍はNGAS用だとは説明せず、「燃料消費減で気候変動対処」、「民航機との技術共有でWin-Win」とのBWB機の側面を積極的に打ち出しており、

米空軍のBWB機体開発には歴史があり、1940年代後半のNG社「YB-35」や2007-13年にボーイングとNASAがデモ開発した「X-48」で培った技術が、B-2やB-21で実用化され実戦配備に結び付いているところです

今回選ばれた「JetZero」社は、既に「Z-5」とのBWB機のイメージ図を2023年春に発表しており、従来型機に比較して燃料消費量を5割削減できる可能性があるとしており、NGAS候補にも挑戦したいと明らかにしている企業です

このプロジェクトには米空軍の他、NASA、国防省のDIUとOffice of Strategic Capitalも関与していますが、民航機への技術転用が想定されることから民間資本の導入も期待されています
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「KC-Z」である「NGASへの搭載」を明確に打ち出さなかった背景には、空中給油機「KC-Y」もそうですが、多くの候補企業が名乗りを上げていることがあり、機種選定段階でのゴタゴタにつながらないよう、慎重に技術開発を進めたいとの思惑があるようにまんぐーすは考えています
BWB機開発関連の記事
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「空軍がKC-Yと-Zの検討予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/
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米陸軍2万名が私物スマホ等で陸軍ネットに接続可 [サイバーと宇宙]
「Hypori」社の「Halo」とのアプリ使用で
「very, very, very secure」だと陸軍IT部長が力説
8月15日付Defense-Newsが、同日実施されたIT電子技術関連イベントでのJohn Morrison米陸軍ITサイバー部長(中将)の発言を取り上げ、米陸軍が過去1年以上の検討&検証を経て、許可された私物スマホや私物タブレット等を陸軍ネットワークに接続可とする「BYOD構想:bring-your-own-device initiative」を実現し、約2万名の陸軍勤務者(正規兵、予備役、州軍、文民職員)が柔軟かつ迅速な情報共有や指揮統制に活用していると紹介しています
同中将は、許可された勤務者と私物デバイスに小規模ベンチャー企業「Hypori」社提供のアプリ「Halo」を使用させることで、「陸軍ネットワークに私物デバイスをroot アクセスさせることなく、かつ私物デバイスに情報を保存させることなく、端末に情報をリモート送信することを実現」していると説明し、この仕組みが「very, very, very secure」だと語っています
また同陸軍ITサイバー部長は「我々はクラウド技術が実現可能な情報提供能力の最先端を目の当たりにしている」、「(陸軍用と私物の)2台の端末を持ち歩く必要はもうない。信頼性が極めて高い」、「週末に仕事の連絡があるときは、私物スマホに連絡をくれと指示している」と述べ、
Kenneth McNeill州軍CIOは「私物デバイスを業務に活用できることで、行動の柔軟性と重要事項に対する対応時間を改善できている」、「州軍の全員に官製スマホなど端末を支給することは不可能だが、これで職場に全員が出勤して情報を確認する必要がなくなった。米国政府や国防省の未来の活動様式を示すものだ」とBYODを高く評価しています
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私物スマホ等でどのレベルの秘密情報までアクセス&使用可能なのか?、どのような私物デバイス承認プロセスを踏んでいるのか?、許可された私物デバイスを紛失して悪意ある第3者の手に渡って大丈夫なのか?・・・等々、いろいろ気になるところ山盛りですが、米陸軍だけでなく民間分野でも大いに需要がありそうな技術で気になります
それにしても2万人が使用中とは、展開の速さに驚きます。世の中の動きの速い事早い事・・・
HYPORI社の関連webページ
→ https://www.hypori.com/
サイバー関連最近の記事
「Eメール「.MIL」と「.ML」の誤送信で情報流出」→https://holylandtokyo.com/2023/07/19/4861/
「豪が能力大拡大の10年計画推進中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/16/3911/
「ウ支援衛星ネット費用を米国防省に要求」→https://holylandtokyo.com/2022/10/18/3770/
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「very, very, very secure」だと陸軍IT部長が力説

同中将は、許可された勤務者と私物デバイスに小規模ベンチャー企業「Hypori」社提供のアプリ「Halo」を使用させることで、「陸軍ネットワークに私物デバイスをroot アクセスさせることなく、かつ私物デバイスに情報を保存させることなく、端末に情報をリモート送信することを実現」していると説明し、この仕組みが「very, very, very secure」だと語っています

Kenneth McNeill州軍CIOは「私物デバイスを業務に活用できることで、行動の柔軟性と重要事項に対する対応時間を改善できている」、「州軍の全員に官製スマホなど端末を支給することは不可能だが、これで職場に全員が出勤して情報を確認する必要がなくなった。米国政府や国防省の未来の活動様式を示すものだ」とBYODを高く評価しています
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それにしても2万人が使用中とは、展開の速さに驚きます。世の中の動きの速い事早い事・・・
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米海兵隊が「飛び石」沿岸偵察部隊MEU試行中 [Joint・統合参謀本部]
10日から17日まで夏休みを頂きます・・・
昨年11月から6月まで様々な試行を
30-50名が展開先で短期間センサー部隊
強襲揚陸艦や空母戦闘群とも試行演習を
7月24日付Defense-Newsは、米海兵隊が将来部隊構想「Force Design 2030」実現に向け、米海軍の打撃部隊に西太平洋の最前線情報を収集&伝達する機動センサー部隊(MEU:Marine Expeditionary Unit)が、昨年11月から今年6月まで実験&試行運用を行った様子を紹介しています
機動センサー部隊(MEU:Marine Expeditionary Unit)は30-50名の単位で、西太平洋の島々や半島の沿岸部に航空機や小型艦艇等で隠密裏に展開し、数日から1週間程度の短期の展開間に、持ち込んだ各種センサーや無人機等で敵艦艇部隊の状況を収集し、米海軍打撃部隊や周辺友軍部隊に提供して、必要に応じ味方を誘導する部隊イメージです
昨年11月からの実験運用では、大佐が率いる第13MEUがアジア太平洋地域全般の様々な場所に様々な手段で展開し、2月にはMakin Island強襲揚陸艦率いる即応戦闘群ARGやニミッツ空母戦闘群とも連携して、空母艦載機を実際に飛ばしてMakin Islandが航空作戦指揮と行うパターンまで訓練した模様です
第13MEUは機動センサー部隊の運用構想(EAB作戦構想)「Expeditionary Advanced Base Operations concept」の検証を行ったと記事は説明しており、当該期間に具体的に行った実験運用試験の細部は不明ですが、「AI搭載無人機V-BATの活用」、「シンガポール派遣中の沿岸戦闘艦LCSとの複数回にわたる具体的作戦協議」、「同盟国関連部隊との調整」等々を行った模様です
米海兵隊は、西太平洋の島々を構成する水深が浅いエリアでの作戦には、米海軍大型艦艇より小回りの利く海兵隊用の強襲揚陸艦や補給艦が適していると考えており、実際に強襲揚陸艦にF-35Bとオスプレイを各10機づつ搭載して既に運用実績を積んでいる点からも、海兵隊独自の自律性の高い運用が可能だとも考えている模様です
もちろん、より大きな打撃力を米統合部隊として発揮するため、長射程対艦ミサイルを操るNMESIS(Navy/Marine Corps Expeditionary Ship Interdiction System program)と一体化したセンサー部隊としての運用がMEUの目指すところですが、様々な状況に応じて柔軟に戦力発揮できることを海兵隊はアピールしています
7か月間の実験&試行間に得られた教訓や課題について、現在保有の補給艦等では航空機可能スペースが不十分との記述がありますが、その他の具体的課題について記事は触れておらず、今後のMEU構想の動きも記載されていませんが、
間違いなく第一列島線上に陣取るであろう自衛隊との連携が重要となる運用コンセプトですので、今後の展開を注視したいと思います
米海兵隊関連の動向
「事前装備集積船を小型化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/07/03/4806/
「次期司令官は改革派」→https://holylandtokyo.com/2023/06/06/4711/
「沖縄海兵隊4千名転進先」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「ハワイに新MLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
「Stand-in Force構想」→https://holylandtokyo.com/2022/05/25/3264/
「Force Design 2030構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-25
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昨年11月から6月まで様々な試行を
30-50名が展開先で短期間センサー部隊
強襲揚陸艦や空母戦闘群とも試行演習を

機動センサー部隊(MEU:Marine Expeditionary Unit)は30-50名の単位で、西太平洋の島々や半島の沿岸部に航空機や小型艦艇等で隠密裏に展開し、数日から1週間程度の短期の展開間に、持ち込んだ各種センサーや無人機等で敵艦艇部隊の状況を収集し、米海軍打撃部隊や周辺友軍部隊に提供して、必要に応じ味方を誘導する部隊イメージです

第13MEUは機動センサー部隊の運用構想(EAB作戦構想)「Expeditionary Advanced Base Operations concept」の検証を行ったと記事は説明しており、当該期間に具体的に行った実験運用試験の細部は不明ですが、「AI搭載無人機V-BATの活用」、「シンガポール派遣中の沿岸戦闘艦LCSとの複数回にわたる具体的作戦協議」、「同盟国関連部隊との調整」等々を行った模様です

もちろん、より大きな打撃力を米統合部隊として発揮するため、長射程対艦ミサイルを操るNMESIS(Navy/Marine Corps Expeditionary Ship Interdiction System program)と一体化したセンサー部隊としての運用がMEUの目指すところですが、様々な状況に応じて柔軟に戦力発揮できることを海兵隊はアピールしています

間違いなく第一列島線上に陣取るであろう自衛隊との連携が重要となる運用コンセプトですので、今後の展開を注視したいと思います
米海兵隊関連の動向
「事前装備集積船を小型化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/07/03/4806/
「次期司令官は改革派」→https://holylandtokyo.com/2023/06/06/4711/
「沖縄海兵隊4千名転進先」→https://holylandtokyo.com/2023/02/01/4230/
「ハワイに新MLR部隊」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
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AI搭載無人機XQ-58Aが集大成3時間飛行 [米空軍]
本格無人ウイングマン機CCA開発にソフト投入へ
「基礎技術確認を終え、2023年からCCA本格開発」の一環
8月2日、米空軍研究所AFRLが5年以上に渡り開発を続けてきた、有人機と協力したり随伴したりして攻撃やISR能力強化を狙うAI搭載無人ウイングマン機を開発する「Skyborg計画」の集大成として、開発した人工知能飛行ソフトを「XQ-58A Valkyrie」無人機に搭載し、7月25日に約3時間にわたる試験飛行をフロリダ州Eglin空軍基地周辺で成功裏に実施したと発表しました
開発責任者のTucker Hamilton大佐は試験成功後に、「この飛行試験成功を持って、機械学習と人工知能技術を総合して開発してきた、近代戦を想定した無人機用の空対空と空対地AIアルゴリズムが、今すぐにでも無人ウイングマン機計画(CCA計画:Collaborative Combat Aircraft)に転用可能なことが公式に示された」と語り、今年2023年に基礎技術開発段階から本格開発段階に入ったCCA計画の順調さをアピールしました
7月25日の3時間の飛行試験内容や具体的な成果は不明で、今後のCCA計画の具体的予定も良くわかりませんが、今年3月末に米空軍のHunter調達担当次官とMoore戦略計画部長が下院軍事委員会で、1000機から2000機導入する前提で検討と3月に空軍長官が語ったCCAを2020年代後半には導入したいと説明し、2030年代初頭導入イメージの次期制空機NGADより先行して導入したいとのスケジュール感を明らかにしていたところです
以下では7月25日を一つの節目と捉え、CCA計画の前段階として米空軍内で行われてきた、無人機用AI開発「Skyborg計画」と、無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」について、簡単に過去記事等からご紹介させていただきます
無人機用AI開発「Skyborg計画」は・・・
●無人機が、戦闘空域でISRや攻撃を、有人戦闘機や他の航空機に随伴し、有人機からの任務割り当て指示を基礎に、無人機自身で状況を判断して任務を遂行可能とする人工知能AIの開発
●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)これまでXQ-58 ValkyrieやUTAP-22 Mako無人機で自立型AI飛行ソフトのテストを行ってきたが、2023年に別の機体で応用デモ試験を行い、センサー、兵器運用、電子戦攻撃、飛行訓練パターン飛行を確認し、教訓をCCAプログラムに提供したい
無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」は・・・
●敵を混乱させるための、既存兵器を群れとして使用する自立制御(autonomy)の検討。あくまで人が事前に指定した目標群にのみ対処する「交戦規程を徹底させたセミ自立」を狙うもの
●群れがネットワーク化され、共同して機能し、敵をリアルタイムで把握して対応し、敵の反応に応じて最大の効果を発揮して任務遂行を可能にする群れ制御技術開発
●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)例えばSDB(Small Diameter Bomb)の群れ実験を通じ、無人機単独ではなく群れとして、相互に機体が連携して任務を遂行可能かを検討し、様々に変化する状況にいかに対応するかを煮詰めてきた
●それら成果を「Golden Horde Colosseum」との仕組みで取りまとめ、テストした以外の兵器や新兵器に成果に取り込むため、設計環境やデジタルモデリング環境を提供している
/////////////////////////////////////////////
CCA導入を、当初の2030年代初めから2020年代後半に前倒しすると、今年3月にKendall空軍長官が明らかにし、前述のように「1000機から2000機導入」を各種見積もりや計画の前提条件にして検討を開始していると述べていますが、対中国が一番強く念頭にあるであろうこの「CCA」の運用を考える時、
有人機も同様の問題にぶち当たっていると思いますが、西太平洋の限定的な航空機展開基盤基地に、「如何にCCAを持ち込み、如何に運用可能な状態を維持し、如何に必要とされる最前線まで到達させ、指揮統制するか」の課題には、未だ解決策らしきものが見つかっていない・・と認識しています。大陸続きの欧州戦線ならまだしも・・・
2022年末のAI無人機と「群れ」研究の状況&方向性
基礎技術確認を終え、2023年度から本格開発へ
2024年度予算案で具現化の方向をより明確に
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「空軍長官:NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holylandtokyo.com/2021/05/17/1489/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「XQ-58AのRFI発出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-04-06
「XQ-58A 初飛行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-1
Golden Horde計画関連
「優先項目の無人機の群れ苦戦」→https://holylandtokyo.com/2020/10/12/430/
「SkyborgとGolden Horde計画を優先に」→https://holylandtokyo.com/2019/12/06/2838/
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「基礎技術確認を終え、2023年からCCA本格開発」の一環

開発責任者のTucker Hamilton大佐は試験成功後に、「この飛行試験成功を持って、機械学習と人工知能技術を総合して開発してきた、近代戦を想定した無人機用の空対空と空対地AIアルゴリズムが、今すぐにでも無人ウイングマン機計画(CCA計画:Collaborative Combat Aircraft)に転用可能なことが公式に示された」と語り、今年2023年に基礎技術開発段階から本格開発段階に入ったCCA計画の順調さをアピールしました

以下では7月25日を一つの節目と捉え、CCA計画の前段階として米空軍内で行われてきた、無人機用AI開発「Skyborg計画」と、無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」について、簡単に過去記事等からご紹介させていただきます
無人機用AI開発「Skyborg計画」は・・・

●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)これまでXQ-58 ValkyrieやUTAP-22 Mako無人機で自立型AI飛行ソフトのテストを行ってきたが、2023年に別の機体で応用デモ試験を行い、センサー、兵器運用、電子戦攻撃、飛行訓練パターン飛行を確認し、教訓をCCAプログラムに提供したい
無人機の群れ技術開発「Golden Horde計画」は・・・
●敵を混乱させるための、既存兵器を群れとして使用する自立制御(autonomy)の検討。あくまで人が事前に指定した目標群にのみ対処する「交戦規程を徹底させたセミ自立」を狙うもの

●(2022年11月にKirsten J. Baldwin米空軍担当次官補は、)例えばSDB(Small Diameter Bomb)の群れ実験を通じ、無人機単独ではなく群れとして、相互に機体が連携して任務を遂行可能かを検討し、様々に変化する状況にいかに対応するかを煮詰めてきた
●それら成果を「Golden Horde Colosseum」との仕組みで取りまとめ、テストした以外の兵器や新兵器に成果に取り込むため、設計環境やデジタルモデリング環境を提供している
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有人機も同様の問題にぶち当たっていると思いますが、西太平洋の限定的な航空機展開基盤基地に、「如何にCCAを持ち込み、如何に運用可能な状態を維持し、如何に必要とされる最前線まで到達させ、指揮統制するか」の課題には、未だ解決策らしきものが見つかっていない・・と認識しています。大陸続きの欧州戦線ならまだしも・・・
2022年末のAI無人機と「群れ」研究の状況&方向性
基礎技術確認を終え、2023年度から本格開発へ
2024年度予算案で具現化の方向をより明確に
「同技術を作戦機で装備化へ」→ https://holylandtokyo.com/2022/11/22/3948/
無人ウイングマンCCA関連
「CCAを2020年代後半導入へ」→ https://holylandtokyo.com/2023/04/03/4473/
「空軍長官:NGADが200機、CCAは1000機」→https://holylandtokyo.com/2023/03/09/4403/
Skyborg計画関連
「2機種目MQ-20 Avengerで成功」→https://holylandtokyo.com/2021/07/08/1983/
「Skyborg構想の頭脳ACSで初飛行2時間」→https://holylandtokyo.com/2021/05/17/1489/
「Skyborg構想デモ機製造3企業決定」→https://holylandtokyo.com/2020/12/16/344/
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holylandtokyo.com/2020/05/24/679/
「豪州もXQ-58に参画」→https://holylandtokyo.com/2020/05/06/664/
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アジア太平洋初の海兵隊MQ-9部隊が任務態勢確立 [Joint・統合参謀本部]
米海兵隊で2つ目のMQ-9部隊がハワイに
海兵隊の対中国の目玉、第3海兵沿岸旅団を支援
8月2日米海兵隊が、海兵隊2番目で、アジア太平洋では初のMQ-9運用部隊となる第3海兵無人機飛行隊(VMU-3:Marine Unmanned Aerial Vehicle Squadron 3,、愛称Phantoms)がハワイのKaneohe Bay海兵航空基地で初期運用態勢(IOC)を確立したと宣言しました
第3海兵無人機飛行隊(VMU-3)は、2008年からこれまで、RQ-7、ScanEagle、RQ-21Aなどの無人機の他、無人輸送用ヘリ・K-MAXの運用も担い、アフガニスタンでの実戦経験も豊富な部隊ですが、今年4月に最初のMQ-9を2機受領し、同年9月に初飛行を行い、その後訓練や人員の養成を行ってIOCを達成したとのことです
米海兵隊におけるMQ-9運用部隊の先駆者は、アリゾナ州Yuma海兵隊航空基地のVMU-1ですが、VMU-3より1年早く初号機を受領しただけの「ほやほや部隊」で、VMU-1と3は、今後競い合ってその技量向上や戦果を追求していくと思われます
ハワイに創設されたVMU-3は、米海兵隊が対中国を想定し、同じくハワイの第3海兵旅団を2022年3月に改編して創設した3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)を支援することが主任務とされています。
このVMU-3が支援する3MLRは、米海兵隊が対中国を想定して2021年12月発表の「A Concept for Stand-In Forces」に基づき、米海兵隊が新たに編成した「Stand-In」部隊であり、2023年9月の初期運用態勢確立IOCに向け、最後の準備を精力的に進めているところですが、準備の最後のピース「VMU-3」が無事収まった形となりました
米海兵隊無人機部隊を束ねる海兵飛行部隊群司令官のWilliam Heiken大佐は、「MQ-9部隊は、海兵隊の沿岸旅団における空中クォーターバックだ」と表現し、米海兵隊報道官は「多様な任務、すなわち、沿岸や国境監視、兵器移動追跡、禁輸措置行使、人道支援・被害復旧、平和維持支援、麻薬対処などの作戦を支援する」と説明しています
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米軍内の軍種は異なりますが、鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地内に設置された米空軍のMQ-9部隊との関係など、ハワイからの運用や今後の機動展開訓練先が気になります。
高度25000フィートまでの高さで、連続20時間以上の飛行が可能なMQ-9部隊の今後の活動具合に今後も注目して行きたいと思います
VMU-3が支援する新型海兵旅団3MLRの関連記事
「米比2+2で連携強化を大推進」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「米海兵隊stand-in force構想実現に3MLRが準備中」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
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海兵隊の対中国の目玉、第3海兵沿岸旅団を支援

第3海兵無人機飛行隊(VMU-3)は、2008年からこれまで、RQ-7、ScanEagle、RQ-21Aなどの無人機の他、無人輸送用ヘリ・K-MAXの運用も担い、アフガニスタンでの実戦経験も豊富な部隊ですが、今年4月に最初のMQ-9を2機受領し、同年9月に初飛行を行い、その後訓練や人員の養成を行ってIOCを達成したとのことです

ハワイに創設されたVMU-3は、米海兵隊が対中国を想定し、同じくハワイの第3海兵旅団を2022年3月に改編して創設した3MLR(第3沿岸海兵旅団:3rd Marine Littoral Regiment)を支援することが主任務とされています。

米海兵隊無人機部隊を束ねる海兵飛行部隊群司令官のWilliam Heiken大佐は、「MQ-9部隊は、海兵隊の沿岸旅団における空中クォーターバックだ」と表現し、米海兵隊報道官は「多様な任務、すなわち、沿岸や国境監視、兵器移動追跡、禁輸措置行使、人道支援・被害復旧、平和維持支援、麻薬対処などの作戦を支援する」と説明しています
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高度25000フィートまでの高さで、連続20時間以上の飛行が可能なMQ-9部隊の今後の活動具合に今後も注目して行きたいと思います
VMU-3が支援する新型海兵旅団3MLRの関連記事
「米比2+2で連携強化を大推進」→https://holylandtokyo.com/2023/04/20/4524/
「米海兵隊stand-in force構想実現に3MLRが準備中」→https://holylandtokyo.com/2022/08/19/3546/
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次のカンボジア独裁者は米陸軍士官学校卒 [安全保障全般]
7月23日の総選挙運動で息子が存在感アピール
West Point卒の息子に仮に首相を譲っても
フンセン現首相の強力な「院政」継続と皆が予想
7月23日、東南アジア諸国の中でも中国と最も親密なカンボジアで総選挙が実施され、アジア最長約40年間も国家元首にあるフン・セン首相率いるカンボジア人民党が、他の野党を事前に徹底排除したこともあり、多くの予想通り地滑り的勝利を納めました。
ただし、圧倒的な与党人民党が野党を徹底的に叩いて排除したことで、さぞかしカンボジア国民の不満が高まっているかと思えばそうでもなく、2021年に将来(時期未定)の後継首相になることが人民党内で正式決定している現首相の息子フン・マネット陸軍司令官(45歳)が選挙運動に夫人とともに登場し、
「人民党への投票はあなたの未来への投票です。アンコール時代のクメール帝国の栄光を再び取り戻すため、共に歩んでいきましょう」と訴えると、集まった数万人の聴衆は歓喜に包まれ、
現首相の父よりも温和に見え、米陸軍士官学校を卒業し、ニューヨーク大学で修士号、更に英国ブリストル大学で経済学博士号を取得して、より洗練されて見える息子への支持がカンボジア国民の間で圧倒的に高いことを証明して見せるなど、フン・セン体制の盤石ぶりが目立った選挙だったようです
1952年生まれの父フン・セン首相は、170万人を撲殺したポルポト派に18歳で身を投じ、後にポルポト派を離脱してベトナム軍の力も借りカンボジア政権を奪取した人物で、1985年にカンボジア首相に就任して以降、独裁専制君主としてカンボジアを支配していますが、
ポルポト派による凄惨な内戦を終結させ、1990年代から最近まで、西側流の自由経済体制を導入して年平均約8%の経済成長を継続実現した功績で、国民からの支持は底堅いものがあります
一方で中国との太いパイプと後ろ盾があることも確かで、最近では南シナ海に面するカンボジアReam海軍基地に、米豪支援で建設された災害対処用施設を無効化するようなやり方で、中国海軍用の施設が建設され、既に衛星情報によれば中国駆逐艦が使用できるほどの大型埠頭が確認できると、西側が懸念しているところです
そんな中での時間をかけた権力移譲ですが、8月で71歳になるフン・セン首相はまだまだ元気で精力的に活動しており、今回の総選挙で確保した5年間の任期期間中に45歳の息子マネットへ首相を譲るかは不透明で、多くの専門家は「仮に首相の座を表面的に息子に譲ったとしても、強力な院政を敷いてカンボジアを実質的に動かすことになろう」と見ています
また息子のマネットは、カンボジア軍副司令官&陸軍司令官として、岸田首相を表敬するなど外交的にも様々な場に顔を出して存在感を見せつつありますが、政治力は未知数で、個人的なメッセージ発信もほとんどないことから、時間をかけて権力移譲が行われるものと見られており、スイスの大学を卒業した「金正恩」の現状から、権力の座についても大きな変化を期待する者は多くないのが現状です
しかし今回の総選挙に向けた運動期間中には、前述のように夫人とともに選挙カーに乗るなど西側の政治家をイメージさせるソフト路線で国民の支持をがっちり固め、「片目の強面宰相」として名をはせているフン・セン首相の路線からの脱却を狙う戦略は今までのところ大成功で、今後が注目されています
フン・セン首相は左目の「義眼手術」を日本の政治家の仲介で日本の病院で受け、安倍総理の国葬にも自ら出席したほどの日本通ですが、同じく日本と歴史的に関係の深いミャンマーとともに、中国への接近が目立つ点で西側との関係が難しい状態にある東南アジアのカギとなる国です
カンボジア総選挙のタイミングに合わせ、7月23日付Military.com記事を中心に、興味深いカンボジアについて取り上げました。カンボジアReam海軍基地への中国進出懸念の過去記事も併せてご確認ください
カンボジアReam海軍基地への中国施設建設
「その後・疑念深まる」→https://holylandtokyo.com/2022/06/15/3354/
「中国進出警戒感高まる」→https://holylandtokyo.com/2021/06/18/1921/
中国海南島の中国軍増強
「空軍基地増強」→https://holylandtokyo.com/2022/11/08/3895/
「海軍基地増殖中」→https://holylandtokyo.com/2022/10/06/3720/
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West Point卒の息子に仮に首相を譲っても
フンセン現首相の強力な「院政」継続と皆が予想

ただし、圧倒的な与党人民党が野党を徹底的に叩いて排除したことで、さぞかしカンボジア国民の不満が高まっているかと思えばそうでもなく、2021年に将来(時期未定)の後継首相になることが人民党内で正式決定している現首相の息子フン・マネット陸軍司令官(45歳)が選挙運動に夫人とともに登場し、

現首相の父よりも温和に見え、米陸軍士官学校を卒業し、ニューヨーク大学で修士号、更に英国ブリストル大学で経済学博士号を取得して、より洗練されて見える息子への支持がカンボジア国民の間で圧倒的に高いことを証明して見せるなど、フン・セン体制の盤石ぶりが目立った選挙だったようです

ポルポト派による凄惨な内戦を終結させ、1990年代から最近まで、西側流の自由経済体制を導入して年平均約8%の経済成長を継続実現した功績で、国民からの支持は底堅いものがあります

そんな中での時間をかけた権力移譲ですが、8月で71歳になるフン・セン首相はまだまだ元気で精力的に活動しており、今回の総選挙で確保した5年間の任期期間中に45歳の息子マネットへ首相を譲るかは不透明で、多くの専門家は「仮に首相の座を表面的に息子に譲ったとしても、強力な院政を敷いてカンボジアを実質的に動かすことになろう」と見ています

しかし今回の総選挙に向けた運動期間中には、前述のように夫人とともに選挙カーに乗るなど西側の政治家をイメージさせるソフト路線で国民の支持をがっちり固め、「片目の強面宰相」として名をはせているフン・セン首相の路線からの脱却を狙う戦略は今までのところ大成功で、今後が注目されています

カンボジア総選挙のタイミングに合わせ、7月23日付Military.com記事を中心に、興味深いカンボジアについて取り上げました。カンボジアReam海軍基地への中国進出懸念の過去記事も併せてご確認ください
カンボジアReam海軍基地への中国施設建設
「その後・疑念深まる」→https://holylandtokyo.com/2022/06/15/3354/
「中国進出警戒感高まる」→https://holylandtokyo.com/2021/06/18/1921/
中国海南島の中国軍増強
「空軍基地増強」→https://holylandtokyo.com/2022/11/08/3895/
「海軍基地増殖中」→https://holylandtokyo.com/2022/10/06/3720/
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