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海兵隊に再び「最後通牒」 [ゲーツ前国防長官]

12日、ゲーツ長官は海兵隊記念協会で演説し、海兵隊に対し21世紀の環境にふさわしい戦力組成について再検討するよう命じたことを明らかにしました。昨日は同演説から「率直な地域情勢認識」部分についてご紹介しましたが、本日は本丸である「海兵隊の将来像」に関してです。

gatesSEALS.jpgその演説の中でゲーツ長官は・・・
●海兵隊は第2次大戦において、ガダルカナルからの反攻から沖縄戦までを勇敢に戦った、朝鮮半島では海岸、山岳地帯や塹壕で戦った、ベトナムでは田園地帯で、クウェート、イラクやアフガンでは砂漠で戦った。多くの戦いは海上から進出したが、それらの戦いは長期にわたる消耗戦的地上戦となった。
米国は第2の陸軍を求めてはいない。むしろ迅速に展開出来て、短期間持ちこたえることが出来る戦力を求めている。
将来を見通したとき、仁川上陸作戦のような大規模な着上陸作戦が実行可能か、との疑問を持つのは自然なことである。相手の接近拒否技術、例えば精密な巡航ミサイルや弾道ミサイルを考えれば、着上陸作戦の発起点は益々海岸から遠方に追いやられてしまうであろう。

「海兵隊は生き残れるか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1
「海兵隊とAir-Sea Battle」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-12

米国は益々多様な脅威に対応しなければならないだろう。そのため軍隊は対反乱作戦から大規模紛争までのに等しく対応できなければならない。
相手は米国の弱点を突いて来る。軍は非対称な脅威にいかに対応するかを熟慮しなければならない。そしてそのために、バランスのとれた視点から軍の任務を見つめ、将来に備えたバランスを兼ねし備えた軍を構築しなければならない。

軍全体が5度目の武装解除に直面しないように・・・
gatesMari.jpg米国は歴史上過去4度、つまり2次大戦後、朝鮮戦争、ベトナム戦争後に大幅な武装解除を行い、それは大きな間違いだった。911事案後、米国は特に情報分野で再軍備し強化を行ったが、その能力を将来も維持しなければならない。同じ過ちを5度起こしてはならない。そのために政府から与えられる1%の伸びに加え、自らの節減努力で必要な分野に3%の伸びを確保しなければならない。
●国防省は金食い虫と見られているのである。自らを正さなければならない。「Experience is the ability to recognize a mistake when you make it again.」との言葉があるが、後で気がついて5度目の軍縮を経験してからでは遅いのである。
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講演の後、ゲーツ長官は海軍特殊部隊SEALSや海兵隊の新兵訓練を視察しています。今後新しい改革の方針が打ち出されそうです。

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率直すぎるNKと中国分析 [ゲーツ前国防長官]

gatesMarineSF.jpg●「病んでいる独裁者の息子は、その地位に付きたいと考えている。しかしその息子は北朝鮮軍から階級章を授からなくてはならない
●「私はこれが韓国海軍艦艇撃沈の背景ではないかと恐れている。我々はこれが北からの最後の挑発行為ではないのでは・・と懸念している」
●「北の核開発や兵器拡散を阻止しようと周辺国が立ち向かう中、中国はそうでない。北の最大のパートナーである中国指導者達は、北朝鮮の崩壊により数百万の難民が中国に押し寄せるのを恐れ、北への制裁に後ろ向きなのだ
●「北朝鮮は、ビルマ、イラン、ヒズボラ、ハマスへミサイルや兵器を密輸し続け、核開発を継続している

12日、サンフランシスコの海兵隊記念協会(Marines' Memorial Association)で講演したゲーツ国防長官は、極めて率直(ここまで発言して大丈夫か・・)に北朝鮮情勢と中国の動向を分析しました。
米国防省HP記事のタイトルも「Gates Gives Frank Assessments of Trouble Spots」と、そのストレートな物言いを表現しています。話題は北朝鮮や中国に限らず、イランやパキスタンやイラクにも及んでいます

パキスタンに関し・・・
●我々は、ソ連がアフガニスタンから撤退するのを見届けると、パキスタンに背を向けるように振る舞い、そして課題を抱えたままのパキスタンを置き去りにした。我々は「信頼感の負債」を積み上げた責めを負わなければならない。
gatesMarineUP.jpg●1989年にアフガンにも背を向け、私がCIA長官であった時期にパキスタンの核開発もあり1992年にパキスタンとの国交を断った。

●今パキスタン政府は、米国が再びパキスタンを裏切るのではないかと懸念している。我々はこの「信頼感の負債」を減らす努力を続けている。
●パキスタンは今、14万の兵士を動員してアフガン国境沿いのテロ組織と戦っている。我々に必要なのは、米国がパキスタンと長期的で安定な戦略的パートナー関係を構築しようとしている点をパキスタンの人々に確信してもらうことである。

イランに関して・・・
●私はジョンソン大統領以来9人の大統領に仕えてきたが、継続してイランは「米国が直面してきた中でも、最も欲求不満になる挑戦的な安全保障上の課題である。」
mattisCENTCOM.jpg●仮にイランが核兵器を獲得すれば、地域の軍拡競争が確実に起こる。一方で、どの戦争も予想不可能で予期せぬ結果を生むが、イランへの軍事攻撃は計り知れない膨大で多様な結果を地域にもたらす(写真は11日マッティス新中央軍司令官就任式)
●長期的な解決には、イラン自身が核計画はイランの安保情勢を悪化させることを悟る事であろう。当面米国は、各国と協力してミサイル防衛を強化し、外交的な道を開いておく事になる。

イラクに関して・・・
●このように考えてはどうだろうか。10年後にイラクはサウジと同レベルの原油生産量を誇る事になる。そしてこの豊かな国は、今日の民主主義体制を維持すれば、中東地域全体の「方程式」を根本的に変えることになるかもしれない。(以上スピーチ概要)
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夏休み期間中の米国民、果ては世界の人々にじっくり考えてもらうための材料提供でしょうか・・
特に中国の北朝鮮への態度について、これほどストレートな言い振りを政府高官の口から聞くのは初めてのような気がします。
最近、「失うモノは何もない」的な開き直りが感じられます・・ゲーツ長官からは・・・。

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将軍ポスト50以上を格下げへ [ゲーツ前国防長官]

本件に関し、国防省HPが特集ページを開設しました。職員に「経費削減案」の提案をもとめるバナーリンクもあります。
→ http://www.defense.gov/home/features/2010/0810_effinit/
gatesCultureSV.jpg9日記者会見を行ったゲーツ長官は、自らが宣言している「5年間で9兆円の経費節減」と節減経費分の「現在と将来の戦いへの充当」のための実施策に言及しました。
その方向性は、自らが経費削減案検討を委託した国防業務諮問会議(The Defense Business Board)が先月22日に公表した初度レポートに沿ったものとなっています。
「11万人削減案を長官へ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-26

またゲーツ長官は会見で、「節約の文化を国防省全体に浸透させたい」と語り、今後前国防省職員に「オンラインで経費削減案を募集し、優秀な提案には報償を与える」と述べました。

会見で表明された削減案は挑戦的で・・・例えば
●議会が強固に反対している基地の廃止統合検討
JFCOMの廃止  
2年間で、将軍級の軍人最低50ポスト、文民最低150ポスト格下げ
部外委託職員(Contractor)の経費を今後3年間10%削減

基地の統廃合に関しゲーツ長官は、「困難ではあるが不可能ではない。議会が不要なコスト削減のために共に働いてくれることを望む」と早くもやんわり宣戦布告を行いました。
GatesRobert-.jpgJFCOMの廃止には、「イラクやアフガンでの作戦を通じ、統合の必要性は十分に理解されつつある。それよりも今では、2800人の組織と3000人の部外契約業者が他と重複しており無駄である」とばっさり切り捨てました。
更に「軍用犬をアフガンに送るのに、5人もの4星将軍のサインが必要だそうだが、JFCOM司令官はその一人」と追い打ちをかけました。

このほか会見で明らかにされた経費削減策は・・・
gatesEfficency.jpg●国防長官室、国防関連機関、戦闘コマンドの人員を、今後3年間は2010年レベルに凍結する。そして必要な人員、ポストとその階級をを精査する。
●各基地や司令部毎に保有するITシステムが大きな無駄。共通のシステムによる経費削減
●国防省が作成する報告書の数量の凍結。報告書作成経費の25%即時削減
●国防省の検討会議や諮問会議の見直し・廃止。同会議用経費を25%削減

インテリジェンス関連の顧問や外部契約経費の即時10%削減。上級職員数の凍結。更に「11月1日までに、国防省関連の全てのインテル関連組織、任務、外部契約のゼロベースでの見直し」
以下の国防省部署廃止
The offices of the assistant secretary of defense for network integrationとThe Joint Staff’s section for command, control, communications, and computer systemsの廃止統合
The Business Transformation Agency. The agency – with 360 people and a budget of $340 million
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gatesV65-2.jpg夏の休暇期間直前での会見は、「休み中に節約アイディアを出せ」、又は「休み期間に身の振り方を考えろ」とのタイミングでしょうか・・・。
このようなドラスティックな削減案を打ち出せるところが米国の強みでしょうが、それにしてもやりますねぇ・・・。今後さらに、選挙民と選挙区経済を背負った議員との対決が深まるでしょう

(経費捻出関連の過去記事)
「前線兵士と将来へ9兆円捻出」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「国防省コストカット」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「更なる削減案で空軍激論」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「ゲーツ長官が国防省にも宣戦布告」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03
関連記事
「ゲーツ改革のまとめと整理」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
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(追加)QDRの公式評価書 [ゲーツ前国防長官]

qdrsmall.jpg先日、29日に発表された議会要求による2010QDRのアセスメント報告The QDR in Perspective: Meeting America’s National Security Needs in the 21st Century」の概要を軍事情報サイト「DefenseNews」の記事でご紹介しましたが、29日付米国防省HPが国防省目線の記事を掲載しましたので紹介します。


その前に・・・・30日に実施されたゲーツ長官とマレン議長の「情報漏洩サイトWikileaks」をメインにした記者会見に臨みました。
gatesWikileaks.jpg会見の最後に出た、記者からのQDR評価書に関する質問に対し、ゲーツ長官は「まだ細部を見ていないのでコメントできないが、ペリー元国防長官は『勝つか負けるかの勝負をQDRに挑んでいるのではなく、win-winな関係でより良い国防政策に導いていきたい』旨のコメントをしていた。そのような意味で参考にしていきたい」と述べているところです。

国防省目線で同レポートを記事にすると・・・

●専門家グループは、QDRは4~5年先しか見ておらず、将来を見ていないとしている。しかし同時に、ペリー氏は「私が国防長官であっても、イラクやアフガンに対し、4-5年の範囲であれば同じようにしたであろう」と述べている。
●同グループは、国家にとっての政治を超越した継続的な国益について4つをあげている。それは、本土安全保障、海空宇宙サイバー空間への確かなアクセス、西アジアにおける好ましいパワーバランス、そして包括的な人道的公共財である。
●ソフトパワーによる外交や文民による支援は重要であるが、安全保障上の懸念が世界で1番の懸念であり続けるだろう、とハドレー氏は述べた。

●同グループは、9年に渡る戦いで疲弊した装備品を更新するため資金を投入するよう主張しているが、これに関しペリー氏は「確かに高価な施策だ。しかし今やらなければ、将来はもっと高額になる」と述べた。
●顕著な中国の軍事力強化に対応し、西太平洋の米海軍を増強する必要があるり、米空軍は長距離攻撃能力を改善する必要がある。中国との紛争を予期しているわけではない。もし起こったら外交上の大失策である、とペリー氏は述べた。

obamaSECU.jpg●研究開発管理に関し、ペリー氏は「歴史的に見て、4-5年で実用化された開発計画ものは現場でも活躍している。10年を越えるものは駄目である。」また「調達部門は責任の所在が極めて不明確で、多くの官僚組織が不明瞭な形で仕事をしている」と非難した。(写真は29日Af-pak問題を協議する国家指導層)
●給料や手当が膨らみすぎている。人件費を削減すべき。退役者の特典を得られる義務勤務年限を、現在の20年から40年にまで伸ばすことも検討してはどうか?
●州軍や予備役と正規軍との関係やそれぞれの適正規模を再評価すべき。
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william j. perry.jpgStephen Hadley.jpgQDRに比較し「中国」に対する直接的な言及が特徴とも言えます。
また、資金の裏付けを明確にしないで脅威認識のみから装備品の更新・近代化を訴えるところが、「純軍事的」とも言えますが、議会のマンデートを有するとはいえ「責任のない」専門家グループの特徴を表しています。

「中国との軍事衝突は外交的な大失策」とし、その防止に抑止力強化の重要性を指摘し、西大西洋の軍事バランスを有利にしていきたいとの考えは、CSBAレポートと基礎を同じくしています。
QDR、CSBAと「Joint Air-Sea Battle Concept」の関連記事一覧はこちら 

誤植なのかもしれませんが、退役恩恵を得るために40年の勤務となると、受給できる人が大幅に少なくなり軍勤務の魅力が「大暴落」すると思います・・・・。
今後このアセスメント報告がどのように扱われるのかは分かりません
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ボーイスカウトの思い出と精神を [ゲーツ前国防長官]

ウォール街からワシントンDC、私の故郷に至るまで、人の暮らしがある場所なら何処にでも、富や権力のみを求め、何が正しく、真実で、誠実かを考えない人達がいる。しかし、ここにいる君たちやご両親、地域のリーダーやボーイスカウトの指導者は、日々それらとは異なった姿を見せてくれている

gatesBS4.jpg28日ゲーツ長官は、全米から集まった4万5千人のボーイスカウトとその家族に向け、自らの原点と語るボーイスカウト活動を振り返ると共に、その精神の継承により「良い人間(good man)」になるよう、また「社会に貢献する(public service)」事の大切さを学ぶよう語りかけました

ゲーツ長官のスピーチをこれまで幾つかご紹介してきました。軍や国防省の改革を訴えるスピーチは本ブログのメインですが、大学生や高校生など若者に話しかける内容はゲーツ長官の生い立ちや人物が現れていて興味深く、個人的な楽しみとして自動配信されてくるモノをipodで聞いております。

ゲーツ長官はスピーチの中で(記事スピーチ)・・・
  
冒頭のジョーク
●私はボーイスカウト活動をしていた父に連れられ活動を始め、その素晴らしさを息子にも伝えました。家族全体の生活にスカウト活動がありました。しかし私の仕事上、我が家族のスカウト活動には特別なこともありました。例えば、CIA長官在任中に「父と息子のキャンプ」活動に参加した時です。
●チェサピーク湾の畔で、自然の中での生活を体験するハズが少し違ってしまったのです。なぜなら、我々のキャンプ地から100mあまりの場所に、3台の黒い大型車両と衛星通信用の大きなアンテナ、更に大勢の武装警備員が周辺をうろつく状態だったからです(笑)。

gatesBS1.jpg(ゲーツ長官とEagle Badge)
●私は52年前、15歳の高校生でボーイスカウトの「Eagle Scout」の資格を得ました。オールAの成績優秀者ではなく、優秀なスポーツ選手でもなく、各種学校活動のリーダーでもなかった私にとって、自分が初めて目標を定めて自分の努力で獲得したもので、自分に大きな自信を与えてくれました。
●22才でCIAに採用され、身の回りのものを車に積み込み、誰一人知り合いのないワシントンDCに出てきた時、私を唯一支えてくれたのは、「Eagle Badge」を取得できた自信と自分にも努力する能力があるという微かな自覚でした。
●今も思い出します。当時60才のラムさんが私達10人ほどの少年を連れて山々を歩き、自然や仲間と助け合う事の大切さを教えてくれたことを。またベケットさんが、乾いた雌牛の糞を燃料に料理する方法を教えてくれたこと・・・そしてその独特の臭い(爆笑)
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ボーイスカウト活動に取り組む少年達にとって、「Eagle Scout」は最高ランクの資格だそうです。(写真はEagle Scoutのバッジ等)
gatesES.jpgネット情報によると、ボーイスカウト活動に取り組む少年の僅か2%しかEagleの資格を獲得できないそうで、相当に多くの段階資格を取得し、かつリーダーとしての働きをしないと得られないものだそうです。1911年に「Eagle Scout」の制度が出来て以来、200万人が同資格を得たそうですが、裾野が広いためかなりの狭き門のようです。

歴代大統領ではフォード大統領のみ、宇宙飛行士には40人いるそうです。実業界ではマリオットホテルの現CEO、WALLマート創業者など、ショウビジネス界では映画のスピルバーグ監督が、ニューヨーク市長でブルームバーグ創業者のブルームバーグ氏も・・・
スポーツ界では日本人に馴染みのある名前は見あたりません。しかし・・・前国防長官のラムズフェルド氏も入ってます。

「米国の多くの若者がカウチ・ポテトに陥って身体的フィットネスを失い、社会全体のモラルが恥ずべき状況にゆるんで来ている状況で、ボーイスカウトは少年や若者をリーダーに育てる挑戦を継続している」とゲーツ長官は讃えています。
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ゲーツ長官の若者へのスピーチシリーズ

士官候補生への講演
「海軍士官候補生には・・・」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09
「士官候補生に語るシリーズ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
「空軍士官候補生に厳しく語る」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-06

大学生・高校生卒業式での講演
「CIAでの失敗を高校で」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-25
「大学で「公への奉仕を」」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-22
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次はインドネシアと関係強化 [ゲーツ前国防長官]

gatesYudono2.JPG韓国で「米韓2+2」に参加した後、ゲーツ長官はインドネシアに向かいました(左はユドヨノ大統領と)
アジア太平洋地域の中で、米国はインドネシアを非常に重視しており、先のシャングリラ・ダイアログの事前ブリーフィングでも、バイで会談する8ヶ国の中で最も細かく説明があったところです。

インドネシア重視を体現するように、22日からのゲーツ長官訪問を米国防省HPが複数の記事(計8ページ(23日現在))で詳細に紹介しているところです。

大量の記事を、基礎知識不足を省みずHolylandなりに整理いたしますと・・・・

●米にとってのインドネシアの重要性
・世界最大のイスラム教徒数の国(記事には記載無し)
・インド洋から太平洋に通じる海洋通商路SLOCを臨む国
・中国の南シナ海での領有権主張や進出対応の前線
・世界最大級のPKO派遣実績(レバノンに現在多数派遣)
・地域の災害対処や人道支援に大きな実績
経済成長が著しい(6%前後の成長率維持)

●しかしスハルト時代は負の記憶・・・
Kopassus.jpg1992年のインドネシア軍特殊部隊Kopassusによる東チモール市民への発砲射殺、及び東チモール独立合意後の1999年に発生した同部隊による東チモールでの破壊活動により、米国とインドネシアの軍事交流は一時期をのぞき中断したままでした。

しかし、スハルト政権崩壊後10数年のインドネシア政府による軍改革への取り組み(事件に関連した10名程度のKopassus兵士追放や同部隊の改革)を受け、本年6月オバマ大統領とユドノヨ大統領の間で包括的なパートナー関係が開かれ、国防関係の合意に署名がなされたところのようです。

●慎重な前進
ゲーツ長官は大統領及び国防相との会談後に会見し、「インドネシア国防省が公式に、人権を尊重し、人権侵害を行った兵士の捜査を行い、当該兵士を追放する旨を約束した」ことを受け、「少しずつ、着実に、米国の(人権侵害国への対応を定めた)法律に沿って安保・治安協力活動を始める」と米国内の人権擁護派にも配慮した慎重な姿勢を強調しました。

更に「米国の人権を重視する姿勢が緩和されることはない点を、明確にインドネシア大統領と国防相に確認した」とまで会見で述べるほど、徹底した態度を示しました。

今後具体的には、スタッフ間の議論、軍の意志決定プロセス、交戦法規や人権擁護規定に関する会議の開催など非戦闘的なイベントを、特殊部隊Kopassusとの関係再開に想定していると会見で説明しました。
特殊部隊Kopassus出身者が軍の主要幹部となっていることから、慎重ながらも核心部隊から事を開始するようです。

●高まる期待
gatesTVind.jpgゲーツ長官は「最も感銘を受けたのは、米国がどのようにインドネシアを支援するかといった段階から、共に地域や世界のためにどのように活動していくかに重点が移っている点である」と会見で持ち上げると同時に期待を示しています。(左は地元TV出演の図

中国の手がどの程度インドネシアに入っているかは承知しませんが、人口世界第4位の国で、2005年以降の経済成長率が経済危機の時期を含めても6%前後という成長著しいアジアの新興勢力です。 安全保障だけでなく、経済面でも米の関心が向いているようです。
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(ご参考) インドネシア軍の概要
●正規軍39万人(陸軍29.8万名、海軍6.2万人、空軍3万人)
●陸軍
基本的には軽装備の歩兵部隊であり、多彩な小火器とともに、軽戦車や榴弾砲、多連装ロケット砲などといった少数の重装備 洋上・航空輸送力が貧弱であるため、主力戦車を保有しない
Indonnavy.jpg●海軍
パルヒム級対潜コルベット16隻、フロシュ級中型揚陸艦 14隻、コンドール級掃海艇 9隻
ドイツ製のチャクラ級潜水艦 2隻、オランダ製の先進的なシグマ型コルベットを取得し潜水艦戦力を強化
●空軍
それぞれ10機程度と少数ながらF-16とSu-30を保有 C-130輸送機は米国内でオーバーホール整備実施中

(参考記事一覧)
CSBAと「Joint Air-Sea Battle Concept」の関連記事一覧はこちら

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北朝鮮へ自ら「示威行動」 [ゲーツ前国防長官]

itouHH.jpgmutumm.jpg明治時代の我が国トップリーダーは、「本当に戦争するつもりなら、後の国際的評価を考えて外交的に儀礼を尽くした対応を相手にすべし。戦争を避けたいなら、威圧的な態度で交渉に臨むべし」と肝に銘じていたいたとか・・・

「北朝鮮への示威行動が目的」と明言したInvincible Spirit演習(不屈の精神)の実施を発表した初の「米韓2+2」ですが、米国防省HPトップページも掲載写真からして「示威的」なものとなりました。

関連記者会見では、ウィラード太平洋軍司令官が記者から「この演習で、北朝鮮を抑止できると考えるか」との質問を冒頭から立て続けに受けています。
司令官が「このタイプの演習としては大規模だ」と答えれば、「中国へはどのように配慮したのか」と返す刀で質問を受け、毅然とした態度ながら厳しい応対を迫られています。
「中国将軍米空母反対5つの理由」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-20

下はHolylandが「示威的」と考える米国防省HP掲載写真の数々です。

左上:板門店を視察(NK兵士が窓越しに監視) 右上:DMZから北を監察
左中:米韓2+2式典 右中:米韓2+2記念撮影
左下:マレン議長DMZを空中から視察 右下:空母ジョージワシントンF-18
gatesNKlook.jpggatesDMZ.jpg








gatesHGC.jpggates2+2.jpg








MullenKorea.jpggatesGWF-18.jpg



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前線兵士と将来へ9兆円捻出 [ゲーツ前国防長官]

gatesMarine.jpg「我々は政府機関のリーダーとして、前線の兵士に必要なモノを全て与えるためにベストを尽くす責任を負っている」

今後5年間で約9兆円の固定費又は間接経費(Overhead Costs)を削減するとゲーツ国防長官が米議会で宣言(16日)し、国防省及び4軍種がそれぞれに厳しい取り組みを開始していることをお伝えしてきたところです。

「ゲーツ改革のまとめ」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「更なる削減案で空軍激論」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「もう次期爆撃機とは呼ばない」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26

そんな中の28日、カーター国防次官(取得技術兵站担当)が国防省で記者会見を行った模様ですが、その前振りでゲーツ長官自らが改めて、必要経費捻出への決意を表明しています。米国防省HPはカーター国防次官の発言は掲載せず、ゲーツ長官の発言のみ紹介しています。

gatesdontask.jpgゲーツ長官が改めて曰く・・・
オバマ大統領は、厳しい財政状況と健全な財政運営のため、今後5年間の各省庁予算を増額しないと表明しているが、戦いの中にある国防省だけには1%の実質伸びを例外的に認めている

●例外的に予算増が認められているとはいえ、前線の兵士に最高の装備と物資を供給するにはそれでは十分ではない。
●原則的な視点及び政治的な現実を踏まえ、我々は納税者の全てのドルが有効に使用されるよう全力を尽くさなくてはならない。

●我々は既に不必要な計画や行動を削減してきたが、継続が必要な計画やプログラムも、より一層の効率性を追求して経費削減を進める必要がある。
●国防省全体で行っている約36兆円の諸契約を通じての物資やサービスの購入に関し、国防省はより効率的にならねばならない。
●この効率化達成のために明らに必要なのは、軍需産業やコントラクターとの緊密な連携である。他の全ての重要で不可欠な改革と同様に、本見直しにも時間が必要であろう。しかし我々はこれを成し遂げられると確信している。

Carter2.jpg「Defense Tech」の28日付記事によれば
カーター次官は先週25日、主要な軍需産業幹部にワシントンへの出頭を要請、28日にコスト削減や効率性向上、更には調達関連の政策変更について議論する模様。このほか28日午前にはCSISで、午後は国防大学で軍事ジャーナリストや取得調達関係職員に話をする予定。

辞書的にはOverhead Costsは、電気代、家賃、賃金などの固定費又は間接経費のことを指すようですが、実際に表に漏れてくる話は装備品の削減や開発計画の見直し・中断が中心の模様です。

carter.jpgゲーツ長官は将軍職や文民高官ポストの削減や格下げ、人員削減や組織のフラット化等をも対象にしていますが、これは最後まで表に出てこないような気がします。人を切るのは装備品を切るよりも難しい気がしますから・・・

28日にカーター次官から具体的な話がでれば、フォローします。しかし・・カーター次官の最近の公表写真は、手のジェスチャーが全て「コストの上限」や「経費固定」、「シーリング設定」のように見えてしまうのですが・・・

(400記事記念の特別保存版記事)
「400記事記念反響大の記事」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-18
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「ロシアの動きを見極めて・・」新START [ゲーツ前国防長官]

gatesSTART.jpg17日、ゲーツ国防長官、クリントン国務長官、チュー・エネルギー長官そしてマレン統合参謀本部議長が上院軍事委員会に出席し、先にロシアとの間で締結された新START条約の早期批准を求めました

この条約で大丈夫と考えているのか?」との議員の質問に対し、「大丈夫」と声をそろえる各長官とマレン議長です。しかし7年間の新基準への移行期間に、よぉ~くロシア等の動向を見極めるべき、との健全な常識を示して共和党議員を少しは安心させたようです

委員会でのやりとりの概要は・・・

●ゲーツ長官は、「本条約は、米露関係の安定を強化する方向で戦略核兵器を削減する」、「ミサイル防衛装備の展開を制約するモノではなく、更にBMDに新たなコストや制限を課すものでもない」と述べ、条約が米に不利ではないと説明しました。
gatesSTART2.jpg●(露がミサイル防衛に反対していることに関し、ゲーツ長官は)米国のBMDシステムはならず者国家が発射する限定数のBMに対するモノである。「我々のBMDシステムは、ロシアの膨大な先進ミサイルに対して防衛する能力はない。従って、ロシアの戦略抑止力に将来的にも影響を与えるモノではない」

●更にゲーツ長官は、本条約がConventional Prompt Global Strikeの開発や配備を制限するモノではない事を強調しました。(下に参考関連記事)
「核抑止の代替?CSMについて」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25
「PGSのHTV-2試験失敗」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-27

●また同長官は、本条約の利点はその強力な検証体制にあると説明し、ロシア側の順守状況をロシアの核戦力数量や構成から監視できると述べました。また毎年18カ所までの現場査察がお互いに出来る利点や6ヶ月毎に更新するデータベースの意義を述べ、更に初の試みとして、個々のICBMやSLBM等に特殊な識別手段を設け、ライフサイクル全般で管理する点も強調しました。

mullenSTART2.jpgマレン議長は軍人の代表として、本条約で強力で柔軟な核抑止が保たれ(Retain)、ロシアとのオープンで透明性のある関係を強化することも出来る、と述べました。
●結論として両名からは、本条約が安定、将来の予測、強力な核の3本柱を保つために有効で、核及び非核戦力の配備の柔軟性も確保できることから、早期に批准をお願いする。

ついでに発言も有りました。ゲーツ長官は、「これまで4年連続で毎春、我が国核戦力関連のインフラ、研究機関及び製造設備への予算配分をお願いしてきたが、初めて今年資金配分を受けることが出来た」と少し嫌みっぽく議員に述べています

gatesSTART3.jpg以上が米国防省HP掲載の概要ですが、他の軍事サイトでは以下の発言がちゃんと注目されていました。
ゲーツ長官:「率直に申しあげて、ロシアや他国の状況を見極めるまで(7年間の移行期間の最後まで条約履行の)最終判断をする必要はない
マレン議長:「制服の指揮官達は、相手が期限を守ることを見極めるまで、(条約履行の)最終判断をしないことを強く支持するだろう」

「面従腹背」ではありませんが、オバマ大統領から与えられた枠内で、賢明に国家安全保障に当たる姿が光っています。
条約の細部については、ロシア専門家でもある茂田大使の解説を・・・
http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/35039188.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/35283656.html

(400記事記念の特別保存版記事)
「ゲーツ改革のまとめと整理」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「400記事記念 反響大の記事特集」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-18
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ゲーツ改革のまとめと整理(保存版) [ゲーツ前国防長官]

gatesSENATE.jpg16日、ゲーツ国防長官は上院の委員会で証言し、2010年度の追加予算と2011年度のOCO(Overseas Contingency Operations)支援追加予算を要求する一方で、国防省自身の業務改善により、今後5年間で約9兆円削減を目標とした国防省を上げての業務改善、事業見直し及び組織見直しを実施中であると説明しました。
ゲーツ長官は「我々が(業務改善等により)より良く業務実施する事無なくして、米国民の代表である議員さんに、予算の増額をお願いすることは出来ない」と議会で語りました。

ということとで・・・・記事数が400を越えた記念もあり・・・
Holylandは、公表されたスピーチや文書、米国防省HP記事からゲーツ長官による数々の改革(及び取り組み)を紹介してきましたが、一度私なりに整理してみたいと思います。

●まずは情勢認識
ここは主にFA誌論文「A Balanced Strategy」2009 Jan.&Feb.より

・アフガンで米国が破れることは、米国の信頼を致命的に傷つけ、過去ソ連を破った経験を持つ敵を増長させることになり、なんとしても阻止する必要あり。

gatesSOMARIA.jpg・ベトナム後、米国は予期しない戦いばかりを戦ってきた。パナマ、ハイチ、湾岸、ソマリア、バルカン、アフガンもだ。我々は多様な事態に備えなければならない。軍人が溺愛する「湾岸戦争の息子」に備えていてはいけない。ハイからロー、今と将来にバランスよく備えなければならない。
破綻国家やならず者国家が核等の兵器を米国に向けて使用することが、長期的なもっとも大きな懸念である。

・冷戦時のソ連との戦略兵器交渉は、必ずしも実を結ばなかったが、双方の誤解や疑念を晴らすのに有効であった。ゆえに、いかなる政治的ごたごたがあろうとも、中国との軍事レベル対話は継続して置かねばならない。
「中国は先制攻撃するのか」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24-2

gatesclimull.jpg冷戦時の態勢を引きずる国防省、米国及び国家間機構は非効率で融通性が無い。厳しい経済情勢の中で、この仕組みでは予算が持たないし、現状の激しく変化する複雑多岐にわたる諸問題に対応できない。
・米国だけで解決できる問題など無いに等しい。米国は各地域にコミットを続けるが、各パートナーは自らの防衛努力を期待される。米国はそのサポートをする態勢を整えるべき

●4軍と戦い方の改革
 陸軍へは ・・・志願兵のみでいかに「陰鬱で長引く戦い」を継続するか? 自殺、PTDS、PBDSや復員兵士の社会復帰をどう支援するのか? 家族のケアは?

DDG-1000.jpg海軍へは ・・・他国は多くて空母1隻しか保有しておらず、大部分が同盟友好国。空母11隻体制が今後30年間本当に必要か? 対艦兵器の発達にどう対応するのか?
海兵隊へは・・・海兵隊は第2の陸軍か? 特殊部隊との違いは? 大規模な上陸作戦が今後もあるのか? 強襲揚陸艦が10隻も必要か? 将来のビジョンは?

空軍へは ・・・戦闘機が本当に足りないのか? どんな爆撃機の後継が必要なのか? 将来脅威を考えればISR、無人機、長距離攻撃能力が重要なのではないのか?(戦闘機パイロットが組織の中心なのか?)

中国対処は・・・ハイエンドで非対称な拒否戦略を使用する中国に対応するには、初動の大量BM攻撃や対衛星・対ISR攻撃を耐え、相手のISR等を盲目化する新たな装備体系が必要。
戦闘機のような、ローエンドには高価すぎ、ハイエンドには航続距離が不足の装備は不向き。長距離・突破力・ステルス・スタンドオフ・無人・対ISR等々の兵器やISR被害状況下を支える装備、更に少数の基盤基地の抗たん性強化が不可欠。

「陸軍の明日を指揮幕僚大学で」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-08
「海軍海兵隊とも全面対決へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04-1
「(追加)海軍海兵隊とも全面対決へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07
「ゲーツ長官が空軍へ最後通牒」
   → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17
「海兵隊は生き残れるか?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-16-1

「士官候補生に語るシリーズ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-10
「CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18

GatesRobert-.jpg●国防省の組織・業務改革
 冷戦時代の遺物のような、又は「ビザンチン帝国時代のような」官僚組織を見直し、フラットで事態に迅速に対応できる組織。高位高官の数を見直し。
 「国防省は戦争の計画を立てることが出来るが、それを遂行していく(Wage War)事が出来ない」、「3年半前に着任した時、イラクやアフガンの前線兵士の立場になって、彼らのために日々必死になっている者をペンタゴン内で見つけられなかった
今後5年間で約9兆円削減を目標とした国防省を上げての業務改善、事業見直し及び組織見直しを実施中

「ゲーツ長官が国防省と議会にも宣戦布告」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「(補足)アイゼンハワー・ライブラリ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11
「海軍士官候補生には少しソフトに」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-09

gates2011bgt2.jpg●武器輸出及び研究開発管理要領の見直し
 これも冷戦時代の遺物である現状に合わない仕組みの見直し。問題は、必要な技術や武器を同盟国に提供出来ずに共同研究開発も不十分。一方で、技術の流失への対処・取り締まりも不十分。電気屋で買える品物が輸出禁止。複数の省庁が別々の禁止事項リスト。長期に渡る審査。
 対策は、監督官庁の一本化、禁止又はOKリストの一元化、管理システムの開発

「米が武器輸出・共同開発の方針転換へ」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22  
「武器輸出管理システム改善とQDR」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-09  
「QDRの「(軍需)産業基盤の強化」」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-08

●他国を統治・安保体制を支援再生する米国の体制再構築
米国外交の「軍事化」が進捗しつつあることを強く危惧。国防省は、これまでの戦い方だけではなく相手国の軍の人材や組織を整えるような人材や手法を重視する必要性有り。
また相手国の統治機構や治安機関を総合的に構築するには、国務省等の他省庁との協力が不可欠。一体となって取り組み、国務省が外交との整合を図りリードする手法導入が必要。
「ゲーツ長官のFA誌論文」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1
「正しい軍事力使用の3原則」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-07

●NATOの組織リストラ・機構改革
14ものNATO下部組織の3つへの集約統合。NATO本部の高位高官見直し。NATO本部の文民勤務者数の削減。政治の道具ではなく、真に情勢が求める機構へ。
「NATO改革とアフガン作戦延期」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-12

gatesSHANG.jpg●対アジア姿勢の変化
「米国は、地域でのプレゼンスや直接行動へのコミットメントを維持する一方で、これまでにも増して、パートナーが自ら自己防衛を果たせるような能力構築に力点を置いていく」と、その変化(a very real shift)の方向に言及しました。また2010のシャングリラでは、中国が軍事交流を中断させたことを厳しく批判。南シナ海情勢を懸念。
「シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
「(その3)シャングリラ・ダイアログ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「米次官補代理が日本に防衛費増額要求」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-19

もう少し過去記事に溯ると、良いモノもでてきそうな気がしますが・・・ままこの辺りで取りあえず頭を整理いたしましょう。
他の視点が思い浮かんだら、また整理いたします。思えば遠くへ来たもんだ・・・
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(質疑応答)シャングリラ・ダイアログ演説 [ゲーツ前国防長官]

↓↓↓ 2011年のシャングリラ・ダイアログ関連記事は ↓↓↓
「米国の姿勢:シャングリラ2011」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

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gatesSHGsp2.jpg5日午前中に行われたゲーツ国防長官のスピーチ後に、質疑応答もON-RECORDで実施され、やりとりがIISSのサイトに掲載されましたので、Holylandの興味のある範囲でご紹介します。実際の質問順序とは異なりますのでその点もご留意を・・・

昨年に引き続きA新聞のKY編集委員が真っ先に手を挙げて質問していますが、内容が三田佳子の放蕩息子がクスリに溺れておきながら社会が悪い、と斜に構えて吠えているような中身で、かつ他の参加者からも浮いているので省略します)

●米中軍事交流中断等について(中国国防大学のZhu Chenghu少将)
C 質問の前にコメントしておきたい。中米軍事交流の中断を中国政府や中国軍の責任にするのはフェアでない。中国は米国の国益を害したことはないが、米の台湾への武器輸出は中国の国益を害した。中国が米をパートナーとして扱っているのに、米は中国を敵と見なしているではないか。大部分の中国人民は、米国が中国の統一を妨害していると感じている。米側の先ほどのような反応(ゲーツ長官の演説)は理解しかねる。
gatesSHGspeech.jpgQ 誰の仕業かで議論されている韓国海軍沈没事件とイスラエル軍による地中海での事案への米国の対応姿勢が大きく異なっているように見えるがどういう事なのか? 

A1 まず最初に、米国は中国を敵とは見なしておらず、多様な分野でパートナーと見なしている。益々拡大する多様な分野で協力関係が発展しているのに、軍事サイドの進展だけが遅れていることをが際だっている。あとはスピーチで述べたとおりである。
A2 韓国艦艇対する攻撃は、何の事前警告もなく46名もの命を奪った。地中海での事案は調査が行われており細部について判断は出来ない段階であるが、船舶に対して何回かの事前警告が有ったようだ。調査が終わるまで断定的なことは言えないが、両事案を比較する意味がない

LeeKuanYew.JPG●米中の経済について(リー・クァンユー元シンガポール首相)
Q 冷戦時代の米ソの間には経済面で圧倒的な差が有り、それが米国の勝利の要因の一つだったが、中国には明るい見通しがある一方で、米国経済の将来には現在悲観的な見方が広がっている。この傾向が続けば、米ソ時代との比較で話が出来ないのでは。

A 私は永遠なる楽観主義者であり、(かつて社会科教師を目指した)歴史家としても、米国が悲観的な見通しをくつがえし、自ら修正を図って立ち直った歴史を語ることが出来る。米国は、私の見方によれば、疑問の余地がないくらい世界で一番自らに厳しい社会を持っている。経済の回復も見え始めている。
私の立場としては、我々の税金をより賢明な方向に投資して経済に復興をサポートする所存である。
Holylandコメント:何かジョークのようにも聞こえますが、どのような声のトーンだったのか・・・真面目に答えるあたりがゲーツ長官です。質問者が大物ですから。)

Shangri-laBN.jpg●北朝鮮への対応について(IISS評議会議長)
Q 北朝鮮への対応について、国連安保理への提議と韓国との軍事演習で対応すると明確にしたが、更なるオプションを見据えているような表現(tease us a little)もあった。更なるオプションについてこの場で少し説明してもらえないか。
A I would prefer just to tease you. (訳が難しいですが・・・)貴方を少し悩ませる程度にとどめておくことにします。

●その他、「情報共有を進める」とのゲーツ長官のスピーチに関する「どのように?」の質問や香港の放送関係者から「82年には台湾への武器売却を減らすといったではないか」との質問が出されています。回答は「79年以来、米国は最低限レベルの防衛力を台湾に提供する、との方針に変化はない」です。

加藤洋一.jpgKY編集委員の質問に興味のある奇特な方は
こちら→http://www.iiss.org/conferences/the-shangri-la-dialogue/shangri-la-dialogue-2010/plenary-session-speeches/first-plenary-session/robert-gates/qa/

(関連記事)
「(その3)シャングリラ・ダイアログ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「(その2)シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-03
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英国の新指導者と語り合う [ゲーツ前国防長官]

gatesDM2.jpggatesFM.jpg海外歴訪中のゲーツ国防長官ですが、7~8日はロンドンで5月11日に発足したばかりの英国新内閣の閣僚と相次いで表敬・会談を行いました。7日にキャメロン首相(写真下)、8日にフォックス国防相(上左)とヘイグ外務相(上右)とそれぞれ会談しています。

目的は、新政権の考え方の確認、アフガンへの支援、イランの核問題、近々予定の英国防見直し、NATO改革そしてテロの脅威等々、広範囲に渡ったようです。
アフガン支援に関し、シャングリラ・ダイアログでは「全ての国にアフガンへの支援を依頼し、特に軍や治安機関の教育訓練要員の派遣を依頼した」所ですが、英国に対しては「9500名の兵士を派遣し、期待されることは全てやってもらっている。賞賛すべきパートナーに対して、これ以上の要望をすることはない」とロンドン到着前の機内会見で語っています。

英国のアフガンでの貢献に関しゲーツ長官は、「第1次世界大戦時の詩を引用して言うならば・・・英国の戦う男女は、彼らのやるべき事以上をを引き受け、それを彼らの分担としてやっている」と表現しました。ちなみに英国軍にはこれまで約300人の死者が出ています。

gatesCemeron.jpg英国の新首相キャメロン氏は、ここ200年間では最も若い43才で首相になりました。ゲーツ長官が仕事で正式に表敬・会談した英国首相はキャメロン首相を含めて6人になるそうですが、日本的に見ると格上の首相の前で足を組んではいけません!!
キャメロン首相は月曜日、国民に対し痛みを伴う財政縮減策の実施を発表しました。細部は明らかになっていませんが、軍に対しても当然何らかの方向が示されるでしょう。
ギリシャやスペインやハンガリーだけでなく、米国も英国も予算の見直しに入りました。 我が国も考えないと、防衛費も根本的に見直さないと・・・

9日からは、恐らく苦しい苦しいNATO国防相会議です。アフガン戦略と共に、NATOの機構改革や頭でっかち組織の見直しを推進したいようですが・・・

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国家情報長官DNIの候補者を評価 [ゲーツ前国防長官]

Clapper.jpgオバマ大統領が国家情報長官(DNI:Director of National Intelligence)に国防次官(情報担当)のジェームズ・クラッパー(James Clapper)氏を推薦しました。
このノミネートに関し、6日シャングリラを終え、次の目的地であるアゼルバイジャンに向かう機内で、ゲーツ国防長官がコメントを発表し、質問に答えています。

ゲーツ長官は、20年以上の付き合いがあるクラッパー氏の指名を心から喜んでいる模様です。なにせ、ゲーツ長官が国防長官になった際に、唯一彼自身が国防省に連れてきた人材だからです。

ゲーツ長官のコメント及び質疑概要
gatesSHGdinner.jpg私はDNIの仕事の難しさを人一倍理解しているつもりであるが、大統領がクラッパー氏を推薦したことを、私がどれほど喜んでいるかを皆さんにお知らせしたい。
率直に申し上げて、私には2004年にDNIの設置に反対し、2005年にはDNIへの就任要請をことわった過去がある。国全体の16もの多様な機関の情報部門を、組織的な権限なしに率いるのは不可能に近い仕事だと考えたからです。
●それでも私はここ数年、大部分はクラッパー氏の努力ですが、国防省とCIAとDNIが協力してDNIの役割を強化するために、種々の取り組みを行ってきました。人事等々です。
●私は、国の情報部門を率いていくのは情報の世界での長年の経験ではなく、建設的に他のリーダーと巧くやっていける気性だと思いますが、正にクラッパー氏はその持ち主です。

●ジムとは20年以上の付き合いで、私がCIA長官の際は、彼はDIA(国防情報局)長でした。彼は10年ほど前に空軍を退役した独立心の強い人物ですが、情報分野の誰にでも敬意を払う人物です。ジムは、私が国防長官になった際、私自身が連れてきた唯一の人材です。正直、大統領からジムの名が上がったとき、私は国防省としての損失を考えました。

Clapper4.jpg●クラッパー氏について、軍関係の勤務が長いことに懸念を示す議会等の人々がいることは承知していますが、彼が情報担当の国防次官として他機関との間で成し遂げたことを見ていただければ、心配ないと判るでしょう。
●議会の中にはクラッパー氏を社交的でないと見る向きもありますが、議会軍事委員会のメンバーからはそのような声を聞いたことがありません。大統領にとってジム以上の適任は以内と考えています。
●クラッパー氏の適正やいかにこれまでDNIに貢献したかに関し、DNI経験者であるブレアー氏やマッコンネル氏も依存のないところだと思います。
ゴールドウォーター・ニコラス法が国防省の権限を国防長官や大統領に一元化している点や企業のCEOとは異なり、DNIは有力な議会の委員長のようなものです。このような仕事に適したのがクラッパー氏です。

gatesAZRB.jpgゲーツ長官が情報機関やそこで働く人々のことに触れる時は、その言葉のトーンが高くなります。「決して目立たず、成功してもオフィスの奥まった場所で静かにハードリカーをいっぱいやるだけ・・」とのゲーツ長官のコメントがどこかでありましたが・・・。(写真はアゼルバイジャン大統領と)
どこの国でも、情報機関は国内での縄張り争いや他機関との連携の無さが問題になりますね・・・。

「(その3)シャングリラ・ダイアログ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05
「(その2)シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-03


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(その3)シャングリラ・ダイアログ演説 [ゲーツ前国防長官]

↓↓↓ 2011年のシャングリラ・ダイアログ関連記事は ↓↓↓
「米国の姿勢:シャングリラ2011」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

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gatesSHANG2.jpg5日午前、ゲーツ国防長官がシャングリラ・ダイアログの第一セッションで演説しました。IISSのサイトに掲載された事前準備原稿から概要を紹介します。従って、冒頭のジョークと質疑応答の部分はまだ公開されていません。そこは後ほど・・・

Holylandの主観的な印象ですが、以下の2点が特徴的でした。
●★中国による、米国の台湾への武器輸出を理由とした米中軍事の対話中断を外交的な表現で厳しく非難したこと。南シナ海の問題も含め、中国が東南アジア諸国にも大きな懸念材料となっていること。IISSのwebサイトに公表された原稿で中国非難が22行(見方によっては34行)。北朝鮮への言及11行に比べても、他の話題に比べても突出した扱いでした。

●★米軍のアジアでのプレゼンスの変化について、これも慎重な言い回しながら明確に「従来のような軍基地の存在だけを尺度にすべきではない」と従来型兵力の実質削減に言及しました。まさにCSBAの対中国構想やAir-Sea Battle Conceptの背景思考そのものです。

Shangri-laBN.jpg演説をHolyland関心事項を中心にご紹介します・・・・
●地域の平和・発展・安定のための共通事項4項目
1 自由でオープンな商取引、 2 法の遵守及び国家の権利と義務を重んずる国際秩序、
3 国際公共財である海空とサイバー空間への自由なアクセス
4 力に訴えることのない紛争解決
(Holylandコメント:特異な中国の態勢とその姿勢を非難しているように見えます。他にも該当国はありますが・・・)

●QDRやNPR等々を策定し、アジアでの抑止を強化(?)
gates3NT.jpg1にBMDの強化(写真は日米韓3国定期協議) 
2に核廃絶・削減への動きとそれに至る過程での保証
3に軍のプレゼンス。60年間米軍のプレゼンスが米の関与のサインであったが、世界的な米軍再編の結果、一つの方向性が明らかになる。アジアでの米軍の配置は、より地理的に分散し、作戦面で弾力性抗たん性を持ち、政治的に持続可能なものになる。グアムの基地の増強はこの流れの一つで、日本との基地に関する合意とともに。米日安保50周年とタイミングのあった、どんな政治家にも引き継がれる合意とともに。

●米軍プレゼンスの変化
重要なことは、米軍のプレゼンスとその影響は、従来のように軍事基地の存在だけで計れるモノでは無い点である。我々はプレゼンスをより広範な概念で、連携の存在や達成された結果で捕らえなければならない。医療支援、施設支援、多様な安保上の挑戦への対処などがそれに該当する。
Holylandコメント:管総理には日米合意の履行を迫っています。米軍基地の分散(戦力シャドー化の加速)、抗たん性強化などは、CSBAレポートの中国対処構想そのものの発想で、Air-Sea Battle Conceptの具現化の方向です。本当に抑止力強化か?? 無い袖は振れない・・との印象です。)

●中国の姿勢への批判
中国は、米の台湾への武器輸出を理由として、米との軍事対話を中断した。しかしこれは理由にならない。なぜなら・・・
gatesSHANG.jpg1に武器売却は何十年も継続していることで、新しい事ではない
2に米国は長年台湾の独立を支持していない。この点も何の変化もない
3に中国の軍事力増強は台湾を焦点に当てたものが多いが、米国の武器輸出は海峡を挟んだ平和と安定を保つ重要な施策の一つである。
米中の軍事対話だけが人質に取られている状態である。皆さんに明らかにして置きたい。中国との対話の中断によって、我々の台湾への政策を変えることはない。

米国防省は、オバマ大統領と中国国家主席が望んだ「継続的で信頼に足る、全てのレベルにおける軍事交流により誤解、誤判断、意志疎通のミスを減らす」事を希望する。これは地域の安全保障にとって必要不可欠である。

●南シナ海の航行の自由(中国への牽制も含む)
(中国との対話中断不足に関し)南シナ海は懸念が拡大する地域である。我々の政策は明確である。安定、航行の自由、自由で妨害無き経済発展が維持されることが不可欠だ、との立場である。
我々は航行の自由を妨害する武力の使用に反対する。我々は、合法的な経済活動に従事する国々や米国の支援を脅かすいかなる試みにも反対する。
Holylandコメント:これだけ中国関連での言及があるとは思いませんでした・・。それと普天間問題なんかアジアレベルでも微細な課題なんですね・・・南シナ海が大変なようです。)
gatesKOREA2.jpg





●北朝鮮(中国を意識したようにも・・・)
地域の全ての国々は、北朝鮮の危険な挑発に立ち向かう責務を共有している。

(参考記事)
「(その2)シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-03

「CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
        (その2)から(その5) 
 「(その6)CSBA中国対処構想」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24
        (しつこく最後)、(番外編)も

「Air-Sea Battle Conceptの状況」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「嘉手納から有事早々撤退?」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
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(その2)シャングリラ・ダイアログに向けて [ゲーツ前国防長官]

↓↓↓ 2011年のシャングリラ・ダイアログ関連記事は ↓↓↓
「米国の姿勢:シャングリラ2011」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

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Shangri-la09.jpg2日米国防省は、ゲーツ国防長官が2日から11日にかけてシンガポール、アゼルバイジャン、英、ベルギー(NATO)と独を訪問すると発表し、5日午前にアジア政策に関するスピーチをIISS主催のシャングリラ・ダイアログで行うと発表しました(写真は昨年の様子)。
米国防省HPには特別バナーが現れ、特別広報体制が執られています。

●4日のスピーチ(シャングリラ演説)について匿名の国防高官は・・・
地域の国防関係者が一堂に会することから、ゲーツ長官はこの機を捕らえ、種々の見直し特にQDRが示唆する点を初めて語ることになる。すなわち米軍の地域における政策、体制とプレゼンスについてである
gatesSHANG.JPGまたゲーツ長官は、米国がアジアでの役割を重視していることを強調すると共に、地域の全ての国が相互に責任を負うことの必要性を強調するだろう。同時にアフガンやパキスタンへの支援に対し謝意を述べる。

昨年のこの会議でのスピーチで、ゲーツ長官は米国政策の「a very real shift」を予言しましたが、QDR、NPR、BMDR、国家安全保障戦略やJoint Air-Sea Battle Conceptを踏まえ、どのような「政策、体制、プレゼンス」を語るのか楽しみです。あわせて冒頭のジョークにも注目です。

●シンガポールに6日朝まで滞在し、その間に・・・
4日インドネシア国防相と、インドネシアが地域の安保面でいかにしたらリーダーシップとれるか、を海賊対処や平和維持活動を通じて議論する
 →NZランド国防相と、非核宣言をした同国との関係強化の方向性を協議する
 →インド国防相と、本年はじめに話し合った国防協力を更に発展させるために協議する
 →ベトナム軍高官と、地域の大きなプレイヤーたるベトナムと何が出来るかを協議する
 →韓国国防相と、北朝鮮問題について協議する。韓国の対応を全面的に支援する
shangrilinkbut.jpg5日モンゴル国防相と、アフガン協力への決意に謝意。シンガポール国防相とは地域情勢の意見交換
日米韓3者会談(内容に関する記述無し。日本については本件に関し僅か1行の記述。他国は6-10行なのに・・・)
(当初計画では、3者会談で主に北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈をめぐる対応について協議した後、中国行きを計画していましたが、台湾への武器輸出がらみの問題で中国訪問は中止になりました。)

6~7日はアゼルバイジャンで、大統領と国防相と会談し、アフガン用物資の25%が同国を通過している事への謝意と今後の協力関係について議論します。
7~8日は英国ロンドンで、キャメロン新首相、フォックス新国防相とヘイグ外務相と語り合います。
9~11日はブラッセルでNATO国防相会議に出席してアフガン支援を要請し、11日中に独の軍病院で負傷兵を見舞い、最後に米軍基地の高校卒業式で海外で頑張る軍人姉弟へのメッセージをスピーチします。

gatesSING.jpg日本への言及がこれだけ少ないのも異常です。防衛大臣がどうなってるかも判らない状況ですからね・・・ゲーツ長官は「カウンターパート」と3者会談することになっていますが、別れの挨拶になったりして・・・気合い入りませんね・・・。
インドネシア、インド、ベトナム、NZランド国防相との会談についてはたっぷり言及があり、それぞれに気合いの入った準備が有る模様です。

(追加です)
シンガポール到着直前の機内で同行記者団に対して語ったところを速報で米国防省HP記事から・・・

●日米安保50周年に触れ
“We are in the midst of the 50th anniversary of the Mutual Security Treaty,” he said. “This is a great year for the Japanese-U.S. security relationship,
gatesSGRL.jpg●NKによる韓国海軍艦艇攻撃に触れ
and I think that the sinking of the South Korean ship by [North Korea] simply underscores for everybody that there are security challenges in Northeast Asia, and therefore, the importance of the security relationship between the United States and Japan.”
Gates expressed his hope that Hatoyama’s successor would speak to the importance of that relationship early on.

●鳩山総理退陣に関し(普天間問題が影響ではないかと問われ)
Gates said he believes “a number of domestic issues” also were factors, but that as the security relationship between the two nations moves forward, it must remain strong.
●普天間問題について言及し・・・
“By the same token,” he added, “I think we have to be sensitive to some of the concerns that have been expressed by the Japanese in terms of training and noise and some of those things, and we will be working with the Japanese to see if there are ways to mitigate that.”

日本のメディアも同行しているような印象ですが、もう少し丁寧にフォローしてほしいものです
(関連記事)
「(その3)シャングリラ・ダイアログ演説」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05

「シャングリラ・ダイアログに向けて」
  → http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-29
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